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監護者わいせつの容疑で逮捕

2019-12-06

監護者わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県赤穂市に住むAさんは、5年前にBさんと結婚しました。
Bさんには13歳になる娘Vさんがいましたが、ある日学校から、「Vさんがお義父さんから性的虐待を受けているようだ。」との連絡を受けました。
Vさんは児童相談所に保護され、Aさんは兵庫県赤穂警察署から監護者わいせつの容疑で取り調べを受けています。
Aさんは、今後逮捕されるのではないかと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

監護者わいせつ罪について

2017年の刑法改正に伴い、「監護者わいせつ罪」および「監護者性交等罪」が新設されました。
改正以前は、「強制わいせつ罪」および「強姦罪」は、13歳以上の者に対しては、「暴行または脅迫」を用いて、わいせつ行為や性行為が行われる必要がありました。
しかし、被害者と加害者が親子関係にある場合、支配関係に置かれ、被害者が心理的に抵抗することが困難な状態であることが多く、「強制わいせつ罪」や「強姦罪」では処罰することができませんでした。
そこで、監護者によるわいせつ及び性交等の行為を処罰する規定が新たに設けられたのです。

今回は、監護者わいせつ罪について解説します。

第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。

◇主体と客体◇

客体は、18歳未満の男女です。
行為者との関係では、現に監督されている者であることが必要となります。

主体は、18歳未満の者を法律上または事実上「現に監護する者」です。
「監護する」とは、監督し、保護することです。
法律上の監護権に基づかなくても、事実上、現に18歳未満の者を監督し、保護する者であれば、「現に監護する者」となりますが、法律上の監護権を有している者であっても、実際に監護している実態がなければ「現に監護する者」に当たらないことになります。
「現に監護する者」に当たるか否かは、同居しているかどうか、居住場所に関する指定等の状況、指導の状況、身の回りの世話等の生活状況、生活費の支出などの経済的状況、未成年者に関する諸手続等を行う状況などを考慮して判断されます。
ですので、教師やクラブ活動のコーチ等の指導者などについては、上のような点を考慮すると、「監護者」には当たらないことになります。

◇行為◇

監護者わいせつ罪の構成要件的行為は、「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をする」ことです。
前半の「現に監護する者であることによる影響力」というのは、監護者が、被監護者の生活全般にわたし経済的・精神的な観点から、現に被監護者を監督し、保護することにより生じる影響力(人の意思決定に何らかの作用を及ぼし得る力)のことです。
そのような影響力が一般的に存在し、当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態で、わいせつな行為をすることが、当該影響力があることに「乗じて」となります。

◇故意◇

本罪の成立には、被害者の年齢および実行行為の認識が必要です。
監護者の立場を利用して行う行為を処罰するものであるため、被害者が同意していたか否かは問題となりません。
ですので、行為者が被害者の同意があるものと誤信していた場合にも、故意の存否には影響しないことになります。

◇処罰◇

刑法第176条に規定される強制わいせつ罪と同様の法定刑となりますので、監護者わいせつ罪で起訴され有罪が言い渡されると、6月以上10年以下の懲役が科される可能性があります。

監護者わいせつ罪は、その法定刑には罰金刑がなく懲役刑のみとなっています。
また、被害者との関係性から、罪証隠滅のおそれが認められ、逮捕後に勾留に付され、長期の身体拘束が強いられる可能性は高いでしょう。

監護者わいせつ罪を含めた刑事事件でお困りであれば、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件における身体拘束②:家庭裁判所送致後

2019-12-05

少年事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県三田市にある民家を訪れ、弁護士の秘書と偽り住民女性からキャッシュカードを盗み取ったとして、兵庫県三田警察署は、Aくん(17歳)を窃盗の疑いで逮捕しました。
Aくんは、「簡単に稼げる仕事がある」と知人から紹介され、これまで数件同様の犯行を行っていました。
「仕事内容が特殊詐欺だということは分かっていたが、簡単に大金が手に入るのと、一度やったらやめるとは言いにくくなった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、警察から「身体拘束期間は長くなることを覚悟してください。」と言われて、今後のことが心配になり、急いで少年事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合、少年であっても身体拘束を受ける可能性があります。
前回のブログでは、家庭裁判所送致前の捜査段階における少年身体拘束の可能性について取り上げました。
今回は、家庭裁判所送致された後身体拘束の可能性についてみていきたいとおもいます。

