Archive for the ‘刑事事件’ Category

自宅での盗撮

2019-03-26

自宅での盗撮

自宅での盗撮について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県伊丹市に住むAさんは、自宅でデリヘルを利用しました。
派遣されたデリヘル嬢のVさんの許可を得ず、Aさんはサービス中の様子をカメラで撮影していました。
そのことに気づいたVさんは、店に連絡を入れました。
店からAさんに連絡が入り、「盗撮したでしょう、どうしてくれるのか。」と言われ困っています。
(フィクションです)

自宅での盗撮は何罪?

盗撮といえば、迷惑防止条例違反という犯罪が成立し得ることはよく知られたところでしょう。
盗撮に係る兵庫県の迷惑防止条例の規定は以下のとおりです。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

迷惑防止条例では、盗撮行為、盗撮目的でカメラを差し向ける行為やカメラを設置する行為が禁止されています。
そして、盗撮盗撮目的のカメラの差し向け・設置が禁止される場所は、
①公共の場所、公共の乗物
②集会所、事業所、タクシー、その他不特定多数の者が利用する(公共の場所・乗物を除く)場所・乗物
③浴場、更衣室、便所、その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
です。
そのため、「自宅」はこれらの場所には該当せず、上記ケースでは、迷惑防止条例違反は成立しないことになります。

次に、盗撮に関連する法律として軽犯罪法が挙げられます。
盗撮に係る軽犯罪法の規定は以下のとおりです。

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

「ひそかにのぞき見る」行為は、承諾なしに物陰や隙間などから見ることを言いますが、望遠鏡を用いたり、カメラやビデオカメラを用いて撮影する場合も含みます。
場所については、「人の住居、浴場、更衣場、便所、その他人が通常衣服をつけないでいるような場所」となっています。
「人の住居」は、「犯人自身以外の者が正当に使用し得る住居」のことで、住居の一部であってもかまいません。
玄関のように通常人が服を着ていることが予想されるような場所であっても、「人の住居」に当たります。
「浴場、更衣場、便所」とは、私宅内の私用専用のものであるか、公衆浴場や公衆便所などのように不特定多数の人が使用するものであるかを問いません。
「その他人が通常衣服をつけないでいるような場所」とは、人が通常隠している肉体の部分を露出している可能性のある場所の内部のことをいいます。
例えば、役所の更衣室、病院の診察室、旅館の一室、キャンプ場におけるテント内などです。
以上の場所的要件を前提に、上記ケースの盗撮事件につき軽犯罪法違反が成立し得るか検討すると、Aさんは「自宅」で盗撮してますが、デリヘル嬢を「招き入れ」ており、「犯人(=Aさん)以外の者(=Vさん)が正当に使用し得る住居ということになり、Aさんに対する軽犯罪法違反が成立すると考えられます。

兵庫県の盗撮事件で加害者となり対応にお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

児童買春・児童ポルノ処罰法違反で逮捕

2019-03-25

児童買春・児童ポルノ処罰法違反で逮捕

児童買春・児童ポルノ処罰法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、出会い系サイトを通じて知り合った中学生のVさんにお金を渡す約束す代わりに性交渉をする約束をしました。
AさんとVさんは、ホテルに入りましたが、Aさんは密かにカメラを設置し、性交渉の様子を動画で撮影しました。
ある日、兵庫県佐用警察署の警察官がAさん宅を訪れ、児童買春・児童ポルノ処罰法違反の疑いでAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

児童買春・児童ポルノ処罰法

警察庁によると、全国の警察が昨年1年間に摘発した児童ポルノ事件は、前年と比べ28.3%増加しており、過去最多を更新したということです。
残念ながら、子供を取り巻く性被害が一層深刻化しているようです。

児童買春・児童ポルノ処罰法(「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)は、平成11年に制定・施行されました。

児童買春・児童ポルノ処罰法では、「児童買春」「児童ポルノ」に係る行為等を処罰することとしています。

1.児童買春に係る行為

児童買春罪
児童買春は、①児童、②児童に対する性交等の周旋をした者、③児童の保護者または児童を支配下に置いている者、に対して、「対償を供与し」、または「対償の供与を約束して」、その児童に対し、「性交等」をする行為です。
罰則は、5年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

児童買春周旋罪
児童買春を周旋(買春者と児童との間に立って児童買春の仲介をすること)をする犯罪です。
罰則は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金で、その両方が科される可能性があります。
周旋者が、周旋を業とした場合、例えば会員制売春クラブのようなものを作って利益を上げていた場合には、刑事罰が加重され、7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金となります。

児童買春勧誘罪
児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするよう勧誘した場合に成立します。
罰則は、周旋罪と同様です。

2.児童ポルノに係る行為

児童ポルノ単純所持・保管罪
「自己の性的好奇心を満たす目的」で、児童ポルノを「所持」、又は児童ポルノに係るデータを「保管」する行為です。
ただし、所持開始の時点で、「自己の意思に基づいて所持するに至った者」であって、「当該者であることが明らかに認められる者」に限られます。
罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

