Archive for the ‘刑事事件’ Category
接見禁止の解除に成功!①
接見禁止の解除に成功!①
接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
6月1日の早朝、Aさんは、特殊詐欺の受け子と出し子をしていたとして兵庫県芦屋警察署に詐欺及び窃盗の容疑で逮捕されました。
同日の昼過ぎに、警察からAさんの両親に逮捕の連絡が入りました。
Aさんの両親は、すぐにでも面会に行きたいと申し出ましたが、3日以降でなければ会えないと言われました。
翌日の夕方に、Aさんの両親は面会の件で警察署に問い合わせたところ、「本日付で勾留が決定しているが、接見禁止が付されているので弁護士以外は家族であっても面会できない。」と言われました。
困ったAさんの両親は、刑事事件に強い弁護士を探して、事件について相談することにしました。
(フィクションです)
家族が逮捕されたらすぐに面会できるの?
あなたのご家族が逮捕されたとの連絡を受けたとしたら、まっさきに逮捕されたご家族に会いたい、話が聞きたいと思われることでしょう。
警察から事件について詳しく教えてもらえず、一体何があったのか、ご家族が本当に事件を起こしたのか、知りたいと思われるでしょう。
しかし、原則逮捕されてから勾留が決定するまでの間は、逮捕された方のご家族であっても面会することはできません。
逮捕から勾留が決定するまで最大で3日かかります。
上記ケースを例にとると、6月1日の早朝に逮捕ということであれば、48時間以内に釈放する場合を除いて、翌日の午前に留置先の警察署を出発し、管轄の検察庁に送られます。
兵庫県の場合、午前中に検察官による取調べを受け、検察官が勾留請求をすれば、午後には裁判所に移送され、今度は裁判官と面談することになります。
そして、同日中に勾留するか否かが判断され、勾留決定となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長されれば最大で20日間の身体拘束となるのです。
さて、さきほど、ご家族が逮捕された方と面会できるのは勾留が決定した後からであるといいましたが、実際に裁判官が勾留決定を出した直後からご家族が面会できるのかといえばそうではありません。
ご家族との面会は「一般面会」と呼ばれ、警察署での面会時間は概ね9時から17時です。
兵庫県では、裁判官との面談(「勾留質問」)が行われるのが午後、上記ケースで言えば6月2日の午後で、その面談後に裁判官が勾留決定を出す、若しくは勾留請求を却下し釈放とするかを判断するので、実際にその判断が出るのは2日の夕方ごろとなります。
仮に15時に勾留の決定がなされたとしましょう。
「2日の15時~17時までの間に面会できるのでは?」と思われるかもしれませんが、警察署から検察庁・裁判所までたった1人の被疑者だけを移送しているわけではなく、その日に送致される者や検察庁で取調べを受ける者など何人もの被疑者・被告人を一斉に移送しています。
また、移送する警察車両はいつでも動けるわけではなく、決まった時間に複数人まとまって移送することになります。
ですので、勾留決定が出た日に警察署に戻ってくるのが17時を回ることも多く、当日に面会することが出来ないことがほとんどです。
というわけで、逮捕されてから2日、最大で3日、ご家族と面会することができない事態が発生してしまうのです。
弁護士による接見はいつでも可能!
突然の逮捕の連絡。
逮捕という事実自体で連絡を受けたご家族が被る精神的ダメージは大きいのですが、事件の詳細も分からない状態で職場などの関係各所にどのように対応すればよいのか分からず困惑してしまいます。
そんな時には、弁護士への接見依頼をご検討ください。
逮捕から勾留段階であっても、弁護士であればいつでも時間制限なく逮捕された方と面会(接見)することができるからです。
逮捕された方から事件の詳細について伺った上で、弁護士は、今後の流れや処分見込みを丁寧に説明し、取調べ対応についてのアドバイスをすることができます。
逮捕されている方も、刑事手続に精通している方なんてほとんどいらっしゃらないので、どのような流れになるのか、取調べにどのように対応すればよいのか分からず大変不安でいらっしゃるでしょう。
また、ご家族からの伝言やご家族への伝言も弁護士を通じて伝えることもできますので、逮捕されている方もそのご家族も精神的な不安を和らげることができます。
今回は、勾留がなされればご家族との面会が可能だという前提でお話しましたが、勾留後も面会することが出来ないケースもあるのです。
それについては、次回のブログで取り扱います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、特殊詐欺事件を含めた刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
もし、あなたのご家族が特殊詐欺事件で突然逮捕されてしまったのであれば、今すぐ弊所にご相談ください。
刑事事件専門弁護士が留置先に赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
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兵庫県淫行条例違反で逮捕
兵庫県淫行条例違反で逮捕
兵庫県淫行条例違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大学生のAさん(21歳)は、中学生のVさん(15歳)とSNSを通じて知り合いました。
連絡をとるうちに、AさんからVさんを誘い、一度二人で会うことになりました。
Aさんは、Vさんを実際に会うのはその日が初めてでしたが、食事後に行ったカラオケ店で性交しました。
その後も、AさんとVさんは連絡を取り合い、2~3回会い、性交をするという関係でした。
しかし、突然Vさんと連絡がとれなくなり、その後、兵庫県福崎警察署がAさん宅を訪れ、Aさんは淫行条例違反で逮捕されてしまいました。
VさんがSNSで知り合った男性と性的関係にあることがVさんの親に知られ、Vさんの親が学校に相談したことで、学校から警察に連絡が入り事件が発覚することになりました。
(フィクションです)
兵庫県淫行条例について
