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少年法の適用される事件①

2019-03-29

少年法の適用される事件①

~ケース~
兵庫県朝来市に住む高校生のAくんは、交際相手を巡って同級生のVくんともめていました。
ある日、Aくんは仲間2人とともに、Vくんを公園に呼び出し、話をつけようと考えました。
Vくんが反抗的な態度をとったので、Aくんは頭にきて、仲間とともにV君に対して殴る蹴るの暴行を加えました。
Vくんが兵庫県朝来警察署に被害届を出したことで、今回の事件が警察に発覚し、Aくんらは傷害の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんのお母さんは、慌てて兵庫県朝来警察署に面会に行きましたが、まだ会えないと言われ、どうしたものかと困っています。
(フィクションです)

どのような事件に少年法が適用されるのか

少年法は、少年保護手続に関する刑事訴訟法の特則を規定した法律です。
その第1条は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とすることを規定しています。
この少年法が適用される事件は、「少年保護事件」、「準少年保護事件」、「少年の刑事事件」の3つです。
今回は、少年保護事件と準少年保護事件について概観します。

(1)少年保護事件

家庭裁判所が取り扱う非行少年に対する事件を「少年保護事件」といいます。
また、家庭裁判所が非行少年の性格の矯正及び環境の調整に関する措置を行う手続を「少年保護手続」といいます。
ここでいう「非行少年」とは、20歳未満の者であり、犯罪少年、触法少年、虞犯少年の総称で、「審判に付すべき少年」ともいいます。
①犯罪少年
犯罪少年とは、犯罪に該当する行為をした少年をいいます。
刑事未成年者である14歳未満の者は、これに含まれません。
犯罪の種類は限定されていないことから、刑法犯に限らず、道路交通法違反や大麻取締法などの特別法犯も対象となります。
犯罪少年について、構成要件該当性、違法性の各要件を満たす必要があることに異論はありません。
したがって、構成要件に該当する行為を行ったとしても、違法性阻却事由に該当する場合には、犯罪は成立せず、犯罪少年に当たらないことになります。
一方、有責性の要件の具備については、裁判例や学説が分かれています。
②触法少年
触法少年とは、14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年をいいます。
14歳未満の者の行為は、刑法上の犯罪にはなりません。
しかし、少年法上は保護処分の対象となります。
③虞犯少年
虞犯少年とは、次に掲げる事由(虞犯事由)があり、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年をいいます。
虞犯事由は、次の通りです。
・保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
・正当な理由がなく家庭に寄り付かないこと
・犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること
・自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること
このような虞犯少年を家庭裁判所の審判に付すこととなっているのは、いまだ犯罪又は刑罰法令に触れる行為をするに至っていない不良少年を早期に発見し、少年の行状・性格・環境等から犯罪的危険性が看守される場合には、少年に適切な保護を加え、少年の健全な育成を図るとともに、犯罪の発生を未然に防ぐ目的があります。

(2)準少年保護事件

「準少年保護事件」とは、①保護処分取消事件、②収容継続申請事件、③戻し収容申請事件、そして、④施設送致申請事件の4種類の事件を指します。
上の「少年保護事件」が「非行少年」を対象とするのに対し、「準少年保護事件」は保護処分中又は保護処分終了後の少年について、その保護処分を対象とする事件です。

少年法が適用される事件は、成人の刑事事件とは異なる手続に基づいて処理されます。
ですので、お子様が事件を起こしてしまった場合には、早期に少年法に精通する弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件と刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
兵庫県朝来市でお子様が事件を起こしてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

少年事件と観護措置

2019-03-24

少年事件と観護措置

~ケース~
兵庫県多可郡多可町に住む中学3年生のAくんは、同級生のBくんとCくんとともに、他の学校に通うVくんを呼び出し、殴る蹴るなどの暴行を加えました。
Vくんが兵庫県西脇警察署に被害届を提出したことにより、事件が発覚しました。
Aくんらは、中学校卒業直後に兵庫県西脇警察署に逮捕されました。
Aくんは、最初はVくんに暴行を加えることに乗り気ではなかったのですが、その場の雰囲気に流され、Vくんを2回ほど蹴ってしまったと供述しています。
Aくんの両親は、このまま身体拘束が続くと高校の入学式にも出席することが出来ないのではないかと心配しています。
(フィクションです)

少年の身体拘束~観護措置について~

14歳以上20日未満の少年が事件を起こしてしまった場合、長期の身体拘束を受ける可能性があります。
捜査段階では、成人の刑事事件と同様に、逮捕・勾留による身体拘束が予想されます。
事件が発覚し、少年を逮捕・勾留する必要があると判断される場合には、手続に従い裁判所の判断の基、逮捕・勾留されることとなります。
少年の場合には、勾留に代わりに「勾留に代わる観護措置」がとられることもあります。