児童ポルノ提供罪
児童ポルノを提供する行為が対象となります。
児童ポルノやそのデータ等を相手方が利用することができる状態に置く法律上・事実上の一切の行為を「提供」といい、必ずしも相手方が現に受領することまでは必要となりません。
罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
更に、不特定多数の者に対する提供または公然と陳列する行為は、刑罰が加重され、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはこれの併科となります。

提供目的所持・保管行為等罪
提供・陳列の目的で、児童ポルノを製造・所持・運搬・輸入・輸出し、又はデータを保管した者は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また、不特定多数の者に対する提供や公然と陳列する目的で行われた場合は、刑事罰は加重され、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。

児童ポルノ製造罪
他人に提供する目的がない場合であっても、児童に「児童ポルノに係る児童の姿態」をとらせた上、これを写真等によって描写し、児童ポルノを製造する行為で、その罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
また、「児童ポルノに係る児童の姿態」を盗撮することにより児童ポルノを製造した場合も、同様の罰則が設けられています。

児童ポルノ輸出入罪
児童ポルノを不特定多数に提供または公然と陳列する目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはこの併科となる可能性があります。

Aさんに対しては、児童買春罪、児童ポルノ所持・保管罪、児童ポルノ製造罪が成立する可能性があるでしょう。
もちろん、Aさんが、Vさんを18歳未満であると分かっていた、もしくは、18歳未満かもしれないがそれでも構わないと思っていたことが必要となります。

このように、児童買春・児童ポルノ処罰法児童買春児童ポルノに係る様々な行為を禁止し、処罰の対象としています。
児童買春児童ポルノ事件で加害者となり、対応にお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。

リベンジポルノで逮捕

2019-03-23

リベンジポルノで逮捕

リベンジポルノについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、Vさんと交際していましたが、先日Vさんから別れを切り出されました。
Aさんは何度もVさんに復縁を迫りましたが、Vさんは聞き入れてくれませんでした。
そんなVさんに対して徐々に恨みを抱くようになったAさんは、何とかVさんに仕返しできないかと考え、交際中に撮影したVさんの裸の写真をインターネット上に公表することにしました。
自分の性的な写真がネットに上がっていることに気づいたVさんは、兵庫県加古川警察署に相談しました。
後日、兵庫県加古川署の警察官がAさん宅を訪れ、リベンジポルノ防止法違反の容疑でAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

リベンジポルノとは

カメラ付き携帯電話やスマートフォン、インターネットの普及により、プライベートで撮った写真や動画を不特定多数の人と共有することが容易になりました。
その反面、撮影された人の同意がない写真や動画も勝手にネット上に出回るという迷惑行為も増加しています。

交際中に撮影した元交際相手や元配偶者などの裸の写真など性的な画像を、撮影された人の同意なく、インターネット上に載せるといったリベンジポルノもそのような迷惑行為のひとつです。
リベンジポルノにより個人の名誉や私生活の平穏が侵害されるといった被害が多発したため、平成26年に「私事性的画像記録の提供等による被害の部牡牛に関する法律」(以後、「リベンジポルノ防止法」という。)が制定されました。

リベンジポルノ防止法における「リベンジポルノ」とは、「私事性的画像記録の提供等」といい、「私事性的画像記録」については以下のように定義されます。

第二条 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

つまり、「私事性的画像記録」は、
①性交または性交類似行為に関連する人の姿、
②他人が人の性器等を触る行為または人が他人の性器等を触る行為に関連する人の姿で、かつ性欲を興奮させまたは刺激するもの、
③衣服の全部または一部を着けない人の姿で、殊更に人の性的な部位が露出されまたは強調されるものであり、かつ性欲を興奮させまたは刺激するもの、
でその人の姿が撮影された画像に関連するデータを指します。
「私事性的画像記録物」は、上記の①~③のいずれかに掲げる人の姿が撮影された画像を記録したものをいい、例えば、写真やCD-ROM、USBメモリなどです。

このような「私事性的画像記録」の提供等は、リベンジポルノ防止法において禁止されており、違反した場合の罰則規定も設けられています。

第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
5 第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」で、
①インターネットを通じて「私事性的画像記録」を不特定多数の者に提供する
②私事性的画像記録物を不特定多数の者に提供する、或いは、公然と陳列する
と、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
ここでいう「特定することができる方法」というのは、撮影された人の顔や背景として写っている物など、公表された画像自体から撮影された人を特定することができる場合の他に、画像公表の際に添えられた文言や掲載された場所など、画像以外の部分から特定することができる場合も含まれます。
撮影された人の顔がばっちり写っている場合も、顔は写ってないけれど名前や所属などコメントなどでその人が特定できるような情報がある場合にも、「特定することができる方法」に当たるわけです。
「提供」とは、相手方において利用しうべき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、相手方が実際に受領することまで必要ではありません。

