Archive for the ‘性犯罪’ Category
痴漢事件で前科回避に動く弁護士
痴漢事件で前科回避に向けた弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
JR神戸線の姫路行快速電車に乗車していた会社員のAさんは、隣に座っていた若い女性の太ももを触るなどの痴漢行為を行いました。
垂水駅で下車したAさんは、後ろから誰かに声を掛けられ、振り返ると車内で隣に座っていた被害女性でした。
「痴漢しましたよね。一緒に来てください。」と腕を掴まれて、そのまま駅の事務室に連れていかれました。
その後、Aさんは兵庫県垂水警察署で取調べを受け、翌日に釈放されました。
Aさんは、自分の軽率な行為を反省しており、今回の事件で前科が付いてしまうのか心配しています。
(フィクションです)
前科について
刑事事件を起こし、被疑者となってしまった場合、必ずしも前科が付くわけではありません。
前に罪を犯して、有罪の判決を受けたことを「前科が付く」といいます。
前科の定義については、法律で定められたものがあるわけではありませんが、一般的には有罪判決を受けた事実を「前科」と理解されています。
このように、前科は、有罪判決を受けた場合に付くことになります。
有罪判決を受けたというのは、公開の法廷で審理を受け、裁判官から有罪判決の言い渡しを受けた場合に限らず、略式手続で略式命令を受けた場合も含みます。
前科が付くことによって生じる影響とは、以下のようなものが考えられます。
①再犯した場合に処分が重くなる
残念ながら、再び罪を犯してしまった場合、初犯としては扱われず、受ける処分が重くなることになります。
②資格が制限される
前科が付くことにより、ある一定の資格を取得すること、もしくは、資格を取得している場合には資格がはく奪されることがあります。
資格の種類や前科の内容によっては、必ず資格が取得できなくなったり、取り消されたりするようなものもあります。
例えば、弁護士は、執行猶予が付いていても禁固以上の刑に処せられた場合には、資格を取り消されることになります。
③海外への渡航が制限される
国によっては、前科を有していることが入国やビザの取得できないことがあります。
前科を回避するためには
上のような不利益が生じる前科を回避するには、不起訴を獲得することが重要です。
「不起訴」というのは、公訴を提起しないとする処分のことです。
不起訴処分には、①罪とならず、②嫌疑なし、③嫌疑不十分、④起訴猶予の種類があります。
不起訴となる場合の多くが、④の「起訴猶予」です。
起訴猶予は、被疑者が犯罪を犯したという証拠が十分あり起訴することも可能であるが、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の情況を考慮し、起訴する必要がないと判断され、不起訴となることです。
上のケースでは、Aさんは容疑を認めていますので、起訴猶予での不起訴の獲得を目指すことになるでしょう。
起訴猶予を獲得するためには、被疑者が反省していることや、被害者との示談が成立していることなどが重要なポイントとなります。
示談が成立することによって、被疑者の反省の態度を示すことにもなりますし、被害者との和解が成立しているとして被疑者にとって有利な材料にもなります。
示談交渉は、通常、弁護士を介して行います。
罪証隠滅の関係で、加害者が、警察から被害者の連絡先を教えてもらうことは稀ですし、被害者は加害者に対して怒りや恐怖の感を抱いていることが多いので、連絡先を教えることを拒否したり、連絡をとることができたとしても、感情的になり交渉がうまく進まないことが多いのです。
ですので、弁護士を介して冷静に交渉を行うことにより、当事者両方が納得のいく内容での合意締結が期待されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢事件も含めた刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
痴漢事件を起こしてお困りの方、示談交渉でお悩みの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
少年事件における示談
少年事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市東灘区に住むAくんは、市内の商業施設で盗撮行為を行ったとして、兵庫県東灘警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
その日の夜に釈放されたAくんですが、Aくんの両親は被害者の方にきちんと謝罪と被害弁償をしたいと考えています。
しかし、どのようにすればよいのか分からず、少年事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
示談とは
「示談」というのは、加害者が被害者に対して、相応の賠償を行う代わりに、被害者は被害届の提出を行わないなど、今回の事件については当事者間では解決したとする約束のことです。
多くの場合、被害者に対する賠償は金銭的なものとなります。
示談が成立している場合には、起訴・不起訴の判断をする検察官は、不起訴とする可能性が高いと言えます。
告訴権者からの告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」においては、被害者との示談が成立し、被害者から告訴されていなければ、検察官は起訴することはできませんので、この場合不起訴となります。
非親告罪においては、検察官は、被害者との示談が成立している場合であっても、起訴することはできます。
しかし、起訴・不起訴を判断する際に、被害者との示談成立の有無は考慮される要素のひとつですので、他の考慮要素と併せて検討した上で、不起訴とするケースは少なくありません。
また、起訴された場合であっても、被害者との示談成立は、被告人に有利な事情として裁判で主張することができ、量刑にも反映するものとなります。
このように、刑事事件において、被害者との示談が成立しているか否かといった点は、最終的な処分にも大きく影響することになりますので、非常に重要だと言えるでしょう。
