少年事件と環境調整

少年事件と環境調整

少年事件環境調整について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県洲本市に住む高校生のAさん(16歳)は、親の勧めで私立の進学校を受験し入学しましたが、あまり学校に馴染めずにいました。
そのようなことから、地元の友人らとつるむことが多くなりました。
地元の友人らは、集まると大麻を吸うことがあり、最初はAさんは断っていましたが、結局Aさんも一緒に吸うようになりました。
ある日、地元の友人の一人が大麻取締法違反違反(所持)で逮捕されました。
その後、兵庫県洲本警察署の警察官がAさん宅を訪れ、「大麻のことで話を聞かせてほしい」と警察署までAさんを連れて行きました。
Aさんは大麻取締法違反違反で逮捕され、Aさんの両親は慌てて少年事件に強い弁護士に連絡を入れました。
(フィクションです)

少年事件における環境調整の重要性

環境調整とは、少年を取り巻く人的および物的条件、周辺環境を、少年の立ち直りと今後の成長に資するよう調整し、「要保護性」を解消することを目的とする活動をいいます。
ここで「要保護性」という聞きなれない言葉が出てきましたが、これは少年審判の審理の対象となる非常に重要なものです。
事件が捜査機関から家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、調査・少年審判を経て、少年の更生に資する処分を決定します。
この少年審判で審理されるのは、非行事実と要保護性の2つです。
犯罪行為の軽重がストレートに量刑に影響する成人の刑事事件とは異なり、少年事件では、非行事実自体が軽微なものであっても、要保護性が高いと判断された場合には、少年院送致等の身体拘束を伴う処遇が選択されることもあります。
他方、非行事実が重い犯罪に該当するものであっても、要保護性が解消され、社会内での更生を図ることが少年の健全育成のために望ましいと判断された場合には、社会内処遇が選択されることもあるのです。
ですので、少年事件においては、環境調整は非常に重要な活動であり、環境調整少年事件の付添人に期待されるもっとも大きな役割の1つだとも言えます。

(1)少年本人への働きかけ

少年の心が、事件と向き合い、自身の更生に向けて前に進む準備が整っていなければ、家庭や学校、職場、交友関係等の外部環境の調整を行うことはできません。
まずは、少年自身が、事件についての内省を深め、被害者に対する謝罪の気持ちを持てるようにし、なぜ事件を起こしてしまったのか、再び事件を起こさないためにはどのように対処すればよいのか、自身が抱える問題点や解決策を自分なりに考えられるよう支援していきます。

(2)家庭

少年にとって、家庭は一番身近な環境であり、少年に最も影響を与えるものです。
家庭の問題が非行の原因となっていることも少なくありません。
一件問題がなさそうなごく普通の家庭に見えても、非行の背景を探るにつれて、実は家庭の問題に行きつくことは多いのです。
付添人は、少年の保護者にもなぜ少年が非行を起こしてしまったのか、その原因を考えてもらい、今後の対応を一緒に話し合っていきます。
当事者である家族だからこそ、家庭内の問題に気づきにくいこともあり、付添人が間に入って、改めて家庭環境を見直す機会を持つことで、その問題に気づき、家族関係が修復されることもあります。
その中で、家庭にしっかりと少年の居場所を作り、家族間のコミュニケーションを活発にするよう少年や家族と一緒になって家庭の環境調整に取り組みます。

(3)学校

少年が学校に通っている場合には、今後も少年が学校に通うことができるのか、学校が少年を受け入れて適切な指導をしてくれるかどうかは、少年の更生を考える上で重要です。
しかし、学校によっては、事件を起こして逮捕されたということにより退学とする場合もありますので、学校の状況や学校の先生との関係等を考慮し、適切なアプローチをすることになります。

(4)交際関係

非行の背景に不良交友関係がある場合には、そうした関係をいかに解消するかが重要です。
大人からみれば不良交友関係であっても、少年からすれば、自身の居場所であると感じていることもあるので、単に交際関係を断つよう少年に求めることは逆効果になることもあります。
そのような場合には、付添人は、少年と一緒に非行の原因がなんであったのかを考え、少年が交際関係に問題があったことに気づくことで、問題解決に至るよう手助けをします。

以上のような環境調整を行い、その成果を担当調査官や裁判官に報告し、少年の要保護性が解消されたことを主張し、最終的に社会内処遇となるよう努めます。

このような活動は、少年事件に精通した弁護士に依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りの場合は、弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、0120-631-881までお電話ください。

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