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暴行罪と傷害罪の違い:人を殴った場合、どちらが適用されるのか?
一般に「人を殴る」行為は社会的に許容されるものではなく、相手が警察に被害を訴えれば、加害者は何らかの刑事罰を受ける可能性が非常に高いです。
そこで今回のコラムでは、人を殴った事件に適用される「暴行罪」と「傷害罪」について、その成立要件や罰則の違いを、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
暴行罪と傷害罪の基本的な定義
暴行罪
暴行罪とは、人に暴行する事によって成立する犯罪です。
ここでいう暴行とは、身体的な痛みを与える暴力行為に限らず、例えば、人に向けて石を投げるなど人に脅威を感じさせるような行為も含みます。
ただし、相手に対して身体的な傷害が生じた場合は、次に解説する傷害罪に該当します。
傷害罪
傷害罪は、他人の身体を害した場合に成立します。
害とは、具体的な身体的な損傷(骨折、出血など)だけでなく、精神的な病気を発症させることも含まれます。
暴行罪の成立要件
暴行罪が成立するためには、以下の要件が必要です。
主体の違法性
行為者が他人に対して暴力を振るった場合、その行為自体が違法です。
これは、他人の身体的自由を侵害する行為とされ、違法性が認められます。
故意
行為者が故意的に暴行した場合に限り、暴行罪が成立します。
つまり、過失や事故による暴行は、この犯罪の成立要件を満たしません。
被害者の非同意
被害者が暴行を受けることに同意していた場合、暴行罪は成立しない可能性が高いです。
しかし、その同意が社会通念上許容されないものであれば、この限りではありません。
これらの要件が揃った場合に、暴行罪が成立します。
特に、故意は非常に重要な要素であり、これが証明できないと暴行罪の成立は難しいでしょう。
傷害罪の成立要件
傷害罪の成立には、以下の要素が必要です。
主体の違法性
傷害罪も暴行罪と同様、他人の身体に対して違法な行為をした場合に成立します。
ここでの違法な行為とは、他人に対して身体的な損傷を与えたり、精神的な病気を発症させることです。
故意または過失
傷害罪は、行為者が故意によって他人を傷つけた場合に成立しますが、ここでいう故意とは、暴行による傷害罪に限ると、相手に怪我をさせるという故意まで必要なく、暴行の故意で足りるとされています。
また故意なく過失によって人を傷付けた場合は、過失傷害罪となります。
傷害の発生
身体的な損傷とは、出血、骨折、やけどなど、明確な物理的な影響や、精神疾患の発症などです。
このような損傷がないと、傷害罪は成立しません。
被害者の非同意
暴行罪と同じく、被害者が損傷を受けることに同意していた場合、一般的に傷害罪は成立しません。
ただし、その同意が社会的に許容されない場合は、この限りではありません。
傷害罪が成立する条件は以上の4点です。
暴行罪と傷害罪の罰則の違い
暴行罪と傷害罪の行為態様は似ているものの、罰則には明確な違いが存在します。
暴行罪の罰則
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
また暴行罪は微罪処分の対象事件でもありますので、微罪処分の条件を満たしている場合は、こういった刑事罰が科せられることなく手続きが終了する場合もあります。
傷害罪の罰則
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
有罪になった場合は、この法定刑内の刑事罰が科せられることになりますが、実際にどういった刑事罰が科せられるかは、被害者の負った怪我の程度が大きく影響します。
暴行罪と傷害罪で共通して言えるのは、実際にどういった刑事罰が科せられるかは、犯行の動機や、行為態様、そして加害者の反省の程度などが大きく影響することです。
些細なトラブルが原因の傷害事件で逮捕 不起訴を獲得できるの?