淫行条例というのは、各都道府県が定める青少年保護育成条例の中で18歳未満の者との淫行等について規制する条文のことを指します。
兵庫県では、青少年愛護条例が18歳未満の者との淫行等について以下のように規定しています。
(みだらな性行為等の禁止)
第21条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
兵庫県青少年愛護条例では、「淫行」ではなく「みだらな性行為又はわいせつな行為」という文言が使われていますが、淫行とは一般に「みだらな行為」を意味する言葉ですので、同じ意味と理解されています。
この「淫行」の定義については、福岡県の条例についてではありますが、最高裁判所による解釈が出されており、判例として基準が示されています。
「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である」
つまり、「淫行」とは、
①青少年を心身の未成熟に乗じた不当な手段(誘惑・威迫・欺罔・困惑など)により行う性交や性交類似行為、
或いは、
②青少年を単に事故の性的欲求を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交や性交類似行為
を意味し、広く青少年に対する性行為一般をいうものではないとされています。
婚約中であったり、これに準ずるような真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為は「淫行」には含まれません。
①にも②にも該当しなければ淫行とはならず、罪に問われることもありません。
しかし、単に「真剣な交際でした」と主張するだけでは不十分です。
淫行に該当するか否かは、両者の年齢差、性行為に至る過程、交際の態様などの要件が考慮され判断されるからです。
ネットを通じて異性と知り合うことが容易になった昨今ですが、ネットを通じて知り合い、実際に出会った初日に性的関係を持ったという過程を踏まえて、当事者間が婚姻中またはそれに準ずるような真摯な交際関係にあったと判断されるなんてことは非常に難しいと言えるでしょう。
兵庫県青少年愛護条例は、18歳未満であることの認識に過失があっても処罰するとしています。
第30条
(省略)
6 第17条第1項(同項第4号又は第9号に係る部分を除く。)、第20条第1項若しくは第2項、第21条第1項若しくは第2項、第21条の2、第21条の3又は第24条第2項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項又は前3項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
例えば、Vさんは18歳以上であるとAさんに伝えており、18歳以上を示す身分証明書を提示したとしましょう。
Aさんは、身分証明書を見たことでVさんが18歳以上であると誤信し、Vさんとの性行為に及んだが、実際は他人の身分証明書で、Vさんは18歳未満だった場合、Aさんは18際以上だと信じるのが通常であり故意も過失もないので、条例違反は成立しないことになります。
しかし、身分証明書の顔写真が明らかにVさんとは異なるなど、提示された身分証明書がVさんのものではないと気付き得る状況であった場合には、Aさんには過失があり条例違反が成立する可能性もあります。
あなたが淫行条例違反で被疑者として取調べを受けてお困りであれば、淫行条例違反事件も取り扱う刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
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交通事故で身体拘束
交通事故で身体拘束
交通事故で身体拘束となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県三田市の交差点で、横断中の歩行者に車が突っ込み、歩行者1名に全治3か月の怪我を負わせたとして、車を運転していたAさん(80歳)は兵庫県三田警察署に逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの娘は、すぐにAさんと面会をと思い、警察署に行きましたが、今は面会できないと言われてしまいました。
Aさんは、慌てて接見をしてくれる弁護士を探し、どうにかすぐに身体拘束を解いてもらえないかと相談しています。
(フィクションです)
多発する高齢ドライバーによる交通事故
社会の高齢化に伴い、高齢ドライバーの数も増えています。
それと比例して、高齢ドライバーによる交通事故も増加傾向にあります。
最近では、東京池袋や福岡で起きた交通事故が高齢ドライバーによるものであったという事件が記憶に新しいところだと思います。
高齢者の方々は、若い時に比べて様々な身体的変化が生じているため、それが事故につながっていると考えられます。
例えば、認知機能についていえば、視力の低下や視野が狭まることにより、相手の車を見落としたり、速度を誤認することで出合い頭の衝突をする恐れが高くなりますし、信号や標識、子供や自転車などを見落としてしまうことも多くなります。
更に、判断能力が低下することで、とっさの判断が遅れ、操作ミスを起こしやすくなります。
高齢ドライバーによる交通事故において、「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」ということが多く聞かれるのも判断能力の低下が大きく影響していると考えられます。
さて、このような高齢ドライバーによる交通事故は、操作ミスや注意不十分によって引き起こされることが多いのですが、このような場合に誰かに怪我を負わせてしまったり、死亡させてしまったとしたら、「過失運転致死傷罪」という罪に問われる可能性があるのです。
過失運転致死傷罪は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定されています。
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
「自動車の運転上必要な注意を怠り」というのは、自動車の発進から停止までの運転において必要とされる注意義務をいいます。
自動車を停止させる行為も運転に含まれますが、停止後降車するためにドアを開ける行為は運転に含まれません。
交通事故を起こしたら身体拘束されるの?
