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置き引き事件で逮捕
置き引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県西脇市にあるパチンコ店で、席に置いてあった他人の財布を持ち逃げしたとして、会社員のAさんは兵庫県西脇警察署から取調べのため出頭するよう連絡を受けました。
Aさんは、どのような罪に問われるのか、今後どのように対応すればよいのか不安で仕方ありません。
(フィクションです。)
置き引き事件について
置き引きというのは、一般的に、置いてある他人の荷物を持ち逃げすることをいいます。
例えば、パチンコ店やゲームセンターで置き忘れた財布、スーパーマーケットのトイレに忘れてあったカバンなどを勝手に持ち帰ってしまう行為のことを指します。
このような行為は、窃盗罪もしくは占有離脱物横領罪に当たる可能性があります。
1.窃盗罪とは
窃盗罪は、①他人の財物を、②不法領得の意思をもって、③窃取したこと、により成立する犯罪です。
①他人の財物
「他人の財物」とは、他人の占有する他人の財物を意味します。
ここでいう「占有」というのは、人が財物を事実上支配し、管理する状態のことです。
占有は、「占有の事実」と「占有の意思」の2要素で構成されています。
まず、「占有の事実」というのは、占有者が財物を事実上支配している状態のことです。
事実上の支配があるかどうかは、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、距離などによる客観的かつ物理的な支配関係の強弱を考慮して判断されます。
財物が占有者の物理的支配力の及ぶ場所にある場合や、社会通念上その財物の支配者を推知し得る状態にある場合には、占有の事実が認められます。
次に、「占有の意思」についてですが、これは、財物を事実上支配する意欲や意思を指します。
この意思は、包括的な意思であったり抽象的な意思であっても構わず、財物に対する事実的支配が明確な場合には、睡眠中であっても占有の意思が認められます。
②不法領得の意思
窃盗罪の成立には、故意(法定の構成要件たる事実について認識のあること)だけでなく、不法に物を領得する意思があることが必要とされます。
不法領得の意思は、権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思です。
他人の財物を一時使用した後に返還する意思でその占有を侵害する場合や嫌がらせでその物を壊したり隠すつもりで占有を侵害する場合は、不法領得の意思がなく窃盗罪は成立しないことになります。
③窃取
窃盗罪の行為である「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
以上が窃盗罪の構成要件となります。
置き引きが窃盗罪に該当するかは、犯行時、問題となる財物に対して他人の占有が及んでいたと言えるかどうかによります。
置き引きは、置いてある他人の荷物を持ち逃げする行為ですが、その置いてある荷物に対する占有が誰にあるのか、ということが問題となります。
荷物と持ち主の時間的・場所的接近性、置き忘れた場所の見通し情状、置き忘れた場所の状況、持ち主の認識・行動などを事情を総合して、一時的に財物に対する事実上の支配が失われたかのように思える場合でも、事実上の支配が直ちにかつ容易に回復できる状況にあったのであれば、占有が肯定されることもあります。
また、持ち主の占有が失われたとされる場合でも、置き忘れられた場所、例えば店内や銀行内であれば、その管理者の占有に属すると認められることがあるため、持ち主の占有が失われたことをもって直ちに窃盗罪が成立しないとは限りません。
ただ、持ち主の占有が失われたのであり、かつ財物に対しての占有が誰にも属さない場合には、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪が成立することがあります。
2.占有離脱物横領罪とは
占有離脱物横領罪は、①遺失物、漂流物、その他占有を離れた他人の物を、②横領したこと、によって成立する罪です。
これは、他人の占有に属さない他人の物を領得する行為を処罰するものです。
いずれの罪が成立するにせよ、被害者に対してはしっかりと被害弁償をする必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
置き引き事件で検挙され対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
落とし物の取得は窃盗?