少年事件における示談の効果
さて、成人の刑事事件における示談の効果について先述しましたが、少年事件の場合も同様の効果をもつのでしょうか。
少年事件においては、示談が成立したことが直ちに少年の処分に影響するということではありません。
しかしながら、被害者に誠実に対応し、被害者に謝罪・被害弁償を行うという経験が、少年自身の内省を深めるという場合があります。
この点、少年の更生に有利であることはもちろん、審判での審理対象でもある少年の要保護性の解消にもつながり、ひいては処分を決める際にも考慮される要素となります。
その意味で、少年事件においても、示談は重要であると言えるでしょう。
また、被害者感情が重要視される昨今では、家庭裁判所も被害弁償の有無や経緯には大きな関心を持っています。
そのため、早い段階から積極的に被害者との示談や被害弁償を試みる必要があるでしょう。
示談交渉は、一般的に、弁護士を介して行われます。
捜査機関が加害者に直接被害者の連絡先を教えることはあまりありませんし、事件で被害にあった被害者が加害者と直接連絡をとりたくないケースも少なくありません。
ですので、弁護士を通して示談交渉を行うほうが、交渉が円滑に進む場合が多いのです。
被害者との話し合いの状況や示談成立の見込みなどについては、随時、弁護士から裁判官に報告し、示談が成立した場合には速やかに示談書を提出し、示談成立の報告を行います。
そして、少年の反省の度合いや意識の変化、保護者の関与の度合い、示談に向けた努力の程度などについても報告し、少年の要保護性の解消につながる事情をしっかりと伝えます。
示談が成立しなかった場合であっても、被害者に対応するなかで、少年が内省を深めたことなどを伝えることが重要です。
このように、少年事件においては、単に示談が成立したか否かが重要なのではなく、被害者に対応する中で、如何に少年が事件や自身の問題を向き合い、被害者の気持ちを考え、自身の行為について反省することができたかが重要となります。
お子様が事件を起こしお困りの方は、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
監護者性交等と児童福祉法違反
監護者性交等と児童福祉法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市長田区に住むAさんは、Bさんと交際していました。
Bさんには、14歳の子供Vさんがいます。
Aさんは、Bさん親子と同居はしていませんでしたが、週末にはBさん宅で過ごすなど、Vさんとも仲良くしていました。
しかし、年頃になったVさんは、Aさんと肉体関係を持つようになりました。
Aさんは、何度もVさんとの関係を断ち切ろうとしましたが、ずるずると関係は継続していました。
二人の関係に気づいたBさんが、兵庫県長田警察署に相談しに行ったことで事件が発覚しました。
Aさんは、警察署から「Vさんとのことについて話が聞きたい。」と言われています。
(フィクションです)
監護者性交等と児童福祉法違反の違いについて
18歳未満の者と性交等をした場合、淫行条例や児童買春などの罪が成立する可能性があります。
しかし、児童と行為者の関係性によっては、その他の罪に問われることもあります。
(1)監護者性交等
まずは、児童と行為者が親子、もしくはそれに違い関係性にあった場合には、監護者性交等罪が成立する可能性があります。
監護者性交等罪は、平成29年の改正刑法により新設された罪です。
第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
監護者性交等罪は、
①18歳未満の者に対し、
②その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて
③性交等する
罪です。
犯行の主体は、「現に監護する者」で、18歳未満の者を現に監督し、保護している者です。
その典型例としては親権者があげられますが、親権者であっても、実際に監護している実態がなければ、該当しません。
一方、親権者のような法律上の監護権を有していないとしても、事実上、現に18歳未満の者を監督し、保護する者であれば、該当し得ることになります。
この点、18歳未満の者と行為者との関係性が問題となりますが、継続的な依存・被依存ないし保護・被保護の関係が認められることが必要となります。
具体的には、同居の有無、居住場所に関する指定等の状況、生活費の支出などの経済的状況、未成年者に関する諸手続等を行う状況、指導状況、身の回りの世話等の生活状況、そして、生活を共にしている期間の長さや生活を継続する可能性や意思が考慮されます。
一般的に、同居の親(養親)、同棲相手、子を引き取った親族は、「現に監護する者」に該当しやすいと言えます。
「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」とは、監護者が、被監護者の生活全般にわたって、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から、現に被監護者を監督し、保護することにより生ずる影響力を及ぼしている状態を意味します。
上のケースを検討すると、AさんとVさんとの関係性が、監護者と被監護者の関係にあったのかが問題となります。
AさんとVさんは、交際相手の子供と母親の交際相手という間からです。
AさんはVだんと同居してはおらず、週末Bさん宅で過ごすという生活を送っていました。
AさんとBさんが単なる交際関係ではなく、内縁の夫婦のような関係であり、生活費やVさんの学費などもAさんが負担していたり、Vさんに対して生活指導や身の回りの世話をしていたのであれば、Aさんの監護者としての地位が認められる可能性はあるでしょう。
しかし、Aさんが監護者に該当しない場合は、監護者性交等罪は成立しません。
(2)児童福祉法違反
監護者性交等に該当しない場合でも、児童福祉法違反(児童に淫行させる行為)に当たる可能性があります。
三十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
(略)...
