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痴漢事件で逮捕されたら
痴漢事件で逮捕されたら
痴漢事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県西宮市にある学校に通う高校生のAくんは、通学で利用する電車で女子高生の臀部を触ったとして、兵庫県西宮警察署に迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
電車を降りようとした際に、女子高生に「お尻触りましたよね」と言われ、怖くなったAくんは、そのまま足早にホームから改札口に向かって逃げました。
被害者の証言や防犯カメラの映像から身元が特定されたようです。
Aくんの両親は、Aくんの早期身柄解放を希望しており、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
迷惑防止条例違反の痴漢事件
兵庫県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(通称、迷惑防止条例)は、ダフ屋行為、ショバ屋行為、景品買い行為、粗暴行為、押売行為、不当客引き行為、かたり行為、行楽地等の危険行為などの他に、痴漢行為や盗撮行為、ストーカー規制法では処罰できないつきまとい行為などを取り締まりの対象としています。
弊所に相談に来られる方で、最も多い相談内容のひとつが「痴漢行為」です。
痴漢行為は、その態様により、刑法上の強制わいせつ罪に問われることもあり得ますが、ほとんどの場合は、わいせつとまではいえないケースで、迷惑防止条例違反として処理されます。
兵庫県の迷惑防止条例では、「卑わいな行為等の禁止」と題して、以下のように規定されています。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
痴漢行為が問題となるのは、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」です。
「不安を覚えさせるような」とは、卑わいな言動によって身体に対する危険を感じさせ、あるいは心理的圧迫を与えることをいい、脅迫に至らないものをいいます。
行為者の言動が、客観的に、他人を不安を覚えさせるようなもので足り、現実に他人に不安を覚えさせることは必要となりません。
「卑わいな言動」というのは、一般人の性的道義観念に反し、他人に性的羞恥心、嫌悪を覚えさせ、又は不安を覚えさせるようないやらしくみだらな言語、動作をいいます。
この「卑わいな言動」の中には、刑法第174条の「わいせつな行為」も含まれ、「卑わいな言動」は「わいせつな行為」よりも広いと解されます。
また、迷惑防止条例は、このような「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」は、「公共の場所又は公共の乗物」において行われることを規制対象としています。
「公共の場所」とは、不特定かつ多数が自由に利用し、又は出入りすることができる場所をいいます。
道路、公園、広場、駅、桟橋、ふ頭、デパート、飲食店、興行場なども公共の場所に含まれます。
「公共の乗物」は、電車や乗り合いバス、船舶、航空機その他不特定多数の者が利用するための乗物を指します。
痴漢事件で逮捕されたら
痴漢で逮捕されると、逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも被疑者の身柄を検察に送るかを判断します。
警察から検察に送致された場合、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は被疑者を釈放するか、あるいは裁判官に対して勾留請求を行うかを決めます。
被疑者を勾留する必要があるとし、裁判官に対して勾留請求を行うと、勾留請求を受けた裁判官は、被疑者を勾留するか、それとも釈放するかを決定します。
勾留決定がなされると、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長されれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
被疑者が少年の場合には、基本的に成人の刑事事件と同じ流れとなりますが、勾留に代わる観護措置がとられる場合があります。
勾留に代わる観護措置は、留置場所が警察署から少年鑑別所になり、期間も10日と延長はありません。
しかし、勾留に代わる観護措置がとられた場合、その後家庭裁判所に送致されると、当然に観護措置がとられ、逮捕から審判終了までの約1か月半もの間身柄が拘束されることになる点に注意が必要です。
このように、逮捕されるとあっという間に勾留となり長期間の身体拘束を余儀なくされてしまう可能性があります。
刑事事件は、迅速に対応する必要がありますので、身柄解放をお望みであれば、できる限り早い段階から弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
お子様が痴漢で逮捕されてしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
いますぐ、フリーダイヤル0120-631-881までお電話を!
