Archive for the ‘未分類’ Category
爆破予告で偽計業務妨害罪
爆破予告で偽計業務妨害罪
偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県淡路市に住むVさんは、元交際相手のAさんから、Vさんが住むマンションを爆破するとLINEで爆破予告を受けました。
Vさんは怖くなり、すぐに兵庫県淡路警察署に相談しました。
相談を受けた淡路警察署の警察官は、マンションや周辺に不審物がないか捜索しましたが、何も見つかりませんでした。
後日、警察署はマンション付近にいたAさんを、爆破予告で警察を出動させたとして、偽計業務妨害の疑いで逮捕しました。
(神戸新聞NEXT 2019年6月17日21時25分掲載記事を基にしたフィクションです)
偽計業務妨害罪
上記ケースでは、Aさんは偽計業務妨害の容疑で逮捕されました。
それでは、今回は、偽計業務妨害罪とはいったいどのような犯罪なのかについてみていきたいと思います。
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
本条の前段は信用棄損罪についての規定であり、後段が「偽計業務妨害罪」についてのものとなります。
偽計業務妨害罪の保護法益(法によって保護される利益)は、人の業務の安全です。
ここでいう「業務」とは、自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連して行う職業その他の継続して従事することを必要とする事務をいいます。
この事務は、経済的に収入を得る目的でなくても構いません。
さて、偽計業務妨害罪の客体である「業務」には「公務」も含まれるのでしょうか。
公務については、公務執行妨害罪において、「暴行又は脅迫」という限定された妨害手段に対してのみ保護されています。
一方、業務妨害については、人の業務を①虚偽の風説の流布や偽計(刑法第233条)、②威力(刑法第234条)、③電子計算機損壊等(刑法第234条の2)という妨害手段から広く保護しています。
そのため、公務執行妨害罪で限定的に保護されている公務を業務妨害の罪で保護されている業務に含むことが適切か否かが問題となるのです。
判例は、権力的・支配的性質の公務は業務妨害の「業務」に含まれないが、非支配的公務、特に私企業的な公務は含まれ、非支配的な公務に対しては、公務執行妨害罪と業務妨害罪とが競合的に成立し得るとしています。
つまり、強制力を行使する権力的公務については公務執行妨害罪のみの適用があり、その他の公務については、公務執行妨害罪と業務妨害罪の双方の適用があるのです。
しかし、権力的公務であっても偽計に対しては自力での妨害排除機能が認められないので、偽計業務妨害罪の成立を認める裁判例も多くなっています。
例えば、ネットの掲示板に無差別殺人予告を行い、警察を警戒出動させて本来の警ら業務等を妨害した事例につき、偽計業務妨害罪の成立を認めています。(東京高判平21・3・12)
次に、偽計業務妨害罪の行為についてですが、「偽計の風説の流布」または「偽計を用いて」、「人の業務を妨害する」ことです。
「虚偽の風説を流布」とは、虚偽の事項を内容とする噂を不特定多数の者に知れ渡るような態様において伝達することをいいます。
「偽計」とは、人を欺罔・誘惑し、または他人の無知や錯誤を利用することをいいます。
偽計は「人」に対しての行為を指し、「機械」に対しては含まれません。
ここで、業務妨害罪である「偽計業務妨害罪」と「威力業務妨害罪」を区別する業務妨害手段の違いについて説明したいと思います。
「偽計」は、相手の錯誤を誘発する行為であって、相手の意思を制圧する行為を「威力」といいます。
これらの区別は具体的場面において難しい場合がありますが、判例は概して、それが外見的にみて明らかである、公然と行われた妨害行為が「威力」であり、外見的にみて明らかでない、非公然と行われた妨害行為は「偽計」としています。
では、ここで上記ケースにおける爆破予告が「偽計」若しくは「威力」のどちらに当たるのかについて検討してみましょう。
上記ケースでは、AさんがVさんに対して「マンションを爆破する」と連絡し、怖くなったVさんが警察に通報し、警察が出動したものです。
この事件(業務妨害)の被害者は、通報を受けて不審物の捜索や警戒にあたった警察です。
しかし、Aさんは、被害者である警察に対して直接爆破予告をしていません。
つまり、被害者に対して公然と行われた妨害行為ではないため、当該業務妨害は「偽計」を用いて遂行されたと言えるでしょう。
偽計業務妨害罪で被疑者として取調べを受けた、あるいは逮捕されたら、すぐに弁護士に相談することが大切です。
取調べでどのような供述をするかは、その後の処分にも大きく影響しますので、自己に不利な供述調書を取られないためにも、早期に弁護士に相談し、取調べ対応についてのアドバイスを受けるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、偽計業務妨害事件も含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
悪口言いふらしたら、ネットに書き込んだら名誉毀損罪!?
悪口言いふらしたら、ネットに書き込んだら名誉毀損罪!?
