Archive for the ‘暴力事件’ Category

児童虐待で逮捕

2019-07-05

児童虐待で逮捕

~ケース~
数年前に妻と離婚し、それ以来男手一つで3人の子供を育ててきたAさん。
しかし、子供が言いつけを守らない時には手を挙げることもしばしばありました。
ある時、子供Vくんが反抗的な態度に出たことに腹を立てたAさんは、Vくんの頬を思いっきり拳で2~3発殴ってしまい、Vくんの顔にあざが出来てしまいました。
翌日、Vくんの顔のあざに気づいた学校の先生が、校長に報告し、学校から児童相談所に報告が行くことになりました。
Vくんは児童相談所に一時保護されており、児童相談所から連絡を受けたAさんは警察に逮捕されるのではないかと不安です。
(フィクションです)

児童虐待は犯罪か?

保護者が、子供に対してしつけと称して手を挙げてしまった場合、その行為は犯罪に当たるのでしょうか。

まず、「児童虐待」とは何か?という点ですが、これについては児童虐待の防止等に関する法律(以下、「児童虐待防止法」といいます。)第2条に定義されています。

第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。

四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

子供に対し身体的な暴力を加えることは、上の第1号に該当することになります。
児童虐待防止法は、その第3条において、児童に対する虐待を禁止しています。
しかし、児童虐待防止法は、児童虐待をした者に対する罰則を設けていません。

刑事手続では無罪推定原則があること、そして、逮捕・勾留、裁判、刑罰執行という事態が、子供の実際の監護養育にとってかえって好ましくない場合もあるので、児童虐待に該当するすべての行為に対して刑事的対応がなされるわけではありません。
一方、児童虐待防止法は、「児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。」と14条2項において明記しています。
身体的虐待の場合、子供を殴る行為は暴行罪、それにより怪我をさせた場合は傷害罪、さらに子供を死亡させてしまった場合には傷害致死罪または殺人罪の刑事責任が問われる可能性があります。
児童虐待ではなくしつけであったとの主張が多くなされていますが、親権者の懲戒権との関係について判示した裁判例に以下のものがあります。

9歳の子供の両手を針金で縛り押入内に入れて、トイレや食事以外を除く10数時間も継続して閉じ込めて放置したという事案において、親権者からの懲戒権の行使であるとの主張に対して、「到底一般社会人の首肯できる妥当な懲戒行為としては認められず、即ち正当な懲戒権行使の限度を超えたもの」として、逮捕監禁罪の成立を認めました。(東京高判昭35・2・13)

しつけと児童虐待との明確な線引きというのは、そう容易ではありませんが、一般的に懲戒権行使の範囲を超える行為をみなされると虐待行為として刑事的責任が問われることになります。

児童虐待で逮捕される可能性は?

児童虐待で警察に通報された場合、逮捕される可能性は高くなっています。
被害者である子供が児童相談所に保護されている場合であっても、その他の家族と共謀して罪証隠滅を図るおそれがあると判断されるためです。
逮捕されたら、原則、逮捕から勾留までの間は家族であっても逮捕された方と面会することは認められません。

ご家族が児童虐待逮捕されたら、すぐに弁護士に接見を依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご依頼から24時間以内に逮捕された方のもとに赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。

爆破予告で偽計業務妨害罪

2019-07-01

爆破予告で偽計業務妨害罪

~ケース~
兵庫県淡路市に住むVさんは、元交際相手のAさんから、Vさんが住むマンションを爆破するとLINEで爆破予告を受けました。
Vさんは怖くなり、すぐに兵庫県淡路警察署に相談しました。
相談を受けた淡路警察署の警察官は、マンションや周辺に不審物がないか捜索しましたが、何も見つかりませんでした。
後日、警察署はマンション付近にいたAさんを、爆破予告で警察を出動させたとして、偽計業務妨害の疑いで逮捕しました。
(神戸新聞NEXT 2019年6月17日21時25分掲載記事を基にしたフィクションです)

偽計業務妨害罪

上記ケースでは、Aさんは偽計業務妨害の容疑で逮捕されました。
それでは、今回は、偽計業務妨害罪とはいったいどのような犯罪なのかについてみていきたいと思います。

第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

本条の前段は信用棄損罪についての規定であり、後段が「偽計業務妨害罪」についてのものとなります。
偽計業務妨害罪の保護法益(法によって保護される利益)は、人の業務の安全です。
ここでいう「業務」とは、自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連して行う職業その他の継続して従事することを必要とする事務をいいます。
この事務は、経済的に収入を得る目的でなくても構いません。

