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偽造クレジットカード使用で逮捕
偽造クレジットカード使用で逮捕
偽造クレジットカード使用で問われる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、兵庫県神戸市北区の電気販売店で、偽造クレジットカードを使用して、デジタルカメラなど電化製品5点を騙し取ったとして、兵庫県神戸北警察署に不正作出支払用カード電磁的記録供用罪と詐欺罪で逮捕されました。
Aさんは、容疑を認めているようです。
遠方に暮らすAさんの家族は、逮捕の連絡を受け、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)
偽造クレジットカード使用で問われる罪とは?
クレジットカード決済や電子決済サービスが普及し、現金を持ち歩かずに買い物ができる便利な時代になっていますね。
しかし、便利な一方、カード情報が不正に流出し、勝手に利用されるといった問題も発生しています。
上記ケースでは、Aさんは、何らかの方法で不正に入手したクレジットカードの情報を基に作成した偽造クレジットカードを使用したことで警察に逮捕されています。
Aさんが問われている罪は、不正作出支払用カード電磁的記録供用罪と詐欺罪です。
不正作出支払用カード電磁的記録供用罪
あまり聞きなれない罪名ですね。
本罪を含む支払用カード電磁的記録に関する罪は、平成13年に公布・施行された刑法の一部を改正する法律により設けられたものです。
当時、クレジットカード等が広く普及していたのですが、クレジットカード等の電磁的記録の情報を不正に取得しカードを偽造し、これらを使用するなどの不正行為が多発し、大きな社会問題となっていました。
しかし、そのような不正行為に対して、従来からある通貨偽造の罪や有価証券偽造の罪では十分に対処しきれなかったことから、新たに新設されました。
不正作出支払用カード電磁的記録供用罪は、刑法第163条の2第2項に規定されています。
第百六十三条の二 人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
2 不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
①客体:「不正に作られた前項の電磁的記録」
不正に作られた第1項の電磁的記録、つまり、不正に作られた財産上の事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金若しくは料金の支払い用カード又は預貯金の引き出し用カードを構成するものを意味します。
②目的:「同項の目的」
人の財産上の事務処理を誤らせる目的のことで、「人」は犯人以外の者を指し、自然人のみならず法人も含みます。
「事務処理」とは、一般に他人の生活関係に影響を及ぼし得る事柄の処理をいいます。
「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」には、『財産上の』とあり、身分証明のためや人に魅せるだけに用いる場合は該当しないと考えられます。
③行為:「人の財産上の事務処理の用に供した」
「用に供する」とは、不正に作出された支払用カードを構成する電磁的記録を、人の財産上の事務処理に用いられる電子計算機で使用しうる状態に置くことをいいます。
偽造キャッシュカードをCD(現金自動支払機)やATM(現金自動預け払い機)で使用したり、クレジットカードをCAT(信用照会端末)で使用したりすることをいいます。
詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪が成立するためには、「人を欺いて財物を交付させる」若しくは「人を欺いて財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させる」ことが必要です。
また、①人を欺いて、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じることが必要で、①~⑤が客観的に相当因果関係になければなりません。
上記ケースの場合、家電量販店の店員に、偽造クレジットカードを交付し、同店員が同カードが真正な物と誤信させ、誤信した店員から商品を騙し取っているので、詐欺罪は成立するでしょう。
ご家族が偽造クレジットカード使用で突然逮捕されたと連絡を受けたとしたら、大半の方がどう対処すればよいのか分からず不安になられるでしょう。
そんな時は、すぐに刑事事件に強い弁護士に接見を依頼することで、逮捕されたご家族は取調べ対応のアドバイスを受けることができ、依頼されたご家族も事件の詳細や今後の流れについて知ることができます。
ご家族が刑事事件で逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡を!