また、上の行為をさせる目的で、インターネットを通じて私事性的画像記録や私事性的画像記録物を提供した場合には、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

なお、これらは、いずれも親告罪です。
つまり、被害者等の告訴権者からの告訴がなければ、検察官は起訴することができません。
ですので、リベンジポルノ事件を早期に解決するためには、何よりも被害者への謝罪・被害弁償、示談締結が重要となります。
このような活動は、加害者本人が直接被害者に連絡をとり行うことはお勧めできません。
なぜならば、被害者は加害者に対して恐怖や怒りの気持ちを抱いていており、加害者と直接連絡をとりたがらないことが多いからです。
このような場合は、弁護士、特に刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。

兵庫県のリベンジポルノ事件でお困りの方は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

刑事事件と幇助犯

2019-03-22

刑事事件と幇助犯

幇助犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
大学生のAくん(20歳)は、友人のBくん(21歳)に「用事があるから車で送ってくれへん?」と頼まれました。
AくんとBくんは、中学校の同級生で、中学校卒業以降は、時々連絡をとって遊ぶ仲でした。
Aくんはレンタカーを借り、Bくんとその友人Cくんを乗せて指定された場所まで連れて行きました。
指定された場所に着くと、「ちょっとここで待っててくれる?戻ってきたらすぐに車出してな。」と言われたAくんは、そのまま車で待機していました。
慌てたようすで戻ってきたBくんとCくんは、「はよ車出して」と言い、Aくんは二人を乗せて車を発進させました。
後日、兵庫県美方警察署の警察官がAくん宅にやってきて、「BとCが行った侵入盗について話を聞かせてほしい」と言われ、そのまま署まで連れて行かれました。
Aくんの両親は、心配になり慌てて刑事事件に強い弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)

幇助犯とは

幇助犯とは、「正犯をほう助した者」のことをいいます(刑法第62条)。
幇助犯は従犯とされ、その刑は正犯の刑を減軽したものが科されます(同法第63条)。

幇助犯が成立するためには、以下の2つの要件を満たすことが必要です。
①正犯を幇助すること
②被幇助者が犯罪を実行したこと

成立要件①正犯を幇助すること

幇助犯の成立要件の一つである「正犯を幇助する」とは、構成要件に該当する実行行為以外の方法によって、正犯の実行行為を容易にすることをいいます(最判昭24・10・1)。
幇助は、正犯の実行行為にとって必要不可欠なものであることは必要とはされません(大判昭4・2・19)
「正犯を幇助」したと言えるためには、「幇助行為」および「幇助の故意」が必要となります。

幇助行為
幇助の方法は、物理的方法であると、心理的方法であるとを問いません。
幇助行為は、犯罪の実行を容易にするものであればいいのです。
例えば、殺人を犯そうとする者に対して凶器を提供することであっても、その者を激励する行為であっても、その行為により犯罪の実行を容易にしたのであれば、幇助行為となるのです。

幇助の故意
幇助者に故意を認めるためには、まず、正犯に対する犯罪行為遂行の促進を認識・予見していなければなりません。
つまり、自分の行為によって正犯が犯罪を犯すことを容易にすることを認識・予見していなければならないのです。
しかし、これだけでは、包丁職人が、自ら製造する包丁は、使い方によっては人の命を奪う可能性があることを認識していながら、包丁を製造した場合、実際に何者かがその包丁を使って殺人を犯しても、この包丁職人が殺人罪の幇助に問われることになってしまいます。
ですので、先の要件に加えて、幇助の故意を認めるには、正犯による既遂構成要件該当事実惹起の認識・予見が必要となります。
例えば、知人が人を殺そうとしていることを認識しているうえで、その殺人を実現することを促進し得る凶器を当該知人に渡したのであれば、①その凶器を渡すことによって、殺人を容易にすること、並びに、②その凶器を用いて人を殺すだろうことも認識・予見していたと言えるので、幇助の故意があったと認められるでしょう。

それでは、上記ケースを検討してみましょう。
Aくんは、Bくんに頼まれ、BくんとCくんを事件現場まで車で送迎しました。
Aくんが車で送らずとも、BくんとCくんは他の手段を使って現場まで行くことはできたでしょうが、Aくんが運転手役を担ったことで、BくんとCくんは現場まで容易に行くことができ、犯行後すぐに逃亡することができたと言えるので、Aくんの行為はBくんCくんの実行行為を容易にしたと言えるでしょう。
しかし、Aくんが、二人が何をするか知らずに車で送り迎えをしたのであれば、幇助の故意が認められないことになります。
例えば、犯行前の車内で、BくんとCくんが侵入盗を行うことを匂わす会話をしており、Aくんもそれを聞いており、「BくんとCくんは侵入盗をするのかもしれない」と認識・予見していた場合には、故意が認められる可能性があります。

あなたが刑事事件幇助犯として疑われている、あたなの家族が幇助犯として逮捕されてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