些細なトラブルが原因の傷害事件で逮捕された場合の、不起訴を獲得するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
半年以上前に、無職のAさんは、神戸市東灘区の路上を歩いていたところ、通行人の男性と肩が当たりトラブルになりました。
腹が立ったAさんは、この男性に対して殴る蹴るの暴行を加えたのですが、複数の通行に制止されたために、その場から逃走しました。
この事件で被害者の男性は全治4週間の傷害を負っており、兵庫県東灘警察署に被害届を提出したようで、Aさんは、傷害罪で逮捕されてしまいました。
この参考事件は実際に起こった事件を参考にしたフィクションですが、このような些細なトラブルが原因の傷害事件で逮捕された場合の、不起訴を獲得するための弁護活動についてご紹介します。
傷害罪とは
Aさんのように殴る、蹴るなどの暴行によって人に傷害を負わせると、刑法第204条に規定されている傷害罪となります。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円の罰金」が定められていますので、傷害罪で有罪が確定した場合は、この法定刑内の刑事罰が科せられる事になります。
起訴とは
捜査が一応の終結をみると、検察官は、その事件について被疑者を起訴するか否かを決定します(刑事訴訟法256条)。
起訴とは、検察官が特定の者による特定の犯罪事実について裁判所に対して審理と判決を求める意思表示です。
審理の結果、有罪となるか無罪となるかは、起訴された時点ではわからないのですが、実際は、検察官が起訴した場合ほとんどが有罪判決が下されます。
一説によると、日本の刑事裁判の有罪率は、99.9%ともいわれます。
有罪となってしまうと前科がついてしまいますから、不起訴を獲得できるかどうかは非常に重要です。
不起訴の獲得するための弁護活動
では、どうすれば不起訴処分を得られるのでしょうか?
検察官は、嫌疑が無い場合や嫌疑が不十分な場合に不起訴の判断をします。
しかし、それだけでなく、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、検察官は公訴を提起しないことがあり(刑事訴訟法248条)、それを目指すのであれば、被害者と示談を締結することが重要です。
もっとも、加害者本人が直接被害者と交渉して示談を成立させることは、被害者の心情もあり非常に困難です。
したがって、豊富な専門的知識や示談経験を有する弁護士に、被害者との示談交渉を任せることが得策でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件に精通した弁護士を逮捕された方のもとに派遣する初回接見サービスを希望の方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は、0120-631-881までお電話ください。
タクシードライバーに暴行 逮捕される?刑事責任は?~②~
~昨日からの続き~
昨日のコラムでは、タクシードライバーに暴行した場合、警察沙汰になるとどの様な法律が適用されるかについて解説しました。
本日は、警察沙汰になった後の刑事手続きについて解説します。
逮捕されるかどうか
まず一番気になるのが警察に逮捕されるかどうかでしょう。
犯行後、現場から逃走したり、泥酔していて自分の住所等を言えない場合、また暴行の程度が悪質だったり、被害者の傷害の程度が重い場合は逮捕される可能性があります。
逆にそういった状態でない場合は逮捕されない可能性の方が高いでしょう。
その後の刑事手続きについて
それでは、警察沙汰になった後の刑事手続きについて解説します。
刑事手続きについては、逮捕された場合と逮捕されなかった場合で手続きが異なってきますので、それぞれ分けて解説します。
逮捕された場合
警察に逮捕されると、まず警察署に連行されて、そこで取調べを受けた後に留置場に収容されることになります。
収容される留置場は、基本的には連行された警察署の留置場ですが、別の警察署の留置場に収容されることもあります。
そして逮捕から48時間以内に検察庁に送致され、検察官が取調べを行います。
その取調べの結果をふまえて、検察官が裁判官に勾留を請求するかどうかを判断します。
勾留を請求しなかった場合は釈放となりますが、勾留を請求された場合は裁判官が勾留するかどうかを決定します。
ここでも裁判官が勾留を決定しなければ釈放となりますが、逆に勾留を決定すると10日から20日の期間で身体拘束が続くことになります。