交通事故、中でも人身事故や飲酒運転をした場合には、逮捕される可能性は高いでしょう。
逮捕には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3種類があります。
交通事件で逮捕されるのは、現場から立ち去る「ひき逃げ」ではない場合は、ほとんど「現行犯逮捕」となります。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、検察に送致するかを決定します。
検察に送致した場合、検察官は被害者を勾留する必要があると判断した場合には裁判官に対して勾留請求を行います。
そうでない場合には、被疑者を釈放します。
勾留の要件は、①勾留の理由、および②勾留の必要性があることです。
①勾留の理由
・罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること、かつ、
・定まった住居を有しない、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある、または、逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある。
②勾留の必要性
被疑者を勾留することにより得られる利益と、これにより被る被疑者の不利益を比較衡量した結果、被疑者を勾留することが必要であるとすること。
これら勾留の要件に該当すると判断されると、検察官が勾留請求をしたり、その請求を受けて裁判官が勾留決定をしたりするのです。
そこで、弁護士は、勾留決定とならないように、勾留請求前に検察官に勾留請求をしないよう意見書を提出し、勾留請求後には裁判官に勾留決定をしないよう意見書を出し、身体拘束からの解放を目指した活動を行います。
あなたのご家族が交通事故を起こし逮捕されてしまったのであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
交通事件を含めた刑事事件を専門とする弁護士が迅速に対応します。

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薬物事件と所持品検査
薬物事件と所持品検査
薬物事件と所持品検査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市垂水区の路上をAさんが歩いていると、巡回中の兵庫県垂水警察署の警察官に職務質問のため呼び止められました。
Aさんは、職務質問に応対中に所持品検査についても応じるよう警察官から求められました。
これに対して、Aさんは拒否したのですが、警察官はAさんのズボンのポケットに手を入れ、白い粉末が入った小袋を取り出しました。
Aさんはそのまま警察署に連れて行かれ、試薬検査の結果、当該粉末が覚せい剤であることが判明し、Aさんは覚せい剤取締法違反容疑で現行犯逮捕となりました。
Aさんは、警察の所持品検査は違法だと主張しています。
(フィクションです)
所持品検査
警察官職務執行法(以下、「警職法」)第2条4項において、次のように規定しています。
警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。
警職法は、被逮捕者の身体について凶器の所持を調べることができるとするにとどまり、職務質問に伴う所持品検査に関する直接の規定を設けていません。
ちなみに、職務質問というのは、「何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者」らを「停止させて質問すること」(警職法第2条1項)をいいます。
職務質問は、あくまで捜査の端緒として、犯罪認知前に行われる行政警察活動にあたります。
所持品検査について、所持品の外部を観察して質問する行為や、承諾を得て中身を検査する行為については問題となりませんが、承諾なく所持品の外部に触れる行為や承諾なく中身を検査する行為については問題となります。
これについて、判例(最判昭53・6・20)は、
①所持品検査は職務質問の付随行為として許容されるのであるから、所持人の承諾を得て行うのが原則であるが、
②捜索に至らない程度の行為は、必要性、緊急性、相当性がある場合には、承諾がなくても例外的に許される。
として、猟銃等による銀行強盗の容疑が濃厚な者が職務質問中に所持品の開披要求を拒否するなどの不審な挙動をとり続けたため、警察官が承諾なしに施錠されていないバッグのチャックを開き、内部を一瞥して札束を発見した事案の開披行為を適法としました。
他方、所持人の承諾なく、以下の行為をした案件については違法であると判断しています。
・上着の内ポケットに手を差し入れて所持品(覚せい剤の包み)を取り出した行為(最判昭53・9・7)。
・左足首付近の靴下の部分が膨らんでいるのを見つけ、中の物(覚せい剤の包みや注射器等)を取り出した行為(最決昭63・9・16)。
・自動車内を丹念に調べて粉末入りのビニール袋(覚せい剤)を発見した行為(最決平7・5・30)。
このように、職務質問に付随して行われる所持品検査について明確に規定する条文がなく、結局は、個々の事案ごとに適用・違法を判断することになっています。
その判断については、概ね、所持品検査は職務質問の付随行為として許容されることから、まずは職務質問の要件該当性を検討し、承諾の限度でおこなうことを原則としつつ、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、必要性・緊急性・相当性を満たす限度で例外的に許容されるという判例の枠組みを踏まえた上で、犯罪の性質、対象者に対する容疑の程度、対象者の態度、証拠の性質、検査の態様、被検査者が被る不利益を総合的に考慮して、社会通念上相当なものであれば適法と判断されると言えるでしょう。
違法に収集された証拠は、証拠として認められません。
あなたやあなたの家族が、警察からの違法な所持品検査を受け、対応にお困りであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスについてのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