家庭裁判所送致後の身柄拘束

捜査機関は、少年の被疑事件について、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合であっても家庭裁判所に審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所送致しなければなりません。
これを「全件送致主義」といいます。
少年事件では、成人の刑事事件のように、起訴猶予や微罪処分といった捜査機関限りで事件を終了させることは認められていません。

事件が家庭裁判所送致された後に、少年身体拘束を受けるのは、「観護措置」がとられた場合です。
「観護措置」というのは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りつつ、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する措置(「在宅観護」)と、少年鑑別所に収容する措置(「収容観護」)の2種類がありますが、前者は実務上ほとんど活用されていません。
ですので、「観護措置」というときは後者を指すものとなっています。

観護措置の要件

少年法第17条第1項は、観護措置の要件として、「審判を行うため必要があるとき」と規定していますが、その他の要件については明記していません。
一般的には、次のような要件があると言われています。
①審判条件があること。
少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。

④の「観護措置の必要性」については、以下のいずれかの事由がある場合に認められるとされます。
(a)調査、審判および決定の執行を円滑、確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。(住所不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあるため、身体を確保する必要性がある場合など)
(b)緊急的に少年の保護が必要であること。(自殺自傷のおそれがある、家族から虐待を受けるおそれがある、不良集団等の影響により非行性が急速に進行するおそれがある場合など)
(c)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。

観護措置の期間は、法律上は2週間を超えることはできず、特に継続の必要があるときに1回に限り更新することができるとされていますが、実務上は、更新されるのが通常であり、観護措置の期間は、概ね4週間となっています。
観護措置がとられた場合、家庭裁判所送致された後、1か月間少年鑑別所に収容されることになります。
そのため、学校や職場に行くことができず、退学や懲戒解雇となる可能性は高まります。
一方で、少年少年鑑別所に収容されることで、少年が落ち着いた環境で事件や少年自身が抱える問題についてしっかり考えることができるなど、少年の更生に資する機会と成り得るという側面もあります。

もちろん、不当・不要な少年身体拘束は回避すべきです。
しかし、長期的な観点から、少年の更生にとって何が必要であるか、一度少年事件に精通する弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件における身体拘束①:捜査段階

2019-12-04

少年事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県三田市にある民家を訪れ、弁護士の秘書と偽り住民女性からキャッシュカードを盗み取ったとして、兵庫県三田警察署は、Aくん(17歳)を窃盗の疑いで逮捕しました。
Aくんは、「簡単に稼げる仕事がある」と知人から紹介され、これまで数件同様の犯行を行っていました。
「仕事内容が特殊詐欺だということは分かっていたが、簡単に大金が手に入るのと、一度やったらやめるとは言いにくくなった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、警察から「身体拘束期間は長くなることを覚悟してください。」と言われて、今後のことが心配になり、急いで少年事件に精通する弁護士に相談することにしました。

(フィクションです)

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合、少年であっても身体拘束を受ける可能性があります。

捜査段階での身体拘束

少年事件を起こすと、成人の刑事事件の場合と同様に、捜査段階では刑事訴訟法が適用されることから、捜査機関に逮捕される可能性はあります。
ただし、14歳未満の者に対しては、刑事責任は問われませんので、犯罪は成立せず、捜査機関によって逮捕されることはありません。