そして勾留の満期と共に、不起訴なのか、略式命令による罰金刑なのか、公判請求されて刑事裁判で刑事処分が決定するのかが決まります。
公判請求された場合は、起訴後も身体拘束が続き、この身体拘束は、保釈が認められない限り、裁判で判決が言い渡されるまで続きます。
逮捕されなかった場合
警察署に連行されて、簡単な取調べを受けることになり、その取調べが終了すると、身柄引受人が警察署に呼ばれて、帰宅することができます。
その後は、警察署に何度か呼び出されて、取調べを受けることになり、警察での取調べが終了すると、書類が整い次第、検察庁に書類送致されます。
そして送致を受けた検察官が、警察で作成された書類を確認した後に、取調べを行います。
本人のもとには、検察庁への出頭日を指定した書面が郵便で届きます。
そして取調べ後に、検察官が不起訴にするのか、略式命令による罰金刑にするのか、公判請求して刑事裁判で刑事処分を決定するのかを判断します。
どう対処するのか
逮捕されてしまった場合は、刑事事件専門の弁護士を逮捕されている方に派遣する 初回接見サービス をご利用ください。
逮捕されていない場合は、無料法律相談 を受けていただくことができます。
どちらのサービスも、専用フリーダイヤル 0120-631-881 でご予約をお受けしており、土日、祝日や夜間であっても対応は可能です。
タクシードライバーに暴行 逮捕される?刑事責任は?~①~
タクシードライバーに暴行した事件で、逮捕されるかや、最終的にどういった刑事罰が科せられるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
A子さんは、兵庫県芦屋市の自宅に夫と二人で暮らしています。
今日の夕方から夫は、所属する草野球チームの会合に出席しており、会合の後、仲間たちとお酒を飲みに行っています。
そして夜の11時ころ、夫の帰りを待っていたA子さんのもとに兵庫県芦屋警察署から電話がかかってきました。
電話口の警察官から「ご主人さんがタクシードライバーに暴行して、現在、事情聴取をしている。また連絡するので待っていてください。」と言われたA子さんは、この後、夫がどうなってしまうのか心配でたまりません。
(フィクションです。)
家族が何か刑事事件を起こしてしまって警察沙汰になったことを、警察からの電話で知ることがよくありますが、警察官は事件の詳細を教えてくれません。
当然、家族の方は「この後どうなってしまうのか・・・」と大きな不安があるでしょう。
そこで本日は、タクシードライバーに暴行してしまったA子さんの夫の話を参考に、こういった事件を起こしてしまった場合の、刑事手続き等について解説します。
刑事責任は?
タクシードライバーに暴行した場合、警察沙汰になるとどの様な法律が適用されるかについてまずは検討します。
単に、暴行しただけであれば、可能性として考えられるのは
①暴行罪
②傷害罪
でしょう。
暴行罪と傷害罪については、以下のとおり刑法に定められています。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
「暴行」と聞くと、殴ったり蹴ったり、掴んだり、投げ飛ばしたりといういわゆる暴力行為をイメージするかと思いますが、直接的に相手に接触していないような有形力の行使も暴行罪となる場合があります。
例えば、タクシードライバーが座っている椅子を、後部座席から蹴ったり、最近であれば、感染防止の為に、運転席と後部座席の間に設置されているアクリル板を殴ったりする行為も暴行罪となる可能性があります。
そして暴行罪と傷害罪の違いは、暴行によって相手が怪我をしているかどうかです。
怪我をしているかどうかの判断は、刑事手続き上は医師の診断書によってなされます。
例えば、胸倉を掴んだだけの暴行事件でも、被害者が「首が痛い」と言って病院の診察を受けて、医師が診断書を作成すれば、例え、目だった外傷がなくても傷害罪となってしまいます。
強盗罪が適用される場合も・・・
もしタクシードライバーへの暴行によって、タクシーの支払を免れていたりすれば「強盗罪」となってしまいます。
強盗罪は、上記の暴行罪や傷害罪と違い、非常に重たく、法定刑は5年以上の有期懲役となっています。
強盗罪については こちらをクリック
~明日に続く~
中学生の子供が同級生に暴行 傷害事件で在宅捜査
中学校で同級生に暴行した子供が傷害罪で取調べを受けている事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説いたします。