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不法就労助長で逮捕
不法就労助長で逮捕
不法就労助長罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
技能実習生として来日した外国籍の男女30人を不法就労させたとして、兵庫県警組織犯罪対策課と兵庫県加古川警察署は、兵庫県内に住む人材派遣会社社長のAさんを逮捕しました。
Aさんは、部下のBさんと共謀し、不法に在留していた外国籍の男女に偽造した在留カードを提供し、県内にある工場で働かせていた疑いがもたれています。
Aさんは容疑を否認しており、刑事事件に強い弁護士との接見を希望しています。
(神戸新聞NEXT 2019年6月3日22時3分掲載記事を基にしたフィクションです)
外国人技能実習制度
日本の会社が発展途上国から人材を受け入れ、日本が持つ技能・技術・知識を彼らに伝え人材を育成し、自国の経済発展に貢献してもらうことを目的とした制度を「外国人技能実習制度」です。
平成28年11月28日に公布され、平成29年11月1日に施行された「外国人の技術実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」に基づき、新たな外国人技能実習制度が実施されました。
技能実習生を受け入れる方式には、「企業単独型」と「団体管理型」の2タイプがあります。
前者は、日本の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式で、後者は、事業協同組合や商工会等の営利を目的とした団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する方式です。
技能実習の区分は、先述した2タイプの受け入れ方式ごとに、入国後1年目の技能等を修得する活動(第1号技能実習)、2・3年目の技能等に習熟するための活動(第2号技能実習)、4・5年目の技術等に熟達する活動(第3号技能実習)の3つに分けられます。
技能実習生の在留資格は、上の区分に応じて異なります。
まず、1年目は、「技能実習1号」(企業単独型は「技能実習1号イ、団体管理型は「技能実習1号ロ」)の在留資格となり、原則2か月の講習を受けた後、実習が開始されます。
2・3年目は、「技能実習2号」(企業単独型は「技能実習1号イ、団体管理型は「技能実習1号ロ」)4・5年目は、「技能実習3号」(企業単独型は「技能実習3号イ、団体管理型は「技能実習3号ロ」)とう在留資格となり、技能実習生として最長で5年間日本に滞在することができます。
しかし、様々な理由により技能実習生が失踪するケースが増えています。
技能実習の滞在資格は、自動的に滞在期間が更新されるのではないため、適時手続を行う必要があります。
その手続を怠ると、滞在資格がなくなりますので、不法に日本に滞在していることになります。
不法就労助長罪
出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」)は、全ての人の日本への出入国、外国人に関しての在留資格、在留期間、退去強制、難民に関しての認定・処遇について規定しています。
不法就労助長罪というのは、「不法就労」を手助けする行為に関する犯罪です。
「不法就労」とは、日本に不法に入国・上陸したり、在留期間を超えて不法に残留するなどし、正規の在留資格を持たない外国人が行う収入を伴う活動、並びに、正規の在留資格を持っている外国人が、許可を受けずに、与えられた在留資格以外の収入を伴う議場を運営する活動又は報酬を受ける活動のことをいいます。
このような不法就労をしている外国人を雇った場合、不法就労助長罪となる可能性があります。
第七十三条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
第1項の「外国人に不法就労活動をさせた者」というのは、不法就労者を雇用・使用した者や、不法就労者を派遣して労務に従事させた者を指します。
また、第2項の「外国人の不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者」とは、不法就労者に宿舎を提供した者、不法就労者のパスポート等を預かった者や入国費用の負担等を事実上支配下に置いた者が該当します。
そして、第3項の「外国人の不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあっせんした者」については、ブローカーやその他あっせんをした者、仲介等をなした者です。
外国人を雇用する際に、当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には処罰を免れません。
このように、不法就労外国人を雇用する行為は犯罪となる可能性があります。
ご家族が、不法就労助長罪で逮捕されてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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放尿行為で器物損壊罪
放尿行為で器物損壊罪
器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川西市に住む会社員のAさんは、同市に住む女性Vさんの乗用車のドアなどに尿をかけ、汚損させた疑いで、兵庫県川西警察署に器物損壊の容疑で逮捕されました。
Aさんは、深夜にVさんの乗用車が止めてある駐車場で、Vさんの乗用車の運転席ドアなどに放尿したとのことです。
何度も同様の被害にあっていたVさんは、業を煮やして兵庫県川西警察署に相談したことで事件が発覚しました。
Aさんは容疑を認めており、なんとか事件を穏便に解決できないものかと思っています。
(フィクションです)
成立し得る犯罪は?
