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コンビニコーヒーで窃盗事件

2019-03-02

コンビニコーヒーで窃盗事件

コンビニコーヒー窃盗事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西脇市にあるコンビニエンスストアで、100円のホットコーヒーレギュラーサイズを注文したAさん。
店員は、100円コーヒー用のカップをAさんに渡し、Aさんは100円を支払いました。
Aさんは、カップをコーヒーメーカーにセットし、150円のカフェオレのボタンを押し、カフェオレをカップに注ぎました。
すると、待機していた兵庫県西脇警察署の警察官に、Aさんの行為は窃盗罪に当たると言われ、警察署へ連れて行かれました。
実は、Aさんは、これまで何度も同様の行為を行っており、他の常連客が店員に報告し、店側が警察に相談したことで、今回の事件が発覚したのです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

100円のコーヒーカップ購入し150円のカフェオレを入れるのは窃盗罪?詐欺罪?

手軽に本格的なコーヒーが楽しめるとあって、コンビニコーヒーは大人気です。
セルフ方式で、レジでコーヒーの種類や大きさを伝え、料金を払い、専用のカップをもらう。そして、専用機器にカップをセットし、自分が注文した商品のボタンを押す。
とても簡単なプロセスですが、初めての人にとっては、「どのボタンを押せばよいのか分からない」、何回か使用している人でも「押し間違えてしまいそう」という意見が多く寄せられているようです。

上記ケースでは、Aさんは100円を支払ってホットコーヒーのレギュラーサイズを購入しました。
店員も、Aさんが注文した通り、ホットコーヒーレギュラーサイズの専用カップを渡しました。(①)
しかし、Aさんは、ホットコーヒーレギュラーサイズのボタンではなく、150円のカフェオレのボタンを押して、カフェオレをカップに注ぎました。(②)
この行為が、「窃盗罪」に問われているようですが、窃盗罪とはどのような犯罪をいうのでしょうか。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

犯罪が成立するためには、構成要件に該当し、違法性が認められ、かつ、責任能力があることが必要です。
構成要件というのは、刑罰法規によって定義された犯罪行為の類型であり、窃盗罪を例にとれば、「他人の財物を窃取した」ことが構成要件です。

窃盗罪における構成要件を、もう少し詳しくみていきましょう。
「他人の財物」とは、「他人の占有する他人の財物」のことで、自己の財物といえども、他人の占有に属し、または公務所の命令によって他人が看守しているものは、他人の財物とみなされます。
不動産については、刑法第235条の2の客体となるので、窃盗罪の客体からは除かれます。
ここでいう「占有」というのは、「人が財物を事実上支配し、管理する状態」をいいます。

また、「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいうと解されています。
窃取の方法や手段に制限はありません。
欺罔行為を手段とする場合、窃盗罪が成立するか、はたまた、詐欺罪が成立するかが問題となりますが、財物奪取の手段として人を騙しても、占有移転行為時に瑕疵ある意思に基づく占有移転がなければ、窃盗罪が成立することになります。
つまり、詐欺罪と窃盗罪の区別は、占有移転が被害者の意思に基づく処分行為によるか否かということによります。
この点、上記ケースでは、店員から100円用のカップの交付を受けた①の場面において、100円のコーヒーを買うとみせかけて150円のカフェオレを注ぐつもりで、店員を騙してカップの交付を受けたのであれば、詐欺罪が成立するでしょう。
しかし、この時点で相手を騙す意図がなければ詐欺罪は成立しません。
一方、実際にカップにコーヒーを注ぐ②の場面で、コーヒーを注ぐべきであるのに、わざと150円のカフェオレを注いだのであれば、窃盗罪となるでしょう。
この場合、店員から財物が交付されたのではなく、機械から財物を取得したのですから、人を騙す行為はこの場面ではありません。
もちろん、窃盗罪の場合にも、故意がなければ犯罪は成立しません。
窃盗罪の成立には、主観的要件として、他人の財物を窃取することの認識(故意)のほかに、不法領得の意思(権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思)を要求するのが判例および通説となっています。