名誉毀損罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大学生のAさん(20歳)は、同じサークルに所属するVさんを忌み嫌っていました。
というのも、元々AさんとVさんは仲が良かったのですが、Aさんが同じサークルに所属するBくんに好意を抱いていることをVさんに相談したことで、VさんもBくんに好意を寄せるようになり、結局VさんがBくんに告白し二人が付き合うようになったという出来事があったからです。
Aさんは、Vさんのした裏切り行為を許すことが出来ず、サークル仲間にVさんの悪口を言いまわっていました。
Aさんは、匿名でネットの掲示板にもVさんを名指しし誹謗中傷するような書き込みをしていました。
ある日、サークル仲間を通じてAさんがVさんの悪口を言っていることやネットの掲示板にひどい書き込みがしてあることを知ったVさんが、Aさんに対して「これ以上はやめてほしい。でないと警察に相談する。」とメールで警告してきました。
Aさんは自分のやった行為が犯罪に当たるのか、Vさんが警察に相談した場合にはどうなるのか心配になり刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
人の悪口を言いふらす行為やネット上に書き込む行為は犯罪?
誰もがみな仲良く争いもなく生活を送る、そんな素晴らしい人生が送らたらどんなに幸せでしょうか。
十人十色といいますが、人生長く生きていれば、気が合う人もいれば、そうでない人も出てくるでしょう。
ついつい嫌いな人や苦手な人の悪口を言ってしまうものですが、度が過ぎる行為は犯罪となる可能性もありますので気を付けましょう。
名誉毀損罪
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に、その事実の有無にかかわらず成立する犯罪です。
「人の名誉」というのは、人についての事実上の社会的評価を意味します。
ですので、人の真価とは異なった評価である虚名も保護され、摘示した事実が真実でも、後述する真実性の証明による免責が認められない限り、処罰対象となります。
名誉の対象は、自然人の他に、法人などの団体を含みます。
「公然」とは、不特定多数人が認識し得る状態をいいます。
不特定人というのは、相手方が特殊の関係によって限定された者でない場合をいい、多数人とは数字によって何人以上と限定することはできないが、単に数名では足りず、相当の員数であることを必要とします。
また、特定少数の者に事実を摘示した場合であっても、伝播して不特定多数の者が認識し得る可能性を含む場合には公然性が認められます。
摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りる事実であることが必要となります。
この事実は、真実か否か、公知か否か、過去のものか否かは問われません。
「摘示」とは、具体的に人の社会的評価を低下させるに足りる事実を告げることをいいます。
摘示の方法・手段には制限がありません。
名誉毀損罪は、社会的評価を害するおそれのある状態を発生させればたり、公然と事実を摘示すれば通常人の名誉は毀損されたものといえます。
さて、真実である事実を摘示した場合にも名誉毀損罪は成立するのですが、真実性の証明による免責が設けられています。
名誉毀損行為が、公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合で、摘示した事実が真実であることの証明があったときに、免責が認められます。
加えて、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実、公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実についての特則も定められています。(刑法第230条の2)
では、Aさんの行為が名誉棄損罪に当たるのか検討してみましょう。
(1)Vさんの悪口をサークル仲間に言いふらす行為について
Aさんは、AさんがBくんを好きなことを知った上でBくんに告白し付き合うことになったVさんが許せないのですから、おそらくAさんが言いふらしたVさんの悪口は「Vさんは友人の好きな人を知っていたのに、その人を奪うような人間だ!」といった感じの内容でしょう。
これが事実だとしても、この内容はVさんの社会的評価を下げるものと言えるでしょう。
しかし、Aさんがサークル仲間にその事実を言いふらしたことが「公然」と言えるかが問題となります。
サークル仲間全員の前で、事実を摘示したのであれば公然性が認められるでしょうが、サークル仲間のうち数名だけに対して摘示したのであれば、それだけで公然とは言うことは難しいでしょう。
摘示した人物が「おしゃべり好き」で知られた人物であった場合には、その人から不特定多数の者に摘示した事実が伝播する可能性が認められるかもしれません。
(2)Vさんの悪口をネットの掲示板に書き込む行為について
一方、ネットの掲示板に書き込む行為は、それによってサークル仲間に限らず不特定多数の者が閲覧可能な状態にしていることになりますので、公然性が認められることになります。
ですので、この場合には、名誉棄損罪が成立する可能性が高いでしょう。
名誉棄損事件を穏便に解決する方法としては、被害者との示談成立が挙げられます。
なぜならば、名誉棄損罪は親告罪だからです。
親告罪というのは、告訴権者による告訴がなければ、公訴を提起することができない罪のことです。
ですので、名誉棄損事件で加害者となってしまった場合には、すぐに被害者との間で示談を成立させ事件化回避や不起訴獲得などを目指します。
しかし、名誉を棄損された被害者は、加害者に対して怒りや恐怖を感じていることが多く、直接話をすることに積極的でない場合が多いのです。
ですので、被害者との示談交渉には、第三者である弁護士を介して行うことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名誉棄損事件をはじめとする刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
名誉棄損事件でお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
酔っ払って暴力事件
酔っ払って暴力事件
