Archive for the ‘刑事事件’ Category
迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)で逮捕
嫌がらせ行為で迷惑防止条例違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川西市のマンションに住むAさんは、同じマンションに住むVさんと些細な事で仲たがいし、お互いの悪口を周囲に言い合っていました。
ある時から、Vさん宅の玄関ドア前にビニール袋に入った生ごみなどが放置されるということが数十回ありました。
Vさんは兵庫県川西警察署に相談し、防犯カメラを設置したところ、Aさんの犯行であることが分かりました。
兵庫県川西警察署は、Aさんを迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)
迷惑防止条例違反:嫌がらせ行為
上記ケースにおいて、Aさんは、迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)に問われています。
迷惑防止条例違反となる「嫌がらせ行為」とはどのようなものをいうのでしょうか。
嫌がらせ行為については、兵庫県迷惑防止条例第10条の2に以下のように規定されています。
第10条の2 何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、執ように又は反復して行う次に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第3項に規定するストーカー行為を除く。以下「嫌がらせ行為」という。)をしてはならない。
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること(身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。次号から第4号までにおいて同じ。)。
(2) その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(3) 面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
(4) 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
(5) 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールその他の電気通信(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第1号に規定する電気通信であって、特定の者に対して通信文その他の情報をその使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に表示されるようにすることにより伝達するための方法をいう。)の送信をすること。
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快若しくは嫌悪の情を催させるような物又は当該情を催させるようなものを視覚若しくは聴覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第8号において同じ。)その他の記録を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
(7) その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(8) その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物若しくはその性的羞恥心を害するものを視覚若しくは聴覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。
特定の人に、執拗に又は反復して「嫌がらせ行為」をした場合に成立するものです。
ただし、ストーカー行為規制法で規定してある「ストーカー行為」にあたるものは除外されます。
「ストーカー行為」は、「つきまとい等」を反復する行為であり、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、法第2条第1項各号の行為をすること」です。
ストーカー行為規制法の「つきまとい等」の具体的行為と、迷惑防止条例で規定される「嫌がらせ行為」の具体的行為は、ほぼ同じですが、「行為の目的」と「行為の対象者」が異なります。
ストーカー行為規制法における「つきまとい等」は、「好意・怨恨を充足する目的」を持っていることが必要です。
また、行為の対象が、「特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他該当特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に特定されています。
上記ケースでは、AさんはVさん宅の玄関ドア前に、生ごみなどの入ったゴミ袋を投棄していたとされていますが、当該行為は、上の「嫌がらせ行為」の第6号に当たるでしょう。
兵庫県迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)の罰則は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