たかが50円のことですが、理論上は犯罪が成立する可能性もありますし、実際に逮捕された事例もあります。
コンビニコーヒーの件に限らす、ご自身の行った行為が犯罪と成り得るのかお悩みであれば、刑事事件に強い弁護士にご相談されてはいかがでしょう。
お問い合わせは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイアル0120-631-881まで。

窃盗症と執行猶予

2019-03-01

窃盗症と執行猶予

窃盗症執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
主婦のAさんは、兵庫県加古川市にある商業施設内のスーパーマーケットで食料品3点を万引きしたところ、警備員に見つかってしまいました。
Aさんは、当時商品を買えるだけのお金を持っていたにもかかわらず、商品を万引きしたということです。
その後、Aさんは兵庫県加古川警察署に行き取調べを受け、Aさんの家族が身元引受人となり、釈放されました。
Aさんは、窃盗の前科前歴があり、今回は執行猶予期間中の犯行ということで、AさんもAさんの家族も今度こそ実刑になるのではないかと不安でたまりません。
(フィクションです)

窃盗症とは

常習窃盗を大きく分類すると以下の3つに分けられます。
①経済的利益のために金目の物品や金銭を盗む職業的犯罪者
②飢えて食べ物や生活必需品を盗む貧困者
③金があるのに些細なものを盗む病的窃盗

③のように、十分な資産を有しているにもかかわらず、繰り返し数百円の物を盗む者は、窃盗症(クレプトマニア)と呼ばれる精神障害を患っている可能性があります。

アメリカ精神医学会により「精神障害の診断と統計マニュアル」において、窃盗症の診断基準が以下のように挙げられています。

A.個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物をとろうとする衝動に抵抗できなくなることを繰り返される。
B.窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり。
C.窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感。
D.その盗みは、怒りまたは報復を表現するためのものではなく、妄想または幻覚への反応でもない。
E.その盗みは、素行症、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。

Aの基準は、他の常習窃盗と区別するものですが、窃盗症であっても、その物の用途や経済的価値を完全に切り離すことは難しく、欲しい・必要な物を盗むつつも、必要以上の量を盗んだり、結局は使用せずに放置していたり、後から考えると何故それを盗んだか分からない場合に該当すると広く理解されます。

万引き行為は、初犯であり、本人も反省しており、被害弁償も済んでいる場合であれば、微罪処分となる可能性もあります。
しかし、何度も万引きを繰り返すと、受ける処分も重くなり、実刑判決が下ることもあります。
自分ではやめたいと思っているのに、万引きを繰り返してしまう、そのような場合には、窃盗症が疑われるかもしれません。
窃盗症は一種の精神疾患ですので、刑罰を科すことでは再発防止は望めないでしょう。
何よりも専門の治療を受ける必要があります。
ですので、窃盗症と診断される場合には、治療に専念するため社会内処遇が適していることを説得的に主張することが重要です。
上記ケースにように、窃盗症を患う方が執行猶予期間中に再度犯行に及んでしまうケースは少なくありません。
窃盗症であると診断された場合には、医師による専門的治療を受けたり、支援組織による講義に参加したりと、窃盗症を克服できる環境づくりが必要です。
その上で、弁護士は、裁判において、常習窃盗の原因が窃盗症であること、専門的治療を受ける環境がととのっていること、本人も治療に専念し再発防止に意欲的であることや、家族からの支援が期待できることなど、もう一度社会内で更生する機会を与えてもらうよう、弁護活動に取り組みます。

庫県加古川市の常習窃盗事件で、窃盗症が疑われる方、執行猶予となり社会内での更生をご希望の方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
刑事事件専門の弁護士が、初回に限り無料で法律相談を行います。

控訴審を刑事事件専門弁護士に依頼

2019-02-28

控訴審を刑事事件専門弁護士に依頼

控訴審について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、深夜帰宅途中の若い女性を狙い、その後をつけて背後から襲い、服の中に無理やり手を入れて胸を鷲掴みにした後、逃亡しました。
Aさんは、同様の行為を2件行っており、とうとう強制わいせつの容疑で兵庫県豊岡南警察署に逮捕されました。
Aさんは、国選弁護人を選任し、弁護人からは、「被害者と示談して執行猶予」と言われており、示談についても任せていましたが、結局、判決日には、神戸地方裁判所豊岡支部において、実刑判決が言い渡されました。
Aさんは、どうにかならないかと思い、刑事事件専門弁護士に、控訴審について相談することにしました。
(フィクションです)