他人の落とし物を取得した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
Aさんは、兵庫県豊岡市のホテルに宿泊していました。
Aさんは、ホテルのエレベーター内に財布が落ちているのを見つけ、その財布を拾い上げ自分のポケットに入れました。
後日、Aさんは、兵庫県豊岡北警察署から「△△ホテル内で財布を拾われた件について話を聞きたい。」と連絡を受けました。
ホテルの防犯カメラの映像からAさんが特定されたようですが、Aさんは自分がどのような罪に問われるのか心配しています。
(フィクションです。)
他人の落し物を自分のものとして取った場合、窃盗罪、あるいは占有離脱物横領罪が成立するものと考えられます。
1.窃盗罪
窃盗罪は、他人の財物を、不法領得の意思をもって窃取する罪です。
◇客体◇
窃盗罪の客体は、「他人の財物」です。
「他人の財物」とは、「他人の占有する財物」のことをいいます。
つまり、窃取時に、他人の占有下にある物のことです。
刑法上の「占有」は、支配意思をもって財物を支配することにより、これを事実上支配することをいうとされています。
つまり、「占有」は、占有の事実(客観的要素)と占有の意思(主観的事実)という2つの要素から構成されているものと考えられているのです。
占有の事実については、占有者が財物を事実上支配している状態をいい、事実上の支配の有無の客観的な基準として、財物自体の特性、占有者の支配の意思の強弱、距離などの客観的物理的な支配関係の強弱が考慮されます。
例えば、被害者が身辺約30センチの箇所にカメラを置いたが、バスの列が進んだためカメラを置いたまま前進したものの、カメラを置き忘れたことに気付き置いた場所まで戻ったが既にカメラが持ち去られた事件で、列が動き始めてからその場所に引き返すまでの時間が約5分、カメラを置いた場所と引き返した地点との距離は約19.58メートルにすぎないような場合は、未だ被害者の占有を離れたものとはいえないとした判例があります。(最高裁判決昭和32年11月8日)
占有の意思とは、財物を事実上管理・支配しようとする意欲・意思をいいます。
この意思は、時間的にも対照的にも包括的なもので足りるとされており、着衣内の財布、所持しているカバンの中にある財物、自宅内や事故の経営する会社の事務所内にある財物等といった事故の支配領域内に存在する財物に対しては、一般的に占有の意思があるものと考えられます。
◇行為◇
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
◇主観的要件◇
窃盗罪の成立には、①財物が他人の占有に属していること、および、②その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識すること、つまり、「故意」が必要となります。
加えて、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思」である不法領得の意思も必要となります。
2.占有離脱物横領罪
占有離脱物横領罪は、遺失物、漂流物その他戦y封を離れた他人の物を横領した場合に成立する罪です。
◇客体◇
「遺失物」とは、占有者の意思によらずにその占有を離れ、いまだ誰の占有にも属していないものをいいます。
「漂流物」は、水中にある遺失物のことです。
「占有の離れた」とは、占有者の意思に基づかないでその占有を離れたことを意味します。
◇行為◇
「横領」とは、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいいます。
それでは、上記事例について考えてみましょう。
まず、Aさんのした行為についてどのような罪が成立し得るかを考える際、落とし物である財布に対する「占有」が誰にあるのかについて問題となります。
財布の持ち主については、その者が財布を落としてから財布を落としたことに気が付くまでの時間や、気付いたときに居た場所から財布を落とした場所までの距離や戻るまでにかかる時間等にもよりますが、仮に、持ち主が落としたことに全く気が付かずホテルを出て、だいぶ後になって気が付いたとしたら、持ち主の財布に対する「占有」が失われたと考えられるでしょう。
しかしながら、元の占有者(財布の持ち主)の占有が喪失したからといって、直ちにAさんの行為が占有離脱物横領罪しか該当しないことになるわけではありません。
所有者がその占有を失った場合には、当該領域を支配している者に占有は移行すると考えられるため、旅館内のトイレや脱衣所に忘れた財布に対しては旅館主に占有があるとした判例があり(大判大正8年4月4日)、ホテル内で財布を落としたケースでは、持ち主の占有が喪失した場合には、ホテルに占有が移行するものと考えられます。
よって、Aさんが取得した財布は窃盗の客体になるものと考えられるでしょう。
このように、他人の落し物を取得した場合には、窃盗罪、あるいは占有離脱物横領罪が成立する可能性がありますので、弁護士に相談し、しっかりと対応することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件の被疑者・被告人となり対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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強制わいせつ事件で逮捕されたら
強制わいせつ事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県飾磨警察署は、強制わいせつの疑いで、兵庫県姫路市に住むAさんを逮捕しました。
逮捕容疑は、X年X月X日午後X時X分ごろ、姫路市内の路上で、歩いていた女子高生に後ろから近づき、胸や尻などを触ったということです。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、今後どうなるのか不安で仕方ありません。
すぐに刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
強制わいせつ事件で逮捕されたら
強制わいせつ罪は、①13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、或いは、②13市未満の者に対し、わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
本罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役となっており、起訴され有罪となればこの範囲内で刑が言い渡されることになります。
ここでは、強制わいせつの容疑で逮捕された場合の流れについて説明していきます。
1)勾留
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者の身柄を証拠や関係書類と共に検察庁に送ります。
これを「送致」と言い、検察庁に送致しない場合には、警察は被疑者を釈放します。
強制わいせつ事件では、警察の段階で釈放されることはあまりありません。
検察庁に送致された後、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、或いは裁判官に対して被疑者の勾留を請求します。
「勾留」というのは、逮捕に引き続き比較的長期間身柄を拘束するもので、検察官は、被疑者の取調べを行い、送られてきた証拠や関係書類を検討した結果、引き続き被疑者の身柄を拘束して捜査をする必要があると判断すれば、勾留請求を行います。
検察官からの請求を受けて、裁判官が勾留の判断を行います。
裁判官は、被疑者と面談し、送られてきた証拠等を検討し、当該被疑者を勾留すべきか否かを判断します。
勾留すべきではない場合には、検察官の請求を却下し、被疑者を釈放します。
他方、勾留の決定をした場合には、被疑者は、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を余儀なくされます。
強制わいせつ事件では、電車内でのわいせつ行為のような痴漢類型であれば勾留されない可能性は高い一方、それ以外の類型であれば一般的に勾留される可能性は比較的に高いと言えるでしょう。
しかしながら、被害者と面識がない場合や行為態様が悪質ではない場合には、勾留とならないケースもあります。
ですので、強制わいせつ事件においても、早期に弁護士に相談し、身柄解放に向けて活動することは重要です。
2)起訴
起訴するか否か決めるのは、検察官です。
強制わいせつ罪は親告罪ではありませんが、起訴・不起訴の判断においては、被害者との示談が成立しているか否かといった点が重視されます。
そのため、示談が成立していれば起訴猶予となる可能性が高く、示談できていなければ公判請求となる可能性が高くなります。
つまり、不起訴を獲得するために捜査段階で最も重要な弁護活動のひとつに被害者との示談交渉が挙げられます。
もちろん、これは容疑を認めている場合のことですので、否認している場合には最後まで争い嫌疑不十分での不起訴や無罪獲得を目指した活動を行います。
3)裁判
公判請求された場合、保釈制度を利用し釈放される可能性はあります。
捜査段階で勾留されていた場合でも、起訴後であれば保釈が認められ釈放となるケースは多いので、起訴後すぐに保釈請求できるように準備しておく必要があります。
また、捜査段階で示談が成立しなかった場合でも、粘り強く交渉を続けることは重要です。
裁判までに示談が成立すれば、被告人に有利な事情として考慮してもらえ、言い渡される刑にも影響を及ぼすことになります。
示談が困難であっても、被害弁償、贖罪寄附、供託などの方法を試みることもあります。
一方、事実を争う場合には、被告人の主張が通るよう、被告人に有利な証拠を収集し、無罪獲得に向けた活動を行います。
強制わいせつ罪は、決して軽くはない犯罪です。
前科・前歴、行為態様、被害の程度、被害者との示談の有無などによっては、実刑が言い渡される可能性も十分あります。
容疑を認める場合でも、争う場合でも、早期に弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制わいせつ事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
盗撮で逮捕されたら
盗撮で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、駅構内の階段で、女性のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したところ、後ろにいた男性に、「盗撮しましたよね。」と言われ、腕を掴まれました。
Aさんは、最初は盗撮を否定していましたが、最終的には犯行を認めました。
その後、Aさんは、兵庫県芦屋警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
Aさんの帰りが遅いことを心配したAさんの母親は、警察署に連絡したところ、Aさんが盗撮で逮捕されたことを知らされました。
Aさんの母親は、ショックを受けたと同時に、この後どのような流れでいかなる処分が言い渡されるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)
盗撮事件は、弊所の扱う刑事事件で最も多い事件のひとつです。
携帯電話やスマートフォンにカメラ機能が付いていることが通常であり、駅のエスカレーターや階段などといった場所で、自分のスマホを用いて、衝動的に盗撮を行うケースから、靴やカバン、さらにはペンなどといった物に小型カメラを仕込んで女性のスカート内を盗撮する計画的な盗撮のケースまで様々です。
メディアなどから得た誤った情報を基に、「盗撮は簡単にできる」、「身体に触れるわけじゃないから、相手もそんな嫌な気持ちにはならないだろう」、「ばれなければ大丈夫」などといった歪んだ認識を持ち、犯行に及ぶ傾向が見られます。
しかしながら、盗撮は犯罪です。
犯罪に軽いも重いもありません。
盗撮で逮捕された場合の流れ
盗撮で逮捕される場合には、2つのケースがあります。
1つは、盗撮を行った際に、被害者や目撃者に身柄が拘束されてしまう場合です。
いわゆる「現行犯逮捕」です。
盗撮事件で逮捕されるケースの多くが、現行犯逮捕となっています。
見つからないと思っていても、不自然な行動は周囲に目立ちやすく、その場で犯行が発覚することが多いのです。
このように犯行現場で逮捕された場合、その後に警察に引き渡されることになります。
もう1つは、盗撮時には誰にも犯行がばれなかった場合や犯行が発覚したものの逃亡に成功した場合であっても、被害者が被害届を提出したり、目撃者が警察に通報するなどし、盗撮が警察に発覚すれば、警察は盗撮事件として捜査を開始します。
被害者や目撃者からの供述や周囲の防犯カメラの映像などから、犯人を特定します。