捜査が終了し、事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は「観護措置」をとり、審判までの数週間にわたって少年を少年鑑別所に収容することができます。
観護措置」とは、家庭裁判所が調査・審判を円滑に行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護し、その安全を図る措置のことをいいます。
観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する措置(在宅観護)と、少年鑑別所に収容する措置(収容観護)とがありますが、実務上、前者はほとんど活用されておらず、観護措置という時には後者を指すものとされています。

家庭裁判所は、家庭裁判所に事件が係属している間は、いつでも観護措置をとることができますが、捜査段階で身体拘束を受けていた少年が家庭裁判所に送致されると、送致時にそのまま観護措置をとるケースがほとんどです。
捜査段階で身体拘束がされていない場合であっても、家庭裁判所に送致された後、観護措置をとる必要があると判断されれば、観護措置がとられることがあります。
観護措置の期間は、法律上では原則2週間とし、とくに継続の必要があるときに1回に限り更新することができるとされているものの、実務上は、ほとんどの事件で更新されており、観護措置の期間は通常4週間となっています。
そのような長い期間、少年鑑別所に収容されることになれば、少年はその間学校や職場に行くことはできませんので、少年の社会復帰に影響を及ぼすことになりかねません。
特に、捜査段階から身体拘束を受けている少年にとっては、逮捕から1か月半もの間収容されることになり、少年の更生にも影響を及ぼしかねません。

そこで、観護措置を回避するため、付添人である弁護士は、身体拘束の長期化を避けるよう活動します。
事案や生活状況を鑑みて、観護措置の必要性がないと判断する場合や、観護措置を避ける必要がある場合には、弁護士は、家庭裁判所の送致される時期を事前に確認し、送致後すぐに付添人届を提出するとともに、裁判官・調査官との面談や意見書の提出を行い、家庭裁判所が観護措置をとる必要がないと判断するよう働きかけます。

このような活動は、少年事件に精通する弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして身体拘束を受けてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。

爆破予告で威力業務妨害事件

2019-03-21

爆破予告で威力業務妨害事件

~ケース~
兵庫県神戸市灘区の学校や老人ホームなどの施設を挙げ、「○○日の午後●時に爆破する」といった内容のメールが灘区役所宛に届きました。
兵庫県灘警察署は、該当する施設の警備を強化するなど、爆破予告を警戒していました。
市内の学校では、児童を予告時間までに帰宅させるなどして対応しました。
市内の施設で不審物や不審者は見つかっておらず、結局予告時間を過ぎても何も起きませんでした。
数日後、兵庫県内に住むAさんが使用するパソコンから爆破予告メールが送られた可能性が高いことが分かり、兵庫県灘警察署はAさん宅を訪れ、Aさんを威力業務妨害の容疑で逮捕しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

爆破予告と刑事事件

ネットの掲示板やメールで、「○○で無差別殺人を行う」「○○を爆破する」などといった殺害予告や爆破予告を行う事件が後を絶ちません。
ほとんどのケースが、予告を受けた人や法人の反応を見て楽しむ愉快犯だと言われています。
しかし、殺害予告や爆破予告を受けた側は、万が一の場合に備えて、警察に通報し、予告対象となった場所や施設などの警備を強化せざるを得ません。
このような場合、刑事事件として捜査機関は捜査に着手し、殺害予告や爆破予告をした者に対して、刑事責任が問われることになります。
無差別殺人予告や爆破予告は、威力業務妨害罪となる場合があります。

威力業務妨害罪について

刑法第234条
 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法第233条
 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

威力業務妨害罪とは、威力を用いて人の業務を妨害する犯罪です。

威力
犯人の威勢、人数および四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を制圧するに足る勢力をいい、現実に被害者が自由意思を抑圧されたことは必要ではありません。(最判昭和28・1・30)
過去の裁判例で「威力」に当たるとされたもとは以下の通りです。
・デパートの食堂の配膳部に、ヘビ20匹をまき散らし、満員の食堂を混乱に陥れた(大判昭和7・10・10)。
・上司の机の引き出しに猫の死骸を入れておき、畏怖させてその執務を不可能にした(最決平4・11・27)。

業務
職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業をいいます(大判大正10・10・24)
この「業務」に「公務」が含まれるかについては争いがあります。
「公務」については、公務執行妨害罪において、「暴行または脅迫」という限られた妨害手段に対してのみ保護の対象となります。
この点、「偽計」(偽計業務妨害罪)、「暴行・脅迫」に至らない「威力」によって公務が妨害された場合に、業務妨害罪が適用できるのかが問題となります。
現在の判例は、「強制力を行使する権力的公務」については「業務」に含まれず、公務執行妨害罪のみ適用され、強制力を行使しない「それ以外の公務」は「業務」に含まれるとする立場をとっています。(最決昭和62・3・12、最決平成12・2・17)

