盗品譲受け等事件で故意否認

盗品譲受け罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市須磨区の骨とう品店を営むAさんは、盗まれた絵画と知りながら代金を支払って買い受けたとして、兵庫県須磨警察署有償盗品譲受けの容疑で逮捕されました。
Aさんは、「盗品であることの認識がない。」と故意否認しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、急いで接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

盗品譲受け等罪について

盗品譲受け等罪は、刑法第256条に規定されています。

第二百五十六条 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

盗品譲受け等罪の構成要件は、以下の通りです。
【1項】①盗品、その他財産に対する罪にあたる行為によって領得された物を
    ②無償で譲り受けたこと。
【2項】①盗品、その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を
    ②運搬し、保管し、もしくは有償で譲り受け、またはその有償の処分をあっせんしたこと。

◇主体◇

本犯者(窃盗などの犯罪行為を行った者)以外の者が、本罪の主体です。
本犯者が、その犯罪によって取得した物を処分する行為は、通常、本犯についての不可罰的事後行為であり、別罪を構成しないとされます。(最高判昭24・10・1)
共同正犯も正犯として本犯者となるので、本罪の主体とはなりません。
しかし、本犯の共犯者(教唆者・幇助者)は、本罪の主体となります。
なぜならば、共犯行為は本犯に通常含まれる行為とはいえず、盗品罪が不可罰的事後行為といえないからです。

◇客体◇

本罪の客体は、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」です。
(1)盗品等
「盗品等」とは、財産罪によって取得した財物で、被害者が法律上追求し得る権限を有するものをいいます。
(2)財産罪によって取得した物
本犯は財産罪に限られ、文書偽造罪、通貨偽造罪、賭博罪、賄賂罪などにおいて収受された物は、本罪の客体には含まれません。
本犯は、財産罪に「当たる行為」であればよく、犯罪として成立している必要はありません。つまり、本犯の行為は、構成要件に該当する違法な行為であれば足りるのです。
そのため、無責任能力者の行為であってもよく、親族相盗例の適用される者の間でおこなわれた犯罪によって取得された物も盗品性を失いません。
また、公訴時効が完成しても、被害者に返還請求権が認められる限り、盗品性は失われません。
(3)被害者の追求権
本罪の客体は、被害者が法律上追求しうる権限を有する物でなければなりません。
そのため、民法第192条により第三者が所有権を即時取得した場合には盗品性は消滅します。
しかし、盗品や遺失物は即時取得の要件が具備されたとしても、民法第193条により所有権が元の所有者に残るため、盗難・遺失のときから2年間は盗品性を失いません。
また、加工によって財物の同一性が失われ、所有権が工作者に帰属するときには、民法第246条により盗品性が失われます。

◇行為◇

(1)無償譲受け
「無償で譲受ける」とは、盗品を無償、つまりただで自己の物として取得することをいいます。
使用貸借は、無償ではあるけれども、所有権に基づく処分権を取得していないため、盗品無償譲受け罪は成立せず、盗品保管罪が成立するにとどまります。
(2)運搬
「運搬」とは、委託を受けて盗品の所在を移転することをいいます。
有償・無償、移転の距離の遠近は問いません。
(3)保管
「保管」は、委託を受けて盗品等の保管をすることで、有償・無償を問いません。
保管罪は、継続犯であるので、保管後に盗品であることを知ったが、そのまま本犯のために保管をしていた場合は、本罪が成立することになります。
(4)有償譲受け
「有償で譲り受ける」とは、盗品を売買・交換・責務の弁済等の名目で有償に取得することをいいます。
本犯者から委託を受けたか否かは問われません。
盗品有償譲受け罪が成立するためには、単に契約が成立しただけでは足りず、代金は未払いであっても盗品が引き渡されれば本罪が成立することになります。
また、盗品であることの認識は、契約時にはなかったとしても取得時にあれば足ります。
他方、取得した後に盗品であると認識した場合には、保管罪と異なり有償譲受け罪は成立しません。
(5)有償の処分のあっせん
「有償の処分のあっせん」とは、盗品の有償的な法律上の処分行為(売買、交換、質入れ等)を媒介・周旋することです。
本犯者から委託を受けたか否かを問わず、あっせんそれ自体は有償・無償を問いません。

◇故意◇

盗品譲受け等罪は、故意犯です。
盗品譲受け等罪のどの犯罪類型においても、行為者に客体が「盗品であることの認識」が必要となります。
盗品であることの認識は未必的なもので足ります。
保管罪と運搬罪は継続犯であるため、行為の開始後に認識した場合、認識した以降に犯罪が成立することになります。
一方、有償・無償譲受け罪と有償処分のあっせんの場合は、即成犯であるので、行為の開始時に認識がない場合には犯罪は成立しません。

上のケースにおいて、Aさんは盗品有償譲受け罪に問われています。
Aさんは、「買い取った商品が盗品であるとの認識はなかった。」と故意否認しています。
Aさんが盗品である商品を取得した時に盗品を認識していた場合には、盗品有償譲受け罪が成立するでしょう。
しかし、梱包されたままの商品を複数買い取りに出す場合、買取側も「盗品かもしれないな。」と思ったであろうと判断される余地もあり、未必の故意が認められる可能性もあります。
「盗品とは知らなかった。」と故意否認する場合には、捜査段階で不利な供述がとられないよう、早期に刑事事件に精通する弁護士に取調べ対応について相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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