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風営法違反(年少者雇用)で逮捕

2020-02-05

風営法違反年少者雇用)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市でガールズバーを経営するAさんは、18歳未満の少女を働かせていたとして、兵庫県尼崎南警察署に、風営法違反年少者雇用)容疑などで逮捕されました。
警察によると、Aさんが経営するガールズバーで、深夜に当時16~17歳の少女2人に男性客の接待をさせるなどしていたということです。
Aさんは、「少女たちが18歳未満だと知らなかった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、慌てて刑事事件に詳しい弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)

ガールズバーで18歳未満に接待をさせたら

上記ケースのように、ガールズバーで深夜に18歳未満の者に客の接待をさせた場合、風営法違反年少者雇用)の罪に問われる可能性があります。

風営法とは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の略称で、風俗営業に関する規制を設けています。

風営法は、規制対象となる「風俗営業」について、その第2条で規定しています。
キャバクラやホストクラブは、客を接待して飲食させる営業(1号営業)となります。
パチンコ店やゲームセンターも「風俗営業」に当たります。
ガールズバーは、その多くが「深夜酒類提供飲食店」として風営法上の届出を出しています。
キャバクラなどの風俗営業許可第1号を得ている場合には、接待行為は可能ですが、営業時間が原則午前0時まで等の制限もあります。
一方、深夜酒類提供飲食店は、24時間営業できますが、接待行為は認められません。

風営法第22条3号は、風俗営業を営む者に対して、営業所において18歳未満の者に客の接待をさせる行為を禁止しています。
また、営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させることも禁止されています。
ですので、18歳未満の者をキャバクラで働かせる行為は、風営法違反となり、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金又はその併科が科される可能性があります。(風営法第50条1項4号)

ガールズバーのような深夜酒類提供飲食店について上の規定が準用されます。
午後10時から翌日の午前6時までの深夜帯に、18歳未満の者を客に接する業務に就かせた場合は風営法違反となります。
また、深夜酒類提供飲食店は、従業員に接待行為をさせることが認められていませんから、風俗営業許可を得ずに接待をさせていたのであれば、無許可営業となります。

Aさんは、問題の従業員が18歳未満だとの認識がなかったと供述していますが、営業者において18歳に満たないことを知らなかったというのみでは処罰を免れることはできません。
営業者がその年齢を知らなかったことに過失がないときは、処罰を免れるとされます。
これは、本人のみならず、紹介者、保護者とも会い、戸籍謄本などの公的資料などの証明力の高い資料や、運転免許証、身分証明書などの資料を確認した上で、18歳未満の者ではないと認識したという事情がある場合を指します。
単に「知らなかった」という主張だけでは通用しません。

家族が逮捕されたら弁護士に接見依頼を!

逮捕から勾留までの期間は、原則として、被疑者の家族であっても被疑者と面会することはできません。
警察から事件について詳しく教えてもらうこともできず、逮捕された家族の様子も分からず、家族は不安な気持ちに苛まれることは想像に難くありません。
そのような時でも、弁護士であれば、いつでも逮捕された被疑者と面会(接見)することができます。
ですので、ご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件専門の弁護士が、最短お問い合わせいただいた日に、留置先に赴き逮捕されたご家族との接見を行います。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

無断キャンセルと偽計業務妨害

2020-02-04

宿泊予約の無断キャンセル偽計業務妨害に問われ得る場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡新温泉町のホテルや旅館で、宿泊料金が一番高い部屋を大口で予約しておきながら、当日現れない無断キャンセルの被害が相次いでいました。
予約名は異なるものの、予約者の住所や連絡先は同じで、連絡をとろうとしても繋がりません。
立て続ける無断キャンセルの被害に業を煮やしたホテルや旅館の支配人たちは、兵庫県美方警察署に被害を相談しました。
美方警察署は、悪質ないたずらか業務の妨害する意図で行われたものである可能性があるとして、偽計業務妨害の疑いで捜査に着手しました。
後日、県外に住むAさんが犯人として浮上し、美方警察署はAさんを偽計業務妨害の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)

偽計業務妨害罪について

偽計業務妨害罪は、刑法第233条後段に次のように規定されています。

第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

本条の前段は、信用棄損罪について規定しています。

偽計業務妨害罪の構成要件は、
①虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、
②人の業務を妨害する
ことです。

