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少年事件における処分

2020-04-16

少年事件における処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
深夜2時ごろ、兵庫県姫路市の道路を複数のバイクや原動機付自転車で暴走し、信号無視や蛇行運転を繰り返したとして、兵庫県姫路警察署は、市内に住むAくん(16歳)を含む8名を道路交通法違反の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、最終的にどのような処分を受けることになるのか心配しています。
(フィクションです)

少年事件における処分

Aくんは、共同危険行為などの道路交通法違反の疑いで逮捕されました。
Aくんは、16歳ですので、罪を犯した場合、成人の場合と同じように、捜査段階では刑事訴訟法が適用され、逮捕となる可能性はあります。
この点、少年が14歳未満であれば、刑事責任は問われませんので、犯罪は成立せず、警察も逮捕することはできません。

Aくんは、警察に逮捕されてから48時間以内に、釈放される、若しくは検察に証拠や関係書類などと共に送られます。
検察に送られた場合、検察官はAくんの身柄を受けてから24時間以内にAくんを釈放するか、Aくんを勾留することを裁判官に請求するかを決めます。
検察官が勾留請求をした場合には、今度は裁判官がAくんを勾留すべきか否かを判断します。
裁判官が勾留の判断をすると、Aくんは検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長されれば最大で20日間拘束されることになります。
少年の場合、検察官は「勾留に代わる観護措置」を請求することができ、裁判官もこの措置をとることができます。
「勾留に代わる観護措置」となれば、留置先は少年鑑別所になり、勾留期間も10日で延長はありません。

捜査機関による捜査が終了すると、検察官はAくんの処分を決めます。
Aくんの被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑は認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由があるときは、検察官はAくんの事件を家庭裁判所に送致します。

事件を受理した家庭裁判所は、Aくんや保護者に対する調査を行い、審判を開きます。
調査の結果、審判を開くことができない、またはその必要がないと考える場合には、家庭裁判所は審判をしない決定をします。
審判を経て、裁判官はAくんに処分を言い渡します。
この処分には、中間決定と終局決定とがあります。

中間決定は、終局決定前の中間的な措置としてなされ、試験観察などがあります。
試験観察というのは、保護処分を決定するため必要があると認めるときに、相当の期間、家庭裁判所調査官の観察に付する決定のことです。
少年に対する終局処分を一定期間留保し、その期間の少年の行動等を調査官の観察に付すために行われます。
試験観察が行われる期間については、一般的には3~4か月ですが、事案によってその期間は様々です。

終局決定には、①審判不開始、②不処分、③知事・児童相談所長送致、④検察官送致、⑤保護処分の5種類があります。

①審判不開始決定

家庭裁判所は、調査の結果に基づき、審判に付することができないとき、審判に付するのが相当ではないときに、審判を開始しない旨の決定をします。
少年事件では、家庭裁判所が事件を受理したからといって必ずしも審判が開かれるとは限らず、調査の結果、審判を開始するのが相当だと認められるときに、その旨が決定されて審判が開かれます。
審判を開くための要件としては、(a)審判条件が存在すること、(b)非行事実の蓋然性が認められること、(c)審判が事実上不可能ではないこと、(d)審判の必要性があること、の4つがあり、このいづれかが欠ける場合には審判不開始決定がされます。

②不処分決定

家庭裁判所は、審判の結果に基づき、保護処分に付することができないとき、そして、保護処分に付する必要がないと認められるときに、少年を保護処分に付さない旨を決定します。
これを「不処分決定」といいます。

③知事・児童相談所長送致

調査または審判の結果に基づいて、児童福祉法の規定による措置を相当を認めて事件を都道府県知事または児童相談所長に送致する決定です。
家庭裁判所による事件の送致後、児童福祉法上どのような措置を行うかは送致を受けた児童相談所長が決定します。

④検察官送致

調査または審判の結果に基づいて、刑事処分が相当と認められるとき、あるいは、本人が20歳以上であるときには、事件を検察官に送致します。
刑事処分相当を理由とする検察官送致について、少年法20条1項は、「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして、刑事処分を相当と認めるときは、決定をもって、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。」と規定しています。
また、犯行時16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件については、原則として検察官送致決定をしなければなりません。
しかし、調査の結果、犯行の動機や態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状や環境その他の事情を考慮して、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りではありません。

⑤保護処分

保護処分は、非行を行った少年に対して、性格の矯正および環境の調整を目的として行われる処分です。
保護処分には、(a)保護観察、(b)少年院送致、(c)児童自立支援施設または児童養護施設送致、の3種類があります。

(a)保護観察
少年を家庭や職場に置いたまま、保護観察所の行う指導監督と補導援護によって、少年の改善更生を図る社会内処遇です。
保護観察の具体的な実施要領や手続等については法務省通達等に定められており、一般保護観察、一般短期保護観察、交通保護観察、交通短期保護観察の4種類に分類されて運用されています。

(b)少年院送致
少年院は、矯正教育を受けさせるための施設です。
その少年院に収容する処分が少年院送致です。
少年院は、第1種から4種まで4つの種類があります。
少年院送致は、少年の自由を拘束するという点で最も強力な保護処分と言えるでしょう。

(c)児童自立支援施設・児童養護施設送致
不良行為を行い、または行うおそれのある児童や、家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、必要な指導と自立への支援を行う施設を「児童自立支援施設」といいます。
「児童養護施設」は、保護者がいない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を入所させて、その養護保護を行う施設です。
どちらの施設も児童福祉法上の要保護児童のための施設であるので、保護処分の執行を受ける者を強制収容する少年院とは本質的には異なります。

