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出待ちとつきまといの線引き

2019-02-23

出待ちとつきまといの線引き

出待ちつきまといの線引きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
アイドルグループのVさんのファンであるAさんは、Vさんに会うため、コンサート等で移動する際、駅や空港で出待ちしたり、執拗に追いかけてカバンの中にプレゼントを入れたり、手を握ったり、挙句の果てには、プライベートでの外出先に押し掛け、飲食店の隣の席に座るなどの行為を行っていました。
Aさんの行為に困り果てたVさんは、会社から警察に相談してもらい、警察はAさんに警告をしました。
しかし、Aさんの行為は止むことがなく、むしろエスカレートしていきました。
ついに、兵庫県神戸市中央区で開催されたコンサートで出待ち中のAさんは、兵庫県生田警察署に逮捕されることとなりました。
Aさんは、自身の行為はストーカー行為ではなく、出待ち行為だと容疑を否認しています。
(フィクションです)

ストーカー行為で刑事事件

ファンの行き過ぎた追っかけや出待ち行為が、時に犯罪となることもあります。
ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、ストーカー行為を規制する法律です。
本法でいう「ストーカー行為」とは、以下のように定義されます。

同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。(ストーカー規制法第2条3項)

つまり、「つきまとい等」を「反復して」行うことを「ストーカー行為」といいます。

ここで問題となる「つきまとい等」についてですが、以下の要件を満たすものをいいます。

特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。(ストーカー規制法第2条1項)

「ある人に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」をもって、「その人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して、第1号から8号に該当するような行為をすることが「つきまとい等」となります。

さて、ファンの「出待ち」だけで「ストーカー行為」に当たってしまうのでしょうか。
通常、ファンの「出待ち」とは、その有名人が劇場、テレビ局、コンサート会場などでの公演が終わり、その施設から出てくるのを見たり、声をかけるために、当該施設の出入り口で待機することをいいます。
この行為自体は、第1号に当たりそうですが、これには「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる」場合に限定されていますので、単にテレビ局やコンサート会場付近で、サインを求めるために出待ちする程度では該当せず、「ストーカー行為」には当たらないでしょう。
しかし、上記のケースのAさんの行為は、単なる出待ちを超えてしまっており、Vさんに「不安を覚えさせるような方法」で繰り返し待ち伏せ等をしているわけですから、ストーカー行為に当たるでしょう。

ファンの「出待ち」行為と「ストーカー行為」の明確な線引きは、なかなか難しいものがありますが、あきらかに度を越えた行為は、ストーカー行為となり、刑事事件化することもあります。
刑事事件化してしまった場合には、早急に刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ストーカー規制法違反事件を含めた刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、0120-631-881までご連絡ください。

少年事件で観護措置回避

2019-02-22

少年事件で観護措置回避

少年事件観護措置回避に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西宮市に住む少年Aさん(16歳、高校1年生)が、友人と共謀し、ドラッグストアの化粧品など計5点を万引きしたとして兵庫県甲子園警察署に逮捕されました。
Aさんらは、今回の他にも、同様の手口で万引きを繰り返しており、Aさんは見張り役として関与していました。
Aさんは、逮捕後に勾留され、心配した両親が少年事件専門の弁護士に弁護を依頼することになりました。
Aさんは、その後、神戸家庭裁判所尼崎支部に送致されましたが、付添人の働きかけにより、観護措置をしない旨の決定をしました。
(フィクションです)

観護措置について

観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を円滑に行うために、一定期間少年を少年鑑別所に収容し、調査や鑑別などを行い、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護し少年の安全を図る措置のことをいいます。
逮捕・勾留されている身柄事件の場合、家庭裁判所に送致された日に、裁判官による審問手続を経た上で、その日のうちに決定されます。
観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する在宅看護と、少年鑑別所に収容する収容観護の2種類がありますが、実務上、前者はほとんど活用されることはなく、観護措置という場合は後者を指すのが通例となっています。

観護措置の期間は、法律では原則2週間とされていますが、実務上は、ほとんどの事件で1回更新されていますので、4週間が通例となっています。

少年法は、観護措置の要件について、「審判を行うために必要があるとき」と規定しており、その詳細については定めていませんが、一般的には以下の要件をみたす必要があると考えられています。
①審判条件があること
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる事情があること
③審判を行う蓋然性があること
④観護措置の必要性が認められること

