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窃盗症と執行猶予
窃盗症と執行猶予
窃盗症と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
主婦のAさんは、兵庫県加古川市にある商業施設内のスーパーマーケットで食料品3点を万引きしたところ、警備員に見つかってしまいました。
Aさんは、当時商品を買えるだけのお金を持っていたにもかかわらず、商品を万引きしたということです。
その後、Aさんは兵庫県加古川警察署に行き取調べを受け、Aさんの家族が身元引受人となり、釈放されました。
Aさんは、窃盗の前科前歴があり、今回は執行猶予期間中の犯行ということで、AさんもAさんの家族も今度こそ実刑になるのではないかと不安でたまりません。
(フィクションです)
窃盗症とは
常習窃盗を大きく分類すると以下の3つに分けられます。
①経済的利益のために金目の物品や金銭を盗む職業的犯罪者
②飢えて食べ物や生活必需品を盗む貧困者
③金があるのに些細なものを盗む病的窃盗者
③のように、十分な資産を有しているにもかかわらず、繰り返し数百円の物を盗む者は、窃盗症(クレプトマニア)と呼ばれる精神障害を患っている可能性があります。
アメリカ精神医学会により「精神障害の診断と統計マニュアル」において、窃盗症の診断基準が以下のように挙げられています。
A.個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物をとろうとする衝動に抵抗できなくなることを繰り返される。
B.窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり。
C.窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感。
D.その盗みは、怒りまたは報復を表現するためのものではなく、妄想または幻覚への反応でもない。
E.その盗みは、素行症、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。
Aの基準は、他の常習窃盗と区別するものですが、窃盗症であっても、その物の用途や経済的価値を完全に切り離すことは難しく、欲しい・必要な物を盗むつつも、必要以上の量を盗んだり、結局は使用せずに放置していたり、後から考えると何故それを盗んだか分からない場合に該当すると広く理解されます。
万引き行為は、初犯であり、本人も反省しており、被害弁償も済んでいる場合であれば、微罪処分となる可能性もあります。
しかし、何度も万引きを繰り返すと、受ける処分も重くなり、実刑判決が下ることもあります。
自分ではやめたいと思っているのに、万引きを繰り返してしまう、そのような場合には、窃盗症が疑われるかもしれません。
窃盗症は一種の精神疾患ですので、刑罰を科すことでは再発防止は望めないでしょう。
何よりも専門の治療を受ける必要があります。
ですので、窃盗症と診断される場合には、治療に専念するため社会内処遇が適していることを説得的に主張することが重要です。
上記ケースにように、窃盗症を患う方が執行猶予期間中に再度犯行に及んでしまうケースは少なくありません。
窃盗症であると診断された場合には、医師による専門的治療を受けたり、支援組織による講義に参加したりと、窃盗症を克服できる環境づくりが必要です。
その上で、弁護士は、裁判において、常習窃盗の原因が窃盗症であること、専門的治療を受ける環境がととのっていること、本人も治療に専念し再発防止に意欲的であることや、家族からの支援が期待できることなど、もう一度社会内で更生する機会を与えてもらうよう、弁護活動に取り組みます。
兵庫県加古川市の常習窃盗事件で、窃盗症が疑われる方、執行猶予となり社会内での更生をご希望の方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
刑事事件専門の弁護士が、初回に限り無料で法律相談を行います。
控訴審を刑事事件専門弁護士に依頼
控訴審を刑事事件専門弁護士に依頼
控訴審について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、深夜帰宅途中の若い女性を狙い、その後をつけて背後から襲い、服の中に無理やり手を入れて胸を鷲掴みにした後、逃亡しました。
Aさんは、同様の行為を2件行っており、とうとう強制わいせつの容疑で兵庫県豊岡南警察署に逮捕されました。
Aさんは、国選弁護人を選任し、弁護人からは、「被害者と示談して執行猶予」と言われており、示談についても任せていましたが、結局、判決日には、神戸地方裁判所豊岡支部において、実刑判決が言い渡されました。
Aさんは、どうにかならないかと思い、刑事事件専門の弁護士に、控訴審について相談することにしました。
(フィクションです)
控訴審とは