六 児童に淫行をさせる行為
監護者性交等とは異なり、犯行の主体には制限がありません。
ここでいう「淫行」とは、児童(18歳未満)の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいい、児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は「淫行」に含まれます。
また、「させる行為」とは、児童に働きかけて淫行をするように仕向ける行為をいいますが、直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為も含みます。
そのような行為に当たるか否かは、行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断されます。
「させる」とありますが、自己を相手に性交等させる行為も含まれます。
AさんとVさんとの関係性を検討した結果、Vさんに対して事実上の影響力を行使して、VさんがAさんと性交をすることを助長し促進したと判断されれば、児童福祉法違反に該当するでしょう。
本罪の法定刑は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金です。
児童と行為者の関係性から、監護者性交等にも児童福祉法違反にも該当しない場合には、淫行条例違反や児童買春罪が成立する余地はあるでしょう。
監護者性交等や児童福祉法違反は、その法定刑も重いため、見込まれる処分も厳しいものとなる可能性があります。
監護者性交等や児童福祉法違反で被疑者となり対応のお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
児童ポルノ提供で書類送検
児童ポルノ提供で書類送検された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県南あわじ市に住む高校生のAさんは、同じ学校に通うVさんの性的な動画をLINEを通して他人に提供したとして、兵庫県南あわじ警察署に児童ポルノ提供の容疑で取り調べを受けました。
問題の動画は、Vさんの元交際相手が撮影したものですが、この交際相手からAさんは動画を入手し、遊び半分で同級生の何人かに動画をLINEで送っていました。
Aさんは、遊びのつもりでしたが警察沙汰となってしまったことを非常に不安に思っています。
警察からは、「身体不拘束のまま事件を検察に送る。その後、事件は家庭裁判所に送られることになる。また、関係機関から連絡が行くだろう。」と言われました。
AさんとAさんの両親は、今後の対応について少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
児童ポルノ提供罪
平成11年に制定・施行された「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春・児童ポルノ処罰法」といいます。)は、児童買春、児童ポルノ及び児童売春に係る行為等を処罰することとしています。
このうち、児童ポルノに係る行為については、次の行為を処罰の対象としています。
(1)児童ポルノ所持
対象行為:自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持する行為、これに係る電磁的記録を保管する行為。
法定刑:1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
(2)児童ポルノ提供
対象行為:児童ポルノを提供する行為。
法定刑:3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
(3)児童ポルノ提供目的の製造・所持・運搬・輸入・輸出
対象行為:児童ポルノを提供する目的で、製造、所持、運搬、日本への輸入、日本からの輸出する行為。
法定刑:3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
(4)児童ポルノ製造
対象行為:児童ポルノを単純に製造する行為。
法定刑:3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
(5)盗撮による児童ポルノ製造
対象行為:盗撮によって児童ポルノを製造する行為。
法定刑:3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
(6)不特定多数の者への児童ポルノ提供・公然陳列
不特定もしくは多数の者に、児童ぽるのを提供したり、公然と陳列する行為。
法定刑:5年以下の懲役または500万円以下の罰金または併科。
(7)不特定多数の者への提供・公然陳列目的での児童ポルノ製造・所持・運搬・輸入・輸出
対象行為:不特定もしくは多数の者に提供または公然と陳列する目的で、児童ポルノを製造、所持、運搬、日本への輸入、日本から輸出する行為。
法定刑:5年以下の懲役または500万円以下の罰金または併科。
(8)不特定多数の者への提供・公然陳列目的での児童ポルノ輸出入
対象行為:不特定もしくは多数の者に提供または公然と陳列する目的で、児童ポルノを輸入または輸出する行為。
法定刑:5年以下の懲役または500万円以下の罰金または併科。
児童買春・児童ポルノ処罰法において規制される「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、①児童を相手方とする、または、児童による性交または性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの、②他人が児童の性器等を触る行為または児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させまたは刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの、③衣服の全部または一部を着けない児童であって、殊更に児童の性的な部位が露出され、または強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したものをいいます。
上のケースで問題となっているのは、Vさんの性的な動画です。
Vさんは18歳未満であり、元交際相手との性交の様子やVさんの裸の様子が撮られた動画だとすれば、児童買春・児童ポルノ処罰法で規制される「児童ポルノ」に該当することになります。
さて、そのような児童ポルノを特定の少人数にLINEで送った場合には、上の(2)児童ポルノ提供が成立する可能性があります。