妨害
本罪において、妨害の結果が発生したことまでは不要で、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとされます。

Aさんが送ったとされる爆破予告により、市役所、警察、学校その他の関係機関が、警備の強化などを行うことを強いられ、それにより通常の業務を遂行するに影響を及ぼしたと考えられます。
今回の爆破予告に妨害された公務員の行う職務(=公務)は、通常公務員が行う職務全般を考えられますので、権力的公務と非権力的公務が含まれ、「業務」に該当する「公務」が妨害されたと言えるでしょう。

ネットへの書き込みや爆破予告メールの送信等、いたずらのつもりで安易な気持ちで行った結果、刑事事件に発展し、逮捕されてしまう可能性もあるのです。
もし、あなたが威力業務妨害事件を起こしてしまいお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
弊所は、刑事事件専門弁護士が無料で法律相談をご提供いたします。
ご家族やご友人が逮捕されてしまった場合には、弊所の弁護士が逮捕された方のもとへ赴いて接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
まずは、フリーダイアル0120-631-881へご連絡ください。

名誉棄損事件と示談

2019-03-20

名誉棄損事件と示談

~ケース~
兵庫県南あわじ市に住むAさんは、同じマンションに住むVさんと以前から因縁の仲でした。
Aさんは、ある日、ひょんなことから、Vさんから嫌がらせを受けたと思い込み、Vさんに対して仕返しをしてやろうと思い、「Vさんは、風俗店で働いている」といった内容のビラを作成し、マンションの郵便受け全てに投函しました。
Vさんは、すぐに兵庫県南あわじ警察署に相談し、告訴しました。
ご近所さんからそのことを聞いたAさんは、そのうちに自分の犯行だと発覚するのではと心配になり、慌てて刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

名誉棄損事件における弁護活動

名誉棄損罪は、親告罪です。
親告罪は、告訴がなければ、検察官が公訴を提起することができない罪のことです。
ここでいう「告訴」とは、被害者または被害者の法定代理人の告訴権者が、捜査機関に犯罪の事実を申告し、訴追を求める意思表示のことをいいます。
告訴は、検察官または司法警察員に対して、書面または口頭で行います。
告訴が受理されると、捜査機関は、捜査を開始します。

名誉棄損罪のような親告罪が問題となる場合、事件を穏便に解決するには、何よりも被害者との示談成立が重要です。
示談というのは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届や告訴状の退出を行わない、若しくは、それらを取り下げるなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することをいいます。
被害者のいる事件では、事件の早期解決を図る方法として用いられます。

示談には、締結した内容により次のように種類分けすることができます。

1.被害弁償
加害者が被害者に対して、被害を金銭的に弁償することをいいます。
被害弁償が済んでいれば、将来の民事裁判の可能性を低くすることができます。
2.単なる示談成立
当事者が事件を解決すると約束することで、成立した場合には将来の民事裁判を予防することができます。
3.宥恕付き示談成立
示談書の中に、被害者の許しの意思が表示されている文言が入っている場合、事件が当事者間で完全に解決し、被害者が処罰を望んでいないことを表現することができます。
4.嘆願書作成
被害者が加害者を許す内容の書面を作成することです。
これにより、被害者が処罰を望んでいないこと、或いは、軽い処罰を望んでいることを表現することができます。
5.被害届取下げ
被害者が事件の被害届を取り下げることをいい、これにより事件が刑事事件として立件されることを被害者が望んでいないことを表現します。
6.告訴取消し
被害者が事件に対する告訴を取り消すことです。
被害者が告訴を取り消すことにより、被害者が処罰を望んでいないことを表現することができ、親告罪については、検察官は事件を起訴することができなくなります。

このように、示談を成立させることで、刑事事件を早期に解決する可能性を高めることができます。
しかし、示談の締結は1回限りの行為ですので、加害者本人が直接被害者と行うことには注意が必要です。
まず、加害者が被害者に対して示談をしたいと思っても、被害者と連絡をとることは容易ではありません。
特に、被害者とは全く面識のない場合、警察や検察を通じて被害者の連絡先を教えてもらわなければなりませんが、捜査機関は被害者の連絡先を加害者に直接教えることはあまりありません。
また、被害者は、加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、加害者と直接連絡をとることを望まないケースも多々あります。
ですので、被害者との示談交渉には、弁護士を介して行うことが通常です。
弁護士は、示談交渉を数多く経験しているため、交渉のノウハウを持っています。
示談交渉に優れた弁護士に依頼し、適切な法的サポートを受け、加害者と被害者がお互いに納得できるような示談をしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
所属弁護士は、これまで数多くの刑事事件を取り扱ってきており、被害者との示談交渉にも豊富な経験があります。
あなたが、刑事事件を起こしてしまい、被害者への被害弁償・示談をお考えなら、弊所の弁護士にご相談ください。