裁判の内容に誤りがある、手続上違法がある、といったことはあり得ることです。
刑罰を科すということは、人の人生に大きな影響を与えますので、これらに対して、その是正の手段を講じておかなければなりません。
その手段として、裁判を受け不利益を被った者が、その裁判が確定する前に、上級裁判所に不服申し立てをし、原裁判の原稿または取消を求める「上訴」が設けられています。
この「上訴」のなかで、第一審判決を不服として高等裁判所へ申し立てる上訴を「控訴」といいます。
控訴の申立てをすることができるのは、第一審判決を受けた当事者である検察官および被告人です。
また、被告人の法定代理人や保佐人、第一審における代理人・弁護人も、被告人のために控訴をすることができます。
被告人が控訴する場合、被告人は、自らに利益な内容を主張して申立てなければなりません。
つまり、無罪判決に対して控訴を申し立てる、原判決よりも重い刑を主張して控訴を申し立てる、といったことはできないのです。
控訴審においては、控訴審での弁護人を改めて選任する必要があります。
第一審における弁護人を控訴審でも弁護人とする場合であっても、選任は審級ごとになされるので、改めて弁護人を選任しなければなりません。
控訴の申立は、第一審の弁護人にお願いすることができますが、控訴の申立が受理されると、第一審の弁護人は弁護人ではなくなります。
控訴を申立てるには、控訴申立書を第一審裁判所に提出しなければなりません。
控訴は、第一審判決が宣告された日から14日以内に申立てる必要があります。
これを過ぎると、判決が確定します。
期間内に控訴が申し立てられると、原判決の確定が阻止され、その執行が停止し、事件が控訴審に係属することになります。
控訴を受け取った第一審裁判所は、控訴提起期間が経過していないか、控訴の放棄や取下げがされていないかを審査し、そうでなければ、訴訟記録および証拠物を控訴裁判所に送付します。
控訴申立人は、控訴裁判所が指定する期限までに、控訴の理由を簡潔に明記した控訴趣意書を控訴裁判所に提出しなければなりません。
控訴の理由は、刑事訴訟法第377条に定められており、そのいずれかを根拠とする場合に限り適法なものとして扱われます。
控訴の理由には、大きく分けると以下の理由です。
①訴訟手続の法令違反
②事実誤認
③法令適用の誤り
④量刑不当
上記ケースを例に挙げると、Aさんはおそらく「量刑不当」を理由に控訴をしたいのだと考えられます。
その場合、控訴趣意書には、第一審判決で言い渡された実刑判決が「不当」であることを述べなければなりません。
例えば、犯罪事実に関して情状の評価を誤った、示談の成否や被告人の境遇などといった情状事実についての誤認や評価の誤りがあった場合です。
控訴審は事後審ですので、控訴趣意書に援用できる事実は、原則として、訴訟記録および第一審裁判所において取り調べられた証拠に現れている事実に限定されます。
しかし、「やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調べを請求することができなかった証拠によって証明することのできる事実であって、刑訴法381又は382条に規定する控訴申立理由(量刑不当または事実誤認)があると信ずるに足りるもの」、または「第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であって刑訴法381条または382条に規定する控訴申立理由(量刑不当または事実誤認)があると信ずるに足りるもの」の場合には、新たな事実の援用が認められます。
第一審の判決期日までに被害者と示談することが出来なかったが、その後示談がまとまった場合などは、これに当たるでしょう。
事案によって、該当し得る控訴の理由や控訴趣意書の内容も異なりますので、控訴をご検討であれば、一度刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
痴漢事件で早期釈放
痴漢事件で早期釈放
痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、通勤に電車を利用していました。
会社の先輩が他支部に異動するということで、その夜は終電まで会社の仲間と飲んでいました。
なんとか終電に間に合い電車に乗り込んだAさんは、見知らぬ女性Vさんの隣に座りました。
Vさんは膝上のスカートをはいており、お酒も入っていたAさんはムラムラし、眠り込んだ様子のVさんの太ももの辺りを軽く触りました。
すると、Vさんから「今、触りましたよね」と言われ、次の停車駅で一緒に降りるよう言われ、Aさんはそのまま駅員室に連れて行かれました。
結局、兵庫県長田警察署の警察官に逮捕され、そのまま警察署に留置されることになりました。
Aさんは、何とかすぐに釈放とならないかと思い、弁護士を呼んでくれるよう警察に頼みました。
(フィクションです)
痴漢は何罪になるの?