常習で違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
嫌がらせ行為による迷惑防止条例違反事件における重要な弁護活動のひとつに、被害者との示談交渉があげられます。
被害者との間で示談が成立し、被害届や告訴を取り下げてもらえれば、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることができます。
嫌がらせ行為で迷惑防止条例違反事件を起こし対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
ひき逃げ事件で出頭
ひき逃げ事件を起こし出頭した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県豊岡市に住むAさんは、自宅で晩酌をした後に、つまみを買うために近所のコンビニへ車で向かいました。
「すぐそこやし、大丈夫やろう。」と思い運転していたAさんですが、交差点を左折する際に、横断歩道を横断中の女性に気づくのが遅れ、Aさんの車は女性と接触してしまいました。
Aさんは事故を起こし気が動転し、そのまま現場を立ち去りました。
自宅に帰ったAさんは、やはり警察に出頭すべきだと思い、兵庫県豊岡南警察署に出頭することを決意しました。
(フィクションです)
ひき逃げ事件を起こしたら
ひき逃げ事件を起こした場合に問われ得る罪は、道路交通法違反、そして過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪です。
(1)道路交通法違反
交通事故を起こした場合、運転手らは、直ちに運転をやめ、負傷者を救護し、道路における危険を防止する必要な措置をとらなければなりません。
これを「救護義務」といい、この義務に反し、そのまま現場から立ち去ってしまうと、道路交通法違反(救護義務違反)となります。
救護義務違反の法定刑は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
また、交通事故を起こしてしまった場合、運転手は直ちに最寄りの警察署などの警察官に交通事故が発生した日時・場所などを報告しなければなりません。
これを「報告義務」といい、これに違反した場合、道路交通法違反(報告義務違反)として、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金となる可能性があります。
(2)過失運転致傷罪
自動車を運転するにあたって必要な注意を怠って事故を起こし、相手を死傷させた場合、過失運転致死傷罪に問われる可能性があります。
過失運転致傷罪の法定刑は、7年以下の懲役又は禁錮若しくは100万円以下の罰金です。
(3)危険運転致傷罪
アルコールや薬物などに影響を受けて正常な運転が難しい状態、進行の制御がきかないような速度が出ている状態、信号無視をし、さらに大きな危険性のある速度が出ている状態など、危険な運転行為により死傷事故を起こした場合や、事故を起こす危険性があると認識していながら運転し、死傷事故を起こした場合、危険運転致傷罪に問われる可能性があります。
こちらの法定刑は、被害者が怪我をした場合には15年以下懲役、死亡してしまった場合には1年以上の有期懲役です。
事件後、捜査機関に出頭したら
一旦は事故現場から逃走したものの、その後捜査機関に出頭した場合には、どのようになるのでしょうか。
(1)自首が成立する場合
犯人が捜査機関に出向くことを「自首」と理解されている方も多いようですが、自首が成立するには、幾つかの要件を満たす必要があります。
①犯罪を起こした本人自らが自発的に犯罪事実を申告していること。
「自ら自発的に」自分の犯した犯罪を申告しなければならず、取調べで単に犯罪事実を自白しただけでは自首したことになりません。
②犯罪を行った本人が自身の罰則や処分を求めていること。
申告内容が、犯罪事実の一部を隠すためにされたものであったり、自己の責任を否定するようなものであったりした場合には、自首は成立しません。
③捜査機関に申告していること。
司法警察員または検察官に対して申告している必要があります。
④捜査機関が犯罪事実や犯人を特定していない段階で申告していること。
犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合や、犯罪事実は発覚していたとしても、その犯人が誰であるか発覚していない場合を含みます。
犯罪事実や犯人が誰であるか判明しているけれども、単に犯人の所在だけが不明である場合は、これに含まれません。
犯罪事実の申告を受けた警察官等が犯罪事実を知らなくても、捜査機関の誰かが犯罪事実を知っていた場合には、自首は成立しません。
これらの要件を充たしてはじめて「自首」が成立することになります。
自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります。
(2)単なる出頭となる場合
もうすでに捜査機関に犯罪事実や犯人が特定されしまっている場合には、自首が成立せず、単なる「出頭」ということになります。
自首が成立した場合の「刑の軽減」という可能性は該当しませんが、自ら捜査機関に出向いているという点で、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないとして、逮捕されず在宅のまま捜査が進む可能性があります。