逮捕後の流れは、次の通りです。
逮捕から48時間以内に、警察は事件を検察に送るか、それとも少年を釈放するかを決めます。
警察から検察に少年の身柄付きで送致されると、検察は少年の身柄を受けてから24時間以内に、送られてきた関係書類や少年の弁解を聴いた上で、少年を釈放するか、それとも勾留請求をするかを決定します。
勾留請求がなされると、裁判官は少年と面談をした上で、少年を勾留するか、釈放するかを判断します。
勾留が決定すると、勾留請求がされた日から原則10日間身柄が拘束されることになります。

身体拘束は、成人にとっても重大な不利益となりますが、心身ともに未熟で発展途上である少年の場合は、成人以上に重大な悪影響を与えるでしょう。
長期の身体拘束により、学校や職場に行くことができず、退学や懲戒解雇となる可能性も高まります。
そうなれば、身体拘束少年の更生に資するどころか逆に作用しかねません。

このように、少年にとって身体拘束は重大な不利益を及ぼし得るものですので、少年法は、少年の勾留について、勾留についての特則や勾留に代わる観護措置の制度を設けるなどし、少年に対する身体拘束に配慮しています。

勾留についての特則

少年を勾留する場合、成人の場合と同様の「勾留の要件」に加えて、「やむを得ない場合」であることが必要とされます。
また、少年の勾留場所を、少年鑑別所とすることができます。
少年を警察留置施設で勾留する場合であっても、少年を成人とは分離して収容されます。

勾留に代わる観護措置

検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して勾留に代わる観護措置の請求をすることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されますが、次の点が勾留とは異なります。

●勾留に代わる観護措置には、少年鑑別所収容の観護措置に加えて、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
●勾留は延長が出来るのに対して、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求があった日から10日間であり、延長することはできません。
●勾留に代わる観護措置として少年鑑別所収容がとられた事件が、家庭裁判所に送致されると、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされ、引き続き身体拘束を受けることになります。

このように、少年であっても、家庭裁判所に送致される前の捜査段階において身体拘束を受ける可能性はあります。
勾留延長が認められると、逮捕から最大で23日間もの身体拘束を余儀なくされてしまいます。
その間、学校や職場には行くことはできませんので、先述したように退学や懲戒解雇となる可能性は高くなります。

そのような事態を防ぐため、長期の身体拘束を回避すべく関係各所に働きかけることが重要です。
弁護士は、逮捕から勾留請求までの間に、勾留の要件を満たしていないことを客観的な証拠を付して検察官に主張し、検察官が勾留請求しないよう働きかけます。
検察官が勾留請求をした場合には、裁判官に対して、同様に勾留を決定しないよう主張します。
裁判官が勾留を決定した後であっても、勾留に対する準抗告という勾留決定に対する不服申し立てを行います。

このような活動は、刑事事件・少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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ながら運転の交通事故で刑事事件に

2019-12-03

ながら運転交通事故を起こし刑事事件へと発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県洲本市の道路を走行していたトラック運転手のAさんは、スマートフォンの画面を確認しながら運転していました。
仕事上運転には慣れていたAさんは、ちょっとぐらいスマートフォンをみながら運転しても事故をしないだろうと思っていました。
しかし、スマートフォンの画面に気を盗られていたAさんは、信号待ちで前方に停車していた車両にぶつかってしまいました。
幸い前方の車の運転手に怪我はなく、車両損害だけで済みました。
兵庫県洲本警察署から駆け付けた警察官に、Aさんは話を聞かれており、Aさんは「スマートフォンの画面に気を盗られていた」と話しています。
(フィクションです)

「ながら運転」自体で問われる罪は?