◇虚偽の風説を流布し◇
真実とは異なる内容の噂などを不特定又は多数人に伝播させることをいいます。
直接少数の者に伝達した場合であっても、その者を介して多数の者に伝播するおそれがあるときには、流布に当たります。

◇偽計を用いて◇
「偽計」というのは、人を欺罔・誘惑し、又は人の錯誤・不知を利用することです。

◇業務を妨害する◇
「業務」とは、自然人又は法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連して行う職業その他の継続して従事することを必要とする事務をいいます。

上記ケースにおいて、宿泊予約の無断キャンセルそのものが問題ではなく(もちろん、客を受け入れる準備をしていたホテルや旅館に経済的損失が生じさせてしまう点で問題はありますが)、複数のホテルや旅館に対して高額な部屋を大口で予約し、明らかに宿泊する意思がなく、当該ホテルや旅館の業務を妨害しようとする意思が認められる場合には、偽計業務妨害罪が成立し、捜査機関が捜査に着手する可能性はあります。

偽計業務妨害事件で逮捕されたら

偽計業務妨害の容疑で逮捕された後の流れは、一般的な刑事事件と同じです。
警察に逮捕されたら、まずは、警察署で取調べを受けることになります。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも証拠や関係書類と共に検察官に送致するかを決めます。
検察官に送致されると、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者の弁解を聞いた上で、検察官は被疑者を釈放するか、裁判官に対して勾留請求を行うかを決定します。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被疑者と面談した後、当該被疑者を勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。

逮捕後に勾留となれば、その間職場や学校に行くことはできませんので、最悪の場合、解雇や退学となる可能性も生じます。
そのような事態を避けるためにも、逮捕されたら、できる限り早い段階で刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動に着手してもらうのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が、偽計業務妨害の容疑で逮捕されたお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0102-631-881までご連絡ください。

ペット虐待で動物愛護法違反

2020-02-03

ペット虐待動物愛護法違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県淡路市内で、飼い犬とみられる数匹の犬に対して暴力を振るう様子を撮影した動画がSNSに複数回投稿されました。
動画を見た県内外の人から警察への通報が相次ぎ、動物虐待事件として捜査が開始されました。
動画に映っていた人物を特定した兵庫県淡路警察署は、市内に住むAさん宅を訪れ、事件について任意で話を聞いたところ、Aさんは容疑を認めました。
警察は、動物愛護法違反の疑いで身体拘束せずに捜査を進めることにしました。
(フィクションです)

動物愛護法違反とは?

動物の愛護及び管理に関する法律(以下、「動物愛護法」といいます。)は、「動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もって人と動物の共生する社会の実現を図ること」を目的とする法律です。

動物愛護法で対象となる動物は、家庭動物、展示動物、産業動物、実験動物等の人の飼養に係る動物です。

動物愛護法第44条1項は、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する」と定めています。
ここでいう「愛護動物」とは、
①牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、そしてあひる
②その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
をいいます。

また、動物愛護法第44条2項は、「愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行った者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」と定めています。

加えて、動物愛護法第44条3項は、「愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」と定めています。

飼い犬に対して暴力を振るい、その結果犬に怪我を負わせたのであれば、動物愛護法第44条1項に反し、怪我を負わせなかったものの身体に外傷が生じるおそれのある暴行を加えた場合は同法第44項2項に違反することになるでしょう。

上のケースでは、自分の飼い犬に対する虐待ですが、他人の飼っている犬に対して虐待を行い死なせてしまったり怪我などを負わせた場合には、器物損壊罪が成立する可能性があります。

動物愛護法違反事件で逮捕される可能性は?

「逮捕」は、被疑者の身柄を拘束し、引き続き短時間その拘束を続けるものです。
逮捕には、「通常逮捕」、「現行犯逮捕」、「緊急逮捕」の3種類があります。
ここでは、通常逮捕について説明します。
通常逮捕は、裁判官から事前に逮捕状の発布を受けておこなわれます。
通常逮捕の要件としては、「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」の2つがあります。
「逮捕の理由」とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことです。
「逮捕の必要性」は、「逃亡のおそれ」や「罪証隠滅のおそれ」がある場合です。
以上の要件を充たしている場合には、裁判官が逮捕状を発布し、捜査機関により逮捕が執行されるのです。
逆に言えば、それらの要件を充たしていなければ逮捕されることはありません。