ひき逃げ事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、無料法律相談や初回接見サービスを行います。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
美人局で恐喝事件
美人局で恐喝事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大学生のAさんは、友人のBさん、交際相手のCさん(17歳)と共謀し、出会い系アプリで知り合った男性とCさんとがホテルに入ろうとしたところを狙い、「俺の妹に何してくれてんねん。こいつ17やで。犯罪やで。どないしてくれるねん。」などといい、解決金名目で20万円を男性に要求し、ATMで現金を下ろさせて奪取したとして、恐喝容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
(フィクションです)
インターネットの普及に伴い、容易に見ず知らずの人と連絡がとれるようになりました。
便利である一方で、それが犯罪に利用されることも増えています。
上記ケースのように、若者が出会い系アプリを利用して、成人を未成年者と出合わせ、ホテルへ行こうとするところにその未成年者の交際相手や親族と名乗る者が現れ、示談金名目に高額な金銭を要求するといった事件が後を絶ちません。
金銭を要求された側も、実際に未成年といかがわしいことをしようとしていた手前、警察に被害を届け出ることは少なく、実際にどのくらい美人局が行われているのかは定かではありません。
美人局を行った場合、強盗罪、恐喝罪、詐欺罪、脅迫罪、強要罪などといった罪に問われる可能性があります。
今回は、恐喝罪について説明します。
恐喝罪
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
恐喝罪は、人を恐喝して財物または財産上の利益を交付させる罪です。
1.財物恐喝罪(刑法第249条第1項)
◇客体◇
本罪の客体は、他人の所有する財物です。
この財物には、不動産を含むとされます。
◇行為◇
本罪の構成要件的行為は、「人を恐喝して、財物を交付させる」ことです。
恐喝
「恐喝」というのは、脅迫または暴行を手段として、その反抗を抑圧するに足りない程度に相手方を畏怖させ、財物の交付を要求することです。
ここでいう「脅迫」とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
また、「暴行」は、人に対する不法な夕景力の行使を意味します。
「強盗罪」においても、「暴行または脅迫」を用いて行うことが求められますが、強盗罪における暴行・脅迫の程度は、犯行を抑圧する程度であることを必要とされ、恐喝罪のそれは相手方を抑圧するに足りない程度でよいとされています。
交付行為
「交付させた」とは、恐喝行為の結果、畏怖した相手方の処分行為に基づく交付によって、財物の占有を取得することをいいます。
よって、恐喝行為と財物の交付との間には、因果関係がなければなりません。
◇主観的要件◇
本罪の故意は、「他人を恐喝して、畏怖に基づく処分行為により、財物又は財産上不法の利益を得もしうは他人に得させること」の認識です。
この他、判例は、不法領得の意思も必要だとしています。
2.利益恐喝罪(同条第2項)
◇客体◇
本罪の客体は、財産上の利益です。
財産上の利益とは、財物以外の財産的利益のすべて、つまり、債券や担保権の取得、労務・サービスを提供させることだけでなく、債務免除や支払猶予も含みます。
◇行為◇
利益恐喝罪においても、相手方を恐喝した結果、相手方が畏怖し、相手方の意思に基づいて財産上の利益を移転させる処分行為が必要となります。
さて、上記ケースでは、Aさんは、BさんとCさんとグルになって、出会い系アプリで知り合った男性に対して、「未成年者とホテルにいこうとした」ことをネタに解決金名目で20万円を要求し、取得しています。
Aさんは、男性に対して、「俺の妹に何してくれてんねん。こいつ17やで。犯罪やで。どないしてくれるねん。」などと申し向けています。
この手のケースでは、未成年者とのいかがわしい行為は犯罪であることを主張し、そのことを公にしたくなければ金銭で解決すること提案するといったものがほとんどです。
相手方も、自分の行為を公にはしてほしくないですので、「もし暴露されたら大変だ!」と恐れおののき、高額な金銭を恐喝相手に渡してしまうのです。
つまり、脅迫を用いて、相手方を畏怖し、相手方の意思に基づいて、お金を交付させており、恐喝罪が成立するものと考えられます。
恐喝罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
恐喝罪で起訴され、有罪となれば、実刑となる可能性があるということです。
そのような事態を回避するためにも、早期の段階から刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、適切な弁護活動を行うこと重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
白タク営業で刑事事件に
白タク営業を行い刑事事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県姫路市で違法な「白タク営業」を行ったとして、兵庫県姫路警察署は、県内に住む男性3人を道路運送法違反(無許可営業)の容疑で逮捕しました。