④の要件については、以下の事由がある場合に認められます。
ア 調査・審判・決定の執行を円滑・確実に行うために少年の身体を確保する必要があること
イ 緊急に少年の保護が必要であること
ウ 少年を収容し心身鑑別をする必要があること

実務上、身柄事件として家庭裁判所に送致された少年の多くについて、観護措置の決定がなされています。
しかし、観護措置により、少年の身柄を約4週間拘束することになりますから、少年の学業や就業にとって大きな障害となり、ひいては少年の更生への妨げとなる場合も少なくありません。
そのような場合には、弁護士は付添人として、観護措置決定を回避するための活動を積極的に行う必要があります。
観護措置の決定がなされた場合であっても、観護措置決定に対する不服申し立てを検討すべき場合もあります。

観護措置決定を回避するために、付添人は、具体的には以下のような活動を行います。
・少年が家庭裁判所に送致される日を確認し、送致されたらすぐに付添人選任届、観護措置をとる必要がない旨の意見書及び保護者の陳述書や身元引受書、少年作成の反省文など、必要な資料を家庭裁判所に提出。
・家庭裁判所の裁判官との面談を申し入れ、事件について説明し、かつ、裁判官が把握していないであろう少年に有利な事情を説明し、観護措置をとる必要がない旨を主張。

このような活動により、身柄事件であっても、観護措置がとられない可能性を高めることができます。

お子様が事件を起こしてしまい、逮捕・勾留された、家庭裁判所に送致され観護措置がとられる可能性があると心配されているのであれば、今すぐ少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。
兵庫県甲子園警察署までの初回接見費用:36,200円)

特殊詐欺事件で試験観察を経て保護観察処分へ

2019-02-21

特殊詐欺事件で試験観察を経て保護観察処分へ

特殊詐欺事件での試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
少年(19歳)は、他の共犯者らと共謀の上、特殊詐欺組織の現金受け取り役として被害者宅に赴き、被害者から現金300万円を受け取ろうとしていたところ、待機していた兵庫県淡路警察署の警察官に逮捕されました。
少年は、逮捕・勾留後、家庭裁判所に送致され、観護措置がとられました。
本件の他にも、同様の特殊詐欺事件に関与したとして、余罪についても家庭裁判所に追送致されました。
少年の両親は、このままでは少年院送致となるのではないかと心配になり、少年事件専門の弁護士に相談しました。
少年事件専門の弁護士を付添人に選任し、第一回審判では試験観察となり、3か月間の試験観察を経て、第二回審判では保護観察処分が言い渡されました。
(事実を基にしたフィクションです)

特殊詐欺事件と少年事件

「高額アルバイト」などと称して、少年に特殊詐欺の片棒を担がせるケースが後を絶ちません。
特殊詐欺に関与した少年たちは、何も非行歴のある少年に限りません。
その多くが、非行歴や補導歴もない少年たちなのです。
「簡単」「高収入」といった甘い言葉を鵜呑みにして、犯罪組織の末端の役割を担った結果、捜査機関に逮捕されてしまうケースが多く見受けられます。
特殊詐欺事件は、被害額も多く、社会的な影響が大きいことや、組織犯罪の資金源となっていることが多く、近年厳しく処罰される傾向にあります。
20歳未満の少年の場合、初犯であっても、いきなり少年院送致の処分となる可能性もあるのです。

試験観察とは

少年事件は、原則、すべての事件が、捜査機関による捜査が終了すると、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致されると、調査官による調査、少年審判を経て、少年の更生に適した処分が決定されます。
その処分には、中間処分と終局処分とがあります。

相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。
少年が日記をつけることや、定期的に家庭裁判所に出向き調査官と面接することなどといった遵守事項が定められることが多くなっています。
試験観察の期間は、通常3か月から半年ほどです。

特殊詐欺事件の様な少年院送致の可能性がある少年事件の場合で、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。

兵庫県の少年事件でお困りの方、少年院に収容されるのではと心配されていらっしゃるのであれば、少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談されてはいかがでしょうか。
詳しくは、フリーダイアル0210-631-881までお問い合わせください。

