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特殊詐欺における共犯②
特殊詐欺における共犯②
特殊詐欺における共犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、ギャンブルでできた借金の返済に苦労していました。
SNSで「高額アルバイト」で検索すると、「荷物を受け取るだけの高額アルバイト」がヒットしました。
掲載してあった連絡先に問い合わせると、Bと名乗る男が出て、「指定された場所に行ってキャッシュカードを受け取り、現金を引き出すだけ」の内容だと言われました。
Aさんは携帯電話でBと連絡をとり、指定された通りに動きました。
指定された場所に赴く際にはスーツを着用すること、銀行協会の○○だと名乗ることなどが指示されました。
Aさんは、受け取ったキャッシュカードでATMから現金を引き出し、自分の取り分を取った残額とキャッシュカードを指定されたコインロッカーに入れました。
このようなことを3~4回繰り返していましたが、ある日、いつものようにBからの指示通りに兵庫県川辺郡猪名川町にある家を訪問した際に、待機していた兵庫県川西警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです)
特殊詐欺と共犯~共同正犯~
特殊詐欺は、組織的に行われ、被害者に電話をかける「かけ子」、被害者から直接現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」、キャッシュカードを使ってATMから現金を引き出す「出し子」などの役割を分担して犯罪を実行します。
ほとんどのケースで、「かけ子」が組織の主犯格と関りが強く、「受け子」や「出し子」は組織の主犯格と面識がなく、特殊詐欺の実態を把握しないまま指示に従っている傾向が見受けられます。
それでは、「受け子」として特殊詐欺に関った場合には、どのような刑事責任に問われることになるのでしょうか。
複数人が、共同して犯罪を実現する場合を「共犯」といいます。
共犯は、次の3つに分けられます。
1.共同正犯
2.教唆
3.幇助
共同正犯
2人以上共同して犯罪を実行することを「共同正犯」といいます。
共同正犯者は、「すべて正犯」とされます。
つまり、共同して実行した犯罪について、共同者全員が正犯者としての刑事責任を問われることになるのです。
共同正犯には、「実行共同正犯」と「共謀共同正犯」の2種類があります。
実行共同正犯は、共同者全員が実行行為を分担し合って犯罪を実現する場合をいい、共謀共同正犯は、複数人が特定の犯罪を行うため、共同実行の意思のもとに相互に他人の行為を利用しあって犯罪を実現するための謀議をし、共謀者のうちのある者が共同実行の意思に基づいてこれを実行する場合をいいます。
共同正犯が成立するためには、次の要件を満たす必要があります。
①主観的に複数人に共同実行の意思が存在すること。
「共同実行の意思」とは、各行為者が相互に他人の行為を利用し補充しあって構成要件を実現させる意思のことをいいます。
この共同実行の意思は、行為者相互間に存在していなければなりませんが、行為の際に存在すればよく、必ずしも事前の打ち合わせ等があったことは必要とされません。
②客観的に共同実行の事実が存在すること。
複数人が実行行為を共同して犯罪を実現させることを「共同実行の事実」といいます。
「共同して」は、共同者全員が相互に他人の行為を利用し補充しあって犯罪を実行するということを意味します。
特殊詐欺事件において、実行行為を行う時点で、自身が行う行為が詐欺行為に加担するものだと認識あるいは認容しつつ、実際に行為を遂行したのであれば、詐欺罪の共同正犯が認められる可能性があるのです。
「受け子」が指示された場所に赴き、被害者から現金やキャッシュカードを受け取る際に、「これはもしかして詐欺じゃないのか」と思っていればアウトです。
そのような意思があったか否かは、犯行の経緯・動機、犯罪により得た利益、詐欺組織における役割や関係性、犯罪への主体的関与の程度などの事情が考慮され判断されます。
例え、組織の末端である「受け子」であっても、逮捕・勾留されると長期間身体拘束を受ける可能性が非常に高いです。
また、組織犯罪ということで接見禁止が付される場合もあります。
ご家族が特殊詐欺事件に加担したとして逮捕されたのであれば、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
特殊詐欺における共犯①
特殊詐欺における共犯①
特殊詐欺について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、ギャンブルでできた借金の返済に苦労していました。
SNSで「高額アルバイト」で検索すると、「荷物を受け取るだけの高額アルバイト」がヒットしました。
掲載してあった連絡先に問い合わせると、Bと名乗る男が出て、「指定された場所に行ってキャッシュカードを受け取り、現金を引き出すだけ」の内容だと言われました。
Aさんは携帯電話でBと連絡をとり、指定された通りに動きました。
指定された場所に赴く際にはスーツを着用すること、銀行協会の○○だと名乗ることなどが指示されました。
Aさんは、受け取ったキャッシュカードでATMから現金を引き出し、自分の取り分を取った残額とキャッシュカードを指定されたコインロッカーに入れました。