酔っ払いの暴力事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社の飲み会でAさんは上司や部下ら数人と兵庫県神戸市東灘区の居酒屋で夜10時頃まで飲み食いしていました。
店を出るときはそこまで酔っ払っていなかったのですが、上司から2軒目に誘われ、そこで足もとがふらつくぐらい酔っ払ってしまいました。
2軒目を出ると、上司が通行人Vさんとぶつかり、2人の間で意図的にぶつかったのどうだのと言い争いになりました。
Aさんは酔っ払っていましたが、仲裁に入ろうとして2人の間に入りましたが、気が大きくなっていたAさんはVさんの言動に腹が立ち、とうとうVさんの顔面を拳で一発殴ってしまいました。
目撃者からの通報で駆け付けた兵庫県東灘警察署の警察官は、Aさんを暴行容疑で逮捕しました。
Aさんは酔っ払っていて記憶が曖昧ですが、自分がVさんを殴ったことは自分の手の腫れ具合から間違いないだろうと供述しています。
会社のこともあるので、一日でも早く釈放されないかと心配でたまりません。
酔っ払った末の刑事事件
普段は温厚で犯罪とは何ら関りをもたない方でも、酔っ払って気が大きくなり罪を犯してしまうケースは少なくありません。
特に、酔った勢いで人に手を挙げてしまったり、物を壊してしまうといったことはよく耳にします。
お酒の失敗談として笑い話で済めばいいのですが、残念ながら犯罪行為となり、被疑者として警察に逮捕される可能性があるのです。
それでは、酔っ払って人を殴ってしまった場合に成立し得る犯罪はどのようなものでしょうか。
暴行罪
上記ケースでも問われている「暴行罪」が成立する可能性があるでしょう。
暴行罪については、刑法第208条に規定されています。
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪の構成要件は、
①人に暴行を加えたが、
②その人が傷害するに至らなかった
ことです。
ここでいう「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいいます。
いわゆる殴る蹴るといった暴力の行使のみならず、音・光・熱等による作用も含まれます。
判例は、暴行について緩やかに捉えており、暴行とは、人の身体に対する不法な一切の攻撃方法を含み、性質上傷害の結果を惹起すべきものである必要はないと解されています(大判昭8・4・15)。
また、有形力が人の身体に接触することは不要とされており、驚かす目的で人の数歩手前を狙って投石する行為(東京高判昭25・6・10)や、高速道路上で並進中の自動車に嫌がらせ目的で幅寄せする行為(東京高昭50・4・15)も暴行に当たるとされています。
傷害罪
暴行の末、人に怪我を負わせた場合には「傷害罪」が成立する可能性があります。
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
「傷害」の概念について、判例は、「人の生理的機能に障害を加えること」としており、生活機能の毀損と健康状態の不良変更を傷害として解しています。
髪の毛を切る行為は傷害ではなく暴行となりますが、梅毒の感染や失神、騒音による慢性頭痛症等、不安・抑うつ症、PTSDなどを生じさせることは傷害となります。
また、傷害の方法は有形無形を問いません。
暴行によって傷害が惹起されることが多いですが、嫌がらせ電話により不安感を与え精神衰弱症にする場合、怒号等の嫌がらせによって不安・抑うつ状態にする場合など、心理的な方法により健康状態を害する場合も傷害となります。
傷害罪は、故意犯のみならず、暴行罪の結果的加重犯の場合も含むと解するのが通説となっており、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りるとされます。
暴力事件で逮捕されたら
酔っ払って暴力事件を起こしてしまった場合、目撃者からの通報や巡回中の警察官に現行犯逮捕されることが多いようです。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも検察に送致するかを決めます。
検察に送致されると、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に勾留請求をするか釈放するかを決定します。
検察官が勾留請求し、その請求を受けて裁判官が被疑者を勾留する理由も必要もあると判断すれば、当該被疑者は検察官が勾留請求をした日から原則10日間の身体拘束を余儀なくされます。
ですので、勾留となれば長期間の身体拘束となり、その間会社に行くことはできません。
その結果、最悪の場合、会社をクビになる可能性もあります。
そのような事態を回避するため、逮捕されたら早期に刑事事件に詳しい弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動を依頼されるのがよいでしょう。
あなたの家族が暴力事件で逮捕されてしまったのであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
人に犯罪を依頼したら
人に犯罪を依頼したら
人に犯罪を依頼した場合に成立し得る罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
海外に住む妻Vさんが、現地で何者かに銃で射殺される事件が起きました。
現地の警察は、Vさんを射殺したとされる被疑者を2名逮捕しました。
取調べにおいて、被疑者らは兵庫県に住むVさんの夫のAさんからVさんを殺すよう依頼された旨を供述していることが明らかになりました。
兵庫県警察は、殺人の容疑でVさんの夫であるAさんを逮捕しました。
(朝日新聞デジタル 2019年6月14日5時00分掲載記事を基にしたフィクションです)
他人に犯罪を依頼した場合に問われる刑事責任とは
殺害依頼と聞くと、「殺し屋」などが出てくるドラマや映画の話だと思ってしまいますが、現実でも起こり得る話なのです。
このように、自らが実際に犯行に及ばないけれども、他人に犯罪を実行するよう依頼すると、依頼者に如何なる刑事責任が問われるのでしょうか。
ここでは、上記ケースを例に人を殺すことを依頼した場合で考えてみましょう。
まず、実際に犯行に及んだ者(正犯)は、人を殺意を持って殺したのですから、殺人罪が成立します。