DV事件で逮捕

2019-03-11

DV事件で逮捕

~ケース~
兵庫県加古郡播磨町に住むAさんは、妻のVさんが勝手に携帯電話を見たことに腹を立て、口論の末、顔を拳で殴ってしまいました。
口の中を切ったVさんは、警察に通報し、すぐに兵庫県加古川警察署から警察官がAさん宅に駆け付けました。
Aさんは、傷害の容疑でその場で逮捕となりました。
(フィクションです)

DV事件と刑事事件

DVとは、ドメスティック・バイオレンスの略語です。
誰もがこの言葉を聞いたことがありますよね。
特に、最近ではDVが社会問題として大きく取り沙汰されていますので、その言葉をニュースで耳にすることも多いと思います。

DVの定義について、明確に定められたものはありませんが、配偶者や恋人などから受ける暴力といった意味で使用されています。

DV事件の多くは、被害者が警察に被害届を出すことにより、捜査機関に事件が発覚します。
かつては、夫婦間のトラブルは、民事不介入で警察が介入することはあまりなかったようですが、些細なトラブルから殺人などの悲惨な事件へ発展するケースが増え、その反省からも、警察がDV事件の通報を受けてすぐに対応するようになったと言われています。

警察は被害届を受けて、報告された犯罪事実が存在すると判断した場合には、捜査を開始し、犯罪に該当する場合には被疑者を逮捕することもあります。
DV事件で問われる犯罪は、主に以下の罪です。
・身体的DV…暴行罪、傷害罪。結果、相手を死亡させてしまった場合には、傷害致死罪。殺意があった場合には、殺人罪。
・精神的DV…傷害罪、脅迫罪。
・性的DV…強制性交等罪、強制わいせつ罪。

すべての刑事事件で被疑者が逮捕されるわけではありませんが、捜査機関が逮捕の理由と必要性があると判断した場合に、被疑者を逮捕します。

第百九十九条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」ことです。

第百四十三条の三 逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。

逮捕の必要性とは、被疑者が逃亡や罪証隠滅をするおそれがあることを言います。

DV事件では、被害者である家族や恋人の居場所や連絡先を知っていることが多く、被疑者が被害者と接触を図り被害届の取下げや証言を変更するよう迫る可能性があるため、身体拘束されることが多くなっています。
逮捕に引き続き勾留されると、10日間(最大20日間)身柄が拘束されることになります。
その間留置施設にいることになりますので、職場や学校にも行くことは出来ません。
職場に事件のことが発覚してしまったり、無断欠勤扱いで解雇となったりと多大な不利益を被ることになりかねません。
そのような事態を避けるためには、何よりも、出来るだけ早い段階で弁護士に相談し、身柄解放活動を依頼することです。

弁護士は、検察官や裁判官に、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを説得的に主張し、勾留を請求しない、或いは決定しないよう働きかけます。
刑事事件はスピードが重要です。
DV事件でご家族が逮捕されてしまったら、すぐに刑事事件専門の法律事務所である弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問合せ下さい。
加古川警察署までの初回接見費用:39,300円)

不適切動画で業務妨害事件

2019-02-20

不適切動画で業務妨害事件

~ケース~
兵庫県姫路市にある飲食チェーン店でアルバイトとして働く大学生のAくん(21歳)は、客がいない時間帯に、店内で他のアルバイト店員と食材を投げ合う等不適切な行為を撮影した動画を、ネットにアップしました。
Aくんは、数時間後に動画を削除しましたが、その間に動画は拡散し、世間に知れ渡る結果となりました。
Aくんはアルバイトを解雇されることになりましたが、会社からは、相応の対応をすると言われており、刑事責任にも問われるのではないかと心配になり、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(事実を基にしたフィクションです)

不適切動画で刑事事件に発展!?