ここでいう「提供」とは、問題の児童ポルノまたは電磁的記録その他の記録を相手方において利用することができる状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいいます。
必ずしも相手方が実際受領することまで必要とされません。
LINEで児童ポルノの動画を送信し、受信者が見れるような状態にすることは、「提供」に該当します。
なお、提供が不特定または多数の者に対するものである場合には、法定刑は加重されます。
LINEで個々人に送信するのではなく、誰でも自由に閲覧できるようなネット上の掲示板に児童ポルノを投稿した場合などは、不特定多数人への提供となるでしょう。
このように、Aさんの行為は、児童ポルノ提供罪に当たる可能性があります。
遊び半分で行った行為であっても、罪が成立することもあります。
Aさんは、20歳未満であるため、基本的には家庭裁判所が処分を決めることになります。
警察に逮捕されない場合でも、家庭裁判所送致は免れませんので、捜査段階から少年の更生のためにきちんと環境調整を行う必要があります。
お子様が事件を起こし、対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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児童売春でぐ犯事件
児童売春をしぐ犯事件として家庭裁判所に送致される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県三木市に住むAさん(16歳)は、高校に進学したものの、夏休みに入り無断外泊を繰り返し、2学期に入ってからは家出を繰り返すようになりました。
その間、知人の男性を通じて、児童売春をしていました。
ある日、Aさんが深夜に繁華街にいたところ、警ら中の兵庫県生田警察署の警察官に声を掛けられ、補導されました。
警察官から話を聞かれる中で、Aさんが家出をしていることや、売春をしていることも発覚しました。
その後、何度か警察署で話を聞かれた後に、Aさんは警察官から「神戸家庭裁判所に送致するから、また裁判所から連絡がある。」と言われました。
AさんとAさんの両親は、今後どのような流れになるのか分からず心配しています。
(フィクションです)
児童売春について
児童買春は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春規制法」といいます。)で禁止されており、違反した者に対する刑事罰が定められています。
児童買春規制法における「児童買春」とは、児童(18歳未満の者)、児童に対する性交等の周旋をした者、または、児童の保護者または児童をその支配下に置いている者に対して、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、または自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせること。)をすることをいいます。(児童買春規制法第2条2項)
つまり、児童と金銭等を渡し、または渡す約束をして性交等をする行為を禁止しており、それに違反した者には、5年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
その他、児童買春を周旋したり勧誘したりする行為も処罰の対象となっています。
一方、売春した児童については、処罰の対象とはなっていません。
買春の相手方となった児童は、児童買春規制法において保護の対象となります。
つまり、売春をしたことに自体について罪に問われることはありません。
しかしながら、このような場合であっても家庭裁判所が保護事件として事件を受理する可能性はあります。
家庭裁判所が少年事件として取り扱うものには、主に次のような少年の事件です。
①犯罪少年
罪を犯した14歳以上20歳未満の少年。
②触法少年
刑罰法令に触れる行為をしたが、行為時において14歳未満であったので法律上罪を犯したことにならない少年。
③ぐ犯少年
20歳未満で、保護者の正当な監督に従わないなどの不良行為があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある少年。
Aさんは、売春をしていましたが、これ自体は罪になりません。
しかし、家出を繰り返していることなどから、③のぐ犯少年として事件が家庭裁判所に送致される可能性はあります。
ぐ犯少年について
前述しましたが、ぐ犯少年とは、少年法第3条1項3号イないしニに定められている一定の事由(ぐ犯事由」)があって、その性格または環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれ(「ぐ犯性」)のある少年のことをいいます。
ぐ犯事由は、次の4つです。
(1)保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
(2)正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
(3)犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること。
(4)自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
Aさんの場合、家出を繰り返していますので、ぐ犯事由の(1)や(2)に該当することが考えられます。
また、売春をしていたことで、性的悪癖や人格を損なうみだらな行為など、社会的倫理的通念に反する行為を自ら行い行動傾向があるとして、ぐ犯事由の(4)に該当すると判断される可能性もあります。
ぐ犯事由があり、かつぐ犯性も認められる場合には、ぐ犯が成立することになります。
ぐ犯少年として家庭裁判所に送致されると、犯罪少年の場合と同様の手続となります。
観護措置の必要があれば観護措置がとられ、少年鑑別所での心身鑑別と家庭裁判所調査官による調査が行われ、審判を経て決定が言い渡されます。
このように、罪を犯していない場合であっても、ぐ犯少年として家庭裁判所に送致されることもあります。
お子様がぐ犯少年として家庭裁判所に送致されて対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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盗撮事件で早期釈放!