控訴審とは

裁判の内容に誤りがある、手続上違法がある、といったことはあり得ることです。
刑罰を科すということは、人の人生に大きな影響を与えますので、これらに対して、その是正の手段を講じておかなければなりません。
その手段として、裁判を受け不利益を被った者が、その裁判が確定する前に、上級裁判所に不服申し立てをし、原裁判の原稿または取消を求める「上訴」が設けられています。
この「上訴」のなかで、第一審判決を不服として高等裁判所へ申し立てる上訴を「控訴」といいます。
控訴の申立てをすることができるのは、第一審判決を受けた当事者である検察官および被告人です。
また、被告人の法定代理人や保佐人、第一審における代理人・弁護人も、被告人のために控訴をすることができます。
被告人が控訴する場合、被告人は、自らに利益な内容を主張して申立てなければなりません。
つまり、無罪判決に対して控訴を申し立てる、原判決よりも重い刑を主張して控訴を申し立てる、といったことはできないのです。

控訴審においては、控訴審での弁護人を改めて選任する必要があります。
第一審における弁護人を控訴審でも弁護人とする場合であっても、選任は審級ごとになされるので、改めて弁護人を選任しなければなりません。
控訴の申立は、第一審の弁護人にお願いすることができますが、控訴の申立が受理されると、第一審の弁護人は弁護人ではなくなります。

控訴を申立てるには、控訴申立書を第一審裁判所に提出しなければなりません。
控訴は、第一審判決が宣告された日から14日以内に申立てる必要があります。
これを過ぎると、判決が確定します。
期間内に控訴が申し立てられると、原判決の確定が阻止され、その執行が停止し、事件が控訴審に係属することになります。
控訴を受け取った第一審裁判所は、控訴提起期間が経過していないか、控訴の放棄や取下げがされていないかを審査し、そうでなければ、訴訟記録および証拠物を控訴裁判所に送付します。

控訴申立人は、控訴裁判所が指定する期限までに、控訴の理由を簡潔に明記した控訴趣意書を控訴裁判所に提出しなければなりません。
控訴の理由は、刑事訴訟法第377条に定められており、そのいずれかを根拠とする場合に限り適法なものとして扱われます。
控訴の理由には、大きく分けると以下の理由です。
①訴訟手続の法令違反
②事実誤認
③法令適用の誤り
④量刑不当

上記ケースを例に挙げると、Aさんはおそらく「量刑不当」を理由に控訴をしたいのだと考えられます。
その場合、控訴趣意書には、第一審判決で言い渡された実刑判決が「不当」であることを述べなければなりません。
例えば、犯罪事実に関して情状の評価を誤った、示談の成否や被告人の境遇などといった情状事実についての誤認や評価の誤りがあった場合です。
控訴審は事後審ですので、控訴趣意書に援用できる事実は、原則として、訴訟記録および第一審裁判所において取り調べられた証拠に現れている事実に限定されます。
しかし、「やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調べを請求することができなかった証拠によって証明することのできる事実であって、刑訴法381又は382条に規定する控訴申立理由(量刑不当または事実誤認)があると信ずるに足りるもの」、または「第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であって刑訴法381条または382条に規定する控訴申立理由(量刑不当または事実誤認)があると信ずるに足りるもの」の場合には、新たな事実の援用が認められます。
第一審の判決期日までに被害者と示談することが出来なかったが、その後示談がまとまった場合などは、これに当たるでしょう。

事案によって、該当し得る控訴の理由や控訴趣意書の内容も異なりますので、控訴をご検討であれば、一度刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

痴漢事件で早期釈放

2019-02-27

痴漢事件で早期釈放

痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、通勤に電車を利用していました。
会社の先輩が他支部に異動するということで、その夜は終電まで会社の仲間と飲んでいました。
なんとか終電に間に合い電車に乗り込んだAさんは、見知らぬ女性Vさんの隣に座りました。
Vさんは膝上のスカートをはいており、お酒も入っていたAさんはムラムラし、眠り込んだ様子のVさんの太ももの辺りを軽く触りました。
すると、Vさんから「今、触りましたよね」と言われ、次の停車駅で一緒に降りるよう言われ、Aさんはそのまま駅員室に連れて行かれました。
結局、兵庫県長田警察署の警察官に逮捕され、そのまま警察署に留置されることになりました。
Aさんは、何とかすぐに釈放とならないかと思い、弁護士を呼んでくれるよう警察に頼みました。
(フィクションです)

痴漢は何罪になるの?