電車での痴漢について、ニュースでも時々耳にしますよね。
痴漢は犯罪であることはみなさんよくご存じのこととも思いますが、痴漢罪という罪名はありません。
それでは、痴漢をした場合、一体何罪となるのでしょうか。
(1)迷惑防止条例違反
痴漢を行った場合、大半が迷惑防止条例違反となります。
迷惑防止条例とは、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止することで、住民生活の平穏を保持することを目的とする各都道府県が制定する条例です。
痴漢行為は、条例が禁止する「卑わいな行為等」に該当します。
兵庫県の迷惑防止条例では、卑わいな行為等の禁止が以下のように規定されています。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
痴漢行為は、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たります。
迷惑防止条例違反の痴漢が成立するためには、痴漢行為を行った場所が「公共の場所又は公共の乗物」でなければなりません。
電車の車内で行った痴漢行為は、「公共の乗物において」行われておりますので、場所的要件も満たしています。
また、痴漢行為をする故意があることが必要です。
隣に座った女性の太ももを触る行為が痴漢であることは認識しているはずです。
では、「わざとじゃない」と主張する場合は故意がなかったと認められるのでしょうか。
満員電車で電車が揺れて触ってしまった場合であっても、「このままの態勢だと身体に触れることになるかもしれない…」と認識しているにもかかわらず、そのままの姿勢を取り続けて、相手の身体に触れる場合も、故意(未必の故意)が認められます。
迷惑防止条例違反の痴漢は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金となる可能性があります。
常習が認められると、刑は加重され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
(2)強制わいせつ罪
痴漢の行為様態によっては、強制わいせつ罪が成立することもあります。
刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪は、「暴行・脅迫」を手段とするものです。
ここでいう「暴行」とは、「相手方の反抗を著しく困難にさせる程度のもの」と解されるのが一般的です。
相手方の年齢・性別・素行・経歴、犯行が行われた時間・場所・環境、その他具体的な事情を考慮して、「反抗が著しく困難になる」か否かが判断されます。
「暴行」と聞くと、無理やり力ずくでするイメージですが、本罪の場合、「被害者の意思に反してわいせつな行為を行う」という比較的軽微な暴行で足りるとされています。
ですので、痴漢の犯行様態によっては、「暴行を用いてわいせつな行為」をしたと判断されることもあり得るのです。
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役です。
罰金刑はありません。
痴漢をし、迷惑防止条例違反の容疑をかけられているが、容疑を認めている場合には、逮捕されても早期釈放となる可能性があります。
逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないと判断されれば、警察段階で釈放、検察官が勾留請求せずに釈放、裁判官が勾留請求却下し釈放となるでしょう。
しかし、ただ何もせずに釈放となることはまれですので、逮捕されたら早期に刑事事件に精通する弁護士に相談し、釈放に向けて活動してもらうのがよいでしょう。
どのような対応をするかは事案によって異なりますので、その点でも弁護士に相談することをお勧めします。
ご家族が痴漢で逮捕されてお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
(兵庫県長田警察署までの初回接見費用:35,200円)
無免許運転で逮捕
無免許運転で逮捕
無免許運転で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に住む70代の男性Aさんは、一旦停止を怠ったとして、交通警備中の兵庫県相生警察署の警察官に呼び止められました。
Aさんに免許の提示を求めたところ、無免許であることが発覚しました。
なんと、Aさんは、約30年前に免許の更新をし忘れ、それ以来ずっと無免許運転を行っていたということです。
Aさんの家族は、逮捕の連絡を受け、慌てて警察署に向かいましたが、面会することが出来ませんでした。
ネットで刑事事件に強い弁護士を探し、接見に行ってもらえるよう頼みました。
(フィクションです)
無免許運転
第六十四条 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
無免許運転は、道路交通法第64条において禁止されています。
無免許運転とは、以下の場合に車等を運転することをいいます。
・これまで一度も運転免許証の交付を受けずに運転する。
・免許が取り消されたにもかかわらず車を運転している。
・免許の停止期間中に車等を運転する。
・免許の対象外の車両を運転する。
免許の交付は受けているが、免許を所持せずに車を運転することは、「無免許運転」ではなく「免許不携帯」となります。