盗撮事件で早期釈放を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市垂水区の大型スーパーマーケットの店内で、女性客のスカート内にスマートフォンを差し入れ、盗撮をしたとして、兵庫県垂水警察署は、市内に住む会社員のAさんを迷惑防止条例違反の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさん家族は、会社に発覚する前になんとか釈放にならないかと、刑事事件に強い弁護士に弁護活動を依頼しました。
(フィクションです)
盗撮事件で逮捕されたら
盗撮事件で逮捕されるケースには、その場で現行犯逮捕されるものと、防犯カメラなどから身元が割り出され、後に通常逮捕されるものとがあります。
盗撮行為を被害者や通行人などに目撃され、その場で犯人が取り押さえられる場合が少なくありません。
もし、あなたが盗撮事件を起こし、逮捕されたとしたら、逮捕後の流れは以下のようになります。
①逮捕から48時間以内に、警察はあなたを釈放する、もしくは、検察に証拠や関係書類と共に送致します。
②あなたが検察に送致された場合、検察はあなたの身柄を受けてから24時間以内に、あなたを釈放する、もしくは、あなたの身柄をさらに拘束するよう裁判官に請求します。(これを「勾留請求」といいます。)
③検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、逮捕に引き続き更にあなたの身体を拘束すべきか否かを判断します。
④裁判官が勾留を決めた場合、検察官が勾留請求した日から10日間、勾留延長が認められれば最大で20日間あなたの身柄が拘束されることになります。
勾留となれば、逮捕から最大で23日もの間留置施設で過ごすことになります。
そうなれば、会社や学校に行くことはできません。
長期の欠席・欠勤が続けば、退学や懲戒解雇となる可能性が高まります。
そのような事態を回避するためにも、早期に弁護士に相談し、釈放に向けて活動することが重要です。
盗撮事件での早期釈放に向けた活動
「勾留」とは、被疑者または被告人の身体の自由を拘束する裁判とその執行のことをいいます。
勾留は、起訴される前の被疑者段階での勾留(被疑者勾留)と起訴された後の勾留(被告人勾留)に分けられ、ここでは、前者について概観していきます。
勾留は、①勾留の理由、および②勾留の必要性があると判断された場合に決定されます。
「勾留の理由」とは、(ア)被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、(イ)住所不定、罪証隠滅・逃亡のおそれのいづれかがあることをいいます。
「勾留の必要性」は、事案の軽重、捜査の進展の程度、被疑者の年齢・身体の状況等から判断した勾留の相当性を意味します。
勾留を阻止するためには、検察官が勾留請求をする前、そして、裁判官が勾留を決定する前に、当該被疑者は勾留の要件に該当しない旨を主張し、勾留請求をしないよう、勾留の決定をしないよう関係機関に働きかける必要があります。
兵庫県であれば、1日で検察への送致から勾留決定まで行われます。
そのため、迅速に対応する必要があります。
刑事事件はスピードが重要です。
ご家族やご友人が刑事事件を起こし逮捕されてしまった場合には、すぐに刑事事件に精通する弁護士にご相談・ご依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
児童と性交類似行為に及んだ場合
児童と性交類似行為に及んだ場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース①~
会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った高校生のVさん(16歳)とカラオケに行きました。
Vさんは「家出中なので、しばらく家に泊めてほしい。そうしてくれるなら、口ならいいよ。」と言われ、口淫に及びました。
その後、Aさんは2日間、Vさんを自宅に泊めました。
(フィクションです)
~ケース②~
会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った高校生のVさん(16歳)とカラオケに行きました。
Aさんは、Vさんと話をしているうちに劣情を催し、Vさんに口淫をするように頼むと、Vさんが応じたため、口淫に及びました。
(フィクションです)
児童と性交類似行為に及んだ場合に成立する罪とは?