逮捕により報道される可能性や身体拘束により会社に行けなくなってしまいますので、出来る限り回避したいものです。

万が一、逮捕されてしまった場合でも、その後の勾留を避け、早期に釈放となるよう動くことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
動物愛護法違反事件を含む刑事事件・少年事件で捜査機関からの取調べを受けてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

トイレでの盗撮事件

2020-02-02

トイレでの盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県三木市にある商業施設内の男子トイレで小便中だった小学生の男児の横に立ち、スマートフォンで男児を盗撮しました。
Aさんの行為に気づいた男児は、すぐにトイレの外で待っていた母親に知らせ、母親は商業施設の警備員に通報しました。
警備員はすぐにトイレに駆け付け、近くにいたAさんに任意同行を求め、Aさんのスマートフォンを確認したところ画像が残っていたため、兵庫県三木警察署に通報し、Aさんは駆け付けた警察官に逮捕されました。
(フィクションです)

トイレでの盗撮事件~成立し得る罪名は?~

盗撮は、盗撮場所、対象、態様によって成立する罪が異なります。
ほとんどの場合、盗撮行為は各都道府県が定める迷惑防止条例違反となります。
兵庫県では、盗撮を禁止する条文が次のように規定されています。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

兵庫県の迷惑防止条例では、次の行為を禁止し、違反者に対する罰則を定めています。
①公共の場所・乗物における盗撮行為および盗撮目的でのカメラ等の設置行為。
②不特定多数の者が利用する場所・乗物における盗撮行為、盗撮目的でのカメラ等の差し入れおよび設置。
③人が通常衣類の全部または一部を着けない状態でいるような場所での盗撮行為、盗撮目的でのカメラ等の差し向けおよび設置。
違反者に対しては、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、常習として違反した者には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

盗撮の対象が18歳未満の者であった場合には、児童ポルノ規制法違反に当たる可能性もあります。
児童ポルノ規制法(正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)は、第7条5項において盗撮による児童ポルノの製造を禁止しています。

5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

当該条項に違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

盗撮事件で逮捕されたら

盗撮事件で逮捕された場合、主に次のような弁護活動を行います。

◇身柄解放活動◇

逮捕後に勾留となると、最大で逮捕から23日もの間身体が拘束されるおそれがあります。
長期間の身体拘束は、解雇や退学の可能性を生じさせますので、できる限り回避する必要があります。
ですので、逮捕されたら早期に弁護士に相談・依頼し、勾留を回避するよう関係各所に働きかけてもらうことが重要です。

◇被害者との示談交渉◇

盗撮事件のように被害者が存在する事件では、被害者との示談を成立させることが事件を穏便に解決するための重要な要素となります。
上で挙げた罪名のどちらも親告罪ではありませんので、被害者との示談が成立したからといって必ずしも検察官が起訴しないとは限りません。
しかし、検察官が起訴・不起訴の判断をする際、被害者との示談が成立しているか否かという点を十分考慮しますので、早期に被害者との示談を成立させる必要があります。
捜査機関が被疑者に直接被害者の連絡先を教えることはありませんし、被害者も被疑者に自身の連絡先を教えることには消極的です。
ですので、代理人である弁護士を介して被害者との示談交渉を行うのが一般的です。

このような活動は、刑事事件に精通した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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大麻所持で逮捕されたら

2020-02-01

大麻所持逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県東灘警察署は、大学生のAさん(21歳)を大麻所持の疑いで逮捕しました。
離れて暮らすAさんの両親は、警察から逮捕の連絡を受けました。
Aくんの両親は、警察から詳しいことは教えてもらえず、何をしたのかもはっきりと分かりませんでした。
心配になったAくんのお父さんが、面会の申出をしましたが、「すぐには面会できない。明後日には面会できるかもしれない。」と言われました。
「そんなに待っていられない。どうしたらいいのか。」と藁にも縋る想いで、ネットで検索したところ、すぐに接見に行ってくれる刑事事件専門弁護士がいることが分かりました。
Aくんのお父さんは、急いで刑事事件専門弁護士に接見依頼の電話をしました。
(フィクションです)

大麻所持罪

有名人が大麻事件で逮捕されるというニュースが後を絶ちません。
大麻は、有名人に限らず、一般人でも比較的手に入りやすい薬物です。

許可された者以外が大麻所持することは、大麻取締法で禁止されています。

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

所持」は、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」です。
大麻について所有権や処分権を有していることまで求められません。
所持の形態は、自ら保管・携帯している場合だけでなく、他人に保管させる場合、他人の依頼によって保管する場合、運搬する場合、隠匿する場合など社会通念上実力支配関係にあると認められるすべての場合が含まれます。