無免許運転には、「刑事罰」と「行政処分」が設けられています。
ここでは、刑事罰について概観します。
刑事罰
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)運転した者
無免許運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
無免許運転をした人だけでなく、無免許運転のおそれがある人に車両を提供したり、無免許運転だと認識して同乗した人に対しても罰則が設けられています。
車両提供者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
同乗者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金。
無免許運転で逮捕される場合
無免許運転が捜査機関に発覚し、逮捕されるケースには、以下のようなものが挙げられます。
・同様の前科前歴がある。
・常習的に無免許運転を行っていた。
・交通事故を起こし、死傷者を出してしまった。
・飲酒運転やスピード運転など他の交通法違反や犯罪を犯している。
上記ケースでは、Aさんは30年もの間無免許運転をしていたので、常習的ともいえ、悪質であると判断され逮捕されたと考えられます。
逮捕から勾留までの間は、原則、逮捕された方のご家族であっても、逮捕された方と面会することはできません。
警察からも事件の詳細について教えてもらえるとは限りません。
ですので、逮捕の連絡を受けたご家族は、一体何があったのかと大変不安に感じられることでしょう。
そのようなときには、すぐに弁護士に接見をご依頼ください。
弁護士であれば、いつでも逮捕された方と面会(接見)することができます。
刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、逮捕された方のもとへ赴き接見を行う「初回接見サービス」をご提供しております。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
児童ポルノ事件で逮捕
児童ポルノ事件で逮捕
児童ポルノ事件での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大学生のAさんは、ネットを通じて知り合った中学生のVさんに、裸の写真を送るよう要求し、LINEを通じてAさんに送らせました。
AさんとVさんは、交際関係にあったわけではありませんが、VさんはAさんに好意を寄せていました。
ある日、Vさんが別件で兵庫県三木警察署に補導された際に、問題の写真が見つかり、事件が発覚しました。
兵庫県三木警察署は、Aさんを児童ポルノ禁止法違反(製造)の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、訳が分からず、急いで刑事事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)
児童ポルノ禁止法違反
上記ケースのように、18歳未満の者(以下、「児童」)に対して、児童の裸の写真を撮って自己に送らせる行為は、児童ポルノ禁止法(「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の略称)によって禁止されており、刑罰の対象となります。
児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」とは、以下のものを指します。
写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの (児童ポルノ禁止法第2条3項)
上の要件に該当する児童ポルノを、「自己の性的好奇心を満たす目的」で「所持」した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、児童との性交場面を撮影したり、児童に自身の裸の写真を撮らせてメールなどでそのデータを送信させる行為は、「製造」に当たります。
児童ポルノの製造については、以下の通り児童ポルノ禁止法で禁止されています。
①提供する目的での製造(児童ポルノ禁止法第7条3項)
②単純な製造(同条4項)
③盗撮による製造(同条5項)
④不特定もしくは多数への提供や公然陳列を目的とする製造(同条7項)
①~③の法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、④については、5年以下の懲役または500万円以下の罰金もしくはその併科です。
児童ポルノ事件で逮捕されたら
児童ポルノ事件で逮捕されると、逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか検察に送致するかを決めます。
検察に送致された場合、検察官は、被疑者の身柄を受けたときから24時間以内に、被疑者を釈放するか裁判官に勾留請求するかを判断します。
検察官が勾留請求すると、裁判官は、被疑者を勾留するか釈放するかを決定します。
勾留決定がなされると、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長されると最大で20日間身柄が拘束されることになります。