18歳未満の者(以下、「児童」といいます。)との性交や性交類似行為をする場合、その対価として現金等を渡すケースが少なくありません。
対価の提供やその約束がある場合には、児童買春に該当することになります。
しかし、そのような対価がない場合には、各都道府県が規定する条例違反が成立します。
1.児童買春
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春法」といいます。)は、児童買春を禁じ、違反者に対して5年以下の懲役または300万円以下の罰金を科すものとしています。
児童買春法における「児童買春」というのは、児童、児童に対する性交等を周旋した者、または児童の保護者に対して、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることと定義しています。(児童買春法2条2項)
「性交等」には、性交、性交類似行為、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触る若しくは児童に自己の性器等を触らせる行為をいいます。
性交類似行為には、手淫、口淫などが含まれます。
2.兵庫県青少年愛護条例違反
各都道府県において、18歳未満の者とのみだらな性交・性交類似行為を禁止する内容の条例が制定されています。
兵庫県では、「青少年愛護条例」において、その21条は、青少年(=18歳未満の者)とのみだらな性行為等を禁止しています。
青少年との性交等一切を禁止したものではなく、「みだらな」と限定されており、18歳未満の者を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不正な手段により行うものや、単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしかみえないようなものについて禁止しています。
そのため、真摯な交際中の場合、例えば、親公認であったり、性交に至るまで相当の期間があった場合などは、「みだらな」とは言えず、条例違反に当たらないことがあります。
児童買春、条例違反ともに、18歳未満の者に対し、みだらな性交や性交類似行為等を行うことを禁止する点でおおむね共通しています。
両者の違いは、性交等に対する対価を与えたか、もしくは対価を与える約束をしたか否か、です。
対価の供与や対価供与の約束をした場合には、児童買春にあたることになりますが、「対価」とはどういったものをいうのでしょうか。
「対価」は、児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益を供与する、又は、その約束をすることです。
現金を渡すほかにも、食事を御馳走することや、プレゼントを渡すこと、親の雇用を約束することなどが対価に当たります。
ケース①の場合、Vさんを自宅に泊める代わりに口淫していますし、行為後、実際にVさんを自宅に泊めています。
自宅に泊めることも、口淫したことへの反対給付としての経済的利益の供与に当たります。
よって、Aさんは、児童買春の罪責を負うものと考えられます。
一方、ケース②では、出会い系サイトで知り合ったVさんと、交際も経ずに性交類似行為を行っています。
よって、Aさんは、条例違反の罪責を負うことになります。
どちらのケースも、AさんがVさんを18歳未満だと分かっていながら行為に及んだことが前提です。
Vさんが、偽造の免許証を提示するなど、年齢を18歳以上と偽っており、Aさんも誤信したことに過失がない場合は、犯罪が成立しないことになります。
ただし、「相手が18歳以上と言ったから信じた」というだけでは足らず、身分証明書を見せてもらうなどして相手の年齢を確認する必要があります。
このように、児童と性交類似行為に及んだ場合には犯罪が成立する可能性があります。
児童買春事件や条例違反事件でお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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兵庫県青少年愛護条例違反事件が発覚
兵庫県青少年愛護条例違反事件が発覚するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った16歳の高校生と何回か性交しました。
ある時、相手の父親と名乗るものから連絡があり、「娘との関係について、警察に相談しました。あなたも大人としてしっかり対応してください。」と言われました。
いきなりの連絡に驚いたAさんでしたが、すばらくすると兵庫県宍粟警察署から話が聞きたいから出頭するようにとの連絡を受けました。
困ったAさんは、出頭する前に、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
兵庫県青少年愛護条例違反事件について
全国の地方公共団体は、青少年保護育成とその環境整備を目的とした条例を公布しています。
この条例は、「青少年保護育成条例」や、「青少年健全育成条例」などと呼ばれ、地方公共団体によって正式名称に多少の違いはあります。
兵庫県は、「青少年愛護条例」を制定しています。
本条例は、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある営業等の制限や行為の禁止等について定めています。
ここでは、青少年愛護条例違反となるもののうち、弊所の法律相談で取り扱うことが多い違反行為について解説します。
(1)みだらな性行為等の禁止違反
第21条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
いわゆる「淫行条例」です。
暴行や脅迫を用いずとも、また、金銭のやり取りがなくても、18歳未満の者と性交等をした場合に成立し得る罪です。
どういった行為が「みだらな性行為・わいせつな行為」にあたるのか、という点については、福岡県青少年保護育成条例違反事件ではありますが、「淫行」の内容についての解釈を明らかにした最高裁判例が参考となります。
『…「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。…』(最高裁判所大法廷、昭和60年10月23日)
このように、淫行条例は、青少年との性行為すべてを禁止としているのではなく、「淫行」、つまり、みだらな性行為を禁止対象としているのです。
ですので、婚約中の青少年またはこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上処罰対象とするのは考え難い場合は、淫行条例違反には当たりません。
しかしながら、単に「真剣に付き合ってました!」と主張するだけでは、淫行ではなく真摯な交際の上での性行為であったことは認められないでしょう。
淫行にあたるか否かは、当事者それぞれの年齢、性交渉に至る経緯、その他両者の付合いの態様等の諸事情に照らして判断されます。