電車での痴漢について、ニュースでも時々耳にしますよね。
痴漢は犯罪であることはみなさんよくご存じのこととも思いますが、痴漢罪という罪名はありません。
それでは、痴漢をした場合、一体何罪となるのでしょうか。

(1)迷惑防止条例違反
痴漢を行った場合、大半が迷惑防止条例違反となります。
迷惑防止条例とは、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止することで、住民生活の平穏を保持することを目的とする各都道府県が制定する条例です。
痴漢行為は、条例が禁止する「卑わいな行為等」に該当します。
兵庫県の迷惑防止条例では、卑わいな行為等の禁止が以下のように規定されています。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動

痴漢行為は、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たります。
迷惑防止条例違反の痴漢が成立するためには、痴漢行為を行った場所が「公共の場所又は公共の乗物」でなければなりません。
電車の車内で行った痴漢行為は、「公共の乗物において」行われておりますので、場所的要件も満たしています。
また、痴漢行為をする故意があることが必要です。
隣に座った女性の太ももを触る行為が痴漢であることは認識しているはずです。
では、「わざとじゃない」と主張する場合は故意がなかったと認められるのでしょうか。
満員電車で電車が揺れて触ってしまった場合であっても、「このままの態勢だと身体に触れることになるかもしれない…」と認識しているにもかかわらず、そのままの姿勢を取り続けて、相手の身体に触れる場合も、故意(未必の故意)が認められます。

迷惑防止条例違反の痴漢は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金となる可能性があります。
常習が認められると、刑は加重され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

(2)強制わいせつ罪
痴漢の行為様態によっては、強制わいせつ罪が成立することもあります。

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は、「暴行・脅迫」を手段とするものです。
ここでいう「暴行」とは、「相手方の反抗を著しく困難にさせる程度のもの」と解されるのが一般的です。
相手方の年齢・性別・素行・経歴、犯行が行われた時間・場所・環境、その他具体的な事情を考慮して、「反抗が著しく困難になる」か否かが判断されます。
「暴行」と聞くと、無理やり力ずくでするイメージですが、本罪の場合、「被害者の意思に反してわいせつな行為を行う」という比較的軽微な暴行で足りるとされています。
ですので、痴漢の犯行様態によっては、「暴行を用いてわいせつな行為」をしたと判断されることもあり得るのです。
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役です。
罰金刑はありません。

痴漢をし、迷惑防止条例違反の容疑をかけられているが、容疑を認めている場合には、逮捕されても早期釈放となる可能性があります。
逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないと判断されれば、警察段階で釈放、検察官が勾留請求せずに釈放、裁判官が勾留請求却下し釈放となるでしょう。
しかし、ただ何もせずに釈放となることはまれですので、逮捕されたら早期に刑事事件に精通する弁護士に相談し、釈放に向けて活動してもらうのがよいでしょう。
どのような対応をするかは事案によって異なりますので、その点でも弁護士に相談することをお勧めします。

ご家族が痴漢で逮捕されてお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
兵庫県長田警察署までの初回接見費用:35,200円)

弁護人・付添人の選任

2019-02-26

弁護人・付添人の選任

少年事件における弁護人付添人選任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県明石市に住むAくん(18歳)は、深夜の公園で仲間数人と集まっていました。
警戒中の兵庫県明石警察署の警察官は、Aくんらに職務質問をしました。
しかし、Aくんらの様子がおかしいことから、所持品検査を行うと、ポケットから大麻とみられる植物片が見つかりました。
そのままAくんらは兵庫県明石署に連行され、その後、逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

少年事件における弁護人・付添人

被疑者段階

事件の発覚から家庭裁判所送致までの被疑者段階では、少年と成人の手続に顕著な差異はありません。
少年であっても、少年または少年と一定の関係にある者は、いつでも、弁護人選任することができます。(刑事訴訟法第30条)