他人の車に放尿する行為は、如何なる犯罪に該当するのでしょうか。
(1)器物損壊罪
まずは、上記ケースにおいて逮捕容疑となっている器物損壊罪が成立する可能性があります。
器物損壊罪は、刑法第261条に規定されています。
第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する
客体
「前三条に規定するもののほか」というのは、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊及び同致死傷罪の客体、つまり、公用文書等、権利義務に関する文書や他人の文書、他人の建造物や艦船以外の物をいいます。
動産・不動産だけでなく、動物も含まれます。
行為
本罪の問題となる行為は、「損壊」または「傷害」です。
判例及び通説によれば、損壊とは、「広く物本来の効用を失わしめる行為を含む」と解されます。
例えば、他人の飲食器に放尿する行為も「損壊」に当たるとされます(大判名42・4・16)。
簡単に言うと、皿に放尿したことで、皿自体が壊れていなくても、人の尿がかかったということで当該皿を再度使いたいとは一般的に思いませんから、食べ物を乗せるという皿本来の用途(効用)を失わせたと言えるため、「損壊」したことになるのです。
ですので、上記ケースにおいては、車のドアに放尿されていますが、これにより直ちに車自体が故障するということではありませんが、人の尿がかかった車を使いつづけたいかと問われれば、一般に否定的な回答になるでしょう。
それでは、特定の人に対して複数回上の行為をしていたとなれば、器物損壊罪以外にも次の罪に問われる可能性もあります。
(2)ストーカー規制法違反
第十八条 ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
ストーカー規制法における「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等を反復して行うことと定義されています。
問題となる「つきまとい等」は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること」です。
①つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、うろつき等
②監視していると告げる行為
③面会や交際の要求
④乱暴な言動
⑤無言電話、拒否後の連続した電話・FAX・電子メール・SNS等
⑥汚物等の送付
⑦名誉を傷つける
⑧性的羞恥心の侵害
AさんがVさんに好意を寄せており、それを満たすために、Vさんの車のドアに放尿していたのだとすれば、⑥号に該当し、2回以上当該行為を行っていたのであれば、反復して行ったことになり、「ストーカー行為」となるでしょう。
⑥号の原文は、「汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。」ですので、送付する以外にも、駐車してある車に放尿することにより、Vさんがそのことを分かり得る状態にしているので、車に放尿する行為も⑥号に当たります。
(3)迷惑防止条例違反
嫌がらせとして特定の者に対して、複数回人の車に放尿する行為をしたのであれば、兵庫県迷惑防止条例違反となる可能性もあります。
第10条の2 何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、執ように又は反復して行う次に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第3項に規定するストーカー行為を除く。以下「嫌がらせ行為」という。)をしてはならない。
(略)
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快若しくは嫌悪の情を催させるような物又は当該情を催させるようなものを視覚若しくは聴覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第8号において同じ。)その他の記録を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です。
ですので、被害者との示談を成立させることが事件を穏便に解決するうえで重要となります。
器物損壊事件を起こしお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
危険運転で裁判員裁判②
危険運転で裁判員裁判②
裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、通勤に車を使用していました。
ある日、会社の飲み会があり、Aさんは車は会社の駐車場に止めておいて、バスで帰宅しようと考え、飲酒しました。
相当酔っていたAさんは、バスで帰宅することが面倒に思い、自分で車を運転して帰ることにしました。
しかし、Aさんは車を走らせてしばらくすると、急に眠気に襲われ、運転中に眠りこけてしまい、車線をはみ出し、対向車線に進入し、Vさんが運転する対向車に衝突してしまいました。
Vさんは救急搬送されましたが搬送先の病院で死亡が確認されました。
Aさんは兵庫県豊岡南警察署に逮捕され、その後神戸地方検察庁に危険運転致死罪で起訴されました
(フィクションです)
危険運転致死事件は、裁判員裁判の対象事件となります。
裁判員制度は、平成16年5月21日に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し、平成21年5月21日から当該制度が始まりました。
裁判員制度が始まって、今年で10年となります。
神戸地方裁判所姫路支部で行われた裁判員裁判は、その審理期間が200日を超えたことでも話題になりました。
裁判員制度とは
裁判員裁判とは、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、以下のことを裁判官を一緒に決める裁判制度のことをいいます。
・被告人が有罪か否か。
・有罪の場合にはどのような刑にすべきか。
