Archive for the ‘暴力事件’ Category
中学生の子供が同級生に暴行 傷害事件で在宅捜査
中学校で同級生に暴行した子供が傷害罪で取調べを受けている事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説いたします。
子供が中学校で同級生に暴行(傷害罪)
Aさんには、加古川市内の公立中学校に通う15歳の子供(男性)がいます。
先日、この子供が中学校で同級生と口論になり、暴行したようです。
中学校から呼び出しを受けて先生から事情を聞いたAさんは、同級生の自宅に行って謝罪しようとしましたが、相手の同級生は鼻を骨折しており、両親は激怒して兵庫県加古川警察署に被害届を提出したようでした。
しばらくして警察署から呼び出された子供は、任意で取調べを受けていますが、Aさんは、今後の手続きが不安で少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
「傷害罪」とは
傷害罪とは、その文字通り人の身体を傷害する犯罪です。
人を殴り、怪我を負わせる行為などが傷害罪の典型例といえます。
Aさんの子供は、同級生に暴行し、鼻骨骨折の傷害を負わせているので、その行為が傷害罪となることは間違いないでしょう。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
しかし、この法定刑は「刑罰」なので、原則として少年であるAさんの子供が今回の事件で、この刑罰を受けることはありません。
Aさんの子供は、警察や警察庁の捜査が終わると家庭裁判所に送致されて、少年法に則って手続きが進むのです。
少年保護事件
少年保護事件においては、必要に応じて、少年に「保護処分」が言い渡されることになります。
「保護処分」には、大きく分けて
①少年院送致
②保護観察処分
③児童自立支援施設又は児童養護施設送致
があります。
保護観察処分は、在宅で少年の改善更正を図る処分です。
身体拘束を伴う少年院送致と比べると、少年の負担は軽くなるので、Aさんの子供のような事件では、審判不開始や不処分を目標に、最低でも保護観察処分の獲得が主な目標になるでしょう。
少年審判について
家庭裁判所へ送致された後は、まず観護措置をとるか否かが決められます。
観護措置がとられると、鑑別所に収容された上で調査を受けることになります。
家裁送致前は在宅で手続きが進行していたが、送致後に観護措置がとられ、鑑別所に収容されてしまうケースもあるので注意が必要です。
観護措置がとられなかったとしても、家庭裁判所の調査を受ける事には変わりありません。
そして家庭裁判所の調査が終了すれば、少年審判を受けることになります。
(※調査の結果次第では少年審判がない場合もある。)
少年審判が開始されれば、家庭裁判所の調査で得られた結果などをもとに、少年に対する処分が決められます。
少年事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が傷害事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
少年が強盗致傷罪で逮捕 早期釈放のための弁護活動~②~
~昨日からの続き~
昨日のコラムでは、強盗致傷罪で逮捕されてからの流れについて解説しました。
本日は、逮捕による身体拘束を少しでも短くするため、早期釈放のための弁護活動について解説します。
勾留に対する準抗告
裁判官が勾留の裁判(決定)を行うと、長期間の身体拘束を余儀なくされます。
このような長期身体拘束を回避する方法として「勾留に対する準抗告」が挙げられます。
「準抗告」というのは、裁判官や捜査機関が行った一定の処分について、裁判所に対して取消や変更を求める不服申し立ての手続のことをいいます。
裁判官が行った勾留裁判に対して、準抗告の申立てを行い、申立て先の裁判所が勾留裁判を取消し、検察官が行った勾留請求を却下するよう働きかけます。
「勾留」には満たさなければならない要件があります。
申立てには、それらの要件には該当せず被疑者を勾留した原裁判は違法であるためそれを取消し、検察官の勾留請求を却下すべきである旨を主張します。
勾留の要件
ここで重要になるので、勾留の要件です。
勾留の要件とは、「犯罪の嫌疑」、「勾留の理由」および「勾留の必要性」です。
(1)犯罪の嫌疑
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がなければなりません。
身体拘束をする上で、犯罪を行ったことを裏付ける事実が必要となります。
しかし、勾留段階では、すべての証拠がそろっていることはなく、ここで要求されている嫌疑の程度は、それほど高いものではありません。
(2)勾留の理由
以下のうち、どれか一つに該当している必要があります。
①定まった住所を有しないとき。
②罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
③逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(3)勾留の必要性
嫌疑及び勾留の理由がある場合であっても、被疑者を勾留することにより得られる利益と、これにより生ずる不利益とを比較し、権衡を失するときは、被疑者を勾留することは許されません。
弁護人の主張
今回の事件で弁護人の主張として考えられるのは、犯行後の少年の態度や証拠品が既に捜査機関によって押収されているため今更証拠隠滅を図ることは困難であること、また、少年に前歴がないことや保護者と生活をともにしていること、少年の保護者による監督が期待できることから逃亡すると疑うに足りる相当の理由が認められないこと、更には、長期の欠席により留年や退学のおそれがあることを考慮すると、勾留の必要性までは認められないということを客観的かつ具体的に主張することで、裁判所が勾留の裁判を取消し、勾留請求を却下する裁判をするよう働きかけます。
少年事件に強い弁護士
お子様が逮捕・勾留されてお困りであれば、刑事事件・少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部に今すぐご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、フリーダイヤル0120-631-881にて、無料法律相談や初回接見サービスのご予約を24時間受け付けております。
少年が強盗致傷罪で逮捕 早期釈放のための弁護活動~①~
事後強盗罪で逮捕された少年の、早期釈放のための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
兵庫県加古川市に住む高校生のAくん(16歳)は、自宅近所にあるコンビニで、おにぎりなど500円相当の商品を万引きしました。
そして、万引きした商品を持っていたカバンに隠してコンビニを出たところ、コンビニの店員に腕を掴まれたAくんは、逃げるのに必死で、店員の腕を引き払おうとして、店員を転倒させてしまったのです。
その後、逃げ切れないと諦めたAくんは、その後、店員の通報によって駆け付けた兵庫県加古川警察署の警察官に強盗致傷罪で逮捕されました。
店員は、転倒した際に、腕を擦りむく傷害を負っていたようです。
(フィクションです)
強盗致傷罪で少年が逮捕されたら(逮捕後の流れ)
20歳未満の少年が事件を起こし、逮捕されてしまった場合、基本的には成人の刑事事件と同様に刑事訴訟法が適用されます。
つまり、逮捕から48時間以内に、警察はAくんを釈放するか検察に送致するかを決めます。
検察に送致されると、検察官による取調べが行われ、それを受けて検察官はAくんを勾留する必要があるかどうか判断します。
検察官が勾留する必要があると判断すると、裁判官に対して勾留請求を行います。
検察官から勾留請求を受けた裁判官は、Aくんと面談した上で、勾留の要件に該当するかを検討し、勾留決定をするか、勾留請求を却下しAくんを釈放するかを決定します。
そして、裁判官がAくんの勾留を決めると、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められると最大で20日間の身体拘束となります。
勾留が決定すれば長期の欠席が余儀なくされるので、退学になれば、少年の社会復帰にも影響し、更生の障害と成り得るでしょう。
ですので、お子様が事件を起こし、逮捕・勾留されたら弁護士に相談し、勾留に対する準抗告を行うなど早期釈放に向けて動くことが重要です。
~明日に続く~
携帯用ガスバーナーの火を放って脅す 暴力行為法違反で現行犯逮捕
携帯用ガスバーナーの火を放ち脅した男が、暴力行為法違反で現行犯逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
神戸市中央区の繁華街において、すれ違った男性に向けて、携帯用ガスバーナーの火を放って脅したとして、暴力行為法違反で男が逮捕されました。
逮捕された男は、客引きが近付いてこないようにガスバーナーを持ち歩いていたことが認めていますが、「人に向けて(バーナーを)放射していない」と、暴力行為法の容疑を否認しているようです。
暴力行為法
記事に書かれている「暴力行為法」とは、正式には「暴力行為等処罰ニ関スル法律」という大正時代に施行された古い法律です。
暴力行為法で規定されている内容は主に以下のとおりです。
1条(集団的暴行・脅迫・器物破損)
多人数でまたは多人数であるように装って威力を示し、または刃物などの凶器を示したうえで、暴行や脅迫を加える行為、故意に物を壊す行為
(法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」)
1条の2(銃砲刀剣類を用いた傷害)
銃砲または刀剣類を使用しての傷害
(法定刑は「1年以上15年以下の懲役」)
1条の3(常習的な傷害・暴行・脅迫・器物破損)
常習的な傷害・暴行・脅迫・器物損壊