爆破予告で威力業務妨害事件

2019-03-21

爆破予告で威力業務妨害事件

~ケース~
兵庫県神戸市灘区の学校や老人ホームなどの施設を挙げ、「○○日の午後●時に爆破する」といった内容のメールが灘区役所宛に届きました。
兵庫県灘警察署は、該当する施設の警備を強化するなど、爆破予告を警戒していました。
市内の学校では、児童を予告時間までに帰宅させるなどして対応しました。
市内の施設で不審物や不審者は見つかっておらず、結局予告時間を過ぎても何も起きませんでした。
数日後、兵庫県内に住むAさんが使用するパソコンから爆破予告メールが送られた可能性が高いことが分かり、兵庫県灘警察署はAさん宅を訪れ、Aさんを威力業務妨害の容疑で逮捕しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

爆破予告と刑事事件

ネットの掲示板やメールで、「○○で無差別殺人を行う」「○○を爆破する」などといった殺害予告や爆破予告を行う事件が後を絶ちません。
ほとんどのケースが、予告を受けた人や法人の反応を見て楽しむ愉快犯だと言われています。
しかし、殺害予告や爆破予告を受けた側は、万が一の場合に備えて、警察に通報し、予告対象となった場所や施設などの警備を強化せざるを得ません。
このような場合、刑事事件として捜査機関は捜査に着手し、殺害予告や爆破予告をした者に対して、刑事責任が問われることになります。
無差別殺人予告や爆破予告は、威力業務妨害罪となる場合があります。

威力業務妨害罪について

刑法第234条
 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法第233条
 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

威力業務妨害罪とは、威力を用いて人の業務を妨害する犯罪です。

威力
犯人の威勢、人数および四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を制圧するに足る勢力をいい、現実に被害者が自由意思を抑圧されたことは必要ではありません。(最判昭和28・1・30)
過去の裁判例で「威力」に当たるとされたもとは以下の通りです。
・デパートの食堂の配膳部に、ヘビ20匹をまき散らし、満員の食堂を混乱に陥れた(大判昭和7・10・10)。
・上司の机の引き出しに猫の死骸を入れておき、畏怖させてその執務を不可能にした(最決平4・11・27)。

業務
職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業をいいます(大判大正10・10・24)
この「業務」に「公務」が含まれるかについては争いがあります。
「公務」については、公務執行妨害罪において、「暴行または脅迫」という限られた妨害手段に対してのみ保護の対象となります。
この点、「偽計」(偽計業務妨害罪)、「暴行・脅迫」に至らない「威力」によって公務が妨害された場合に、業務妨害罪が適用できるのかが問題となります。
現在の判例は、「強制力を行使する権力的公務」については「業務」に含まれず、公務執行妨害罪のみ適用され、強制力を行使しない「それ以外の公務」は「業務」に含まれるとする立場をとっています。(最決昭和62・3・12、最決平成12・2・17)

妨害
本罪において、妨害の結果が発生したことまでは不要で、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとされます。

Aさんが送ったとされる爆破予告により、市役所、警察、学校その他の関係機関が、警備の強化などを行うことを強いられ、それにより通常の業務を遂行するに影響を及ぼしたと考えられます。
今回の爆破予告に妨害された公務員の行う職務(=公務)は、通常公務員が行う職務全般を考えられますので、権力的公務と非権力的公務が含まれ、「業務」に該当する「公務」が妨害されたと言えるでしょう。

ネットへの書き込みや爆破予告メールの送信等、いたずらのつもりで安易な気持ちで行った結果、刑事事件に発展し、逮捕されてしまう可能性もあるのです。
もし、あなたが威力業務妨害事件を起こしてしまいお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
弊所は、刑事事件専門弁護士が無料で法律相談をご提供いたします。
ご家族やご友人が逮捕されてしまった場合には、弊所の弁護士が逮捕された方のもとへ赴いて接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
まずは、フリーダイアル0120-631-881へご連絡ください。

名誉棄損事件と示談

2019-03-20

名誉棄損事件と示談

名誉棄損事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県南あわじ市に住むAさんは、同じマンションに住むVさんと以前から因縁の仲でした。
Aさんは、ある日、ひょんなことから、Vさんから嫌がらせを受けたと思い込み、Vさんに対して仕返しをしてやろうと思い、「Vさんは、風俗店で働いている」といった内容のビラを作成し、マンションの郵便受け全てに投函しました。
Vさんは、すぐに兵庫県南あわじ警察署に相談し、告訴しました。
ご近所さんからそのことを聞いたAさんは、そのうちに自分の犯行だと発覚するのではと心配になり、慌てて刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

名誉棄損事件における弁護活動

名誉棄損罪は、親告罪です。
親告罪は、告訴がなければ、検察官が公訴を提起することができない罪のことです。
ここでいう「告訴」とは、被害者または被害者の法定代理人の告訴権者が、捜査機関に犯罪の事実を申告し、訴追を求める意思表示のことをいいます。
告訴は、検察官または司法警察員に対して、書面または口頭で行います。
告訴が受理されると、捜査機関は、捜査を開始します。