被疑者らは、タクシーよりも安い運賃で走行しており、外国人客を中心に客を集め、「白タク営業」を行っていたということです。
(フィクションです)
後を絶たない白タク営業
タクシー事業は、国からの許可を受けて行う必要があります。
許可を受けたタクシーには、「緑色のナンバープレート」がつけられています。
一方、許可を受けていない車には、「白色のナンバープレート」がついています。
一般の自家用車(普通車)が付けているのと同じものです。
つまり、「白タク」とは、タクシーとして営業する許可を受けていないにもかかわらず、タクシー営業を行っている車のことです。
白タク営業は、道路運送法により禁止されています。
第四条 一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
ここでいう「一般旅客自動車運送事業」というのは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業です。
これに違反し、無許可営業を行った場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの両方が科される可能性があります。
このように思い刑罰が設けられているにもかかわらず、白タク営業は後を絶ちません。
特に、訪日客が増加するに伴い、外国人を対象にした白タク営業が増えています。
白タク営業で逮捕されたら
白タク営業を行い逮捕された場合、他の刑事事件と同様に、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄や証拠書類とともに事件が検察に送致される、もしくは被害者の身柄が釈放されます。
検察に送致されると、検察が身柄を受けてから24時間以内に、検察官は勾留請求を行うか、被疑者を釈放するかを決めます。
検察官が勾留請求した場合、裁判官は請求を受けて、被疑者を勾留するか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定すると、検察官が勾留請求した日から原則10日間身柄が拘束されることになります。
長期の身体拘束を回避するためにも、逮捕後すぐに身柄解放活動に着手することが重要です。
ご家族が白タク営業で逮捕され対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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汚職事件:収賄罪で逮捕
汚職事件を起こし収賄罪で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
汚職の罪について
刑法の第25章は、汚職の罪と題して、職権濫用の罪および賄賂の罪について規定しています。
これらの罪は、いずれも公務員による犯罪で、公務執行の公正およびそれに対する国民の信頼を国家機関の内部から侵害する罪と言われています。
「職権濫用の罪」は、公務員がその職権を濫用することにより国民の権利・自由を侵害する罪で、「公務員職権乱用罪」、「特別公務員職権濫用罪」、「特別公務員暴行陵虐罪」、そして、「特別公務員職権濫用等致死傷罪」により構成されます。
「賄賂の罪」は、公務員の職務に関して賄賂を受供与することによって、公務の公正さを侵害する犯罪です。
賄賂の罪は、「収賄罪」、「受託収賄罪」、「事前収賄罪」、「第三者供賄罪」、「加重収賄罪」、「事後収賄罪」、「あっせん収賄罪」、「贈賄罪」から成ります。
収賄罪について
第百九十七条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
「収賄罪」は、公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした場合に成立する罪です。
本罪は、収賄罪の基本類型であり、「単純収賄罪」とも呼ばれます。
◇主体◇
本罪の主体は、「公務員」です。
刑法において「公務員」とは、「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」をいうと定義されています。(刑法第7条)
◇行為◇
本罪の構成要件的行為は、「賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をすること」です。
「賄賂」の意義についてですが、判例によれば、「賄賂」とは、「公務員の職務に関連する不正の報酬としての一切の利益」をいうとされます。(大判明43・12・19)
賄賂としての利益は、人の需要または欲求を充たすものであれば足りるとされます。
また、賄賂は、「職務行為または職務と密接に関連する行為の対価として提供されたもの」でなければなりません。
この対価関係は、一定の職務に対する抽象的・包括的な反対給付としての性質が認められれば足りるとされており、個々の職務行為とその利益との間に対価関係があることまでも要されません。
中元や歳暮といった社交儀礼としての贈与については、社交的慣習・儀礼の範囲内であれば、価値が比較的軽微であったり、職務との対価性が認められないため、賄賂には当たらないとされます。
しかし、それが公務員の職務に関して授受されるときは、賄賂性が生じることになります。
この賄賂性については、公務員の職務内容、その職務と利益供与者との関係性、当事者間の親疎、利益の種類や多寡、利益授受の経過などといった事情を考慮して判断されます。
「収受」とは、供与された賄賂を自己の物とする意思で取得することをいいます。