子供が中学校で同級生に暴行(傷害罪)
Aさんには、加古川市内の公立中学校に通う15歳の子供(男性)がいます。
先日、この子供が中学校で同級生と口論になり、暴行したようです。
中学校から呼び出しを受けて先生から事情を聞いたAさんは、同級生の自宅に行って謝罪しようとしましたが、相手の同級生は鼻を骨折しており、両親は激怒して兵庫県加古川警察署に被害届を提出したようでした。
しばらくして警察署から呼び出された子供は、任意で取調べを受けていますが、Aさんは、今後の手続きが不安で少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
「傷害罪」とは
傷害罪とは、その文字通り人の身体を傷害する犯罪です。
人を殴り、怪我を負わせる行為などが傷害罪の典型例といえます。
Aさんの子供は、同級生に暴行し、鼻骨骨折の傷害を負わせているので、その行為が傷害罪となることは間違いないでしょう。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
しかし、この法定刑は「刑罰」なので、原則として少年であるAさんの子供が今回の事件で、この刑罰を受けることはありません。
Aさんの子供は、警察や警察庁の捜査が終わると家庭裁判所に送致されて、少年法に則って手続きが進むのです。
少年保護事件
少年保護事件においては、必要に応じて、少年に「保護処分」が言い渡されることになります。
「保護処分」には、大きく分けて
①少年院送致
②保護観察処分
③児童自立支援施設又は児童養護施設送致
があります。
保護観察処分は、在宅で少年の改善更正を図る処分です。
身体拘束を伴う少年院送致と比べると、少年の負担は軽くなるので、Aさんの子供のような事件では、審判不開始や不処分を目標に、最低でも保護観察処分の獲得が主な目標になるでしょう。
少年審判について
家庭裁判所へ送致された後は、まず観護措置をとるか否かが決められます。
観護措置がとられると、鑑別所に収容された上で調査を受けることになります。
家裁送致前は在宅で手続きが進行していたが、送致後に観護措置がとられ、鑑別所に収容されてしまうケースもあるので注意が必要です。
観護措置がとられなかったとしても、家庭裁判所の調査を受ける事には変わりありません。
そして家庭裁判所の調査が終了すれば、少年審判を受けることになります。
(※調査の結果次第では少年審判がない場合もある。)
少年審判が開始されれば、家庭裁判所の調査で得られた結果などをもとに、少年に対する処分が決められます。
少年事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が傷害事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
少年が強盗致傷罪で逮捕 早期釈放のための弁護活動~②~
~昨日からの続き~
昨日のコラムでは、強盗致傷罪で逮捕されてからの流れについて解説しました。
本日は、逮捕による身体拘束を少しでも短くするため、早期釈放のための弁護活動について解説します。
勾留に対する準抗告
裁判官が勾留の裁判(決定)を行うと、長期間の身体拘束を余儀なくされます。
このような長期身体拘束を回避する方法として「勾留に対する準抗告」が挙げられます。
「準抗告」というのは、裁判官や捜査機関が行った一定の処分について、裁判所に対して取消や変更を求める不服申し立ての手続のことをいいます。
裁判官が行った勾留裁判に対して、準抗告の申立てを行い、申立て先の裁判所が勾留裁判を取消し、検察官が行った勾留請求を却下するよう働きかけます。
「勾留」には満たさなければならない要件があります。
申立てには、それらの要件には該当せず被疑者を勾留した原裁判は違法であるためそれを取消し、検察官の勾留請求を却下すべきである旨を主張します。
勾留の要件
ここで重要になるので、勾留の要件です。
勾留の要件とは、「犯罪の嫌疑」、「勾留の理由」および「勾留の必要性」です。
(1)犯罪の嫌疑
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がなければなりません。
身体拘束をする上で、犯罪を行ったことを裏付ける事実が必要となります。
しかし、勾留段階では、すべての証拠がそろっていることはなく、ここで要求されている嫌疑の程度は、それほど高いものではありません。
(2)勾留の理由