さて、偽計業務妨害罪の客体である「業務」には「公務」も含まれるのでしょうか。
公務については、公務執行妨害罪において、「暴行又は脅迫」という限定された妨害手段に対してのみ保護されています。
一方、業務妨害については、人の業務を①虚偽の風説の流布や偽計(刑法第233条)、②威力(刑法第234条)、③電子計算機損壊等(刑法第234条の2)という妨害手段から広く保護しています。
そのため、公務執行妨害罪で限定的に保護されている公務を業務妨害の罪で保護されている業務に含むことが適切か否かが問題となるのです。
判例は、権力的・支配的性質の公務は業務妨害の「業務」に含まれないが、非支配的公務、特に私企業的な公務は含まれ、非支配的な公務に対しては、公務執行妨害罪と業務妨害罪とが競合的に成立し得るとしています。
つまり、強制力を行使する権力的公務については公務執行妨害罪のみの適用があり、その他の公務については、公務執行妨害罪と業務妨害罪の双方の適用があるのです。
しかし、権力的公務であっても偽計に対しては自力での妨害排除機能が認められないので、偽計業務妨害罪の成立を認める裁判例も多くなっています。
例えば、ネットの掲示板に無差別殺人予告を行い、警察を警戒出動させて本来の警ら業務等を妨害した事例につき、偽計業務妨害罪の成立を認めています。(東京高判平21・3・12)

次に、偽計業務妨害罪の行為についてですが、「偽計の風説の流布」または「偽計を用いて」、「人の業務を妨害する」ことです。
「虚偽の風説を流布」とは、虚偽の事項を内容とする噂を不特定多数の者に知れ渡るような態様において伝達することをいいます。
「偽計」とは、人を欺罔・誘惑し、または他人の無知や錯誤を利用することをいいます。
偽計は「人」に対しての行為を指し、「機械」に対しては含まれません。

ここで、業務妨害罪である「偽計業務妨害罪」と「威力業務妨害罪」を区別する業務妨害手段の違いについて説明したいと思います。
「偽計」は、相手の錯誤を誘発する行為であって、相手の意思を制圧する行為を「威力」といいます。
これらの区別は具体的場面において難しい場合がありますが、判例は概して、それが外見的にみて明らかである、公然と行われた妨害行為が「威力」であり、外見的にみて明らかでない、非公然と行われた妨害行為は「偽計」としています。

では、ここで上記ケースにおける爆破予告が「偽計」若しくは「威力」のどちらに当たるのかについて検討してみましょう。
上記ケースでは、AさんがVさんに対して「マンションを爆破する」と連絡し、怖くなったVさんが警察に通報し、警察が出動したものです。
この事件(業務妨害)の被害者は、通報を受けて不審物の捜索や警戒にあたった警察です。
しかし、Aさんは、被害者である警察に対して直接爆破予告をしていません。
つまり、被害者に対して公然と行われた妨害行為ではないため、当該業務妨害は「偽計」を用いて遂行されたと言えるでしょう。

偽計業務妨害罪で被疑者として取調べを受けた、あるいは逮捕されたら、すぐに弁護士に相談することが大切です。
取調べでどのような供述をするかは、その後の処分にも大きく影響しますので、自己に不利な供述調書を取られないためにも、早期に弁護士に相談し、取調べ対応についてのアドバイスを受けるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、偽計業務妨害事件も含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。

悪口言いふらしたら、ネットに書き込んだら名誉毀損罪!?

2019-06-30

悪口言いふらしたら、ネットに書き込んだら名誉毀損罪!?

~ケース~
大学生のAさん(20歳)は、同じサークルに所属するVさんを忌み嫌っていました。
というのも、元々AさんとVさんは仲が良かったのですが、Aさんが同じサークルに所属するBくんに好意を抱いていることをVさんに相談したことで、VさんもBくんに好意を寄せるようになり、結局VさんがBくんに告白し二人が付き合うようになったという出来事があったからです。
Aさんは、Vさんのした裏切り行為を許すことが出来ず、サークル仲間にVさんの悪口を言いまわっていました。
Aさんは、匿名でネットの掲示板にもVさんを名指しし誹謗中傷するような書き込みをしていました。
ある日、サークル仲間を通じてAさんがVさんの悪口を言っていることやネットの掲示板にひどい書き込みがしてあることを知ったVさんが、Aさんに対して「これ以上はやめてほしい。でないと警察に相談する。」とメールで警告してきました。
Aさんは自分のやった行為が犯罪に当たるのか、Vさんが警察に相談した場合にはどうなるのか心配になり刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

人の悪口を言いふらす行為やネット上に書き込む行為は犯罪?

誰もがみな仲良く争いもなく生活を送る、そんな素晴らしい人生が送らたらどんなに幸せでしょうか。
十人十色といいますが、人生長く生きていれば、気が合う人もいれば、そうでない人も出てくるでしょう。
ついつい嫌いな人や苦手な人の悪口を言ってしまうものですが、度が過ぎる行為は犯罪となる可能性もありますので気を付けましょう。

名誉毀損罪

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に、その事実の有無にかかわらず成立する犯罪です。
「人の名誉」というのは、人についての事実上の社会的評価を意味します。
ですので、人の真価とは異なった評価である虚名も保護され、摘示した事実が真実でも、後述する真実性の証明による免責が認められない限り、処罰対象となります。
名誉の対象は、自然人の他に、法人などの団体を含みます。