以上のように、少年事件における処分は多岐に渡ります。
如何なる処分が少年の更生に適切であるか、如何なる処分が見込まれるかについては、事件内容によって異なります。

お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

窃盗とクレプトマニア

2020-04-14

窃盗クレプトマニアについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
窃盗罪で執行猶予付き判決が言い渡されてから半年後、Aさんは兵庫県赤穂市のスーパーで万引きをしてしまいました。
前回の件で、法廷に立った時の緊張感から、もう二度と万引きはしないと心から誓ったAさんでしたが、またも万引きをしてしまった自分が情けなく、どうしたらよいのか分からない状態です。
Aさんは、窃盗の容疑で兵庫県赤穂警察署に逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に相談したところ、クレプトマニアの可能性について聞かれました。
(フィクションです)

クレプトマニアとは

クレプトマニア(Kleptomania)は、精神障害の一種です。
「窃盗症」とも呼ばれます。

常習窃盗を大きく3つに大別すると、
①経済的利益のために金目の物品や金銭を盗む職業的犯罪者、
②飢えて食物や生活必需品を盗む貧困者、
③お金はあるのに些細なものを盗む病的窃盗者、
となります。
クレプトマニア患者は、通常の窃盗のように経済的利益のために窃盗を行うのではありません。
支払能力があるにもかかわらず、数百円ほどの商品を万引きするといった窃盗行為を何度も繰り返してしまいます。
盗む物よりも盗みの行為それ自体がクレプトマニア患者にとっては意味があるのです。
盗む際の緊張感の高まりと、盗みの遂行後に得られる充足感、解放感によって、欲求不満、抗うつ気分が一気に解消され、快感がもたらされることを体験するため、何度も繰り返し窃盗行為を行う傾向にあると言われています。

検挙された万引き犯の約5%がクレプトマニアであると言われており、女性に多くみられるようです。

クレプトマニアの診断基準については、以下のものが標準的に使用されています。

A.個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
B.窃盗に及ぶ直前の緊張感の高まり。
C.窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感。
D.その盗みは、怒りまたは報復を表現するためのものではなく、妄想または幻覚への反応でもない。
E.その盗むは、素行症、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。
(アメリカの精神障害診断マニュアル『DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き』)

以上のような基準に該当している場合には、精神障害としての常習窃盗の可能性も考えられるでしょう。

窃盗事件とクレプトマニア

万引きの窃盗事件であれば、初犯は、微罪処分や起訴猶予で事件が処理されることになります。
しかし、再犯を繰り返すと、下される処分も重くなっていきます。
概ね4~5度目には検察官が公判請求を行い、被告人として公判に立たなければならない状況になるでしょう。
初めての公判では、執行猶予付き判決が言い渡されることが多いのですが、クレプトマニアであれば、執行猶予期間中に再び犯行に及んでしまうケースも少なくありません。
そうなれば、執行が猶予されていた前回の刑も合わせた実刑が科される可能性が高いでしょう。

クレプトマニア患者の場合、病的に常習窃盗を行ってしまうのであって、刑罰を科すことで将来の再犯防止が期待できるとは言えないでしょう。
彼らにとって、再犯防止で最も必要なことは専門的な治療を受けることです。
その点について、専門家により作成された診断書を用い、検察官や裁判官に説得的に主張し、社会内での更生がより適切であることを理解してもらう必要があります。

何度も窃盗を繰り返してしまい、クレプトマニアの疑いがあるが、どのように司法機関に理解してもらうのか分からずにお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

盗撮事件で早期釈放!

2020-04-12

盗撮事件で早期釈放を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市垂水区の大型スーパーマーケットの店内で、女性客のスカート内にスマートフォンを差し入れ、盗撮をしたとして、兵庫県垂水警察署は、市内に住む会社員のAさんを迷惑防止条例違反の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさん家族は、会社に発覚する前になんとか釈放にならないかと、刑事事件に強い弁護士に弁護活動を依頼しました。
(フィクションです)

盗撮事件で逮捕されたら

盗撮事件で逮捕されるケースには、その場で現行犯逮捕されるものと、防犯カメラなどから身元が割り出され、後に通常逮捕されるものとがあります。
盗撮行為を被害者や通行人などに目撃され、その場で犯人が取り押さえられる場合が少なくありません。

もし、あなたが盗撮事件を起こし、逮捕されたとしたら、逮捕後の流れは以下のようになります。

①逮捕から48時間以内に、警察はあなたを釈放する、もしくは、検察に証拠や関係書類と共に送致します。

②あなたが検察に送致された場合、検察はあなたの身柄を受けてから24時間以内に、あなたを釈放する、もしくは、あなたの身柄をさらに拘束するよう裁判官に請求します。(これを「勾留請求」といいます。)

③検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、逮捕に引き続き更にあなたの身体を拘束すべきか否かを判断します。

④裁判官が勾留を決めた場合、検察官が勾留請求した日から10日間、勾留延長が認められれば最大で20日間あなたの身柄が拘束されることになります。

勾留となれば、逮捕から最大で23日もの間留置施設で過ごすことになります。
そうなれば、会社や学校に行くことはできません。
長期の欠席・欠勤が続けば、退学や懲戒解雇となる可能性が高まります。
そのような事態を回避するためにも、早期に弁護士に相談し、釈放に向けて活動することが重要です。

盗撮事件での早期釈放に向けた活動

「勾留」とは、被疑者または被告人の身体の自由を拘束する裁判とその執行のことをいいます。
勾留は、起訴される前の被疑者段階での勾留(被疑者勾留)と起訴された後の勾留(被告人勾留)に分けられ、ここでは、前者について概観していきます。

