少年事件で不処分

少年事件で不処分

少年事件における不処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
高校1年生のAくんは、兵庫県明石市の路上で帰宅途中の女子中学生のスカート内を盗撮したとして、兵庫県明石警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
Aくんは逮捕されたものの、両親が身元引受人として警察署に迎えにきて身柄解放となりました。
警察から、「警察と検察で取調べが終わったら、家庭裁判所に事件が送られて、そこで最終的な処分が決定されます。」と簡単な説明を受けたAくん家族は、どのような処分が見込まれるのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

少年事件については、捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると判断したときは、すべての事件を家庭裁判所に送致することとされています。
事件が家庭裁判所に送致された後は、少年保護事件として、成人の刑事事件とは異なる手続が進められます。
家庭裁判所による調査・審判を経て、少年の更生に適した終局処分が言い渡されます。
その終局処分は、以下の通りです。
①保護処分(保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致、少年院送致)
②都道府県知事または児童相談所長送致
③検察官送致
不処分
⑤審判不開始

不処分とは

裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨を決定しなければなりません。(少年法第23条2項)
この決定を「不処分決定」といいます。

不処分決定の要件

不処分決定は、審判の結果、①保護処分に付することができないとき、又は②保護処分に付する必要がないと認められるとき、になされます。

以下、各々の要件を概観します。

(1)保護処分に付することができないとき

法律上又は事実上、保護処分に付することができない場合の不処分決定で、次のように分けられます。
・非行事実なし:非行事実の存在の蓋然性が認められない場合。
・所在不明等:少年に心神喪失、死亡、所在不明、疾病、海外居住等の事情が生じた場合。
・その他(審判条件が存在しない等)

(2)保護処分に付する必要がないとき

保護処分に付する必要がないときとは、審判の結果、要保護性が認められず、保護処分、児童福祉法上の措置、刑事処分のいずれも必要のない場合の不処分決定です。
・保護的措置:調査・審判の過程で、関係者による働きかけが講じられた結果、要保護性が解消し、再非行の危険性がなくなった場合。
・別件保護中:別件で保護的措置が講じられていたり、保護処分に付されていたりするため、本件ではとくに処分をする必要がないと認められる場合。
・事案軽微:非行事実がきわめて軽微な場合。

不処分決定がなされると、事件は終局します。
不処分決定に伴い、観護措置や試験観察等の中間決定の効力は消滅します。

非行事実に争いのない場合には、保護処分に付する必要がない場合の不処分を目指します。
前述のように、保護処分に付する必要がないときとは、審判の結果、要保護性が認められず、保護処分等が必要がないと判断された場合にさなれるものです。
「要保護性」というのは、審判の審理対象で、以下の3つの要素により構成されると考えられています。

1.再非行の危険性
少年の性格や置かれている環境に照らして、将来再び非行を犯す危険性があること。
2.矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことにより、再非行の危険性を除去できる可能性があること。
3.保護相当性
保護処分による保護が最も有効であり、かつ、適切な処遇であること。

このように要保護性が認められないためには、少年の環境調整を十分に行う必要があります。
少年が将来非行を再び犯すことがないよう、少年をとりまく環境を調整したり、少年の内面への働きかけを行います。

少年事件は様々な点で成人の刑事事件とは異なりますので、少年事件における弁護活動・付添人活動は、少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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