このようなことを3~4回繰り返していましたが、ある日、いつものようにBからの指示通りに兵庫県川辺郡猪名川町にある家を訪問した際に、待機していた兵庫県川西警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです)
特殊詐欺事件~詐欺罪~
特殊詐欺は組織的に行われることが多く、電話を被害者にかける「かけ子」、被害者から現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」、そして、キャッシュカードを使って現金を引き出す「出し子」と呼ばれる役割を組織内で分担して実行していることにその特徴が見られます。
特殊詐欺に関与した場合、詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪は、刑法第246条に以下のように規定されています。
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件、つまり、法律の条文上に記載されている犯罪が成立するための原則的な要件は、以下の通りです。
1項詐欺
①人を欺いて
②財物を
③交付させたこと
2項詐欺
①人を欺いて
②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと
まず、詐欺罪の客体についてですが、1項詐欺では「他人の財物」が客体となります。
自然人であっても法人であってもよく、他人の占有する他人の動産および不動産です。
2項詐欺において、客体とは「財産上の利益」です。
これは、債券などの有体物以外の財産的権利や利益を意味します。
典型的な2項詐欺は、債権者を欺いて債務免除を受け、債務を逸脱して財産上の利益を不正に得る場合です。
詐欺罪が成立するためには、「人を欺いて錯誤を生じさせ、その錯誤に基づいて財物または財産上の利益を交付させること」が必要です。
「人を欺く行為による錯誤の惹起」、「錯誤に基づいた交付行為」、「交付行為による財物又は利益の移転」という一連の因果経過をたどることが必要となります。
(1)人を欺く行為
「欺く」とは、一般人をして財物または財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
また、「人を」欺く行為でなければならいので、機械に対して虚偽情報を入力した場合には詐欺罪における「人を欺く行為」には該当しません。
不正な方法で取得したキャッシュカードを使って銀行のATMから金銭を引き出す行為は、詐欺ではなく窃盗となります。
この点、Aさんが被害者から騙し取ったキャッシュカードを使ってATMから現金を引き出した行為については、窃盗罪が成立するでしょう。
(2)錯誤
人を欺く行為により生じる「錯誤」は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであれば足ります。
換言すると、錯誤は「交付の判断の基礎となる重要な事項」についてのものであって、それがなければ交付行為を行わなかったであろうような重要な事実に関するものでなければなりません。
(3)交付行為
交付行為(処分行為)は、財物または財産上の利益を相手方に移転させる行為をいいます。
交付行為には、財産処分の意思と財産を処分する事実とが必要となります。
財産を処分する意思をまったく有しない幼児や高度の精神病者などには、財産的処分行為は認められず、これらの者を欺いてその財物を奪う行為は窃盗となります。
(4)財物又は利益の移転
財物や利益が交付行為によって移転することで、詐欺罪は既遂となります。
以上の要件に加え、主観的要件である「故意」がなければ詐欺罪は成立しません。
詐欺罪の故意は、「人を欺いて錯誤に陥らせ、かかる錯誤に基づく交付行為により、財物または財産上の利益を交付させ、自己または第三者がその占有を取得することについての表象・容認をいいます。
「詐欺だ」と確信をもって行う場合だけでなく、「詐欺かもしれないけど、もしそうだとしてもいいか」と思っていた場合も「故意」が認められることになります。
特殊詐欺は、被害者を騙して金銭やキャッシュカードを取得するものですので、詐欺罪が成立することになります。
では、一連の行為を分担して複数の人が実行した場合には、それぞれがどのような責任が問われるのでしょうか。
次回は、特殊詐欺事件の「共犯」について説明します。
ご家族が特殊詐欺事件に関与し、逮捕されてお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年法の適用される事件②
少年法の適用される事件②
少年法の適用される事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県朝来市に住む高校生のAくんは、交際相手を巡って同級生のVくんともめていました。
ある日、Aくんは仲間2人とともに、Vくんを公園に呼び出し、話をつけようと考えました。
Vくんが反抗的な態度をとったので、Aくんは頭にきて、仲間とともにV君に対して殴る蹴るの暴行を加えました。
Vくんが兵庫県朝来警察署に被害届を出したことで、今回の事件が警察に発覚し、Aくんらは傷害の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんのお母さんは、慌てて兵庫県朝来警察署に面会に行きましたが、まだ会えないと言われ、どうしたものかと困っています。
(フィクションです)
どのような事件に少年法が適用されるのか
前回に引き続き、少年法が適用される事件について紹介していきたいと思います。
今回は、3つ目の「少年の刑事事件」について概観します。
少年の刑事事件