ここ最近、某有名飲食店において、アルバイト店員が、悪ふざけのつもりで、店内で物を投げたり、食材を無下に扱ったりする様子を撮影し、その動画をネットにアップするというケースが後を絶ちません。
本人たちは、笑いをとるために行っただけかもしれませんが、結果、会社のイメージを下げ、経営に影響を与えたり、会社側が公に謝罪をしたりと、会社側が多大なる不利益を被ることになっています。
会社から本人に対して損害賠償請求などが行われる可能性もありますが、それ以外にも、刑事責任に問われる可能性もあるのです。

業務妨害罪

業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の業務を妨害する(「偽計業務妨害罪」)、或いは、威力を用いて、人の業務を妨害する(「威力業務妨害罪」)犯罪です。

偽計業務妨害罪および威力業務妨害罪は、「人の業務を妨害する」という点で同じですが、その手段が、「偽計の風説を流布し、又は偽計を用いて」であるのと、「威力を用いて」であるのとで異なります。
「業務」というのは、自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連して行う職業その他の継続して従事することを必要とする事務のことを指します。
「妨害」について、判例は、妨害の結果発生は不要であり、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとしています。(大判昭11・5・7)
つまり、判例は、業務妨害罪を抽象的危険犯と捉えています。
上の業務が妨害されたか否かという点は、当該業務が実際に妨害されたかという結果は必要とされず、業務が妨害される可能性がある行為であることで足りるのです。
この点、不適切動画の拡散行為は、結果として、会社が当該行為に対する問合せに対応したり、謝罪を行うなど、本来の業務を行う時間を割かなければならず、実際に業務が妨害されたと言えるでしょう。

次に、手段についてみていきたいと思います。
偽計業務妨害罪における「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて」について、「虚偽の風説の流布」とは、少なくとも一部が客観的事実に反する噂や情報を不特定又は多数人に伝搬することをいいます。
直接伝達したのが少数であっても、その者を介して多数人に伝播するおそれがあるときには、これにあたります。
また、「偽計」とは、人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用することです。
裁判例では、外面からわからないように漁場の改定に障害物を沈め、漁業者の漁網を破損させて漁獲不能としたもの、中華そば店に多数回の無言電話をかけて業務を妨害したもの、他人名義で虚偽の電話注文として、徒労の商品配達をさせたもの、などがあります。
一方、威力業務妨害罪の「威力」というのは、人の自由意思を抑圧するに足りる勢力のことをいいます。
裁判例では、デパートの食堂の配膳部にヘビをまき散らしたもの、机の引き出しに猫の死骸を入れ、これを被害者に発見させたもの、キャバレーの客席で牛の内臓をコンロで焼いて悪臭を放ったものなど、人の意思に働きかけるものから公然と行われた妨害行為まで広く認められています。
「偽計」と「威力」の区別は、時に微妙な場合がありますが、相手の錯誤を誘発する(=「偽計」)か、人の自由意思を制圧する(「威力」)かで区別することになっています。
もちろん、どのケースでも明確に区別できるというものではなく、事案ごとに判断されます。

しかし、業務妨害罪は故意犯ですので、罪を犯す意思がなければ成立しません。
「人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用し、若しくは、人の自由意思を抑圧するに足りる勢力を用いて、人の業務を妨害する」という意図や認識を持ち、当該行為を行った場合に、業務妨害罪は成立することになります。

悪ふざけのつもりで不適切動画を拡散させてしまったことにより、民事責任だけでなく、場合によっては刑事責任が問われることもあります。
自分の行為が犯罪となるのか、犯罪となる場合にはどのように対応すればよいのか、お困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

器物損壊事件で示談

2019-02-17

器物損壊事件で示談

~ケース~
兵庫県三田市に住むAさんは、自宅の前に度々路上駐車してある車があることに腹を立てていました。
ある日、偶然持ち主が車に乗るところに遭遇し、自宅前に駐車しないよう注意しました。
しかし、その後も自宅前に駐車され続けていたことに激怒したAさんは、持っていた自宅のカギで停車中の車の車体に傷をつけました。
翌日、兵庫県三田警察署からやってきた警察官に、車の持ち主が被害届を出していると言われ、警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)

器物損壊罪とは

刑法第261条(器物損壊等)
 前3条[公用文書等毀棄、私用文書等毀棄、建造物等損壊及び同致死傷]に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料の処する。

器物損壊罪の客体は、「前3条に規定した以外の他人の物」です。
これには、動産・不動産だけでなく、ペットなどの動物も含まれます。

器物損壊罪の行為は、「損壊」または「傷害」することです。
「損壊」というのは、物理的に壊す行為に限定されず、広く物本来の効用を失わしめる行為を含みます。
過去の裁判例では、他人の飲食器に放尿する行為(大判明42・4・16)、荷物から荷札をとりはずす行為(最判昭32・4・4)、公選法違反のポスターにシールを貼る行為(最決昭55・2・29)などが「損壊」に該当するとしています。

また、「傷害」は、客体が動物の場合に用いられます。
動物を物理的に殺傷する以外に、本来の効用を失わせる行為を含みます。
例えば、鳥かごを開けて他人の飼っていた鳥を逃がす行為や、池に飼育されている他人の鯉をいけすの柵を外して流出させる行為などです。