勾留は、①勾留の理由、および②勾留の必要性があると判断された場合に決定されます。
「勾留の理由」とは、(ア)被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、(イ)住所不定、罪証隠滅・逃亡のおそれのいづれかがあることをいいます。
「勾留の必要性」は、事案の軽重、捜査の進展の程度、被疑者の年齢・身体の状況等から判断した勾留の相当性を意味します。

勾留を阻止するためには、検察官が勾留請求をする前、そして、裁判官が勾留を決定する前に、当該被疑者は勾留の要件に該当しない旨を主張し、勾留請求をしないよう、勾留の決定をしないよう関係機関に働きかける必要があります。

兵庫県であれば、1日で検察への送致から勾留決定まで行われます。
そのため、迅速に対応する必要があります。

刑事事件はスピードが重要です。
ご家族やご友人が刑事事件を起こし逮捕されてしまった場合には、すぐに刑事事件に精通する弁護士にご相談・ご依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
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動物の虐待事件:器物損壊罪と動物愛護法違反

2020-04-10

動物虐待事件において器物損壊または動物愛護法違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県小野市に住むAさんは、近頃野良犬に自宅の花壇が荒らされるということが頻繁に起こっていたことに業を煮やし、自宅に罠を仕掛け、罠にかかった犬を何度も棒で殴って二度と自宅に近づかないようにしようと考えました。
ある日、一匹に犬が罠にかかっていたので、Aさんはこの犬を複数回棒で殴ったところ、犬に瀕死の怪我を負わせてしまいました。
後日、兵庫県小野警察署の警察官がAさん宅を訪れ、動物虐待事件についてAさんに話を聞いています。
その際、Aさんが殴打した犬が実は野良犬ではなく、Aさん宅から少し離れた民家で飼われていた犬であることが分かりました。
(フィクションです)

動物の虐待事件で問われ得る罪とは?

犬や猫といった動物をペットとして飼われている方も多いと思います。
ペットを家族の一員として接していらっしゃる方がいる一方で、ペットや野生動物に対して虐待行為を行うといった痛ましいケースも少なからず存在しています。
動物に対して虐待を行った場合、犯罪が成立する可能性があるのですが、虐待された動物が他人に飼育されていたペットであるか、野生動物であるかによって成立し得る罪は異なります。

(1)器物損壊罪

動物虐待事件で問われ得る罪には、器物損壊罪というものがあります。
器物損壊罪」という罪を聞くと、あまり動物虐待事件と結びつかない方も多くいらっしゃるように思いますが、虐待された動物が「他人が飼育している」ペットであった場合には、器物損壊罪の客体に該当することになるのです。

器物損壊罪は、刑法261条に規定される罪です。

第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の客体は、公用文書等毀棄、私用文書等毀棄、建造物等損壊及び同致死傷に規定するもの以外の他人の物です。
これには、動産・不動産だけでなく、動物も含まれます。

器物損壊罪の行為は、「損壊」または「傷害」することです。
「損壊」は、広く物本来の効用を失わしめる行為を含みます。
例えば、物を物理的に破壊する行為だけでなく、他人の飲食器に放尿する行為についても、飲食器そのものは物理的に破壊されたわけではありませんが、尿が付着した飲食器を洗っても、通常その飲食器を使いたいとは思いませんので、その飲食器の本来の効用を喪失したと言え、「損壊」に当たるとされます。(大判明治42・4・16)
「傷害」は、客体が動物の場合に用いられ、動物を物理的に殺傷するほかにも、本来の効用を失わせる行為も含みます。
例えば、鳥かごを開けて他人の鳥を逃がす行為や、池に飼育されている他人の鯉をいけすの柵をはずして流出させる行為(大判明治44・2・27)が、本来の効用を失わせる行為として「傷害」に該当するとされます。

このように、他人のペットに対して虐待を行った場合には、器物損壊罪が成立すると考えられます。

(2)動物愛護法違反

他人の飼っている動物以外の動物、例えば野生動物や野良犬、野良猫に対して虐待を行った場合には、器物損壊罪ではなく動物愛護法違反が成立する可能性があります。

動物の愛護及び管理に関する法律(以下、「動物愛護法」といいます。)は、「動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もって人と動物の共生する社会の実現を図ること」を目的とする法律です。

動物愛護法で対象となる動物は、家庭動物、展示動物、産業動物、実験動物等の人の飼養に係る動物です。

動物愛護法第44条1項は、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する」と定めています。
ここでいう「愛護動物」とは、
①牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、そしてあひる
②その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
をいいます。

また、動物愛護法第44条2項は、「愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行った者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」と定めています。

加えて、動物愛護法第44条3項は、「愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」と定めています。

動物虐待事件において、器物損壊罪か動物愛護法違反のいずれが成立し得るかについては、虐待の対象となった動物が「他人の所有する動物か否か」という点によります。
そうしたところ、上のケースでは、Aさんが他人のペットを棒で複数回殴打し傷害を負わせていることを考えると、Aさんの行為は器物損壊罪に該当することになります。
しかし、Aさんは、この犬を野良犬だと勘違いしており、他人の所有する動物との認識を欠いていることになります。
つまり、Aさんに器物損壊罪の故意がなく、その認識は愛護動物である犬という認識にとどまることになるので、動物愛護法違反が成立すると考えられます。
ただ、Aさんが殴打した犬に首輪がついていたり、近所で犬が多く飼われているなどの事情がある場合には、他人の飼っている犬という認識が認められることがあり、その場合には器物損壊罪が成立する余地はあります。

動物虐待事件であっても、その内容により問われ得る罪は異なります。

刑事事件を起こし対応にお困りであれば、一度刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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ネットの中傷書き込みで告訴