このように、捜査によって犯人が発覚した場合、かつ、被疑者の身柄を確保する必要があると判断されれば、警察は逮捕状を持って被疑者を逮捕します。
このような逮捕を「通常逮捕」といいます。
通常逮捕の場合、早朝に被疑者の自宅を訪れて逮捕したり、警察へ呼び出した後に逮捕するなどして逮捕が執行されることが多いようです。
どちらのケースであっても、盗撮で逮捕されると、通常の刑事事件と同様に、逮捕後、まずは警察署で取り調べを受けます。
警察は、犯人をさらに拘束して取り調べる必要があると判断すれば、逮捕から48時間以内に、証拠や関係書類と共に被疑者を検察に送ります。
これを「送致」と呼びます。
盗撮事件では、初犯であり、容疑を認めており、家族などの身元引受人がいる場合には、検察に送致されずに、48時間以内に釈放となることも少なくありません。
しかしながら、職場や学校などでの盗撮事件のように、被害者との接触可能性がある場合や、余罪が疑われていたり、盗撮の常習者である場合には、検察に送致されることになるでしょう。
検察に送致されると、今度は検察官による取り調べを受けます。
検察官は、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、裁判官に勾留の請求をするかを決めます。
被疑者をさらに拘束して捜査をする必要があると判断すれば、検察官は裁判官に勾留の請求を行います。
検察官からの請求を受けた裁判官は、被疑者と面談を行った上で、送られてきた事件資料に目を通し、当該被疑者を勾留すべきか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定すると、被疑者は検察官が勾留請求を行った日から原則10日間の身体拘束を受けることになります。
他方、裁判官が勾留請求を却下すると、検察官が却下決定に対して不服申し立てを行わない限り、当該被疑者は即日釈放されることになります。
事件について起訴する起訴しないの判断を行うのは、検察官です。
捜査を遂げた結果、被疑者が犯罪を犯したことが証拠上明白であり、その訴追が必要であると判断する場合に、検察官は裁判所に起訴状を提出して起訴します。
逆に言えば、そのような場合でなければ、検察官は起訴しない、つまり不起訴で事件を終了させることになります。
勾留されている場合には、検察官は、勾留期間内に起訴不起訴の判断を行います。
既に釈放されていれば、比較的ゆっくりと捜査が進み、検察官の終局処分判断までにも時間を要します。
検察官による起訴の種類も1つではなく、盗撮の場合には、略式起訴による略式手続に付されることも多いです。
略式手続は、簡略化された手続であり、検察官による簡易裁判所への略式命令の請求により、法廷での審理を行わず、検察官が提出した証拠のみに基づき、簡易裁判所が罰金・科料を科す略式命令を言い渡すものです。
勾留されているケースでは、勾留期間満期日に、検察官に略式手続についての説明を受け、被疑者の了解を得たうえで、即日略式起訴され、罰金を納めて釈放となります。
盗撮などの同種前科があったり、犯行態様が悪質であるなど、略式手続に付するのが相当ではないと判断されれば、検察官は公判請求を行います。
この場合、公開の法廷で審理されることになります。
起訴されると、被疑者段階での勾留が被告人勾留に切り替わり、原則2か月の勾留となります。
起訴後は、保釈制度が利用できるため、捜査段階では身体拘束を解くことが困難であった場合には、起訴後すぐに保釈を請求し、釈放されるよう準備しておく必要があるでしょう。
盗撮で逮捕された後の流れは、以上のようになります。
ただ、盗撮の内容や前科の有無、被害者との示談成立の有無などにより、釈放の可能性や最終的な処分結果も異なります。
ご家族が盗撮で逮捕されたのであれば、早期釈放やできる限り穏便に事件を解決するために、早期に弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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強盗・強制性交等罪で逮捕
強盗・強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
Aは、兵庫県高砂市にあるアパートの一室に侵入し、その場にいたVに対し、包丁を突きつけ、「静かにしろ。」などと脅迫し、抵抗できなくなったVに馬乗りになり性交しました。
さらに、Aは、Vが抵抗できなくなっている状態にあることから、「金を出せ。」などと脅迫し、Vから現金2万円を奪って逃亡しました。
翌年、兵庫県高砂警察署の警察官がA宅を訪れ、住居侵入、強盗・強制性交等の容疑でAを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAの家族は、罪名を告げられ、ショックを受けています。
しかし事件の詳細や今後の流れについて分からず不安になったAの家族は、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
強盗・強制性交等罪とは
平成29年の刑法改正以前は、強盗犯人が強姦行為をした場合、強盗強姦罪が成立し、その法定刑は無期懲役または7年以上の有期懲役とされていました。
一方、強姦犯人が強盗行為をした場合、強姦罪と強盗罪の併合罪となり、その法定刑は5年以上30年以下の有期懲役とされており、強盗行為と強姦行為のどちらが先行したかによって刑に差が生じていました。
しかし、平成29年の刑法改正において、同一の機会に、強盗と強制性交等罪の行為が行われた場合につき、その行為の先後関係を問わず、強盗・強制性交等が成立し、その法定刑は無期懲役または7年以上の有期懲役とされました。
刑法第241条
強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第179条第2項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。
◇主体◇
強盗・強制性交等罪の犯行の主体は、
①強盗の罪もしくはその未遂罪を犯した者、
②強制性交等の罪もしくはその未遂罪を犯した者
です。
①には、強盗罪の他、事後強盗罪、昏睡強盗罪を含みます。
②には、強制性交等罪の他、準強制性交等罪も含みます。
◇行為◇
強盗・強制性交等罪の実行行為は、
強盗の罪もしくはその未遂罪を犯した者の場合は、①強制性交等の罪もしくはその未遂罪を犯すこと、