上記ケースのように、車の車体に傷がつけられた場合、その車を運転することはできますが、持ち主は傷がついた車に乗りたくはないでしょうし、その車を売りに出す際には、傷がついた車の価値は下がりますので、売値にも影響します。
ですので、Aさんは「他人の物を損壊した」と言えるでしょう。
しかし、もしAさんが過失で車に傷をつけた場合には、器物損壊罪は成立しません。
故意に、つまり、わざと他人の物を損壊した場合にのみ成立します。
Aさんは、この点、故意がありますので、器物損壊罪が成立するでしょう。

器物損壊事件における弁護活動~示談~

器物損壊罪は親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
告訴というのは、被害者自身やその親族などの告訴権者が、捜査機関に犯罪の事実を申告し、処罰を求める意思表示のことです。
ですので、器物損壊事件において、事件を穏便に解決するためには、被害者との示談を締結し、告訴しない旨や告訴をしている場合にはその取下げを約束してもらうことが重要です。
通常、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行います。
というのも、被害者との接触を避けるため、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えない場合も多いですし、被害者が加害者本人に直接会うことを拒否するなど、加害者が直接被害者と連絡がとれないというケースが多いからです。
また、被害者の連絡先を知っていたとしても、当事者同士では、感情論に発展し、なかなか交渉が進まないことも多々見受けられます。
そのような場合でも、弁護士限りであればと被害者が捜査機関に連絡先を教えることも多く、弁護士は、被害者の気持ちに配慮しつつ、加害者側の謝罪や反省の気持ちを伝え、示談をすることのメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、粘り強く示談締結に向けて交渉します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
所属弁護士は、これまで数多くの刑事事件を取り扱ってきており、その中で示談交渉を何度も行ってきております。
兵庫県三田市器物損壊事件でお困りの方、被害者との示談交渉でお悩みの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
初回の法律相談無料
問合せ先:フリーダイアル0120-631-881

いたずらで威力業務妨害罪

2019-02-13

いたずらで威力業務妨害罪

~ケース~
兵庫県神崎郡市川町に住むAさんは、友人らと電車に乗車している際、いたずらで非常停止ボタンを押し、電車を緊急停止させたとして兵庫県福崎警察署で取調べを受けています。
警察から呼び出しを受けたAくんの両親は、急いで警察署に向かいました。
その日、Aさんは帰宅することが出来ましたが、警察からはまた呼び出すと言われており、心配になったAくん家族は、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)

威力業務妨害罪とは

刑法第234条
 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条[信用棄損及び業務妨害]の例による。

威力業務妨害罪は、以下を構成要件とする犯罪です。
①威力を用いて、
②人の業務を妨害したこと

客体:人の業務
「業務」とは、自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連しておこなう職業その他の継続して従事することを必要とする事務のことをいいます。
職業のような経済活動の典型例とする「社会生活上の活動」であることが必要で、娯楽や趣味で行う個人的な活動や家庭生活上の活動は含まれません。

行為:威力を用いて人の業務を妨害すること
「威力」は、犯人の威勢、人数および四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を抑制するにたりる勢力をいい、現実に被害者が自由意思を抑圧されたことは必要とされません。(最判昭28.1.30)
裁判例で威力に該当するとされたものには、デパートの食堂の配膳部にヘビをまき散らした事例、机の引き出しに猫の死骸を入れ、これを被害者に発見させた事例など、人の意思に働きかける場合のほか、営業中の商家の周りに板囲いを設置した事例など公然と行われた妨害行為まで広く認められています。
業務妨害の手段が異なる「偽計業務妨害」との区別ですが、「偽計」は相手の錯誤を誘発する行為で、「威力」は相手の意思を抑圧する行為をいうとされており、判例や裁判例では、非公然の妨害行為が「偽計」で、公然と行われた妨害行為が「威力」とする立場をとっています。

上記ケースでは、Aくんはいたずらのつもりで、電車内の緊急停止ボタンを押して、実際、電車を緊急停止させています。
Aくんの緊急停止ボタンを押すという行為により、電車の運転手は、緊急停車しなければならない状況にあり、その自由意思が抑制されているので、Aくんの行った行為は「威力」に該当し、電車を運行する鉄道会社の業務を妨害したと言えるでしょう。
やった本人は単なるいたずらのつもりでも、刑事事件に発展してしまうこともあるのです。