勾留されると、その間、会社や学校に行くことができないため、最悪の場合、懲戒解雇やタイ抱く処分となってしまう可能性もあります。
そのような事態を防ぐため、弁護士は、検察官や裁判官に対して勾留をする必要がない旨を主張し、勾留阻止に動きます。
また、勾留がされてしまった場合には、勾留決定に対する不服申し立てを行うなど、身柄解放活動に徹します。
ご家族が児童ポルノ事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件ではスピードが重要です。
刑事事件のことなら、刑事事件専門の弁護士にお任せください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
出待ちとつきまといの線引き
出待ちとつきまといの線引き
出待ちとつきまといの線引きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
アイドルグループのVさんのファンであるAさんは、Vさんに会うため、コンサート等で移動する際、駅や空港で出待ちしたり、執拗に追いかけてカバンの中にプレゼントを入れたり、手を握ったり、挙句の果てには、プライベートでの外出先に押し掛け、飲食店の隣の席に座るなどの行為を行っていました。
Aさんの行為に困り果てたVさんは、会社から警察に相談してもらい、警察はAさんに警告をしました。
しかし、Aさんの行為は止むことがなく、むしろエスカレートしていきました。
ついに、兵庫県神戸市中央区で開催されたコンサートで出待ち中のAさんは、兵庫県生田警察署に逮捕されることとなりました。
Aさんは、自身の行為はストーカー行為ではなく、出待ち行為だと容疑を否認しています。
(フィクションです)
ストーカー行為で刑事事件
ファンの行き過ぎた追っかけや出待ち行為が、時に犯罪となることもあります。
ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、ストーカー行為を規制する法律です。
本法でいう「ストーカー行為」とは、以下のように定義されます。
同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。(ストーカー規制法第2条3項)
つまり、「つきまとい等」を「反復して」行うことを「ストーカー行為」といいます。
ここで問題となる「つきまとい等」についてですが、以下の要件を満たすものをいいます。
特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。(ストーカー規制法第2条1項)
「ある人に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」をもって、「その人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して、第1号から8号に該当するような行為をすることが「つきまとい等」となります。
さて、ファンの「出待ち」だけで「ストーカー行為」に当たってしまうのでしょうか。
通常、ファンの「出待ち」とは、その有名人が劇場、テレビ局、コンサート会場などでの公演が終わり、その施設から出てくるのを見たり、声をかけるために、当該施設の出入り口で待機することをいいます。
この行為自体は、第1号に当たりそうですが、これには「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる」場合に限定されていますので、単にテレビ局やコンサート会場付近で、サインを求めるために出待ちする程度では該当せず、「ストーカー行為」には当たらないでしょう。
しかし、上記のケースのAさんの行為は、単なる出待ちを超えてしまっており、Vさんに「不安を覚えさせるような方法」で繰り返し待ち伏せ等をしているわけですから、ストーカー行為に当たるでしょう。
ファンの「出待ち」行為と「ストーカー行為」の明確な線引きは、なかなか難しいものがありますが、あきらかに度を越えた行為は、ストーカー行為となり、刑事事件化することもあります。
刑事事件化してしまった場合には、早急に刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ストーカー規制法違反事件を含めた刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、0120-631-881までご連絡ください。
不適切動画で業務妨害事件
不適切動画で業務妨害事件
不適切動画で業務妨害事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県姫路市にある飲食チェーン店でアルバイトとして働く大学生のAくん(21歳)は、客がいない時間帯に、店内で他のアルバイト店員と食材を投げ合う等不適切な行為を撮影した動画を、ネットにアップしました。
Aくんは、数時間後に動画を削除しましたが、その間に動画は拡散し、世間に知れ渡る結果となりました。
Aくんはアルバイトを解雇されることになりましたが、会社からは、相応の対応をすると言われており、刑事責任にも問われるのではないかと心配になり、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(事実を基にしたフィクションです)
不適切動画で刑事事件に発展!?