「公然」とは、不特定多数人が認識し得る状態をいいます。
不特定人というのは、相手方が特殊の関係によって限定された者でない場合をいい、多数人とは数字によって何人以上と限定することはできないが、単に数名では足りず、相当の員数であることを必要とします。
また、特定少数の者に事実を摘示した場合であっても、伝播して不特定多数の者が認識し得る可能性を含む場合には公然性が認められます。

摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りる事実であることが必要となります。
この事実は、真実か否か、公知か否か、過去のものか否かは問われません。
「摘示」とは、具体的に人の社会的評価を低下させるに足りる事実を告げることをいいます。
摘示の方法・手段には制限がありません。

名誉毀損罪は、社会的評価を害するおそれのある状態を発生させればたり、公然と事実を摘示すれば通常人の名誉は毀損されたものといえます。

さて、真実である事実を摘示した場合にも名誉毀損罪は成立するのですが、真実性の証明による免責が設けられています。
名誉毀損行為が、公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合で、摘示した事実が真実であることの証明があったときに、免責が認められます。
加えて、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実、公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実についての特則も定められています。(刑法第230条の2)

では、Aさんの行為が名誉棄損罪に当たるのか検討してみましょう。

(1)Vさんの悪口をサークル仲間に言いふらす行為について

Aさんは、AさんがBくんを好きなことを知った上でBくんに告白し付き合うことになったVさんが許せないのですから、おそらくAさんが言いふらしたVさんの悪口は「Vさんは友人の好きな人を知っていたのに、その人を奪うような人間だ!」といった感じの内容でしょう。
これが事実だとしても、この内容はVさんの社会的評価を下げるものと言えるでしょう。
しかし、Aさんがサークル仲間にその事実を言いふらしたことが「公然」と言えるかが問題となります。
サークル仲間全員の前で、事実を摘示したのであれば公然性が認められるでしょうが、サークル仲間のうち数名だけに対して摘示したのであれば、それだけで公然とは言うことは難しいでしょう。
摘示した人物が「おしゃべり好き」で知られた人物であった場合には、その人から不特定多数の者に摘示した事実が伝播する可能性が認められるかもしれません。

(2)Vさんの悪口をネットの掲示板に書き込む行為について

一方、ネットの掲示板に書き込む行為は、それによってサークル仲間に限らず不特定多数の者が閲覧可能な状態にしていることになりますので、公然性が認められることになります。
ですので、この場合には、名誉棄損罪が成立する可能性が高いでしょう。

名誉棄損事件を穏便に解決する方法としては、被害者との示談成立が挙げられます。
なぜならば、名誉棄損罪は親告罪だからです。
親告罪というのは、告訴権者による告訴がなければ、公訴を提起することができない罪のことです。
ですので、名誉棄損事件で加害者となってしまった場合には、すぐに被害者との間で示談を成立させ事件化回避や不起訴獲得などを目指します。
しかし、名誉を棄損された被害者は、加害者に対して怒りや恐怖を感じていることが多く、直接話をすることに積極的でない場合が多いのです。
ですので、被害者との示談交渉には、第三者である弁護士を介して行うことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名誉棄損事件をはじめとする刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
名誉棄損事件でお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

酔っ払って暴力事件

2019-06-29

酔っ払って暴力事件

~ケース~
会社の飲み会でAさんは上司や部下ら数人と兵庫県神戸市東灘区の居酒屋で夜10時頃まで飲み食いしていました。
店を出るときはそこまで酔っ払っていなかったのですが、上司から2軒目に誘われ、そこで足もとがふらつくぐらい酔っ払ってしまいました。
2軒目を出ると、上司が通行人Vさんとぶつかり、2人の間で意図的にぶつかったのどうだのと言い争いになりました。
Aさんは酔っ払っていましたが、仲裁に入ろうとして2人の間に入りましたが、気が大きくなっていたAさんはVさんの言動に腹が立ち、とうとうVさんの顔面を拳で一発殴ってしまいました。
目撃者からの通報で駆け付けた兵庫県東灘警察署の警察官は、Aさんを暴行容疑で逮捕しました。
Aさんは酔っ払っていて記憶が曖昧ですが、自分がVさんを殴ったことは自分の手の腫れ具合から間違いないだろうと供述しています。
会社のこともあるので、一日でも早く釈放されないかと心配でたまりません。

酔っ払った末の刑事事件

普段は温厚で犯罪とは何ら関りをもたない方でも、酔っ払って気が大きくなり罪を犯してしまうケースは少なくありません。
特に、酔った勢いで人に手を挙げてしまったり、物を壊してしまうといったことはよく耳にします。
お酒の失敗談として笑い話で済めばいいのですが、残念ながら犯罪行為となり、被疑者として警察に逮捕される可能性があるのです。

それでは、酔っ払って人を殴ってしまった場合に成立し得る犯罪はどのようなものでしょうか。

暴行罪

上記ケースでも問われている「暴行罪」が成立する可能性があるでしょう。
暴行罪については、刑法第208条に規定されています。

第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の構成要件は、
①人に暴行を加えたが、
②その人が傷害するに至らなかった
ことです。