少年が犯罪を犯した場合、成人の場合と同様に被疑事件として捜査機関による捜査を受けます。
捜査機関による捜査が終了すると、原則、全ての事件が家庭裁判所に送致されます。
これらの事件は、「少年保護事件」として家庭裁判所において審理され、ほとんどの場合、家庭裁判所で終了することになります。
しかし、刑事処分を相当とする事件については、検察官に送致され、刑事事件として刑事手続に基づいて事件が処理されることになります。
犯行時16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件については、原則、検察官に送致されます。
送致を受けた検察官は、原則として刑事裁判所に公訴を提起しなければなりません。
検察官に事件が送致された場合であっても、家庭裁判所に再送致されたり、刑事裁判所から少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めて移送され、再び家庭裁判所で少年保護事件として処理される場合もあります。
このように、少年の刑事事件とは、少年の犯罪事件が、
①家庭裁判所に送致される前の段階における少年の被疑事件
②家庭裁判所から検察官へ送致され刑事裁判所へ公訴を提起される前の段階における少年の被疑事件
③公訴提起後の被告事件
といいます。
少年の刑事事件の処理手続については、原則、成人の刑事事件における手続と同様に取り扱われますが、少年法は、刑法、刑事訴訟法、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律等の一般法に対する特則を定めています。
例えば、以下のような点があげられます。
・少年の勾留は、「やむを得ない場合」にとられ、勾留に代わる観護措置が設けられています。
・審理の妨げとならない限り、他の被告事件から手続を分離しなければならず、刑事施設・留置施設・海上保安留置施設においては、成人と分離して収容しなければなりません。
・刑事裁判所は、家庭裁判所の取り調べた証拠をつとめて取り調べるようにしなければなりません。
・少年に対する刑罰は、犯行時18歳未満であった場合、死刑と無期刑が緩和されます。
このように、少年が犯罪を犯した場合、事件の進行段階により、成人の刑事事件における手続が適用されることもあれば、少年法が適用されることもあります。
ですので、お子様が事件を起こしたしまったのであれば、すぐに刑事事件・少年事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
逮捕されてから勾留までの間、少年の家族であっても少年と面会することはできません。
そのような段階においても、弁護士であれば、いつでも少年と面会することができます。
成人であっても逮捕され身柄が拘束されると、身体的にも精神的にも大きな苦痛を感じるものです。
心身ともに発達途上の少年であれば、なおさら不安に駆られることでしょう。
早く釈放されたいという思いから、自分に不利な供述をしてしまう可能性も大いにありますので、逮捕されたらすぐに弁護士に接見をご依頼ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子様が逮捕された場合には、弊所の弁護士が留置施設に赴きお子様と直接接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
専門スタッフがご対応させていただきます。
少年法の適用される事件①
少年法の適用される事件①
少年法の適用される事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県朝来市に住む高校生のAくんは、交際相手を巡って同級生のVくんともめていました。
ある日、Aくんは仲間2人とともに、Vくんを公園に呼び出し、話をつけようと考えました。
Vくんが反抗的な態度をとったので、Aくんは頭にきて、仲間とともにV君に対して殴る蹴るの暴行を加えました。
Vくんが兵庫県朝来警察署に被害届を出したことで、今回の事件が警察に発覚し、Aくんらは傷害の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんのお母さんは、慌てて兵庫県朝来警察署に面会に行きましたが、まだ会えないと言われ、どうしたものかと困っています。
(フィクションです)
どのような事件に少年法が適用されるのか
少年法は、少年保護手続に関する刑事訴訟法の特則を規定した法律です。
その第1条は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とすることを規定しています。
この少年法が適用される事件は、「少年保護事件」、「準少年保護事件」、「少年の刑事事件」の3つです。
今回は、少年保護事件と準少年保護事件について概観します。
(1)少年保護事件
家庭裁判所が取り扱う非行少年に対する事件を「少年保護事件」といいます。
また、家庭裁判所が非行少年の性格の矯正及び環境の調整に関する措置を行う手続を「少年保護手続」といいます。
ここでいう「非行少年」とは、20歳未満の者であり、犯罪少年、触法少年、虞犯少年の総称で、「審判に付すべき少年」ともいいます。
①犯罪少年
犯罪少年とは、犯罪に該当する行為をした少年をいいます。
刑事未成年者である14歳未満の者は、これに含まれません。
犯罪の種類は限定されていないことから、刑法犯に限らず、道路交通法違反や大麻取締法などの特別法犯も対象となります。
犯罪少年について、構成要件該当性、違法性の各要件を満たす必要があることに異論はありません。