淫行条例違反に対する罰則は、1項については2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。2項については30万円以下の罰金または科料です。
(2)児童ポルノ等の提供の求めの禁止
第21条の3 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
青少年の自画撮りによる被害が多いことを受け、平成30年4月1日に条例改正に伴い、児童ポルノ自画撮り勧誘行為の禁止が新設されました。
条例は、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノや電磁的記録等を提供するよう求める行為を禁止するとともに、欺き、威迫し又は困惑させる方法や、青少年に対し、財産上の利益を供与し又はその供与の申し込み若しくは約束をする方法により提供を求めた者に対し罰則を科しています。
単に、青少年に裸の写メを送るように頼んだだけでは、条例違反とはなるものの、頼み方が、青少年を騙したり、脅したり、困惑させるようなものだった場合や、お金やプレゼントをあげる代わりに裸の写メを送るように頼んだのであれば、30万円以下の罰金または科料が科される可能性があります。
これらの兵庫県青少年愛護条例違反が警察などの捜査機関に発覚する経緯としては、主に以下のような場合です。
①被害児童やその保護者からの被害申告
被害児童が親に事件のことを相談したり、親が被害児童のスマートフォンを見たことで事件が親にバレ、親と一緒に警察に相談しに行き、被害届を提出するケースは少なくありません。
②被害児童が別件で補導・逮捕されて発覚
被害児童が、本件とは別の事件を起こして、警察に補導や逮捕された際に、所持していたスマートフォンを調べられて、相手とのやりとりが見つかるということもあります。
③一緒に居るところを警察に職務質問されて発覚
淫行条例違反事件では、被害児童と一緒に繁華街などでいるところを警ら中の警察官に発見され、職務質問を受けて事件が発覚することもあります。
どの経緯であれ、捜査機関に事件が発覚した場合、捜査が開始されることになります。
捜査を行う上で、被疑者の身柄確保の必要性ありと判断されれば、逮捕の可能性もあります。
兵庫県青少年愛護条例違反事件を起こし、事件が捜査機関に発覚して対応にお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件の手続について~家庭裁判所送致後~
少年事件の手続(家庭裁判所送致後)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県美方郡香美町に住む中学生のAくん(14歳)は、路上で帰宅途中の女児の身体を触るなどした疑いで兵庫県美方警察署に逮捕されました。
逮捕後、勾留されずに釈放となりましたが、家庭裁判所に送致された後に身体拘束される可能性もあると警察から聞いて心配になったAくんの両親は、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
前回は、少年事件の捜査段階の手続について説明しました。
今回は、家庭裁判所に送致された後の手続についてみていきましょう。
家庭裁判所への送致
家庭裁判所が事件を受理する経路は、関係機関からの送致と通告があります。
ここでは、送致の経路についてみていきます。
①検察官からの送致
検察官は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると考えるとき、および、犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があるときには、少年の被疑事件について家庭裁判所に送致しなければなりません。
②警察(司法警察員)からの送致
(a)犯罪少年の場合
司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑に当たる犯罪の嫌疑があると考えるときは、事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
これを「直送」と呼んでいます。
(b)虞犯少年の場合
少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑はないものの家庭裁判所の審判に付すべき事由があると考えるときは、事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
③都道府県知事または児童相談所長からの送致
触法少年や14歳未満の虞犯少年については、都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときに限り、家庭裁判所の審判に付することができます。
触法少年に対する調査が警察により実施された事件については、調査の結果、事件が警察から児童相談所長に送致された場合には、都道府県知事または児童相談所長は原則事件を家庭裁判所に送致します。
④簡易送致
司法警察員が捜査した少年事件で、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因および動機、少年の性格、行状、家庭の状況や環境などから見て再犯のおそれがなく、刑事処分や保護処分を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官や家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、少年ごとに少年事件簡易送致書と捜査報告書を作成し、これを身上調査票などの関係書類を添付して、1か月にまとめて検察官または家庭裁判所に送致する処理手続があります。
簡易送致の対象となるのは、窃盗、詐欺、横領、盗品等に関する罪、その他長期3年以下の懲役もしくは禁錮、罰金、拘留、科料に当たる罪であって、被害額がおおむね1万円未満といった法益侵害が極めて軽微なものとされます。
観護措置について
さて、家庭裁判所が事件を受理すると、事件が家庭裁判所に係属している間はいつでも、家庭裁判所は「観護措置」をとることができます。
観護措置は、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。
捜査段階で、逮捕・勾留されている少年が家庭裁判所に送致された場合、家庭裁判所に到着してから24時間以内に、家庭裁判所は観護措置をとるか否かの決定をしなければなりません。
実務上、捜査段階で逮捕・勾留されていた少年については、家庭裁判所に送致されると、引き続き少年鑑別所に収容する観護措置がとられることが多くなっています。
観護措置の要件は、以下の通りです。
①事件の係属
事件が観護措置をとる家庭裁判所に係属していること。
②審判条件
審判条件が満たされていること。
③審判に付すべき事由があることの蓋然性
審判に付すべき事由(非行事実・ぐ犯事由等)が認められることの蓋然性がある。
④審判開始決定を行う蓋然性
審判開始が見込まれる事件であること。