大麻所持で逮捕されたら

大麻をはじめ薬物事件で逮捕された場合、その後に勾留となる可能性は高いでしょう。
「勾留」とは、被疑者・被告人の身柄を拘束する裁判およびその執行をいいます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、検察官に被疑者の身柄とともに証拠や関係書類を送致するかを決めます。
検察官に送致された場合、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、もしくは裁判官に勾留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被疑者を勾留するかどうかを判断し、勾留しないとの決定(勾留請求却下)がなされた場合は、被疑者の身柄は釈放されます。(ただし、検察官からの勾留に対する準抗告が申し立てられ、準抗告が認められれば、当該被疑者の身柄は引き続き拘束されることになります。)
勾留となった場合には、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば、最大で20日間身柄が拘束されることになります。
逮捕から勾留までの間は、原則、家族であっても逮捕された被疑者と面会することはできません。
しかし、弁護士は、いつでも被疑者と面会(接見)することが法律で認められており、勾留前でもすぐに接見することができます。

加えて、薬物事件の場合、その背後に犯罪組織の存在が疑われたり、売人や譲受け人など共犯者がいるため、罪証隠滅のおそれがあると判断され、勾留とともに接見禁止が付されることもあります。
接見禁止は、弁護人以外の者との面会を禁止する決定です。
接見禁止が付せられると、事件には無関係な被疑者の家族とも面会することができない可能性があります。
外界から閉ざされた空間で連日の取調べを受けるといった非日常的な生活の中、被疑者は身体的にも精神的にもストレスを感じるものです。
そのような状態で、家族との面会も出来なくなれば、被疑者も精神的に益々追い詰められてしまいかねません。
そのような場合には、弁護士に相談し、家族との面会を許可してもらうよう接見禁止一部解除申請を行い、家族との接見禁止を解除してもらうよう動く必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻を含む薬物事件も取り扱う刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
大麻所持でご家族が逮捕されてお困りの方は、すぐに弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

万引き事件で審判不開始

2020-01-31

審判不開始について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県姫路市の書店で、漫画本を2冊万引きしたとして、中学生のAさん(15歳)は店員に呼び止められました。
Aさんは、その後、兵庫県姫路警察署で取調べを受け、Aさんの母親を身元引受人としてその日の夜に釈放されました。
翌日、今後のことが心配になったAさんの母親は、少年事件に詳しい弁護士に法律相談を頼みました。
(フィクションです)

審判不開始について

捜査機関は、少年の被疑事件について、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、そして犯罪の嫌疑は認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
これは「全件送致主義」と呼ばれ、少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のような捜査機関限りで事件を終了させることは認められません。

家庭裁判所に事件が送致される手順には、①捜査機関からの送致と②簡易送致とがあります。

①捜査機関からの送致

司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、原則として事件を検察官に送致することになっています。
ですので、通常は、司法警察員から検察官に事件が送致され、捜査終了後に、検察官が事件を家庭裁判所に送致します。
しかし、少年の被疑事件では、罰金以下の刑に当たる犯罪については、検察官に送致せず、直接事件を家庭裁判所に送致することになっています。
これは「直送」と呼ばれるもので、検察官に事件が送致されないので、少年を勾留することはできません。

②簡易送致

原則、少年の被疑事件は、軽微な事件であっても、全て家庭裁判所に送致されます。
しかし、一定の極めて軽微な少年の被疑事件については、通常の手続よりも簡易な手続に基づいて家庭裁判所に送致することもあります。
この手続を「簡易送致」といいます。
簡易送致の対象となる事件は、各家庭裁判所とそれぞれに対応する地方検察庁、警察本部との協議によって基準が定められています。
少額の万引きや自転車の占有離脱物横領などが、簡易送致の対象事件です。

少年の被疑事件が家庭裁判所に送致され、事件が受理されると、家庭裁判所の調査官は、少年や保護者に対して調査を行います。
調査官による調査は、単なる事情聴取ではなく、少年に内省を促したり、事件の背景にある問題に踏み込み、少年が更生するためにはどのような処分が適切かを調査します。

家庭裁判所は、その調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、審判開始決定をしなければなりません。
審判を開始しないとする決定を「審判不開始決定」といい、これには、(1)形式的審判不開始、および、(2)実体的審判不開始とがあります。