殺人罪と傷害致死罪②
殺人罪と傷害致死罪②
殺人罪と傷害致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川辺郡猪名川町にある介護付き有料老人ホームから、入居者Vさんの意識がないと119番の通報が施設職員から入りました。
通報を受けて駆け付けた救急車で、Vさんは病院に搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました。
死因は、腹腔内の多発損傷による出血性ショックと診断され、兵庫県川西察署は、Vさんは何者かに暴行を受け殺されたのではないかと捜査に着手しました。
防犯カメラの映像から、事件直前にVさんの部屋に入る施設職員Aさんの姿が確認されたため、警察署はAさんを殺人容疑で逮捕しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
殺人罪と傷害致死罪の違いについて
殺人罪と傷害致死罪は、どちらも結果として被害者を死亡させてしまったという点で同じです。
しかし、両罪は、「殺すつもり」で暴行を働いたのか、つまり、殺意があったのか否かという点で異なります。
まずは、殺人罪についてみていきましょう。
殺人罪
刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
「人」が本罪の客体となりますので、人以外の動物を殺しても、殺人罪とはなりません。
ここでいう「人」の意義が問題となるのですが、人の出生・死亡をどの段階で線引きするか、という点で幾つかの見解が主張されています。
まず、人の出生についてですが、胎児が母体から一部露出した時点で人となると考える「一部露出説」が判例・通説となっています。
一方、人の終期については、人の終期は死亡であり、死亡後は死体であって生命・身体に対する罪の客体とはなりません。
死亡の判断については、争いがありますが、脈拍と自発呼吸が不可逆的に停止し、瞳孔が散大したこととを総合して人の死亡を判断する総合判断説が従来の通説とされていますが、近年医療技術の発展により、脳の機能が失われても心臓を動かしつづけることが可能となったため、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した時点を人の死とする脳死説も有力となっています。
本罪の行為である「殺」すとは、自然の死期以前に人の生命を断絶する行為のことで、その手段・方法のいかんを問いません。
そして、本罪が成立するためには「殺意」があったことが必要となります。
殺意には、「人の死亡という結果発生に対する認識・容認」が必要であると理解されています。
「認識」というのは、人が死亡する可能性、蓋然性、確実性を予見することを意味し、「認容」とは、人が死亡してもよい、あるいは死亡するかもしれないがそれでも構わない、やむを得ないとすることです。
客体が「人」であることを認識していたこと、及び、自分の行為によって死の結果が発生するおそれがあることを認識しながらも、その行為に出た場合、殺意が認められることになります。
この故意は、未必的なものでも、条件付きのものであってもかまいません。
上記のケースにおいて、Aさんが「殺してやる!死んでしまえ!」と思って首を絞めた場合のみならず、「死んでしまうかもしれないが、かまわない」と思って行為に及んだ場合にも殺意が認められるのです。
殺意が認められるには、結果の発生に対する認識・容認が必要であるため、凶器の種類、行為態様、創傷の部位・程度等の客観的な事情を重視しつつ、動機の有無や犯行前・犯行時の言動、犯行後の行動等など要素を総合的に考慮して判断されます。
それでは、次に傷害致死罪についてみていきましょう。
傷害致死罪
刑法第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
傷害致死罪は、傷害罪の結果的加重犯であるので、傷害を受けた人が死亡したときに成立する犯罪です。
本罪は、殺意は不要ですが、「暴行の故意」または「傷害の故意」が必要となります。
しかし、死亡結果について「予見可能性(過失)」を必要とするかには争いがあり、判例はこれを不要としています。
このように、結果的に人を死亡させてしまったとしても、「殺意」が認められなかった場合には、殺人罪や殺人未遂罪は成立しません。
量刑も殺人罪と傷害致死罪では大きく異なります。
殺人の容疑で捜査されている場合、犯行当時に被害者を殺す意志が無かったことを客観的な証拠をもって説得的に主張していかなければなりません。
殺人の容疑がかけられていたとしても、殺意が認められなければ殺人未遂罪は成立せず、刑が軽い傷害罪として成立することもあります。
もし、あなたやあなたの家族が殺人罪で捜査・起訴されてお困りであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
刑事事件でお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡を!