裁判員裁判となる事件は、刑事裁判の中でも一定の重大事件だけです。
最も重い刑として死刑や無期懲役が定められている罪や、故意の犯罪行為で人を死亡させた罪に問われている事件です。
例えば、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、危険運転致死罪などです。
兵庫県では、神戸地方裁判所と神戸地方裁判所姫路支部の2つの裁判所が裁判員裁判を行っています。
裁判員裁判の特徴
(1)公判前整理手続
裁判員制度の対象となる事件は、必ず公判前整理手続に付されなければなりません。
公判前整理手続では、検察官と弁護人の主張を聴き、事件の争点および証拠を整理します。
そして、公判の日程についても議論し、短時間で争点に集中した充実した審理ができるように準備します。
公判前整理手続を行うことで、公判を連日開廷し、集中して審理が行えるようになるとともに、裁判員に分かりやすい計画的で充実した審理を行うことができるのです。
弁護士は、公判前整理手続において、積極的に証拠開示を求めるとともに、弁護側からの主張を立て、どこが争点になるのかをしっかりと把握した上で、公判での訴訟活動に向けた準備を行う必要があります。
(2)裁判員の参加
裁判員は、証拠に基づいて、起訴状に書かれていることが常識に照らして間違いないと言えるかどうかを判断します。
有罪とした場合には、被告人にどうような重さの刑罰を科すべきかについても判断します。
これらの判断は、裁判官3名と裁判員6名の合計9名で行なわれ、過半数の5名の意見が一致すれば決定となります。
ただし、被告人を有罪にする場合や、被告人に不利益な判断をする場合には、裁判官のうち少なくとも1名が加わっていなければなりません。
以上のように、裁判員裁判では、事前に裁判官、検察官、弁護人が争点や証拠を整理した上で、一般市民の方が裁判員となり、事実認定や刑の量定を決めることになります。
そのため、裁判員が十分に理解し納得するために、通常の裁判よりも分かり易く丁寧な説明を心がける必要があると言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱っており、これまでも数多くの刑事事件を経験してきました。
刑事事件における豊富な経験や知識を活かし、裁判員裁判にもしっかりと対応し最善の弁護活動を行います。
刑事事件でお困りの方、裁判員裁判の対応にお悩みの方は、ぜひ弊所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスについては、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
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危険運転で裁判員裁判①
危険運転で裁判員裁判①
危険運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、通勤に車を使用していました。
ある日、会社の飲み会があり、Aさんは車は会社の駐車場に止めておいて、バスで帰宅しようと考え、飲酒しました。
相当酔っていたAさんは、バスで帰宅することが面倒に思い、自分で車を運転して帰ることにしました。
しかし、Aさんは車を走らせてしばらくすると、急に眠気に襲われ、運転中に眠りこけてしまい、車線をはみ出し、対向車線に進入し、Vさんが運転する対向車に衝突してしまいました。
Vさんは救急搬送されましたが搬送先の病院で死亡が確認されました。
Aさんは兵庫県豊岡南警察署に逮捕され、その後神戸地方検察庁に危険運転致死罪で起訴されました。
(フィクションです)
危険運転致死傷罪
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(通称、「自動車運転死傷処罰法」)は、従前、刑法第208条の2(危険運転致死傷罪)及び第211条第2項(自動車運転過失致死傷罪)として規定されていたものを、自動車運転による死傷事犯の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、悪質かつ危険な自動車の運転により人を死傷させた者に対する新たな罰則を創設するなどして平成26年5月20日に施行され、現在は、危険運転致死傷罪及び過失運転致死傷罪の規定は、自動車運転死傷処罰法において独立して規定されています。
危険運転致死傷罪
危険運転致死傷罪は、自動車運転死傷処罰法の第2条及び3条に規定されています。
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
(1)危険運転致死傷罪(2条)
以下の行為を行い、その結果、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処するとしています。
①アルコール又は薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為。
②進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為。
③進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為。
④人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑤赤信号等を殊更無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為、
⑥通行禁止道路を進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
(2)危険運転致死傷罪(3条)
アルコール、薬物又は一定の病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、そのことを認識しながら自動車を運転した上、客観的に正常な運転が困難な状態に陥って人を負傷させた者は12年以下の懲役、人を死亡させた者を15年以下の懲役に処するとしています。