名誉棄損罪のような親告罪が問題となる場合、事件を穏便に解決するには、何よりも被害者との示談成立が重要です。
示談というのは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届や告訴状の退出を行わない、若しくは、それらを取り下げるなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することをいいます。
被害者のいる事件では、事件の早期解決を図る方法として用いられます。

示談には、締結した内容により次のように種類分けすることができます。

1.被害弁償
加害者が被害者に対して、被害を金銭的に弁償することをいいます。
被害弁償が済んでいれば、将来の民事裁判の可能性を低くすることができます。
2.単なる示談成立
当事者が事件を解決すると約束することで、成立した場合には将来の民事裁判を予防することができます。
3.宥恕付き示談成立
示談書の中に、被害者の許しの意思が表示されている文言が入っている場合、事件が当事者間で完全に解決し、被害者が処罰を望んでいないことを表現することができます。
4.嘆願書作成
被害者が加害者を許す内容の書面を作成することです。
これにより、被害者が処罰を望んでいないこと、或いは、軽い処罰を望んでいることを表現することができます。
5.被害届取下げ
被害者が事件の被害届を取り下げることをいい、これにより事件が刑事事件として立件されることを被害者が望んでいないことを表現します。
6.告訴取消し
被害者が事件に対する告訴を取り消すことです。
被害者が告訴を取り消すことにより、被害者が処罰を望んでいないことを表現することができ、親告罪については、検察官は事件を起訴することができなくなります。

このように、示談を成立させることで、刑事事件を早期に解決する可能性を高めることができます。
しかし、示談の締結は1回限りの行為ですので、加害者本人が直接被害者と行うことには注意が必要です。
まず、加害者が被害者に対して示談をしたいと思っても、被害者と連絡をとることは容易ではありません。
特に、被害者とは全く面識のない場合、警察や検察を通じて被害者の連絡先を教えてもらわなければなりませんが、捜査機関は被害者の連絡先を加害者に直接教えることはあまりありません。
また、被害者は、加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、加害者と直接連絡をとることを望まないケースも多々あります。
ですので、被害者との示談交渉には、弁護士を介して行うことが通常です。
弁護士は、示談交渉を数多く経験しているため、交渉のノウハウを持っています。
示談交渉に優れた弁護士に依頼し、適切な法的サポートを受け、加害者と被害者がお互いに納得できるような示談をしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
所属弁護士は、これまで数多くの刑事事件を取り扱ってきており、被害者との示談交渉にも豊富な経験があります。
あなたが、刑事事件を起こしてしまい、被害者への被害弁償・示談をお考えなら、弊所の弁護士にご相談ください。

児童買春罪と未必の故意

2019-03-19

児童買春罪と未必の故意

児童買春罪未必の故意について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った女性V(16歳)さんと、お金を渡す約束をして、兵庫県加西市のホテルで性行為をしました。
Vさんと知り合った出会い系サイトは、18歳以上の者だけが登録できるサイトであり、Vさんのプロフィールにも「20歳前半」となっていたので、AさんはVさんは18歳以上だと思っていました。
しかし、実際にVさんに会うと、Vさんの容姿や会話内容から、「もしかしたら18歳未満かもしれない」と思いましたが、約束通りVさんにお金を渡して性行為をしました。
後日、Vさんが別件で兵庫県加西警察署に補導されたことから、Aさんとのことが発覚し、Aさんは兵庫県加西警察署児童買春の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

児童買春罪

「犯罪」は、「構成要件に該当し、違法で有責な行為」です。
「構成要件に該当する」というのは、ある行為が、犯罪を定めた規定に当てはまることを意味します。
あなたが、何らかの行為を行ったが、その行為が犯罪だと法で定められていなければ、あなたが犯罪を犯したということにはなりません。
つまり、法律により犯罪として決められた行為類型(「構成要件」)に該当するか否かという点が、犯罪が成立するかどうかを検討するにあたり、最初に問題になるのです。

児童買春罪は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に規定されています。

第四条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

児童買春罪の構成要件は、「児童買春をした」行為となります。

それでは、「児童買春」とは如何なる行為をいうのでしょうか。
これについても、同法において規定されています。

第ニ条
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者

つまり、児童買春罪の構成要件は、以下の要素からなります。
・児童、児童に対する性交等を周旋した者、児童の保護者等に、
・対償を供与し、又はその供与を約束して、
・児童に対し、性交等をした
上記ケースでは、Aさんは、16歳のVさんに対して、お金を渡して、性行為をしたので、上記の要件に該当することになるでしょう。