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
殺人罪と傷害致死罪①
殺人罪と傷害致死罪①
殺人罪や傷害致死罪といった犯罪が成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川辺郡猪名川町にある介護付き有料老人ホームから、入居者Vさんの意識がないと119番の通報が施設職員から入りました。
通報を受けて駆け付けた救急車で、Vさんは病院に搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました。
死因は、腹腔内の多発損傷による出血性ショックと診断され、兵庫県川西察署は、Vさんは何者かに暴行を受け殺されたのではないかと捜査に着手しました。
防犯カメラの映像から、事件直前にVさんの部屋に入る施設職員Aさんの姿が確認されたため、警察署はAさんを殺人容疑で逮捕しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
犯罪が成立する場合
犯罪が成立するためには、
①構成要件該当性
②違法性
③有責性
の各要素を満たす必要がある、とするのが通説です。
構成要件該当性について
「構成要件」とは、刑罰法規に規定された違法かつ有責な処罰に値する行為の類型をいいます。
上で述べたように、犯罪が成立するための第一要件は、問題となる行為が構成要件に該当することです。
構成要件は、構成要件要素から成っており、個別の犯罪ごとに異なりますが、一般的には、次のような要素です。
①行為の主体
②行為
③結果
④行為と結果との間の因果関係
⑤故意・過失(これを構成要件要素とするか否かについては争いあり。)
以下、各構成要件要素についてみていきましょう。
1.行為の主体
法分上、犯罪行為の主体は「者」と表現されていますが、これは自然人を指し、法人はこれに含まれません。
法人を処罰の対象とする特別の罰則がある場合にのみ、法人は限定的・例外的に処罰されるにとどまります。
2.行為
「行為」のみが処罰の対象となります。
行為者が心の中で思っているだけであれば、それは処罰の対象にはなりません。
では、一体何が行為であるのか?が問題となりますが、この点、「意思に基づく身体の動静」を行為と理解するのが通説となっています。
「意思に基づく身体の『動静』」と解するので、身体の「動」である「作為」だけでなく、身体の「静」である不作為も「行為」に含まれます。
「不作為」というのは、「期待された行為を行わないこと」を意味します。
単に「何もしないこと」ではありません。
3.結果
刑法は、保護法益(生命・身体・自由・財産などの法的に保護に値する利益)を侵害する、または保護法益を侵害する脅威をもたらす(=保護法益侵害の危険をもたらすこと)行為を将来抑止し、法益を保護するために、保護法益の侵害行為や侵害の危険をもたらす行為を犯罪として規定し、処罰の対象としています。
よって、犯罪の成立には、法益侵害や法益侵害の危険を引き起こすことが必要となります。
4.行為と結果との因果関係
行為者は、その行為によって、構成要件的結果を引き起こすことが必要となるのですが、構成要件該当性を肯定するためには、その行為は、構成要件的結果を引き起こす現実的な危険性が認められる行為でなければなりません。
このような構成要件的結果への因果関係の起点となる行為を「実行行為」といいます。
構成要件的結果をもたらす現実的危険性を備えた実行行為と構成要件的結果との間に因果関係が認められなければなりません。
この因果関係をめぐっては、学生上さまざまな議論が展開されてきました。
実行行為(構成要件的行為)と構成要件的結果との間には、事実的なつながりとしての条件関係が必要となりますが、それをどのように判断するのかという点に争いがあるというわけです。
・条件説…「あれなければこれなし」という条件関係があれば、刑法上の因果関係を認める説。
・相当因果関係説…条件関係の存在を前提に、社会生活上の経験に照らしてその行為からのそ結果の生ずることが一般的であり相当である場合に刑法上の因果関係を認める説。
判例は、基本的には条件説にしたがっていると解されますが、相当因果関係説を採用したとも読めるような判例もあり、判例の態度は1つの学説で特徴づけることは難しいとされています。
5.故意・過失
「故意」とは、「罪を犯す意思」をいい、犯罪事実の認識・予見と換言されます。
一方、「過失」は、犯罪事実の認識・予見可能性と解され、実務においては「注意義務違反」であると解されます。
その注意義務には、結果予見義務と結果回避義務とが挙げられます。
本ブログのテーマでもある殺人罪と傷害致死罪とを区別するポイントとして「故意」が問題となりますので、次回のブログで詳細にみていきたいと思います。
もし、あなたやあなたの家族が、殺人罪あるいは傷害致死罪で逮捕されお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
児童ポルノ自画撮り勧誘行為の禁止
児童ポルノ自画撮り勧誘行為の禁止
児童ポルノ自画撮り勧誘行為の禁止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県丹波篠山市に住む中学生のVさん(14歳)は、SNSで知り合った大学生のAさん(20歳)と頻繁に連絡をとっていました。
Vさんは、Aさんとは会ったことはありませんが、メールや電話で話をするなかで、徐々にAさんに惹かれていきました。
ある日、AさんはVさんに下着姿の写真を送るよう要求するメールを送ってきたので、Vさんは驚きましたが、「またねー。」と返信して、その場をやり過ごしました。
しかし、その後も幾度となくAさんからVさんの裸や下着姿の写真を送るようしつこく要求してくるので、Vさんは困ってしまいました。
Vさんは母親に相談し、VさんはVさんの母親と一緒に兵庫県篠山警察署に相談することにしました。
Vさんと連絡がとれなくなったAさんは、自分のした行為が何か罪にあたるのかと心配になり、刑事事件専門の弁護士に法律相談を申し込みました。
(フィクションです)