2020-04-08

ネット中傷書き込み告訴された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、インターネットの掲示板に、「X社の社長Vは、昔やくざをしていた。今もやくざ関係者とつながっていて、表は貿易会社だが、裏では覚せい剤の密輸を行っていて、その利益でX社をやりくりしている。」などとX社や社長の実名を挙げて書き込みをしました。
この掲示板は誰でも閲覧可能なものでした。
ある日、会社に書き込みについての問い合わせがきたことで事件が発覚し、社長はすぐに兵庫県丹波警察署に相談しました。
後日、兵庫県丹波警察署は、Aさんに連絡し、ネット中傷書き込みの件で任意出頭するよう要請しました。
Aさんは、X社の元社員で、それを知った社長は激怒し、告訴をしたということです。
Aさんは出頭する前に、自分がどのような罪に問われるのか、どのように対応すべきかを弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

他人をインターネットで誹謗中傷した場合

インターネットの掲示板などに、他人を誹謗中傷する内容が書き込まれることがあります。
インターネットの掲示板は、基本的に誰でも閲覧することができますので、不特定または多数人が閲覧できる状態にあると言えます。
このような場合、名誉毀損罪あるいは侮辱罪が成立する可能性があります。

名誉毀損罪とは

名誉毀損罪は、刑法230条に規定されています。

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

名誉毀損罪の客体は、「人の名誉」です。
「人」には、自然人だけでなく、法人や法人格のない団体も含まれます。
「名誉」というのは、「人に対する社会一般の評価」を意味します。(大判昭8・9・6)
名誉には、人の倫理的価値、政治的・学問的・芸術的能力、容貌、健康、身分、家柄など、およそ社会において価値があるとされるものが含まれますが、人の経済的な支払能力に対する評価は、名誉毀損罪の「名誉」には当たらず、信用棄損罪の客体に当たります。(大判大5・6・26)

名誉毀損罪の行為は、「公然と事実を適示し」て「人の名誉を毀損」することです。
「公然」とは、不特定または多数人の認識し得る状態をいいます。
「不特定」は、相手方が特殊な関係によって限定されたものでないことをいい、限定された数名の者にたいしてであっても、その場所の通行や出入りが自由であって、その数名はたまたま居合わせたにすぎない場合は「不特定」に当たります。(大判大6・10・19)
また、「多数人」は、数字によって何人以上と限定することはできないが、単に数名では足りず、相当の員数であることを要します。
「公然」には、適示する相手方は、特定かつ少数であったとしても、伝播して不特定多数人が認識できるようになる場合も含まれます。

適示される「事実」は、人の社会的評価を害するに足りる事実でなければなりません。
人の社会的評価を害するか否かは、相手方の有する名誉によって相対的に決まるとされています。
例えば、医者でない者に「藪医者」といっても名誉毀損にはなりません。
また、適示される事実が、真実か否か、公知か否か、過去のものか否かは問われません。
「適示」とは、「具体的に人の社会的評価を低下させるにたりる事実を示す」ことをいいます。
その方法や手段に制限はありません。

また、「名誉を毀損」するとは、人の社会的評価を低下させるおそれのある状態を作ることをいい、現実に社会的地位が傷つけられたことまでは必要とされません。(大判昭13・2・28)

以上の構成要件に該当し、かつ、公然と事実を適示して人の名誉を毀損することの認識・認容がある場合に、名誉毀損罪が成立することになります。

侮辱罪とは

一方、ネット中傷書き込みが、名誉毀損罪ではなく侮辱罪に当たることもあります。

第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

侮辱罪の客体は、名誉毀損罪のそれと同じく、「人の名誉」です。
本罪の行為は、「公然と人を侮辱する」ことです。
「侮辱」とは、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することをいいます。
名誉毀損罪のように、具体的な事実を適示する必要はなく、人の社会的評価を低下させるような抽象的判断、批判を表現することが求められます。(大判大15・7・5)

公然と人の社会的評価を低下させ得ることを示す点で、名誉毀損罪と侮辱罪は共通しています。
しかし、具体的な事実を示す場合には名誉毀損罪に、具体的な事実に至らない抽象的な評価などを示す場合が侮辱罪に該当することになります。

上のケースを検討した場合、Aさんは、「X社の社長Vは、昔やくざをしていた。今もやくざ関係者とつながっていて、表は貿易会社だが、裏では覚せい剤の密輸を行っていて、その利益でX社をやりくりしている。」などとネットの掲示板に書き込んでいますので、適示した事実は、具体的な事実であると言えるでしょう。

名誉毀損罪と侮辱罪は、法定刑や刑事手続に大きな違いがありますので、その区別は重要だと言えるでしょう。
また、どちらの罪も告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪ですので、事件を穏便に解決するには、被害者と示談を成立させる必要があります。

名誉毀損罪や侮辱罪を含めた刑事事件・少年事件を起こし、対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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特殊詐欺の受け子~詐欺罪と窃盗罪~

2020-04-07

特殊詐欺受け子を行い、詐欺罪または窃盗罪で問われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
先輩から「高額バイトがあるから、やってみないか?」と誘われて、特殊詐欺受け子をやることになったAくん(18歳)は、ある日、指示役から兵庫県芦屋市にある民家に行くように言われました。
警察官と名乗り、高齢女性からキャッシュカードが入った封筒を受け取ったAさんは、女性が電話に対応している間に、持参した封筒とすり替えて戻ってきた女性に封筒を渡しました。
Aさんは、女性宅を出た後、指示された銀行のATMで受け取ったキャッシュカードを使って現金50万円を引き出しました。
50万円のうち5万円を報酬として受け取り、残りは指定されたコインロッカーに入れました。
後日、兵庫県芦屋警察署の警察官がAさん宅を訪れ、窃盗の容疑でAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