ここでいう「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいいます。
いわゆる殴る蹴るといった暴力の行使のみならず、音・光・熱等による作用も含まれます。
判例は、暴行について緩やかに捉えており、暴行とは、人の身体に対する不法な一切の攻撃方法を含み、性質上傷害の結果を惹起すべきものである必要はないと解されています(大判昭8・4・15)。
また、有形力が人の身体に接触することは不要とされており、驚かす目的で人の数歩手前を狙って投石する行為(東京高判昭25・6・10)や、高速道路上で並進中の自動車に嫌がらせ目的で幅寄せする行為(東京高昭50・4・15)も暴行に当たるとされています。

傷害罪

暴行の末、人に怪我を負わせた場合には「傷害罪」が成立する可能性があります。

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「傷害」の概念について、判例は、「人の生理的機能に障害を加えること」としており、生活機能の毀損と健康状態の不良変更を傷害として解しています。
髪の毛を切る行為は傷害ではなく暴行となりますが、梅毒の感染や失神、騒音による慢性頭痛症等、不安・抑うつ症、PTSDなどを生じさせることは傷害となります。
また、傷害の方法は有形無形を問いません。
暴行によって傷害が惹起されることが多いですが、嫌がらせ電話により不安感を与え精神衰弱症にする場合、怒号等の嫌がらせによって不安・抑うつ状態にする場合など、心理的な方法により健康状態を害する場合も傷害となります。

傷害罪は、故意犯のみならず、暴行罪の結果的加重犯の場合も含むと解するのが通説となっており、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りるとされます。

暴力事件で逮捕されたら

酔っ払って暴力事件を起こしてしまった場合、目撃者からの通報や巡回中の警察官に現行犯逮捕されることが多いようです。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも検察に送致するかを決めます。
検察に送致されると、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に勾留請求をするか釈放するかを決定します。
検察官が勾留請求し、その請求を受けて裁判官が被疑者を勾留する理由も必要もあると判断すれば、当該被疑者は検察官が勾留請求をした日から原則10日間の身体拘束を余儀なくされます。
ですので、勾留となれば長期間の身体拘束となり、その間会社に行くことはできません。
その結果、最悪の場合、会社をクビになる可能性もあります。
そのような事態を回避するため、逮捕されたら早期に刑事事件に詳しい弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動を依頼されるのがよいでしょう。

あなたの家族が暴力事件で逮捕されてしまったのであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

人に犯罪を依頼したら

2019-06-28

人に犯罪を依頼したら

~ケース~
海外に住む妻Vさんが、現地で何者かに銃で射殺される事件が起きました。
現地の警察は、Vさんを射殺したとされる被疑者を2名逮捕しました。
取調べにおいて、被疑者らは兵庫県に住むVさんの夫のAさんからVさんを殺すよう依頼された旨を供述していることが明らかになりました。
兵庫県警察は、殺人の容疑でVさんの夫であるAさんを逮捕しました。
(朝日新聞デジタル 2019年6月14日5時00分掲載記事を基にしたフィクションです)

他人に犯罪を依頼した場合に問われる刑事責任とは

殺害依頼と聞くと、「殺し屋」などが出てくるドラマや映画の話だと思ってしまいますが、現実でも起こり得る話なのです。
このように、自らが実際に犯行に及ばないけれども、他人に犯罪を実行するよう依頼すると、依頼者に如何なる刑事責任が問われるのでしょうか。
ここでは、上記ケースを例に人を殺すことを依頼した場合で考えてみましょう。

まず、実際に犯行に及んだ者(正犯)は、人を殺意を持って殺したのですから、殺人罪が成立します。
それでは、殺人の依頼者はどうでしょうか。

1.殺人罪の教唆犯

教唆犯については、刑法第61条に規定されています。

第六十一条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。

教唆は、「人を教唆して犯罪を実行させた」ことで成立します。
人に犯罪行為を遂行する意思を生じさせて、それに基づき犯罪を実行させることです。
つまり、教唆行為によって、正犯における犯罪行為を遂行しようとする意思が惹起され、その意思に基づいて犯罪を実行し、構成要件該当事実(殺人罪の場合には、人を殺すこと)の発生という、一連の因果関係が肯定されることが必要となります。
教唆行為は、黙示的でもよく、利益の供与、誘導、強制、威嚇、哀願等、その手段方法は問いません。
教唆犯の法定刑は、正犯のそれと同じですので、教唆犯であっても起訴され有罪判決を受ければ、死刑または無期もしくは5年以上の懲役刑が科される可能性があるのです。

2.共謀共同正犯

人の殺人を依頼した場合の依頼者の刑事責任について、共謀共同正犯となることも考えられます。
「共謀共同正犯」とは、複数人が一定の犯罪を実行することを共謀し、その共謀した者の中の一部の者が共謀した犯罪の実行に出た場合、共謀に参加したすべての者について共同正犯としての罪責が認められる共犯形態をいいます。
「共同正犯」の一類型が「共謀共同正犯」です。
「共同正犯」というのは、二人以上が共同して犯罪を実行することです。

