Archive for the ‘刑事事件’ Category
児童福祉法違反(淫行をさせる行為)で逮捕
児童福祉法違反(淫行をさせる行為)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県明石警察署は、自身の経営する塾に通う女子高生にみだらな行為をさせたとして、Aさんを児童福祉法違反(淫行をさせる行為)の疑いで逮捕しました。
女子高生と両親が同署に相談したことで事件が発覚しました。
被害を受けた女子高生は、「言うことを聞かないと志望校に受からないと思った。」と話していますが、Aさんは「恋愛感情があった。」と述べており、容疑を否認しています。
(フィクションです。)
児童福祉法違反(淫行をさせる行為)について
児童福祉法第34第1項第6号条は、「児童に淫行をさせる行為」を禁止する旨を規定しています。
児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)は、社会における児童の福祉を保護法益とするものです。
児童福祉法で定義される「児童」の対象年齢は、「満18歳に満たない者」であり、18歳未満の者が「児童」に当たります。
「淫行」とは、「児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又は性交類似行為」を意味し、「児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として取り扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為」が「淫行」に該当するものと理解されています。(最判平28年6月21日)
性交に準ずる性交類似行為には、手淫、口淫、素股、肛淫等を伴う男色行為、バイブレーダーを調達して児童に手渡し、自己の面前において、児童をしてこれを性器に挿入させる行為などが該当します。
また、「させる行為」については、「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいうが、そのような行為に当たるか否かは、行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断する」とされます。(最判平28年6月21日)
雇用関係や身分関係などにより、行為者が児童を支配している場合には、淫行を助長促進する行為は、必ずしも積極的でなくてもよいと解されており、飲食店の経営者が、住み込み女中である児童が客と淫行することを承認した場合(最判昭30年12月26日)においても、児童に淫行をさせる行為を認めています。
「させる行為」とあるのは、児童福祉法第34条第1項第6号が、本来は売春防止法と同様の趣旨で、特に児童に売春をさせることを処罰する目的で立法されたためです。
しかし、判例は、自己を相手とする淫行をさせる場合も、「させる行為」に当たるとの解釈を採用しており、自己を相手とする淫行であっても、それが「児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為」と言えるものであれば、淫行を「させる行為」に当たると考えられます。
そのため、18歳未満の者との性交・性交類似行為すべてが児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)となるのではなく、行為者と児童との関係、助長・促進行為の内容や児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容、淫行に至る動機・経緯、児童の年齢などを総合的に考慮して、児童に淫行をさせる行為と言えるのかどうかが判断されます。
上の事例においても、Aさんと女子高生との間の関係性(塾講師と生徒)から、助長・促進行為の内容や児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容、淫行に至る動機・経緯、児童の年齢などといった要素が検討されることになります。
児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)の法定刑は、10年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその併科と非常に厳しいものとなっています。
相手方児童が被害者であるため、被害者への被害弁償や示談を成立させることを目指すことになります。
被害者自身は18歳未満であるため、示談交渉の相手は被害児童の保護者となります。
保護者の処罰感情は往々にして厳しく、示談交渉も難航することが予想されます。
そのため、刑事事件に詳しく、被害者との示談交渉にも豊富な経験を有する弁護士を介して示談交渉をすることをお勧めします。
また、児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)は、被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない罪(これを「親告罪」といいます。)ではありませんので、事案によっては、示談が成立したとしても、公判請求される可能性もあります。
しかしながら、示談が成立している場合には、検察官が起訴猶予として不起訴で事件を終了させる可能性を高めることができますので、やはり、非親告罪であっても、被害者との示談の有無は最終的な処分に大きく影響を与える要素となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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詐欺事件で逮捕
詐欺事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県伊丹警察署は、兵庫県伊丹市にある美容室の店員から、「客がお金を下ろしてくると言ったまま戻ってこない。」と連絡がありました。