特殊詐欺の受け子

特殊詐欺と言えば、少し前には、「オレオレ詐欺」が代表的なものでした。
突然、電話がかかってきた、「オレ、オレだよ。」と切り出し、電話に対応した家族の息子からの電話であるかのように装い、「交通事故を起こしたから、示談金が必要。」だとか、「会社のお金を横領したから、返済にお金が必要。」などと言って、相手からお金を騙し取ろうとする手口です。
要求した金の受領方法は、振込先を指定して振り込ませるやり方から、郵便で指定した住所へ送らせるものまで広範囲に及びます。
しかし、警察の取り締まりが厳しくなるにつれて、特殊詐欺の手口は巧妙化・多様化しています。
最近では、銀行員、警察官、弁護士などを語り、「あなたの口座が特殊詐欺グループに不正に使用されている。停止するために、キャッシュカードと暗証番号が必要。今から自宅に行くので対応してほしい。」などと言って、相手からキャッシュカードを騙し取るやり口が横行しています。
キャッシュカードを騙し取る方法も、キャッシュカードを相手から受け取る方法から、キャッシュカードを封筒に入れさせ、確認すると受け取り、電話か何かに相手が対応している隙に、事前に用意しておいた別の封筒と入れ替え、別の封筒を相手に渡し、キャッシュカードを取得する方法へと移行してきているようです。
どちらの方法も、相手に自分は銀行員・警察官・弁護士だと偽り、嘘の理由でやってきたと信じ込ませている分には変わりありませんが、キャッシュカードを取得した方法が異なるため、成立し得る犯罪も変わってくるのです。

(1)詐欺罪

人を欺いて財物を交付させた場合、詐欺罪が成立します。
「人を欺いて財物を交付させる」という行為であるためには、①相手を騙し、②相手が騙されて嘘を本当のことと信じ、③相手が行為者に財物を渡し、④行為者側が財物を入手する、といった一連の流れが必要となります。
この①欺罔→②錯誤→③財産的処分行為→④財物の交付という行為の流れをとることが、詐欺罪の本質であり、特に③財産的処分行為は、窃盗罪との区別において重要です。
財産的処分行為が成立するためには、財産を処分する事実と処分する意思が必要です。
なので、自分の行動の意味が分かっていない幼児や精神障害者を騙して、その財物を取得したとしても、幼児や精神障害者に財物を処分する意思が認められないので、財産的処分行為がなく、その財物の取得は詐欺罪ではなく窃盗罪となります。

(2)窃盗罪

窃盗罪は、他人の財物を窃取する犯罪です。
「窃取」というのは、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
さきほど述べたように、詐欺罪の成立に重要なポイントである「相手の財産的処分行為」は、相手が財物を処分する事実と処分する意思が含まれます。
ですので、相手が自分の意思で財物を処分するということが詐欺罪では必要になるのに対して、窃盗罪においては、財物の占有者の意思に反して、その財物を自分(または第三者)の物にすることが求められますので、財物の占有を相手(被害者)から自分や第三者に移転させるという点では共通していますが、その移転が財物の占有者の意思に反していたか否かが異なります。

特殊詐欺受け子の件について検討しますと、被害者に対して嘘の話をして、被害者が自分の口座が悪用されているから、自分の財産を守るためにも、自宅にやってきた者(つまり、受け子)にキャッシュカードを渡さなければならないと信じ込ませ、キャッシュカードを自ら受け子に渡しています。
例えば、被害者がキャッシュカードを銀行員と称する受け子に渡したら、後日新しいキャッシュカードが郵送されてくると信じて、当該キャッシュカードを受け子に渡したのであれば、「錯誤に基づく被害者の財産的処分行為がある」ということになります。
さらに言えば、特殊詐欺グループが被害者に対してついた嘘の内容が、財産的処分行為に向けられたものであった、ということになります。
よって、この場合は、詐欺罪が成立すると考えられます。

一方、被害者が受け子にキャッシュカードを確認させるためだけに、封筒に入れたキャッシュカードを受け子に渡したのですが、共犯者と共謀し、共犯者がタイミングよく被害者に電話をし、電話に応対するために被害者が席を外した隙をみて、事前に用意した他のカードなどが入った封筒と入れ替え、その封筒を被害者に返し、キャッシュカードを入手する行為については、先ほどのケースとは異なります。
なぜなら、特殊詐欺グループは、キャッシュカードを他の物とすり替えるために、被害者の隙をつくるために嘘の電話をかけたのですから、その嘘は、被害者の財産的処分行為(キャッシュカードを受け子に渡す行為)に向けられたものではないからです。
そのため、被害者は自分の意思でキャッシュカードを受け子に渡したのではなく、その意思に反して勝手に持っていかれたことになります。
よって、この場合は、窃盗罪が成立することになるでしょう。

特殊詐欺事件は、組織犯罪であることが多く、また、複数件行っていることが多いため、身体拘束が長期化し、接見禁止に付される可能性が高くなっています。

ご家族が特殊詐欺事件で逮捕されたのであれば、今すぐ刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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近隣トラブルで刑事事件に

2020-04-06

近隣トラブル刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宝塚市に住むVさん家族は、1年前に引っ越してきました。
道を挟んだ向かいにあるAさんとも、良好な関係にありました。
しかし、子供がまだ小さいVさんの妻が、町内のイベントの準備に積極的に参加しないことに腹を立てたAさんは、Vさん宅の玄関前で、嫌味を言うようになりました。
最初は嫌味だけでしたが、だんだんとVさん家族の人格を否定するような内容の暴言を吐くようになり、Vさんの妻は怖くて家から出るのもためらうようになりました。
さすがに困ったVさんは、市役所に相談しました。
市役所からAさんに連絡が行った後も、Aさんの嫌がらせ行為は続き、とうとうVさん家族は兵庫県宝塚警察署に相談することにしました。
(フィクションです)

近隣トラブルから刑事事件に発展するのか?