未成年者により自画撮り被害の増加
児童ポルノ事件のなかでも、SNS等で知り合った未成年者に自分の裸や下着姿の写真を送らせた内容のものが多く見受けられます。
18歳未満の者(以下、「児童」という。)に自身の裸や下着姿などを撮影させ、その画像を送らせる行為は、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造罪)となる可能性があります。
しかし、実際に児童に自画撮りさせるに至らなかった場合でも、児童ポルノに該当する写真を撮って送るように要求する行為自体が罪となり得るのです。
兵庫県は、インターネットで知り合った相手に自分の裸の画像を送ってしまう、いわゆる「自画撮り」被害を防ぐために、児童に画像を要求する行為自体を罰する改正兵庫県青少年愛護条例を平成30年4月1日に施行しました。
当該条例では、以下のように規定されています。
(児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第21条の3 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
ここでいう「青少年」とは、18歳未満の者です。
18歳未満の者の「児童ポルノ等」の提供を禁止しています。
愛護条例における「児童ポルノ等」は、児童買春・児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」です。
つまり、「写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの」です。
問題となる児童の姿態とは、次の3つです。
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態。
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの。
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの。
18歳未満の者に送るよう求めた自画撮りが、相手方の「裸」であったり「下着姿」であるならば、上の③に該当することになるでしょう。
このような児童ポルノの「提供を求める」ことを愛護条例では禁止しています。
しかし、これに反したからといって必ずしも罰則の対象となるわけではなく、当該条例は、「青少年を欺き、威迫し又は困惑させる方法」若しくは「青少年に対し、財産上の利益を供与し、又はその供与の申し込み若しくは約束をする方法」により、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノの提供を求めた者に、30万円以下の罰金又は科料に処すると規定しています。
このような手法で児童ポルノに該当する自画撮りを提供するよう要求する行為が刑罰の対象となるのです。
あなたが、自画撮り勧誘行為で警察から取り調べを受けてお困りであるなら、児童ポルノ事件にも対応する刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件に精通する弁護士が、直接無料で法律相談いたします。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881へご連絡ください。
食い逃げで詐欺罪
食い逃げで詐欺罪
食い逃げで詐欺罪となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市長田区の居酒屋でバイトとして働いるXさんは、若い女性2人組をテーブル席に案内しました。
Xさんは、この女性客から注文を受け料理を運んでいました。
夜の忙しい時間帯でもあったので、他の客の対応に追われていたXさんでしたが、ふと見るとあの女性客らがいなくなっていることに気が付きました。
いつの間に会計を済ませたのかと思ってテーブルの上を見ると、伝票入れには未会計の伝票が入ったままということに気が付きました。
慌てて、店長に報告し、店長とXさんは店を出て、女性客を探し回ると、店から少し離れたところに発見し、Xさんは女性客2人に声を掛けました。
「お客様、お会計が未だだと思うのですが。」と尋ねると、「現金を持ち合わせていないことに気が付いて、近くのATMを探していたところ。」と女性客は回答しました。
店長はすでに兵庫県長田警察署に通報しており、駆け付けた警察官が女性客に事情を聞いています。
(フィクションです)
食い逃げで成立し得る犯罪とは?
レストランなどで料理を注文し、飲食したにもかかわらず、その代金を支払わずにその場を後にすることを「無銭飲食」といい、俗にいう「食い逃げ」のことです。
食い逃げ行為により成立し得る犯罪とは、どのようなものでしょうか。
まず、食い逃げ行為で問われ得る犯罪として挙げられるのが「詐欺罪」です。
詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件は、次のとおりです。
【1項詐欺罪】
①人を欺いて
②財物を交
③交付させたこと。
【2項詐欺罪】
①人を欺いて
②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと。
詐欺罪の行為は、「人を欺いて財物を交付させること」、または「人を欺いて財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させること」です。
1項詐欺についていえば、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生ずることが必要となり、①~⑤が客観的に相当因果関係になければなりません。
詐欺罪のポイントは、人を欺く行為によって錯誤に陥った相手方に財物を交付させた、という点です。
つまり、食い逃げ行為が詐欺罪に該当し得るのは、次のケースとなります。
(a)注文する時点ですでに支払いの意思がない場合、
(b)注文時には支払う意思があったが、支払い時にお金がないことに気づき、「お金をおろしてくる」などと嘘を言って支払いを免れる場合