したがって、構成要件に該当する行為を行ったとしても、違法性阻却事由に該当する場合には、犯罪は成立せず、犯罪少年に当たらないことになります。
一方、有責性の要件の具備については、裁判例や学説が分かれています。
②触法少年
触法少年とは、14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年をいいます。
14歳未満の者の行為は、刑法上の犯罪にはなりません。
しかし、少年法上は保護処分の対象となります。
③虞犯少年
虞犯少年とは、次に掲げる事由(虞犯事由)があり、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年をいいます。
虞犯事由は、次の通りです。
・保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
・正当な理由がなく家庭に寄り付かないこと
・犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること
・自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること
このような虞犯少年を家庭裁判所の審判に付すこととなっているのは、いまだ犯罪又は刑罰法令に触れる行為をするに至っていない不良少年を早期に発見し、少年の行状・性格・環境等から犯罪的危険性が看守される場合には、少年に適切な保護を加え、少年の健全な育成を図るとともに、犯罪の発生を未然に防ぐ目的があります。
(2)準少年保護事件
「準少年保護事件」とは、①保護処分取消事件、②収容継続申請事件、③戻し収容申請事件、そして、④施設送致申請事件の4種類の事件を指します。
上の「少年保護事件」が「非行少年」を対象とするのに対し、「準少年保護事件」は保護処分中又は保護処分終了後の少年について、その保護処分を対象とする事件です。
少年法が適用される事件は、成人の刑事事件とは異なる手続に基づいて処理されます。
ですので、お子様が事件を起こしてしまった場合には、早期に少年法に精通する弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件と刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
兵庫県朝来市でお子様が事件を起こしてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。
監護者性交等罪で逮捕
監護者性交等罪で逮捕
監護者性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡神河町に住むAさんは、妻と妻の連れ子のVさん(13歳)と3人で暮らしていました。
Aさんは、Vさんが12歳の時から、Vさんに対して性交やわいせつな行為を行っていました。
Vさんが深夜俳諧で兵庫県福崎警察署に補導されたことをきっかけに、父親のAさんから性的暴行を受けていることが発覚しました。
Aさんは、監護者性交等罪で逮捕されることになりました。
(フィクションです)
監護者性交等罪とは
2017年7月に性犯罪を厳罰化する改正刑法が施行されました。
この改正により、監護者性交等罪が新たに制定されました。
監護者性交等罪は、刑法第179条2項に以下のように規定されます。
第百七十九条
2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
監護者性交等罪は、「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて、性交・肛門性交・口腔性交をする」という犯罪です。
被害者が18歳未満であり、精神的に未熟で、かつ精神的・経済的に監護者に依存している状況において、監護者が暴行または脅迫を用いずとも、そのような関係性を利用して、性交等をした場合、被害者の自由な意思決定に基づくものではないと考えられます。
そのため、強制性交等罪と同等の悪質性があるものとして、これと同様に処罰するものとされます。
監護者性交等罪の成立においてポイントとなるのが、「現に監護する者」という成立要件です。
この解釈については、法律上の監護権に基づくものに限られず、事実上、現に監督・保護する者であれば、これに当たり得るとされます。
典型的な監護者は、一緒に生活をしている親です。
同居の親以外にも、事実上親と同程度に保護・監護している場合には、監護者と判断される可能性があります。
その判断にあたっては、同居の有無、生活状況、生活費の負担などが考慮されます。
監護者に該当しない場合でも、一定の影響力を行使し得るものが、18歳未満の男女に性的行為を行った場合には、児童福祉法違反が成立する余地があります。
強制性交等罪においては、被害者が13歳以上である場合、暴行または脅迫を用いて行為に及んだことが必要となりますが、監護者性交等罪では、暴行・脅迫を要件としていません。
監護者性交等罪の法定刑は、強制性交等罪と同様に5年以上の有期懲役です。
監護者性交等罪で逮捕されたら
逮捕から勾留までの間は、原則、家族であっても逮捕された被疑者と面会することはできません。
その間、被疑者は、警察からの取調べや、検察官からの弁解録取、裁判官との勾留質問などを受けることになり、どのように対応すればよいのか分からず不安になるものです。
そのような時には、すぐに弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士であれば、逮捕から勾留までの間であっても、いつでも逮捕された被疑者と面会(接見)することができます。