不適切動画で業務妨害事件

2019-02-20

不適切動画で業務妨害事件

不適切動画業務妨害事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県姫路市にある飲食チェーン店でアルバイトとして働く大学生のAくん(21歳)は、客がいない時間帯に、店内で他のアルバイト店員と食材を投げ合う等不適切な行為を撮影した動画を、ネットにアップしました。
Aくんは、数時間後に動画を削除しましたが、その間に動画は拡散し、世間に知れ渡る結果となりました。
Aくんはアルバイトを解雇されることになりましたが、会社からは、相応の対応をすると言われており、刑事責任にも問われるのではないかと心配になり、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(事実を基にしたフィクションです)

不適切動画で刑事事件に発展!?

ここ最近、某有名飲食店において、アルバイト店員が、悪ふざけのつもりで、店内で物を投げたり、食材を無下に扱ったりする様子を撮影し、その動画をネットにアップするというケースが後を絶ちません。
本人たちは、笑いをとるために行っただけかもしれませんが、結果、会社のイメージを下げ、経営に影響を与えたり、会社側が公に謝罪をしたりと、会社側が多大なる不利益を被ることになっています。
会社から本人に対して損害賠償請求などが行われる可能性もありますが、それ以外にも、刑事責任に問われる可能性もあるのです。

業務妨害罪

業務妨害罪は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の業務を妨害する(「偽計業務妨害罪」)、或いは、威力を用いて、人の業務を妨害する(「威力業務妨害罪」)犯罪です。

偽計業務妨害罪および威力業務妨害罪は、「人の業務を妨害する」という点で同じですが、その手段が、「偽計の風説を流布し、又は偽計を用いて」であるのと、「威力を用いて」であるのとで異なります。
「業務」というのは、自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連して行う職業その他の継続して従事することを必要とする事務のことを指します。
「妨害」について、判例は、妨害の結果発生は不要であり、業務を妨害するに足りる行為が行われればよいとしています。(大判昭11・5・7)
つまり、判例は、業務妨害罪を抽象的危険犯と捉えています。
上の業務が妨害されたか否かという点は、当該業務が実際に妨害されたかという結果は必要とされず、業務が妨害される可能性がある行為であることで足りるのです。
この点、不適切動画の拡散行為は、結果として、会社が当該行為に対する問合せに対応したり、謝罪を行うなど、本来の業務を行う時間を割かなければならず、実際に業務が妨害されたと言えるでしょう。

次に、手段についてみていきたいと思います。
偽計業務妨害罪における「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて」について、「虚偽の風説の流布」とは、少なくとも一部が客観的事実に反する噂や情報を不特定又は多数人に伝搬することをいいます。
直接伝達したのが少数であっても、その者を介して多数人に伝播するおそれがあるときには、これにあたります。
また、「偽計」とは、人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用することです。
裁判例では、外面からわからないように漁場の改定に障害物を沈め、漁業者の漁網を破損させて漁獲不能としたもの、中華そば店に多数回の無言電話をかけて業務を妨害したもの、他人名義で虚偽の電話注文として、徒労の商品配達をさせたもの、などがあります。
一方、威力業務妨害罪の「威力」というのは、人の自由意思を抑圧するに足りる勢力のことをいいます。
裁判例では、デパートの食堂の配膳部にヘビをまき散らしたもの、机の引き出しに猫の死骸を入れ、これを被害者に発見させたもの、キャバレーの客席で牛の内臓をコンロで焼いて悪臭を放ったものなど、人の意思に働きかけるものから公然と行われた妨害行為まで広く認められています。
「偽計」と「威力」の区別は、時に微妙な場合がありますが、相手の錯誤を誘発する(=「偽計」)か、人の自由意思を制圧する(「威力」)かで区別することになっています。
もちろん、どのケースでも明確に区別できるというものではなく、事案ごとに判断されます。

しかし、業務妨害罪は故意犯ですので、罪を犯す意思がなければ成立しません。
「人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用し、若しくは、人の自由意思を抑圧するに足りる勢力を用いて、人の業務を妨害する」という意図や認識を持ち、当該行為を行った場合に、業務妨害罪は成立することになります。