それでは、殺人の依頼者はどうでしょうか。
1.殺人罪の教唆犯
教唆犯については、刑法第61条に規定されています。
第六十一条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
教唆は、「人を教唆して犯罪を実行させた」ことで成立します。
人に犯罪行為を遂行する意思を生じさせて、それに基づき犯罪を実行させることです。
つまり、教唆行為によって、正犯における犯罪行為を遂行しようとする意思が惹起され、その意思に基づいて犯罪を実行し、構成要件該当事実(殺人罪の場合には、人を殺すこと)の発生という、一連の因果関係が肯定されることが必要となります。
教唆行為は、黙示的でもよく、利益の供与、誘導、強制、威嚇、哀願等、その手段方法は問いません。
教唆犯の法定刑は、正犯のそれと同じですので、教唆犯であっても起訴され有罪判決を受ければ、死刑または無期もしくは5年以上の懲役刑が科される可能性があるのです。
2.共謀共同正犯
人の殺人を依頼した場合の依頼者の刑事責任について、共謀共同正犯となることも考えられます。
「共謀共同正犯」とは、複数人が一定の犯罪を実行することを共謀し、その共謀した者の中の一部の者が共謀した犯罪の実行に出た場合、共謀に参加したすべての者について共同正犯としての罪責が認められる共犯形態をいいます。
「共同正犯」の一類型が「共謀共同正犯」です。
「共同正犯」というのは、二人以上が共同して犯罪を実行することです。
第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
共同正犯者はすべて正犯とされる点で、教唆犯とは異なります。
共謀共同正犯の成立要件は、次のとおりです。
①共謀の存在
②共謀に基づき、共謀者の全部または一部の者が実行行為をおこなったこと
つまり、2人以上の者が特定の犯罪をおこなうため、共同意思の基に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とした謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならないのです。
殺害を依頼した依頼者が犯罪にどのように関与したかによって殺人の教唆犯となるか共謀共同正犯となるかは異なります。
いずれにせよ、法定刑はどちらも同じです。
殺人事件における弁護活動については、容疑を認める場合と否認する場合とで異なります。
容疑を否認している場合には、教唆も共謀もしておらず殺人罪を犯していない、殺意がないことを立証し、殺人罪が成立しない旨を主張し、無罪獲得に向けた活動を行います。
容疑を認めている場合には、他の刑事事件と比べて起訴猶予による不起訴処分の獲得の可能性は著しく低いと言えるでしょう。
ですので、公判請求されることを前提に、情状証拠の収集に努め、量刑の軽減を目指す弁護活動が中心となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、殺人罪等の暴力事件を含めた刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、弊所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
受水槽で遊泳は浄水汚染罪!?
受水槽で遊泳は浄水汚染罪!?
浄水汚染罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県小野市にあるマンションの受水槽でパンツ一丁で泳ぐ少年たちの動画がツイッターやインスタグラムから拡散しています。
マンションの管理会社は、兵庫県小野警察署に被害届を提出しました。
動画やマンションの防犯カメラから少年たちの身元が特定され、市内に住む少年Aくん(17歳)は浄水汚染の容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
他の少年も逮捕され、それぞれ異なる警察署に留置されています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
浄水汚染罪~飲料水に関する罪~
刑法には、飲料水に関する罪として、次の6つの罪について規定されています。
・浄水汚染罪(刑法第142条)
・水道汚染罪(同143条)
・浄水毒物混入罪(同144条)
・浄水汚染等致死傷罪(同145条)
・水道毒物混入罪及び同致死罪(同146条)
・水道損壊及び閉塞罪(同147条)
あまり耳にしない罪名ですが、マンションの受水槽の中で泳ぐ行為については、「浄水汚染罪」が成立する可能性があります。
それでは、「浄水汚染罪」とはいったいどのような罪をいうのでしょうか。
第百四十二条 人の飲料に供する浄水を汚染し、よって使用することができないようにした者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
浄水汚染罪の保護法益は、公衆の健康です。
飲料水は私たちの生活において欠かすことの出来ないものですので、それが汚染され使用できなくなってしまうと、多くの人の生活や健康に害を及ぼすことになってしまうからです。
「飲料に供する」というのは、飲料として提供することを予定していることを意味します。
ですので、工業用水、灌漑用水、家畜用の飲み水などは、人の飲料に供することを予定していないので除かれます。
「浄水」とは、人の飲料に供し得る程度の水のことをいいます。
また、「汚染」については、水の清潔な状態を不潔にすることを意味し、その方法は物理的・科学的・心理的であるとを問いません。
不潔な状態が一時的か、或いは長時間続いているかといった点も問題となりません。
「使用することができないようにし」とは、飲料水として使用不能の程度に至らせることを意味します。
使用については、一時的であってもよく、使用できなくなった理由は、物理的・科学的・心理的であるかを問いません。
それでは、上記ケースのように、マンションの受水槽の中で泳ぐ行為について検討していきましょう。
「受水槽」というのは、建築物内で使用する水を貯留する設備のことです。
問題となっているマンションの受水槽は飲料水を貯めていたということですので、「人の飲料に供する浄水」という部分は当てはまりますね。