強制性交等の罪もしくはその未遂罪を犯した者の場合は、②強盗の罪もしくはその未遂罪を犯したこと、
です。
強盗の罪(未遂を含む。)と強制性交等の罪(未遂を含む。)は、同一の機会に行われていることが必要です。
◇故意◇
強盗・強制性交等罪の成立には、強盗の罪(未遂を含む。)および強制性交等の罪(未遂を含む。)の認識・認容が必要となります。
強盗・強制性交等罪で逮捕されたら
強盗・強制性交等罪で逮捕された場合、非常に重い罪であるため、逮捕後に勾留される可能性は高いと言えるでしょう。
事件について身に覚えがない場合、弁護士を通して冤罪を証明する証拠を収集し、捜査機関の主張が十分な証拠に裏付けられていないことを指摘し、冤罪を主張する必要があります。
また、虚偽の自白がとられることのないよう、弁護士から取調べ対応について的確なアドバイスを受けることも大切です。
他方、容疑を認める場合には、被害者に対して真摯に謝罪し、被害弁償を行うことが重要です。
強盗・強制性交等罪は親告罪ではないため、被害者等の告訴がない場合でも、公訴の提起が可能です。
被害者への被害弁償が済んでいることにより必ずしも起訴されないというわけではありませんが、きちんと被害者に謝罪や被害弁償をしていることが裁判で被告人に有利な事情として考慮されることはありますので、被害者への対応は重要です。
また、強盗・強制性交等事件は、裁判員裁判の対象事件となりますので、裁判員裁判にも豊富な経験を持つ弁護士に弁護を任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
ご家族が強盗・強制性交等罪で逮捕されてお困りの方は、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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多目的トイレへの盗撮目的侵入
多目的トイレへの盗撮目的侵入を行った場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県福崎郡市川町に住むAさんは,かねてより女性がトイレをしているところに興味があったことから,
商業施設の多目的トイレに盗撮用のカメラを仕掛けることにしました。
ある日Aさんは,自宅近くにある商業施設に赴き,多目的トイレの中に入って,盗撮用のカメラを設置しました。
しかし,その後にトイレを使用したBさんに,カメラがあることを見抜かれてしまい,兵庫県福崎警察署の捜査もあって,Aさんは逮捕されしまいました。
(フィクションです)
Aさんの行為について,トイレにカメラを設置すること自体は各都道府県の迷惑防止条例によって処罰される場合がありますが,そもそもトイレに入った行為に何らかの犯罪が成立するのでしょうか。
1 多目的トイレについて
商業施設等にある多目的トイレは,男女両方とも使用できるようになっていることが多く,入り口も男女のトイレとは別のところにあるところも多いです。
また,トイレの前にわざわざ係員などが立っているといったこともなく,営業時間内であれば,誰でも自由に立ち入れる様になっています。
2 建造物侵入罪について
人の住居ではない,商業施設等の建造物に侵入する行為は,建造物侵入罪で処罰されます。
建造物侵入罪は,①正当な理由なく②人の看守する建造物に侵入した場合に成立します。
ただ,「正当な理由なく」という要件には,特別な意味はないと考えられており,実際には
①その建物の管理者等の同意がないのに②人の看守する建造物に侵入した場合に罪が成立すると考えられています。
3 管理者の同意の有無
まず,管理者の同意の有無について考えます。
1つ目の問題として,トイレの前には管理者(商業施設の職員)が立っているわけではないのに,同意の有無をどのように考えるかという問題があります。
これは,もしそこに立っていたらどうなるか,ということを基準に考えることになります。
2つ目の問題は,いちいち立入りの理由を告げることはないが,そこをどのように考えるか,という問題です。
たとえば男性が女子トイレに入る行為などは,立ち入る理由が考えづらく,立ち入ることに管理者が同意するとは考えられません。
しかし,盗撮目的で多目的トイレに入る行為は,外から見ているだけでは,本当にトイレを使う目的なのか,そうでないのかがはっきりしません。このような場合に,正当な理由の有無はどのようにして判断するのでしょうか。
これについても,もし本当の目的を知ったら,管理者が同意するのか,という観点から判断することになります。
多目的トイレの中に盗撮用のカメラを仕掛けるということを知っていたら,当然管理者はトイレへの立入りを同意するはずありませんから,管理者の同意はないものと考えられます。
4 人の看守する建造物
「看守」とは,現にそこに人がいて見ているという意味ではなく,その部分を事実上管理・支配していることを言います。
多目的トイレの場合にも,現に警備員や職員が見張っているわけではありませんが,入り口の前の通路には防犯カメラが設置されていたり,
使用を禁止する場合のための鍵などが設置されていることが通常ですから,この部分も人の看守する建造物ということになります。
なお,建造物は,建物全体を念頭に考えても構いませんし,トイレのような一区画を念頭に考えても構いません。
今回のような事例の場合には,そもそも商業施設に立ち入ることさえ,管理者は同意しないでしょうから,商業施設の入り口を入った段階で建造物侵入を認めることもできると思われます。
このように、盗撮目的での多目的トイレへの侵入行為は、建造物侵入罪に該当する可能性があります。
ご家族が盗撮目的での多目的トイレへの侵入で逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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大麻取締法違反事件で逮捕
大麻取締法違反事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県神戸西警察署は、兵庫県神戸市西区の路上でAさんに職務質問を行いました。
Aさんの態度を不審がった警察官は、Aさんの所持品検査を行ったところ、持っていたカバンから乾燥大麻の入った袋を見つけました。
Aさんは、大麻取締法違反で現行犯逮捕されました。
Aさんは、容疑を認めていますが、このまま身体拘束がどのくらい続くのか不安でなりません。