弁護士は、被疑者から事件の詳細を聞いた上で、今後の流れや処分見込み、取調べ等への対応についてアドバイスすることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
被疑者の方が逮捕されている場合には、弊所の刑事事件専門弁護士が留置施設に赴き、直接接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
当サービスの問合せ・ご予約は24時間受付ております。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
強制わいせつ事件で不起訴処分
強制わいせつ事件で不起訴処分
不起訴処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県養父市の路上で、帰宅途中だった高校生の背後から抱きつき、胸を触るなどのわいせつな行為をしたとして、兵庫県養父警察署はAさん(21歳)を強制わいせつの容疑で逮捕しました。
Aさんは容疑を認めています。
Aさんの両親は、逮捕の連絡を受け、慌てて刑事事件に強い弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)
検察官の事件処理
通常、検察官は、事件を受理してから捜査を開始します。
事件の受理の態様には、以下のようなものがあります。
①司法警察員からの事件送致
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、刑事訴訟法に特別の定めがある場合を除いて、速やかに書類と証拠物と一緒に事件を検察官に送致しなければなりません。
②司法警察員からの事件送付
告訴や告発、または自首に係る事件について、司法警察員は、速やかに一応の捜査を終了した上で、意見を付して書類と証拠物を検察官に送付しなければなりません。
③直受
検察官が、直接告訴や告発、自首、請求を受ける場合。
④認知
検察官が自ら犯罪を探知して捜査に着手する場合。
⑤再起
不起訴処分や中止処分に付した事件について、再び捜査を開始する場合。
検察官は、受理した事件の被疑者や参考人などの関係者の取調べを行い、押収済みの証拠品等の客観的な証拠などを総合的に検討して、事件の真相を解明し、事件処理を行います。
検察官が行う事件処理には、終局処分と中間処分とがあります。
終局処分とは、事件について必要な捜査を遂げた後に、起訴するか否かを最終的に決める処分です。
一方、中間処分は、将来の終局処分を予想し、その前に行う暫定的な処分のことです。
終局処分は、起訴処分と不起訴処分があります。
起訴処分とは、公訴を提起する処分のことで、公訴を提起しない処分を不起訴処分といいます。
不起訴処分は、その理由により以下のように分類されます。
1.訴訟条件を欠く場合
被疑者が死亡した場合、親告罪について告訴が取り消された場合など。
2.被疑事件が罪とならない場合
被疑者が犯行時14歳未満である場合、被疑者が犯行時心神喪失であった場合など。
3.犯罪の嫌疑がない場合
被疑者が人違いであることが明白になったとき、又は被疑者がその行為者であるかどうか、若しくは被疑者の行為が犯罪に当たるかどうかの点について認定すべき証拠がないことが明白になったとき、またはこれらを認定すべき証拠が不十分なときなど。
4.起訴猶予
被疑事実が明白な場合であるが、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯行後の状況を考慮し訴追を必要としない場合。
強制わいせつ事件で、被疑事実を認めている場合、起訴猶予での不起訴処分を目指すことになるでしょう。
そのためには、被疑者本人がきちんと反省し、再犯防止のための措置をとることに加え、被害者との示談を成立させることが重要となります。
強制わいせつ罪は親告罪ではありませんので、被害者との示談が成立し、告訴が取り下げられたとしても、検察官は公訴を提起することができます。
しかし、被害者との示談が成立しており、被害者からの許しも得ることができている場合には、検察官が公訴を提起しない決定をする可能性が高いと言えます。
被害者との示談交渉は、通常、弁護士を介して行われます。
多くの場合、被害者は加害者と直接連絡をとることを嫌がられますが、弁護士限りであればコンタクトをとり話を聞いてもよいというケースが多くなっています。
また、当人同士で交渉すると、感情論的になり、交渉が決裂したり、不相当に過大な金額での示談解決となってしまう可能性もあります。
弁護士が間に入ることにより、冷静な交渉により両者が納得できる内容での示談締結が図りやすいでしょう。
ですので、ご家族やご友人が強制わいせつ事件で逮捕されてしまいお困りの方、被害者との示談交渉でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。
自宅での盗撮
自宅での盗撮
自宅での盗撮について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県伊丹市に住むAさんは、自宅でデリヘルを利用しました。
派遣されたデリヘル嬢のVさんの許可を得ず、Aさんはサービス中の様子をカメラで撮影していました。
そのことに気づいたVさんは、店に連絡を入れました。
店からAさんに連絡が入り、「盗撮したでしょう、どうしてくれるのか。」と言われ困っています。
(フィクションです)
自宅での盗撮は何罪?