それでは、受水槽の中で泳ぐ行為によって当該浄水が「汚染」され、その結果「使用することができないようにした」と言えるでしょうか。
前述のように、「使用することができない」というのは、飲料水として使用不能の程度に至らせることです。
過去の判例では、「通常人の感覚を基準として、物理的、生物的または心理的に使用に堪えない」ことをいうとされています(最判昭36・9・8)
一般的には、人が泳いだ後の水を飲む気にはなりませんので、心理的に当該浄水を飲料水として使用することはできないと言えるでしょう。
このように、受水槽の中で泳ぐ行為は犯罪に該当し刑事責任を問われる可能性があるのです。
いたずらや遊びのつもりでと軽い気持ちでやったとしても、それは言い訳にはなりません。
もし、あなたやあなたの家族が浄水汚染事件を含めた刑事事件の加害者となり、今後の流れや処分、捜査機関による取調べ対応、被害者への対応についてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けています。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
墓石に落書きで礼拝不敬罪
墓石に落書きで礼拝不敬罪
礼拝不敬罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県丹波市にある墓地のとある墓石に赤い塗料が吹き付けてあるのを通行人が発見し、兵庫県丹波警察署に通報しました。
警察は捜査を開始し、周囲への聞き込みや防犯カメラの解析を始めました。
警察が捜査に乗り出したことを聞きつけた同市に住むAさんは、いずれは自分がやったことがバレて逮捕されるのではないかと心配しています。
すぐにでも自首したほうがいいのかと悩んでおり、自分の行為がどのような犯罪に当たり、自首した場合どのような処分を受けるのか気になり、刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
(NHK NEWS WEB 2019年6月12日19時47分掲載記事を基にしたフィクションです)
墓石への落書き行為で成立し得る犯罪は?
墓石に落書きするなんて、なんとも罰当たりな行為ですよね。
では、このような行為により成立する可能性がある罪とはどのようなものがあるのでしょうか。
(1)器物損壊罪
刑法
第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪は、公用文書等、私用文書等、建造物等以外の「他人の物を損壊・傷害」することで成立する犯罪です。
(a)「他人の物」
動産、不動産を広く含みます。
電磁的記録媒体も含まれます。
また、判例は、法令上違法なものも客体に含まれると解しています。
(b)「損壊・傷害」
「損壊」とは、物の物理的な損壊だけでなく、物の効用を害する一切の行為を含みます。
例えば、飲食器に放尿する行為や、鯛や海老が描かれた掛け軸に黒墨で「不吉」と書く行為、施設の塀に赤色スプレーで落書きする行為も「損壊」に当たるとされます。
「傷害」は、客体が動物の場合に用いられ、動物を殺傷したり、逃がすなど本来の効用を失わせる行為を含みます。
他人の墓石に塗料で落書きする行為は、他人の物を損壊したと言えるので、器物損壊罪の構成要件に該当するでしょう。
(2)礼拝不敬罪
刑法
第百八十八条 神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
礼拝不敬罪の保護法益(法令がある特定の行為を規制することによって保護・実現しようとしている利益)は、国民の宗教的感情及び死者に対する敬虔・尊崇の感情とされています。
対象となる場所は、神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所です。
「礼拝所」とは、宗教的に崇め敬われている場所を指し、既存の宗教と関係のない施設でも構いません。
被爆慰霊碑やひめゆりの塔なども含まれます。
次に本罪の行為である「公然と不敬な行為」に関してですが、「公然と」というのは、不特定多数の人が認識し得る状態のことをいいます。
実際に、不特定多数の者が認識したことは必要としません。
例えば、深夜の墓地で誰もいなかったとしても、誰かが通る可能性があれば、「公然」であるとみなされます。
「不敬な行為」とは、神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所の尊厳を害するに足りる行為を広く含むと解されています。
壊す、倒す、汚す、除去するといった行為が広く含まれます。
このように、墓石に落書きをする行為は、犯罪となる可能性があります。
逮捕の要件に該当すれば、捜査機関に逮捕されることもあります。
器物損壊罪のように親告罪の場合には、被害者との示談を成立し、事件化回避や不起訴処分で事件を穏便に終了させるために動くことが重要です。
また、上記ケースのAさんのように、自首をすることにもメリットがあるでしょう。
自首が成立すれば、刑が減軽される可能性もありますし、自首することにより罪証隠滅や逃亡のおそれが低いと判断され捜査機関に逮捕されない可能性も高まります。
しかし、そもそも問題の行為が何等かの犯罪に該当するのかといった点や、自首した後の流れや取調べ対応についても事前に弁護士に相談されることをお勧めします。
刑事事件でお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
接見禁止の解除に成功!②
接見禁止の解除に成功!②
接見禁止の解除について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
6月1日の早朝、Aさんは、特殊詐欺の受け子と出し子をしていたとして兵庫県芦屋警察署に詐欺及び窃盗の容疑で逮捕されました。
同日の昼過ぎに、警察からAさんの両親に逮捕の連絡が入りました。
Aさんの両親は、すぐにでも面会に行きたいと申し出ましたが、3日以降でなければ会えないと言われました。
翌日の夕方に、Aさんの両親は面会の件で警察署に問い合わせたところ、「本日付で勾留が決定しているが、接見禁止が付されているので弁護士以外は家族であっても面会できない。」と言われました。
困ったAさんの両親は、刑事事件に強い弁護士を探して、事件について相談することにしました。
(フィクションです)