(フィクションです)
大麻取締法について
大麻取締法は、昭和23年7月に施行された法律で、その目的は、大麻の所持、栽培、譲渡、譲受、使用、輸出、輸入などについて必要な取締を行うとともに、大麻の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって公共の福祉の増進を図ることにあると解されます。
大麻取締法が規制の対象とする「大麻」とは、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品」をいい、「大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品」は除外されます。
大麻取締法は、「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。」としています。(大麻取締法第3条1項)
また、大麻取締法は、何人も、「大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く)」、「大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること」、「大麻から製造された医薬品の施用を受けること」、「医事若しくは薬事又は自然科学に関する記事を掲載する医薬関係者等向けの新聞又は雑誌により行う場合その他主として医薬関係者等を対象として行う場合のほか、大麻に関する広告をおこなうこと」を禁止行為として規定しています。
このような規定を受けて、大麻取締法は、次の行為について罰則を設けています。
①大麻の栽培、輸入、輸出:7年以下の懲役
②営利目的での大麻の栽培、輸入、輸出:10年以下の懲役、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金
③大麻の所持、譲受、譲渡:5年以下の懲役
④営利目的での大麻の所持、譲受、譲渡:7年以下の懲役、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金
大麻取締法違反は、故意犯ですので、「大麻だと知らなかった」場合には犯罪は成立しません。
しかし、大麻の認識については、その物件が依存性のある薬理作用をもつ有害な薬物であることを未必的であれ認識していれば足りると解されます。
「未必的」に認識しているというのは、意図的に犯罪の実現を図るものではないが、実現されたらされたで構わないとする心情を意味します。
「これは大麻だ。」としっかりと認識している場合だけでなく、「これは大麻かもしれない。」と思っている場合にも未必の故意が認められるのです。
大麻取締法違反に対する刑罰は、懲役刑、もしくは懲役刑と罰金刑の両方と、重くなっています。
大麻取締法違反で逮捕されたら
大麻取締法違反で逮捕された場合、他の薬物事件と同様、逮捕後勾留される可能性は非常に高いです。
勾留に付されると、検察官が勾留請求をした日から原則10日間身体が拘束されることになります。
勾留延長が決定すると、最大で勾留請求をした日から20日もの間、身体拘束を受けることになり、外界と遮断された生活が長期に及ぶことになります。
また、勾留と同時に弁護人以外との接見を禁止する接見禁止に付される可能性もあります。
大麻取締法違反事件では、初犯であっても、起訴される可能性があり、この場合、検察官による公判請求を受けて正式な刑事裁判となります。
起訴されると、起訴後勾留に切り替わり、引き続き身体拘束を受けることになりますが、起訴後であれば保釈制度を利用することが可能となります。
大麻取締法違反事件における弁護活動
◇身柄解放◇
長期の身体拘束は、被疑者・被告人だけでなく、その家族の生活にも大きく影響します。
そのため、できる限り早期に釈放となるよう動くことが重要です。
薬物事件では、組織犯罪が疑われたり、共犯者との接触を回避するために勾留となる可能性は非常に高いのが実情です。
しかし、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないことや、身体拘束により被る不利益について客観的な証拠に基づいてしっかりと主張することにより、不当な身体拘束を避けることは重要です。
捜査段階での釈放が難しい場合であっても、保釈が認められる可能性はありますので、起訴されたらすぐに保釈請求書を提出し、身柄解放に向けて動く必要があるでしょう。
◇再犯防止策◇
罪を認めている場合には、再び薬物に手を出すことがないよう再犯防止策を講じることが最終的な処分にも影響します。
家族による被疑者・被告人の監督、専門機関による治療、人間関係の改善などは、被疑者・被告人に有利な事情として働くため、このような再犯防止策を講じ、更生に適した環境を整える支援をことも重要な弁護活動です。
◇取調べ対応のアドバイス・証拠収集◇
罪を争う場合には、被疑者・被告人の主張を裏付ける証拠を収集することが重要です。
また、弁護士は、被疑者・被告人の不利となるような内容の供述調書がとられないよう、取調べに対してどのように対応すべきかについて適切なアドバイスを提供します。
閉鎖的な空間での取調べでは、身体的にも精神的にも疲れ果てた被疑者・被告人が取調官の誘導に乗せられ、自己に不利な供述をしたり、異なるニュアンスで調書が作成されてしまうこともあるため、弁護士に相談し、どのように対応すべきかを把握していることは大切です。
興味本位で安易に手を出してしまうケースも少なくない大麻ですが、大麻取締法違反は軽微な犯罪ではありません。
大麻取締法違反でご家族が逮捕されてしまったのであれば、すぐに弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関する問い合わせ・予約は、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
あおり運転の厳罰化
あおり運転の厳罰化について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県加東市の高速道路で、Vさんが運転する乗用車に左右から幅寄せしたり前方で急制動したりして、Vさんの車を停車させるなどした疑いで、兵庫県警察高速隊は、Aさんを道路交通法違反(妨害運転罪)の容疑で逮捕しました。
Aさんは、「運転の仕方が気に入らず、イラっとしてあおった。」と容疑を認めています。