以下のうち、どれか一つに該当している必要があります。
①定まった住所を有しないとき。
②罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
③逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(3)勾留の必要性
嫌疑及び勾留の理由がある場合であっても、被疑者を勾留することにより得られる利益と、これにより生ずる不利益とを比較し、権衡を失するときは、被疑者を勾留することは許されません。
弁護人の主張
今回の事件で弁護人の主張として考えられるのは、犯行後の少年の態度や証拠品が既に捜査機関によって押収されているため今更証拠隠滅を図ることは困難であること、また、少年に前歴がないことや保護者と生活をともにしていること、少年の保護者による監督が期待できることから逃亡すると疑うに足りる相当の理由が認められないこと、更には、長期の欠席により留年や退学のおそれがあることを考慮すると、勾留の必要性までは認められないということを客観的かつ具体的に主張することで、裁判所が勾留の裁判を取消し、勾留請求を却下する裁判をするよう働きかけます。
少年事件に強い弁護士
お子様が逮捕・勾留されてお困りであれば、刑事事件・少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部に今すぐご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、フリーダイヤル0120-631-881にて、無料法律相談や初回接見サービスのご予約を24時間受け付けております。
少年が強盗致傷罪で逮捕 早期釈放のための弁護活動~①~
事後強盗罪で逮捕された少年の、早期釈放のための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
兵庫県加古川市に住む高校生のAくん(16歳)は、自宅近所にあるコンビニで、おにぎりなど500円相当の商品を万引きしました。
そして、万引きした商品を持っていたカバンに隠してコンビニを出たところ、コンビニの店員に腕を掴まれたAくんは、逃げるのに必死で、店員の腕を引き払おうとして、店員を転倒させてしまったのです。
その後、逃げ切れないと諦めたAくんは、その後、店員の通報によって駆け付けた兵庫県加古川警察署の警察官に強盗致傷罪で逮捕されました。
店員は、転倒した際に、腕を擦りむく傷害を負っていたようです。
(フィクションです)
強盗致傷罪で少年が逮捕されたら(逮捕後の流れ)
20歳未満の少年が事件を起こし、逮捕されてしまった場合、基本的には成人の刑事事件と同様に刑事訴訟法が適用されます。
つまり、逮捕から48時間以内に、警察はAくんを釈放するか検察に送致するかを決めます。
検察に送致されると、検察官による取調べが行われ、それを受けて検察官はAくんを勾留する必要があるかどうか判断します。
検察官が勾留する必要があると判断すると、裁判官に対して勾留請求を行います。
検察官から勾留請求を受けた裁判官は、Aくんと面談した上で、勾留の要件に該当するかを検討し、勾留決定をするか、勾留請求を却下しAくんを釈放するかを決定します。
そして、裁判官がAくんの勾留を決めると、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められると最大で20日間の身体拘束となります。
勾留が決定すれば長期の欠席が余儀なくされるので、退学になれば、少年の社会復帰にも影響し、更生の障害と成り得るでしょう。
ですので、お子様が事件を起こし、逮捕・勾留されたら弁護士に相談し、勾留に対する準抗告を行うなど早期釈放に向けて動くことが重要です。
~明日に続く~
携帯用ガスバーナーの火を放って脅す 暴力行為法違反で現行犯逮捕
携帯用ガスバーナーの火を放ち脅した男が、暴力行為法違反で現行犯逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
神戸市中央区の繁華街において、すれ違った男性に向けて、携帯用ガスバーナーの火を放って脅したとして、暴力行為法違反で男が逮捕されました。
逮捕された男は、客引きが近付いてこないようにガスバーナーを持ち歩いていたことが認めていますが、「人に向けて(バーナーを)放射していない」と、暴力行為法の容疑を否認しているようです。
暴力行為法