悪ふざけのつもりで不適切動画を拡散させてしまったことにより、民事責任だけでなく、場合によっては刑事責任が問われることもあります。
自分の行為が犯罪となるのか、犯罪となる場合にはどのように対応すればよいのか、お困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

神戸市垂水区で緊急逮捕

2019-02-19

神戸市垂水区で緊急逮捕

緊急逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市垂水区にある交番を訪れたAさんは、対応した警察官に対して「覚せい剤を打った」と申告しました。
警察官は、Aさんを兵庫県垂水警察署に任意同行し、尿検査をしたところ、覚せい剤の陽性反応が出たため、Aさんを覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで緊急逮捕しました。
Aさんは、「仕事でのストレスが原因で覚せい剤を使用した」と供述しているとのことです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

緊急逮捕とは

一定の重大犯罪について、充分な嫌疑があり、急速を要する場合に、逮捕後「直ちに」逮捕状を請求することを条件として認められる無令状の逮捕を「緊急逮捕」といいます。
緊急逮捕をする際には、その理由を告げることが必要とされます。
その理由には、被疑事実の要旨および急速を要する事情にあることが含まれます。

第二百十条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

緊急逮捕の要件
①死刑・無期・長期3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があること。
②急速を要し、裁判官の逮捕状を請求することができないこと。
③理由を告知したこと。
④逮捕後直ちに逮捕状請求の手続きをすること。
⑤逮捕の必要性があること。

このように、緊急逮捕には厳しい要件が課されています。

逮捕状によらず被疑者を逮捕することができるとする刑事訴訟法210条は、現行犯逮捕のみを例外とする逮捕状による逮捕の原則を規定している日本国憲法33条に反するとの主張が過去にありました。

第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

これに対し、最高裁判所は、緊急逮捕は合憲であるとする判決を下しました。

「しかし刑訴二一〇条は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足る充分な理由がある場合で、且つ急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができるとし、そしてこの場合捜査官憲は直ちに裁判官の逮捕状を求める手続を為し、若し逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を釈放すべきことを定めている。かような厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法三三条規定の趣旨に反するものではない、されば所論違憲の論旨は理由がない。」(最判昭30・12・14)

上記ケースでは、Aさんは、覚せい剤取締法違反(使用)を自ら申告しており、尿検査でも陽性反応が出ています。
覚せい剤取締法違反(使用)の法定刑は、10年以下の懲役です。
ですので、①の要件はクリアしています。
次に、②の要件ですが、逮捕状を請求している間に被疑者が逃亡してしまうおそれ、また証拠隠滅されるおそれがある場合には、当該要件を満たしていると言えるでしょう。
同じく、⑤の要件についても、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断される場合に、当該要件を満たすと言えます。
更に、③および④を欠く場合には、違法逮捕となってしまいますので、これらの要件も満たしていれば、Aさんに対する緊急逮捕は適法であると言えるでしょう。

緊急逮捕された後の流れは、警察は、逮捕時から48時間以内に釈放するか検察に送致されるか判断します。
検察に送致された場合には、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか勾留請求するかを決めます。
勾留請求がされると、裁判官は被疑者を勾留するか釈放するかを決定し、勾留された場合には、検察官が勾留請求した日から原則10日間(延長されると最大で20日間)身体拘束となります。

兵庫県神戸市垂水区でご家族が薬物事件で緊急逮捕となりお困りであれば、薬物事件にも適切かつ迅速に対応する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

業務上横領事件で私選弁護人

2019-02-18

業務上横領事件で私選弁護人

業務上横領事件で私選弁護人を選任する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県丹波市の会社で経理を担当していたAさんは、勤務先から計1000万円を横領したとして、兵庫県丹波警察署から取調べを受けていました。
その後、神戸地方検察庁での取調べを受け、業務上横領罪で起訴されました。
Aさんは、国選弁護人が付いていましたが、刑事事件を専門としていなかったので、刑事事件専門とする弁護士を私選弁護人に選任しようか迷っています。
(事実を基にしたフィクションです)

業務上横領罪とは

刑法第253条(業務上横領)
 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、①業務上の委託に基づき、②自己の占有する他人の物を、③横領する犯罪です。