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
軽犯罪法違反と暴行罪
軽犯罪法違反と暴行罪
軽犯罪法違反と暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県揖保郡太子町にあるスーパーマーケットで買い物を終えて出てきたVさんは、肩に何かが当たったことに気が付きました。
肩に付着している物が生卵であることが分かり、どうやらVさんの頭上から落ちてきたのではないかと推測し、すぐにの交番に通報しました。
兵庫県たつの警察署は、スーパーマーケットが入っている高層マンションに住むAさんを軽犯罪法違反(危険物投注)の容疑で書類送検しました。
Aさんは、就職活動がうまくいかずイライラして生卵を自室のベランダから投げたと供述しています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
軽犯罪法違反と暴行罪
上記ケースでは、Aさんは軽犯罪法違反(危険物投注)に問われています。
まずは、当該罪がどのようなものなのか、条文を見ていきたいとおもいます。
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
十一 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
投注発射の罪は、
①相当の注意をしないで
②他人の身体又は物件に
③害を及ぼすおそれのある場所に
④物を投げ、注ぎ、又は発射
する犯罪です。
①相当の注意をしないで
通常人に一般的に要求される程度の注意を払わないことを意味します。
要求されている注意義務の内容を認識しながら殊更に必要とされる行為をしない場合とそのような注意を怠ってしまった場合との両方を含みます。
②他人の身体・物件
「他人」というのは、犯人以外の者です。
「他人の物件」という場合には、自然人に限らず、法人及びその他の団体、官公省なども含まれます。
③害を及ぼすおそれのある場所に
「害」とは、強要・脅迫の被害にまで至らなくとも、衣類や身体に水をかけることによって与える害のように、一般人が迷惑と思う程度の害悪を意味します。
「害を及ぼすおそれ」とは、物を投げたりすることにより、直接その物が他人の身体又は物件に当たるおそれだけを意味するのではなく、他人がその物を踏み、滑って転ぶなどのように、他人自身の行為を伴うことによって及ぼすおそれのような間接的なものも含まれます。
④物を投げ、注ぎ、発射する
ここでいう「物」とは、個体・液体・気体のすべてを含みますが、電気や光といったエネルギーは含まれません。
一般人が判断して、直接・間接に他人の身体・物件に害を及ぼす危険性のあるものをいいます、
「投げる」という行為には、物に力を加えて飛ばすことだけを意味するのではなく、高所から落としたり、転がしたりすることも含まれます。
ここで、「投げた生卵が被害者に当たっているのだから、暴行罪でもいいんじゃない?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
軽犯罪法違反と暴行罪の違いは何なのでしょうか。
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪の構成要件は、
①暴行を加えたが、
②人が傷害するに至らなかった
ことです。
ここでいう「暴行」とは、不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる場合をいいます。
判例では、狭い市場半の部屋で在室中の被害者を脅かすために、日本刀の抜き身を振り回す行為や、音・光・電流等を行使する場合も「暴行」に含まれるとしています。
加えて、暴行罪の成立には、人の身体に対して有形力を行使することの認識が必要となります。
これは、未必的認識で足りるとされています。
傷害の故意をもって暴行を加えたものの傷害が生じなかった場合も含まれます。
つまり、上記ケースを例にとって考えると、Aさんが「人の身体に対して有形力を行使することを認識していたか」、つまり、「人に生卵をぶつけようとしていた」のであれば、暴行罪の故意が認められ、暴行罪に問われていた可能性があるでしょう。
しかし、上記ケースにおいては、人にぶつける意思があったことが認定できず、暴行の故意が認められないため、他人の身体・物件に害を及ぼすおそれのある場所に生卵を投げたとして軽犯罪法違反が成立するものとされたのでしょう。
被害者のいる事件において最も重要な弁護活動の一つに、被害者との示談交渉があげられます。
早期に被害者との示談を締結することで、刑事事件化や検察送致を回避したり、不起訴処分獲得の可能性を高めることができます。
刑事事件でお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881へ。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
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初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
試験観察を経て保護観察に
試験観察を経て保護観察に
試験観察からの保護観察処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡市川町に住むAくん(17歳)は、大学入試を控えており、睡眠時間を削って必死に勉強していました。
しかし、思ったように成績も上がらず、徐々にストレスも積もっていきました。
そんなある夜、ストレス発散にと思い、深夜に自宅付近をジョギングすることにしました。
