Archive for the ‘暴力事件’ Category

殺人未遂で少年を逮捕

2021-06-20

殺人未遂少年逮捕した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県三田市で知人男性を口論になり、Aさん(19歳)は自分の車に乗って立ち去ろうとしました。
ところが、男性が車を停止させようとしたため、Aくんはそのまま車を発進させ、男性をボンネットに乗せたまま1キロ以上を走行しました。
男性は軽傷で済みましたが、ボンネットから降りた後にすぐ警察に通報しました。
翌日、兵庫県三田警察署は、Aさんを殺人未遂の疑いで逮捕しました。
(フィクションです。)

殺人未遂罪について

殺人罪は、故意により人を死亡させる罪です。

刑法第199条は、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と規定しています。
ここでいう「殺」すとは、自然の死期以前に人の生命を断絶する行為をいい、その手段や方法の如何を問いません。
ですので、包丁で人の身体を刺す方法であろうが、毒物を飲ませる方法、あるいは、事例のように車を用いてひき殺すといったものでも構いません。

殺人罪の成立を検討する際に、問題となるのが、故意の有無です。
故意とは、罪を犯す意思のことで、犯罪事実の認識・予見のことを意味します。
殺人罪の故意は、人を殺すことの認識・予見で、行為(殺すこと)の認識は、殺人の手段となる行為により、死の結果が発生可能であることを認識していることです。
故意は、確定的な故意(犯罪事実の発生を確定的なこととして認識・予見している場合)だけでなく、未必の故意(犯罪事実の確定的な認識・予見はないけれど、その蓋然性を認識・予見している場合)も含みます。
そのため、「殺してやる!」と思って車を発進させて人をボンネットに乗せたまま走行する場合だけでなく、「このまま走行したら死んでしまうかもしれないけど、仕方ない。」と思って行為に及んだ場合もまた、殺人の故意が認められることになります。

故意は、人の心の中のことなので、被疑者・被告人が故意を否定する場合には、凶器の種類、行為態様、創傷の部位・程度などの客観的事情や、動機の有無、犯行前や犯行時の言動、犯行後の行動などを総合的に考慮して、結果の発生に対する認識・予見があったか否かが判断されます。

さて、以上が殺人罪が成立する要件となりますが、人を殺そうとして行為に及んだものの、人の死という結果が発生しなかった場合には、殺人未遂罪に問われることになります。
犯罪の実行に着手して犯罪を遂げなかった場合を未遂といいますが、自らの意思によりやめて犯罪を遂げなかった場合を「中止未遂」と呼び、この場合は、刑が減軽されたり、免除されますが、それ以外の理由によって結果が発生しなかった場合(これを「障害未遂」と呼びます。)は、任意的に刑が軽減されるにとどまります。

殺人未遂で少年が逮捕されたら

20歳未満の少年であっても、殺人未遂事件を起こすと、成人の場合と同様に、警察に逮捕されます。
逮捕後には勾留となり、逮捕から約13日、勾留の延長が決まれば最大で約23日もの間、少年の身柄が拘束されることになります。
捜査機関による捜査が終了すると、少年の身柄とともに事件は家庭裁判所に送られます。
捜査段階では、逮捕・勾留による身柄拘束が続いていましたが、家庭裁判所に送られた後は、観護措置がとられ、少年鑑別所に収容される可能性があります。
この観護措置は、少年に審判を円滑に進めたり、少年の処分を適切に決めるための検査をおこなうために必要な場合にとられる措置で、少年を少年鑑別所に送り、少年を一定期間そこに収容するものです。
家庭裁判所は、調査官による調査を行い、審判を開きます。
そして、少年に対する処分を決定します。
審判では、非行事実の他に、要保護性について審理されます。
要保護性は、少年が将来的に再非行に至る可能性のことで、次の3つの要素から成り立つ概念として理解されています。
①犯罪的危険性…少年の性格や環境から、将来非行を繰り返す可能性があること。
②矯正可能性…保護処分によって、少年の犯罪的危険性を除去できる可能性があること。
③保護相当性…少年の処遇にとって、保護処分が有効かつ適切であること。

殺人未遂は重い罪ですので、非行事実は決して軽視することはできませんが、非行事実の内容や要保護性の程度によっては、施設送致や検察官送致を回避できる可能性はあるでしょう。

少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続によって処理されますので、少年事件でお困りであれば、少年事件に強い弁護士に相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

喧嘩闘争における正当防衛

2021-06-16

喧嘩闘争における正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県兵庫警察署は、「路上で喧嘩している人たちがいる。一人は腹を刺されて血を流している。」との目撃者からの通報を受けました。
現場に駆け付けた警察官は、現場にいたAを傷害の容疑で逮捕しました。
しかし、Aは「相手が手を出してきて、喧嘩になった。いったんやめたのに、相手が一方的に殴る蹴るしてくるから、自分の身を守るために護身用のナイフを出したら相手に刺さった。」と正当防衛を主張しています。
Aは、接見にやってきた弁護士に、自身の行為が正当防衛に当たるのか聞いています。
(フィクションです。)