ここ最近、某有名飲食店において、アルバイト店員が、悪ふざけのつもりで、店内で物を投げたり、食材を無下に扱ったりする様子を撮影し、その動画をネットにアップするというケースが後を絶ちません。
本人たちは、笑いをとるために行っただけかもしれませんが、結果、会社のイメージを下げ、経営に影響を与えたり、会社側が公に謝罪をしたりと、会社側が多大なる不利益を被ることになっています。
会社から本人に対して損害賠償請求などが行われる可能性もありますが、それ以外にも、刑事責任に問われる可能性もあるのです。
業務妨害罪
業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の業務を妨害する(「偽計業務妨害罪」)、或いは、威力を用いて、人の業務を妨害する(「威力業務妨害罪」)犯罪です。
偽計業務妨害罪および威力業務妨害罪は、「人の業務を妨害する」という点で同じですが、その手段が、「偽計の風説を流布し、又は偽計を用いて」であるのと、「威力を用いて」であるのとで異なります。
「業務」というのは、自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連して行う職業その他の継続して従事することを必要とする事務のことを指します。
「妨害」について、判例は、妨害の結果発生は不要であり、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとしています。(大判昭11・5・7)
つまり、判例は、業務妨害罪を抽象的危険犯と捉えています。
上の業務が妨害されたか否かという点は、当該業務が実際に妨害されたかという結果は必要とされず、業務が妨害される可能性がある行為であることで足りるのです。
この点、不適切動画の拡散行為は、結果として、会社が当該行為に対する問合せに対応したり、謝罪を行うなど、本来の業務を行う時間を割かなければならず、実際に業務が妨害されたと言えるでしょう。
次に、手段についてみていきたいと思います。
偽計業務妨害罪における「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて」について、「虚偽の風説の流布」とは、少なくとも一部が客観的事実に反する噂や情報を不特定又は多数人に伝搬することをいいます。
直接伝達したのが少数であっても、その者を介して多数人に伝播するおそれがあるときには、これにあたります。
また、「偽計」とは、人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用することです。
裁判例では、外面からわからないように漁場の改定に障害物を沈め、漁業者の漁網を破損させて漁獲不能としたもの、中華そば店に多数回の無言電話をかけて業務を妨害したもの、他人名義で虚偽の電話注文として、徒労の商品配達をさせたもの、などがあります。
一方、威力業務妨害罪の「威力」というのは、人の自由意思を抑圧するに足りる勢力のことをいいます。
裁判例では、デパートの食堂の配膳部にヘビをまき散らしたもの、机の引き出しに猫の死骸を入れ、これを被害者に発見させたもの、キャバレーの客席で牛の内臓をコンロで焼いて悪臭を放ったものなど、人の意思に働きかけるものから公然と行われた妨害行為まで広く認められています。
「偽計」と「威力」の区別は、時に微妙な場合がありますが、相手の錯誤を誘発する(=「偽計」)か、人の自由意思を制圧する(「威力」)かで区別することになっています。
もちろん、どのケースでも明確に区別できるというものではなく、事案ごとに判断されます。
しかし、業務妨害罪は故意犯ですので、罪を犯す意思がなければ成立しません。
「人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用し、若しくは、人の自由意思を抑圧するに足りる勢力を用いて、人の業務を妨害する」という意図や認識を持ち、当該行為を行った場合に、業務妨害罪は成立することになります。
悪ふざけのつもりで不適切動画を拡散させてしまったことにより、民事責任だけでなく、場合によっては刑事責任が問われることもあります。
自分の行為が犯罪となるのか、犯罪となる場合にはどのように対応すればよいのか、お困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
神戸市垂水区で緊急逮捕
神戸市垂水区で緊急逮捕
緊急逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市垂水区にある交番を訪れたAさんは、対応した警察官に対して「覚せい剤を打った」と申告しました。
警察官は、Aさんを兵庫県垂水警察署に任意同行し、尿検査をしたところ、覚せい剤の陽性反応が出たため、Aさんを覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで緊急逮捕しました。
Aさんは、「仕事でのストレスが原因で覚せい剤を使用した」と供述しているとのことです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
緊急逮捕とは
一定の重大犯罪について、充分な嫌疑があり、急速を要する場合に、逮捕後「直ちに」逮捕状を請求することを条件として認められる無令状の逮捕を「緊急逮捕」といいます。
緊急逮捕をする際には、その理由を告げることが必要とされます。
その理由には、被疑事実の要旨および急速を要する事情にあることが含まれます。
第二百十条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
緊急逮捕の要件
①死刑・無期・長期3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があること。
②急速を要し、裁判官の逮捕状を請求することができないこと。
③理由を告知したこと。
④逮捕後直ちに逮捕状請求の手続きをすること。
⑤逮捕の必要性があること。
