受水槽で遊泳は浄水汚染罪!?
浄水汚染罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県小野市にあるマンションの受水槽でパンツ一丁で泳ぐ少年たちの動画がツイッターやインスタグラムから拡散しています。
マンションの管理会社は、兵庫県小野警察署に被害届を提出しました。
動画やマンションの防犯カメラから少年たちの身元が特定され、市内に住む少年Aくん(17歳)は浄水汚染の容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
他の少年も逮捕され、それぞれ異なる警察署に留置されています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
浄水汚染罪~飲料水に関する罪~
刑法には、飲料水に関する罪として、次の6つの罪について規定されています。
・浄水汚染罪(刑法第142条)
・水道汚染罪(同143条)
・浄水毒物混入罪(同144条)
・浄水汚染等致死傷罪(同145条)
・水道毒物混入罪及び同致死罪(同146条)
・水道損壊及び閉塞罪(同147条)
あまり耳にしない罪名ですが、マンションの受水槽の中で泳ぐ行為については、「浄水汚染罪」が成立する可能性があります。
それでは、「浄水汚染罪」とはいったいどのような罪をいうのでしょうか。
第百四十二条 人の飲料に供する浄水を汚染し、よって使用することができないようにした者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
浄水汚染罪の保護法益は、公衆の健康です。
飲料水は私たちの生活において欠かすことの出来ないものですので、それが汚染され使用できなくなってしまうと、多くの人の生活や健康に害を及ぼすことになってしまうからです。
「飲料に供する」というのは、飲料として提供することを予定していることを意味します。
ですので、工業用水、灌漑用水、家畜用の飲み水などは、人の飲料に供することを予定していないので除かれます。
「浄水」とは、人の飲料に供し得る程度の水のことをいいます。
また、「汚染」については、水の清潔な状態を不潔にすることを意味し、その方法は物理的・科学的・心理的であるとを問いません。
不潔な状態が一時的か、或いは長時間続いているかといった点も問題となりません。
「使用することができないようにし」とは、飲料水として使用不能の程度に至らせることを意味します。
使用については、一時的であってもよく、使用できなくなった理由は、物理的・科学的・心理的であるかを問いません。
それでは、上記ケースのように、マンションの受水槽の中で泳ぐ行為について検討していきましょう。
「受水槽」というのは、建築物内で使用する水を貯留する設備のことです。
問題となっているマンションの受水槽は飲料水を貯めていたということですので、「人の飲料に供する浄水」という部分は当てはまりますね。
それでは、受水槽の中で泳ぐ行為によって当該浄水が「汚染」され、その結果「使用することができないようにした」と言えるでしょうか。
前述のように、「使用することができない」というのは、飲料水として使用不能の程度に至らせることです。
過去の判例では、「通常人の感覚を基準として、物理的、生物的または心理的に使用に堪えない」ことをいうとされています(最判昭36・9・8)
一般的には、人が泳いだ後の水を飲む気にはなりませんので、心理的に当該浄水を飲料水として使用することはできないと言えるでしょう。
このように、受水槽の中で泳ぐ行為は犯罪に該当し刑事責任を問われる可能性があるのです。
いたずらや遊びのつもりでと軽い気持ちでやったとしても、それは言い訳にはなりません。
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