第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

共同正犯者はすべて正犯とされる点で、教唆犯とは異なります。
共謀共同正犯の成立要件は、次のとおりです。
①共謀の存在
②共謀に基づき、共謀者の全部または一部の者が実行行為をおこなったこと
つまり、2人以上の者が特定の犯罪をおこなうため、共同意思の基に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とした謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならないのです。

殺害を依頼した依頼者が犯罪にどのように関与したかによって殺人の教唆犯となるか共謀共同正犯となるかは異なります。
いずれにせよ、法定刑はどちらも同じです。

殺人事件における弁護活動については、容疑を認める場合と否認する場合とで異なります。
容疑を否認している場合には、教唆も共謀もしておらず殺人罪を犯していない、殺意がないことを立証し、殺人罪が成立しない旨を主張し、無罪獲得に向けた活動を行います。
容疑を認めている場合には、他の刑事事件と比べて起訴猶予による不起訴処分の獲得の可能性は著しく低いと言えるでしょう。
ですので、公判請求されることを前提に、情状証拠の収集に努め、量刑の軽減を目指す弁護活動が中心となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、殺人罪等の暴力事件を含めた刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、弊所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

放尿行為で器物損壊罪

2019-06-17

放尿行為で器物損壊罪

~ケース~
兵庫県川西市に住む会社員のAさんは、同市に住む女性Vさんの乗用車のドアなどに尿をかけ、汚損させた疑いで、兵庫県川西警察署器物損壊の容疑で逮捕されました。
Aさんは、深夜にVさんの乗用車が止めてある駐車場で、Vさんの乗用車の運転席ドアなどに放尿したとのことです。
何度も同様の被害にあっていたVさんは、業を煮やして兵庫県川西警察署に相談したことで事件が発覚しました。
Aさんは容疑を認めており、なんとか事件を穏便に解決できないものかと思っています。
(フィクションです)

成立し得る犯罪は?

他人の車に放尿する行為は、如何なる犯罪に該当するのでしょうか。

(1)器物損壊罪

まずは、上記ケースにおいて逮捕容疑となっている器物損壊罪が成立する可能性があります。
器物損壊罪は、刑法第261条に規定されています。

第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する

客体
「前三条に規定するもののほか」というのは、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊及び同致死傷罪の客体、つまり、公用文書等、権利義務に関する文書や他人の文書、他人の建造物や艦船以外の物をいいます。
動産・不動産だけでなく、動物も含まれます。

行為
本罪の問題となる行為は、「損壊」または「傷害」です。
判例及び通説によれば、損壊とは、「広く物本来の効用を失わしめる行為を含む」と解されます。
例えば、他人の飲食器に放尿する行為も「損壊」に当たるとされます(大判名42・4・16)。
簡単に言うと、皿に放尿したことで、皿自体が壊れていなくても、人の尿がかかったということで当該皿を再度使いたいとは一般的に思いませんから、食べ物を乗せるという皿本来の用途(効用)を失わせたと言えるため、「損壊」したことになるのです。
ですので、上記ケースにおいては、車のドアに放尿されていますが、これにより直ちに車自体が故障するということではありませんが、人の尿がかかった車を使いつづけたいかと問われれば、一般に否定的な回答になるでしょう。

それでは、特定の人に対して複数回上の行為をしていたとなれば、器物損壊罪以外にも次の罪に問われる可能性もあります。

(2)ストーカー規制法違反

第十八条 ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

ストーカー規制法における「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等を反復して行うことと定義されています。
問題となる「つきまとい等」は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること」です。
①つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、うろつき等
②監視していると告げる行為
③面会や交際の要求
④乱暴な言動
⑤無言電話、拒否後の連続した電話・FAX・電子メール・SNS等
⑥汚物等の送付
⑦名誉を傷つける
⑧性的羞恥心の侵害
AさんがVさんに好意を寄せており、それを満たすために、Vさんの車のドアに放尿していたのだとすれば、⑥号に該当し、2回以上当該行為を行っていたのであれば、反復して行ったことになり、「ストーカー行為」となるでしょう。
⑥号の原文は、「汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。」ですので、送付する以外にも、駐車してある車に放尿することにより、Vさんがそのことを分かり得る状態にしているので、車に放尿する行為も⑥号に当たります。

(3)迷惑防止条例違反

嫌がらせとして特定の者に対して、複数回人の車に放尿する行為をしたのであれば、兵庫県迷惑防止条例違反となる可能性もあります。

第10条の2 何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、執ように又は反復して行う次に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第3項に規定するストーカー行為を除く。以下「嫌がらせ行為」という。)をしてはならない。
(略)
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快若しくは嫌悪の情を催させるような物又は当該情を催させるようなものを視覚若しくは聴覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第8号において同じ。)その他の記録を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です。
ですので、被害者との示談を成立させることが事件を穏便に解決するうえで重要となります。
器物損壊事件を起こしお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