前者については、通常、飲食店で料理を注文する行為は、暗に「後で注文した料理の代金を支払うので、注文した料理をください。」という意味に捉えられますから、支払う意思がないのに支払う意思があるかのように装ったということで、注文行為が欺く行為となります。
その欺く行為により、支払う意思があると騙された店から商品という財物の提供を受けているので、第1項詐欺が成立することになります。
後者は、会計時に支払う意思がないのに支払う意思があるかのように店員を騙して、代金の支払いを免れているので、人を欺き、よって財産上不法の利益を得ていると理解できるでしょう。
さて、ここでふと疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「支払う意思」があったか否か、という人の内面をどのように評価するのか。
その当時の所持金やカードの所持の有無など、客観的に「支払う能力があったのか」という点から、「支払う意思があったか」を判断することになります。
ですので、単に「払うつもりだった」と主張するだけでは、足りません。
詐欺罪をはじめ刑事事件を起こし捜査機関から呼び出しを受けている方、取調べ対応にお困りの方、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
保護観察中の再非行~付添人の活動~
保護観察中の再非行~付添人の活動~
保護観察中の再非行における付添人の活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県明石市に住む少年Aくん(16歳)は、半年前に地元のグループで集団暴走したとして、兵庫県明石警察署に逮捕されました。
グループのうち、運転した者はすべて逮捕されています。
Aくんは、中学生の時に夜中に学校に侵入し、窓ガラスを数枚割ったことがあり、神戸家庭裁判所で保護観察処分が言い渡されていました。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、保護観察中の再非行ということで、今度は少年院送致になるのではと心配しており、付添人として活動してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)
保護観察中の再非行
保護観察とは
少年事件は、原則すべての事件が捜査機関による捜査が終了すると、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致されると、調査・審判を経て最終処分が言い渡されます。
その最終処分は、次の通りです。
・保護処分決定
・検察官送致
・不処分
・都道府県知事又は児童相談所長送致
・審判不開始
更に、保護処分決定には、①保護観察、②少年院送致、③児童自立支援施設等送致の3種類があります。
①の保護観察とは、少年を家庭や職場等に置いたまま、保護観察官による指導監督という社会内処遇によって、少年の更生を目指す処分をいいます。
保護観察に付される期間は、原則として、少年が20歳に達するまでです。
この保護観察中に再度非行を行ってしまった場合、少年はどのような処分を受けることになるのでしょうか。
保護観察処分となった保護事件では、社会内処遇での少年の更生が期待されて開廷裁判所は保護観察処分を決定したわけですが、少年が再度非行に及んでしまった事実だけをみると、保護観察処分という枠組みでは少年の更生がうまくいかなかったと判断され、より重い保護処分が検討される可能性は高いと言えるでしょう。
再非行の非行内容にもよりますが、保護観察中に再度非行を起こしてしまうと、今度は少年院送致となる可能性はあります。
調査や審判では、今回の事件についてだけでなく、前回の事件からこれまでの経緯も詳しく聞かれることになるでしょう。
例えば、少年が再非行に及んだ原因、家庭・学校・職場などの監督能力については調査官や裁判官から強く問われることでしょう。
その結果、保護観察処分では少年の更生は期待できないと判断されると、少年院送致が決定されることになります。
しかし、逆に言えば、少年が再非行を起こしたけれども、少年院送致ではなく保護観察処分の枠組み内で少年の更生が期待できると判断してもらえれば、別件保護観中での不処分や、一旦試験観察となり最終的に保護観察処分が言い渡される可能性もあるというわけです。
上記ケースを例に挙げて考えてみると、地元グループから縁を切るために遠方へ引っ越したり、住み込みで働き上司の監督の下生活するなど、前回の事件以上に環境調整に力を入れる必要はあるでしょう。
また、少年自身が今回の出来事をどのように受け止めているかも重要な審理ポイントです。
このような活動は、少年事件に精通した弁護士に依頼されるのがよいでしょう。
少年事件では、少年法に基づいた手続がとられ、成人の刑事事件とは異なる点も多くあります。
少年事件の対応には、少年事件専門の弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、逮捕されてお困りの方、保護観察中の再非行で少年院送致となるのではとご心配の方、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで!
お子様が逮捕されている場合には、弊所の弁護士が留置先に赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
偽造クレジットカード使用で逮捕
偽造クレジットカード使用で逮捕
偽造クレジットカード使用で問われる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、兵庫県神戸市北区の電気販売店で、偽造クレジットカードを使用して、デジタルカメラなど電化製品5点を騙し取ったとして、兵庫県神戸北警察署に不正作出支払用カード電磁的記録供用罪と詐欺罪で逮捕されました。
Aさんは、容疑を認めているようです。
遠方に暮らすAさんの家族は、逮捕の連絡を受け、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)
偽造クレジットカード使用で問われる罪とは?