第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
2 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。

弁護人は、違法・不当な捜査活動がなされないよう監視したり、被疑事実を認めている場合には示談交渉を行うなど、被疑者である少年の権利・利益を擁護する役割を担っています。
この弁護人には、「私選弁護人」と「国選弁護人」とがあります。

私選弁護人
少年または少年の家族などから選任された弁護人で、弁護士費用は自己負担となります。
身体拘束の有無にかかわらず、被疑者その他の選任権者は、いつでも弁護人選任することができます。
私選弁護人は最大3人までつけることができます。

国選弁護人
捜査段階においては、少年事件も成人事件と同様に、刑事訴訟法の適用を受けます。
被疑者国選弁護人選任される要件に該当する場合には、国がその費用を負担する国選弁護人選任することができます。
被疑者国選弁護人選任される要件とは、以下のものです。
・対象事件が、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件」。
・少年が「貧困その他の事由により弁護人を選任することができない」。
被疑者国選弁護人制度は、逮捕後勾留前の段階では、利用することはできません。
少年事件では、「勾留に代わる観護措置」により少年鑑別所に収容された場合にも、被疑者国選弁護人選任が可能です。
被疑者国選弁護人制度は、身体拘束されていない在宅事件には適用されません。

家庭裁判所送致後

少年が家庭裁判所に送致された後、少年及び保護者は、家庭裁判所の許可を得て、付添人選任することができます。
ただし、弁護士を付添人とする場合には、家庭裁判所の許可は要りません。
付添人は、少年の権利を擁護し、その代弁者としての役割と、少年の更生に向けて家庭裁判所と協力し援助する役割を担っています。

私選付添人
少年及び保護者は、自ら付添人選任することができます。
捜査段階で私選弁護人選任している場合であっても、弁護人選任の効力は家庭裁判所送致時に失われるので、同じ弁護士を付添人として選任するのであっても、家庭裁判所送致後に改めて家庭裁判所に付添人選任届を提出しなければなりません。

国選付添人
私選弁護人の場合と同様に、捜査段階で被疑者国選弁護人選任効力は失われるので、被疑者国選弁護人が当然に国選付添人になるわけではありません。
平成26年施行の改正少年法によって国選付添対象事件の範囲が拡大し、被疑者国選弁護対象事件と同じ範囲にまで拡大されましたが、国選付添人を選任するか否かは、家庭裁判所の裁量に委ねられています。
家庭裁判所は、犯罪少年又は触法少年のうち、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪」に該当する非行に及んだ者について、「観護措置」がとられており、弁護士の付添人がいない場合に、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮して、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付けることができます。
ただし、検察官関与決定がなされた事件で、少年に弁護士である付添人がいないときは、家庭裁判所は弁護士である付添人を付けなければなりません。

少年事件も、成人の刑事事件と同様に、少年の権利・利益の擁護や少年の更生に向けた活動を行う弁護士の役割は大きいと言えるでしょう。
しかし、医者にも内科医や外科医といった専門性があるように、必ずしもすべての弁護士が少年事件・刑事事件に精通しているわけではありません。
少年事件・刑事事件でお困りであれば、専門の弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしてお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
フリーダイアル0120-631-881へご連絡ください。
兵庫県明石警察署までの初回接見費用:37,800円)

無免許運転で逮捕

2019-02-25

無免許運転で逮捕

無免許運転逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に住む70代の男性Aさんは、一旦停止を怠ったとして、交通警備中の兵庫県相生警察署の警察官に呼び止められました。
Aさんに免許の提示を求めたところ、無免許であることが発覚しました。
なんと、Aさんは、約30年前に免許の更新をし忘れ、それ以来ずっと無免許運転を行っていたということです。
Aさんの家族は、逮捕の連絡を受け、慌てて警察署に向かいましたが、面会することが出来ませんでした。
ネットで刑事事件に強い弁護士を探し、接見に行ってもらえるよう頼みました。
(フィクションです)

無免許運転

第六十四条 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

無免許運転は、道路交通法第64条において禁止されています。
無免許運転とは、以下の場合に車等を運転することをいいます。
・これまで一度も運転免許証の交付を受けずに運転する。
・免許が取り消されたにもかかわらず車を運転している。
・免許の停止期間中に車等を運転する。
・免許の対象外の車両を運転する。