ながら運転」は、スマートフォンやカーナビなどの画面を注視したり、携帯電話で通話しながら車などを運転することです。
ながら運転の末に交通事故を起こし、人を死亡させてしまう事故が後を絶ちません。

12月1日から施行された改正道路交通法は、「ながら運転」についての罰則や反則金、違反点数を厳罰化しており、ながら運転による事故の防止につながることが期待されています。

道路交通法は、運転者の遵守事項として、運転中の携帯電話等の使用を禁止しています。

第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
五の五 自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百二十条第一項第十一号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。

運転中に携帯電話で通話したり、スマートフォンやカーナビの画面を注視した場合の罰則は、6月以下の懲役または10万円以下の罰金です。

さらに、ながら運転の結果、道路における交通の危険を生じさせた場合、罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。
この場合、交通反則通告制度の対象とはなりませんので、刑事手続に基づき刑事処分が科されることとなります。

「交通反則通告制度」というのは、自動車や原動機付自転車の運転手がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判を受けることなく事件が処理される制度です。

「反則金」は行政罰であるのに対して、「罰金」は刑事罰です。

ながら運転を行っただけであれば交通反則通告制度の対象となり、反則金を支払うことで事件が終了するになります。
しかし、ながら運転により交通事故を起こしてしまった場合は、交通反則通告制度の対象外となり、刑事事件として処理されることになります。

刑事事件となれば、刑事手続に沿って事件が処理されることになります。
捜査機関からの取調べにも対応することになりますので、ながら運転刑事事件に発展してしまいお困りの方は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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交通事件:少年事件における手続

2019-12-01

少年交通事件を起こした場合にとられる手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市北区の県道を原付バイクで走行していたAくん(17歳)は、一旦停止を怠ったとして、兵庫県有馬警察署の警察官に停車を求められました。
警察官は、Aくんに運転免許証を見せるよう言いましたが、Aくんは免許証を持っておらず、無免許運転であることが発覚しました。
そのまま警察署で取り調べを受けましたが、Aくんの両親が身元引受人となり当日の夜に家に帰ることができました。
捜査機関から何度か呼び出された後に、神戸家庭裁判所に事件が送られると言われたAくんとAくんの両親は、その後どのような手続きを踏むことになるのか不安です。
(フィクションです)

少年の交通事件

家庭裁判所が受理する少年保護事件は、交通関係事件とそれ以外の一般事件とに分けられます。
交通事件には、無免許運転、速度違反、安全運転義務違反、信号無視、一時不停止等といった道路交通法違反事件、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反事件、そして、過失運転致死傷、重過失致死傷、危険運転致死傷などの車両運転に起因する致死傷事件があります。

交通事件が家庭裁判所に送致される方法は、一般の事件と同様に、多くの場合、捜査機関から捜査が終了した後に送致されます。
しかし、道路交通法違反事件の場合、全件送致主義の例外として、「交通反則通告制度」というものがあります。
この制度は、交通反則告知書(いわゆる「青キップ」)により告知を受けた場合に、刑事処分ではなく行政処分でなされる処分のことをいいます。
当該反則行為に当たるものとしては、一般道における時速30キロメートル未満の速度超過、高速道における時速40キロメートル未満の速度超過、信号無視、放置・駐停車違反、運行区分違反等があり、これらの行為を行った少年については、所定の手続に従って反則金を納付すれば、家庭裁判所に送致されません。

少年交通事件のなかでも、共同危険行為、自動車運転過失致死傷事件等の車両運転に起因する致死傷事件は、通常の少年事件と同様の手続を踏むことになります。
一方、その他の道路交通法違反事件は、次のような手続となります。

調査

事件が家庭裁判所に送致されると、通常の少年事件と同様に、家庭裁判所の調査官による調査が行われます。
単なる無免許運転などの道路交通法違反事件では在宅のまま捜査が進められることが多く、その場合、家庭裁判所に送致された後も継続して在宅のまま進められることが多いでしょう。
在宅事件の場合には、少年は保護者とともに調査のために家庭裁判所を訪れ、調査官との面談が行われます。
調査の一環として家庭裁判所において少年に対する交通講習が実施されることもあるようです。
調査に基づき調査官は処遇意見を裁判官に提出し、審判を開始する必要がない場合には審判不開始の決定がされます。

審判

審判は、一般の事件と同様に行われ、審判の経て、不処分・保護観察・検察官送致等の処分がなされます。
交通事件の特徴として、非行内容が同種である、交通要保護性に共通点がある場合もあり、そのような複数の少年を一緒に審判する集団審判が行われる場合もあります。