同警察署は、逃げた客の身元を特定し、詐欺の容疑で市外に住むAさんを逮捕しました。
Aさんは、「料金は支払うつもりだった。」と容疑を否認しています。
(フィクションです。)
詐欺罪について
刑法第246条
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪は、
①人を欺いて財物を交付させた場合、
②人を欺いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合
に成立する罪です。
①人を欺いて財物を交付させる
■客体■
詐欺罪(1項)の客体は、他人の「財物」であり、不動産も含まれます。
■行為■
詐欺罪が成立するためには、人を欺いて錯誤を生じさせ、その錯誤に基づいて財物を交付させることが必要となります。
つまり、(a)人を欺く行為(欺罔行為)→(b)相手方の錯誤→(c)交付行為→(d)財産の移転、という一連の流れがあり、(a)~(d)の間に因果関係がなければなりません。
(a)欺罔行為
詐欺罪における「欺罔行為」は、人の錯誤を惹起する行為と意味し、人による財物の交付行為に向けられたものであることが必要となります。
つまり、相手方に対して、相手の財物を行為者に渡すよう嘘の情報を伝える行為のことです。
「人」を欺く行為でなければならないため、器械の不正操作は、詐欺罪には当たりません。
人を欺く行為は、不作為(あえて積極的な行為をしないこと)によっても成立することがあります。
それは、相手方が錯誤に陥ろうとしていること、あるいは既に錯誤に陥っていることを知っておきながら、真実を告げて誤解を解こうとせず、あえてそのままの状態にしている場合です。
(b)相手方の錯誤
欺罔行為により、相手方が錯誤に陥ることが必要となります。
人を欺く行為により生じる錯誤は、交付の判断の起訴となる重要な事項についてのものであり、それがなければ交付行為を行わなかったであろうような重要な事実に関するものでなければなりません。
(c)交付行為
詐欺罪の成立には、錯誤により生じた瑕疵ある意思に基づいて、物が交付されることが必要です。
つまり、騙された者が、その者の意思に基づいて、交付行為を行い、物が移転することが必要となります。
相手方の意思に基づかず、例えば、相手方の隙をついて物を移転させた場合には、詐欺ではなく窃盗が成立することになります。
(d)財物の移転
物が交付行為によって移転することにより、詐欺罪は既遂(犯罪を実行し、結果が発生したということ。)となります。
②人を欺いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させる
■客体■
詐欺罪(2項)の客体は、「財産上の利益」です。
条文は、「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた」とありますが、これは、財産上の利益を不法に取得し、又は他人に取得させることを意味しているのであって、不法な利益を取得することを意味するものではありません。
「財産上の利益」とは、債券など有体物以外の財産的権利・利益のことをいいます。
具体的には、債務免除(支払義務、契約に基づいて交付しなければならない義務の免除)、弁済の猶予、役務の提供などが挙げられます。
上の事例で問題となっている美容室での施術料金の支払いですが、これは支払義務の免除という財産上の利益に当たります。
■行為■
詐欺罪(2項)の行為も、1項と同じで、人を欺いて錯誤を生じさせ、その錯誤に基づいて財産上の利益を得させることです。
詐欺罪は故意犯ですので、罪を犯す意思がなければ犯罪は成立しません。
詐欺罪の故意は、「人を欺いて財物を交付させること、あるいは、人を欺いて財産上不法な利益を得、又は他人にこれを得させること」の認識・認容です。
また、詐欺罪の成立には、故意の他に、不法領得の意思が必要となります。
不法領得の意思は、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い利用・処分する意思のことです。
詐欺事件で容疑を否認するケースの多くが、「だますつもりはなかった。」などといった故意を否認するものです。
その場合には、単に「だますつもりはなかった。」と主張するだけでは捜査機関や裁判所に故意がないことを認めてもらうことは難しいです。
故意がなかったことを裏付ける客観的な証拠を収集し、捜査機関や裁判所に提示し、故意がなく犯罪が成立しないことを認めてもらう必要があります。
自己に不利な供述がとられてしまうことがないよう、できるだけ早期に弁護士に相談し、取調べ対応についてのアドバイスを受けるなどして適切な弁護を受けられるのがよいでしょう。
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盗撮の在宅事件
盗撮の在宅事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県丹波市の商業施設内の女子トイレに侵入し、個室の扉の上部からスマートフォンを差し入れ、個室内にいた女性を盗撮したとして、兵庫県丹波警察署は、会社員のAさんを逮捕しました。
Aさんは、当初は犯行を否認していましたが、警察署での取調べにおいて容疑を認める供述をしました。
Aさんの父親が身元引受人として警察署に訪れ、Aさんは釈放されましたが、警察からは「後日取調べにまた来てもらう。」と言われており、今後どのような流れになるのか不安でたまらないAさんは、すぐに刑事事件に強い弁護士に法律相談の予約を入れました。
(フィクションです。)
盗撮で問われる罪とは
盗撮行為は、各都道府県で制定されている迷惑防止条例で禁止されている「卑わいな言動」に当たります。
兵庫県の迷惑防止条例(正式名称は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」です。)は、その3条の2において、盗撮行為を禁止しています。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
■1項■