クレジットカード決済や電子決済サービスが普及し、現金を持ち歩かずに買い物ができる便利な時代になっていますね。
しかし、便利な一方、カード情報が不正に流出し、勝手に利用されるといった問題も発生しています。
上記ケースでは、Aさんは、何らかの方法で不正に入手したクレジットカードの情報を基に作成した偽造クレジットカードを使用したことで警察に逮捕されています。
Aさんが問われている罪は、不正作出支払用カード電磁的記録供用罪と詐欺罪です。
不正作出支払用カード電磁的記録供用罪
あまり聞きなれない罪名ですね。
本罪を含む支払用カード電磁的記録に関する罪は、平成13年に公布・施行された刑法の一部を改正する法律により設けられたものです。
当時、クレジットカード等が広く普及していたのですが、クレジットカード等の電磁的記録の情報を不正に取得しカードを偽造し、これらを使用するなどの不正行為が多発し、大きな社会問題となっていました。
しかし、そのような不正行為に対して、従来からある通貨偽造の罪や有価証券偽造の罪では十分に対処しきれなかったことから、新たに新設されました。
不正作出支払用カード電磁的記録供用罪は、刑法第163条の2第2項に規定されています。
第百六十三条の二 人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
2 不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
①客体:「不正に作られた前項の電磁的記録」
不正に作られた第1項の電磁的記録、つまり、不正に作られた財産上の事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金若しくは料金の支払い用カード又は預貯金の引き出し用カードを構成するものを意味します。
②目的:「同項の目的」
人の財産上の事務処理を誤らせる目的のことで、「人」は犯人以外の者を指し、自然人のみならず法人も含みます。
「事務処理」とは、一般に他人の生活関係に影響を及ぼし得る事柄の処理をいいます。
「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」には、『財産上の』とあり、身分証明のためや人に魅せるだけに用いる場合は該当しないと考えられます。
③行為:「人の財産上の事務処理の用に供した」
「用に供する」とは、不正に作出された支払用カードを構成する電磁的記録を、人の財産上の事務処理に用いられる電子計算機で使用しうる状態に置くことをいいます。
偽造キャッシュカードをCD(現金自動支払機)やATM(現金自動預け払い機)で使用したり、クレジットカードをCAT(信用照会端末)で使用したりすることをいいます。
詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪が成立するためには、「人を欺いて財物を交付させる」若しくは「人を欺いて財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させる」ことが必要です。
また、①人を欺いて、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じることが必要で、①~⑤が客観的に相当因果関係になければなりません。
上記ケースの場合、家電量販店の店員に、偽造クレジットカードを交付し、同店員が同カードが真正な物と誤信させ、誤信した店員から商品を騙し取っているので、詐欺罪は成立するでしょう。
ご家族が偽造クレジットカード使用で突然逮捕されたと連絡を受けたとしたら、大半の方がどう対処すればよいのか分からず不安になられるでしょう。
そんな時は、すぐに刑事事件に強い弁護士に接見を依頼することで、逮捕されたご家族は取調べ対応のアドバイスを受けることができ、依頼されたご家族も事件の詳細や今後の流れについて知ることができます。
ご家族が刑事事件で逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡を!
軽犯罪法違反と暴行罪
軽犯罪法違反と暴行罪
軽犯罪法違反と暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県揖保郡太子町にあるスーパーマーケットで買い物を終えて出てきたVさんは、肩に何かが当たったことに気が付きました。
肩に付着している物が生卵であることが分かり、どうやらVさんの頭上から落ちてきたのではないかと推測し、すぐにの交番に通報しました。
兵庫県たつの警察署は、スーパーマーケットが入っている高層マンションに住むAさんを軽犯罪法違反(危険物投注)の容疑で書類送検しました。
Aさんは、就職活動がうまくいかずイライラして生卵を自室のベランダから投げたと供述しています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
軽犯罪法違反と暴行罪
上記ケースでは、Aさんは軽犯罪法違反(危険物投注)に問われています。
まずは、当該罪がどのようなものなのか、条文を見ていきたいとおもいます。
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
十一 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
投注発射の罪は、
①相当の注意をしないで
②他人の身体又は物件に
③害を及ぼすおそれのある場所に
④物を投げ、注ぎ、又は発射
する犯罪です。
①相当の注意をしないで
通常人に一般的に要求される程度の注意を払わないことを意味します。