保護処分

一般の事件と同様の処遇がなされますが、交通事件を対象とした保護観察があります。
交通事件の保護観察には、交通保護観察と交通短期保護観察とがあります。
また、交通事件においては、検察官送致も相当数あります。

このように、少年交通事件の場合には、一般の事件とは少し異なる手続となる可能性もあります。
お子様が交通事件を起こして対応にお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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ストーカー規制法違反で警告されたら

2019-11-30

ストーカー規制法違反での警告について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、元交際相手のVさんが住むマンションへ複数回押し掛けたとして、兵庫県福崎警察署からストーカー規制法違反の疑いで警告を受けました。
警察からは、「今後Vさんと連絡をとったり、家に押し掛けたりしないように。」と言われました。
Aさんは、「Vさんから突然別れを切り出されたので、ただその理由を聞きたかっただけだ。」と供述しています。
Aさんは、今後逮捕される可能性はあるのか心配になり、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

ストーカー規制法について

「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下、「ストーカー規制法」といいます。)は、ストーカー行為を処罰の対象としており、つきまとい等の行為を取り締まる法律です。

ストーカー規制法で対象となる行為は「つきまとい等」と「ストーカー行為」です。

「つきまとい等」

「つきまとい等」とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」、次の8つの類型の行為をすることです。

①つきまとい、待ち伏せ行為など
 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居・勤務先・学校その他その通常所在する場所の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
②監視していると告げる行為
 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
③面会・交際などの要求
 面会・交際その他義務のないことを行うことを要求すること。
④乱暴な言動
 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤無言電話、電子メールなどの送付
 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず連続して電話をかけ、FAXを送信し、若しくは電子メールを送信すること。
⑥汚物などの送付
 汚物・動物の死体その他著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
⑦名誉を害する行為
 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
⑧性的羞恥心を害する行為
 その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。

「ストーカー行為」

「ストーカー行為」とは、「同一の者に対し、つきまとい等(①~④までの行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復して行うこと」をいいます。

「つきまとい等」、「ストーカー行為」の処罰規定

1.ストーカー行為に対する罪

ストーカー行為をした者に対して、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金を科すと規定しています。
ストーカー行為に対する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」です。

2.禁止命令等に違反する罪

ストーカー規制法は、禁止命令等違反に対する罰則を3種類に分けて規定しています。
(a)禁止命令等に違反してストーカー行為を行った者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(b)禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(c)禁止命令等に違反した者は、50万円の罰金に処する。

警告・禁止命令等について

警察本部長等は、警告を求める旨の申出を受けた場合、つきまとい等の行為者に対して、さらに反復してつきまとい等を行ってはならない旨を警告することができます。
都道府県公安委員会は、警告を受けた者が警告に従わず、さらにつきまとい等を行った場合において、行為者がさらに反復してつきまとい等を行うおそれがあると認めるときには、さらに反復してつきまとい等をしてはならない旨の命令を発することができます。

Aさんの場合、Vさんが警察に相談したところ、まずは警察からAさんに「警告」がなされました。
警告されたことで、逮捕されることはありませんが、その後も、Vさんに対してつきまとい等に該当する行為を繰り返したのであれば、公安委員会から禁止命令等が出される、もしくは、ストーカー行為をしたとしてVさんから告訴がなされ、いきなり逮捕されるという可能性もあります。

ストーカー規制法違反で加害者となり対応にお困りであれば、刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。
問題の行為が「つきまとい等」や「ストーカー行為」に当たるのか、逮捕された場合の流れ等について、しっかりと相談しておきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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強制わいせつ事件で被害者と示談