まず、迷惑防止条例第3条の2第1項は、「公共の場所又は公共の乗物」での、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」、及び、「人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を設置する行為」を禁止しています。
「公共の場所」とは、道路、公園、広場、駅、空港、埠頭、興行場、飲食店その他の公衆が出入りすることができる場所で、「公共の乗物」とは、汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機、その他の公衆が利用できる乗物のことをいいます。
そのような場所・乗物内で、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」や、盗撮目的でのカメラ等の設置する行為が禁止の対象です。
「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」には、痴漢や盗撮も含まれます。
■2項■
続いて、同条2項では、不特定多数の者が利用する場所や乗物での盗撮、盗撮目的でのカメラの差し向けや設置行為を禁止しています。
■3項■
最後に、3項は、人が通常衣服の全部・一部を着けない状態でいるような場所にいる人を盗撮したり、盗撮目的でカメラを向けたり、カメラを設置したりする行為を禁止しています。
ここでは、公共の場所・乗物や不特定多数が利用する場所・乗物には当てはまらない場所での盗撮等の行為が禁止されており、職場や学校、個人宅の浴場、更衣室、便所などでの盗撮がこれに当たります。
これらの規定に違反した場合には、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
常習性が認められた場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と加重されます。
盗撮の在宅事件の流れ
盗撮事件では、初犯であり、定職に就いており、身元がはっきりしている場合であれば、被疑者は逮捕されたとしても警察あるいは検察で釈放されるケースは少なくありません。
ただ、釈放されたことで事件が終了したと勘違いされる方もいらっしゃいますが、身柄を確保しないまま捜査は進められます。
釈放後に、何度か警察での取調べを受けた後に、事件は検察に送られ、今度は検察官による取り調べを受けることになります。
そして、捜査が終了すると、検察官は起訴するかどうかの判断を行います。
検察官が起訴・不起訴の判断をする際に考慮する要素のひとつとして、被害者との示談が成立しているか否かという点があります。
迷惑防止条例違反は、被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪と呼ばれる罪ではありませんが、被害者がいる事件では、被害者の処罰意思の有無も最終的な処分決定の判断に影響します。
初犯である場合には、被害者との示談が成立していれば、不起訴で事件が処理される可能性は高いでしょう。
そのため、不起訴で事件を終了させるためには、在宅事件であっても、早期に被害者との示談交渉を行い、示談を成立させることが重要となります。
通常、被害者との示談交渉は弁護士を通じて行います。
被害者との接触を避けるため、捜査機関が被疑者やその家族に被害者の連絡先を教えることはあまりなく、また、被害者も被疑者らと直接連絡を取ることを拒否する傾向にあるため、弁護士を介して行う方が交渉を円滑に進めることにつながりやすいからです。
盗撮事件を起こし、被害者への対応、示談交渉にお困りであれば、今すぐ刑事事件に精通する弁護士にご相談ください。
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特殊詐欺事件における弁護活動
特殊詐欺事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県神戸西警察署は、特殊詐欺事件に関与したとして、Aさんを窃盗未遂の容疑で現行犯逮捕しました。
Aさんは、指示役から兵庫県神戸市西区に向かうよう指示を受けており、同市の公園で待機をしていたところ、警察官の職務質問を受けたことで事件が発覚しました。
Aさんの両親は、「Aさんを特殊詐欺事件で逮捕した。明後日まで会えません。」と言われ、どうすればよいのか分からずネットで検索した刑事事件専門弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)
特殊詐欺事件で逮捕された場合
特殊詐欺による被害は大きく、社会的にも大きな問題となっています。
警察などによる注意喚起が頻繁に行われていますが、特殊詐欺による被害は後を絶ちません。
特殊詐欺は、組織的に行われており、特殊詐欺事件で逮捕される被疑者の多くは、高額収入の広告に飛びついた組織の外部の人間で、いわゆる「受け子」や「出し子」といった役割を担っている場合が多いです。
「受け子」や「出し子」といった組織の下部の者は、顔も知らない指示役からの指示を受けて犯行に加担しているのですが、特殊詐欺は組織犯罪として取り扱われるため、共犯者との接触を防止するために逮捕後に勾留され、外部の者との接見が禁止される可能性が高いことが特徴です。
逮捕・勾留は、1つの事件につき1回とされていますが、特殊詐欺事件の被疑者は、最初に逮捕された事件以外にも、同様の事件に関与していることが多く、最初の事件についての勾留の期間が終了しても、他の事件について逮捕・勾留される可能性が高いため、長期の身体拘束が見込まれます。
また、複数の特殊詐欺事件に関与している場合には、当然、被害者の数や被害金額も大きくなるので、被害弁償に係る金額も高額になることが予想されます。
しかしながら、特殊詐欺事件は財産犯であるため、終局処分や量刑においては被害弁償の有無が重視されます。
特殊詐欺事件における弁護活動
特殊詐欺事件の特徴を考慮しつつ、弁護人は主に次のような弁護活動を行います。
1.身柄対応