免許の交付は受けているが、免許を所持せずに車を運転することは、「無免許運転」ではなく「免許不携帯」となります。

無免許運転には、「刑事罰」と「行政処分」が設けられています。
ここでは、刑事罰について概観します。

刑事罰

第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)運転した者

無免許運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

無免許運転をした人だけでなく、無免許運転のおそれがある人に車両を提供したり、無免許運転だと認識して同乗した人に対しても罰則が設けられています。
車両提供者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。
同乗者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金。

無免許運転で逮捕される場合

無免許運転が捜査機関に発覚し、逮捕されるケースには、以下のようなものが挙げられます。
・同様の前科前歴がある。
・常習的に無免許運転を行っていた。
・交通事故を起こし、死傷者を出してしまった。
・飲酒運転やスピード運転など他の交通法違反や犯罪を犯している。

上記ケースでは、Aさんは30年もの間無免許運転をしていたので、常習的ともいえ、悪質であると判断され逮捕されたと考えられます。

逮捕から勾留までの間は、原則、逮捕された方のご家族であっても、逮捕された方と面会することはできません。
警察からも事件の詳細について教えてもらえるとは限りません。
ですので、逮捕の連絡を受けたご家族は、一体何があったのかと大変不安に感じられることでしょう。
そのようなときには、すぐに弁護士に接見をご依頼ください。
弁護士であれば、いつでも逮捕された方と面会(接見)することができます。

刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、逮捕された方のもとへ赴き接見を行う「初回接見サービス」をご提供しております。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。

児童ポルノ事件で逮捕

2019-02-24

児童ポルノ事件で逮捕

児童ポルノ事件での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
大学生のAさんは、ネットを通じて知り合った中学生のVさんに、裸の写真を送るよう要求し、LINEを通じてAさんに送らせました。
AさんとVさんは、交際関係にあったわけではありませんが、VさんはAさんに好意を寄せていました。
ある日、Vさんが別件で兵庫県三木警察署に補導された際に、問題の写真が見つかり、事件が発覚しました。
兵庫県三木警察署は、Aさんを児童ポルノ禁止法違反(製造)の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、訳が分からず、急いで刑事事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)

児童ポルノ禁止法違反

上記ケースのように、18歳未満の者(以下、「児童」)に対して、児童の裸の写真を撮って自己に送らせる行為は、児童ポルノ禁止法(「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の略称)によって禁止されており、刑罰の対象となります。

児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」とは、以下のものを指します。

写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの (児童ポルノ禁止法第2条3項)

上の要件に該当する児童ポルノを、「自己の性的好奇心を満たす目的」で「所持」した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、児童との性交場面を撮影したり、児童に自身の裸の写真を撮らせてメールなどでそのデータを送信させる行為は、「製造」に当たります。
児童ポルノの製造については、以下の通り児童ポルノ禁止法で禁止されています。
①提供する目的での製造(児童ポルノ禁止法第7条3項)
②単純な製造(同条4項)
③盗撮による製造(同条5項)
④不特定もしくは多数への提供や公然陳列を目的とする製造(同条7項)

①~③の法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、④については、5年以下の懲役または500万円以下の罰金もしくはその併科です。

児童ポルノ事件で逮捕されたら

児童ポルノ事件で逮捕されると、逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか検察に送致するかを決めます。
検察に送致された場合、検察官は、被疑者の身柄を受けたときから24時間以内に、被疑者を釈放するか裁判官に勾留請求するかを判断します。
検察官が勾留請求すると、裁判官は、被疑者を勾留するか釈放するかを決定します。
勾留決定がなされると、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長されると最大で20日間身柄が拘束されることになります。

勾留されると、その間、会社や学校に行くことができないため、最悪の場合、懲戒解雇やタイ抱く処分となってしまう可能性もあります。
そのような事態を防ぐため、弁護士は、検察官や裁判官に対して勾留をする必要がない旨を主張し、勾留阻止に動きます。
また、勾留がされてしまった場合には、勾留決定に対する不服申し立てを行うなど、身柄解放活動に徹します。