警察からの連絡で夫の逮捕を知ったAさんの妻は、ニュースであおり運転の厳罰化が特集されていることを思い出し、Aさんに対してどのような処分が下されるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)
交通事故に繋がりかねない危険な運転行為である「あおり運転」は、これまで道路交通法や刑法の暴行罪などを適用して対処されてきました。
あおり運転が引き起こす交通事故の危険性・重大性を鑑み、あおり運転に対する厳罰化が求められてきました。
道路交通法改正~妨害運転罪の創設~
令和2年6月10日に公布された道路交通法の一部を改正する法律により、「妨害運転」に対する罰則が創設されました。
道路交通法第117条の2の2第11号は、「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者」を、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すとしています。
本条の対象となる行為は、
①通行区分違反:右折や左折などをする場合に、方向別に区分された車線を通らない。
②急ブレーキ禁止違反:不必要に車を急停止させたり、急激な減速をするような急ブレーキをかける。
③車間距離保持違反:前の車との距離を極端に詰める。
④進路変更禁止違反:みだりにその進路を変更する。
⑤追い越し方法違反:追い越し車線ではない通行帯で追い越す。
⑥車両等の灯火違反:ハイビームでの威嚇。
⑦警音器等使用違反:むやみやたらにクラクションを鳴らす。
⑧安全運転義務違反:幅寄せや蛇行運転。。
⑨最低速度違反:高速道路での最低速度より遅い速度での進行。
⑩停車・駐車禁止違反:高速道路での駐停車。
また、道路交通法第117条の2の2第11号の罪を犯し、よって高速道路において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。(道路交通法第117条第6号)
このように、あおり運転自体を行った場合には、新たに創設された妨害運転罪に該当する可能性があります。
自動車運転処罰法改正~危険運転致死傷罪の対象~
あおり運転を行った結果、人身事故を起こした場合には、自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪に該当することがあります。
危険運転致死傷罪は、自動車の危険な運転によって人を死傷させた場合に成立する犯罪です。
自動車運転処罰法に関する改正法が7月2日に施行され、高速道路などで走行中の車両前方に停止するなど、他の車の通行を妨害する行為が危険運転致死傷罪に追加されました。
法改正以前では、あおり運転による人身事故に危険運転致死傷罪が適用されるのは、「人や車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の人や車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」を行い、その結果、人を死傷させた場合でした。
つまり、あおり運転に高速度での運転という要件が課されていたため、適用範囲が限定されていました。
改正後は、先の類型に加えて、「車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為」と「高速道路・自動車専用道路において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為」も危険運転致死傷罪の対象となりました。
前者は、走行している車の前で急ブレーキをし、その車を停止させたり、極端に接近したりした結果、交通事故を起こし、人を死傷させた場合が該当し、高速道路のような路上で駐停車していることが予想されていないような場所で、前方に割り込んだり、極端に接近したりして走行中の車を停止・徐行させたことで、人を死傷させた場合は後者に当たるでしょう。
以上の様に、危険なあおり運転については、これまで以上に厳しい処罰が科されることになります。
あおり運転で逮捕された方、あおり運転で事故を起こした方、交通事件で対応にお困りの方は、交通事件を含めた刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
密漁で刑事告訴
密漁で刑事告訴された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、友人のBさんと、兵庫県南あわじ市の海岸で、持参したもりを使って、アワビやサザエなどを採っていたところ、神戸海上保安部に発見され、事情聴取を受けました。
地元の漁業組会は、漁業法違反で刑事告訴をすることを検討しています。
Aさんは、容疑を認めており、何とか事件を穏便に済ませることはできないものかと思い、刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
密漁が発覚すると
ルールを守らずに海で魚や貝類などを自分で消費するために採る行為は、密漁として刑事処分の対象となることがあります。
「いっぱい生息しているんだし、少しぐらい採っても構わないでしょう。」と思われる方もいらっしゃうようですが、海の資源を守るために採取についても守るべきルールがありますので、ルール違反を犯し、刑事事件へと発展する可能性がありますので、ご注意ください。
密漁で問題となるのが、漁業法と呼ばれる法律です。
漁業法は、漁場の総合的な利用による漁業の発展を目的とする法律です。
漁業法は、「一定の水面に置いて特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利」である漁業権を定めています。
この漁業権には、地元漁民が一定の水面で共同して漁業をする権利(共同漁業権)、一定の場所で養殖を行える権利(区画漁業権)、一定の場所で定置網を営む権利(定置漁業権)の3種類があります。
共同漁業権のうち、ウニやアワビなどの貝類やわかめなどの藻類等の定着性の水産物を採る権利を第一種共同漁業権といい、共同漁業権の設定区域では、共同漁業権の免許を受けた漁業協同組合の組合員以外の者が、この権利を侵すと、漁業権侵害として罰せられることがあります。
兵庫県のほとんどの沿岸海域に共同漁業権が設定されています。
漁業権を侵害した場合、20万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
ただし、これは親告罪であるため、告訴がなければ公訴を提起することはできません。