先にも述べたように、特殊詐欺事件では、高額収入の求人広告に応募してきた組織の外部の人間であっても、逮捕・勾留される可能性は非常に高いです。
組織犯罪であるため、共犯者と接触により罪証隠滅を図る可能性が高く、勾留の要件を満たしていると判断される傾向にあります。
そのため、捜査段階で被疑者が釈放されることは難しいのですが、起訴後に保釈制度を利用して釈放される可能性はあります。
組織犯罪となると、証拠の量が膨大になり、共犯者も多数に及び、起訴後であっても、罪証隠滅のおそれありとして、直ちに保釈が認められないこともありますが、弁護人は、そのようなおそれがないことを客観的な証拠に基づいて立証し、保釈が認められるよう、捜査段階から準備し、できる限り早期の釈放を目指します。
また、勾留決定に際して、弁護士以外の者との接見等を禁止する接見禁止決定がなされることも多いのですが、弁護士は、被疑者の家族等に対して接見禁止を解除するよう、家族等が事件とは無関係であることや、家族等との面会が必要であることを主張し、それらの者との接見を認めるよう裁判官に申立てを行うなどして、接見禁止の一部解除を目指します。
2.裁判に向けた弁護活動
財産犯であれば、起訴・不起訴の終局処分にあたっては、被害弁償の有無が重視されますが、特殊詐欺事件において、容疑を認めている場合には、被害弁償が済んでいる場合であっても、起訴される可能性が高いです。
そのため、弁護人は、捜査段階から裁判を見据えた弁護活動を行うことになります。
特殊詐欺は財産犯であるため、被害弁償の有無が大きな量刑事情となります。
弁護人は、捜査段階から、被害者への被害弁償、示談の成立に向けた示談交渉を行います。
被害者との示談交渉は、通常、弁護士を通じて行います。
被疑者・被告人が逮捕・勾留されているため、本人が直接行うことはできませんし、捜査機関も罪証隠滅のおそれから、被疑者・被告人やその家族に被害者の連絡先を教えることはありません。
また、被害者は特殊詐欺の被害に遭い、財産的損害だけでなく精神的にも大きなショックを受けておられることが多く、弁護士を介しての話し合いであれば受けてくださるケースも少なくありません。
被害弁償に加えて、裁判では、効果的な再発防止策を講じていることも被告人に有利な事情となります。
特殊詐欺事件では、組織からの完全な離脱と、事件を起こした原因を解明し、それに対する有効な対策を講じていることが重要なポイントとなります。
特殊詐欺事件においては、「受け子」や「出し子」といった組織の端末の立場で関与した者であっても、初犯であれど、実刑を科されるケースは少なくありません。
しかし、事件の内容や、被害弁償の有無等によって執行猶予となる可能性はありますので、ご家族が特殊詐欺事件の被疑者として逮捕された場合には、すぐに弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が特殊詐欺事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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喧嘩闘争における正当防衛
喧嘩闘争における正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県兵庫警察署は、「路上で喧嘩している人たちがいる。一人は腹を刺されて血を流している。」との目撃者からの通報を受けました。
現場に駆け付けた警察官は、現場にいたAを傷害の容疑で逮捕しました。
しかし、Aは「相手が手を出してきて、喧嘩になった。いったんやめたのに、相手が一方的に殴る蹴るしてくるから、自分の身を守るために護身用のナイフを出したら相手に刺さった。」と正当防衛を主張しています。
Aは、接見にやってきた弁護士に、自身の行為が正当防衛に当たるのか聞いています。
(フィクションです。)
正当防衛とは
犯罪は、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」をいうと一般的に理解されています。
構成要件というのは、犯罪の類型のことで、法律で、こういう行為を犯罪とします、と定められている行為のことです。
例えば、殺人罪であれば、「人を殺した」行為であることが、殺人罪の構成要件となります。
問題となる行為が、構成要件に該当する場合でも、それが違法でなければ犯罪は成立しません。
犯罪として法律に定められた行為は、その行為を禁止するために規定されているので、本来違法であることが想定されているものです。
ただ、例外的な事情がある場合にのみ、その違法性を否定し、犯罪は成立しないこととされています。
そのような例外的な事情を「違法性阻却事由」といいます。
違法性阻却事由として刑法に規定されているものとしては、「正当行為」、「正当防衛」、「緊急避難」があります。
正当防衛
刑法第36条1項は、
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
と規定しています。
これが「正当防衛」と呼ばれる違法性阻却事由です。
①急迫不正の侵害
「侵害」とは、権利を侵害する危険をもたらすものをいいます。
「不正な侵害」とは、違法である侵害を意味します。
この「不正な侵害」は「切迫」したものでなければなりません。
判例によれば、「刑法36条にいう『急迫』とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることを意味」するとしています。(最判昭46・11・16)
この点、急迫性が認められるかどうかの判断において、被侵害者がその侵害を予期していたような場合には、急迫性が認められるかどうかが問題となります。
判例は、侵害が予期されるものであっても、被侵害者に積極的加害意思がなければ急迫性が認められるとするとの立場に立っています。
②権利の防衛
正当防衛は、急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するために認められます。