①業務上
「業務」というのは、委託を受けて他人の物を占有または保管する事務を反復継続して行う地位のことを意味します。
例えば、質屋や倉庫業者、職務上金銭を保管する役職員などが、業務上の占有者です。
上記ケースでは、Aさんは、会社で経理を担当していたので、「業務上」の要件を満たすでしょう。

②自己の所有する他人の物
これは、業務と関連して理解自己が占有する他人の物を指します。
「占有」とは、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態のことをいいます。
他人から預かった金銭を預金した者や小切手振出をゆだねられた者は、その人の金銭が入っている預金を占有していると理解されます。

③横領
「横領」の意義については、不法領得の意思を実現する一切の行為と理解する「領得行為説」と、委託の趣旨に反する権限逸脱行為と理解する「権限行為説」とが主張されていますが、判例及び通説は、前者の「領得行為説」の立場を採っています。
この説によれば、横領とは、「委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為」を含みます。
ここでいう「不法領得の意思」というのは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その者につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいいます。
よって、領得行為説において、「横領」行為は、「不法領得の意思を表現する一切の行為」のことで、売買、贈与、質入れ、抵当権の設定、消費、着服などが含まれます。
「不法領得の意思」は、自己のために領得する意思に限定せず、行為者と特殊の関係を有する第三者に領得させる意思があってもよいとされます。
委託者本人のために物を処分した場合、原則としては「不法領得の意思」は認められませんが、その処分が委託の趣旨に反し許されないものであるときには、不法領得の意思が認められます。
また、処分した者を後日補填する意思があった場合でも、「不法領得の意思」が認められることがあります。

上記ケースにおいて、Aさんがもっぱら自分のために使う目的で、会社のお金を着服していたのであれば、業務上横領罪が成立すると考えられます。

国選弁護人と私選弁護人

被疑者及び被告人には、弁護人を選任する権利が保障されます。
あなたが、刑事事件の被疑者・被告人となった場合、あたなはいつでも弁護人を選任することができます。
刑事事件の手続において、被疑者・被告人のために様々な弁護活動を行う弁護士を弁護人といい、この弁護人は「国選弁護人」と「私選弁護人」とに分けることができます。
国選弁護人というのは、貧困などの事情により、自分で弁護人を選任し弁護を依頼することができない場合に、国(裁判所)が弁護人を選任し、その費用を負担するものです。
費用がかかりませんので、経済的な負担はぐっと減ります。
しかし、選任された弁護士が必ずしも刑事事件に精通しているとは限りませんし、被疑者・被告人本人やその家族が選ぶことができないので、弁護人と弁護される側との相性がいいのかも判断しかねることがあります。
一方、私選弁護人は、自身で費用も負担しなければなりませんが、刑事事件に強い弁護士を選ぶこともできますので、そのような弁護士に弁護を依頼した場合には、迅速かつ適切な弁護活動を期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
あなたやあなたの家族が、刑事事件の被疑者・被告人となりお困りの方、一度弊所の弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。

器物損壊事件で示談

2019-02-17

器物損壊事件で示談

器物損壊事件での示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県三田市に住むAさんは、自宅の前に度々路上駐車してある車があることに腹を立てていました。
ある日、偶然持ち主が車に乗るところに遭遇し、自宅前に駐車しないよう注意しました。
しかし、その後も自宅前に駐車され続けていたことに激怒したAさんは、持っていた自宅のカギで停車中の車の車体に傷をつけました。
翌日、兵庫県三田警察署からやってきた警察官に、車の持ち主が被害届を出していると言われ、警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)

器物損壊罪とは

刑法第261条(器物損壊等)
 前3条[公用文書等毀棄、私用文書等毀棄、建造物等損壊及び同致死傷]に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料の処する。

器物損壊罪の客体は、「前3条に規定した以外の他人の物」です。
これには、動産・不動産だけでなく、ペットなどの動物も含まれます。

器物損壊罪の行為は、「損壊」または「傷害」することです。
「損壊」というのは、物理的に壊す行為に限定されず、広く物本来の効用を失わしめる行為を含みます。
過去の裁判例では、他人の飲食器に放尿する行為(大判明42・4・16)、荷物から荷札をとりはずす行為(最判昭32・4・4)、公選法違反のポスターにシールを貼る行為(最決昭55・2・29)などが「損壊」に該当するとしています。