正当防衛とは

犯罪は、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」をいうと一般的に理解されています。
構成要件というのは、犯罪の類型のことで、法律で、こういう行為を犯罪とします、と定められている行為のことです。
例えば、殺人罪であれば、「人を殺した」行為であることが、殺人罪の構成要件となります。
問題となる行為が、構成要件に該当する場合でも、それが違法でなければ犯罪は成立しません。
犯罪として法律に定められた行為は、その行為を禁止するために規定されているので、本来違法であることが想定されているものです。
ただ、例外的な事情がある場合にのみ、その違法性を否定し、犯罪は成立しないこととされています。
そのような例外的な事情を「違法性阻却事由」といいます。

違法性阻却事由として刑法に規定されているものとしては、「正当行為」、「正当防衛」、「緊急避難」があります。

正当防衛

刑法第36条1項は、

急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

と規定しています。
これが「正当防衛」と呼ばれる違法性阻却事由です。

①急迫不正の侵害

「侵害」とは、権利を侵害する危険をもたらすものをいいます。
「不正な侵害」とは、違法である侵害を意味します。
この「不正な侵害」は「切迫」したものでなければなりません。
判例によれば、「刑法36条にいう『急迫』とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っていることを意味」するとしています。(最判昭46・11・16)
この点、急迫性が認められるかどうかの判断において、被侵害者がその侵害を予期していたような場合には、急迫性が認められるかどうかが問題となります。
判例は、侵害が予期されるものであっても、被侵害者に積極的加害意思がなければ急迫性が認められるとするとの立場に立っています。

②権利の防衛

正当防衛は、急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するために認められます。
正当防衛は「防衛するための行為」でなければならず、攻撃を受けたのに乗じて積極的に相手方を加害する場合は、防衛の意思を欠き、正当防衛は成立しません。

③やむを得ずした行為

正当防衛は、防衛するために「やむを得ずにした行為」でなければなりません。
判例は、正当防衛の成立要件として、必要性、相当性の両方を必要とするとの立場をとっています。
つまり、必要性については、必ずしもその行為が唯一の方法であることを要せず、また、厳格な法益の権衡も要求されないが、少なくとも相手に最小の損害を与える方法を選ぶことを要するとしています。
また、相当性については、「急迫不正の侵害に対する反撃行為が、自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること、すなわち反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることを意味するのであって、反撃行為が上記の限度を超えず、したがって侵害に対する防衛手段として相当性を有する以上、その反撃行為により生じた結果がたまたま侵害されようとして法益より大であっても、その反撃行為が正当防衛行為でなくなるものではないと解すべきである。」として、どのような結果が生じたかよりも、どのような手段がとられたのかという観点から相当性について判断されています。(最判昭44・12・4)

さて、喧嘩において正当防衛は成立するのでしょうか。
基本的には、双方が攻撃や防御を繰り返す連続的行為となった場合は、喧嘩両成敗として正当防衛は成立しません。
ただ、喧嘩闘争状況であれば常に正当防衛の成立が否定されるわけではなく、攻撃や防御を繰り返す連続的行為が崩れた場合、例えば、最初は素手で喧嘩をしたいたものの、突然相手が刃物を持ち出して攻撃してきたので、それに反撃した場合や、喧嘩がいったん収まったにもかかわらず、相手がなおも攻撃を続けてきたことに対して反撃した場合などは、正当防衛が成立する余地があるでしょう。

Aは、正当防衛を主張していますが、喧嘩全体の流れの中でのAの反撃行為が正当防衛に当たるかどうかを検討しなければなりません。
事案によっても異なりますので、刑事事件に強い弁護士に早めに相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

 

殺人未遂で逮捕

2021-06-06

殺人未遂について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県高砂市のマンションに住むAさんは、マンション前の路上で、近くに住むVさんと口論になりました。
Vさんは、「埒が明かないので、警察を呼ぶ。」言い、携帯電話で通報し始めました。
Aさんは、警察を呼ぶVさんに腹が立ち、マンションの自分の部屋に戻り、ベランダから路上に立っているVさんの頭上めがけて、ダンベルを投げつけました。
幸い、Vさんにダンベルは当たらず、Vさんは無傷でした。
Vさんは、通報を受けて駆け付けた兵庫県高砂警察署の警察官にAさんの行為を報告したところ、警察官はAさんを殺人未遂の容疑で現行犯逮捕しました。
Aさんは、「Vさんに腹が立ったからやったが、結局Vさんには当たってないし、なんで殺人未遂なんや。」と不満を述べています。
(フィクションです。)

Aさんは、マンションのベランダから下にいたVさんを狙ってダンベルを投げつけた行為について、殺人未遂に問われています。
そこで、今回は、殺人未遂罪とはどのような場合に成立する罪であるかについて説明していきます。