前回のブログでは、逮捕から勾留までの段階では、原則、逮捕された方とその家族が面会することが出来ないことを説明しました。
勾留となった後から面会することが出来るのですが、勾留後でも家族との面会が叶わない場合もあります。
それは、接見禁止が付されている場合です。
接見禁止決定について
「接見禁止」とは、被疑者や被告人が、弁護人以外の一切の者と連絡を取ることを禁止する処分のことです。
この接見禁止が付される理由は、大きく分けて3つあります。
①住所不定であったり、重大な犯罪を犯した者であるなど、逃亡するおそれがある。
②被疑者が容疑を否認しており、証拠隠滅や共犯者などとの口裏合わせの可能性がある。
③組織犯罪の場合も、証拠隠滅や口裏合わせをするおそれがある。
組織的な特殊詐欺事件であると疑われる場合には、接見禁止となるケースが多くなっています。
接見禁止の期間は、いつまでという期間制限はありません。
勾留満期後に起訴された時点で接見禁止が解除されることが多いようです。
接見禁止が付されている場合であっても、弁護士は接見することが出来ます。
被疑者は、外部との接触が断たれ、連日の取調べにより、身体的にも精神的にも大変な負担を感じられることでしょう。
そのような中で、弁護士との接見により、ご家族への伝言やご家族からの伝言を伝えることができ、また取調べ対応についてアドバイスを受けることができます。
接見禁止解除に向けた活動
接見禁止が付されている中でも弁護士との接見は可能ですが、ご家族と会えないことは勾留されている方にとっても精神的に大きな
また、弁護士は、ご家族が事件とは全く関係がないことを主張し、ご家族との接見を許可してもらうよう接見禁止一部解除の申立を行うなど、ご家族の方との面会が可能となるよう活動します。
(1)準抗告・抗告
裁判官がした接見禁止決定に対して異議申立てを行います。
これらの異議申立ては、刑事訟廷法によって認められている法律上の制度です。
(2)接見禁止処分の一部解除の申立て
前述の準抗告・抗告と異なり、一部解除の申立ては法律上認められている制度ではありません。
裁判官の職権発動を促すものにすぎないとされています。
しかし、一般人である配偶者や両親等の近親者について、事件とは関係のないことを主張することにより、罪証隠滅のおそれが低いと判断されると、これらの近親者について接見禁止の一部解除が認められる可能性があります。
このような活動は、特殊詐欺事件を含めた刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
接見禁止解除に向けた弁護活動にも迅速に対応します。
兵庫県の特殊詐欺事件でご家族が逮捕されてお困りの方、接見禁止が付されていて面会できないとお悩みの方は、今すぐ弊所にご相談ください。
刑事事件専門の弁護士が、直接逮捕・勾留されている方のところに行き接見をする「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
接見禁止の解除に成功!①
接見禁止の解除に成功!①
接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
6月1日の早朝、Aさんは、特殊詐欺の受け子と出し子をしていたとして兵庫県芦屋警察署に詐欺及び窃盗の容疑で逮捕されました。
同日の昼過ぎに、警察からAさんの両親に逮捕の連絡が入りました。
Aさんの両親は、すぐにでも面会に行きたいと申し出ましたが、3日以降でなければ会えないと言われました。
翌日の夕方に、Aさんの両親は面会の件で警察署に問い合わせたところ、「本日付で勾留が決定しているが、接見禁止が付されているので弁護士以外は家族であっても面会できない。」と言われました。
困ったAさんの両親は、刑事事件に強い弁護士を探して、事件について相談することにしました。
(フィクションです)
家族が逮捕されたらすぐに面会できるの?
あなたのご家族が逮捕されたとの連絡を受けたとしたら、まっさきに逮捕されたご家族に会いたい、話が聞きたいと思われることでしょう。
警察から事件について詳しく教えてもらえず、一体何があったのか、ご家族が本当に事件を起こしたのか、知りたいと思われるでしょう。
しかし、原則逮捕されてから勾留が決定するまでの間は、逮捕された方のご家族であっても面会することはできません。
逮捕から勾留が決定するまで最大で3日かかります。
上記ケースを例にとると、6月1日の早朝に逮捕ということであれば、48時間以内に釈放する場合を除いて、翌日の午前に留置先の警察署を出発し、管轄の検察庁に送られます。
兵庫県の場合、午前中に検察官による取調べを受け、検察官が勾留請求をすれば、午後には裁判所に移送され、今度は裁判官と面談することになります。
そして、同日中に勾留するか否かが判断され、勾留決定となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長されれば最大で20日間の身体拘束となるのです。
さて、さきほど、ご家族が逮捕された方と面会できるのは勾留が決定した後からであるといいましたが、実際に裁判官が勾留決定を出した直後からご家族が面会できるのかといえばそうではありません。
ご家族との面会は「一般面会」と呼ばれ、警察署での面会時間は概ね9時から17時です。
兵庫県では、裁判官との面談(「勾留質問」)が行われるのが午後、上記ケースで言えば6月2日の午後で、その面談後に裁判官が勾留決定を出す、若しくは勾留請求を却下し釈放とするかを判断するので、実際にその判断が出るのは2日の夕方ごろとなります。
仮に15時に勾留の決定がなされたとしましょう。
「2日の15時~17時までの間に面会できるのでは?」と思われるかもしれませんが、警察署から検察庁・裁判所までたった1人の被疑者だけを移送しているわけではなく、その日に送致される者や検察庁で取調べを受ける者など何人もの被疑者・被告人を一斉に移送しています。
また、移送する警察車両はいつでも動けるわけではなく、決まった時間に複数人まとまって移送することになります。
ですので、勾留決定が出た日に警察署に戻ってくるのが17時を回ることも多く、当日に面会することが出来ないことがほとんどです。
というわけで、逮捕されてから2日、最大で3日、ご家族と面会することができない事態が発生してしまうのです。
弁護士による接見はいつでも可能!