賄賂の「要求」というのは、賄賂の供与を求める意思表示を意味しますが、これは、相手方が認識し得る程度になされれば足り、現実にそれが認識されたことを要しません。
また、賄賂の「約束」は、賄賂の供与・収受について贈賄者・収賄者間で合意することをいいます。
◇主観的要件◇
本罪の主体である公務員は、収受等した賄賂が職務行為と対価関係に立つものであること、つまり賄賂性を認識していることが必要となります。
職務の正当な報酬であると誤信しておれば、故意が阻却されることになります。
収賄事件は、賄賂を贈った側と受け取った側が存在する共犯事件です。
共犯事件の場合、逮捕された後も、共犯者と口裏を合わせるなど罪証隠滅のおそれがあると認められ、勾留となる可能性があります。
汚職事件を起こし、収賄罪で逮捕されてしまったのであれば、早期に刑事事件に強い弁護士に接見を依頼し、取調べ対応についてのアドバイスを受けるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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監護者わいせつの容疑で逮捕
監護者わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県赤穂市に住むAさんは、5年前にBさんと結婚しました。
Bさんには13歳になる娘Vさんがいましたが、ある日学校から、「Vさんがお義父さんから性的虐待を受けているようだ。」との連絡を受けました。
Vさんは児童相談所に保護され、Aさんは兵庫県赤穂警察署から監護者わいせつの容疑で取り調べを受けています。
Aさんは、今後逮捕されるのではないかと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
監護者わいせつ罪について
2017年の刑法改正に伴い、「監護者わいせつ罪」および「監護者性交等罪」が新設されました。
改正以前は、「強制わいせつ罪」および「強姦罪」は、13歳以上の者に対しては、「暴行または脅迫」を用いて、わいせつ行為や性行為が行われる必要がありました。
しかし、被害者と加害者が親子関係にある場合、支配関係に置かれ、被害者が心理的に抵抗することが困難な状態であることが多く、「強制わいせつ罪」や「強姦罪」では処罰することができませんでした。
そこで、監護者によるわいせつ及び性交等の行為を処罰する規定が新たに設けられたのです。
今回は、監護者わいせつ罪について解説します。
第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
◇主体と客体◇
客体は、18歳未満の男女です。
行為者との関係では、現に監督されている者であることが必要となります。
主体は、18歳未満の者を法律上または事実上「現に監護する者」です。
「監護する」とは、監督し、保護することです。
法律上の監護権に基づかなくても、事実上、現に18歳未満の者を監督し、保護する者であれば、「現に監護する者」となりますが、法律上の監護権を有している者であっても、実際に監護している実態がなければ「現に監護する者」に当たらないことになります。
「現に監護する者」に当たるか否かは、同居しているかどうか、居住場所に関する指定等の状況、指導の状況、身の回りの世話等の生活状況、生活費の支出などの経済的状況、未成年者に関する諸手続等を行う状況などを考慮して判断されます。
ですので、教師やクラブ活動のコーチ等の指導者などについては、上のような点を考慮すると、「監護者」には当たらないことになります。
◇行為◇
監護者わいせつ罪の構成要件的行為は、「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をする」ことです。
前半の「現に監護する者であることによる影響力」というのは、監護者が、被監護者の生活全般にわたし経済的・精神的な観点から、現に被監護者を監督し、保護することにより生じる影響力(人の意思決定に何らかの作用を及ぼし得る力)のことです。
そのような影響力が一般的に存在し、当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態で、わいせつな行為をすることが、当該影響力があることに「乗じて」となります。
◇故意◇
本罪の成立には、被害者の年齢および実行行為の認識が必要です。
監護者の立場を利用して行う行為を処罰するものであるため、被害者が同意していたか否かは問題となりません。
ですので、行為者が被害者の同意があるものと誤信していた場合にも、故意の存否には影響しないことになります。
◇処罰◇
刑法第176条に規定される強制わいせつ罪と同様の法定刑となりますので、監護者わいせつ罪で起訴され有罪が言い渡されると、6月以上10年以下の懲役が科される可能性があります。
監護者わいせつ罪は、その法定刑には罰金刑がなく懲役刑のみとなっています。
また、被害者との関係性から、罪証隠滅のおそれが認められ、逮捕後に勾留に付され、長期の身体拘束が強いられる可能性は高いでしょう。
監護者わいせつ罪を含めた刑事事件でお困りであれば、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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ながら運転の交通事故で刑事事件に
