【少年事件】ぐ犯事件で家庭裁判所送致

ぐ犯事件で家庭裁判所送致となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
Aさん(16歳)は、深夜に兵庫県神戸市中央区の繁華街にいたところを兵庫県生田警察署の警察官に補導されました。
その際、Aさんが家出をしており、ネットで知り合った男性宅に居候していること、そして、生活費や遊ぶお金を稼ぐために売春行為をしていることが発覚しました。
生田警察署は、Aさんの保護者に連絡を取り、Aさんのことで話が聞きたいので署まで来るように言いました。
Aさんの母親が生田署に行き、警察官と話をしたところ、後々家庭裁判所で審判を受けることになるだろうと言われました。
今後、どのような流れになるのか不安になったAさんの母親は、すぐに少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

ぐ犯事件について

少年法は、その第1条において、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」ことを目的して定めています。
少年法は、少年が行った過去の犯罪に対する応報として少年を処罰するものではなく、将来二度と犯罪・非行を行わないように少年を改善教育することを目的とするものです。
この目的には、少年が犯罪・非行に陥らないように予防するということも含まれています。
そのため、家庭裁判所が審判の対象とする少年には、
①犯罪少年:罪を犯した少年。
②触法少年:刑罰の定めのある法令に触れる行為をしたけれど、行為時に14歳未満であるため、刑法上罪を犯したことにならない少年。
に加えて、
ぐ犯少年
も含まれます。

ぐ犯少年とは

ぐ犯少年」とは、一定の事由があり、その性格や環境からみて将来罪を犯すおそれのある少年のことをいいます。
具体的なぐ犯少年の要件は、①ぐ犯事由、および、②ぐ犯性、です。

①ぐ犯事由
少年法は、ぐ犯事由として次の4つを挙げています。(第3条1項3号)
イ.保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ.正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
ハ.犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること。
ニ.自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

これらの要件の事由のいずれか1つに該当すれば足りますが、実際は複数のぐ犯事由に複合的に該当することが多くなっています。
ぐ犯事由は、いずれも一定期間にわたる行状、性癖でなかればならず、ある特定の時期のみ事由があるというだけでは足りません。

【イ.保護者の正当な監督に服しない性癖のあること】
少年が、保護者の監督を必要とするにもかかわらず、保護者の監督に従わない常習性があること。

【ロ.正当な理由がなく家庭に寄りつかない】
少年の性格・年齢・家庭の状況等を総合して、少年が家庭に戻らないことに正当な理由がない場合のこと。
家庭内で虐待を受けているため、少年が家を出たような場合は該当しません。

【ハ.犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること】
例えば、暴力団、暴走族などの非行を誘発するような反社会的集団に加入したり、不良仲間と交友したり、不健全な風俗営業や遊興施設などに出入りすること。

【ニ.自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること】
社会的・倫理的通年に反する行為を自ら行う、または他人にさせるような常習性があること。
例えば、風俗で働いたり、援助交際をする場合など。

②ぐ犯性
ぐ犯性」というのは、少年の性格や環境に照らして、将来、罪を犯したり、刑罰法令に触れる行為をするおそれがあることです。
このぐ犯性の有無については、将来における事実を予測するものであり、単なる推測だけでは不十分であり、経験則に基づく高度な蓋然性が必要とされます。

ぐ犯事件の流れ

警察などの捜査機関がぐ犯少年を認知した場合、ぐ犯は犯罪ではないため捜査をすることはできませんが、ぐ犯調査を行います。
ぐ犯調査は、少年や保護者、参考人を呼び出して質問をするなどして、事件の事実、原因や動機のほか、少年の性格・行状・経歴・教育程度・家庭や学校などの状況・交友関係などについての調査が行われます。
ぐ犯調査の結果、少年が14歳未満の場合は、児童相談所に通告し、14歳以上18歳未満の場合には、児童相談所に通告する、もしくは、家庭裁判所送致します。

14歳以上の少年が、犯罪少年として捜査の対象となったものの、捜査の結果、犯罪の嫌疑がないと判断された場合でも、ぐ犯が成立すると判断した場合は、捜査機関から家庭裁判所送致されます。

家庭裁判所送致された後の手続は、犯罪少年の場合と同様に、家庭裁判所の調査を行った上で、審判に付されて、最終的な処分が言い渡されます。

ぐ犯事件の場合、問題行為が繰り返し行われているなど、要保護性が高いことが多いため、要保護性の解消に向けた活動、特に環境調整が重要となります。
少年事件において、弁護士には、少年の手続き上の権利を擁護するということに加え、少年の更生に向けた環境調整を行うという重要な役割が期待されます。

ぐ犯事件でお困りの方は、少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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