上記ケースでは、飲酒運転の末の人身事故を事例として挙げています。
そこで、今回は、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」、そして「アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」について考えてみたいと思います。
1.アルコールの影響により正常な運転が困難な状態
これについては、平成23年10月31日最高裁決定において、以下のように解されています。「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」というのは、「アルコールの影響により道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいい、アルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態もこれに当たる」。
アルコールの影響により正常な運転が困難な状態にあったか否かの判断に当たっては、「事故の態様のほか、事故前の飲酒量及び酩酊状況、事故前の運転状況、事故後の言動、飲酒探知結果等を総合的に考慮すべきである」とあり、事故の態様、アルコールの摂取状況、事故前の運転状況や事故後の言動等を総合的に評価して決定されます。
2.アルコールの影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態
先の「正常な運転が困難な状態」であるとまではいえないが、自動車を運転するのに必要な注意力、判断能力、操作能力が、そうではないときの状態と比べて相当程度減退して危険性のある状態や、そのような危険性のある状態になり得る具体的なおそれがある状態を含むと考えられています。
危険運転致死傷罪は、その法定刑が重く、危険運転致死事件は裁判員裁判の対象事件です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、危険運転致死傷事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、今すぐフリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
自首と出頭
自首と出頭
自首と出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県洲本市のスーパーマーケットにパートとして勤務するAさんは、度々店の商品を無断で持ち帰ったり、レジから売上金を持ち出したりしていました。
ある日、店長が、商品や売上金がデータと合わないことを不審に思い、各従業員に聞いて回っていました。
店長は、Aさんによる犯行の可能性が高いと思っており、Aさんに対して、「従業員の誰かが商品や売上金を盗んだ可能性が高いようだ。このまま誰も名乗り出なければ、警察に被害届を出そうと思う。」と言いました。
しかし、Aさんは店長に罪を告白しないまま、一身上の都合という理由で退職しました。
後日、元同僚を通じて店長が兵庫県洲本警察署に被害届を出しにいったという話を聞いて、このままではいずれ自分の犯行だということがバレてしまうのでは、と心配になったAさんは、自首することを考えています。
(フィクションです)
自首が成立するためには
刑事ドラマやサスペンスドラマで、「自首しに来ました。」といって警察署に出向く姿を時折目にします。
警察署に行って自分の犯した罪を言えば「自首」が成立すると思っていませんか?
実は、「自首」については法律できちんと規定されており、成立するためには満たさなければならない要件がいくつかあるのです。
罪を犯した人が、自ら捜査機関に対して、自分が犯した罪を自発的に申告し、その処分を求める意思表示のことを「自首」といいます。
単に、警察署などに自ら出向くだけでは、法律上の自首が成立するとは限らないのです。
刑法第42条は、以下のように、自首について規定しています。
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」
つまり、自首の成立要件は、以下の4つになります。
(1)犯罪を起こした本人自らが自発的に犯罪事実を申告していること。
「自ら自発的に」自分の犯した犯罪を申告しなければならず、取調べで単に犯罪事実を自白しただけでは自首したことになりません。
(2)犯罪を行った本人が自身の罰則や処分を求めていること。
申告内容が、犯罪事実の一部を隠すためにされたものであったり、自己の責任を否定するようなものであったりした場合には、自首は成立しません。
(3)捜査機関に申告していること。
司法警察員または検察官に対して申告している必要があります。
(4)捜査機関が犯罪事実や犯人を特定していない段階で申告していること。
犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合や、犯罪事実は発覚していたとしても、その犯人が誰であるか発覚していない場合を含みます。
犯罪事実や犯人が誰であるか判明しているけれども、単に犯人の所在だけが不明である場合は、これに含まれません。
犯罪事実の申告を受けた警察官等が犯罪事実を知らなくても、捜査機関の誰かが犯罪事実を知っていた場合には、自首は成立しません。
これらの要件を充たしてはじめて「自首」が成立することになります。
一方、「自首」とよく混同される「出頭」とは何を意味するのでしょうか。
「出頭」というのは、役所や裁判所など特定の場所に出向くことです。
犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚している場合に、犯人が警察署等に出向いたとしても「自首」ではなく「出頭」ということになります。
自首のメリット
自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります。
どの程度刑が減軽されるかについても、刑法第68条が定めています。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