殺人未遂罪

殺人未遂は、その名の通り、「殺人」が「未遂」に終わったものを意味します。
殺人」は、みなさんご存じの通り、「人を殺す」という罪ですね。

犯罪が成立するのは、構成要件(殺人の場合は、人を殺すこと)に該当する場合です。
より細かく言えば、犯罪の成立には、法律の条文に規定された要件に該当し(=構成要件該当性)、社会的に許されず(=違法性)、かつ、社会的に非難される(有責性)行為であることが求められますが、基本的に構成要件に該当する行為は、違法性及び有責性を一応有しているものと考えられるため、犯罪が成立しているかどうかを検討するときには、まず、構成要件に該当するか否かを検討してから、特に違法性や有責性を否定する特別な事情があるか否かを検討することになります。
構成要件に該当しているか否かは、条文に規定された実行行為があり、その行為により結果が発生していること、そして、実行行為にはその行為を認識、認容して行動に出るという内心、つまり、故意があるかどうかという要素に基づいて検討されます。
実行行為に基づき結果が発生した場合を、既遂といいます。
一方、犯罪の実行に着手したが、結果が発生しなかった場合を未遂といい、法律で未遂犯に処罰規定がある場合には、未遂罪として処罰される可能性があります。
殺人には未遂犯がありますので、人を殺そうとして実行行為を行ったけれども、人を死亡させるに至らなかった場合には、殺人未遂罪が適用され、処罰の対象となります。

殺人未遂罪が成立するには、犯罪の実行に着手していなければなりません。
実行の着手時期については、結果が発生する危険性が認められる行為への着手の時点とされており、判例では、クロロホルムを吸引させて被害者を失神させ、その失神状態を利用して被害者を自動車ごと海中に転落させて溺死させる事案においては、すでに最初の行為を開始した段階で、殺人未遂が成立するとしています。(最決平16・3・22)

Aさんのマンションのベランダから下にいたVさんを狙ってダンベルを投げつける行為は、Vさんを死亡させる危険性が認められる行為と言えます。
高い場所からダンベルを投げつけて、それが人の頭に当たったら、その人が死んでしまう可能性は高いですからね。
実際に、Aさんはその行為を行っていますので、犯罪の実行に着手していることになります。
また、故意についてですが、Aさんが「Vさんを殺してしまえ!」と確信的な殺意を有していなくても、鉄の塊であるダンベルを投げつければVさんに当たって死なせてしまうかもしれないことは通常予測することができますので、「Vさんに当たったら死んでしまうかもしれない。」という程度の認識があったことは認められるため、未必の故意があったと言えるでしょう。
Aさんは、犯罪の実行に着手はしたものの、たまたまダンベルがVさんに当たらなかったので、Vさんが死亡するようなことはありませんでしたが、結果が発生しなかったのは、Aさんの意思によるものではなく、それ以外の理由により、Aさんの実行行為に基づく結果が生じなかっただけであり、未遂犯のうち「障害未遂」に当たり、任意的に刑が減軽されます。

殺人未遂は、一歩間違えれば、人の命を奪っていたかもしれず、決して軽い罪とは言えません。
しかし、情状により刑が減軽される可能性もあるので、適切な弁護活動により、少しでも寛大な処分となるよう早期に対応する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし、対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

少年院送致処分の回避

2021-04-18

少年院送致処分の回避を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県神崎郡神河町に住むAくんは、以前に傷害事件を起こし、現在は保護観察中でしたが、知人に暴力を振るい怪我をさせたとして、兵庫県福崎警察署に傷害の容疑で逮捕されました。
同種の前歴があるため、今度は少年院送致となるのではないかとAくんの両親は心配しています。
(フィクションです。)

少年院送致

事件の送致を受けた家庭裁判所は、調査官に少年の要保護性に関する調査を命じ、調査結果を踏まえて少年の処遇を決定します。
審判では、終局処分として、不処分、保護処分、検察官送致のいずれかがなされることがほとんどです。
終局処分に至る前に、中間処分として試験観察となることもあります。
終局処分である保護処分には、①保護観察処分、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致の3種類があります。

少年院送致は、少年を少年院に強制的に収容する保護処分のことです。
収容先の少年院は、保護処分の執行を受ける者、及び少年院において懲役又は禁錮の刑の執行を受ける者を収容し、これらの者に対して矯正教育その他の必要な処遇を行う施設です。
家庭裁判所は、少年院送致の決定をする場合、少年の年齢や心身の発達の程度に応じて、送致すべき少年院の種類を決めます。

少年院には、次の4つの種類があります。
(ア)第1種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者を対象とする少年院です。
(イ)第2種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を対象とする少年院です。
(ウ)第3種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容する少年院です。
(エ)第4種少年院
少年院において懲役等の刑の執行を受ける者を対象とした少年院です。

少年院に収容することができるのは、原則20歳までですが、少年院送致決定のあった日から1年を経過していないときは、その日から起算して1年に限り収容を継続することができます。

少年院送致処分の回避を目指す活動

少年院送致は、閉鎖施設において少年の自由を拘束するという点で、保護処分の中で最も強力な処分と言えるでしょう。
少年院送致が見込まれる事案では、少年院送致を回避する、つまり、試験観察を経ての保護観察処分を目指すことになります。