(法定刑は、人を傷害したときは「1年以上15年以下の懲役」、人を傷害していない場合には「3か月以上5年以下の懲役」)
2条(不正な利益を得る目的で集団的・常習的に脅し従わせる行為)
不正に財産的利益を得る目的で1条に規定された方法によって、面会を強要する行為や、気勢を示して相手を不安にさせるような行為
(法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」)
3条(集団的犯罪の請託)
1条に規定された方法によって、公務執行妨害罪・殺人罪・傷害罪・暴行罪・脅迫罪・強要罪・威力業務妨害罪・建造物損壊罪・器物損壊罪にあたる罪を行わせる目的で第三者に金品等の提供等の行為
(法定刑は「6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金」)
火を放った携帯用ガスバーナーを人に向けて脅すと・・・
今回の事件(火を放った携帯用ガスバーナーを人に向ける行為)は、上記の1条(凶器を示しての暴行・脅迫行為)に当たるでしょう。
刑法第222条に規定されている通常の脅迫罪の場合、その法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
また刑法第208条の暴行罪の場合、その法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
何れにしても、暴力行為法の1条が適用された場合、その法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」と厳罰化されます。
刑事事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、土日、祝日でも弁護士が待機し、即日対応しておりますので、兵庫県内で即日対応可能な弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
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タクシー代の支払いを拒否し運転手を殴打 強盗致傷罪で逮捕
タクシー代の支払いを拒否し運転手を殴打したとして、強盗致傷罪で逮捕された事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
人を殴って無理矢理金品を奪い取れば「強盗罪」となります。
この強盗罪は刑法第236条に規定されている犯罪行為ですが、実は刑法第236条にはもう一つ、強盗罪についての規定がされています。
それが「2項強盗」と呼ばれるもので、無理矢理金品を奪い取るのではなく、財産上不法の利益を得た場合も、強盗罪と同じように扱われるのです。
そして、2項強盗の場合も、強盗の際に人に怪我をさせると、強盗致傷罪となります。
1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗が、人を負傷させたとき無期又は6年以上の懲役に処し、(以下省略)
それでは今回の事件概要を紹介します。
事件内容(1月21日配信のサンテレビの記事を引用)
兵庫県三田市において、タクシー代約2,000円を支払わずに、支払を拒否し、タクシー運転手の顔を複数回殴打して逃走しようとした男が、タクシー運転手に取り押さえられました。
タクシー運転手は右手に軽傷を負ったようです。
強盗致傷罪で逮捕された男は、大阪から友人とこのタクシーに乗車しており、先に友人がそこまでの代金を支払ってタクシーを降車していたようで、男は、友人が降車してから自分の自宅までのタクシー代の支払いを拒否したようです。
強盗致傷罪
報道されている事件の内容を見る限りでは、今回の事件で強盗致傷罪が成立すると考えて間違いないでしょう。
暴行を加えてタクシー代を踏み倒すだけならば、2項強盗罪となり、この際にタクシーの運転手が傷害を負っているので「強盗致傷罪」となるのです。
強盗致傷罪は重い
強盗致傷罪で起訴されて有罪が確定すれば無期又は6年以上の懲役です。
下限の6年の懲役刑が求刑されたとしても、何らかの減軽事由がなければ法的に執行猶予を付けることはできません。
しかも刑事裁判は、裁判員裁判によって審理されるので、通常の刑事裁判に比べると長期に渡ることが予想されます。
ですから重要なのは、まず起訴されないようにすることです。(不起訴を目指す。)
今回の事件の場合、被害者にその場で取り押さえられている上に、タクシー内で犯行が行われていたとすれば、車内を撮影するドラブレコーダーがあるでしょうから、犯人性や事件性を否定する事が困難だと思われますので、不起訴を目指すうえで最も有効なのは被害者との示談でしょう。
さいわい、被害者は軽傷のようなので、起訴されるまでに被害者との示談が成立すれば、不起訴となる可能性が高いかと思われます。
強盗致傷事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、強盗致傷事件のような刑事事件を起こしてしまった方の弁護活動を専門にしている法律事務所です。
