ストーカー規制法違反事件で逮捕

2019-09-10

ストーカー規制法違反事件で逮捕

~ケース~
会社員のAさんは、アイドルグループXのメンバーVの大ファンで、追っかけにも力を入れていました。
出待ちだけでなく、家や宿泊先まで追っかけたりするので、Xの所属事務所やVのマネージャーからも再三注意を受けており、過去には警察を呼ばれて警告されたこともありました。
Xが地方公演で兵庫県神戸市中央区にあるコンサート会場で出待ちをした後、宿泊先ホテル付近で待ち伏せをしている際に、兵庫県水上警察の警察官に職務質問後にストーカー規制法違反で現行犯逮捕されました。
(フィクションです)

追っかけとストーカー行為との線引き

アイドルや俳優などの芸能人のファンが行き過ぎた行為により、ストーカーとして逮捕されるというニュースを度々耳にしますね。
芸能人にとって、ファンの存在は芸能活動をする上でも非常に重要ですが、彼らの行き過ぎた行為により当の本人が精神的な苦痛を負うことになってしまっては芸能活動を支えるファンのあるべき姿ではないでしょう。
追っかけとストーカー行為との線引きは明確にはありませんが、ストーカー規制法におけるストーカー行為に該当する場合には、犯罪が成立し警察に逮捕される可能性があります。

ストーカー規制法におけるストーカー行為とは?

「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下、「ストーカー規制法」という。)は、平成12年に制定・施行された法律です。
トーカー規制法は、「ストーカー行為」を処罰しているほか、「つきまとい等」の行為を取り締まり、被害者に対してストーカーからの被害の防止のための援助などを行うこととしています。

ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等を反復して行うことであるとストーカー規制法で定められています。

「つきまとい等」は、それが「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行われたものに限られます。
ストーカー規制法における「恋愛感情その他の好意の感情」とは、恋愛感情その他の好意の感情が充足され得るものであることが予定されており、ただ一般的に好きだという感情だけではなく、相手方がそれに答えて何等かの行動をとってくれることを望むものとなります。
また、「それが満たされなかったことに対する怨恨の感情」とは、特定の者に対して抱いた好意の感情が満たされなかったことから生じた恨みの気持ちを意味します。
ですので、近隣住民とのトラブルにより加害者が被害者宅に執拗に押し掛けるといった行為は、ストーカー規制法のつきまとい等には当たらないことになります。
つきまとい等の行為態様は、以下の8つです。
①つきまとい・待ち伏せ行為など
 尾行してつきまとう、通勤通学途中など行く先々で待ち伏せする、自宅や職場などに押し掛 けるなど。
②監視していると告げる行為
 帰宅直後に「おかえりなさい」などと電話やメールなどをする、その日に取った行動や来て いた服装などについて告げるなど。
③面会・交際などの要求
 断られているにもかかわらず、何度も面会や交際、復縁を迫るなど。
④乱暴な言動
 家の前で大声を出す、車のクラクションをうるさく鳴らすなど。
⑤無言電話、電子メールなどの送付
 電話をかけて何も告げない、許否しているのに何度も電話やメールをするなど。
⑥汚物などの送付
 汚物や動物の死体といった人に不快感・嫌悪感を与えるものを自宅や職場に送るなど。
⑦名誉を害する行為
 名誉を傷つける内容を告げる・メールで送るなど。
⑧性的羞恥心を害する行為
 わいせつな写真などを送る、インターネットに掲載するなど。

先述しましたが、「ストーカー行為」とは、「同一の者に対し、つきまとい等を反復してすること」をいいますが、つきまとい等のうち、上の①から④に関しては、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限られます。
この点、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法」とは、社会通念上、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害されるのではないか、又は行動の自由が著しく害されるのではないかと相手方に不安を覚えさせると評価できる程度のものであることが必要となります。
ファンの追っかけがとる行為も、テレビ局や事務所にとどまらず、追っかけの対象である芸能人の自宅や宿泊先など、通常知り得ることが困難な場所にも待ち伏せするなどした場合には、当該芸能人が上の不安を覚える方法を取ったと言えるでしょう。
また、「反復して」とは、複数回繰り返してということを意味します。

ストーカー規制法違反の処罰規定

1.ストーカー行為に対する罪
ストーカー行為」をした者に対しては、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
本罪は、親告罪で、告訴がなければ公訴を提起することができません。

2.禁止命令等に違反する罪
禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる可能性があります。
禁止命令等に違反してつきまとい等をすることでストーカー行為をした者も同じです。
さらに、禁止命令等に違反した場合には50万円以下の罰金を科す旨が定められています。

ストーカー規制法違反事件は、被害者がいる事件ですので、早急に被害者対応を行うことが求められます。
刑事事件でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。