家庭裁判所は、保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもって、相当の期間、少年を調査官の観察に振ることができます。
これを試験観察といいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間留保し、その期間の少年の行動等を調査官の観察に付すために行われる中間処分です。
試験観察期間中に、少年が目を見張るような変化を遂げて要保護性が解消された結果、社会内処遇での保護処分で十分であると認められれば、少年院送致ではなく保護観察処分となる可能性があります。

いきなりの少年院送致決定を回避するためには、少年の具体的な状況を考えた場合、少年院送致という終局処分を直ちにするよりも、引き続き、調査官による調査や付添人を含む関係者による働きかけや環境調整を行うほうが、少年の立ち直りが見込め、少年の更生にとって適した終局処分を決めることができる旨を積極的に主張していくことが必要となります。
このような活動は、少年事件に精通する弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

少年事件(身柄事件)における弁護士の役割

2021-04-07

少年事件身柄事件)における弁護士役割について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県神戸市北区に住む少年Aくんは、仲間2人と共謀して、Vくんに対して殴る蹴るなどの暴行を加えた上、持っていた財布と携帯電話を奪ったとして、兵庫県神戸北警察署に逮捕されました。
Aくんは、逮捕後に勾留され、警察からは神戸家庭裁判所に事件を送った後には神戸少年鑑別所に入ることになると言われました。
身体拘束がいつまで続くのか、最終的には少年院に行くことになるのか、いろいろと不安になっていたAくんは、両親が接見を依頼して訪れた弁護士に話を聞くことにしました。
(フィクションです。)

少年事件(身柄事件)

20歳未満の者を「少年」と呼びます。
14歳以上20歳未満の犯罪に該当する行為を行ったと疑われる少年は、捜査機関による犯罪捜査の対象となります。
捜査段階において、少年の事件は、少年法の特則が適用されるほかに、一般の刑事訴訟法が適用されます。
そのため、少年であっても、成人の刑事事件のように、14歳以上であれば逮捕・勾留される可能性はあります。
14歳未満の少年については、刑事責任を問うことができないため、逮捕・勾留されることはありませんが、児童相談所に「保護」という形で拘束されることがあります。

今回は、少年が逮捕・勾留された場合の流れについて説明します。

逮捕された少年は、逮捕から48時間以内に検察官に送致されます。
送致されない場合は、48時間以内に釈放となります。
少年が検察官に送致されると、検察官は24時間以内に、その少年について勾留請求をするかどうかを判断します。
勾留すべきと考えれば、裁判官に勾留請求をします。
釈放すべきと考えれば、勾留請求せずに釈放します。
被疑者が少年の場合には、検察官は勾留に代えて「勾留に代わる観護措置」を裁判官に請求することができます。
この措置は、収容場所を少年鑑別所とし、拘束期間も10日間で延長は認められない点で通常の勾留とは異なります。
検察官からの勾留請求(又は勾留に代わる観護措置の請求)を受けた裁判官は、少年を勾留すべきか否か判断します。
裁判官が検察官の請求を認めた場合、少年は勾留請求の日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身体を拘束されることになります。

検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、及び犯罪の嫌疑が認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
検察官によって少年が家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所は観護措置決定をするか否かを決めます。
観護措置は、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置です。
観護措置が決定されると、少年は少年鑑別所に収容されます。
収容期間は約3~4週間です。

家庭裁判所の調査官による少年の調査が終わると、審判が開かれます。
審判では、非行事実と要保護性が審理され、少年の更生に適した処分が決定されます。

少年事件(身柄事件)における弁護士の役割

少年事件において、弁護士は、捜査段階では「弁護人」、家庭裁判所送致後は「付添人」として少年に対する適正な手続を確保し、少年の権利を擁護する活動を行います。
また、少年法は、審判の手続や家庭裁判所が行う処分決定を通じて、少年の健全な成長発達を図ることを目的としており、弁護士に求められる役割には、事件の背景にある少年が抱える悩みや問題と向き合い、一緒に考え解決策を見出す手助けをすることも含まれます。

また、少年が逮捕・勾留・観護措置により身柄が拘束されている場合には、不要・不当な身体拘束を阻止し、少年の更生に影響がでないよう動くことも重要な役割となります。
具体的には、逮捕後の勾留が決定する前に、検察官や裁判官に勾留の要件を満たさないことを客観的な事実に基づいて主張し、検察官に勾留請求をしないよう、裁判官には勾留決定をなさないよう働きかけます。
勾留が決定した後であっても、決定に対して不服申立てを行い、早期に釈放となるよう動きます。
また、弁護士は、家庭裁判所送致後の観護措置を回避するために、送致されたタイミングで裁判官に意見書の提出や面談を行い、少年に対する観護措置をとらないよう説得的に主張します。
決定後には、観護措置決定に対する不服申立を行い、必要性がないと思われる観護措置の回避に向けて動きます。

少年事件は、成人の刑事事件とは異なる点も多いですので、少年事件に詳しい弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