正当防衛は「防衛するための行為」でなければならず、攻撃を受けたのに乗じて積極的に相手方を加害する場合は、防衛の意思を欠き、正当防衛は成立しません。
③やむを得ずした行為
正当防衛は、防衛するために「やむを得ずにした行為」でなければなりません。
判例は、正当防衛の成立要件として、必要性、相当性の両方を必要とするとの立場をとっています。
つまり、必要性については、必ずしもその行為が唯一の方法であることを要せず、また、厳格な法益の権衡も要求されないが、少なくとも相手に最小の損害を与える方法を選ぶことを要するとしています。
また、相当性については、「急迫不正の侵害に対する反撃行為が、自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること、すなわち反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることを意味するのであって、反撃行為が上記の限度を超えず、したがって侵害に対する防衛手段として相当性を有する以上、その反撃行為により生じた結果がたまたま侵害されようとして法益より大であっても、その反撃行為が正当防衛行為でなくなるものではないと解すべきである。」として、どのような結果が生じたかよりも、どのような手段がとられたのかという観点から相当性について判断されています。(最判昭44・12・4)
さて、喧嘩において正当防衛は成立するのでしょうか。
基本的には、双方が攻撃や防御を繰り返す連続的行為となった場合は、喧嘩両成敗として正当防衛は成立しません。
ただ、喧嘩闘争状況であれば常に正当防衛の成立が否定されるわけではなく、攻撃や防御を繰り返す連続的行為が崩れた場合、例えば、最初は素手で喧嘩をしたいたものの、突然相手が刃物を持ち出して攻撃してきたので、それに反撃した場合や、喧嘩がいったん収まったにもかかわらず、相手がなおも攻撃を続けてきたことに対して反撃した場合などは、正当防衛が成立する余地があるでしょう。
Aは、正当防衛を主張していますが、喧嘩全体の流れの中でのAの反撃行為が正当防衛に当たるかどうかを検討しなければなりません。
事案によっても異なりますので、刑事事件に強い弁護士に早めに相談されるのがよいでしょう。
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殺人未遂で逮捕
殺人未遂について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県高砂市のマンションに住むAさんは、マンション前の路上で、近くに住むVさんと口論になりました。
Vさんは、「埒が明かないので、警察を呼ぶ。」言い、携帯電話で通報し始めました。
Aさんは、警察を呼ぶVさんに腹が立ち、マンションの自分の部屋に戻り、ベランダから路上に立っているVさんの頭上めがけて、ダンベルを投げつけました。
幸い、Vさんにダンベルは当たらず、Vさんは無傷でした。
Vさんは、通報を受けて駆け付けた兵庫県高砂警察署の警察官にAさんの行為を報告したところ、警察官はAさんを殺人未遂の容疑で現行犯逮捕しました。
Aさんは、「Vさんに腹が立ったからやったが、結局Vさんには当たってないし、なんで殺人未遂なんや。」と不満を述べています。
(フィクションです。)
Aさんは、マンションのベランダから下にいたVさんを狙ってダンベルを投げつけた行為について、殺人未遂に問われています。
そこで、今回は、殺人未遂罪とはどのような場合に成立する罪であるかについて説明していきます。
殺人未遂罪
殺人未遂は、その名の通り、「殺人」が「未遂」に終わったものを意味します。
「殺人」は、みなさんご存じの通り、「人を殺す」という罪ですね。
犯罪が成立するのは、構成要件(殺人の場合は、人を殺すこと)に該当する場合です。
より細かく言えば、犯罪の成立には、法律の条文に規定された要件に該当し(=構成要件該当性)、社会的に許されず(=違法性)、かつ、社会的に非難される(有責性)行為であることが求められますが、基本的に構成要件に該当する行為は、違法性及び有責性を一応有しているものと考えられるため、犯罪が成立しているかどうかを検討するときには、まず、構成要件に該当するか否かを検討してから、特に違法性や有責性を否定する特別な事情があるか否かを検討することになります。
構成要件に該当しているか否かは、条文に規定された実行行為があり、その行為により結果が発生していること、そして、実行行為にはその行為を認識、認容して行動に出るという内心、つまり、故意があるかどうかという要素に基づいて検討されます。
実行行為に基づき結果が発生した場合を、既遂といいます。
一方、犯罪の実行に着手したが、結果が発生しなかった場合を未遂といい、法律で未遂犯に処罰規定がある場合には、未遂罪として処罰される可能性があります。
殺人には未遂犯がありますので、人を殺そうとして実行行為を行ったけれども、人を死亡させるに至らなかった場合には、殺人未遂罪が適用され、処罰の対象となります。
殺人未遂罪が成立するには、犯罪の実行に着手していなければなりません。
実行の着手時期については、結果が発生する危険性が認められる行為への着手の時点とされており、判例では、クロロホルムを吸引させて被害者を失神させ、その失神状態を利用して被害者を自動車ごと海中に転落させて溺死させる事案においては、すでに最初の行為を開始した段階で、殺人未遂が成立するとしています。(最決平16・3・22)
Aさんのマンションのベランダから下にいたVさんを狙ってダンベルを投げつける行為は、Vさんを死亡させる危険性が認められる行為と言えます。
高い場所からダンベルを投げつけて、それが人の頭に当たったら、その人が死んでしまう可能性は高いですからね。
実際に、Aさんはその行為を行っていますので、犯罪の実行に着手していることになります。
また、故意についてですが、Aさんが「Vさんを殺してしまえ!」と確信的な殺意を有していなくても、鉄の塊であるダンベルを投げつければVさんに当たって死なせてしまうかもしれないことは通常予測することができますので、「Vさんに当たったら死んでしまうかもしれない。」という程度の認識があったことは認められるため、未必の故意があったと言えるでしょう。