ジョギングしていると、前方に千鳥足の若い女性を確認しました。
酔っ払ってるんだろうと思ったAくんは、ふとその女性に声をかけました。
その女性はかなり酔っていたようで、Aくんのほうにもたれかかってきたので、Aくんはムラムラし、女性の服の下から手を入れ、胸を鷲掴みにしました。
嫌がる女性に対して、Aくんは自分の陰部を触らせるなど、行動はエスカレートしていきました。
我に返ったAくんは、女性を押し倒し、その場から急いで走り去りました。
数か月たった頃、兵庫県福崎警察署の警察官がAくんの自宅を早朝に訪れ、強制わいせつ致傷の容疑でAくんを逮捕しました。
Aくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aくんは、少年院送致の可能性もありましたが、逮捕・勾留後に神戸家庭裁判所姫路支部に送致され、審判で試験観察が言い渡され、最終的には保護観察処分となりました。
(フィクションです)
強制わいせつ致傷保護事件
電車内での痴漢行為がエスカレートして下着の中にまで手を入れ、相手の胸や陰部を触るケースや、路上で女性に抱きついて押し倒して胸や陰部などを触るケースで強制わいせつや強制わいせつ致傷に問われる事件が多くみられます。
少年事件においては、性的欲求のコントロールがうまくできず、自分よりも幼い子に対して行うことも少なくありません。
強制わいせつ罪や強制わいせつ致傷罪には懲役刑のみが規定されており、その意味で刑法犯の中でも重い罪と言えるでしょう。
そのため、少年事件においても、最終的な処分が少年院送致となる可能性も十分にありますので、できるだけ早い段階から弁護士を付けることをお勧めします。
少年審判では、非行事実だけでなく、要保護性も審理対象となります。
少年の環境調整を行い、再び少年が非行を犯すことがないことをしっかりと主張することが重要です。
試験観察を経て保護観察処分に
少年院送致の可能性がある保護事件の場合には、弁護士は、最初の審判で試験観察獲得を目指します。
少年事件は、家庭裁判所に送致されると、調査官による調査、少年審判を経て、少年の更生に適した処分が決定されます。
その処分には、中間処分と終局処分とがあります。
終局処分には、以下のような処分があります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官逆送
③知事又は児童相談所長送致
④不処分
⑤審判不開始
一方、中間処分として「試験観察」という処分があります。
家庭裁判所は保護処分を決定するために必要があると認めるときに、相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。
強制わいせつ致傷保護事件の様な少年院送致の可能性がある場合、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。
お子様が強制わいせつ致傷事件を起こし、少年院送致のような重い処分になるのではないかと心配されているのであれば、まずは少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お子様の更生にとって適した処分となるよう少年事件に精通する弁護士が尽力します。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
性犯罪と暴行・脅迫、故意
性犯罪と暴行・脅迫、故意
性犯罪と暴行・脅迫、故意について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県美方郡香美町に住むVさんは、会社の飲み会の帰りに、帰り道が一緒だということで、上司のAさんと一緒に帰宅の途につくことになりました。
その途中、AさんはVさんにキスし、Vさんのお尻に手を回してきました。
Vさんはあまりの驚きと怖さで硬直した状態で、なんとかその場から立ち去ることしかできませんでした。
Vさんは、その後会社に行くとAさんと顔を合わせることになるので会社に行くことが苦痛になり、兵庫県美方警察署に相談しました。
後日、同警察署からAさんに連絡が入り、強制わいせつ事件で出頭するように言われています。
Aさんは、自分がしたことは罪になるのか心配になり、出頭前に弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
性犯罪の厳罰化
2017年に性犯罪の厳罰化などを盛り込んだ改正刑法が成立しました。
改正の主なポイントは、次のとおりです。
①強姦罪から強制性交等罪、準強姦罪から準強制性交等罪に罪名が変更。
強制性交等罪は、膣内性交のみならず、それまで強制わいせつ罪で処罰されてきた肛門内や口腔内への陰茎挿入も「性交等」とし、処罰の対象としました。
また、被害者は女性のみに限定されず、男性も成り得るとされました。
②懲役刑の下限の引き上げ。
強姦罪・準強姦罪の懲役3年、同致死傷罪の5年から、強制性交等罪・準強制性交等罪を懲役5年、同致死傷罪を6年に引き上げました。
③監護者性交等罪、監護者わいせつ罪の創設。
18歳未満の者に対し、親などの監護者がその影響に乗じて性交等やわいせつ行為に及んだ場合、暴行・脅迫がなくとも処罰される監護者性交等罪、監護者わいせつ罪が新たに規定されました。
④親告罪から非親告罪へ。
それまで強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪、強姦罪、準強姦罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪でしたが、改正により非親告罪となり、公訴の提起に告訴は必要なくなりました。
⑤集団強姦罪の削除。