また、「傷害」は、客体が動物の場合に用いられます。
動物を物理的に殺傷する以外に、本来の効用を失わせる行為を含みます。
例えば、鳥かごを開けて他人の飼っていた鳥を逃がす行為や、池に飼育されている他人の鯉をいけすの柵を外して流出させる行為などです。

上記ケースのように、車の車体に傷がつけられた場合、その車を運転することはできますが、持ち主は傷がついた車に乗りたくはないでしょうし、その車を売りに出す際には、傷がついた車の価値は下がりますので、売値にも影響します。
ですので、Aさんは「他人の物を損壊した」と言えるでしょう。
しかし、もしAさんが過失で車に傷をつけた場合には、器物損壊罪は成立しません。
故意に、つまり、わざと他人の物を損壊した場合にのみ成立します。
Aさんは、この点、故意がありますので、器物損壊罪が成立するでしょう。

器物損壊事件における弁護活動~示談~

器物損壊罪は親告罪です。
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
告訴というのは、被害者自身やその親族などの告訴権者が、捜査機関に犯罪の事実を申告し、処罰を求める意思表示のことです。
ですので、器物損壊事件において、事件を穏便に解決するためには、被害者との示談を締結し、告訴しない旨や告訴をしている場合にはその取下げを約束してもらうことが重要です。
通常、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行います。
というのも、被害者との接触を避けるため、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えない場合も多いですし、被害者が加害者本人に直接会うことを拒否するなど、加害者が直接被害者と連絡がとれないというケースが多いからです。
また、被害者の連絡先を知っていたとしても、当事者同士では、感情論に発展し、なかなか交渉が進まないことも多々見受けられます。
そのような場合でも、弁護士限りであればと被害者が捜査機関に連絡先を教えることも多く、弁護士は、被害者の気持ちに配慮しつつ、加害者側の謝罪や反省の気持ちを伝え、示談をすることのメリット・デメリットを丁寧に説明した上で、粘り強く示談締結に向けて交渉します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
所属弁護士は、これまで数多くの刑事事件を取り扱ってきており、その中で示談交渉を何度も行ってきております。
兵庫県三田市器物損壊事件でお困りの方、被害者との示談交渉でお悩みの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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少年の刑事事件

2019-02-16

少年の刑事事件

少年刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県須磨区に住むAさん(当時16歳)は、神戸市内の高校に通っていました。
Aさんは、同じ高校に通うBさんに対し、かねてより好意を抱いており、「いつか付き合うことができれば・・・」と思っていました。
しかし、Bさんに直接告白することができないAさんは、せめて下着の色くらい見てみたいと思い、Bさんを盗撮することとしました。
AさんはたまたまBさんと同じ電車で通学していたため、学校の最寄り駅までBさんのあとをつけ、エスカレーターに乗ったところで背後から動画モードにしたスマートフォンをスカート内に差し入れました。
Aさんの行為は、反対側のエスカレーターに乗っていた通行人に目撃され、ただちにBさんや周りの人に発覚してしまい、Aさんはそのまま長田警察署に連行され、そのまま逮捕されてしまいました。
不安になったAさんの両親は、すぐに少年事件に精通する弁護士に相談電話を入れました。
(フィクションです)

少年の刑事事件

Aさんは、現在長田警察署に逮捕されています。
この後Aさんはどのようになるのでしょうか。
 
まず、Aさんは長田警察署で取調べを受けます。
逮捕という手続きは、警察署で最長48時間身体拘束をされる手続きです。
その後、Aさんは神戸検察庁にそのまま連れていかれます。
ここで、検察官から取調べを受けますが、この取調べが終わった後にどのような手続きになるのかが、少年の場合には複数の可能性が考えられます。
①48時間で警察が捜査を終え、これ以上捜査をする必要性がないと判断された場合には、検察官は事件を直接家庭裁判所に送致します。
②48時間では捜査が終了していないと判断された場合には、検察官はさらに身体拘束を継続する必要性があるか判断します。
今回のように、被害者と加害者の人間関係が近いような事件の場合には、盗撮のような比較的軽微な事件であったとしても、身体拘束の継続の必要性があると判断される可能性があります。
そのような場合に、勾留という手続きにより身体拘束が継続されますが、10日ないし20日間身体拘束される可能性があります。
この勾留という手続きが終了すると(日数が経過すると)検察官は事件を家庭裁判所に送致します。