威力業務妨害事件の弁護活動

威力業務妨害事件は被害者がいる事件ですので、事件を穏便に解決するには、被害者との示談交渉が重要です。
威力業務妨害罪は親告罪(被害者の告訴がなければ、公訴を提起することができないもの)ではありませんが、被害者との示談が成立しており、被害届が取り下げられた場合には、検察官もその点を考慮して不起訴処分とする可能性は高いでしょう。
ですので、威力業務妨害事件を起こしてしまった場合には、早期に被害者との示談交渉に着手することをお勧めします。
示談交渉は、一般的に弁護士を介して行うのがよいと言われています。
それは、当事者同士が直接交渉することで、感情的になり話し合いがうまくすすまなかったり、被害者側が加害者と直接連絡をとることを拒否する場合が多いからです。
示談が成立し、不起訴処分となれば、前科がつくことはありません。
身柄が拘束されている場合には、即釈放となります。

威力業務妨害事件で刑事事件の加害者となりお困りの方、被害者との示談交渉にお悩みであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にお任せください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881へご連絡いただき、無料法律相談のご予約を。

傷害罪で逮捕

2019-02-12

傷害罪で逮捕

~ケース~
兵庫県神戸市西区にある介護福祉施設に入所している女性が不自然な怪我を負っていることに職員が気が付き、内部調査を進めていました。
すると、職員のAさんが女性に対して暴力を振るっていたことが分かり、兵庫県神戸西警察署に通報しました。
Aさんは、女性が転んだ時にできた怪我だと供述しており、容疑を否認しています。
(フィクションです)

犯罪とは

法律に違反する行為を行った場合、全てのケースにおいて、ただちに犯罪が成立するわけではありません。
犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」をいいます。
つまり、犯罪というのは、人の行為であって、
①構成要件に該当すること
②違法であること
③有責であること
のすべてを満してはじめて成立するのです。

【構成要件】
犯罪となるには、法律で定められている行為類型に該当しなければなりません。
この法律により犯罪として定められた行為の類型を「構成要件」といいます。
上記ケースにおいて、「傷害罪」が問題となっていますが、この「傷害罪」を例にとってみていきましょう。
傷害罪は、刑法第204条に規定されています。

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪の構成要件は、「人の身体を傷害した」行為であることです。
この構成要件は、それを構成する構成要件要素から成っており、構成要件要素は個々の犯罪によって異なりますが、一般的に言えば、①行為の主体、②行為、③結果、④行為と結果との間の因果関係、⑤故意・過失です。
傷害罪の行為は、「人の身体を傷害」することです。
「傷害」の意味については、争いがありますが、判例は「人の生理的機能に障害を与えること」と解しています。
殴って骨折させるような場合だけでなく、嫌がらせの電話を繰り返し相手をノイローゼにさせる場合にも、「人の身体を傷害」する行為となります。
傷害罪の構成要件的故意について、相手に怪我を負わせるつもりで殴った場合のように傷害の故意がある場合には、傷害罪が成立し得ることについて問題はありません。
しかし、暴行を加える意図で相手方の顔を軽くたたいたところ、相手方がバランスを崩して転倒し、結果、大けがを負わせた場合にも、傷害罪が成立するのかが問題となります。
この点、暴行罪の条文が「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」という文言であることから、傷害罪は暴行罪の結果的加重犯を含んでいると解するのが通説であり、暴行の故意があれば足りるとされています。
上記ケースでは、Aさんが「女性が転んだ」と供述しており、それが事実であれば、Aさんは「人の身体を傷害した」とは言えず、Aさんに対する傷害罪は成立しないことになります。
しかし、仮に「怪我をさせてやろう」と思って女性に暴行を加えてないとしても、暴行を加える意図をもってして暴行を加えた結果、女性が怪我を負ってしまったのであれば、傷害罪が成立し得ることになります。
不注意で女性に怪我を負わせてしまったのであれば、傷害罪ではなく、「過失傷害罪」や「重過失傷害罪」が成立する可能性もあります。

【違法性】
犯罪であるというためには、構成要件に該当する行為が違法でなければなりません。
犯罪として法律で規定された行為は、本来違法であることが想定されたものではありますが、その違法性が失われる特段の事情がある場合には、違法性は阻却され、犯罪が成立しないことになります。
そのような特段の事情を「違法性阻却事由」といいます。
違法性阻却事由には、正当行為、正当防衛、緊急避難があります。
相手方から攻撃を受け、反撃しないと自分が殺されるといった窮地において、相手方に反撃し、結果、相手方に傷害を負わせてしまった場合には、正当防衛が成立し、傷害罪とならない可能性もあります。

【責任】
構成要件に該当し、違法である行為が、行為者により有責に行われたのでなければ、犯罪は成立しません。
すなわち、責任の判断は、構成要件に該当する違法な行為を行ったことについて、その行為者を非難することができるという評価となります。
責任の要素は、責任能力、故意・過失、そして期待可能性です。
責任能力や期待可能性が欠ける場合には、責任が阻却され、犯罪は成立しないことになります。
例えば、傷害を負わせた者が14歳未満であれば、責任能力がなく、責任が阻却されます。