性犯罪を厳しく取り締まる世論に答える形での刑法改正となったわけですが、改正当初から挙げられていた課題がありました。
それは、強制性交等罪と強制わいせつ罪が成立するための要件として「暴行または脅迫」が変わらず求められていることです。
暴行・脅迫の要件
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪及び強制性交等罪は、相手方が13歳以上である場合には、「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為・性交等をしたことが成立要件となります。
この「暴行・脅迫」の程度については、「反抗を著しく困難にする程度のもの」であることが必要とされてきました。
その判断は、暴行・脅迫の態様、時間的・場所的状況、被告人および被害者の年齢、経歴、体力等の諸般の事情を総合的・客観的に判断されます。
「暴行・脅迫」のハードルを高くしすぎると、相手方の行為に対し被害者は頭が真っ白になり抵抗することが出来なかった場合には、暴行・脅迫はなかったと判断され、犯罪が成立しないケースが出てくるのです。
強制性交等罪も強制わいせつ罪も故意犯のみを罰する規定となっています。
つまり、罪を犯す意思を持って犯行に及んだ場合のみこれらの犯罪が成立することになるのです。
相手方が13歳以上の場合、相手方の同意があると思い込んでいた場合には、故意がないとして罪に問われません。
単に「同意があった」と主張するだけでは故意がなかったことは立証できません。
相手方の抵抗の程度やその後のやり取りなど、その当時被疑者・被告人が被害者の同意があると誤信する状況にあったことを客観的に証明することが必要となります。
人の心の内を客観的に証明することは容易なことではありません。
だからこそ、刑事事件を専門とする弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
性犯罪事件でお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
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初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
覚せい剤取締法違反事件で保釈
覚せい剤取締法違反事件で保釈
覚せい剤取締法違反事件での保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県高砂市に住むAさんは、覚せい剤を使用していました。
ある日、兵庫県高砂警察署は覚せい剤取締法違反の疑いでAさんを逮捕しました。
逮捕後、10日間勾留されたAさんは、同罪で起訴されました。
Aさんは、すぐに保釈してほしいと思い、弁護人に保釈請求を頼みました。
(フィクションです)
覚せい剤取締法違反で逮捕されたら
あなたが覚せい剤取締法違反で警察に逮捕されたとしましょう。
警察は、逮捕から48時間以内にあなたを釈放するか、それとも検察に事件を送致するかを決めます。
検察官は、あなたの身柄を受けてから、容疑について弁解を聞いた上で、24時間以内にあなたを釈放するか、裁判官に勾留請求するかを決定します。
兵庫県では、午前中に警察署から検察庁に送致され、その日の午後には勾留請求するか否かが決定されます。
検察官が勾留請求すると、検察庁から裁判所に移送され、今度は裁判官から勾留質問を受けます。
裁判官は、勾留質問をした上で、検察官からの勾留請求を認めるか否かを判断します。
ここで、裁判官が勾留請求を却下すれば、検察官からの準抗告がない限り、あなたはその日のうちに釈放されることになります。
さて、覚せい剤取締法違反事件では、多くの場合、勾留決定がなされ、検察官が勾留請求した日から10日間身柄が拘束されます。
延長が必要だと検察官が判断すれば、検察官は延長を請求し、勾留延長が認められれば最大で更に10日間の身柄拘束となります。
覚せい剤取締法違反事件で逮捕された場合には、長期の身体拘束となる可能性が高いのです。
覚せい剤取締法違反事件で身柄解放は不可能なのか?と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、起訴後には保釈により釈放される可能性もあります。
保釈とは?
一定額の保釈保証金を納付することを条件として、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を「保釈」といいます。
保釈には、以下の3つの種類があります。
1.権利保釈(必要的保釈)
裁判所は、権利保釈の除外事由に該当しない場合には、保釈請求があったときは、原則として保釈を許可しなければなりません。
除外事由は、以下の通りです。
①被告人が、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が、前に、死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由のあるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。
2.裁量保釈(任意的保釈)
裁判所は、上の権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することが出来ます。
3.義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により、又は職権により、保釈を許可しなければなりません。
覚せい剤取締法違反事件で保釈を許可するか否かは判断する際に問題となるのは、常習性と罪証隠滅のおそれです。