盗撮といえば、迷惑防止条例違反という犯罪が成立し得ることはよく知られたところでしょう。
盗撮に係る兵庫県の迷惑防止条例の規定は以下のとおりです。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
迷惑防止条例では、盗撮行為、盗撮目的でカメラを差し向ける行為やカメラを設置する行為が禁止されています。
そして、盗撮や盗撮目的のカメラの差し向け・設置が禁止される場所は、
①公共の場所、公共の乗物
②集会所、事業所、タクシー、その他不特定多数の者が利用する(公共の場所・乗物を除く)場所・乗物
③浴場、更衣室、便所、その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
です。
そのため、「自宅」はこれらの場所には該当せず、上記ケースでは、迷惑防止条例違反は成立しないことになります。
次に、盗撮に関連する法律として軽犯罪法が挙げられます。
盗撮に係る軽犯罪法の規定は以下のとおりです。
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
「ひそかにのぞき見る」行為は、承諾なしに物陰や隙間などから見ることを言いますが、望遠鏡を用いたり、カメラやビデオカメラを用いて撮影する場合も含みます。
場所については、「人の住居、浴場、更衣場、便所、その他人が通常衣服をつけないでいるような場所」となっています。
「人の住居」は、「犯人自身以外の者が正当に使用し得る住居」のことで、住居の一部であってもかまいません。
玄関のように通常人が服を着ていることが予想されるような場所であっても、「人の住居」に当たります。
「浴場、更衣場、便所」とは、私宅内の私用専用のものであるか、公衆浴場や公衆便所などのように不特定多数の人が使用するものであるかを問いません。
「その他人が通常衣服をつけないでいるような場所」とは、人が通常隠している肉体の部分を露出している可能性のある場所の内部のことをいいます。
例えば、役所の更衣室、病院の診察室、旅館の一室、キャンプ場におけるテント内などです。
以上の場所的要件を前提に、上記ケースの盗撮事件につき軽犯罪法違反が成立し得るか検討すると、Aさんは「自宅」で盗撮してますが、デリヘル嬢を「招き入れ」ており、「犯人(=Aさん)以外の者(=Vさん)が正当に使用し得る住居ということになり、Aさんに対する軽犯罪法違反が成立すると考えられます。
兵庫県の盗撮事件で加害者となり対応にお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
児童買春・児童ポルノ処罰法違反で逮捕
児童買春・児童ポルノ処罰法違反で逮捕
児童買春・児童ポルノ処罰法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、出会い系サイトを通じて知り合った中学生のVさんにお金を渡す約束す代わりに性交渉をする約束をしました。
AさんとVさんは、ホテルに入りましたが、Aさんは密かにカメラを設置し、性交渉の様子を動画で撮影しました。
ある日、兵庫県佐用警察署の警察官がAさん宅を訪れ、児童買春・児童ポルノ処罰法違反の疑いでAさんを逮捕しました。
(フィクションです)
児童買春・児童ポルノ処罰法
警察庁によると、全国の警察が昨年1年間に摘発した児童ポルノ事件は、前年と比べ28.3%増加しており、過去最多を更新したということです。
残念ながら、子供を取り巻く性被害が一層深刻化しているようです。
児童買春・児童ポルノ処罰法(「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)は、平成11年に制定・施行されました。
児童買春・児童ポルノ処罰法では、「児童買春」「児童ポルノ」に係る行為等を処罰することとしています。
1.児童買春に係る行為
児童買春罪
児童買春は、①児童、②児童に対する性交等の周旋をした者、③児童の保護者または児童を支配下に置いている者、に対して、「対償を供与し」、または「対償の供与を約束して」、その児童に対し、「性交等」をする行為です。
罰則は、5年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
児童買春周旋罪
児童買春を周旋(買春者と児童との間に立って児童買春の仲介をすること)をする犯罪です。
罰則は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金で、その両方が科される可能性があります。
周旋者が、周旋を業とした場合、例えば会員制売春クラブのようなものを作って利益を上げていた場合には、刑事罰が加重され、7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金となります。
児童買春勧誘罪
児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするよう勧誘した場合に成立します。
罰則は、周旋罪と同様です。
2.児童ポルノに係る行為
児童ポルノ単純所持・保管罪
「自己の性的好奇心を満たす目的」で、児童ポルノを「所持」、又は児童ポルノに係るデータを「保管」する行為です。
ただし、所持開始の時点で、「自己の意思に基づいて所持するに至った者」であって、「当該者であることが明らかに認められる者」に限られます。
罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
児童ポルノ提供罪
児童ポルノを提供する行為が対象となります。
児童ポルノやそのデータ等を相手方が利用することができる状態に置く法律上・事実上の一切の行為を「提供」といい、必ずしも相手方が現に受領することまでは必要となりません。
罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
更に、不特定多数の者に対する提供または公然と陳列する行為は、刑罰が加重され、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはこれの併科となります。
提供目的所持・保管行為等罪
提供・陳列の目的で、児童ポルノを製造・所持・運搬・輸入・輸出し、又はデータを保管した者は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また、不特定多数の者に対する提供や公然と陳列する目的で行われた場合は、刑事罰は加重され、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
児童ポルノ製造罪
他人に提供する目的がない場合であっても、児童に「児童ポルノに係る児童の姿態」をとらせた上、これを写真等によって描写し、児童ポルノを製造する行為で、その罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
また、「児童ポルノに係る児童の姿態」を盗撮することにより児童ポルノを製造した場合も、同様の罰則が設けられています。
児童ポルノ輸出入罪
児童ポルノを不特定多数に提供または公然と陳列する目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはこの併科となる可能性があります。
Aさんに対しては、児童買春罪、児童ポルノ所持・保管罪、児童ポルノ製造罪が成立する可能性があるでしょう。
もちろん、Aさんが、Vさんを18歳未満であると分かっていた、もしくは、18歳未満かもしれないがそれでも構わないと思っていたことが必要となります。
このように、児童買春・児童ポルノ処罰法は児童買春・児童ポルノに係る様々な行為を禁止し、処罰の対象としています。
児童買春、児童ポルノ事件で加害者となり、対応にお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
少年事件と観護措置
少年事件と観護措置
少年事件と観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県多可郡多可町に住む中学3年生のAくんは、同級生のBくんとCくんとともに、他の学校に通うVくんを呼び出し、殴る蹴るなどの暴行を加えました。
Vくんが兵庫県西脇警察署に被害届を提出したことにより、事件が発覚しました。
Aくんらは、中学校卒業直後に兵庫県西脇警察署に逮捕されました。
Aくんは、最初はVくんに暴行を加えることに乗り気ではなかったのですが、その場の雰囲気に流され、Vくんを2回ほど蹴ってしまったと供述しています。
Aくんの両親は、このまま身体拘束が続くと高校の入学式にも出席することが出来ないのではないかと心配しています。
(フィクションです)
少年の身体拘束~観護措置について~
14歳以上20日未満の少年が事件を起こしてしまった場合、長期の身体拘束を受ける可能性があります。
捜査段階では、成人の刑事事件と同様に、逮捕・勾留による身体拘束が予想されます。
事件が発覚し、少年を逮捕・勾留する必要があると判断される場合には、手続に従い裁判所の判断の基、逮捕・勾留されることとなります。
少年の場合には、勾留に代わりに「勾留に代わる観護措置」がとられることもあります。
捜査が終了し、事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は「観護措置」をとり、審判までの数週間にわたって少年を少年鑑別所に収容することができます。
「観護措置」とは、家庭裁判所が調査・審判を円滑に行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護し、その安全を図る措置のことをいいます。
観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する措置(在宅観護)と、少年鑑別所に収容する措置(収容観護)とがありますが、実務上、前者はほとんど活用されておらず、観護措置という時には後者を指すものとされています。
家庭裁判所は、家庭裁判所に事件が係属している間は、いつでも観護措置をとることができますが、捜査段階で身体拘束を受けていた少年が家庭裁判所に送致されると、送致時にそのまま観護措置をとるケースがほとんどです。
捜査段階で身体拘束がされていない場合であっても、家庭裁判所に送致された後、観護措置をとる必要があると判断されれば、観護措置がとられることがあります。
観護措置の期間は、法律上では原則2週間とし、とくに継続の必要があるときに1回に限り更新することができるとされているものの、実務上は、ほとんどの事件で更新されており、観護措置の期間は通常4週間となっています。
そのような長い期間、少年鑑別所に収容されることになれば、少年はその間学校や職場に行くことはできませんので、少年の社会復帰に影響を及ぼすことになりかねません。
特に、捜査段階から身体拘束を受けている少年にとっては、逮捕から1か月半もの間収容されることになり、少年の更生にも影響を及ぼしかねません。
そこで、観護措置を回避するため、付添人である弁護士は、身体拘束の長期化を避けるよう活動します。
事案や生活状況を鑑みて、観護措置の必要性がないと判断する場合や、観護措置を避ける必要がある場合には、弁護士は、家庭裁判所の送致される時期を事前に確認し、送致後すぐに付添人届を提出するとともに、裁判官・調査官との面談や意見書の提出を行い、家庭裁判所が観護措置をとる必要がないと判断するよう働きかけます。