刑事事件に関する ご相談 や、逮捕等で身体拘束を受けている方へに弁護士を派遣する 初回接見サービス については、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
「スパーリングしよう」中学生に傷害を負わせカバンを強取
「スパーリングしよう」中学生に声をかけ、中学生に傷害を負わせ上、カバンを強取を強取した強盗傷人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
18日午前0時過ぎ、兵庫県姫路市にあるJR京口駅前において、男子中学生が男7~8人から暴行を受けて鼻の骨を折る重傷を負いました。
被害にあった男子中学生は、別の場所で男らに声をかけらて、移動後に「スパーリングしようや。」と言われて男から殴られたようです。
また暴行後に、男らは、男子中学生が持っていたショルダーバッグを奪って逃走していることから、兵庫県姫路警察署は、強盗傷害(強盗傷人罪)事件として捜査し、逃げた男らの行方を追っているようです。
強盗傷害事件
ニュース等では、よく「強盗傷害事件」と報じられていますが、法律的には「強盗傷害罪」という罪名は存在せず、正確には強盗傷人罪といいます。
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
強盗傷人罪が規定されているのは上記した刑法第240条(前段)です。
この刑法第240条の前段では
・強盗致傷罪
・強盗傷人罪(強盗傷害罪)
の二つの罪が規定されています。
共に主体となるのは、強盗犯人で、この強盗犯人が強盗に及ぶ際に人に怪我をさせたことによって成立する犯罪ですが、何が違うのかといえば、傷害の故意があるかどうかです。
ここでいう傷害の故意とは「相手に怪我をさせてでも金品を強取してやろう」という意思を意味します。
ちなみに人が傷害を負うタイミングについては、強盗の機会であればよく、何も強盗犯人からの直接的な暴行行為によって生じる必要はありません。
ですから、強盗の被害にあった被害者がその場から逃げる際に転倒して怪我した場合も、強盗犯人の行為と、傷害の結果に一定の関連性さえ有していれば、強盗致傷罪が成立するのです。
また強盗致傷(傷人)事件は、共に刑法第240条が適用され、その法定刑は「無期又は6年以上の懲役」です。
このように起訴されて有罪となった場合、減軽事由がなければ執行猶予を得ることができない非常に厳しい罰則規定がされており、また起訴された場合は、裁判員裁判によって審理されます。
強盗傷害(傷人)事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、強盗致傷(傷人)事件のような凶悪事件の弁護活動に対応している法律事務所です。
強盗致傷(傷人)事件でお困りの方からの法律相談や、強盗致傷(傷人)事件を起こして警察に逮捕された方への初回接見に即日対応しておりますので、まずはフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。
警察官のみぞおちを蹴った男が逮捕 公務執行妨害罪について
警察官のみぞおちを蹴ったとして、男が公務執行妨害罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
事件内容(本日配信の神戸新聞NEXTを引用)
喧嘩の通報で駆けつけて事案処理中の、尼崎南警察署の警察官に対して、通りかかった男が声をかけて、その後、警察官のみぞおちを蹴るという暴行に及んだようです。
逮捕された男は、酒に酔っていたようで、警察の取調べに対して「手を出していない。警察官に無理やり取り押さえられたので抵抗はした。」と容疑を否認しているようです。
年末になると、お酒を飲む機会が増えてきますので、酒に酔ってこのような事件を起こしてしまう方もよくいるようです。
当然、お酒を飲んでいたからといって許されるわけもありませんし、年末だからといって警察が大目に見てくれるとは考えられません。
むしろ酒の酔っている方は容疑を否認しがちで、逮捕等による身体拘束がいたずらに長くなる可能性もあるので注意が必要です。
それでは公務執行妨害罪について解説します。
公務執行妨害罪
公務執行妨害罪は、刑法95条に規定されている犯罪です。
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
新聞等で報じられる公務執行妨害事件のほとんどは、今回のように警察官に対する事件がですが、公務執行妨害罪の客体となるのは何も警察官に限られていません。
ですから市役所の職員や、公立病院に勤める医師など公務員の身分がある人ならば当然のこと、違法駐車の取り締まりをしている駐車監視員のようなみなし公務員であっても、公務執行妨害罪の客体となり得るのです。