ですので、その点問題がないことを客観的な証拠に基づいて主張し、保釈の獲得に向けて動くことが重要です。
保釈は、単に身体拘束からの解放にとどまらず、再犯防止のために専門的治療を受ける環境を整えるといった意味でも重要です。
ご家族が覚せい剤取締法違反事件で逮捕されお困りであれば、薬物事件にも対応する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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薬物事件で接見禁止処分
薬物事件で接見禁止処分
薬物事件の接見禁止処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県宍粟警察署は、ある朝、兵庫県宍粟市に住むAさん宅を訪れました。
大麻取締法違反違反容疑で捜索差押が行われた後、Aさんは警察車両に載せられ、逮捕令状を提示されました。
Aさんは、逮捕後に勾留されることになりましたが、接見禁止が付されており、Aさんの家族と会うことができません。
困ったAさんは、弁護士と接見したいと警察に申し出ました。
(フィクションです)
薬物事件と接見禁止
薬物事件で問われる罪には、主に次に掲げるものがあります。
①覚せい剤取締法違反
覚せい剤の輸入、輸出、製造(単純・営利)、譲渡、譲受、所持、使用(単純・営利)を規制しています。
罰則は、薬物犯罪の中でも重く、覚せい剤の所持は10年以下の懲役、営利目的での覚せい剤の輸入・輸出・製造に関しては無期又は3年以上の懲役若しくは情状により1000万円以下の罰金の併科です。
②大麻取締法違反違反
大麻の栽培、輸入、輸出、所持、譲受、譲渡(単純・営利)を規制しています。
大麻の使用については処罰規定がありませんが、大麻所持による検挙数は近年増加傾向にあります。
大麻の単純所持であれば、その法定刑は5年以下の懲役となり、営利目的での所持は7年以下の懲役又は200万円以下の罰金の併科です。
③麻薬及び向精神薬取締法違反
ヘロインやコカインなどの「麻薬」や「向精神薬」を規制しています。
罰則は、対象となる薬物により異なり、例えば、依存性や禁断症状がとても強く危険薬物であるヘロインの場合、所持・譲渡・譲受の法定刑は10年以下の懲役です。
以上のような罪で逮捕・勾留されると、接見禁止に付される可能性が高いのです。
接見禁止
「接見禁止」とは、弁護士以外の者との接見を禁止することを言います。
この接見禁止が下される理由には大きく分けて3つあります。
①逃亡のおそれがある。
②容疑を否認している。
③組織犯罪が疑われる。
薬物事件は、薬物の売人など犯罪組織が背後にいる可能性が高く、罪証隠滅や口裏合わせ防止のために、接見禁止となるケースが多いのです。
接見禁止の期間は、様々です。
勾留から起訴までの勾留期間中(10~20日間)に接見禁止がつくことが多いのですが、事件によっては公判まで継続する場合もあります。
接見禁止となれば、接見禁止が付されている間は、家族とも面会することが出来ないので、被疑者や被告人にとって、またその家族にとっても精神的苦痛を強いられることになります。
そのような場合、刑事事件に強い弁護士は、接見禁止の取消・解除に向けた活動を行います。
具体的には、弁護士は、接見禁止処分に対する不服申し立てを行ったり、接見禁止処分の解除を申し立てたりします。
接見禁止処分解除申立ては、裁判官の職権発動を促すものにすぎないと解されていますが、一般人である配偶者や両親などの近親者については、事件とは無関係であることを立証することにより、家族との間での接見禁止を解除する接見禁止一部解除申請が認められることが多くなっています。
このような活動は、薬物事件をはじめとした刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含めた刑事事件を専門としています。接見禁止の取消や解除に向けた弁護活動にも迅速に対応致します。
兵庫県宍粟市の薬物事件で、「家族が逮捕されてしまった」、「接見禁止が付いていて面会できない」とお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談下さい。
刑事事件専門の弁護士が、直接、逮捕・勾留されている方と接見をする「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで今すぐご連絡ください。

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特殊詐欺関与で少年院送致
特殊詐欺関与で少年院送致
特殊詐欺事件での少年院送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県相生市の高齢女性Vさん宅に、弁護士の秘書だと名乗り、現金100万円を騙し取ったとして、兵庫県内に住む少年Aさん(17歳)が詐欺の容疑で兵庫県相生警察署に逮捕されました。
Aさんは、小遣い稼ぎのために、高額アルバイトとうたった特殊詐欺の受け子として複数件犯行に関与していました。
逮捕・勾留の後に、神戸家庭裁判所に送致され、審判では少年院送致の保護処分の決定がなされました。
(フィクションです)
少年の特殊詐欺への関与
銀行員や市役所職員、弁護士などを騙り、「還付金があるので振込先銀行のキャッシュカードを渡してください」とか、「お子様が交通事故で相手方に怪我を負わせてしまったので、慰謝料を今すぐ用意してください」などと言い、キャッシュカードや現金などを騙し取る特殊詐欺事件が後を絶ちません。