ながら運転で交通事故を起こし刑事事件へと発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県洲本市の道路を走行していたトラック運転手のAさんは、スマートフォンの画面を確認しながら運転していました。
仕事上運転には慣れていたAさんは、ちょっとぐらいスマートフォンをみながら運転しても事故をしないだろうと思っていました。
しかし、スマートフォンの画面に気を盗られていたAさんは、信号待ちで前方に停車していた車両にぶつかってしまいました。
幸い前方の車の運転手に怪我はなく、車両損害だけで済みました。
兵庫県洲本警察署から駆け付けた警察官に、Aさんは話を聞かれており、Aさんは「スマートフォンの画面に気を盗られていた」と話しています。
(フィクションです)
「ながら運転」自体で問われる罪は?
「ながら運転」は、スマートフォンやカーナビなどの画面を注視したり、携帯電話で通話しながら車などを運転することです。
ながら運転の末に交通事故を起こし、人を死亡させてしまう事故が後を絶ちません。
12月1日から施行された改正道路交通法は、「ながら運転」についての罰則や反則金、違反点数を厳罰化しており、ながら運転による事故の防止につながることが期待されています。
道路交通法は、運転者の遵守事項として、運転中の携帯電話等の使用を禁止しています。
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
五の五 自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百二十条第一項第十一号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。
運転中に携帯電話で通話したり、スマートフォンやカーナビの画面を注視した場合の罰則は、6月以下の懲役または10万円以下の罰金です。
さらに、ながら運転の結果、道路における交通の危険を生じさせた場合、罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。
この場合、交通反則通告制度の対象とはなりませんので、刑事手続に基づき刑事処分が科されることとなります。
「交通反則通告制度」というのは、自動車や原動機付自転車の運転手がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判を受けることなく事件が処理される制度です。
「反則金」は行政罰であるのに対して、「罰金」は刑事罰です。
ながら運転を行っただけであれば交通反則通告制度の対象となり、反則金を支払うことで事件が終了するになります。
しかし、ながら運転により交通事故を起こしてしまった場合は、交通反則通告制度の対象外となり、刑事事件として処理されることになります。
刑事事件となれば、刑事手続に沿って事件が処理されることになります。
捜査機関からの取調べにも対応することになりますので、ながら運転で刑事事件に発展してしまいお困りの方は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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ストーカー規制法違反で警告されたら
ストーカー規制法違反での警告について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、元交際相手のVさんが住むマンションへ複数回押し掛けたとして、兵庫県福崎警察署からストーカー規制法違反の疑いで警告を受けました。
警察からは、「今後Vさんと連絡をとったり、家に押し掛けたりしないように。」と言われました。
Aさんは、「Vさんから突然別れを切り出されたので、ただその理由を聞きたかっただけだ。」と供述しています。
Aさんは、今後逮捕される可能性はあるのか心配になり、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
ストーカー規制法について
「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下、「ストーカー規制法」といいます。)は、ストーカー行為を処罰の対象としており、つきまとい等の行為を取り締まる法律です。
ストーカー規制法で対象となる行為は「つきまとい等」と「ストーカー行為」です。
「つきまとい等」
「つきまとい等」とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」、次の8つの類型の行為をすることです。
①つきまとい、待ち伏せ行為など
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居・勤務先・学校その他その通常所在する場所の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
②監視していると告げる行為
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
③面会・交際などの要求
面会・交際その他義務のないことを行うことを要求すること。
④乱暴な言動
著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤無言電話、電子メールなどの送付
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず連続して電話をかけ、FAXを送信し、若しくは電子メールを送信すること。