ちなみに公務執行妨害罪は、公務員の身体の安全や意思決定の自由を保護するための法律ではなく、公務の公正かつ円滑な遂行を保護するための法律で、保護される公務は、当然、適法なものでなければなりません。
今回の事件ですと、逮捕された男性が供述している内容が事実だとすれば、警察官が逮捕された男性を取り押さえる行為が違法だった場合は、公務執行妨害罪の成立に影響するでしょう。
もし警察官が怪我をすれば
公務執行妨害罪でいうところの「暴行」によって、警察官等の公務員が怪我をした場合は、公務執行妨害罪とは別に傷害罪で成立することになります。
その場合、公務執行妨害罪と傷害罪は「(※)観念的競合」となりますので、重い方の傷害罪の法的刑によって処断されます。
※観念的競合…1個の行為が複数の罪名に触れる場合をいい、その場合は、刑を科する上に一罪として扱われ、複数の罪のうち、最も重い法定刑によって処断される。
公務執行妨害罪の弁護活動
警察官等の公務員に対して暴行したからといって、必ず公務執行妨害罪が成立するわけではありません。
今回のように現行犯逮捕されたとしても、実際に、公務執行妨害罪に抵触するかは、法律的な要件を満たしているかどうかによりますので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
介護施設での虐待事件 職員を傷害罪で逮捕~②~
~昨日の続き~
虐待事件で逮捕・勾留されるケース
虐待事件を起こした場合、必ずしも逮捕・勾留されるとは限りません。
捜査機関に虐待の事実が発覚したとしても、虐待の程度が軽い場合には、身体拘束せずに関係機関と連携して対応することがあります。
しかし、捜査機関に発覚する虐待事件の多くは、被害者が虐待に堪えられなくなり警察に自ら通報するケースや、虐待が疑われることが周囲に発覚し関係機関が警察に報告するケースなど、虐待の程度が重いものだと言えます。
ですので、そのような場合には、加害者と被害者の密接な関係性もあり、警察に逮捕される可能性が高いでしょう。
また、家庭内や施設内の虐待事件では、加害者が被害者と近い関係にあり、身体拘束しなければ被害者に接近し供述を変えるよう迫るおそれもあると判断されやすく、逮捕後勾留となる可能性は低くありません。
勾留となれば、逮捕から最大で23日間の身体拘束が余儀なくされます。
長期間外界との連絡が閉ざされた非日常的な環境の中で、捜査機関からの連日の取調べを受けることは、そう容易いことではなく、身体的にも精神的にも大きな影響を被ることになります。
そのような時、弁護士との接見が身体拘束を受けている方やその家族の不安を和らげます。
特に刑事事件に精通する弁護士であれば、事件内容を詳しく聞いた上で、今後の流れや見込まれる処分を丁寧に説明し、身体拘束を受けている方のためにどのような活動ができるのか、また取調べをどのように対応すべきかについて適切にアドバイスすることができます。
ご家族が逮捕された時は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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介護施設での虐待事件 職員を傷害罪で逮捕~①~
介護施設での虐待事件において、施設の職員が傷害罪で逮捕された件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
事件内容
兵庫県多可郡多可町にある老人介護施設で、入居者に対して暴力を振るい怪我をさせたとして、職員のAさんが、兵庫県西脇警察署に逮捕されました。
新聞記事でAさんの逮捕を知った家族は、兵庫県西脇警察署に電話しましたが、警察からは、事件の詳しいことを何も教えてもらえませんでした。
そこでAさんの家族は、インターネットで刑事事件に強い弁護士を探し、すぐに接見に行ってもらうようお願いしました。
(フィクションです)
虐待事件
~児童虐待~
虐待は、一般に、何度も相手方に暴力を振るったり、放置したりすることであると理解されます。
虐待が行われる場面は様々ですが、家庭内で配偶者に対する虐待、親が子供に行う虐待、成人している子が高齢者となった親を虐待するケース、更には、施設内で職員が入居者に対して虐待を行うケースなどが多く見受けられます。
児童虐待については、児童虐待の防止等に関する法律が次のように定義しています。
第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。第十六条において同じ。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
児童虐待の防止等に関する法律は、児童虐待について規定する法律ではありますが、児童虐待行為自体への罰則は設けられていません。
~高齢者に対する虐待~
高齢者虐待については、高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律において、養護者による高齢者虐待と要介護施設従事者等による高齢者虐待とに分けて定義しています。