このような活動は、少年事件に精通する弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こして身体拘束を受けてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
リベンジポルノで逮捕
リベンジポルノで逮捕
リベンジポルノについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、Vさんと交際していましたが、先日Vさんから別れを切り出されました。
Aさんは何度もVさんに復縁を迫りましたが、Vさんは聞き入れてくれませんでした。
そんなVさんに対して徐々に恨みを抱くようになったAさんは、何とかVさんに仕返しできないかと考え、交際中に撮影したVさんの裸の写真をインターネット上に公表することにしました。
自分の性的な写真がネットに上がっていることに気づいたVさんは、兵庫県加古川警察署に相談しました。
後日、兵庫県加古川署の警察官がAさん宅を訪れ、リベンジポルノ防止法違反の容疑でAさんを逮捕しました。
(フィクションです)
リベンジポルノとは
カメラ付き携帯電話やスマートフォン、インターネットの普及により、プライベートで撮った写真や動画を不特定多数の人と共有することが容易になりました。
その反面、撮影された人の同意がない写真や動画も勝手にネット上に出回るという迷惑行為も増加しています。
交際中に撮影した元交際相手や元配偶者などの裸の写真など性的な画像を、撮影された人の同意なく、インターネット上に載せるといったリベンジポルノもそのような迷惑行為のひとつです。
リベンジポルノにより個人の名誉や私生活の平穏が侵害されるといった被害が多発したため、平成26年に「私事性的画像記録の提供等による被害の部牡牛に関する法律」(以後、「リベンジポルノ防止法」という。)が制定されました。
リベンジポルノ防止法における「リベンジポルノ」とは、「私事性的画像記録の提供等」といい、「私事性的画像記録」については以下のように定義されます。
第二条 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
つまり、「私事性的画像記録」は、
①性交または性交類似行為に関連する人の姿、
②他人が人の性器等を触る行為または人が他人の性器等を触る行為に関連する人の姿で、かつ性欲を興奮させまたは刺激するもの、
③衣服の全部または一部を着けない人の姿で、殊更に人の性的な部位が露出されまたは強調されるものであり、かつ性欲を興奮させまたは刺激するもの、
でその人の姿が撮影された画像に関連するデータを指します。
「私事性的画像記録物」は、上記の①~③のいずれかに掲げる人の姿が撮影された画像を記録したものをいい、例えば、写真やCD-ROM、USBメモリなどです。
このような「私事性的画像記録」の提供等は、リベンジポルノ防止法において禁止されており、違反した場合の罰則規定も設けられています。
第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
5 第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。
「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」で、
①インターネットを通じて「私事性的画像記録」を不特定多数の者に提供する
②私事性的画像記録物を不特定多数の者に提供する、或いは、公然と陳列する
と、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
ここでいう「特定することができる方法」というのは、撮影された人の顔や背景として写っている物など、公表された画像自体から撮影された人を特定することができる場合の他に、画像公表の際に添えられた文言や掲載された場所など、画像以外の部分から特定することができる場合も含まれます。
撮影された人の顔がばっちり写っている場合も、顔は写ってないけれど名前や所属などコメントなどでその人が特定できるような情報がある場合にも、「特定することができる方法」に当たるわけです。
「提供」とは、相手方において利用しうべき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、相手方が実際に受領することまで必要ではありません。
また、上の行為をさせる目的で、インターネットを通じて私事性的画像記録や私事性的画像記録物を提供した場合には、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
なお、これらは、いずれも親告罪です。
つまり、被害者等の告訴権者からの告訴がなければ、検察官は起訴することができません。
ですので、リベンジポルノ事件を早期に解決するためには、何よりも被害者への謝罪・被害弁償、示談締結が重要となります。
このような活動は、加害者本人が直接被害者に連絡をとり行うことはお勧めできません。
なぜならば、被害者は加害者に対して恐怖や怒りの気持ちを抱いていており、加害者と直接連絡をとりたがらないことが多いからです。
このような場合は、弁護士、特に刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
兵庫県のリベンジポルノ事件でお困りの方は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
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