一般の方による密漁の多くは、密漁中やその後に警察や海上保安庁に職務質問され発覚するケースや、地域住民が密漁を目撃し警察や海上保安庁に通報して発覚することが多いでしょう。
逮捕される可能性もありますが、他の犯罪に比べると、それほど高くありません。
しかし、身体拘束を受けていなくても、刑事事件として手続は進んでいきますので、きちんと対応しなければなりません。
刑事告訴
告訴とは、犯罪被害者その他告訴権を有する者が、捜査機関に対して犯罪事実を告知して処罰を求める意思表示のことをいいます。
告訴は、書面又は口頭で、検察官又は司法警察員に対して行います。
告訴と似たものに、被害届がありますが、被害届は、犯罪による被害の事実を申告するにとどまり、犯人の訴追や処罰を求める意思表示は含まれません。
告訴は、公訴の提起があるまで取り消すことができます。
前述しましたが、告訴がなければ公訴を提起することができない罪のことを親告罪といいます。
そのため、告訴の有無は、親告罪の場合に重要な意味を持ちます。
被害者が告訴している場合には、事件を穏便に解決するために、被害者に告訴を取下げてもらうことが必要です。
そのためには、被害者との示談成立が必須となります。
示談とは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払うことで、被害者は被害届や提出や告訴を行わないなど、当事者間では今回の事件が解決したと約束することをいいます。
被害者側との示談交渉について、加害者が直接被害者と話し合いを持つことはあまり有効ではない場合が多いです。
被害者感情を逆なでする結果になってしまったり、互いに感情的な水掛け論に終わってしまうことになりかねません。
しかし、法律知識を持った交渉のプロである弁護士が間に入って被害者と交渉することにより、被害者と加害者の両者にとって納得のいく示談へと導くことが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
所属弁護士は、これまで数多くの刑事事件を取り扱ってきており、被害者との示談交渉にも豊富な経験を有しています。
刑事事件を起こし、刑事告訴さて対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
過失運転致傷事件で略式手続
略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、兵庫県宍粟市の交差点を右折する際、横断中の自転車に気付くのが遅れ、自転車と衝突し、運転手の女性に怪我を負わせてしまいました。
Aさんは、すぐに女性の様子を確認し、通報しました。
幸い女性の怪我は軽く、Aさんは、通報を受けて駆け付けた兵庫県宍粟警察署の警察官に逮捕されることもなく、取調べを受けた後、帰宅を許されました。
Aさんは、裁判になるのではないかと心配していますが、相談した弁護士から、略式手続がとられる可能性があることを聞きました。
(フィクションです)
略式手続とは
ある犯罪に関し、犯人の処罰について判断するための一連の手続を「刑事手続」といいます。
刑事手続は、捜査に始まり、公訴の提起を経て、第一審の公判手続、そして上訴審の手続と段階的に処理されていきます。
捜査段階では、すべての事件が検察官のもとに集まり、これらの事件を検察官が処理をすることになります。
検察官による処理は、終局処分と中間処分とに分けられます。
終局処分には、起訴処分、不起訴処分、そして家庭裁判所送致とがあります。
起訴処分、つまり公訴提起には、①公判請求、②即決裁判手続の申立て、③略式命令の請求、④交通事件即決裁判の請求、の4種類あります。
検察官の略式命令の請求により、簡易裁判所が、その管轄事件につき、公判手続を経ないで、主として検察官の提出した証拠を審査して、一定額以下の罰金又は科料を科す簡易裁判手続を「略式手続」といいます。
略式手続をとるためには、次の要件を満たす必要があります。
①簡易裁判所の管轄に属する事件であること。
簡易裁判所の管轄する事件についてのみ略式手続によることができます。
簡易裁判所は、罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪または刑法第186条、第252条もしくは第256条の罪に係る訴訟についての第1審の裁判権を有しています。
②公訴提起と同時の、書面による検察官の請求があること。
略式命令の請求は、公訴の提起と同時に書面でしなければなりません。
③検察官による説明、正式裁判を受ける権利の告知、略式手続に異議がない旨の書面による確認があること。
検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対してあらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確かめなければなりません。
被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければなりません。
④検察官による略式命令の請求と同時に書類・証拠が差し出されていること。
起訴状一本主義の適用はなく、必要な書類や証拠物も裁判所に差し出さなければなりません。
⑤略式手続によることの相当性
略式手続よることができるのは、略式命令をすることができるものであり、かつ、略式命令をすることが相当であるものです。
例えば、事案が複雑で、公判手続において慎重な審理をするのを相当と認めるときや、100万円以下の罰金又は科料以外の刑を科すべきものと認めたときなど、通常手続に移して審判しなければならない場合は、不相当とされます。
略式手続のメリットは、正式裁判に比べて身体拘束期間が短くなることや、刑罰が罰金で済むことが挙げられます。
一方、デメリットは、有罪判決を受けていることになるので、前科がつくこと、そして、略式起訴される場合、審理は書面だけで行われるので、法廷で自分の言い分を述べるということができないということです。
このように、略式手続にはメリットとデメリットがあります。
事件によっては、略式手続が最善の場合も、そうでない場合もあります。
過失運転致傷事件でも、被害者の怪我の程度が軽く、被害弁償等もきちんと行っているような場合には、略式手続がとられることがあります。
略式手続についてお悩みであれば、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。