有期懲役の場合、長期及び短期の2分の1に、罰金の場合、多額及び寡額の2分の1に減軽されるので、窃盗罪の場合には、5年以下の懲役又は25万円以下の罰金の範囲内で刑罰が科されることになります。
しかし、あくまで「刑を減軽することができる」とありますので、絶対的に軽減されるものではありません。
また、自首したことそれ自体が、逮捕の要件である逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれを否定する事情となり、逮捕されず在宅のまま捜査が進む可能性もあります。
刑事事件を起こし、自首しようかお悩みであれば、自首する前に一度刑事事件に強い弁護士にご相談されることをおすすめします。
自首するメリット・デメリットを理解し、自首した後の流れや取調べ対応についてしっかりと説明やアドバイスを受けることにより、取調べに対する不安を少しでも和らげることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお悩みの方は、一度弊所にご相談ください。

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初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
前科と前歴
前科と前歴
前科と前歴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、兵庫県赤穂市のスーパーマーケットで、商品5点(5000円相当)を会計を済ませずに店を出たとして、店の警備員に呼び止められました。
その後、Aさんは、通報を受けて駆け付けた兵庫県赤穂警察署の警察官に窃盗容疑で逮捕され、同署において取調べを受けました。
Aさんの夫が身元引受人としてAさんを引き取ることで、Aさんは釈放となりました。
Aさんは、同じような万引きをして捕まったことがあり、その時は警察署で話を聞かれて終わったのですが、今回はどのような処分となるのか非常に不安でたまりません。
Aさんは、夫と共に、刑事事件に強い弁護士のところに相談に行きました。
(フィクションです)
逮捕されたら前科が付くの?
刑事事件を起こし、逮捕されてしまったら、必ず「前科」が付くと思われている方が多くいらっしゃいますが、逮捕されたからといって必ずしも前科が付くわけではありません。
そもそも、前科とはどのようなものを指すのでしょうか。
「前科」という用語は、正確な法律上の用語ではなく、通俗的に使用されているにすぎず、その意味は必ずしも明らかではありません。
しかし、一般的には、前に刑に処せられた事実のことを「前科」と称します。
「前に刑に処せられた」というのは、全ての有罪の確定判決のことを意味します。
死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料である場合から、刑の免除、刑の執行免除が言い渡された場合も含みます。
裁判所で言い渡されたものであっても、過料等の行政罰や没収、追徴等のいわゆる付加刑は前科ではありません。
前科が付いてしまったら
前科が付くと、法律において一定の不利益を被ることになります。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
・執行猶予に付し得ない事由
・執行猶予の取消事由
・再犯加重の事由
・仮釈放の取消事由
・常習犯の認定事由
・必要的保釈を消極とする事由
・特定の法令が定める資格制限事由
一度付いてしまった前科は消えないの?
前科が付くことにより、上のような法律上の不利益を被ることになるわけですので、一度付いてしまった前科がいつまでも消えないのかどうかといった点は気になるところですね。
刑の執行を受け終わった者に対して、いつまでも法律上の不利益を負わせておくことは、その者の改善や構成の意欲を阻害し、善良な社会人として社会復帰する機会を失わせることになるので、現行法では刑の消滅に関する規定が設けられており、執行終了または免除後の一定期間を罰金以上の刑に処せられることなく経過した場合に、その抹消が認められ、刑が消滅することになります。
第三十四条の二 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
2 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。
刑の消滅の効果は、刑の言渡しに基づく法的効果が将来に向かって消滅するというものであって、過去において刑を受けたことがあるという事実まで消滅させるものではありません。
前歴とは?
最後に、よく「前科」と混同される「前歴」について説明します。
「前歴」というのは、警察などの捜査機関から犯罪捜査を受けたことです。
前歴は検察や警察が保管・管理していますが、前歴についてはその記録は抹消されることはありません。
上記ケースの場合、Aさんは前に万引きで警察に逮捕されたことがあるようです。
警察での調べで事件は終了しているとのことですので、警察から検察に送致されてはおらず、おそらく警察段階で「微罪処分」として終了しているのだと考えられます。
しかし、窃盗容疑で逮捕されていますので、Aさんには窃盗の「前歴」が付いています。
その記録は警察や検察で保管・管理されていますので、Aさんがまったくの初犯ではないことはすぐにわかります。
その事実がAさんにとって良い方向に働くことはありません。
しかし、同種の前歴があっても、被害店舗への被害弁償や示談締結、家族の監督やカウンセリング等により再犯防止策がきちんととられている等、Aさんにとって有利な事情について説得的に主張することで、検察官が起訴猶予で事件を終了させる可能性も十分あります。
このような活動は、刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
窃盗事件をはじめとして刑事事件でお困りならば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。