犯罪は組織的に行われることが多く、電話をかける「掛け子」、被害者から現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」、受け取ったキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出す「出し子」などといったように複数人で役割を分担して犯行におよびます。
これらの役割の中でも、「受け子」や「出し子」は警察に捕まる確率が高いため、犯罪組織は外部の人間を雇い、これらの役割を担わせることが多くなっています。
これらの役割を担う外部の人間は、ネットを介して「高額アルバイト」などと称して募ります。
簡単な仕事で高額の報酬がもらえるとあって、未成年者がこのような募集に応募することが多く、特殊詐欺の「受け子」や「出し子」として警察に逮捕されるケースが多々見受けられます。
特殊詐欺は今や社会問題となっており、厳罰の傾向にあります。
少年においても例外ではなく、初犯であっても、いきなり少年院送致となるケースも少なくありません。
少年院について
家庭裁判所が下す終局処分は、保護処分、不処分、審判不開始、検察官送致があります。
更に、保護処分は、保護観察、少年院送致、児童自立支援施設送致の3つがあります。
家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年や懲役・禁錮の言渡しを受けた16歳未満の少年を収容し、これらの少年に、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う施設が「少年院」です。
再び非行を犯すことなく、社会に復帰させることが目的であるので、少年院における矯正教育は少年の更生の中核となります。
少年院送致となった少年は、人間関係や学校・職場でのルールなどに適切に対応する能力が不十分である場合が多く、少年が更生するためには、少年が社会に出たときに遭遇するであろう様々な困難を乗り越え、再び非行を犯すことなく社会で生活していくことができるよう、健全なものの見方や考え方を身に着けることが重要だからです。
矯正教育は、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導を適切に組み合わせて行われます。
この中でも、生活指導は少年院における矯正教育の中心とされます。
少年院送致となる少年の多くは、基本的な生活習慣が身に付いていない、周囲とのコミュニケーション能力や自己表現力が乏しいために社会に適用できない、ものの見方や行動選択の場面に問題がある、などといったことが非行の原因となっていると考えられるので、これらの問題を改善することが少年の更生には必要不可欠と言えるからです。
生活指導には、基本的な生活習慣に関する指導から、様々な問題について講義やディスカッションを通して正しい知識や対処法を学んだり、家族との関係改善を図る指導まで幅広い内容となっています。
少年院は、少年が再び非行を犯すことがないよう、社会に適応して生活することができるよう支援する施設であり、少年院送致となることが必ずしも少年にとって不利益であるとは言えません。
しかしながら、長期間施設に収容されることで、少年の社会復帰に弊害をもたし得ることも否定できません。
お子様が事件を起こし、少年院送致が見込まれる場合には、すぐに少年事件に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
弊所の弁護士は、少年一人ひとりに合う弁護・付添人活動を行い、少年の更生に適した処分となるよう尽力します。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
未成年者誘拐事件で逮捕
未成年者誘拐事件で逮捕
未成年者誘拐罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡神河町の公園で一人で遊んでいた小学1年生の男の子に「おもちゃを買ってあげる。」と声をかけ、車で連れ去ったとして、兵庫県福崎警察署は兵庫県内に住むAさんを未成年者誘拐の容疑で逮捕しました。
おもちゃを買って公園に戻ったところ、男の子を探していた母親と遭遇し、男の子は無事保護されました。
Aさんは車で立ち去りましたが、男の子の母親が車のナンバーを記憶しており、すぐに兵庫県福崎警察署に通報したことで犯人が特定されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、「未成年者誘拐でAさんを逮捕した」とだけ言われ、訳が分からず刑事事件に強い弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)
未成年者誘拐罪
未成年の家出少女を自宅に泊まらせ、未成年者誘拐罪に問われるという事件が度々ニュースで話題になっています。
この場合、本人の同意があっても未成年者誘拐罪成立の妨げにはなりません。
未成年者誘拐罪は、刑法第224条に規定されています。
第二百二十四条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
本条文では、未成年者の略取と誘拐について規定されています。
略取と誘拐を合わせて拐取といいます。
未成年者誘拐罪の保護法益については、学説上争いがあります。
A説:誘拐された者の自由を保護法益とする説。
自由の何たるかを理解しえない者に対する誘拐について、自由の概念を抽象化して「人の本来的な生活場所における身体の自由」を意味するものと考える。
B説:人的保護関係を保護法益とする説。
誘拐された本人が自由を奪われたことについて認識していないときに不都合であるので、親権者その他の保護監督者の利益を保護法益とすべきであるとする立場。
C説:誘拐された者の自由、誘拐された者が要保護状態にある場合は親権者等の保護監督権を保護法益とする説。