ご家族が児童ポルノ事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。

出待ちとつきまといの線引き

2019-02-23

出待ちとつきまといの線引き

出待ちつきまといの線引きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
アイドルグループのVさんのファンであるAさんは、Vさんに会うため、コンサート等で移動する際、駅や空港で出待ちしたり、執拗に追いかけてカバンの中にプレゼントを入れたり、手を握ったり、挙句の果てには、プライベートでの外出先に押し掛け、飲食店の隣の席に座るなどの行為を行っていました。
Aさんの行為に困り果てたVさんは、会社から警察に相談してもらい、警察はAさんに警告をしました。
しかし、Aさんの行為は止むことがなく、むしろエスカレートしていきました。
ついに、兵庫県神戸市中央区で開催されたコンサートで出待ち中のAさんは、兵庫県生田警察署に逮捕されることとなりました。
Aさんは、自身の行為はストーカー行為ではなく、出待ち行為だと容疑を否認しています。
(フィクションです)

ストーカー行為で刑事事件

ファンの行き過ぎた追っかけや出待ち行為が、時に犯罪となることもあります。
ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、ストーカー行為を規制する法律です。
本法でいう「ストーカー行為」とは、以下のように定義されます。

同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。(ストーカー規制法第2条3項)

つまり、「つきまとい等」を「反復して」行うことを「ストーカー行為」といいます。

ここで問題となる「つきまとい等」についてですが、以下の要件を満たすものをいいます。

特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。(ストーカー規制法第2条1項)

「ある人に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」をもって、「その人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して、第1号から8号に該当するような行為をすることが「つきまとい等」となります。

さて、ファンの「出待ち」だけで「ストーカー行為」に当たってしまうのでしょうか。
通常、ファンの「出待ち」とは、その有名人が劇場、テレビ局、コンサート会場などでの公演が終わり、その施設から出てくるのを見たり、声をかけるために、当該施設の出入り口で待機することをいいます。
この行為自体は、第1号に当たりそうですが、これには「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる」場合に限定されていますので、単にテレビ局やコンサート会場付近で、サインを求めるために出待ちする程度では該当せず、「ストーカー行為」には当たらないでしょう。
しかし、上記のケースのAさんの行為は、単なる出待ちを超えてしまっており、Vさんに「不安を覚えさせるような方法」で繰り返し待ち伏せ等をしているわけですから、ストーカー行為に当たるでしょう。

ファンの「出待ち」行為と「ストーカー行為」の明確な線引きは、なかなか難しいものがありますが、あきらかに度を越えた行為は、ストーカー行為となり、刑事事件化することもあります。
刑事事件化してしまった場合には、早急に刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ストーカー規制法違反事件を含めた刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、0120-631-881までご連絡ください。

少年事件で観護措置回避

2019-02-22

少年事件で観護措置回避

少年事件観護措置回避に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西宮市に住む少年Aさん(16歳、高校1年生)が、友人と共謀し、ドラッグストアの化粧品など計5点を万引きしたとして兵庫県甲子園警察署に逮捕されました。
Aさんらは、今回の他にも、同様の手口で万引きを繰り返しており、Aさんは見張り役として関与していました。
Aさんは、逮捕後に勾留され、心配した両親が少年事件専門の弁護士に弁護を依頼することになりました。
Aさんは、その後、神戸家庭裁判所尼崎支部に送致されましたが、付添人の働きかけにより、観護措置をしない旨の決定をしました。
(フィクションです)

観護措置について

観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を円滑に行うために、一定期間少年を少年鑑別所に収容し、調査や鑑別などを行い、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護し少年の安全を図る措置のことをいいます。
逮捕・勾留されている身柄事件の場合、家庭裁判所に送致された日に、裁判官による審問手続を経た上で、その日のうちに決定されます。
観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する在宅看護と、少年鑑別所に収容する収容観護の2種類がありますが、実務上、前者はほとんど活用されることはなく、観護措置という場合は後者を指すのが通例となっています。

観護措置の期間は、法律では原則2週間とされていますが、実務上は、ほとんどの事件で1回更新されていますので、4週間が通例となっています。

少年法は、観護措置の要件について、「審判を行うために必要があるとき」と規定しており、その詳細については定めていませんが、一般的には以下の要件をみたす必要があると考えられています。
①審判条件があること
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる事情があること
③審判を行う蓋然性があること
④観護措置の必要性が認められること