記事に書かれている「暴力行為法」とは、正式には「暴力行為等処罰ニ関スル法律」という大正時代に施行された古い法律です。
暴力行為法で規定されている内容は主に以下のとおりです。
1条(集団的暴行・脅迫・器物破損)
多人数でまたは多人数であるように装って威力を示し、または刃物などの凶器を示したうえで、暴行や脅迫を加える行為、故意に物を壊す行為
(法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」)
1条の2(銃砲刀剣類を用いた傷害)
銃砲または刀剣類を使用しての傷害
(法定刑は「1年以上15年以下の懲役」)
1条の3(常習的な傷害・暴行・脅迫・器物破損)
常習的な傷害・暴行・脅迫・器物損壊
(法定刑は、人を傷害したときは「1年以上15年以下の懲役」、人を傷害していない場合には「3か月以上5年以下の懲役」)
2条(不正な利益を得る目的で集団的・常習的に脅し従わせる行為)
不正に財産的利益を得る目的で1条に規定された方法によって、面会を強要する行為や、気勢を示して相手を不安にさせるような行為
(法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」)
3条(集団的犯罪の請託)
1条に規定された方法によって、公務執行妨害罪・殺人罪・傷害罪・暴行罪・脅迫罪・強要罪・威力業務妨害罪・建造物損壊罪・器物損壊罪にあたる罪を行わせる目的で第三者に金品等の提供等の行為
(法定刑は「6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金」)
火を放った携帯用ガスバーナーを人に向けて脅すと・・・
今回の事件(火を放った携帯用ガスバーナーを人に向ける行為)は、上記の1条(凶器を示しての暴行・脅迫行為)に当たるでしょう。
刑法第222条に規定されている通常の脅迫罪の場合、その法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
また刑法第208条の暴行罪の場合、その法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
何れにしても、暴力行為法の1条が適用された場合、その法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」と厳罰化されます。
刑事事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、土日、祝日でも弁護士が待機し、即日対応しておりますので、兵庫県内で即日対応可能な弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
刑事事件専門弁護士の 無料法律相談 や 初回接見サービス のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881
にて、24時間、年中無休で承っております。
タクシー代の支払いを拒否し運転手を殴打 強盗致傷罪で逮捕
タクシー代の支払いを拒否し運転手を殴打したとして、強盗致傷罪で逮捕された事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
人を殴って無理矢理金品を奪い取れば「強盗罪」となります。
この強盗罪は刑法第236条に規定されている犯罪行為ですが、実は刑法第236条にはもう一つ、強盗罪についての規定がされています。
それが「2項強盗」と呼ばれるもので、無理矢理金品を奪い取るのではなく、財産上不法の利益を得た場合も、強盗罪と同じように扱われるのです。
そして、2項強盗の場合も、強盗の際に人に怪我をさせると、強盗致傷罪となります。
1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗が、人を負傷させたとき無期又は6年以上の懲役に処し、(以下省略)
それでは今回の事件概要を紹介します。
事件内容(1月21日配信のサンテレビの記事を引用)
兵庫県三田市において、タクシー代約2,000円を支払わずに、支払を拒否し、タクシー運転手の顔を複数回殴打して逃走しようとした男が、タクシー運転手に取り押さえられました。
タクシー運転手は右手に軽傷を負ったようです。
強盗致傷罪で逮捕された男は、大阪から友人とこのタクシーに乗車しており、先に友人がそこまでの代金を支払ってタクシーを降車していたようで、男は、友人が降車してから自分の自宅までのタクシー代の支払いを拒否したようです。