さて、構成要件が成立するためには、上記の要素に加えて、罪を犯す意思(故意)が必要となります。
Aさんが、「児童等に、対償を供与・供与の約束として、児童と性交等する」ことを認識していたか否かが問題となります。
故意の様態は、一般的に次のように区別されます。
①犯罪事実の実現を意図する場合
②犯罪事実の発生を確定的なこととして認識・予見している場合
③犯罪事実の確定的な認識・予見はないが、その蓋然性を認識・予見している一定の場合
③を「未必の故意」といいます。
Aさんに対して児童買春罪が成立するためには、「故意」がなければ成立しません。
Aさんが、Vさんを18歳未満だと認識していなかった場合には、児童買春罪は成立しません。
しかし、AさんはVさんと会い「18歳未満かもしれない」と思っていますが、そのまま性行為を行っています。
この場合、「未必の故意」があると判断され、児童買春罪が成立する可能性があります。
AさんがVさんに年齢確認を求めた際、Vさんが偽造した運転免許証を提示するなど、Aさんが「Vさんを18歳未満だと知らなかったことに正当性が認められる場合には、故意はなく児童買春罪は成立しないことになります。
そのような故意がないことを立証するためには、単に「知らなかった」と主張するだけでは難しいでしょう。

児童買春罪で逮捕されてお困りの方、18歳未満だと知らなかったとお悩みの方は、児童買春事件に強い刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に今すぐご相談ください。
詳しくは、0120-631-881までお問い合わせください。

単純横領罪と業務上横領罪

2019-03-17

単純横領罪と業務上横領罪

単純横領罪業務上横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース①~
Aさんは、知人のVさんから100万円を預かっていましたが、Aさんは預かっていた100万円を自己の借金返済のために使ってしましました。
Vさんが、Aさんに預けた100万円を返してほしいと言ったところ、一向に返してくれないことを不審に思ったVさんは、兵庫県篠山警察署に被害届を出しました。
(フィクションです)

~ケース②~
Bさんは、会社で経理業務を担当していましたが、取引先から支払われた金額から少しずつ抜き取り自分のものにするといった行為を繰り返していました。
ある日、会社がBさんの不正に気づき、Bさんに横領した金額を全額返還するよう求めました。
会社は、Bさんを告訴する意思もあると言っています。
(フィクションです)

横領事件

上のケースどちらも、人から預かった物を勝手に処分してしまうという点で同じだと言えるでしょう。
しかし、問われ得る罪は異なります。
それでは、どのような点が罪名を異にすることになるのでしょうか。

単純横領罪

刑法第252条 
 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

単純横領罪は、「自己の占有する他人の物」または「公務所から保管を命ぜられた自己の物」を「横領」する犯罪です。
本罪の客体は、「自己の占有する他人の物」または「公務所から保管を命ぜられた自己の物」となります。
「占有」の意義については、「事実上または法律上物に対する支配力を有する状態」をいうと解されます。
本罪における「占有」は、「委託関係」に基づくことが必要となります。
委託関係は、一般的に民法の契約に基づいて発生することになりますが、契約に限らず、事務管理、後見などの法律上の規定による場合にも認められます。
委任関係は、事実上のものであればよく、委託者が物の保管を委託する法律上の権限を有するか否か、受託者が受託するうえで法律上の権限を有するか否かは問いません。
「他人の物」とは、他人の所有する財物のことをいいます。
ケース①では、VさんがAさんに金銭を委託しています。
民法上では、金銭の所有と占有は一致すると解されており、委託を受けて占有する者にとって当該金銭は「他人の物」といえない可能性があります。
しかし、本罪では委託者と受託者の二者間における財産の帰属が問われていることから、本罪の解釈では、民法上の解釈がそのまま適用されるわけではありません。
例えば、封をするなどして特定の金銭の保管だけを委託し、当該金銭を受託者が消費してしまった場合や、封がされていなくても使途を定めて寄託された金銭を消費した場合には、当該金銭は「他人の物」といえると解されます。
一方、消費を許す趣旨で金銭が寄託された場合、当該金銭の所有権は移転することになります。
横領罪の行為である「横領」については、委託に基づく信任関係を破棄し、委託物に対し権限を越えて行う処分行為というとする「越権行為説」と、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいうとする「領得行為説」と見解が分かれていますが、判例は後者の見解にたっています。
ここでいう「不法領得の意思」とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思です。
具体的な横領行為は、消費・着服といった事実上の処分行為と、売却・贈与といった法律上の処分行為が含まれます。
ケース①では、VさんがAさんに金銭を預けていますが、封金の保管だけをお願いしたとしましょう。
保管だけ頼んだのに、それを勝手に使ってしまったのですから、横領行為があったと言えるでしょう。
ですので、Aさんに対して単純横領罪が成立する可能性があります。

業務上横領罪

刑法第253条
 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪の規定は、単純横領罪のそれに「業務上」という文言が加えられています。
本罪の客体は、「業務上自己の占有する他人の物」ということになります。
本罪における「業務」は、その性質上他人の委託に基づいて他人の財物を占有、保管する事務を反復継続して行う地位のことをいいます。
業務の根拠は、法令・契約、公的・私的を問わず、職業としてなされるものに限りません。
具体的には、質屋や倉庫業者、法人・団体の物をその職務上保管・管理する役職員が業務上の占有者です。
ケース②では、Bさんは会社の経理業務を担当しているので、業務上の占有者と言えます。
業務の関係で、会社のお金を管理していたBさんですが、その会社のお金をくすねていたのですから、Bさんに対しては業務上横領罪が成立するでしょう。