刑事事件というと、殺人や傷害、性犯罪に窃盗などといった犯罪をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
刑事事件となると、警察が動き出して大事になる。
犯人は逮捕され、裁判にかけられて刑務所に入る。
そのようなイメージからすると、近隣トラブルのような揉め事には警察は介入しないのではないか。

実は、そうでもありません。
一昔前までは、家庭内トラブルや近隣トラブルといった問題には、警察は積極的に介入しようとはしなかったと言われていますが、トラブルの内容によっては刑事事件として立件することもあり、隣人トラブルから刑事事件に発展するケースは少なくありません。
近隣トラブルで多いのが、隣人からの執拗な嫌がらせ行為です。
何らかの出来事がきっかけとなり、隣人からの嫌がらせを受けているケースが多く、嫌がらせを回避するために荷物をまとめて出ていくなんてことが気軽にはできるものではありませんので、被害者は長年に渡って嫌がらせ行為に悩まされ続けていることがよく見受けられます。

このような隣人からの嫌がらせ行為は、迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。

迷惑防止条例は、各都道府県により制定されているもので、兵庫県には、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」と題する条例があります。
この条例の第10条の2は、嫌がらせ行為の禁止について定めています。

正当な理由なく、特定の者に対して、執拗に又は反復して「嫌がらせ行為」をすることを禁止しています。
ここでいう「嫌がらせ行為には、次の8つの行為が含まれます。

①つきまとい・待ち伏せ・見張り・押し掛け
人の後を尾行する行為、行く先々で待ち伏せをする行為、自宅や勤務先などで見張る行為、自宅や勤務先などに押し掛ける行為。

②監視していると告げる行為
帰宅直後に「おかえり」などと電話やメールをする行為、その日の行動や服装などを電話やメールで告げる行為。

③面会などの要求
面会などの義務のないことを行うよう要求する行為。

④乱暴な言動
著しく粗野・乱暴な言動をすること。

⑤無言電話、電子メールなどの送付
無言電話や意味不明な声を上げるだけの電話、拒否しているにもかかわらず電話・メールなどを送る行為。

⑥汚物などの送付
汚物、動物の死体、その他の著しく不快・嫌悪の情を催させるような物を送付したり、その知り得る状態に置くこと。

⑦名誉を害する行為
名誉を傷つけるような内容を告げたり、文書などを届けたりする行為、名誉を傷つけるような文章をネットに掲載して伝えようとする行為など。

⑧性的羞恥心を害する行為
性的羞恥心を害する事項を告げたり、その知り得る状態に置いたり、その性的羞恥心を害する文書・図画その他の物を送付、またはその知り得る状態に置くこと。

上のケースでは、AさんがVさん宅の玄関前で暴言を吐くという行為を繰り返しています。
Aさんの行為は、④の嫌がらせ行為、内容によっては、⑦や⑧にも当たる可能性があります。
④の「著しく粗野又は乱暴な言動」というのは、場所柄や一般に期待される礼儀をわきまえないぶしつけな言動や動作または不当にあらあらしい言語動作であって、刑法の暴行や脅迫などに至らない程度のものをいいます。
大声で「バカ」「くそ」などの粗野な言葉を浴びせる行為、家の前で大声を出したり、車のクラクションをうるさく鳴らす行為等が該当します。

このような「嫌がらせ行為」は、ストーカー規制法における「つきまとい等」と類似していますが、「つきまとい等」は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」をもって行われる必要があります。
迷惑防止条例の「嫌がらせ行為」は、そのような恋愛感情目的がなく、特定の人に対して、執拗・反復して問題の行為を行うことで足ります。

嫌がらせ行為を行い迷惑防止条例に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

このように、迷惑防止条例違反に当たる場合、近隣トラブルから刑事事件に発展する可能性はあります。
迷惑防止条例違反で刑事事件の被疑者となり対応にお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

示談成立で起訴猶予獲得

2020-04-05

示談起訴猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市北区の路上で、タクシー運転手に暴力を振るって怪我を負わせたとして、会社員のAさんが、兵庫県神戸北警察署に傷害の容疑で逮捕されました。
Aさんは、当時酒にかなり酔っていたようで、タクシー代金を巡って言い争いになり、Aさんが運転手に手を出したとのことですが、Aさんは酔っていて記憶がありません。
しかし、車内のレコーダーの映像からもAさんの犯行は確認されており、Aさんも容疑を認めています。
被害者と早期に示談して不起訴にならないかと、Aさんは弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

起訴猶予とは

被害者や目撃者などからの通報を受けた警察は、刑事事件として捜査を開始します。
身体拘束が必要な場合には、犯人を逮捕することもあります。
警察は、捜査を一通り済ませると、事件を検察に送ります。
これを「送致」といいます。
犯人が逮捕されている場合では、逮捕から48時間以内に送致するか、犯人を釈放するかを決めなければなりません。
警察からの送致を受けた検察官は、捜査を遂げた後、事件を処理します。
検察官が行う終局的な事件処理には、「起訴処分」、「不起訴処分」、「家庭裁判所送致」があります。
「不起訴処分」というのは、問題の事件について起訴しないとする処分のことです。
起訴するかどうかは、検察官が決めることになっています。