虐待に当たる行為には、身体的虐待、介護・世話の放棄・放任、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待が含まれます。
この法律もまた、虐待自体を処罰するものではありません。
虐待行為に対しては、どのような内容の虐待が行われたかによって適用される罪はことなりますが、大きく分けると以下のようになります。
(1)身体的虐待
被害者に対して殴る蹴るなどの物理的暴行を加えた場合には、刑法の暴行罪、傷害罪、傷害致死罪、殺人罪が適用される可能性があります。
(2)性的虐待
被害者に対して性的暴行を加えた場合、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪、強制性交等罪、準強制性交等罪、児童福祉法違反に問われることとなるでしょう。
(3)ネグレクト
長時間放置したり、育児や介護を放棄した場合、保護責任者遺棄罪、保護責任者遺棄致死罪が適用される可能性があります。
(4)精神的虐待
著しい暴言や拒絶的な態度をとることで被害者が精神障害を患ってしまった場合には、殴る蹴るなどの物理的な暴行を加えていなくても、傷害罪に問われる可能性があります。
(5)経済的虐待
高齢者などの介護者の財産を管理している養護者が、財産を自分のものにしてしまうと横領罪に、管理を任されているわけではない養護者が介護者の許可なく勝手に処分してしまう場合には窃盗罪が成立することがあります。
~明日に続く~
加古川刑務所で起こした刑事事件 刑罰はどうなるの?
先日、加古川刑務所内で傷害事件等の事件を起こした受刑者が検察庁に書類送検されました。すでに刑が確定している受刑者が新たな事件を起こした場合、その刑罰はどの様になるのでしょうか。本日はそのことについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
受刑者Aの事件
20代の男性受刑者は、昨年9月、加古川刑務所内の食堂においてトラブルになった受刑者の顔面を殴って軽傷を負わせると共に、この受刑者の眼鏡を壊した上、「出所後に家族に危害を加える」などと脅した疑いがもたれています。
受刑者Bの事件
30代の男性受刑者は、昨年11月、加古川刑務所の体育館において、男性刑務官からマスクの着け方を注意されたことに腹を立て、この刑務官の下腹部を数回蹴って軽傷を負わせた疑いがもたれています。
(こちらの事件内容は10月6日配信の神戸新聞NEXTを引用しています。)
適用罪名の刑事罰
受刑者Aに適用されるのは
①殴って怪我を負わせた行為・・・傷害罪
②眼鏡を壊した行為・・・器物損壊罪
③脅した行為・・・脅迫罪
です。
そしてそれぞれの法定刑は
①傷害罪・・・15年以下の懲役又は50万円以下の罰金
②器物損壊罪・・・3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料
③脅迫罪・・・2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
です。
暴行の際に眼鏡が壊れたとすると、傷害罪と器物損壊罪の関係は一つの行為が複数の罪名に触れる観念的競合の関係になり、重い方の刑によって処断されるので、傷害罪で処断されることとなります。
また脅迫行為は別の罪名を構成し、併合罪として扱われるので、今回の事件でAは「22年6月以下の懲役又は80万円以下の罰金」の範囲内で刑事罰が科せられることになります。
続いて受刑者Bに適用されるのは
①刑務官に暴行した行為・・・公務執行妨害罪
②刑務官に怪我を負わせた行為・・・傷害罪
です。
傷害罪の法定刑は前記のとおりで、公務執行妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
そしてこの二つの罪は観念的競合の関係になるので、傷害罪によって処断されることとなります。
服役中に事件を起こした場合
今回のように刑務所に服役中に新たに事件を起こすと、当然、既に確定して服役中の刑事罰に加えて、新たに起こした事件の刑事罰が科せられることになります。
当然、刑務所という罪を償い更正を目指す場所で起こした事件ですので、どういった理由があっても、情状的には悪く評価されてしまうでしょう。
また公判請求されて正式な裁判となった場合、有罪が確定すれば執行猶予を得ることは法律的に不可能だと言えますので、犯行を認めている場合は略式命令による罰金刑を目指すのがよいでしょう。
刑事事件に強い弁護士
刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、本日紹介したような、刑務所内で事件を起こしてしまった方の弁護活動にも対応することができますので、お気軽にご相談ください。
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