(1)形式的審判不開始

法律上または事実上、審判を行うことができない場合をいいます。
これは、次の3つに分けられます。
・非行なし
 非行事実の存在の蓋然性が認められないときで、これは、少年の行為が非行構成要件に該当せず 、非行として成立しない場合と、証拠上、非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合を指し ます。
・所在不明等
 調査・審判を行うことが法律上又は事実上不可能であると認められる場合で、少年の心神喪失、 死亡、所在不明、疾病、海外居住等の場合です。
・その他

(2)実体的審判不開始

審判に付するべき事由はあるけれども、少年に要保護性の存在する蓋然性が認めらず、裁判官による直接の審理を必要としないため、審判を行う必要性がない場合をいいます。
例えば、①事案が軽微な場合、②別件保護中の場合、③保護的措置による要保護性解消の場合などがあります。

審判不開始を目指す場合、付添人である弁護士は、捜査段階から弁護人として活動していたのであれば、それまでの弁護活動の成果を早期に裁判所に伝え、審判不開始を求める意見書を提出するなどの活動を行います。
例えば、事件後すぐに、被害者に謝罪と被害弁償、示談ができていることや、少年が自身の行為を振り返りしっかりと反省できていること、保護者や学校の監督が期待でき、カウンセリング等を受けており更生に向けた環境が整っていることなど、少年に要保護性がないことを主張します。
家庭裁判所の調査や付添人である弁護士の活動の結果、少年への教育的な働きかけにより、要保護性が解消された場合、あえて審判を行う必要はなく、審判不開始となる可能性があります。

このような活動を依頼するのは、少年事件に精通した弁護士がよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こしてしまった、家庭裁判所に送致されたがどのような処分を受けるのか不安だ、とお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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業務上横領事件における示談

2020-01-30

業務上横領事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西脇市の中小企業に勤めていたAさんは、経理を担当していました。
Aさんは、帳簿を修正し、差額を自分の物にするという行為を2年ほど続けており、くすねた金はギャンブルにつぎ込んでいました。
Aさんは転職を機に退社しましたが、その後、会社がAさんの不正に気付き、Aさんに連絡を入れました。
会社からは、「全額返済できなければ、兵庫県西脇警察署に被害届を出す。」と言われています。
困ったAさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

業務上横領罪

業務上横領罪は、刑法第253条に次のように規定されています。

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

業務上横領罪の構成要件は、
①業務上
②自己の占有する他人の物を
③横領したこと
です。

①業務上
「業務」とは、委託を受けて他人の物を占有・保管する事務を反復継続しておこなう地位をいいます。
業務の根拠は、法令・契約、公的・私的を問わず、職業としてなされるものに限定されません。

②自己の占有する他人の物
業務と関連して保管・占有する他人の物を指します。

③横領
判例・通説によれば、「横領」とは、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいいます。
「不法領得の意思」の内容については争いがありますが、判例は、他人の物の占有者が委託の任務に背いてその者につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思と解しています。(最判昭24・3・8)

業務上横領事件における示談

業務上横領事件で法律相談に来られる方の多くが、会社に横領行為が発覚し、上司や顧問弁護士から話を聞かれ、対応に困っていらっしゃるケースです。
会社側からは、「弁償しなければ、警察に被害届を出す。」と言われていることが多く、横領行為が会社に発覚した時点では、刑事事件として捜査機関が捜査を開始していない場合が多く見受けられます。
ですので、この場合の対応としては、会社が警察に被害届を提出する前に、被害弁償を行い、示談を成立させることにより、刑事事件化を阻止することを目指します。

横領事件、特に業務上横領事件の場合には、被害者に多大な経済的損害が発生しており、加害者が横領した金額を回収することが被害者にとって最優先事項となることがほとんどです。
警察に被害を訴え、加害者が刑事事件の被疑者・被告人として刑事罰を受けたとしても、加害者が横領した金額がすべて被害者に戻ってくるとも限りません。

ですので、被害者が警察に被害を申告する前に、横領した金額を返済すること(もしくは、返済する約束)が出来れば、被害者が警察に被害届等を出さないと約束してもらえる可能性も十分あるのです。

このように、被害弁償を行う代わりに被害届の提出などを行わないとし、当該事件に関しては当事者間で解決したとする約束を「示談」といいます。
の示談に向けた話し合いは、当事者間で行った場合には、感情論で交渉が円滑に進まないなどのデメリットもありますので、示談交渉には弁護士を介して行うのがよいでしょう。