殺人罪と傷害致死罪②

2019-06-08

殺人罪と傷害致死罪②

~ケース~
兵庫県川辺郡猪名川町にある介護付き有料老人ホームから、入居者Vさんの意識がないと119番の通報が施設職員から入りました。
通報を受けて駆け付けた救急車で、Vさんは病院に搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました。
死因は、腹腔内の多発損傷による出血性ショックと診断され、兵庫県川西察署は、Vさんは何者かに暴行を受け殺されたのではないかと捜査に着手しました。
防犯カメラの映像から、事件直前にVさんの部屋に入る施設職員Aさんの姿が確認されたため、警察署はAさんを殺人容疑で逮捕しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

殺人罪と傷害致死罪の違いについて

殺人罪傷害致死罪は、どちらも結果として被害者を死亡させてしまったという点で同じです。
しかし、両罪は、「殺すつもり」で暴行を働いたのか、つまり、殺意があったのか否かという点で異なります。

まずは、殺人罪についてみていきましょう。

殺人罪

刑法第199条
 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

「人」が本罪の客体となりますので、人以外の動物を殺しても、殺人罪とはなりません。
ここでいう「人」の意義が問題となるのですが、人の出生・死亡をどの段階で線引きするか、という点で幾つかの見解が主張されています。
まず、人の出生についてですが、胎児が母体から一部露出した時点で人となると考える「一部露出説」が判例・通説となっています。
一方、人の終期については、人の終期は死亡であり、死亡後は死体であって生命・身体に対する罪の客体とはなりません。
死亡の判断については、争いがありますが、脈拍と自発呼吸が不可逆的に停止し、瞳孔が散大したこととを総合して人の死亡を判断する総合判断説が従来の通説とされていますが、近年医療技術の発展により、脳の機能が失われても心臓を動かしつづけることが可能となったため、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した時点を人の死とする脳死説も有力となっています。
本罪の行為である「殺」すとは、自然の死期以前に人の生命を断絶する行為のことで、その手段・方法のいかんを問いません。

そして、本罪が成立するためには「殺意」があったことが必要となります。
殺意には、「人の死亡という結果発生に対する認識・容認」が必要であると理解されています。
「認識」というのは、人が死亡する可能性、蓋然性、確実性を予見することを意味し、「認容」とは、人が死亡してもよい、あるいは死亡するかもしれないがそれでも構わない、やむを得ないとすることです。
客体が「人」であることを認識していたこと、及び、自分の行為によって死の結果が発生するおそれがあることを認識しながらも、その行為に出た場合、殺意が認められることになります。
この故意は、未必的なものでも、条件付きのものであってもかまいません。
上記のケースにおいて、Aさんが「殺してやる!死んでしまえ!」と思って首を絞めた場合のみならず、「死んでしまうかもしれないが、かまわない」と思って行為に及んだ場合にも殺意が認められるのです。
殺意が認められるには、結果の発生に対する認識・容認が必要であるため、凶器の種類、行為態様、創傷の部位・程度等の客観的な事情を重視しつつ、動機の有無や犯行前・犯行時の言動、犯行後の行動等など要素を総合的に考慮して判断されます。

それでは、次に傷害致死罪についてみていきましょう。

傷害致死罪

刑法第205条
 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

傷害致死罪は、傷害罪の結果的加重犯であるので、傷害を受けた人が死亡したときに成立する犯罪です。
本罪は、殺意は不要ですが、「暴行の故意」または「傷害の故意」が必要となります。
しかし、死亡結果について「予見可能性(過失)」を必要とするかには争いがあり、判例はこれを不要としています。

このように、結果的に人を死亡させてしまったとしても、「殺意」が認められなかった場合には、殺人罪殺人未遂罪は成立しません。
量刑も殺人罪傷害致死罪では大きく異なります。

殺人の容疑で捜査されている場合、犯行当時に被害者を殺す意志が無かったことを客観的な証拠をもって説得的に主張していかなければなりません。
殺人の容疑がかけられていたとしても、殺意が認められなければ殺人未遂罪は成立せず、刑が軽い傷害罪として成立することもあります。

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殺人罪と傷害致死罪①

2019-06-07

殺人罪と傷害致死罪①

~ケース~
兵庫県川辺郡猪名川町にある介護付き有料老人ホームから、入居者Vさんの意識がないと119番の通報が施設職員から入りました。
通報を受けて駆け付けた救急車で、Vさんは病院に搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました。
死因は、腹腔内の多発損傷による出血性ショックと診断され、兵庫県川西察署は、Vさんは何者かに暴行を受け殺されたのではないかと捜査に着手しました。
防犯カメラの映像から、事件直前にVさんの部屋に入る施設職員Aさんの姿が確認されたため、警察署はAさんを殺人容疑で逮捕しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

犯罪が成立する場合

犯罪が成立するためには、
①構成要件該当性
②違法性
③有責性
の各要素を満たす必要がある、とするのが通説です。

構成要件該当性について

「構成要件」とは、刑罰法規に規定された違法かつ有責な処罰に値する行為の類型をいいます。
上で述べたように、犯罪が成立するための第一要件は、問題となる行為が構成要件に該当することです。
構成要件は、構成要件要素から成っており、個別の犯罪ごとに異なりますが、一般的には、次のような要素です。
①行為の主体
②行為
③結果
④行為と結果との間の因果関係
⑤故意・過失(これを構成要件要素とするか否かについては争いあり。)