このように、緊急逮捕には厳しい要件が課されています。
逮捕状によらず被疑者を逮捕することができるとする刑事訴訟法210条は、現行犯逮捕のみを例外とする逮捕状による逮捕の原則を規定している日本国憲法33条に反するとの主張が過去にありました。
第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
これに対し、最高裁判所は、緊急逮捕は合憲であるとする判決を下しました。
「しかし刑訴二一〇条は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足る充分な理由がある場合で、且つ急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができるとし、そしてこの場合捜査官憲は直ちに裁判官の逮捕状を求める手続を為し、若し逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を釈放すべきことを定めている。かような厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法三三条規定の趣旨に反するものではない、されば所論違憲の論旨は理由がない。」(最判昭30・12・14)
上記ケースでは、Aさんは、覚せい剤取締法違反(使用)を自ら申告しており、尿検査でも陽性反応が出ています。
覚せい剤取締法違反(使用)の法定刑は、10年以下の懲役です。
ですので、①の要件はクリアしています。
次に、②の要件ですが、逮捕状を請求している間に被疑者が逃亡してしまうおそれ、また証拠隠滅されるおそれがある場合には、当該要件を満たしていると言えるでしょう。
同じく、⑤の要件についても、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断される場合に、当該要件を満たすと言えます。
更に、③および④を欠く場合には、違法逮捕となってしまいますので、これらの要件も満たしていれば、Aさんに対する緊急逮捕は適法であると言えるでしょう。
緊急逮捕された後の流れは、警察は、逮捕時から48時間以内に釈放するか検察に送致されるか判断します。
検察に送致された場合には、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか勾留請求するかを決めます。
勾留請求がされると、裁判官は被疑者を勾留するか釈放するかを決定し、勾留された場合には、検察官が勾留請求した日から原則10日間(延長されると最大で20日間)身体拘束となります。
兵庫県神戸市垂水区でご家族が薬物事件で緊急逮捕となりお困りであれば、薬物事件にも適切かつ迅速に対応する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
業務上横領事件で私選弁護人
業務上横領事件で私選弁護人
業務上横領事件で私選弁護人を選任する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県丹波市の会社で経理を担当していたAさんは、勤務先から計1000万円を横領したとして、兵庫県丹波警察署から取調べを受けていました。
その後、神戸地方検察庁での取調べを受け、業務上横領罪で起訴されました。
Aさんは、国選弁護人が付いていましたが、刑事事件を専門としていなかったので、刑事事件専門とする弁護士を私選弁護人に選任しようか迷っています。
(事実を基にしたフィクションです)
業務上横領罪とは
刑法第253条(業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪は、①業務上の委託に基づき、②自己の占有する他人の物を、③横領する犯罪です。
①業務上
「業務」というのは、委託を受けて他人の物を占有または保管する事務を反復継続して行う地位のことを意味します。
例えば、質屋や倉庫業者、職務上金銭を保管する役職員などが、業務上の占有者です。
上記ケースでは、Aさんは、会社で経理を担当していたので、「業務上」の要件を満たすでしょう。
②自己の所有する他人の物
これは、業務と関連して理解自己が占有する他人の物を指します。
「占有」とは、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態のことをいいます。
他人から預かった金銭を預金した者や小切手振出をゆだねられた者は、その人の金銭が入っている預金を占有していると理解されます。
③横領
「横領」の意義については、不法領得の意思を実現する一切の行為と理解する「領得行為説」と、委託の趣旨に反する権限逸脱行為と理解する「権限行為説」とが主張されていますが、判例及び通説は、前者の「領得行為説」の立場を採っています。
この説によれば、横領とは、「委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為」を含みます。
ここでいう「不法領得の意思」というのは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その者につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいいます。
よって、領得行為説において、「横領」行為は、「不法領得の意思を表現する一切の行為」のことで、売買、贈与、質入れ、抵当権の設定、消費、着服などが含まれます。
「不法領得の意思」は、自己のために領得する意思に限定せず、行為者と特殊の関係を有する第三者に領得させる意思があってもよいとされます。
委託者本人のために物を処分した場合、原則としては「不法領得の意思」は認められませんが、その処分が委託の趣旨に反し許されないものであるときには、不法領得の意思が認められます。
また、処分した者を後日補填する意思があった場合でも、「不法領得の意思」が認められることがあります。