常習傷害罪(暴処法違反)で逮捕

2021-03-31

常習傷害罪(暴処法違反)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県美方郡新温泉町の居酒屋で、他の客と喧嘩になり、止めに入った店長の顔を殴ったとして、Aさんは、通報を受けて駆け付けた兵庫県美方警察署の警察官に傷害の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんは、過去にも酒に酔った上での暴行罪、傷害罪、脅迫罪、器物損壊罪で処罰されており、警察は常習性についても調べるようです。
(フィクションです。)

傷害と常習傷害

暴力を振るい相手方に怪我を負わせた場合、通常、傷害罪が成立すると考えられます。
しかし、加害者に暴行や傷害の前科が多数ある場合には、単なる傷害罪ではなく常習傷害罪が成立する可能性があります。
今回は、それぞれの罪について、いかなる場合に成立し得るのかについて説明していきます。

1.傷害罪

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

◇犯行の対象◇
傷害罪の客体は「人」であり、行為者本人を除く「身体」を有する自然人です。
法人やその他の団体は本罪の客体とはなりません。

◇行為◇
傷害罪の実行行為は、「傷害する」ことです。
「傷害」の意義については、判例は、人の生理機能に障害を与えること、又は、人の健康状態を不良に変更させることとしています。(最判昭24・7・7など)
傷害の方法については、暴行による方法と暴行によらない方法とがありますが、暴行又は暴行によらない方法による行為と障害結果との間には因果関係が必要となります。
暴行による傷害の場合、人の身体に対する有形力の行使によるものであって、相手方に対して殴る蹴るなどが典型です。
他方、暴行によらない傷害の場合については、性病に羅患している者が強制性交行為によって性病を感染させる場合(最判昭27・6・6)や、自宅から隣家に向けてラジオの音声や目覚まし時計のアラーム音を鳴らし続け、精神的ストレスから睡眠障害等を負わせた場合(最決平17・3・29)などに傷害が認められています。

◇故意◇
傷害罪は故意犯であり、傷害の結果を意図して暴行を加え、それにより傷害の結果が発生した場合に傷害罪が適用されることに議論の余地はありません。
しかし、故意に暴行を加え、その結果、意図しない結果として傷害の結果が発生した場合には故意が認められないとして傷害罪は成立しないことになるのかが問題となります。
この点、傷害罪は故意犯であるとともに、暴行罪の結果的加重犯でもあるため、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りると理解されています。(最判昭25・11・9)

2.常習傷害罪

暴力行為等処罰ニ関スル法律(以下、「暴処法」といいます。)第1条の3は、常習として傷害罪、暴行罪、脅迫罪又は器物損壊罪を犯した者が、人を傷害させた場合は、1年以上15年以下の懲役に処し、傷害に至らずに暴行にとどまった場合は、3月以上5年以下の懲役に処すという常習傷害罪を規定しています。
常習傷害罪が成立する場合には、傷害罪は成立しません。
そのため、常習性の有無によって、成立する犯罪が異なります。

常習傷害罪が成立するためには、
①暴力行為の常習性があり、
かつ、
②本件の行為が暴力行為の常習性の発現として行われたもの
でなければなりません。
これらの要件を判断する際には、行為者の性格や素行、行為の動機・種類・態様、各種暴力行為の反復回数などが考慮されます。
性格や素行の面で粗暴傾向が強く、行為の動機・種類・態様に繰り返しが多い場合には、上の要件は認定されやすくなります。
これらを考慮する際には、前科・前歴が重要な判断資料となります。
本件における行為の動機・種類・態様が前科・前歴と共通している場合には、暴力行為の常習性、その発言としての本件行為が認められるでしょう。

常習性の有無によって、傷害罪にとどまるのか、常習傷害罪となるのかが違ってきますので、傷害等の前科があり常習性の有無が問題となる場合には、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が傷害事件で逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

傷害事件、示談で不起訴へ

2021-03-14

傷害事件において示談不起訴となる活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県三木市の居酒屋で会社の同僚と飲んでいた会社員のAさんは、ひょんなことから隣席の男性と口論になりました。
Aさんは、お酒が入っていたこともあり、気が大きくなり、男性からの挑発を受けて拳で男性の顔を殴ってしまいました。
Aさんは会計を済ませ店を出ましたが、後日、兵庫県三木警察署から連絡があり、「△△居酒屋での喧嘩で、相手方さんから被害届が出ています。一度、お話を聞かせてもらえますか。」と言われました。
困ったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談の予約を入れました。
(フィクションです)

暴行を加えて、相手方に怪我などの傷害を負わせる傷害事件を起こすのは、日頃から気性の荒い人間だけとは限りません。
酒の影響で正常な判断が出来ずに手を出してしまうケースも少なくありません。