以下、各構成要件要素についてみていきましょう。

1.行為の主体
法分上、犯罪行為の主体は「者」と表現されていますが、これは自然人を指し、法人はこれに含まれません。
法人を処罰の対象とする特別の罰則がある場合にのみ、法人は限定的・例外的に処罰されるにとどまります。

2.行為
「行為」のみが処罰の対象となります。
行為者が心の中で思っているだけであれば、それは処罰の対象にはなりません。
では、一体何が行為であるのか?が問題となりますが、この点、「意思に基づく身体の動静」を行為と理解するのが通説となっています。
「意思に基づく身体の『動静』」と解するので、身体の「動」である「作為」だけでなく、身体の「静」である不作為も「行為」に含まれます。
「不作為」というのは、「期待された行為を行わないこと」を意味します。
単に「何もしないこと」ではありません。

3.結果
刑法は、保護法益(生命・身体・自由・財産などの法的に保護に値する利益)を侵害する、または保護法益を侵害する脅威をもたらす(=保護法益侵害の危険をもたらすこと)行為を将来抑止し、法益を保護するために、保護法益の侵害行為や侵害の危険をもたらす行為を犯罪として規定し、処罰の対象としています。
よって、犯罪の成立には、法益侵害や法益侵害の危険を引き起こすことが必要となります。

4.行為と結果との因果関係
行為者は、その行為によって、構成要件的結果を引き起こすことが必要となるのですが、構成要件該当性を肯定するためには、その行為は、構成要件的結果を引き起こす現実的な危険性が認められる行為でなければなりません。
このような構成要件的結果への因果関係の起点となる行為を「実行行為」といいます。
構成要件的結果をもたらす現実的危険性を備えた実行行為と構成要件的結果との間に因果関係が認められなければなりません。
この因果関係をめぐっては、学生上さまざまな議論が展開されてきました。
実行行為(構成要件的行為)と構成要件的結果との間には、事実的なつながりとしての条件関係が必要となりますが、それをどのように判断するのかという点に争いがあるというわけです。
・条件説…「あれなければこれなし」という条件関係があれば、刑法上の因果関係を認める説。
・相当因果関係説…条件関係の存在を前提に、社会生活上の経験に照らしてその行為からのそ結果の生ずることが一般的であり相当である場合に刑法上の因果関係を認める説。
判例は、基本的には条件説にしたがっていると解されますが、相当因果関係説を採用したとも読めるような判例もあり、判例の態度は1つの学説で特徴づけることは難しいとされています。

5.故意・過失
「故意」とは、「罪を犯す意思」をいい、犯罪事実の認識・予見と換言されます。
一方、「過失」は、犯罪事実の認識・予見可能性と解され、実務においては「注意義務違反」であると解されます。
その注意義務には、結果予見義務と結果回避義務とが挙げられます。
本ブログのテーマでもある殺人罪傷害致死罪とを区別するポイントとして「故意」が問題となりますので、次回のブログで詳細にみていきたいと思います。

もし、あなたやあなたの家族が、殺人罪あるいは傷害致死罪で逮捕されお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

軽犯罪法違反と暴行罪

2019-06-02

軽犯罪法違反と暴行罪

~ケース~
兵庫県揖保郡太子町にあるスーパーマーケットで買い物を終えて出てきたVさんは、肩に何かが当たったことに気が付きました。
肩に付着している物が生卵であることが分かり、どうやらVさんの頭上から落ちてきたのではないかと推測し、すぐにの交番に通報しました。
兵庫県たつの警察署は、スーパーマーケットが入っている高層マンションに住むAさんを軽犯罪法違反(危険物投注)の容疑で書類送検しました。
Aさんは、就職活動がうまくいかずイライラして生卵を自室のベランダから投げたと供述しています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

軽犯罪法違反と暴行罪

上記ケースでは、Aさんは軽犯罪法違反(危険物投注)に問われています。
まずは、当該罪がどのようなものなのか、条文を見ていきたいとおもいます。

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
十一 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者

投注発射の罪は、
①相当の注意をしないで
②他人の身体又は物件に
③害を及ぼすおそれのある場所に
④物を投げ、注ぎ、又は発射
する犯罪です。

①相当の注意をしないで
通常人に一般的に要求される程度の注意を払わないことを意味します。
要求されている注意義務の内容を認識しながら殊更に必要とされる行為をしない場合とそのような注意を怠ってしまった場合との両方を含みます。
②他人の身体・物件
「他人」というのは、犯人以外の者です。
「他人の物件」という場合には、自然人に限らず、法人及びその他の団体、官公省なども含まれます。
③害を及ぼすおそれのある場所に
「害」とは、強要・脅迫の被害にまで至らなくとも、衣類や身体に水をかけることによって与える害のように、一般人が迷惑と思う程度の害悪を意味します。
「害を及ぼすおそれ」とは、物を投げたりすることにより、直接その物が他人の身体又は物件に当たるおそれだけを意味するのではなく、他人がその物を踏み、滑って転ぶなどのように、他人自身の行為を伴うことによって及ぼすおそれのような間接的なものも含まれます。
④物を投げ、注ぎ、発射する
ここでいう「物」とは、個体・液体・気体のすべてを含みますが、電気や光といったエネルギーは含まれません。
一般人が判断して、直接・間接に他人の身体・物件に害を及ぼす危険性のあるものをいいます、
「投げる」という行為には、物に力を加えて飛ばすことだけを意味するのではなく、高所から落としたり、転がしたりすることも含まれます。