家庭裁判所送致後の手続き

家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所の裁判官は、観護措置を取る必要があるか判断します。
観護措置とは、少年鑑別所に通常4週間収容した上で、少年の心身の状態を調査するという手続きになります。
4週間もの間身体拘束をするものですから、少年にとって非常に負担が大きなものになります。
観護措置の必要性がないと判断された場合には、家庭裁判所でそのまま釈放されることとなります。

少年事件のポイント

少年事件は、基本的にすべての事件が家庭裁判所に送致されます。
これは、例外はほとんどなく、たとえ被害者との間の示談が成立するなどしても、家庭裁判所に事件が送られてしまいます。
また、家庭裁判所では、少年の健全な育成という観点から、どのような指導を行えば、少年が再非行をしないかという点が重視されます。
そのため、少年が真に反省しているかどうかという点が調査されます。
今回の事件で言えば、「付き合うことができない」から「下着を見たい」という動機は、直ちには理解しにくいところです。
このようなことがBさんにばれてしまえば、必ずBさんから嫌われてしまいます。
Aさんはこのようなことまで考えられていたのでしょうか。
このように、非行をした少年には、何等かの点で十分に考えられていない点があることが多くあります。
家庭裁判所に送致された後は、このような点について、少年と一緒になって考え、どのようにすれば再び同じようなことをせず、相手の気持ちなどを十分考えられるのかということを話し合っていく必要があります。

このように、少年事件における弁護人・付添人の活動は、成人の刑事事件における活動と異なるところがありますので、少年事件でお困りであれば、少年事件に精通する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件および刑事事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしてしまった、警察に逮捕されてしまった…とお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

入管法違反事件の刑事手続

2019-02-15

入管法違反事件の刑事手続

入管法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
日本で生活していた外国籍のAさんは、かつて偽造パスポートで入国したことが発覚し、兵庫県美方警察署入管法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの友人は、今後Aさんは起訴されてしまうのか、今後の手続はどうなるのか不安になり、外国人事件にも対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

入国管理法違反事件~不法入国等の罪~

偽造したパスポートを使って日本に入国した場合、不法入国罪が成立する可能性があります。

第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
一 第三条の規定に違反して本邦に入つた者

第三条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入つてはならない。
一 有効な旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)
二 入国審査官から上陸許可の証印若しくは第九条第四項の規定による記録又は上陸の許可(以下「上陸の許可等」という。)を受けないで本邦に上陸する目的を有する者(前号に掲げる者を除く。)

「有効な旅券」というのは、権限ある官憲により適式に発行され、形式と実体の両面から見て有効である旅券のことです。
不法入国罪の時効は、3年です。
不法入国したときから3年が経過すれば、不法入国の罪には問われないことになりますが、不法に在留する行為について不法在留罪が成立することになります。
不法入国罪で逮捕・勾留された場合、最大で逮捕から23日間身柄が拘束されることになります。
起訴するか否かの判断は、検察官が行います。
その時の政策が、起訴・不起訴の判断にも影響を与えるようです。
起訴された場合、初犯であり、かつ、余罪等もなければ、執行猶予となる可能性が高いでしょう。
また、不起訴となった場合でも、不法在留の状態は続いているので、入国管理局に移送され、退去強制の手続がとられることになります。

即決裁判手続

軽微な入管法違反事件においては、「即決裁判手続」がとられる場合があります。
即決裁判手続は、争いのない簡易かつ明白な事件につき、簡易で迅速な裁判を可能とすることで、手続の合理化・迅速化を図る制度です。
略式手続と異なり、罰金や科料だけでなく、懲役や禁錮の言渡しも可能ですが、略式手続と同じく、被疑者の同意が手続の前提となっています。
懲役・禁錮を言い渡す場合は、必ず執行猶予が付されます。