突然の逮捕の連絡。
逮捕という事実自体で連絡を受けたご家族が被る精神的ダメージは大きいのですが、事件の詳細も分からない状態で職場などの関係各所にどのように対応すればよいのか分からず困惑してしまいます。
そんな時には、弁護士への接見依頼をご検討ください。
逮捕から勾留段階であっても、弁護士であればいつでも時間制限なく逮捕された方と面会(接見)することができるからです。
逮捕された方から事件の詳細について伺った上で、弁護士は、今後の流れや処分見込みを丁寧に説明し、取調べ対応についてのアドバイスをすることができます。
逮捕されている方も、刑事手続に精通している方なんてほとんどいらっしゃらないので、どのような流れになるのか、取調べにどのように対応すればよいのか分からず大変不安でいらっしゃるでしょう。
また、ご家族からの伝言やご家族への伝言も弁護士を通じて伝えることもできますので、逮捕されている方もそのご家族も精神的な不安を和らげることができます。
今回は、勾留がなされればご家族との面会が可能だという前提でお話しましたが、勾留後も面会することが出来ないケースもあるのです。
それについては、次回のブログで取り扱います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、特殊詐欺事件を含めた刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
もし、あなたのご家族が特殊詐欺事件で突然逮捕されてしまったのであれば、今すぐ弊所にご相談ください。
刑事事件専門弁護士が留置先に赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
子供が事件を起こしたら学校に通報されるの?
子供が事件を起こしたら学校に通報されるの?
子供の事件が学校に通報される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市灘区にある商業施設内の店舗で商品を万引きしたとして、私立中学に通うAさん(15歳)は警備員に捕まってしまいました。
その後、Aさんは通報を受けて駆け付けた兵庫県灘警察署の警察官に警察署に連れて行かれ、取調べを受けました。
その日の夜、Aさんの両親が身元引受人となり、Aさんは釈放されました。
警察からは「また連絡します。」と言われており、警察から学校に通報されるのではとAさんもAさんの両親も心配でたまりません。
翌日、少年事件に精通する弁護士のところに相談に行くことにしました。
(フィクションです)
子供が事件を起こしたら
20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、刑罰法令に触れる行為をした場合、少年法に従った手続を踏むことになります。
14歳以上20歳未満の場合には、捜査段階では、ほぼ成人の刑事事件と同じ流れを踏むことになり、逮捕や勾留の要件を満たす場合には、逮捕・勾留され身体拘束を強いられることになります。
一方、少年が14歳未満の場合、刑事責任が問われませんので、罪を犯したことにはならず逮捕されることもありません。
原則、児童福祉法による処置が行われますが、都道府県知事または児童相所長から送致を受けた場合に限り、家庭裁判所の審判の対象になることがあります。
その場合、家庭裁判所は当該少年に対して保護処分を決定します。
少年が警察などの捜査機関から捜査(若しくは調査)を受けることになると、警察などから少年が通う学校に事件のことが通知される可能性があります。
特に、公立の学校には、「警察・学校相互連絡制度」に基づき、警察などから学校側に事件について連絡がいくことになっています。
「警察・学校相互連絡制度」というのは、都道府県の警察本部と教育委員会が協定を結び、児童生徒の健全育成を目的として、警察と学校が連絡をとりあう制度です。
兵庫県においても、県や各市の教育委員会が兵庫県警察本部と協定を結び、本制度を運営しています。
例えば、神戸市では、神戸市教育委員会と兵庫県警察本部とが平成28年に協定を結んでいます。
この協定に基づき、以下の事項について警察から学校に連絡することになります。
・逮捕した犯罪少年に係る事件
・児童相談所に送致し、又は身柄を同行して児童相談所に通告した触法少年に係る事件
・身柄を同行して、家庭裁判所に送致し、又は児童相談所に通告したぐ犯少年に係る事件
・その他非行少年又は不良行為少年に係る事案であって、次に掲げるもの
①次のいずれかに該当し、かつ、学校との連携による継続的な対応が必要であると通報責任者が認めるもの
(ア)学校内外において、粗暴行為等を敢行する非行集団の構成員であること
(イ)非行や不良行為を繰り返し、保護者の正当な監護に服さないなどぐ犯性が強い者であること
(ウ)周辺の児童生徒に影響が及ぶおそれがあること
(エ)関係する児童生徒が複数であること
②その他その内容に鑑み、児童生徒に対する指導を促進するため、連絡責任者が、特に学校通報が必要であると認めるもの
この制度によって、少年や保護者が知らないうちに、警察から学校に連絡が入り、事件のことが学校側に発覚してしまう可能性があります。
私立の学校の場合には、このような協定を結んでいないことが多く、すぐには連絡がいかない場合もあります。
既に警察から事件のことが学校に連絡がいっている場合には、弁護士は、少年が退学させられないように学校側に働きかけることになりますが、まだ伝わっていない場合には、弁護士から警察に学校に連絡しないよう、連絡した場合に少年が被り得る不利益等を説明し、説得していくことになります。