傷害罪とは

傷害罪は、刑法204条に規定されている犯罪です。

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、他人の身体に対する侵害を内容とする犯罪です。

◇客体◇

傷害罪の客体は、「人の身体」です。
行為者自身の身体の傷害(=自傷)は、罪とはなりません。

◇行為◇

傷害罪の実行行為は、「人の身体を傷害する」ことです。
傷害」の概念についてですが、判例は、「人の生理的機能に障害を加えること」であるとしています。
傷害として認められたものとしては、
・怒号等の嫌がらせにより、不安・抑うつ状態に陥れること。(名古屋地裁判決、平成6年1月18日)
・性病であることを秘して、被害者女性の性器に自己の性器を押し当て、被害者に性病を感染させたこと。(最高裁判決、昭和27年6月6日)
・キスマークをつけること。(東京高裁判決、昭和46年2月2日)
・皮膚の表皮を剥離すること。(大審院判決、大正11年12月16日)
・暴行、脅迫により外傷後ストレス障害(PTSD)を惹起すること。(最高裁決定平成24年7月24日)
このように、殴る蹴るといった典型的な有形力の行使により、相手方に怪我を負わせる以外にも、傷害に当たる場合があるのです。
傷害の方法については、有形無形を問いません。

◇故意◇

傷害の故意については、傷害罪が暴行罪の結果的加重犯であることから、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りるとするのが判例です。(最高裁判決、昭和25年11月9日)

以上の要件を満たしており、かつ、責任能力も認められ、違法性も阻却されないのであれば、傷害罪が成立することになります。

傷害事件で被疑者となってしまったら

傷害事件で被疑者となった場合、最終的に起訴するかしないかは検察官の判断に委ねられます。
検察官が起訴し有罪となれば、前科が付くことになります。
しかし、検察官が起訴しないとの決定をすれば、被疑者として捜査された前歴は残りますが、有罪判決を言い渡されてはいないので前科が付くことはありません。
検察官が起訴しないとする処分(不起訴処分)には、その理由に応じて様々ですが、不起訴処分となるものの多くが「起訴猶予」です。
起訴猶予は、有罪であることを証明するには十分の証拠があるものの、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況等を鑑みて、検察官の裁量によって不起訴とする場合のことです。
被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かも起訴・不起訴を決める際に考慮される重要な要素です。
傷害罪は、被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪ではありませんが、被害者との示談が成立し、許しを得ている場合には、不起訴となる可能性を高めることができます。
ですので、傷害事件で被疑者となった場合には、被害者との示談成立に向けて動くことが大切です。
しかし、加害者と被害者が直接示談交渉をすることはあまりお勧めしません。
なぜなら、捜査機関が被害者の個人情報を加害者に教えなかったり、被害者が加害者に直接連絡をとることを拒否することがあるため、連絡すらできない場合が多いことや、事件の当事者が直接話合うと感情的になり交渉が難航することがよくあるからです。
弁護士を介してであれば、捜査機関を通じて被害者と連絡をとることや、冷静な態度で示談交渉に挑み、被害者に対して示談のメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、当事者両方が納得のいく形での示談成立に向けて粘り強く交渉することが期待できます。

このような活動は、刑事事件に強い弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害事件をはじめとした刑事事件・少年事件を専門に取り合う法律事務所です。
傷害事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

業務妨害で刑事事件

2021-02-24

業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県神戸市中央区の衣料品店で商品を購入したAさんは、後日店を訪れ購入した商品が偽物だとして店員に返品を迫りました。
対応した店員に罵声を浴びせたり、土下座をするよう迫ったりするなど、あまりの態度に困った店は、兵庫県生田警察署に相談しました。
兵庫県生田警察署は、Aさんに連絡し、「業務妨害の件で、話が聞きたい。」と伝え、出頭するよう求めました。
Aさんは、こんな大事になるとは思ってもおらず今後のことが心配になってきました。
(フィクションです。)

業務妨害罪とは

業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、あるいは威力を用いて、人の業務を妨害する罪です。
業務妨害罪のうち、人の業務を妨害する手段が、虚偽の風説の流布・偽計の場合が「偽計業務妨害」に当たり、威力を用いる場合が「威力業務妨害」となります。

業務妨害罪における「業務」とは、自然人または法人その他の団体が、社会生活上の地位において、あるいはこれと関連しておこなう職業その他の継続して従事することを必要とする事務(仕事)をいいます。
業務は、経済的に収入を得る目的のものでなくても構いませんが、社会活動上の活動でなければならず、個人的な活動や家庭生活上の活動は含まれません。

「虚偽の風説の流布」とは、客観的真実に反する事実を不特定または多数の者に伝播させることをいいます。
直接には少数の者に伝達した場合であっても、その者を介して多数の者に伝播するおそれがあるときも該当します。

「偽計」とは、人を欺罔・誘惑し、あるいは人の錯誤・不知を利用することをいいます。

「威力」とは、犯人の威勢、人数および四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を制圧するにたりる勢力をいい、現実に被害者が自由意思を制圧されたことまで必要とされません。

犯罪の成立には、これらの手段によって、業務が妨害され、業務の遂行に支障が生じたことまで必要とされるのではなく、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとされています。

商品を購入したが、サイズが合わない、同じようなものを持っていた、など様々な理由から返品を店に申し出ることはあることですし、それ自体は何も店の業務を妨害するようなことではありません。
しかし、返品を迫る態様が、店の自由意思を制圧するに足りるような勢力を用いたものであり、他の来店客にも迷惑をかけるようなものであれば、威力業務妨害に該当する可能性があります。