⑤観護措置の必要性
次のいずれかが認められることが必要。
(ア)身柄確保の必要性
住所不定または逃亡のおそれがあるなど、少年の出頭を確保する必要がある場合や、証拠隠滅のおそれがあり、証拠保全のためには必要である場合。
(イ)緊急保護のための暫定的身柄確保の必要性
自殺や自傷のおそれがある場合、家族から虐待を受けている場合、暴力団などの反社会的活動を行う集団の悪影響から保護する必要がある場合など。
(ウ)収容鑑別を実施する必要性
少年の心身の状況や性格傾向などを考慮し、継続的な行動観察や外界と遮断された環境で鑑別する必要がある場合。
以上のような要件を満たし、観護措置がとられた場合、原則2週間、実務上は4週間少年鑑別所に収容されることとなります。
観護措置は長期間の収容となるため、少年は学校や職場を休まざるを得ず、後の生活に大きな影響を及ぼしかねません。
そのため、付添人である弁護士は、家庭裁判所が観護措置を決定する前に、観護措置をとらなうよう意見書を提出したり、裁判官と面談するなどし、観護措置回避に向けて動きます。
逮捕・勾留により捜査段階から身体拘束を受けている場合には、事件が家庭裁判所に送致されたタイミングで、意見書を提出し、裁判官が少年と面談する前に少年が抱える事情を考慮してもらう必要があります。
また、捜査段階で身体拘束を受けていない場合でも、事件内容や少年の性格等から観護措置をとる必要があると判断されるケースもありますので、この場合も事件が家庭裁判所に送致された段階で、観護措置をとらないよう説得的に主張する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
少年事件でお困りであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください
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痴漢事件で勾留に対する準抗告認容で釈放
痴漢事件で勾留に対する準抗告認容で釈放される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
酒に酔った会社員のAさんは、兵庫県加古郡播磨町の路上で、女性のお尻を服の上から触るなどし、通報を受けて駆け付けた兵庫県加古川警察署に逮捕されました。
警察署に連行されたAさんは、酔いが冷め、真摯に反省しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、すぐに釈放されるのか不安でたまりません。
(フィクションです)
痴漢事件で逮捕された場合の流れ
痴漢事件で逮捕された場合、通常の刑事事件と同じ流れとなります。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、または証拠物や関係書類と共に被疑者の身柄を検察庁に送致します。
被疑者の身柄を受けた検察庁は、身柄を受けてから24時間以内に、担当検察官が被疑者の取調べを行った上で、被疑者を釈放するか、それとも当該被疑者に関して勾留請求を行います。
検察官が勾留請求をした場合、今度は被疑者の身柄は裁判所に移り、裁判官と面談します。
その後、裁判官は当該被疑者を勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となります。
兵庫県では、通常、警察から検察庁に送致された日に、勾留まで決定してしまいます。
つまり、たった一日で勾留が付くかどうかが決まってしまうのです。
勾留となれば、長期間身柄が拘束されることになり、その間学校や会社には行くことができません。
ですので、事件が学校・会社に発覚し、退学や懲戒解雇となる可能性が高くなってしまいます。
痴漢事件で逮捕された場合の身柄解放活動
長期間の身体拘束を回避するため、弁護士は以下のような身柄解放活動を行います。
(1)勾留決定前
勾留が決定する前の段階においては、検察官や裁判官に対して、勾留をしないよう働きかけます。
具体的には、警察から検察庁に被疑者の身柄が送致された段階で、担当検察官に対して、勾留の要件を充たさないことを主張し、当該被疑者について勾留請求を行わないよう、意見書を提出するなどして働きかけます。
検察官が勾留請求した場合には、今度は勾留状を発付する裁判官に対して、被疑者に対して勾留しないよう意見書を出します。
これらの働きかけは、あくまでお願いという形ですが、検察官や裁判官が把握していない被疑者に有利な事情などを提示することで、勾留の要件を充たさないとして検察官が勾留請求をしない、若しくは裁判官が検察官の勾留請求を却下する可能性も十分あります。
(2)勾留決定後
勾留が決定してしまった後でも、勾留という裁判に対する不服申し立てを行うことができます。
これを勾留に対する「準抗告」といいます。
準抗告は、身柄拘束や接見に関する処分、証人や通訳人の費用負担など裁判官による裁判(決定)に対する不服申立手続で、法律で被疑者や弁護人に認められているものです。
勾留は、1人の裁判官によってなされますが、準抗告についての判断については、勾留決定をしていない3人の裁判官によってなされます。
準抗告を申し立てる場合も、勾留の要件を充たさないことを主張する必要があります。
・罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること。
・定まった住居を有しないこと。
・罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること。
・逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること。
加えて、上のような理由がある場合でも、被疑者を勾留する利益と、これにより被る被疑者の不利益を比較衡量した結果、被疑者を勾留する必要があることが求められます。
容疑を認めている場合には、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことに加え、勾留することにより被る被疑者の不利益が著しいことから、勾留の要件を充たしていないと主張することになります。
例えば、被疑者と被害者の接点がなく、被疑者が被害者に供述を変えるよう迫る可能性がないこと、家族の監視が期待でき、家族も仕事もあるので逃亡する可能性はないこと、勾留されることで仕事を失い、家族の生活に支障をきたすおそれがあることなどを述べます。
勾留に対する準抗告が認容されれば、被疑者は釈放されます。
釈放される時期が早ければ早いほど、早期に社会復帰することができ、退学や懲戒解雇といった不利益を回避する可能性を高めることができます。
ご家族が痴漢事件で逮捕され、早期釈放とならないか心配されているのであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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