ここで、「投げた生卵が被害者に当たっているのだから、暴行罪でもいいんじゃない?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
軽犯罪法違反暴行罪の違いは何なのでしょうか。

第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の構成要件は、
①暴行を加えたが、
②人が傷害するに至らなかった
ことです。

ここでいう「暴行」とは、不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる場合をいいます。
判例では、狭い市場半の部屋で在室中の被害者を脅かすために、日本刀の抜き身を振り回す行為や、音・光・電流等を行使する場合も「暴行」に含まれるとしています。
加えて、暴行罪の成立には、人の身体に対して有形力を行使することの認識が必要となります。
これは、未必的認識で足りるとされています。
傷害の故意をもって暴行を加えたものの傷害が生じなかった場合も含まれます。
つまり、上記ケースを例にとって考えると、Aさんが「人の身体に対して有形力を行使することを認識していたか」、つまり、「人に生卵をぶつけようとしていた」のであれば、暴行罪の故意が認められ、暴行罪に問われていた可能性があるでしょう。
しかし、上記ケースにおいては、人にぶつける意思があったことが認定できず、暴行の故意が認められないため、他人の身体・物件に害を及ぼすおそれのある場所に生卵を投げたとして軽犯罪法違反が成立するものとされたのでしょう。

被害者のいる事件において最も重要な弁護活動の一つに、被害者との示談交渉があげられます。
早期に被害者との示談を締結することで、刑事事件化や検察送致を回避したり、不起訴処分獲得の可能性を高めることができます。
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器物損壊罪と告訴

2019-05-20

器物損壊罪と告訴

~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県加古郡稲美町にある居酒屋で旧友らと飲んでいました。
久しぶりの再会についついお酒も進み、随分酔っ払っていました。
Aさんと友人Bさんは、個室のドアを開けようと思い、酔った勢いもあり、思いっきり押してしまいました。
すると、ドアは外れ、表面にひびが入ってしまいました。
駆け付けた店長に苦言を呈されたAさんとBさんは、訳が分からない発言をするなど、酔っていたとはいえ不誠実な対応に腹を立てた店長は、兵庫県加古川警察署を呼びました。
AさんとBさんは逮捕はされませんでしたが、警察から店側と示談するように勧められ、どうすればよいのか対応に困っています。
(フィクションです)

器物損壊罪

器物損壊罪とは、刑法第258条における公用文書等、刑法第259条における私用文書等、そして、刑法第260条における建造物等以外の他人の物を損壊又は傷害した場合に成立する犯罪です。
本罪の法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金若しくは科料です。
器物損壊罪の客体である「他人の物」には、動産・不動産を広く含み、電磁的記録媒体も含まれます。
また、法令上違法なものも当該客体に含まれると判例上解されています。
「損壊」とは、物の物理的な損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為を含みます。
例えば、食器に放尿する行為や、建物の壁などに落書きする行為も「損壊」に該当します。
「傷害」は、客体が動物の場合に問題となり、その意義は、動物を殺傷するのみならず、囲いから逃がしたりする行為も含まれます。
客体が動物の場合、器物損壊罪の客体が「他人の物」に限定されているため、人が飼っている動物を傷害した場合に本罪が適用されるのであり、野生の動物を傷害した場合には本罪は適用されないことになります。

器物損壊罪は、親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ控訴を提起することができない犯罪のことです。

器物損壊事件で告訴されたら

告訴というのは、被害者やその親族や法定代理人等の告訴権者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求める意思表示のことをいいます。
ですので、親告罪である器物損壊事件においては、被害者との示談を締結し、告訴を取り下げてもらうことにより、不起訴処分を獲得し前科がつくことを回避することが重要です。
被害者との示談交渉は、一般的に弁護士を介して行われます。
というのも、被害者は加害者の行為によって損害を被っており、怒りや恐怖を感じていることが多く、当事者同士の話し合いは感情的になり円滑に進まない可能性が高いからです。
また、被害者が自己の連絡先を加害者に教えたくないと連絡さえ取れないことも少なくありません。
器物損壊事件で告訴されたら、早期に被害者対応に着手し、示談を締結させ、事件を穏便に終了させるには、刑事事件に強い弁護士に、被害者との示談交渉を依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊事件を含む刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
もし、あなたが器物損壊事件の加害者として被害者から告訴されている、告訴されそうだとお困りであれば、今すぐ弊所の刑事事件専門弁護士にご相談下さい。
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