業務妨害事件では、加害者の行為により業務を妨害された被害者が存在します。
加害者の行為により、経済的損失だけでなく、精神的損害をも被っている場合もありますので、被害者に対してきちんと謝罪と損害賠償を行う必要があります。
このような被害者対応は、刑事事件の最終的な処分にも影響することになります。
事件を起訴するかどうかは、検察官が決めます。
検察官は、被疑者が犯罪を行っていないことが明白である場合や、被疑者が犯罪を行った疑いはあるけれども、それを立証するだけの充分な証拠がない場合には、起訴しない決定をします。
この他に、被疑者が犯罪を行ったことは確かで、それを立証するだけの十分な証拠もあるのだけれどもさまざまな事情を考慮して、今回は起訴しないとする場合もあります。
これを「起訴猶予」といいます。
起訴猶予となる理由には、犯罪が軽微である、被疑者が深く反省している、被疑者の年齢や境遇の他、被害者と示談が成立していることがあります。
「示談」というのは、加害者が被害者に対して金銭的な賠償を行うことで、被害者は被害届を提出しないなど、今回の事件については当事者間で解決したとする約束のことです。
検察官が最終的な決定をする時点で、被害者との示談が成立している場合には、起訴猶予となる可能性が高くなるでしょう。

事件を起してしまい、被害者との示談でお困りの方は、一度刑事事件に精通する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件の被疑者・被告人となり、対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

刑事事件における被害者対応

2021-02-10

刑事事件における被害者対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県美方郡香美町に友人らと旅行に来ていたAさんは、町内の飲食店で夕飯を食べることにしました。
旅行先ということもあり、酒がすすみ相当酔っぱらっていたAさんは、些細なことから隣の席のグループと口論になり、その一人ともみ合いの喧嘩になりました。
Aさんは、カッとなり、相手の顔面を拳で殴り、怪我を負わせてしまいました。
兵庫県美方警察署から駆け付けた警察官は、Aさんを傷害の容疑で逮捕しました。
酔いが冷めたAさんは、自分の軽率な行為を猛省しており、被害者に謝罪と被害弁償をしたいと考えています。
(フィクションです。)

多くの刑事事件には、犯罪の被害を被った被害者が存在します。
犯罪により身体的、精神的、経済的な損害を被った被害者に対して、加害者が謝罪や被った損害(被害)を回復しようとすることは、人として当然求められることでしょう。
刑事事件では、検察官が最終的な処分を決定する際や裁判官が刑を決める際に、「被害がどの程度回復されたか」、「被害者が加害者に対してどのような感情を抱いているのか」といった点が考慮されます。
その意味でも、被害の回復といった被害者への対応は、刑事弁護においても非常に重要だと言えます。

被害の回復を目指すためには、まず、被害者と連絡をとり、謝罪の上、被害の程度や被害者の気持ちを確認し、どういった形で被害の回復が可能かを話し合う必要があります。
ここでまず問題となるのが、被害者と連絡がとれるかどうかです。
加害者と被害者とがもともと知り合いであれば、被害者の連絡先を既に知っているケースが多いのですが、全くの他人が被害者となることも珍しくありません。
そのような場合には、警察を介して被害者の連絡先を聞くことになります。
ただ、加害者が被害者と連絡をとって、被害者に供述を変えるよう、被害届を取下げるよう迫るといった罪証隠滅ともとれる行為に出る可能性もありますので、警察が加害者に被害者の連絡先を教えることはありません。
仮に、被害者側から加害者と話をしたいからと、警察を介して加害者と連絡をとろうとしてくることがあったとしても、当事者同士の話し合いはあまりお勧めできません。
当事者間の話し合いは、やったやってないの水掛け論になったり、感情的になり話し合いがうまく進まない場合が多いからです。
また、被害者から過度に高額な示談金が請求されるといったこともあります。
そのような事態を避けるためにも、通常は弁護士を介して被害者との話し合い(示談交渉)を持ちます。
弁護士を介してであれば、警察や検察官を通して被害者の連絡先を教えてもらうことも期待できますし、被害者との話し合いも冷静に行うことができます。
そして、弁護士は、合意した内容を「示談書」という形で書面にし、合意後に争いが蒸し返されないようきっちりと内容を詰めて示談の成立を目指します。
その合意内容には、加害者の被害者への謝罪の意、加害者に求める制約事項、示談金の支払い、そして被害者の加害者を許すという意思表示などが含まれます。
財産犯の場合には、被害弁償がなされたことをもって十分な効果が期待されますが、多くの場合には、被害弁償のみならず被害者からの許しが得られていることで最終的な結果に大きく影響することになります。