業務上横領事件でお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

痴漢事件の身柄解放活動

2020-01-29

痴漢事件の身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社の飲み会の帰りに電車に乗車したAさんは、膝上のスカートをはいた若い女性の隣に座りました。
酒に酔っていたこともあり、Aさんは気が大きくなって、眠っている様子の女性の太ももやお尻を手で何度も触りました。
電車を乗り換えるため下車したAさんでしたが、後から女性が追いかけてきて、「痴漢しましたよね。駅員室に行きましょう。」と声をかけられ、女性に腕を掴まれたAさんは、抵抗することなく駅員室に行きました。
その後、Aさんは駆け付けた警察官に逮捕され、兵庫県芦屋警察署に連れて行かれました。
翌朝、逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、会社には「体調が悪く休む。」とだけ連絡を入れましたが、このまま釈放されなければ会社に発覚してしまうのではと大変心配しています。
Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に身柄解放活動について相談しました。
(フィクションです)

刑事事件を起こし逮捕されたら

あなたが何らかの罪を犯したとしましょう。
被害者から被害届が提出された、目撃者からの通報を受けた、警察の職務質問から発覚した、などなど、事件が捜査機関に発覚するケースは幾つか考えられますが、捜査機関が事件を認知すると、捜査が開始されます。
被疑者が特定されれば、被疑者に対する取調べが行われることになりますが、被疑者の身体を拘束する理由や必要性があると判断された場合には「逮捕」されます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも、被疑者の身柄、書類や証拠物とともに事件を検察に送る(これを「送致」といいます。)かを決めます。
検察に送致した場合には、検察官が被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、もしくは勾留請求を行います。
検察官が勾留請求を行うと、今度は、請求を受けた裁判官が被疑者を勾留するか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合、被疑者は、検察官が勾留請求を行った日から原則10日、延長が認められれば最大で20日もの間、留置場で身柄が拘束されることになります。

身柄解放活動

このように、逮捕から勾留まで3日ほどしかありません。
「逮捕された!」と思ったら、あっという間に勾留となり、長期間の身体拘束を余儀なくされてしまう可能性があるのです。
長期の身体拘束は、退学や解雇といった結果を生じさせる可能性も高く、その後の生活にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。

そのような事態を回避するためにも、早期の釈放に向けた身柄解放活動を行うことが重要です。

(1)勾留が決まる前

勾留が決まる前の段階においては、検察官や裁判官に対して勾留請求・勾留をしないよう働きかけることが重要です。
具体的には、勾留の要件を満たさないことを主張した意見書を客観的な証拠と共に検察官や裁判官に提出したり、検察官や裁判官と面談しその旨を伝えます。
これにより、検察官が勾留請求をせず被疑者を釈放したり、検察官が勾留請求したとしても裁判官がこれを却下することにより被疑者が釈放される可能性を高めることができます。

(2)勾留が決まった後

一旦勾留が決まってしまっても、勾留を決定した裁判に対する不服申立てを行うことが法律で認められています。
ここでも、勾留の要件を満たさないため勾留とした原裁判は取り消されるべきであり、検察官が行った勾留請求も却下されるべきであるとの主張を展開することになります。

痴漢事件の場合、容疑を認めており、家族などの身元引受人による釈放後の監視監督が期待できるなど、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断されれば、早期に釈放される可能性はあります。
逆に言えば、痴漢事件であっても、否認している場合や、被害者に接触するおおれがあると判断されると、身体拘束が長引く可能性もあります。
ですので、痴漢事件だと軽く考えずに、ご家族が逮捕されたのであれば、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談し、身柄解放活動を依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

盗撮事件で示談成立を目指す!

2020-01-27

盗撮事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県三田市にある書店で、女子高生のスカート内を盗撮したとして会社員のAさんが逮捕されました。
Aさんがスマートフォンを差し入れ、被害者のスカート内を盗撮していたところ、被害者に気づかれてしまいました。
被害者はすぐに店員を呼び、駆け付けた店員によってAさんは取り押さえられました。
その後、通報を受けて駆け付けた兵庫県三田警察署の警察官に身柄が引き渡され、Aさんは警察署で取調べを受けています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、すぐに面会したいと申し出ましたが、現段階ではできないと回答されたため、刑事事件に精通する弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)