要求されている注意義務の内容を認識しながら殊更に必要とされる行為をしない場合とそのような注意を怠ってしまった場合との両方を含みます。
②他人の身体・物件
「他人」というのは、犯人以外の者です。
「他人の物件」という場合には、自然人に限らず、法人及びその他の団体、官公省なども含まれます。
③害を及ぼすおそれのある場所に
「害」とは、強要・脅迫の被害にまで至らなくとも、衣類や身体に水をかけることによって与える害のように、一般人が迷惑と思う程度の害悪を意味します。
「害を及ぼすおそれ」とは、物を投げたりすることにより、直接その物が他人の身体又は物件に当たるおそれだけを意味するのではなく、他人がその物を踏み、滑って転ぶなどのように、他人自身の行為を伴うことによって及ぼすおそれのような間接的なものも含まれます。
④物を投げ、注ぎ、発射する
ここでいう「物」とは、個体・液体・気体のすべてを含みますが、電気や光といったエネルギーは含まれません。
一般人が判断して、直接・間接に他人の身体・物件に害を及ぼす危険性のあるものをいいます、
「投げる」という行為には、物に力を加えて飛ばすことだけを意味するのではなく、高所から落としたり、転がしたりすることも含まれます。
ここで、「投げた生卵が被害者に当たっているのだから、暴行罪でもいいんじゃない?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
軽犯罪法違反と暴行罪の違いは何なのでしょうか。
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪の構成要件は、
①暴行を加えたが、
②人が傷害するに至らなかった
ことです。
ここでいう「暴行」とは、不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる場合をいいます。
判例では、狭い市場半の部屋で在室中の被害者を脅かすために、日本刀の抜き身を振り回す行為や、音・光・電流等を行使する場合も「暴行」に含まれるとしています。
加えて、暴行罪の成立には、人の身体に対して有形力を行使することの認識が必要となります。
これは、未必的認識で足りるとされています。
傷害の故意をもって暴行を加えたものの傷害が生じなかった場合も含まれます。
つまり、上記ケースを例にとって考えると、Aさんが「人の身体に対して有形力を行使することを認識していたか」、つまり、「人に生卵をぶつけようとしていた」のであれば、暴行罪の故意が認められ、暴行罪に問われていた可能性があるでしょう。
しかし、上記ケースにおいては、人にぶつける意思があったことが認定できず、暴行の故意が認められないため、他人の身体・物件に害を及ぼすおそれのある場所に生卵を投げたとして軽犯罪法違反が成立するものとされたのでしょう。
被害者のいる事件において最も重要な弁護活動の一つに、被害者との示談交渉があげられます。
早期に被害者との示談を締結することで、刑事事件化や検察送致を回避したり、不起訴処分獲得の可能性を高めることができます。
刑事事件でお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881へ。
試験観察を経て保護観察に
試験観察を経て保護観察に
試験観察からの保護観察処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡市川町に住むAくん(17歳)は、大学入試を控えており、睡眠時間を削って必死に勉強していました。
しかし、思ったように成績も上がらず、徐々にストレスも積もっていきました。
そんなある夜、ストレス発散にと思い、深夜に自宅付近をジョギングすることにしました。
ジョギングしていると、前方に千鳥足の若い女性を確認しました。
酔っ払ってるんだろうと思ったAくんは、ふとその女性に声をかけました。
その女性はかなり酔っていたようで、Aくんのほうにもたれかかってきたので、Aくんはムラムラし、女性の服の下から手を入れ、胸を鷲掴みにしました。
嫌がる女性に対して、Aくんは自分の陰部を触らせるなど、行動はエスカレートしていきました。
我に返ったAくんは、女性を押し倒し、その場から急いで走り去りました。
数か月たった頃、兵庫県福崎警察署の警察官がAくんの自宅を早朝に訪れ、強制わいせつ致傷の容疑でAくんを逮捕しました。
Aくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aくんは、少年院送致の可能性もありましたが、逮捕・勾留後に神戸家庭裁判所姫路支部に送致され、審判で試験観察が言い渡され、最終的には保護観察処分となりました。
(フィクションです)
強制わいせつ致傷保護事件
電車内での痴漢行為がエスカレートして下着の中にまで手を入れ、相手の胸や陰部を触るケースや、路上で女性に抱きついて押し倒して胸や陰部などを触るケースで強制わいせつや強制わいせつ致傷に問われる事件が多くみられます。
少年事件においては、性的欲求のコントロールがうまくできず、自分よりも幼い子に対して行うことも少なくありません。
強制わいせつ罪や強制わいせつ致傷罪には懲役刑のみが規定されており、その意味で刑法犯の中でも重い罪と言えるでしょう。
そのため、少年事件においても、最終的な処分が少年院送致となる可能性も十分にありますので、できるだけ早い段階から弁護士を付けることをお勧めします。
少年審判では、非行事実だけでなく、要保護性も審理対象となります。
少年の環境調整を行い、再び少年が非行を犯すことがないことをしっかりと主張することが重要です。
試験観察を経て保護観察処分に
少年院送致の可能性がある保護事件の場合には、弁護士は、最初の審判で試験観察獲得を目指します。
少年事件は、家庭裁判所に送致されると、調査官による調査、少年審判を経て、少年の更生に適した処分が決定されます。