不起訴処分には、不起訴とする理由により様々なものがありますが、主な4つを以下でご紹介します。

①嫌疑なし
被疑者が犯人でないことが明らかなとき、または、犯罪を認定する証拠がないことが明らかな場合には、「嫌疑なし」として不起訴処分となります。

②嫌疑不十分
犯罪が立証するだけの証拠が不十分なため、起訴したとしても有罪となる可能性が低い場合には、「嫌疑不十分」で不起訴処分となります。

③起訴猶予
犯罪を証明する証拠は十分にあり、起訴すれば有罪となる可能性は高いけれど、犯罪の重さや被害者の処罰感情、更生の見込みなど、様々な事情を考慮して、今回は起訴しないとする場合です。
不起訴処分となる多くが、起訴猶予だと言われています。

④親告罪の告訴取消し
告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪について、告訴が取り消された場合には、不起訴処分となります。

示談とは

示談」というのは、刑事事件の文脈においては、加害者が被害者に対して一定の賠償金を支払う代わりに、被害者が被害届を提出しないなど、当事者間で今回の事件は解決したとする約束のことです。
示談が成立したことによる処分への影響ですが、③の起訴猶予でも述べたように、検察官が処分を決める上で考慮する事情に、被害者の処罰感情があります。
示談が成立しており、被害者が加害者に対して刑事罰を望まない場合には、検察官もそれを考慮し起訴猶予とする場合があります。
もちろん、親告罪ではないのであれば、告訴がなくても公訴を提起することはできますが、その他の事情も考慮した上で、検察官が不起訴処分とする可能性は高いでしょう。

つまり、被害者との間で示談を成立させることができれば、起訴猶予となる可能性を高めることができるということです。
そのため、被害者がいる事件では、被害者との示談交渉が不起訴処分を獲得するための重要な弁護活動のひとつと言えます。

被害者との示談交渉は、弁護士を介して行うのが一般的です。
それは、被害者と加害者がもともと知り合いだった場合を除けば、警察や検察などを通じて相手方の連絡先を教えてもらうことになりますが、加害者が直接被害者と連絡をとり、被害者に供述を変えるように迫るなどの行為に及ぶことをおそれ、捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらうことはあまりありません。
仮に、教えてもらうことができたとしても、被害者が恐怖や嫌悪感から加害者と直接連絡をとることを嫌がったり、感情論的になり交渉が難航することがあります。
ですので、代理人である弁護士は、弁護人限りで連絡先を教えてもらうといった被害者に配慮した連絡方法を提案したり、加害者の謝罪の気持ちや示談の意向を冷静に伝えた上で、示談のメリットデメリットを丁寧に説明するなど、被害者の気持ちに寄り添いながら粘り強く示談交渉を行うことが期待されます。

被害者との示談交渉は、刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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量刑不当で控訴

2020-04-04

量刑不当を理由とした控訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
傷害罪で神戸地方検察庁に起訴されたAさんに対して、4月4日、神戸地方裁判所は懲役5年の有罪判決を言い渡しました。
Aさんは、判決を量刑不当を理由に控訴するつもりですが、第一審の弁護人に控訴審もお願いするのか、刑事事件を専門とする弁護士に控訴審の弁護人をお願いすべきか悩んでいます。
(フィクションです)

控訴とは

裁判官といえども、人間である以上、裁判の内容に誤りがあったり、手続上の違法があったりする可能性も否定できません。
そのため、そのような誤りを是正する手段を講じる必要があります。
そのような手段の一つに、「上訴」があります。
「上訴」というのは、裁判を受けて不利益を被る者が、その裁判が確定してしまう前に、上級の裁判所に不服を申し立て、原裁判の変更や取消しを求めることです。

裁判に対する不服申立という点で、身柄解放活動として行う勾留に対する準抗告のような「準抗告」とも共通しますが、「上訴」は「上級の裁判所」に対する不服申立であるのに対して、「準抗告」は、「上級の裁判所」ではなく、「原裁判所とは違う裁判所」に対して行う点で異なります。

「上訴」のうち、第一審判決を不服として高等裁判所へ不服申立を行うものを「控訴」といいます。
控訴の申立てをすることができるのは、第一審判決を受けた当事者である検察官と被告人です。
他にも、被告人の法定代理人や保佐人、第一審の代理人や弁護人は、被告人のために控訴を行うことができます。
検察官は、不当と判断した全ての判決について控訴することができますが、被告人は、自己に利益な内容を主張して申し立てなければなりません。
つまり、原判決よりも重い刑を主張して控訴を申し立てることはできないのです。

控訴ができるのは、第一審判決が宣告された日から14日以内です。
上のケースであれば、4月4日に判決が言い渡されていますので、翌日の5日から数えて14日目である18日までであれば、控訴を申し立てることができます。

控訴が申立てられると、原判決の確定は阻止され、その執行は停止されます。
そして、事件は控訴審に係属します。

控訴を申立てると、定められた期限内に、控訴趣意書を控訴裁判所に提出しなければなりません。
控訴趣意書」とは、控訴の理由を簡潔に明示した書面です。
控訴審は、書面審理であるため、この控訴趣意書が審理を決する重要な要素となります。
控訴理由は刑事訴訟法377条以下に定められており、法定の控訴理由を主張しなかった場合、決定で控訴が棄却されます。

控訴理由

(1)訴訟手続の法令違反

刑事訴訟法277条および378条に列挙されている訴訟手続の法令違反については、原判決への影響の有無を問わず控訴の理由となります。
このような控訴理由を「絶対的控訴理由」と呼びます。
それ以外の訴訟手続の法令違反は、判決に影響を及ぼすことが明らかであるときに控訴の理由とすることができます。
絶対的控訴理由に対して、後者は「相対的控訴理由」と呼ばれます。

(2)法令適用の誤り

認定された事実に対する実体法の適用を誤った場合、法令適用の誤りに該当します。
認定された事実に対して、適用すべき法令を適用しなかった場合、適用すべきてはない法令を適用した場合、法令の解釈を誤って適用した場合などです。
認定された事実に対する実体法の適用を誤ったことに加えて、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかである場合に、控訴の理由とすることができます。