⑥汚物などの送付
汚物・動物の死体その他著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
⑦名誉を害する行為
その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
⑧性的羞恥心を害する行為
その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。
「ストーカー行為」
「ストーカー行為」とは、「同一の者に対し、つきまとい等(①~④までの行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復して行うこと」をいいます。
「つきまとい等」、「ストーカー行為」の処罰規定
1.ストーカー行為に対する罪
ストーカー行為をした者に対して、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金を科すと規定しています。
ストーカー行為に対する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」です。
2.禁止命令等に違反する罪
ストーカー規制法は、禁止命令等違反に対する罰則を3種類に分けて規定しています。
(a)禁止命令等に違反してストーカー行為を行った者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(b)禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(c)禁止命令等に違反した者は、50万円の罰金に処する。
警告・禁止命令等について
警察本部長等は、警告を求める旨の申出を受けた場合、つきまとい等の行為者に対して、さらに反復してつきまとい等を行ってはならない旨を警告することができます。
都道府県公安委員会は、警告を受けた者が警告に従わず、さらにつきまとい等を行った場合において、行為者がさらに反復してつきまとい等を行うおそれがあると認めるときには、さらに反復してつきまとい等をしてはならない旨の命令を発することができます。
Aさんの場合、Vさんが警察に相談したところ、まずは警察からAさんに「警告」がなされました。
警告されたことで、逮捕されることはありませんが、その後も、Vさんに対してつきまとい等に該当する行為を繰り返したのであれば、公安委員会から禁止命令等が出される、もしくは、ストーカー行為をしたとしてVさんから告訴がなされ、いきなり逮捕されるという可能性もあります。
ストーカー規制法違反で加害者となり対応にお困りであれば、刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。
問題の行為が「つきまとい等」や「ストーカー行為」に当たるのか、逮捕された場合の流れ等について、しっかりと相談しておきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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強制わいせつ事件で被害者と示談
強制わいせつ事件で被害者との示談に向けた活動やその効果について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
SNSで知り合った相手と食事をした後、無理やりキスをされ、胸やお尻を触わられたとして、女性が兵庫県たつの警察署に被害届を出しました。
強制わいせつの容疑で出頭要請を受けたAさんは、警察に「拒絶されなかったので好意があったと思ってした。」と供述しており、被害女性に謝罪したいと申し出ました。
警察から弁護士を介して示談交渉をやるよう勧められたAさんは、その後、刑事事件専門の弁護士に事件について相談することにしました。
(フィクションです)
強制わいせつ罪について
強制わいせつ罪は、刑法第176条に次のように規定されています。
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
被害者が13歳以上の者の場合、「暴行または脅迫」を手段としてわいせつな行為をしたことが必要となります。
強制わいせつ罪が成立するためには、「暴行・脅迫」は、その犯行を著しく困難にさせる程度のものであることが必要です。
「わいせつな行為」とは、性的な意味を有し、被害者の性的羞恥心の対象となるような行為をいいます。
強制わいせつ罪においては、本人の性的自由が保護法益となるため、性的秩序が問題となる公然わいせつ罪の「わいせつな行為」とは内容が異なります。
強制わいせつ事件と示談
強制わいせつ事件のような被害者が存在する事件では、被害者対応が最も重要な弁護活動のひとつとなります。
被害者感情が重視される昨今、検察官が起訴するかしないかを判断する際、または裁判官がどのような刑を科すべきかを決めるにあたって、被害者との間で示談が成立しているか否かといった点が考慮されます。
「示談」というのは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届の提出を行わない、或いは被害届を取り下げるなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することをいいます。