強盗致傷罪
報道されている事件の内容を見る限りでは、今回の事件で強盗致傷罪が成立すると考えて間違いないでしょう。
暴行を加えてタクシー代を踏み倒すだけならば、2項強盗罪となり、この際にタクシーの運転手が傷害を負っているので「強盗致傷罪」となるのです。
強盗致傷罪は重い
強盗致傷罪で起訴されて有罪が確定すれば無期又は6年以上の懲役です。
下限の6年の懲役刑が求刑されたとしても、何らかの減軽事由がなければ法的に執行猶予を付けることはできません。
しかも刑事裁判は、裁判員裁判によって審理されるので、通常の刑事裁判に比べると長期に渡ることが予想されます。
ですから重要なのは、まず起訴されないようにすることです。(不起訴を目指す。)
今回の事件の場合、被害者にその場で取り押さえられている上に、タクシー内で犯行が行われていたとすれば、車内を撮影するドラブレコーダーがあるでしょうから、犯人性や事件性を否定する事が困難だと思われますので、不起訴を目指すうえで最も有効なのは被害者との示談でしょう。
さいわい、被害者は軽傷のようなので、起訴されるまでに被害者との示談が成立すれば、不起訴となる可能性が高いかと思われます。
強盗致傷事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、強盗致傷事件のような刑事事件を起こしてしまった方の弁護活動を専門にしている法律事務所です。
刑事事件に関する ご相談 や、逮捕等で身体拘束を受けている方へに弁護士を派遣する 初回接見サービス については、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
「スパーリングしよう」中学生に傷害を負わせカバンを強取
「スパーリングしよう」中学生に声をかけ、中学生に傷害を負わせ上、カバンを強取を強取した強盗傷人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
18日午前0時過ぎ、兵庫県姫路市にあるJR京口駅前において、男子中学生が男7~8人から暴行を受けて鼻の骨を折る重傷を負いました。
被害にあった男子中学生は、別の場所で男らに声をかけらて、移動後に「スパーリングしようや。」と言われて男から殴られたようです。
また暴行後に、男らは、男子中学生が持っていたショルダーバッグを奪って逃走していることから、兵庫県姫路警察署は、強盗傷害(強盗傷人罪)事件として捜査し、逃げた男らの行方を追っているようです。
強盗傷害事件
ニュース等では、よく「強盗傷害事件」と報じられていますが、法律的には「強盗傷害罪」という罪名は存在せず、正確には強盗傷人罪といいます。
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
強盗傷人罪が規定されているのは上記した刑法第240条(前段)です。
この刑法第240条の前段では
・強盗致傷罪
・強盗傷人罪(強盗傷害罪)
の二つの罪が規定されています。
共に主体となるのは、強盗犯人で、この強盗犯人が強盗に及ぶ際に人に怪我をさせたことによって成立する犯罪ですが、何が違うのかといえば、傷害の故意があるかどうかです。
ここでいう傷害の故意とは「相手に怪我をさせてでも金品を強取してやろう」という意思を意味します。
ちなみに人が傷害を負うタイミングについては、強盗の機会であればよく、何も強盗犯人からの直接的な暴行行為によって生じる必要はありません。
ですから、強盗の被害にあった被害者がその場から逃げる際に転倒して怪我した場合も、強盗犯人の行為と、傷害の結果に一定の関連性さえ有していれば、強盗致傷罪が成立するのです。
また強盗致傷(傷人)事件は、共に刑法第240条が適用され、その法定刑は「無期又は6年以上の懲役」です。
このように起訴されて有罪となった場合、減軽事由がなければ執行猶予を得ることができない非常に厳しい罰則規定がされており、また起訴された場合は、裁判員裁判によって審理されます。
強盗傷害(傷人)事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、強盗致傷(傷人)事件のような凶悪事件の弁護活動に対応している法律事務所です。
強盗致傷(傷人)事件でお困りの方からの法律相談や、強盗致傷(傷人)事件を起こして警察に逮捕された方への初回接見に即日対応しておりますので、まずはフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。