①現行法では、成人に対する無目的な単純拐取が不可罰とされていることから、未成年者については親権者等の保護監督権を保護法益としていると解する。
②意思能力はあるが、保護者のいない未成年者を拐取した場合も犯罪が成立するので、未成年者自身の自由も保護法益としていると解される。
判例は、本罪につき、暴行または脅迫を加えて幼者を不法に自己の実力内に移し、一方で監督者の監督権を侵害すると同時に、他方において幼者の自由を拘束する行為をいうとしており、③の立場を採っていると理解されています(大判明43・9・30)。
なお、犯罪が成立する場合は、未成年者自身のみを被害者と考えたとしても、法定代理人は一般に告訴権を有することから、監護権者も被害者として独自の告訴権を有すると解されます(福岡高判昭31・4・14)。
本罪の主体には、制限がなく、未成年者の監護権者も成り得るとするのが通説とされています。
判例は、保護者にも本罪の成立を肯定し、特段の事情がある場合には違法性阻却の余地を肯定することで適切な解決を図ろうとしています。
例えば、別居中で離婚係争中であった妻が養育している長男を連れ去った行為について、たとえ行為者が親権者である夫であったとしても、当該行為が未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかであるとし、行為者が親権者である事実は、行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかにおいて考慮されるべき事情にすぎないと解されています(最決平17・12・6)。
また、本罪の行為である「誘拐」の意義に関しては、誘拐された者の意思に反しない態様で自己または第三者の事実的支配下におくことであって、欺罔や誘惑を手段とする場合を指します。
上記ケースのように、「おもちゃを買ってあげる」という誘い文句は「誘惑」行為に当たるでしょう。
さて、未成年者が同意していた場合にも本罪は成立し得ると最初に述べましたが、本罪の保護法益の解釈をC説とした場合、保護法益には保護監督者の監督権も含まれているので、未成年者本人の同意だけでは、監督権は侵害されたままであるので、この場合も本罪が成立する可能性があるというわけです。
兵庫県神崎郡神河町の未成年者誘拐事件で、ご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
身代わり出頭で書類送検②
身代わり出頭で書類送検②
身代わり出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
公務員のAさんは、兵庫県多可郡多可町を運転中、物損事故を起こしてしまいました。
事故を起こしたことが職場に発覚することを恐れたAさんは、慌てて家族に連絡を入れました。
事情を把握したAさんの母親のBさんは、急いで現場に駆け付けました。
Aさんの将来を案じて、今回の事故はBさんが起こしたことにしようということになり、Bさんは兵庫県西脇警察署に出頭しました。
しかし、取調べでのBさんの供述が腑に落ちないと感じた警察官が、Bさんを問い詰めたところ、実はAさんが事故を起こしたことが発覚しました。
兵庫県西脇警察署は、Aさんを道路交通法違反と犯人隠避教唆の疑いで神戸地方検察庁社支部に書類送検しました。
母親のBさんも犯人隠避の疑いで書類送検されました。
(フィクションです)
身代わり出頭
前回は、身代わり出頭を頼まれた側の刑事責任について説明しました。
今回は、身代わり出頭を頼んだ側についてみていきたいと思います。
上記ケースでは、物損事故を起こしたのはAさんです。
自動車やバイク等を運転中に、他の車等に接触するなどの物損事故を起こしたにもかかわらず、道路の危険を防止することなく現場から離れています。
これは、いわゆる「当て逃げ」で、当て逃げは道路交通法違反となります。
運転手は、交通事故を起こした場合、人身か物損かを問わず、適切な処置を講じて警察に報告しなければなりません。
事故により道路上に危険が生じた場合には、それを防止する措置を講じなければならず、この措置をとらなかった場合には、危険防止等措置義務違反となり、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。(道路交通法第117条の2)
また、報告義務に違反した場合には、3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。(道路交通法第119条第1項10号)
ですので、まず、Aさんに問われる罪としては、道路交通法違反が考えられます。
加えて、他人に身代わり出頭を頼んだ行為については、犯人隠避罪の教唆犯が成立する可能性があります。
教唆犯とは
「教唆犯」とは、「人を教唆して犯罪を実行させた者」をいいます(刑法第61条1項)。
教唆犯が成立するためには、
①教唆者が「人を教唆」して、
②被教唆者が「犯罪を実行」したこと
が必要となります。
ここでいう「教唆」というのは、他人を唆して犯罪を実行する決意を生じさせることをいいます。
判例は、「教唆犯の成立には、ただ漠然と特定しない犯罪を惹起せしめるにすぎないような行為だけでは足りないけれども、いやしくも一定の犯罪を実行する決意を相手方に生ぜしめる手段、方法が指示たると指揮たると、命令たると嘱託たると、誘導たると慫慂たるとを問うものではない」と解しています(最判昭26・12・6)。
日時、場所、方法、犯罪対象などの細部を常に特定する必要まではなく、具体的事情によって被教唆者に一定の犯罪行為をなすべきことを了解させる程度に達していればよいと解されます(大判大5・9・13)。
犯人隠避罪の教唆