退去強制手続

第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
一 第三条の規定に違反して本邦に入つた者

不法入国は、退去強制事由となり、特段の事情がない限りは、退去強制となります。
しかし、母国での迫害等から逃れてきた難民申請者の場合には、不法入国罪の刑が免除されます。
そのような場合には、即決裁判手続ではなく、正式裁判手続を選択することになります。

基本的に、被疑者が外国人であっても、弁護人に求められる弁護活動は、日本人である場合と変わりありません。
しかし、言語や文化が異なることで、手続がうまく理解できず、外国の方が日本人以上に不安を感じることでしょう。
そのような場合には、すぐに刑事事件・外国人事件にも対応する弁護士に相談し対応を依頼するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
弊所は、依頼者との綿密な連絡と報告、十分な報告を行い、刑事手続の段階から、その後の在留資格の問題や見通しと対処法についてアドバイスし、外国人の様々な不安を解決できるよう努めております。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881へお問い合わせください。

少年事件の処分:少年院送致

2019-02-14

少年事件の処分:少年院送致

少年事件処分少年院送致)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県相生市に住むAくん(17歳)は、受験勉強のストレスを発散させようと、深夜に自宅付近でジョギングをしていました。
ある夜、Aくんがジョギングをしていると、若い女性が路上を歩いていることに気が付きました、Aくんは、その女性の後をつけ、人気のない場所で、女性を背後から襲い、女性の服の中に手を入れて胸を掴む行為に及びました。
女性が大声を出したことで我に返ったAくんは、すぐにその場を立ち去りました。
しばらくしたある日、兵庫県相生警察署の警察官がAくん宅を訪れ、強制わいせつ致傷の疑いでAくんを逮捕しました。
Aくんの両親は、このままでは少年院に収容されるのではと不安です。
(事実を基にしたフィクションです)

少年事件の処分

少年事件は、原則すべての事件が家庭裁判所に送られ、調査・審判を経て、少年の更生に適した処分が決定されます。
この最終処分には、以下の種類があります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官送致
③知事又は児童相談所長送致
④不処分
⑤審判不開始

お子様が事件を起こしてしまった場合、ご本人やご家族が、「少年院に入ることになるのか…」と心配されることが多いように思います。
再び非行を犯すおそれが強く、社会内での更生が難しいと判断される場合、少年を少年院に収容して矯正教育を受けさせる処分を「少年院送致」といいます。

少年院の処遇

家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年や懲役・禁錮の言渡しを受けた16歳未満の少年を収容し、これらの少年に、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う施設が「少年院」です。
再び非行を犯すことなく、社会に復帰させることが目的であるので、少年院における矯正教育は少年の更生の中核となります。
少年院送致となった少年は、人間関係や学校・職場でのルールなどに適切に対応する能力が不十分である場合が多く、少年が更生するためには、少年が社会に出たときに遭遇するであろう様々な困難を乗り越え、再び非行を犯すことなく社会で生活していくことができるよう、健全なものの見方や考え方を身に着けることが重要だからです。
矯正教育は、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導を適切に組み合わせて行われます。
この中でも、生活指導は少年院における矯正教育の中心とされます。
少年院送致となる少年の多くは、基本的な生活習慣が身に付いていない、周囲とのコミュニケーション能力や自己表現力が乏しいために社会に適用できない、ものの見方や行動選択の場面に問題がある、などといったことが非行の原因となっていると考えられるので、これらの問題を改善することが少年の更生には必要不可欠と言えるからです。
生活指導には、基本的な生活習慣に関する指導から、様々な問題について講義やディスカッションを通して正しい知識や対処法を学んだり、家族との関係改善を図る指導まで幅広い内容となっています。

少年院は、少年が再び非行を犯すことがないよう、社会に適応して生活することができるよう支援する施設であり、少年院送致となることが必ずしも少年にとって不利益であるとは言えません。
しかしながら、長期間施設に収容されることで、少年の社会復帰に弊害をもたし得ることも否定できません。
お子様が事件を起こし、少年院送致が見込まれる場合には、すぐに少年事件に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
弊所の弁護士は、少年一人ひとりに合う弁護・付添人活動を行い、少年の更生に適した処分となるよう尽力します。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

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