その処分には、中間処分と終局処分とがあります。
終局処分には、以下のような処分があります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官逆送
③知事又は児童相談所長送致
④不処分
⑤審判不開始
一方、中間処分として「試験観察」という処分があります。
家庭裁判所は保護処分を決定するために必要があると認めるときに、相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。
強制わいせつ致傷保護事件の様な少年院送致の可能性がある場合、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。
お子様が強制わいせつ致傷事件を起こし、少年院送致のような重い処分になるのではないかと心配されているのであれば、まずは少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お子様の更生にとって適した処分となるよう少年事件に精通する弁護士が尽力します。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
性犯罪と暴行・脅迫、故意
性犯罪と暴行・脅迫、故意
性犯罪と暴行・脅迫、故意について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県美方郡香美町に住むVさんは、会社の飲み会の帰りに、帰り道が一緒だということで、上司のAさんと一緒に帰宅の途につくことになりました。
その途中、AさんはVさんにキスし、Vさんのお尻に手を回してきました。
Vさんはあまりの驚きと怖さで硬直した状態で、なんとかその場から立ち去ることしかできませんでした。
Vさんは、その後会社に行くとAさんと顔を合わせることになるので会社に行くことが苦痛になり、兵庫県美方警察署に相談しました。
後日、同警察署からAさんに連絡が入り、強制わいせつ事件で出頭するように言われています。
Aさんは、自分がしたことは罪になるのか心配になり、出頭前に弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
性犯罪の厳罰化
2017年に性犯罪の厳罰化などを盛り込んだ改正刑法が成立しました。
改正の主なポイントは、次のとおりです。
①強姦罪から強制性交等罪、準強姦罪から準強制性交等罪に罪名が変更。
強制性交等罪は、膣内性交のみならず、それまで強制わいせつ罪で処罰されてきた肛門内や口腔内への陰茎挿入も「性交等」とし、処罰の対象としました。
また、被害者は女性のみに限定されず、男性も成り得るとされました。
②懲役刑の下限の引き上げ。
強姦罪・準強姦罪の懲役3年、同致死傷罪の5年から、強制性交等罪・準強制性交等罪を懲役5年、同致死傷罪を6年に引き上げました。
③監護者性交等罪、監護者わいせつ罪の創設。
18歳未満の者に対し、親などの監護者がその影響に乗じて性交等やわいせつ行為に及んだ場合、暴行・脅迫がなくとも処罰される監護者性交等罪、監護者わいせつ罪が新たに規定されました。
④親告罪から非親告罪へ。
それまで強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪、強姦罪、準強姦罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪でしたが、改正により非親告罪となり、公訴の提起に告訴は必要なくなりました。
⑤集団強姦罪の削除。
性犯罪を厳しく取り締まる世論に答える形での刑法改正となったわけですが、改正当初から挙げられていた課題がありました。
それは、強制性交等罪と強制わいせつ罪が成立するための要件として「暴行または脅迫」が変わらず求められていることです。
暴行・脅迫の要件
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪及び強制性交等罪は、相手方が13歳以上である場合には、「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為・性交等をしたことが成立要件となります。
この「暴行・脅迫」の程度については、「反抗を著しく困難にする程度のもの」であることが必要とされてきました。
その判断は、暴行・脅迫の態様、時間的・場所的状況、被告人および被害者の年齢、経歴、体力等の諸般の事情を総合的・客観的に判断されます。
「暴行・脅迫」のハードルを高くしすぎると、相手方の行為に対し被害者は頭が真っ白になり抵抗することが出来なかった場合には、暴行・脅迫はなかったと判断され、犯罪が成立しないケースが出てくるのです。
強制性交等罪も強制わいせつ罪も故意犯のみを罰する規定となっています。
つまり、罪を犯す意思を持って犯行に及んだ場合のみこれらの犯罪が成立することになるのです。
相手方が13歳以上の場合、相手方の同意があると思い込んでいた場合には、故意がないとして罪に問われません。
単に「同意があった」と主張するだけでは故意がなかったことは立証できません。
相手方の抵抗の程度やその後のやり取りなど、その当時被疑者・被告人が被害者の同意があると誤信する状況にあったことを客観的に証明することが必要となります。
人の心の内を客観的に証明することは容易なことではありません。
だからこそ、刑事事件を専門とする弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
性犯罪事件でお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。