2019-11-29

強制わいせつ事件で被害者との示談に向けた活動やその効果について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
SNSで知り合った相手と食事をした後、無理やりキスをされ、胸やお尻を触わられたとして、女性が兵庫県たつの警察署に被害届を出しました。
強制わいせつの容疑で出頭要請を受けたAさんは、警察に「拒絶されなかったので好意があったと思ってした。」と供述しており、被害女性に謝罪したいと申し出ました。
警察から弁護士を介して示談交渉をやるよう勧められたAさんは、その後、刑事事件専門の弁護士に事件について相談することにしました。
(フィクションです)

強制わいせつ罪について

強制わいせつ罪は、刑法第176条に次のように規定されています。

第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

被害者が13歳以上の者の場合、「暴行または脅迫」を手段としてわいせつな行為をしたことが必要となります。
強制わいせつ罪が成立するためには、「暴行・脅迫」は、その犯行を著しく困難にさせる程度のものであることが必要です。

「わいせつな行為」とは、性的な意味を有し、被害者の性的羞恥心の対象となるような行為をいいます。
強制わいせつ罪においては、本人の性的自由が保護法益となるため、性的秩序が問題となる公然わいせつ罪の「わいせつな行為」とは内容が異なります。

強制わいせつ事件と示談

強制わいせつ事件のような被害者が存在する事件では、被害者対応が最も重要な弁護活動のひとつとなります。
被害者感情が重視される昨今、検察官が起訴するかしないかを判断する際、または裁判官がどのような刑を科すべきかを決めるにあたって、被害者との間で示談が成立しているか否かといった点が考慮されます。

示談」というのは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届の提出を行わない、或いは被害届を取り下げるなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することをいいます。
強制わいせつ罪は、被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」ではありませんので、被害者との示談が成立したからといって、検察官が起訴することができないわけではありません。
しかし、被害者からの許しが得られていることを重視し、起訴をしない処分(不起訴処分)とする可能性は高いでしょう。

示談交渉は、当事者間で行うことはあまりお勧めできません。
なぜなら、捜査機関から加害者に対して被害者の連絡先を教えることはほとんどなく、また、被害者も加害者によって精神的苦痛を負わされ直接連絡をとることに応じるケースは多くありません。
ですので、第三者である弁護士を介して行うのが一般的です。
特に、刑事事件に精通しており示談交渉にも豊富な経験のある弁護士を代理人として被害者との示談交渉を進めることで、円滑な交渉が期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
強制わいせつ事件を起こし、対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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強制性交等事件で逮捕

2019-11-28

強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡新温泉町に住むAくん(18歳)は、知人のVさんに対して無理やり性交したとして、兵庫県美方警察署強制性交等の疑いで逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、急いで接見に行ってくれる弁護士に連絡を入れました。
(フィクションです)

強制性交等罪とは

平成29年の刑法改正により、「強姦罪」は「強制性交等罪」に改められました。
強制性交等罪は、刑法第177条に以下のように規定されています。

第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

【客体】
改正前の強姦罪では、女性を被害者とする性交のみを対象としていましたが、改正後の強制性交等罪においては、行為者および被害者の性別は問いません。
つまり、女性でも行為者となり得ますし、男性でも被害者となり得ます。

【行為】
強制性交等罪の行為は、「性交、肛門性交又は口腔性交」です。
「性交」とは、男性性器を女性世紀に挿入する行為をいい、陰茎の少なくとも一部を膣に挿入することを意味します。
陰茎以外の異物を挿入する行為は、「わいせつな行為」となります。
「肛門性交」とは、肛門内に陰茎を挿入する行為をいい、「口腔性交」とは、口腔内に陰茎を挿入する行為をいいます。

【暴行・脅迫】
強制性交等罪が成立するためには、13歳以上の者に対しては、「暴行・脅迫」を用いて性交等を行うことが必要となります。
このような「暴行・脅迫」は、必ずしも相手方の反抗を抑圧する程度のものであることを要せず、その犯行を著しく困難にする程度のものであれば足りると解されます。(最判昭24・5・10)