構成要件に該当する違法かつ有責な行為であるか否かは、客観的に判断されます。
刑事事件の加害者となり、行った行為が犯罪となるのか、犯罪となる場合にはどのような処罰を受けるのか…とお悩みであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

傷害致死事件の幇助

2019-02-09

傷害致死事件の幇助

~ケース~
兵庫県多可郡多可町に住むAさんは、元夫との間にもうけたXくんとYくんを連れて、Bさんと内縁関係となり、同居していました。
しばらくすると、Bさんが、Aさん対して暴力を振るうようになりました。
次第に、XくんやYくんに対しても「しつけ」と称して手を挙げるようになりました。
初めは、AさんはBさんにやめるよう言っていましたが、自分にも暴力を振るわれるのを恐れ、AさんはBさんが子供たちに暴力を振るうのを見て見ぬふりをしていました。
ある日、Bさんは、言うことを聞かないYくんの顔面を何回も殴り、Yくんはそのまま意識を失って倒れてしまいました。
Aさんは、急いで救急車を呼びましたが、搬送先の病院でYくんの死亡が確認されました。
Yくんの身体に複数のあざがあったことから、病院は兵庫県西脇警察署に通報し、Bさんを傷害致死の容疑で逮捕し、Aさんを傷害致死幇助で逮捕しました。
(実際にあった事件を基にしたフィクションです)

不作為による傷害致死の幇助

親からの虐待により幼い命が失われるという、なんとも悲しい事件が後を絶ちません。
兵庫県において、2018年の1年間に兵庫県警察が摘発したDV事件は778件に上っています。(神戸新聞NEXT 2019年2月4日6時25分掲載記事を参照)
増加の背景には、DV事件が殺人などの重大事件に発展する事例が増えていることから、捜査機関がこれまで以上にDV関連事件に関与するようになったことがあるようです。

つい最近の事件では、千葉県の小学4年生の女児が父親から暴力を受けて死亡した事件がありました。
父親は傷害容疑で逮捕されましたが、母親もまた父親の暴力を黙認していたとして共犯で逮捕されたのには、驚いた方も多かったのではないでしょうか。
過去にも同じようなケースで、内縁の夫の暴力を黙認していた母親に対して、不作為による傷害致死幇助が認められた事例があります。

幇助」は、「正犯を幇助」する、つまり、正犯に物的・精神的な支援をすることによって、その実行行為の遂行を促進し、構成要件該当事実の惹起を促進することを意味します。
「正犯を幇助」したか否かについては、犯行道具を正犯に渡すなどの「作為」のみにとどまらず、黙って傍に佇んでいるといった「不作為」の場合についても、その「不作為」が「正犯を幇助」したということであれば、不作為による幇助が成立することになります。
では、どのような「不作為」が「正犯を幇助」すると言えるのかが問題となります。
つまり、正犯の犯行に影響力を与える「不作為」が一体どのようなものか、という点が争点になります。
この点、札幌高裁は、不作為による幇助犯の要件として、
「正犯者の犯罪を防止しなければならない作為義務のある者が、一定の作為によって正犯者の犯罪を防止することが可能であるのに、そのことを認識しながら、右一定の作為をせず、これによって正犯者の犯罪の実行を容易にした」
ことが、作為による幇助犯の場合と同視できると解しています。
「作為義務」について、母親は、死亡した子供の唯一の親権者であり、内縁の夫の暴行を阻止し得る者は母親以外にはおらず、子供の生命の安全の確保は母親のみに依存していたと考えられ、母親は内縁の夫の暴行を阻止すべき作為義務を負っていたと考えられます。
また、母親に要求される「一定の作為」は、内縁の夫の暴力を実力で阻止する行為だけでなく、内縁の夫に暴力を振るわないよう言葉で阻止する行為や警察などに通報する行為なども含まれるとされています。(札幌高裁平成12年3月16日判決)

以上を踏まえて上記ケースを考えてみると、Aさん自身もBさんから暴力を振るわれていたとは言え、AさんはYくんの親権者であり、Yを保護する責任があったにもかかわらず、BさんがYに暴力を振るう様子を見て見ぬふりをしており、阻止しようとBさんを止めたり警察に通報したりせず、結果、その「何もしなかった」ことがBさんがYくんに暴力を振るう行為を促すことになり、Yくんを死亡させてしまったと言え、Aさんは傷害致死幇助犯となる可能性があるでしょう。

事件の内容により、どのような犯罪が成立し、如何なる責任に問われるかが異なりますので、刑事事件の加害者として警察から取り調べを受けている方、ご家族が逮捕されてお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件を専門とする弁護士が、初回に限り無料で法律相談を行います。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

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