このように単純横領罪業務上横領罪は、「委託関係に基づき自己が占有する他人の物を横領する」という点で共通していますが、業務上横領罪には主体に「業務者」であることを求める点で異なります。
また、単純横領罪の法定刑は5年以下の懲役ですが、業務上横領罪のそれは10年以下の懲役と加重されています。
後者の法益侵害の範囲が広く、頻発のおそれが多く違法性が大きいため、一般予防の観点から刑を加重したと解されます。

横領事件では、被害弁済が済んでおり相手方と示談することができれば、刑事事件に発展する可能性は低いでしょう。
刑事事件化したとしても、被害者に被害金が返還されないこともあるので、被害者としては被害金が戻ってくることを優先することが多いからです。
ですので、横領事件を起こし刑事事件化するのではとお困りであれば、すぐに被害者への被害弁償や示談交渉を行う必要があります。
しかし、どうやって交渉すればよいのか分からない、実際に横領した額以上の額の返済を迫られているなど、本人が行うことが難しい場合もあります。
そのような時は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、0120-631-881までお問い合わせください。

刑事事件と勾留

2019-03-16

刑事事件と勾留

刑事事件勾留について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宝塚市に住む大学生のAくん(21歳)は、大麻取締法違反(単純所持)の疑いで兵庫県宝塚警察署に逮捕されました。
Aくんは、大学の学期末試験期間中で、必須科目の単位が取れなかった場合には、留年してしまう可能性もあり、どうにか勾留されずに釈放とならないかと困っています。
Aくんの願いとは裏腹に、勾留決定となり、Aくんは頭を抱えています。
(フィクションです)

勾留について

被疑者または被告人を拘禁する裁判とその執行を「勾留」といいます。
あなたが、刑事事件をおこし、警察などの捜査機関に逮捕されると、逮捕から48時間以内に、あなたは釈放されるか、若しくは検察に送致されることになります。
検察に送致された場合、検察官は、あなたの身柄を受けてから24時間以内に、あなたを釈放するか、或いは、あなたを勾留する必要があると判断し、裁判官に対して勾留請求を行います。
裁判官は、勾留請求を受けて、あなたを釈放するか、勾留するかを決定します。
勾留するか否かを判断する際、勾留の要件を満たしているか否かを検討しなければなりません。
勾留の要件とは、(1)勾留の理由があり、かつ、(2)勾留の必要性があることです。

勾留の理由

「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること」かつ、①住所不定、②罪証隠滅のおそれ、または③逃亡のおそれがあることが勾留の要件です。

罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」とは、具体的根拠に基づいて犯罪の嫌疑が一応是認できる程度の理由をいいます。

住所不定
「定まった住居を有しない」ことで、住所や居所を有しないという意味です。

罪証隠滅のおそれ
「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」とは、証拠に対して不正な働きかけを行い、終局的判断を誤らせたり、捜査や公判を紛糾させるなどのおそれがあることをいいます。
この「おそれ」は、抽象的可能性では足りず、具体的な資料に基づいた当該事案における具体的蓋然性であることが必要とされます。
罪証隠滅の有無を判断するにおいて、考慮される要素は以下のものがあげられます。
①罪証隠滅の対象
②罪証隠滅の態様
③罪証隠滅の余地
④罪証隠滅の主観的可能性

逃亡のおそれ
「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由」とは、被告人が所在不明となり、召喚も勾引もできなくなること、またはできなくなるおそれがあることをいいます。
逃亡のおそれについても、抽象的可能性では足りず、具体的な資料に基づいた具体的蓋然性であることが必要となります。
例えば、生活が不安定であるので所在不明になる可能性がある、あるいは、処罰を免れるために所在不明になる可能性があることが想定されるでしょう。

勾留の必要性

勾留の理由がある場合であっても、勾留の必要性がなければ勾留は認められません。
勾留の必要性とは、勾留の相当性のことであると解され、被疑者・被告人を勾留することによる「公益的な利益」と、これにより被疑者・被告人が被る「不利益」とを比較衡量して総合的に判断されます。
この必要性の判断には、事案の軽重、予想される処分、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれの強さの度合いなどが影響すると考えられます。

ここで、上記ケースを例に勾留の要件を満たしているかどうか考察してみたいと思います。
Aくんは、大麻所持で逮捕されました。
Aくんが大麻所持の現行犯で逮捕された場合や、家宅捜索で大麻が見つかった場合など、Aくんが大麻を所持していたと疑うに足りる相当な理由があると言えるでしょう。
そして、罪証隠滅のおそれについて検討すると、本件は薬物事件ですので、その入手経路や密売組織との関係など、罪証隠滅の対象となる事実にあたると解され、釈放した場合に、関係者と口裏合わせをするなどの可能性が指摘されるでしょう。
その結果、罪証隠滅のおそれありと判断され、勾留が決定される可能性があります。