強制わいせつ罪は、被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」ではありませんので、被害者との示談が成立したからといって、検察官が起訴することができないわけではありません。
しかし、被害者からの許しが得られていることを重視し、起訴をしない処分(不起訴処分)とする可能性は高いでしょう。
示談交渉は、当事者間で行うことはあまりお勧めできません。
なぜなら、捜査機関から加害者に対して被害者の連絡先を教えることはほとんどなく、また、被害者も加害者によって精神的苦痛を負わされ直接連絡をとることに応じるケースは多くありません。
ですので、第三者である弁護士を介して行うのが一般的です。
特に、刑事事件に精通しており示談交渉にも豊富な経験のある弁護士を代理人として被害者との示談交渉を進めることで、円滑な交渉が期待できるでしょう。
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強制わいせつ事件を起こし、対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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18歳未満との性交等で刑事事件(児童買春)に
18歳未満との性交等で刑事事件(児童買春)に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、SNSで知り合ったVさん(16歳)と性行為を行い、現金2万円を渡しました。
その後、AさんはVさんと連絡をとっていませんでしたが、兵庫県佐用警察署から突然連絡があり、「Vさんとの児童買春の件で話が聞きたい。」と言われ、出頭要請を受けました。
Aさんは、一週間後に警察署に出頭する予定ですが、その前に取り調べ対応や今後の流れについて刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
18歳未満の者と性交等を行った場合、犯罪が成立し刑事事件に発展するケースがあります。
前回のブログでは、18歳未満の者との性交等を行った場合に成立し得る犯罪として淫行条例違反について紹介しました。
今回は、児童買春の罪について説明したいと思います。
2.児童買春・児童ポルノ処罰法違反(児童買春の罪)
児童買春・児童ポルノ処罰法(正式には、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」といいます。)は、児童買春、児童ポルノ、そして児童売春に係る行為等を処罰することと定めています。
児童買春・児童ポルノ処罰法における「児童買春」とは、児童(18歳未満の者)、児童に対する性交等の周旋をした者、あるいは児童の保護者もしくは児童をその支配下に置いている者に対して、対償を供与し、又はその供与を約束し、当該児童に対し、性交等をすることをいいます。(児童買春・児童ポルノ処罰法第2条第2項)
「対償」は、児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益です。
単にお金を渡すといったものだけでなく、児童と食事をしてその食事代を払ったり、プレゼントを渡したり、児童やその親の雇用を約束をして、児童と性交等をしたのであれば、それが性交等をすることに対する反対給付といえ、食事やプレゼントが経済的な価値としてどの程度のものであるか、雇用の約束が経済的な利益となるか否かを考慮して判断されることになります。
また、「性交等」とは、性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。
性交類似行為は、手淫・口淫等、性交と同視し得る態様での性的な行為をいいます。
加えて、児童の性器等を触る行為、若しくは児童に自己の性器等を触らせる行為には、性的好奇心を満たす目的がなければなりません。
児童買春に係る罪として、「児童買春罪」、「児童買春周旋罪」、「児童買春勧誘罪」が規定されています。
「児童買春罪」は、児童買春をした場合に成立し、罰則は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
「18歳未満だと知らなかった!」といった主張がなされるケースがありますが、単に知らなかったことを主張するだけでは捜査機関や裁判所は納得しないでしょう。
例えば、身分証明書を確認したが18歳以上との表記がされていた、相手児童が18歳以上であると言い、会話の内容からもそれが伺える状況であった等であれば、故意はなかったとして児童買春罪は成立しません。
しかし、児童の容姿や児童との会話から「18歳未満かもしれない。」と思ったのであれば、未必の故意が認められ犯罪が成立する可能性があります。
捜査機関からの取調べでも、「18歳未満であるとの認識」について厳しく問われるところですので、自らの認識と異なる調書が作成されないよう注意しなければなりません。
ですので、取調べを受ける前に、刑事事件に詳しい弁護士に取り調べ対応についてアドバイスを受けるのがよいでしょう。
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刑事事件・少年事件でお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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