(3)刑の量刑不当

処断刑の範囲内での刑の量定が不当であることを理由に控訴することができます。
情状事実の誤認や評価の誤りといった裁量的加重減免、酌量減軽、刑種の選択や刑期の長短、刑の執行猶予、罰金の換刑処分、選挙権・被選挙権の停止・不停止等も量刑問題となります。

(4)事実の誤認

原判決の事実認定が論理即、経験則等に照らして不合理である場合であり、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであるときに、控訴の理由とすることができます。

(3)量刑不当、および、(4)事実の誤認を控訴理由として申し立てる場合、第一審の訴訟記録および証拠に現れている事実に加えて、一定の限度で控訴審での新証拠に基づく事実を主張することができます。
やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかった証拠によって証明することのできる事実、あるいは、第一審の弁論取穴後判決前に生じた事実であり、量刑不当または事実誤認の控訴理由がある場合には、訴訟記録および原裁判所において取り調べた証拠に現れている事実以外の事実であっても、控訴趣意書に援用することができます。
量刑不当を主張する場合、原判決後に被害者との示談が成立したことは、被告人の有利に働きます。

単に、第一審で主張した事情を繰り返すことでは意味がありません。
量刑相場との対比、余罪の評価が適切であるか、前提事実に誤認がないか、原審の事情で正当に評価されなかったものはないか、被告人に有利となる弁論終結後の事情はないか、など注意深く検討する必要があります。

刑事裁判、控訴についてお悩みであれば、一度刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年交通事件で弁護士に相談

2020-04-03

少年交通事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
深夜、赤信号にもかかわらず兵庫県三田市の交差点に侵入したとして、兵庫県三田警察署の警察官に停止を求められたAくん(15歳)。
警察官に運転免許証の提示を求められましたが、Aくんは「持っていません。」と正直に無免許運転であることを告げました。
Aくんは、道路交通法違反の容疑で現行犯逮捕されましたが、Aくんの両親が身元引受人として警察署に迎えに来て釈放されました。
Aくんと両親は、この先どのような流れとなるのか不安です。
(フィクションです)

少年交通事件について

少年交通事件は、少年による危険運転致死傷、過失運転致死傷、重過失致死傷、道路交通法違反事件などの交通関係事件のことです。
このような少年交通事件のうち、道路交通法違反事件については、成人の場合と同じく、交通反則通告制度が存在します。
交通反則通告制度というのは、自動車、原動機付自転車等の運転者の違反行為のうち、無免許運転や飲酒運転等の悪質な違反を除く、比較的軽微な違反について、交通事故を起こしていないなどの一定の条件を満たす場合にとられる制度で、反則金を納付することで、事件を終了させ、家庭裁判所の審判に付されることがなくなります。
交通反則通告制度の対象となる交通事件は、速度超過(一般道においては時速30キロ未満、高速道路においては時速40キロ未満の超過に限る)、信号無視や駐停車違反などです。

しかし、無免許運転、酒気帯び運転、速度超過、共同危険行為などの事件は、反則通告制度の対象とはならず、家庭裁判所に送致されることになります。

少年交通事件の審判手続の特徴

事件が家庭裁判所に送致されると、通常の事件と同様に、調査官による調査が行われます。
調査の一環として、少年交通事件では、家庭裁判所は、少年に対して集団での交通講習を実施することがあります。
個通安全に関する講義や講話、ビデオの視聴、保護者参加の討論会などが実施されます。
この集団講習への少年の取込む姿勢は、少年に対する処遇を決める上での判断材料となります。
調査の結果、審判を開始するか否かが決定され、審判開始決定がなされると、審判を経て、不処分・保護処分・検察官送致等の処分がなされます。

少年交通事件では、非行内容や要保護性の共通点、予想される処分に鑑みて、複数の少年が集団で審判を受ける集団審判が行われることがあります。
集団審判では、通常の審判とは異なり、個別事件の審理はほとんど行われず、事件類型に合わせた裁判官による訓戒が審判の中心となります。
しかし、個別に主張がある場合、重大な結果を生じさせた事件、否認事件などは、個別に審理されます。

少年交通事件の処分

(1)交通保護観察

交通事件における保護観察は、「交通保護観察」と「交通短期保護観察」とがあります。
「交通保護観察」は、交通事件を専門とする保護観察官と交通法規に通じた保護司を指名しるようにしたり、必要な場合には交通法規・運転技術・車両の構造に関する指導をすること、特別遵守事項に保護観察所長の定める交通に関する学習をすること等を定めること、保護観察官の直接担当や集団処遇の併用も考慮すべきこととされています。
「交通短期保護観察」は、一般非行性がない、一般非行性が深くない、交通関係の非行性が固定化していない、資質に著しい偏りがない、対人関係に問題がない、集団処遇への参加が期待できる、保護環境が特に不良でない、改善更生のために特に必要と認められる事項がなく特別遵守事項を定めない少年に対してとられる処分です。

(2)検察官送致

少年交通事件のうち重大な結果が生じた事件で、少年の年齢が高い場合には、刑事処分相当として検察官送致となるケースが少なくありません。

以上のように、少年交通事件では、通常の少年事件と異なる点もありますが、少年の更生に向けた活動は、他の少年事件と共通することが多くあります。
特に、環境調整においては、保護者と協力して家庭環境を改善することや、非行に走るようになった原因である交遊関係の見直しなど、少年が再び非行を犯さないように少年の周囲の環境を整えることが重要です。

少年事件では、事件内容の軽重だけでなく、少年の更生可能性も重要なポイントとなりますので、少年事件に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が交通事件を起こして対応にお悩みであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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