ストーカー事件で警告を受けたら

ストーカー事件で警告を受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県朝来市に住むVさんは、元交際相手のAさんから、執拗に「会いたい」とのメールが来て困っていました。
Vさんは、メールを無視し続けましたが、ある日、Vさんが仕事から帰宅した際、自宅マンション前にAさんが立っている姿を目撃し、怖くなり友人に相談しました。
友人からは、警察に相談したほうがいいと言われ、Vさんは兵庫県朝来警察署ストーカー被害の相談をしました。
後日、兵庫県朝来警察署からAさんに連絡があり、「これ以上連絡をとらない、家に行かないように。」と警告を受けました。
Aさんは、自身がストーカー行為をしているとは認識していなかったので、警察からの連絡に驚き、今後どうなるのか心配になったので、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

ストーカーとは?

ストーカー行為を規制する「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下、「ストーカー規制法」といいます。)は、平成12年に制定・施行された法律です。
ストーカー規制法は、「ストーカー行為」を処罰対象とするほか、「つきまとい等」の行為を取り締まり、被害者に対してストーカーからの被害の防止のための援助などを行うことを定めています。

ストーカー規制法で規制対象となる行為は、「つきまとい等」と「ストーカー行為」です。

(1)つきまとい等

「つきまとい等」とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」て、次の8つの類型の行為をすることをいいます。(ストーカー規制法第2条1項)

①つきまとい、待ち伏せ行為など
つきまとい、待ち伏せ、進路への立ちふさがり、住居・勤務先・学校その他通常所在する場所の付近における見張り、住居等への押し掛け。

②監視していると告げる行為
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

③面会・交際などの要求
面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。

④乱暴な言動
著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

⑤無言電話、電子メールなどの送付
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず連続して電話をかけ、FAXを送信し、若しくは電子メールを送信すること。

⑥汚物などの送付
汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

⑦名誉を害する行為
その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

⑧性的羞恥心を害する行為
その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。

(2)ストーカー行為

ストーカー行為」は、同一の者に対し、「つきまとい等」を反復して行うことです。(ストーカー規制法第2条2項)
「反復して」とは、複数回繰り返してということを意味します。
また、①から⑧までに掲げる「つきまとい等」のうち、いずれかの行為をすることを反復する行為が「ストーカー行為」であり、特定の行為あるいは特定の号に掲げられた行為を反復する場合に限られません。
ですので、つきまとい行為を1回、面会の要求を1回、メール送付を1回といったように各行為を1回ずつ行ったとしても、全体として「つきまとい等」に当たる行為を反復して行っているため、「ストーカー行為」に当たることになります。

ストーカー事件で警告を受けたら

ストーカー規制法の罰則

ストーカー規制法では、「ストーカー行為」を処罰こととしているほか、公安委員会による禁止命令等に違反した者も処罰されます。

(1)ストーカー行為に対する罪

ストーカー行為をした者は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
本罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です。

(2)禁止命令等に違反する罪

ストーカー規制法第5条1項1号に係る禁止命令等に違反に違反してストーカー行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同様に、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
さらに、禁止命令に違反した者は、50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

ストーカー規制法の手続の流れ

被害者等からの相談を受けた捜査機関は、加害者の行為がストーカー規制法における「つきまとい等」または「ストーカー行為」に該当するか否かを判断します。
「つきまとい等」に該当する場合、警察本部長等は、警告を求める旨の申出を受けると、つきまとい等の行為者に対し、さらに反復してつきまとい等を行ってはならない旨を警告します。
警告を受けた者が警告に従わず、さらにつきまとい等を行った場合、都道府県公安委員会は、行為者がさらに反復してつきまとい等を行うおそれがあると認めるときは、さらに反復してつきまとい等をしてはならない旨の命令を発します。

そして、上述したように、禁止命令に反した場合、若しくはストーカー行為に該当し告訴がなされた場合には、処罰されるおそれがあります。
警告を受けた段階で、すぐに逮捕とはなりませんが、その後も「つきまとい等」に当たる行為を継続して行った場合には、ストーカー行為に対する罪や禁止命令等に違反する罪となり逮捕される可能性もあります。

ストーカー事件で警告を受けて、その後の流れや対応についてお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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