犯人等が自ら逃げ隠れすることは犯人隠避罪の行為には当たりませんが、犯人自身を隠避させるよう教唆した場合に、本罪の教唆罪が成立するか否かについては議論があります。
大きく分けると、犯人自身による蔵匿が処罰の対象ではないならば、より間接的な犯罪への関与である教唆は、なおさら可罰性がないという消極説と、他人の教唆は定形的に期待可能性がないとはいえないとして処罰を求める積極説とが主張されています。
これに対して、判例は、防御権の乱用を根拠として、教唆罪の成立を肯定しています。
例えば、道路交通法違反の罪を犯した暴力団の組員が、配下の者を身代わりとして警察に出頭させた事件についても、犯人隠避罪の教唆罪の成立を肯定しています(最決昭60・7・3)。
教唆犯には、「正犯の刑を科する」と規定され、刑の必要的減刑が受けられる幇助犯よりも重い関与類型です。
教唆罪に問われているが争いたい、教唆罪が成立するのか知りたい、教唆犯として捜査を受けているが対応に困っておられる方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
身代わり出頭で書類送検①
身代わり出頭で書類送検①
身代わり出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
公務員のAさんは、兵庫県多可郡多可町を運転中、物損事故を起こしてしまいました。
事故を起こしたことが職場に発覚することを恐れたAさんは、慌てて家族に連絡を入れました。
事情を把握したAさんの母親のBさんは、急いで現場に駆け付けました。
Aさんの将来を案じて、今回の事故はBさんが起こしたことにしようということになり、Bさんは兵庫県西脇警察署に出頭しました。
しかし、取調べでのBさんの供述が腑に落ちないと感じた警察官が、Bさんを問い詰めたところ、実はAさんが事故を起こしたことが発覚しました。
兵庫県西脇警察署は、Aさんを道路交通法違反と犯人隠避教唆の疑いで神戸地方検察庁社支部に書類送検しました。
母親のBさんも犯人隠避の疑いで書類送検されました。
(フィクションです)
身代わり出頭
交通違反や交通事故を起こしてしまったが、「免許の点数の残りが少ないから、これで行政処分を受けるのは避けたい…。」とか、「経歴に傷がついてしまうのは嫌だ…。」といった理由で、本人ではなく第三者が代わりに警察署などに出頭するという身代わり出頭事件は度々ニュースで話題になっていますね。
しかし、身代わり出頭を頼んだ側も、その要求を受けた側も刑事責任を負うことになるのです。
身代わり出頭を引き受けた側の責任
何らかの罪や法律違反に該当するような行為を行った者の代わりに、自らが行ったと警察署などに出頭した場合には、刑法上の犯人隠避罪が成立する可能性があります。
第百三条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
犯人隠匿罪の構成要件(犯罪類型)は、
①罰金以上の刑にあたる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を
②隠避させたこと
です。
本罪の客体は、「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃亡した者」です。
前者の「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」における「罰金以上の刑に当たる罪」というのは、法定刑に罰金以上の刑を含む罪を指します。
「罪を犯した者」とあるので、訴追・処罰の可能性がある者でなければなりません。
過去の判例は、「罪を犯した者」の意義について、犯罪の嫌疑を受けて捜査・訴追されている者と解しています。
告訴権の消滅や、時効の完成などにより訴追・処罰の可能性がなくなった者については、本罪の客体とはなりません。
一方で、保釈中の者であっても、その行方をくらませば公判手続・刑の執行に支障が生じるので、保釈中の者は「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」に該当します。
また、後者の「拘禁中に逃走した者」についてですが、法令により拘禁されている間に逃走した者のことです。
次に、本罪の行為である「隠避」とは、「蔵匿」以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れしめるべき一切の行為をいいます。
「蔵匿」は、官憲による発見・逮捕を免れるべき隠匿場所を提供することです。
逃走のために資金を調達することや、身代わり犯人を立てるなどの他にも、逃走者に捜査の形勢を知らせて逃避の便宜を与えるなどの場合も「隠避」に含まれます。
加えて、本罪の成立には、客体である被隠避者が罰金以上の刑にあたる罪を犯した者であること、または拘禁中逃走した者であることを認識し、かつ、これを隠避することを認識すること(故意)が必要となります。
「罰金以上の刑にあたることの認識」について、過去の裁判例は、罪を犯した者または拘禁中に逃走した者であることの認識で足り、その法定刑が罰金以上であることまで認識している必要はないと解しています。(最決昭29・9・30)
以上のように、犯人の代わりに警察署などに出頭した場合には、犯人隠避罪に問われる可能性があるのです。
あなたが、犯人隠避の疑いで捜査機関から取り調べを受けてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、初回に限り無料で法律相談を行います。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで今すぐご連絡を!

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。