④の要件については、以下の事由がある場合に認められます。
ア 調査・審判・決定の執行を円滑・確実に行うために少年の身体を確保する必要があること
イ 緊急に少年の保護が必要であること
ウ 少年を収容し心身鑑別をする必要があること

実務上、身柄事件として家庭裁判所に送致された少年の多くについて、観護措置の決定がなされています。
しかし、観護措置により、少年の身柄を約4週間拘束することになりますから、少年の学業や就業にとって大きな障害となり、ひいては少年の更生への妨げとなる場合も少なくありません。
そのような場合には、弁護士は付添人として、観護措置決定を回避するための活動を積極的に行う必要があります。
観護措置の決定がなされた場合であっても、観護措置決定に対する不服申し立てを検討すべき場合もあります。

観護措置決定を回避するために、付添人は、具体的には以下のような活動を行います。
・少年が家庭裁判所に送致される日を確認し、送致されたらすぐに付添人選任届、観護措置をとる必要がない旨の意見書及び保護者の陳述書や身元引受書、少年作成の反省文など、必要な資料を家庭裁判所に提出。
・家庭裁判所の裁判官との面談を申し入れ、事件について説明し、かつ、裁判官が把握していないであろう少年に有利な事情を説明し、観護措置をとる必要がない旨を主張。

このような活動により、身柄事件であっても、観護措置がとられない可能性を高めることができます。

お子様が事件を起こしてしまい、逮捕・勾留された、家庭裁判所に送致され観護措置がとられる可能性があると心配されているのであれば、今すぐ少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。
兵庫県甲子園警察署までの初回接見費用:36,200円)

特殊詐欺事件で試験観察を経て保護観察処分へ

2019-02-21

特殊詐欺事件で試験観察を経て保護観察処分へ

特殊詐欺事件での試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
少年(19歳)は、他の共犯者らと共謀の上、特殊詐欺組織の現金受け取り役として被害者宅に赴き、被害者から現金300万円を受け取ろうとしていたところ、待機していた兵庫県淡路警察署の警察官に逮捕されました。
少年は、逮捕・勾留後、家庭裁判所に送致され、観護措置がとられました。
本件の他にも、同様の特殊詐欺事件に関与したとして、余罪についても家庭裁判所に追送致されました。
少年の両親は、このままでは少年院送致となるのではないかと心配になり、少年事件専門の弁護士に相談しました。
少年事件専門の弁護士を付添人に選任し、第一回審判では試験観察となり、3か月間の試験観察を経て、第二回審判では保護観察処分が言い渡されました。
(事実を基にしたフィクションです)

特殊詐欺事件と少年事件

「高額アルバイト」などと称して、少年に特殊詐欺の片棒を担がせるケースが後を絶ちません。
特殊詐欺に関与した少年たちは、何も非行歴のある少年に限りません。
その多くが、非行歴や補導歴もない少年たちなのです。
「簡単」「高収入」といった甘い言葉を鵜呑みにして、犯罪組織の末端の役割を担った結果、捜査機関に逮捕されてしまうケースが多く見受けられます。
特殊詐欺事件は、被害額も多く、社会的な影響が大きいことや、組織犯罪の資金源となっていることが多く、近年厳しく処罰される傾向にあります。
20歳未満の少年の場合、初犯であっても、いきなり少年院送致の処分となる可能性もあるのです。

試験観察とは

少年事件は、原則、すべての事件が、捜査機関による捜査が終了すると、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致されると、調査官による調査、少年審判を経て、少年の更生に適した処分が決定されます。
その処分には、中間処分と終局処分とがあります。

相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。
少年が日記をつけることや、定期的に家庭裁判所に出向き調査官と面接することなどといった遵守事項が定められることが多くなっています。
試験観察の期間は、通常3か月から半年ほどです。

特殊詐欺事件の様な少年院送致の可能性がある少年事件の場合で、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。

兵庫県の少年事件でお困りの方、少年院に収容されるのではと心配されていらっしゃるのであれば、少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談されてはいかがでしょうか。
詳しくは、フリーダイアル0210-631-881までお問い合わせください。

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