Aさんは、犯罪の実行に着手はしたものの、たまたまダンベルがVさんに当たらなかったので、Vさんが死亡するようなことはありませんでしたが、結果が発生しなかったのは、Aさんの意思によるものではなく、それ以外の理由により、Aさんの実行行為に基づく結果が生じなかっただけであり、未遂犯のうち「障害未遂」に当たり、任意的に刑が減軽されます。
殺人未遂は、一歩間違えれば、人の命を奪っていたかもしれず、決して軽い罪とは言えません。
しかし、情状により刑が減軽される可能性もあるので、適切な弁護活動により、少しでも寛大な処分となるよう早期に対応する必要があります。
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刑事事件・少年事件を起こし、対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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刑事事件における弁護人
刑事事件における弁護人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県宝塚市のアパートに住む女性の部屋に、わいせつ行為目的でベランダの窓から侵入したとして、兵庫県宝塚警察署はAさんを強制わいせつ未遂、住居侵入の容疑で逮捕しました。
Aさんは、取調官から弁護人を選任することができる旨の説明を受けましたが、刑事事件に詳しい弁護士に頼みたいと考えています。
(フィクションです。)
弁護人とは
日本国憲法は、被疑者・被告人に弁護人依頼権を保障しています。
これを受けて刑事訴訟法は、被疑者・被告人の弁護人依頼権を規定しており、被告人の国選弁護人選任請求権、及び被疑者の国選弁護人選任請求権についても規定しています。
被疑者・被告人に弁護人依頼権が保障されているのは、刑罰権を行使する国家権力に対して、刑罰を受ける被疑者・被告人は弱い立場にあるため、被疑者・被告人の権利・利益を保護する法律を熟知した専門家が必要だからです。
罪を犯したとされる者は、被疑者・被告人として刑事手続に付され、身体拘束などの個人の事由が制限されることがあります。
有罪となった者には刑罰が科され、罰金を収めたり、刑務所に収容されることがあります。
このような処分は、個人の自由や権利を大きく害するものであるため、適正な手続に基づいて事件を処理していかなければなりません。
罪を犯したとされる者は、適正な手続の下で処罰されるべきであり、有罪であった場合にも、適正な量刑がなされなければなりません。
弁護人は、被疑者・被告人の権利・利益を守る上で、欠かすことのできない重要な役割を担っています。
弁護人には、選任の点から、国選弁護人と私選弁護人の2種類に分類されます。
国選弁護人
貧困その他の事情により、弁護人を選任できない場合に、国の費用で裁判所が弁護人を選任する「国選弁護制度」というものがあります。
この制度により選任された弁護人を「国選弁護人」といいます。
国選弁護人は、国の費用で裁判所により選任されるため、被疑者・被告人がその弁護費用を負担することはありません。
匡が費用を負担するため、被疑者・被告人が国選弁護人制度を利用するためには、一定限度の資力の有無が要件となります。
その要件とは、被疑者・被告人の資力が50万円未満であること、です。
被疑者・被告人の資力が50万円以上の場合には、弁護士会に私選弁護人選任の申出を行っていることが必要となります。
申出を受けた弁護士会は、弁護人候補者を被疑者・被告人に紹介するのですが、弁護人なろうとする者がいないとき、または、照会した弁護人が選任の申し込みを拒んだときには、国選弁護人選任の手続に入ることになります。
その他にも、職権により、被疑者・被告人に国選弁護人が付される場合、起訴後に弁護人がいなければ開廷することができない必要的弁護事件で、弁護人が在廷しなかったり、いないときには、裁判長は職権で国選弁護人を選任します。
被疑者段階では、勾留に付されてから国選弁護人が選任されます。
被疑者国選弁護制度には、職権による場合と請求による場合とがあります。
職権による場合とは、死刑、無期、または長期3年を超える懲役・禁錮にあたる事件で勾留状が発せられ、かつ弁護人がいない場合において、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難である疑いがある被疑者について、必要があるとみとめるときに、裁判官が職権で国選弁護人を付するものです。
請求による場合は、被疑者段階で弁護費用を支払う資力のない被疑者に対して、国の負担で弁護人を付す制度です。
被疑者国選弁護制度は、勾留状が発せられていることが要件となっておりますので、逮捕段階では適用されません。
起訴後は、被告人国選弁護制度が適用され、それには請求によるものと職権によるものとがあります。
職権による場合とは、被告人が未成年者、70歳以上、耳が聞こえない、口がきけない、心神喪失・心身耗弱の疑いがある、その他必要と認めるときに裁判所が職権で国選弁護人を選任するものや、弁護人がいなければ開廷することができない必要的弁護事件で、弁護人が在廷しなかったり、いないときに、裁判所が職権で国選弁護人を選任するものとがあります。
請求による場合は、資力50万円を基準とした要件を充たした被告人による請求を受け、裁判所が国選弁護人を選任するものです。
私選弁護人
私選弁護人は、被疑者・被告人、またはその家族等が依頼して選任する弁護人です。
国選弁護人とは異なり、弁護費用は自己負担となります。
しかし、被疑者・被告人やその家族が自ら弁護人を選ぶことができるので、刑事事件専門の弁護士や、信頼できる弁護士、実績がある弁護士など、好きな基準で選任することができる点が、国選弁護制度と異なります。
また、国選弁護人は勾留が決定してから選任することができるのに対して、私選弁護人は、身体拘束を受けていない在宅事件や、逮捕された直後から選任することができるため、勾留を回避するための活動や被害者の示談交渉などを早い段階から行うことができます。