また、事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所の調査官が少年が所属する学校に学校照会を行うことがあり、それによって学校側に事件が発覚してしまうおそれがあります。
そのような事態を避けるためにも、弁護士は、事件が家庭裁判所に送致されるタイミングを見計らい、調査官に学校照会をしないよう申し入れを行い、学校側への事件発覚を阻止できるよう働きかけます。
お子様が事件を起こしてしまい、容疑を認めている場合には、お子様がきちんと反省し更生するよう周囲と協力していく必要はあるでしょう。
しかし、学校が事件について知ることによりお子様が被る不利益があまりにも大きく、更生への道に大きな影響を及ぼす可能性がある場合には、そのような事態を回避しなければならないでしょう。
お子様が事件を起こしてお困りであれば、まずは少年事件に精通する弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。
兵庫県淫行条例違反で逮捕
兵庫県淫行条例違反で逮捕
兵庫県淫行条例違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大学生のAさん(21歳)は、中学生のVさん(15歳)とSNSを通じて知り合いました。
連絡をとるうちに、AさんからVさんを誘い、一度二人で会うことになりました。
Aさんは、Vさんを実際に会うのはその日が初めてでしたが、食事後に行ったカラオケ店で性交しました。
その後も、AさんとVさんは連絡を取り合い、2~3回会い、性交をするという関係でした。
しかし、突然Vさんと連絡がとれなくなり、その後、兵庫県福崎警察署がAさん宅を訪れ、Aさんは淫行条例違反で逮捕されてしまいました。
VさんがSNSで知り合った男性と性的関係にあることがVさんの親に知られ、Vさんの親が学校に相談したことで、学校から警察に連絡が入り事件が発覚することになりました。
(フィクションです)
兵庫県淫行条例について
淫行条例というのは、各都道府県が定める青少年保護育成条例の中で18歳未満の者との淫行等について規制する条文のことを指します。
兵庫県では、青少年愛護条例が18歳未満の者との淫行等について以下のように規定しています。
(みだらな性行為等の禁止)
第21条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
兵庫県青少年愛護条例では、「淫行」ではなく「みだらな性行為又はわいせつな行為」という文言が使われていますが、淫行とは一般に「みだらな行為」を意味する言葉ですので、同じ意味と理解されています。
この「淫行」の定義については、福岡県の条例についてではありますが、最高裁判所による解釈が出されており、判例として基準が示されています。
「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である」
つまり、「淫行」とは、
①青少年を心身の未成熟に乗じた不当な手段(誘惑・威迫・欺罔・困惑など)により行う性交や性交類似行為、
或いは、
②青少年を単に事故の性的欲求を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交や性交類似行為
を意味し、広く青少年に対する性行為一般をいうものではないとされています。
婚約中であったり、これに準ずるような真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為は「淫行」には含まれません。
①にも②にも該当しなければ淫行とはならず、罪に問われることもありません。
しかし、単に「真剣な交際でした」と主張するだけでは不十分です。
淫行に該当するか否かは、両者の年齢差、性行為に至る過程、交際の態様などの要件が考慮され判断されるからです。
ネットを通じて異性と知り合うことが容易になった昨今ですが、ネットを通じて知り合い、実際に出会った初日に性的関係を持ったという過程を踏まえて、当事者間が婚姻中またはそれに準ずるような真摯な交際関係にあったと判断されるなんてことは非常に難しいと言えるでしょう。
兵庫県青少年愛護条例は、18歳未満であることの認識に過失があっても処罰するとしています。
第30条
(省略)
6 第17条第1項(同項第4号又は第9号に係る部分を除く。)、第20条第1項若しくは第2項、第21条第1項若しくは第2項、第21条の2、第21条の3又は第24条第2項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項又は前3項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
例えば、Vさんは18歳以上であるとAさんに伝えており、18歳以上を示す身分証明書を提示したとしましょう。
Aさんは、身分証明書を見たことでVさんが18歳以上であると誤信し、Vさんとの性行為に及んだが、実際は他人の身分証明書で、Vさんは18歳未満だった場合、Aさんは18際以上だと信じるのが通常であり故意も過失もないので、条例違反は成立しないことになります。
しかし、身分証明書の顔写真が明らかにVさんとは異なるなど、提示された身分証明書がVさんのものではないと気付き得る状況であった場合には、Aさんには過失があり条例違反が成立する可能性もあります。
あなたが淫行条例違反で被疑者として取調べを受けてお困りであれば、淫行条例違反事件も取り扱う刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
無料法律相談や初回接見サービスをご案内させていただきます。