少年が強制性交等事件で逮捕されたら

強制性交等罪は、その法定刑が5年以上の懲役と、罰金刑もなく刑法犯の中でも重い罪となっています。
少年であっても、強制性交等事件を起こした場合には、逮捕・勾留され長期の身体拘束を余儀なくされる可能性が高いと言えます。
捜査機関による捜査が終了後には、事件が家庭裁判所に送致されることになりますが、家庭裁判所に送致後、少年鑑別所収容の観護措置がとられる可能性も高いでしょう。
強制性交等事件という重大事件の場合には、少年の身体を拘束し少年を鑑別する必要があると判断される傾向にあるからです。
このように、強制性交等事件を少年が起こした場合には、逮捕から長期間身体が拘束されることになるでしょう。

大人であっても、突然日常と切り離された環境に身を置き、連日取調官から取り調べを受けることは、身体的にも精神的にも大きなストレスを抱えることになります。
ましてや心身共に発展途上の少年であれば、抱える不安も大きく、精神的に不安定になり取調官に誘導されるままの調書が作成されてしまうおそれも否定できません。
そのような事態を回避するためにも、逮捕されたら早期に少年事件に精通した弁護士に少年との接見を依頼することが重要です。
弁護士は、少年から事件について詳しく聞いた上で、今後の流れや取調べ対応についてのアドバイスを分かりやすく丁寧に説明します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が強制性交等事件で逮捕されお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

18歳未満との性交等で刑事事件(児童買春)に

2019-11-27

18歳未満との性交等刑事事件児童買春)に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、SNSで知り合ったVさん(16歳)と性行為を行い、現金2万円を渡しました。
その後、AさんはVさんと連絡をとっていませんでしたが、兵庫県佐用警察署から突然連絡があり、「Vさんとの児童買春の件で話が聞きたい。」と言われ、出頭要請を受けました。
Aさんは、一週間後に警察署に出頭する予定ですが、その前に取り調べ対応や今後の流れについて刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

18歳未満の者と性交等を行った場合、犯罪が成立し刑事事件に発展するケースがあります。
前回のブログでは、18歳未満の者との性交等を行った場合に成立し得る犯罪として淫行条例違反について紹介しました。
今回は、児童買春の罪について説明したいと思います。

2.児童買春・児童ポルノ処罰法違反(児童買春の罪)

児童買春・児童ポルノ処罰法(正式には、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」といいます。)は、児童買春、児童ポルノ、そして児童売春に係る行為等を処罰することと定めています。

児童買春・児童ポルノ処罰法における「児童買春」とは、児童(18歳未満の者)、児童に対する性交等の周旋をした者、あるいは児童の保護者もしくは児童をその支配下に置いている者に対して、対償を供与し、又はその供与を約束し、当該児童に対し、性交等をすることをいいます。(児童買春・児童ポルノ処罰法第2条第2項)

「対償」は、児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益です。
単にお金を渡すといったものだけでなく、児童と食事をしてその食事代を払ったり、プレゼントを渡したり、児童やその親の雇用を約束をして、児童と性交等をしたのであれば、それが性交等をすることに対する反対給付といえ、食事やプレゼントが経済的な価値としてどの程度のものであるか、雇用の約束が経済的な利益となるか否かを考慮して判断されることになります。

また、「性交等」とは、性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。
性交類似行為は、手淫・口淫等、性交と同視し得る態様での性的な行為をいいます。
加えて、児童の性器等を触る行為、若しくは児童に自己の性器等を触らせる行為には、性的好奇心を満たす目的がなければなりません。

児童買春に係る罪として、「児童買春罪」、「児童買春周旋罪」、「児童買春勧誘罪」が規定されています。

児童買春罪」は、児童買春をした場合に成立し、罰則は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。

18歳未満だと知らなかった!」といった主張がなされるケースがありますが、単に知らなかったことを主張するだけでは捜査機関や裁判所は納得しないでしょう。
例えば、身分証明書を確認したが18歳以上との表記がされていた、相手児童が18歳以上であると言い、会話の内容からもそれが伺える状況であった等であれば、故意はなかったとして児童買春罪は成立しません。
しかし、児童の容姿や児童との会話から「18歳未満かもしれない。」と思ったのであれば、未必の故意が認められ犯罪が成立する可能性があります。