適切な手続に基づいて事件を処理するよう、冤罪を防止するためにも、罪を犯したと疑われて対応にお困りであれば、できる限り早い段階から弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
接見禁止の解除に向けて
接見禁止の解除に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県西脇警察署は、大麻取締法違反(大麻栽培)の容疑で、兵庫県西脇市に住むAさんを逮捕しました。
その後、勾留が決定しましたが、接見禁止が付いており、Aさんの家族はAさんと面会することができません。
自営業のAさんは、仕事のことについて家族と直接話をしたいと思っており、どうにか接見禁止が解除されないかと困っています。
(フィクションです。)
接見禁止とは
身柄が拘束されている被疑者・被告人は、弁護人その他の物との接見交通(面会)や、書類その他の物の受け渡しをすることができます。
弁護人との接見等は、被疑者が逮捕された段階から認められており、家族などの一般の方との面会等は、通常、勾留が決定してから行えます。
しかしながら、裁判官は、「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」があるときは、検察官の請求により、または職権で、接見を禁止し、または授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁止し、もしくはこれを差し押さえることができます。
接見等を禁止する決定を「接見禁止決定」といいます。
接見禁止決定は、否認事件、認め事件であっても、組織犯罪や共犯事件については、起訴前まで付くことが多くなっています。
しかしながら、身体拘束により精神的・身体的な苦痛を強いられている被疑者は、接見禁止が付くことで家族等と会えず、さらに精神的に追い詰められた中で取調べを受けなければなりません。
そのような精神状態での取調べにおいて、被疑者が自己に不利な供述をしてしまったり、安易に取調官の誘導に乗ってしまうおそれがあります。
接見禁止による不利益を回避するためにも、弁護人は接見禁止決定に対して不服申立を行ったり、解除を申立て、被疑者と家族等が面会できるよう尽力します。
接見禁止の解除のために
勾留に接見禁止が付された場合には、家族等との面会が実現するように、弁護士は、次のような活動を行います。
■準抗告・抗告■
準抗告とは、裁判官がした裁判の取消しや変更を、その裁判官所属の裁判所に対して請求する手続のことです。
抗告は、裁判の取消しや変更を、その裁判をした裁判所の上級裁判所に請求する手続のことです。
■一部解除の申立て■
被疑者や弁護人に接見等禁止処分について解除を申し立てる権利はありません。
そのため、一部解除の申立ては、裁判官の職権発動を促すものにすぎません。
しかしながら、一般人である被疑者・被告人の両親や配偶者が罪証隠滅を行うおそれは低く、そのような近親者の一部解除が認められることは多いです。
いずれの手続においても、被疑者・被告人との接見を希望する近親者が、事件とは無関係であり、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がないことを主張・立証する必要があります。
そのような活動は、刑事事件に精通する弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こし、接見禁止となりお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
風俗トラブル:盗撮事件
風俗トラブルの盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県姫路市にあるホテルで風俗嬢からのサービスを受けていたAさんは、相手方の許可なく風俗嬢の裸を撮影しました。
盗撮行為に気が付いた風俗嬢は、すぐに店に電話しましたが、電話している間にAさんは部屋を後にしました。
後日、兵庫県姫路警察署からAさんに連絡があり、「盗撮事件で被害届が出ているから、一度署で取調べをしたい。」と言われました。
風俗トラブルが刑事事件になるとは思ってもみなかったAさんは、どう対応したらいいのか分からず不安です。
(フィクションです。)
風俗トラブル~風俗店の女性を盗撮~
風俗トラブルの相談で多いのが、風俗店の女性と合意なく性交をしたとして店側から問い詰められるケース、そして、サービスを受ける様子や女性の裸を許可なく撮影する、いわゆる盗撮事件です。
このような風俗トラブルは、被害者とされる女性や女性の勤務先の店長が、慰謝料や罰金名目で加害者とされる男性に高額な金銭の支払いを要求することも少なくありませんが、被害に遭った直後に警察に被害を申告するケースもあります。
警察は、被害女性や店側からの被害の申告を受け、犯罪の疑いがあると思料するときには、刑事事件として捜査を開始します。
風俗店の女性をホテルや自宅で盗撮するケースでは、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(以下、「迷惑防止条例」といいます。)違反が成立する可能性があります。
迷惑防止条例違反
兵庫県の迷惑防止条例は、その第3条の2において、卑わいな行為等の禁止について定めています。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
【1項】
迷惑防止条例第3条の2第1項では、「公共の場所・公共の乗物」での「不安を覚えさせるような卑わいな言動」および盗撮目的でのカメラ等の設置を禁止しています。
「公共の場所」とは、不特定かつ多数が自由に利用し、又は出入りすることができる場所のことをいい、道路、公園、広場、駅、デパート、飲食店、興行場などが含まれます。
「公共の乗物」とは、電車、バス、船舶、航空機など不特定多数の者が利用するための乗物のことです。