上記ケースにおいて、Aさんがもっぱら自分のために使う目的で、会社のお金を着服していたのであれば、業務上横領罪が成立すると考えられます。
国選弁護人と私選弁護人
被疑者及び被告人には、弁護人を選任する権利が保障されます。
あなたが、刑事事件の被疑者・被告人となった場合、あたなはいつでも弁護人を選任することができます。
刑事事件の手続において、被疑者・被告人のために様々な弁護活動を行う弁護士を弁護人といい、この弁護人は「国選弁護人」と「私選弁護人」とに分けることができます。
国選弁護人というのは、貧困などの事情により、自分で弁護人を選任し弁護を依頼することができない場合に、国(裁判所)が弁護人を選任し、その費用を負担するものです。
費用がかかりませんので、経済的な負担はぐっと減ります。
しかし、選任された弁護士が必ずしも刑事事件に精通しているとは限りませんし、被疑者・被告人本人やその家族が選ぶことができないので、弁護人と弁護される側との相性がいいのかも判断しかねることがあります。
一方、私選弁護人は、自身で費用も負担しなければなりませんが、刑事事件に強い弁護士を選ぶこともできますので、そのような弁護士に弁護を依頼した場合には、迅速かつ適切な弁護活動を期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
あなたやあなたの家族が、刑事事件の被疑者・被告人となりお困りの方、一度弊所の弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
器物損壊事件で示談
器物損壊事件で示談
器物損壊事件での示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県三田市に住むAさんは、自宅の前に度々路上駐車してある車があることに腹を立てていました。
ある日、偶然持ち主が車に乗るところに遭遇し、自宅前に駐車しないよう注意しました。
しかし、その後も自宅前に駐車され続けていたことに激怒したAさんは、持っていた自宅のカギで停車中の車の車体に傷をつけました。
翌日、兵庫県三田警察署からやってきた警察官に、車の持ち主が被害届を出していると言われ、警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
器物損壊罪とは
刑法第261条(器物損壊等)
前3条[公用文書等毀棄、私用文書等毀棄、建造物等損壊及び同致死傷]に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料の処する。
器物損壊罪の客体は、「前3条に規定した以外の他人の物」です。
これには、動産・不動産だけでなく、ペットなどの動物も含まれます。
器物損壊罪の行為は、「損壊」または「傷害」することです。
「損壊」というのは、物理的に壊す行為に限定されず、広く物本来の効用を失わしめる行為を含みます。
過去の裁判例では、他人の飲食器に放尿する行為(大判明42・4・16)、荷物から荷札をとりはずす行為(最判昭32・4・4)、公選法違反のポスターにシールを貼る行為(最決昭55・2・29)などが「損壊」に該当するとしています。
また、「傷害」は、客体が動物の場合に用いられます。
動物を物理的に殺傷する以外に、本来の効用を失わせる行為を含みます。
例えば、鳥かごを開けて他人の飼っていた鳥を逃がす行為や、池に飼育されている他人の鯉をいけすの柵を外して流出させる行為などです。
上記ケースのように、車の車体に傷がつけられた場合、その車を運転することはできますが、持ち主は傷がついた車に乗りたくはないでしょうし、その車を売りに出す際には、傷がついた車の価値は下がりますので、売値にも影響します。
ですので、Aさんは「他人の物を損壊した」と言えるでしょう。
しかし、もしAさんが過失で車に傷をつけた場合には、器物損壊罪は成立しません。
故意に、つまり、わざと他人の物を損壊した場合にのみ成立します。
Aさんは、この点、故意がありますので、器物損壊罪が成立するでしょう。
器物損壊事件における弁護活動~示談~
器物損壊罪は親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
告訴というのは、被害者自身やその親族などの告訴権者が、捜査機関に犯罪の事実を申告し、処罰を求める意思表示のことです。
ですので、器物損壊事件において、事件を穏便に解決するためには、被害者との示談を締結し、告訴しない旨や告訴をしている場合にはその取下げを約束してもらうことが重要です。
通常、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行います。
というのも、被害者との接触を避けるため、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えない場合も多いですし、被害者が加害者本人に直接会うことを拒否するなど、加害者が直接被害者と連絡がとれないというケースが多いからです。
また、被害者の連絡先を知っていたとしても、当事者同士では、感情論に発展し、なかなか交渉が進まないことも多々見受けられます。
そのような場合でも、弁護士限りであればと被害者が捜査機関に連絡先を教えることも多く、弁護士は、被害者の気持ちに配慮しつつ、加害者側の謝罪や反省の気持ちを伝え、示談をすることのメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、粘り強く示談締結に向けて交渉します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
所属弁護士は、これまで数多くの刑事事件を取り扱ってきており、その中で示談交渉を何度も行ってきております。
兵庫県三田市の器物損壊事件でお困りの方、被害者との示談交渉でお悩みの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
初回の法律相談:無料
問合せ先:フリーダイアル0120-631-881