盗撮事件での逮捕

盗撮事件で逮捕される場合には、大きく分けて
①被害者や目撃者により現場で現行犯逮捕されるケース
②防犯カメラの映像などから、犯行後に犯人が特定されて通常逮捕されるケース
の2つのパターンがあります。

盗撮は、迷惑防止条例違反に当たることが多く、兵庫県では、6月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習性が認められれば1年以下の懲役または100万円以下のの罰則が科される可能性があります。

盗撮事件における示談を成立させるメリット

示談」は、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届の提出を行わない、或いは被害届を取り下げるなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することです。
迷惑防止条例違反は、被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」ではありませんので、被害者との示談が成立したからといって、検察官が起訴することができないわけではありません。
しかし、被害者からの許しが得られていることを重視し、起訴をしない処分(不起訴処分)とする可能性は高いでしょう。

示談交渉は、当事者間で行うことはあまりお勧めできません。
なぜなら、捜査機関から加害者に対して被害者の連絡先を教えることはほとんどなく、また、被害者も加害者によって精神的苦痛を負わされ直接連絡をとることに応じるケースは多くありません。
ですので、第三者である弁護士を介して行うのが一般的です。
特に、刑事事件に精通しており示談交渉にも豊富な経験のある弁護士を代理人として被害者との示談交渉を進めることで、円滑な交渉が期待できるでしょう。

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盗撮事件を起こし、対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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なりすましで不正アクセス禁止法違反

2020-01-26

なりすまし不正アクセス禁止法違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
同僚の女性になりすまし、SNSで女性のアカウントにアクセスし、勝手にコメントやメッセージを送ったとして、兵庫県有馬警察署は被害者の同僚の男性Aさんを不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

不正アクセス禁止法とは

「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下、「不正アクセス禁止法」といいます。)は、不正アクセス行為を禁止するとともに、これについての罰則や再発防止のための都道府県公安委員会による援助措置等を定めることにより、コンピュータ・ネットワークを通じて行われるコンピュータに係る犯罪の防止と、アクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的として平成11年に制定された法律です。

不正アクセス禁止法は、その第3条において、「不正アクセス行為」を禁止しています。
ここでいう「不正アクセス行為」とは、以下の3つの場合をいいます。

①アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をしうる状態にさせる行為。(不正アクセス禁止法2条4項1号)

②アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をしうる状態にさせる行為。(同法2条4項2号)

③電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をしうる状態にさせる行為(同法2条4項3号)

ややこしい言葉がいろいろと出てきていますね。
順に解説しましょう。

インターネットに接続しているコンピュータのような「電気通信回線に接続している電子計算機」を「特定電子計算機」といい、特定電子計算機を電気通信回線を通じて利用することを「特定利用」といいます。
インターネットへの接続、電子メールの送受信、ウェブサイトの閲覧などが「特定利用」に当たります。
単に、電気通信回線を通じないで手元の端末機器を利用する行為は「特定利用」には当たりません。

コンピュータ・ネットワークにおいて、特定電子計算機を誰にどの範囲で特定利用をさせるのかについて管理する時、コンピュータでの情報処理の際に、特定利用をさせることを許可した相手方を識別できるようにするため、その相手方に対して、特定利用を許可した相手方ごとに異なったその相手方以外に用いることができない番号や記号などを与えることが必要となっています。
不正アクセス禁止法では、この番号や記号を「識別符号」と呼んでおり、IDやパスワードなどが含まれます。

ネットワークに接続されたコンピュータの動作を管理するアクセス管理者は、利用権利者等に識別符号を与えて、利用権利者等であるかを識別符号で認識し、識別符号が入力された場合にその利用を認めるという機能が「アクセス制御機能」です。

①は、他人の識別符号を無断で入力する、いわゆる不正ログインです。
②と③は、識別符号の入力によらずに、アクセス制御機能による特定利用の制限を免れる情報・指令を入力する、いわゆるセキュリティ・ホール攻撃といわれるものです。

①~③に該当する「不正アクセス行為」を行った場合、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

不正アクセス禁止法は、これらに「不正アクセス行為」の他にも、他人の識別符号を不正に取得する行為、不正アクセス行為を助長する行為、他人の識別符号を不正に保管する行為、識別符号の入力を不正に要求する行為を禁止しており、違反者に対しては罰則が定められています。

興味本位で他人になりすまし行為を行うと不正アクセス禁止法違反となる場合がありますのでご注意ください。

自分の行為が不正アクセス禁止法違反に当たるのではと心配されていらっしゃるのであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

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