残念ながら被害者と連絡がとれなかったり、被害弁償や示談を断られた場合であっても、供託や贖罪寄付といった方法で謝罪の意思や被害の回復の試みを行うことがあります。

どのような形での被害の回復がよいのか、被害者の気持ちや意見をしっかりと考慮した上で、きっちりと対応することが求められます。

刑事事件を起こし、被害者対応にお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にお電話ください。

被疑事件の弁護活動~示談交渉~

2020-09-27

被疑事件弁護活動のひとつである示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県神戸市中央区の繁華街で、通行人同士の喧嘩が発生しました。
会社員のAさんは、喧嘩の仲裁を試みたのですが、一当事者の反抗的な態度に腹が立ち、拳で顔面を殴ってしまいました。
現場に駆け付けた兵庫県生田警察署の警察官は、Aさんを署に連行し事情を聴いています。
Aさんは、殴ったことについては自分が悪いと反省しており、相手方に対して謝罪と被害弁償をしたいと思っていますが、直接のやりとりでは上手くいのではと心配しています。
(フィクションです)

被疑事件についての弁護活動

起訴前、つまり被疑者段階における弁護活動の目的は、被疑者の権利・利益を擁護することです。
被疑者段階での弁護活動は、主に、捜査官による捜査に対する活動、被疑者の身体拘束に向けた活動、そして、検察官による終局処分に向けた活動とがあります。

捜査に対する活動は、被疑者に対する取調べや捜索差押えなどの捜査に対して、弁護人はどのように対応すべきかを被疑者にアドバイスを行います。
また、捜査機関によって違法・不当な捜査が行われた場合には、それを止めるべく行動します。

被疑者が逮捕・勾留されているケースにおいては、身体拘束によって被疑者や家族が被り得る不利益を最小限に抑えるためにも、弁護人は、逮捕・勾留を回避するために身柄解放活動を行います。

そして、弁護人は、検察官が行う終局処分について、できる限り寛大な処分となるよう働きかけます。
被疑事件につき起訴・不起訴の判断、及び、起訴するとしても略式起訴か公判請求かを決めるのは検察官です。
そのため、弁護人は、不起訴で事件を終了できるよう、起訴が免れないとしても略式手続で済むよう、被疑者にとって有利な事情を提示し、検察官が判断をする際に考慮するよう求めます。
検察官は、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」(刑事訴訟法248条)とされています。
公訴を提起しない、つまり不起訴処分とする判断要素には、被害者との間で示談が成立しているか否かという点が含まれます。

示談交渉

1.示談とは

示談とは、被害者との間の合意のことをいいますが、通常、加害者が被害者に対して被害弁償をする一方で、被害者が加害者を許し、今回の事件については当事者間で解決したとする合意のことを指します。
被害者のいる犯罪においては、被害が金銭的に回復されたかどうか、被害者が被疑者に対してどのような感情を抱いているかどうかが、検察官が終局処分を決めるときや裁判官が宣告刑を決めるときに重要な意味を持ちます。
そのため、弁護人は、被疑事実・公訴事実に争いのない場合には、被害者との間で示談を成立させれるよう努めます。

2.示談交渉を弁護士に任せるメリット

もっとも、理論的には、被疑者(被告人)が被害者と直接示談交渉を行い、示談を成立させることは不可能ではありません。
しかし、一般的には、弁護士を介して示談交渉を行います。

というのも、そもそも被害者の連絡先を知らないことが多く、その場合には捜査機関を通じて入手することになるのですが、罪証隠滅のおそれから捜査機関が被疑者に被害者の連絡先を教えない、被害者が恐怖や嫌悪感から被疑者と直接やりとりすることを拒む、といった事情により、被疑者やその家族が被害者と連絡すらとれないことが多々あるのです。
また、被疑者が逮捕・勾留されている場合には、物理的に被疑者が被害者に連絡をとることは不可能です。
そのような場合であっても、弁護士限りであれば、被害者の連絡先を教えてもらうことができる場合も多く、弁護士を介して示談交渉を行うメリットの一つとも言えます。

仮に、被疑者が被害者の連絡先を知っていたとしても、被疑者自身やその家族などの関係者が直接被害者にコンタクトをとることはお勧めできません。
なぜなら、当事者間での交渉は、感情論的になりやすく、やったやってないの水掛け論となり交渉が難航することが多いからです。
弁護士を間に挟むことによって、冷静な交渉を行い、両者が納得できる内容の示談を成立させることにつながります。

また、被害者の連絡先が分かっていたとしても、被害者との話し合いを自ら行うことに躊躇される被疑者の方も少なくありません。
この点でも、弁護士を代理人として示談交渉を進めることのメリットと言えるでしょう。

示談交渉の結果、合意が成立すれば、示談書を作成することになりますが、その内容に被害者の被疑者(被告人)に対する気持ちを盛り込むことがあります。
被害者の気持ちには、様々なものがありますが、被害者の被疑者に対する許しの気持ちあれば、不起訴あるいは執行猶予となる可能性を高めることができます。

終局処分にも影響し得る示談交渉は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
弊所の弁護士は、これまで数多くの示談交渉を行ってきており、その豊富な経験から培ったノウハウを活かした活動を行います。
被害者との示談交渉にお悩みの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

« Older Entries