しかし、そのような場合においても、刑事事件に強い弁護士は、勾留の理由および勾留の必要性がないことを客観的な証拠に基づいて主張し、勾留決定に対して不服申立てを行います。
例えば、逮捕時から素直に容疑を認めており、それまでの取調べで入手先などについて述べており、大麻、携帯電話やパソコン、その他証拠物が既に警察に押収されているなど、罪証隠滅をする余地がないこと、更に、保護者と同居しており監視監督が期待できるといった理由により、罪証隠滅のおそれがないことを主張します。
また、Aくんは、学期末試験期間中であり、必須科目の試験が近日中に予定されています。
Aくんは、この科目の単位をとらないと、留年することになり、そうなれば内定が決まっている会社への就職にも影響するなど、勾留によって被る不利益が大きいことも、必要性の観点から主張することになるでしょう。

このような主張が認められれば、勾留を決定した原判決は取り消され、検察官が行った勾留請求は却下されることとなり、被疑者は釈放されます。
弁護人からの勾留決定に対する準抗告が容認される確率は、決して高いとは言えません。
しかし、不当な身体拘束を避けるため、客観的な証拠に基づいた説得的な主張を行い、身体拘束を解くことは不可能ではありません。

逮捕・勾留されお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
お問い合わせは、0120-631-881まで。

覚せい剤所持罪で逮捕

2019-03-15

覚せい剤所持罪で逮捕

覚せい剤所持罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県警察は、覚せい剤の密売グループの捜査をしている過程で、Aさんが関与しているとの情報をつかみました。
その情報をもとに、警察は、兵庫県加東市に住むAさん宅を訪れ家宅捜査したところ、覚せい剤が見つかりました。
Aさんは、覚せい剤所持の疑いで現行犯逮捕となりました。
Aさんは、「覚せい剤は恋人が勝手に置いて行っただけで、自分は関係ない」と供述しています。
(フィクションです)

覚せい剤取締法違反事件

覚せい剤取締法は、覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤および覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受および使用に関して必要な取り締まりを行うことを目的とする法律です。
覚せい剤取締法の規制対象となる覚せい剤は、以下のものです。
①「フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパンおよび各その塩類」(法2条1項1号)
②「前号に掲げる物と同種の覚醒作用を有する物であって、政令で指定するもの」(2号)
③「①、②の物のいずれかを含有する物」(3号)
このことから、規制対象となる覚せい剤は、必ずしも純粋な覚せい剤に限らず、他の物と混合された物であっても「覚せい剤」に当たります。

覚せい剤所持罪

第十四条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者及び管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚せい剤を所持してはならない。

覚せい剤製造業者等の一定の資格を有する者が所持する場合等を除き、覚せい剤所持を禁止しています。

第四十一条の二 覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

覚せい剤を「みだりに」「所持」する行為を処罰することとし、営利の目的があった場合を加重処罰することとしています。
つまり、覚せい剤所持罪は、「覚せい剤」を「みだりに」「所持」することにより成立します。

所持」とは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」(最大判昭30・12・21)と解されます。
覚せい剤所持に関する判例では、「物理的に把持する必要はなく、その存在を認識して管理し得る状態にある場合」、「直接所持しなくてもよく、他人の行為を介して自己の所持を実現したと認められる場合」、「所有者でない場合」、「比較的短時間の携帯にすぎない場合」においても所持を認めています。

また、所持罪が成立するためには、覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること(=故意)が必要です。
しかし、覚せい剤所持事件では、上記ケースのように、「知人が勝手に置いて行った」、「知人から預かっただけ」と主張するケースが多いようです。
つまり、覚せい剤所持罪の成立には、「所持」という行為と犯意(故意)の他に、「積極的に覚せい剤を自己又は他人のために保管する意思」や「自ら所有し又は使用、処分する意思」などが必要だと主張されることがありますが、所持罪の成立には、そのような意思まで必要とされません。
所持は、あくまで覚せい剤を自己の実力支配内に置く行為であればよく、その態様の如何を問いません。
ですので、覚せい剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けば、所持罪は成立すると解されます。

覚せい剤事件で逮捕された場合、そのまま勾留となる可能性は高いと言えるでしょう。
また、犯罪組織とのつながりが疑われる場合には、接見禁止が付されることもあります。
逮捕から勾留までの間や、接見禁止が付された場合、例え被疑者の家族であっても被害者と面会することはできません。
しかし、そのような場合でも、弁護士であればいつでも面会(接見)することができます。

ご家族が覚せい剤事件で逮捕された、勾留禁止がなされ面会できずお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご連絡ください。
薬物事件も含めた刑事事件を専門とする弁護士が、逮捕・勾留された方のもとへ赴き接見をする「初回接見サービス」をご案内いたします。
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