捜査機関からの取調べでも、「18歳未満であるとの認識」について厳しく問われるところですので、自らの認識と異なる調書が作成されないよう注意しなければなりません。
ですので、取調べを受ける前に、刑事事件に詳しい弁護士に取り調べ対応についてアドバイスを受けるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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18歳未満との性交等で刑事事件(淫行条例違反)に

2019-11-26

18歳未満との性交等刑事事件淫行条例違反)に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、SNSを通じて知り合ったVさん(16歳)と実際に会う約束をしました。
Vさんからはっきりとは年齢を確認していませんでしたが、メール等のやり取りで、Vさんが高校生であることは知っていました。
Aさんは、Vさんと食事やカラオケを楽しんだ後に、ホテルでVさんと性交しました。
その後も、AさんはVさんと連絡を取り合っていましたが、突然連絡が取れなくなり不安に思っていたところ、兵庫県川西警察署からAさんに「Vさんとの件について話が聞きたい」との連絡が入りました。
(フィクションです)

18歳未満の者と性交等を行った場合、犯罪が成立し刑事事件に発展するケースがあります。
以下では、18歳未満の者との性交等を行った場合に成立し得る犯罪について説明します。

1.青少年愛護条例違反(淫行条例違反)

都道府県あるいは市町村は、青少年保護育成とその環境整備を目的にした青少年保護育成条例を制定しています。
当該条例において、青少年とは、18歳未満の者をいうとされます。
兵庫県は、「青少年愛護条例」という名称です。
青少年愛護条例を含めた青少年保護育成条例は、青少年との「淫行」を規制する条文、いわゆる「淫行条例」を設けています。

兵庫県青少年愛護条例は、以下のように規定しています。

第21条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

禁止されているのは、「みだなら性行為又はわいせつな行為」をすること、そして、そのような行為を教え・見せること、です。
「みだらな性行為」に関して、福岡県青少年保護育成条例により規制される「淫行」についてですが、最高裁判所が次のように解釈しています。

本条例10条1項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。けだし、右の「淫行」を広く青少年に対する性行為一般を指すものと解するときは、「淫らな」性行為を指す「淫行」の用語自体の意義に添わないばかりでなく、例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上およそ処罰の対象として考え難いものを含むこととなつて、その解釈は広きに失することが明らかであり、また、前記「淫行」を目にして単に反倫理的あるいは不純な性行為と解するのでは、犯罪の構成要件として不明確であるとの批判を免れないのであつて、前記の規定の文理から合理的に導き出され得る解釈の範囲内で、前叙のように限定して解するのを相当とする。(最大判昭60・10・23)

第21条第1項の規定に違反した場合の罰則は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
第21条第2項の規定に違反する行為を業として行った場合の罰則は、50万円以下の罰金です。
また、第21条第2項の規定に違反した場合の罰則は、30万円以下の罰金または科料です。

上の判例が示すように、18歳未満の者との性交等すべてが淫行条例違反となるわけではありません。
結婚を前提として真剣な交際関係にあった場合には、罪とはなりません。
しかし、買春でもなくレイプでもなく、青少年の合意の下に行った場合でも、当事者の年齢差や行為に至るまでの経緯なども考慮して、淫行条例違反に当たるかどうかが判断されるので、単に「交際していました!」という主張だけでは通らないことが多いでしょう。
最近では、ネットを通じて知り合ったというケースが多く見受けられますが、お互いにメールや電話でのやり取りの中で交際関係を認めたとしても、はじめて実際に会った日に性交等の行為に及ぶといった経緯がある場合には、真摯な交際関係にあったというのは難しいでしょう。

いずれにせよ、個々のケースによりどのような対応を行うべきかは異なりますので、淫行条例違反でお困りであれば、刑事事件に強い弁護士に一度相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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