「卑わいな言動」は、一般人の性的道義観念に反し、他人に性的羞恥心、嫌悪を覚えさせ、又は不安を覚えさせるようないやらしくみだらな言語、動作を意味します。
盗撮や痴漢も、この「卑わいな言動」に該当します。
【2項】
迷惑防止条例第3条の2第2項では、公共の場所・乗物を除いた不特定多数の者が利用するような場所での、盗撮、盗撮目的でのカメラの差し向けや設置が禁止されます。
【3項】
迷惑防止条例第3条の2第3項では、「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人」の盗撮、盗撮目的でのカメラの差し向けや設置が禁止されています。
条文にも列挙されている浴場・更衣室・便所といったような場所は、第1項の「公共の場所」や2項の「不特定多数が利用する場所」には該当しませんが、人が通常衣服の全部・一部を着けない状態でいるような場所」となり、本項の対象となります。
ホテルや自宅での盗撮は、迷惑防止条例第3条の2第3項の「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人」の盗撮に当たります。
盗撮事件として捜査の対象となった場合、被害者のいる事件においては、何よりも被害者との示談が成立するかどうかが最終的な処分にも大きく影響します。
そのため、早期に弁護士に相談し、被害者との示談交渉に着手することが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
風俗トラブルでお困りの方、盗撮事件での対応にお悩みの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
特殊開錠用具禁止法違反で現行犯逮捕
特殊開錠用具禁止法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県宍粟警察署は、県外に住むAさんを特殊開錠用具禁止法違反の疑いで現行犯逮捕しました。
近隣住民から、「見かけない男が公園にいる。」と通報を受け、宍粟署の警察官がAさんに職務質問をしたところ、持っていたカバンから指定侵入工具であるバールが見つかりました。
Aさんは、調べに対して黙秘しています。
(フィクションです。)
特殊開錠用具禁止法とは
「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」(以下、「特殊開錠用具禁止法」といいます。)は、特殊開錠用具の所持等を禁止するとともに、特定侵入行為の防止対策を推進することにより、建物に侵入して行われる犯罪の防止に資することを目的とする法律です。
特殊開錠用具禁止法は、特殊開錠用具の所持、そして指定侵入工具の携帯を禁止しています。
1.特殊開錠用具の所持の禁止
第3条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、特殊開錠用具を所持してはならない。
同条で所持が禁止されるのは、「特殊開錠用具」です。
特殊開錠用具とは、第2条2項で「ピッキング用具(錠に用いられるシリンダーをかぎを用いることなく、かつ、破壊することなく回転させるための器具をいう。)その他の専ら特殊開錠(施錠された状態にある錠を本来の方法によらないで開くことをいう。以下同じ。)を行うための器具であって、建物錠を開くことに用いられるものとして政令で定めるものをいう。」と定義されています。
具体的には、ピッキング用具、破壊用シリンダー回し、ホールソー、サムターン回しが「特殊開錠用具」に含まれます。
「所持」とは、特殊開錠用具を事実上管理、支配することをいいます。
2.指定侵入工具の携帯の禁止
第4条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、指定侵入工具を隠して携帯してはならない。
同条で携帯が禁止されるのは、「指定侵入工具」です。
指定侵入工具は、第2条3項で、「ドライバー、バールその他の工具(特殊開錠用具に該当するものを除く。)であって、建物錠を破壊するため又は建物の出入口若しくは窓の戸を破るために用いられるもののうち、建物への侵入の用に供されるおそれが大きいものとして政令で定めるものをいう。」と定義されています。
政令では、
・ドライバー…①先端部が平らで、その幅が0.5㎝以上。
②長さが15㎝以上。
・バール…①作用する部分のいずれかの幅が2㎝以上。
②長さが24㎝以上。
・ドリル…直径1㎝以上の刃が附属するもの。
このような指定侵入工具を「隠して携帯」することが禁止されています。
「隠して携帯」するとは、日常生活を営む自宅ないし居室以外の場所において、いつでも使用できる状態で、かつ、他人が観察した場合、その視野に入ってこないような状態で、身体に帯びる、自己の身辺近くに置くことによって、事実上その支配下に置いている状態をいいます。
例えば、ポケット内に入れる、バッグやカバンの中に入れる、自動車のダッシュボード内に在中させていた場合などです。
特殊開錠用具の所持も、指定侵入工具の携帯も、「業務上その他正当な理由」による場合には罪となりません。
これには、職務上、あるいは日常生活上の必要性から、社会通念上、正当と認められる場合が該当します。
単なる護身用とか、特に使用目的がないといった場合には、正当な理由がないものと判断されます。
特殊開錠用具禁止法第3条、4条に違反した場合の法定刑は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
特殊開錠用具禁止法に違反する侵入工具を携帯していた場合、侵入盗等の疑いもかけられるでしょう。
取調べに対してはきちんと対応する必要があります。
特殊開錠用具禁止法違反事件で現行犯逮捕された場合には、すぐに弁護士に相談し、自己に不利な供述がとられないよう対応することが重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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