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盗撮目的でのカメラの設置・差し向け

2019-08-27

盗撮目的でのカメラの設置・差し向け

盗撮目的でのカメラの設置差し向け行為により成立し得る犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県小野市にある施設内の女子トイレに盗撮目的で侵入したAくん(16歳)は、利用中の個室トイレの上から持っていたスマートフォンを差し入れ盗撮しようと試みました。
ところが、個室トイレに入っていた女性Vさんに見つかり大声をあげられ、Aくんは慌ててその場から逃げ出しました。
その後、防犯カメラの映像等からAくんが特定され、事件から数か月後に兵庫県小野警察署に建造物侵入と迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

迷惑防止条例で禁止される盗撮行為

兵庫県の迷惑防止条例は、第3条の2において盗撮行為を禁止しています。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

上の規定は、平成28年7月1日から施行されたもので、改正条例では、盗撮を禁止する場所が拡大され、盗撮の目的でカメラなどの撮影機器を設置する行為、差し向ける行為が新たに禁止されました。

本条例が禁止している行為は、次の3つです。

カメラ等を用いて撮影する行為。
撮影する目的で、カメラ等を設置する行為。
撮影する目的で、カメラ等を差し向ける行為。

①が典型的な盗撮行為で、スマートフォンを用いて盗撮する行為はこれに当たります。
②は、盗撮しようとしてトイレや更衣室などにカメラ設置する行為です。
そして、③は、盗撮する目的でスマートフォンを差し向ける、つまり、被写体へ向ける行為を意味します。
上記ケースは、③の行為に当たるでしょう。
②や③に関しては、実際に盗撮に成功していなくとも既遂となります。

また、盗撮行為や、正当な理由なく盗撮目的カメラ等撮影機器を差し向ける設置する行為は以下の場所で禁止されます。

①公共の場所・公共の乗物
②学校の教室・集会所・事務所・タクシー内、貸し切りバス内など
③浴場・更衣室・便所など

改正前は、電車や駅などでの盗撮は「公共の場所・乗物」における盗撮行為として迷惑防止条例違反が成立したものの、トイレなどは「公共の場所・乗物」に該当しないとして本条例が適用できないという状況にありました。
しかし、改正により、トイレ内の盗撮等の行為も禁止対象となり、迷惑防止条例違反が成立し得るようになりました。

このように、盗撮目的でスマートフォンを差し向けたAくんの行為は、兵庫県の迷惑防止条例違反に当たると考えられます。
また、盗撮目的で女子トイレに入った行為については、建造物侵入罪が成立するでしょう。

少年であっても逮捕される可能性はあります。
お子様が盗撮事件を起こし逮捕されてしまったのであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所は、刑事事件・少年事件を専門とした法律事務所です。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件における環境調整②~環境調整の重要性~

2019-08-22

少年事件における環境調整②~環境調整の重要性~

少年事件における環境調整の重要性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

少年審判の審理対象~非行事実と要保護性~

「非行事実」は、刑事裁判における「公訴事実」に該当するものです。
「要保護性」というのは、以下の3つの要素により構成されるものと理解されます。
①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行を犯す可能性があること。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を取り除くことができる可能性があること。
③保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な措置であること。

審判では、上の「非行事実」と「要保護性」の両方が審理されます。
そのため、少年事件では、犯罪行為の軽重が直接量刑に影響する成人の刑事事件と異なり、非行事実が軽微であっても、要保護性が高い場合には、少年院送致といった身体拘束を伴う処分が選択されることがあります。
他方、非行事実は重い罪名の付くものであっても、要保護性が解消され、社会内での更生を図ることが少年の健全育成のために適切であると判断されれば、保護観察といった社会内処遇が選択されることもあります。
そのため、「要保護性の解消」は少年事件においては非常に重要な要素となるのです。

少年事件における環境調整の重要性

上述のように、要保護性が低ければ低いほど、少年を身体拘束して更正する必要がなくなるというわけですが、要保護性の解放に向けては「環境調整」がとても重要な役割を果たします。

環境調整」というのは、保護者の関係の調整、就業先の開拓、帰住先の確保等、少年の社会復帰を円滑にするために少年をとりまく環境を調整することをです。
つまり、少年が更生に向けて生活するために必要な環境を整えることです。
この環境調整は、少年本人への働きかけ、家庭や学校、職場などへの働きかけ、交遊関係の調整、被害者への対応といった多岐に渡る活動を含みます。

(1)少年本人への働きかけ

少年本人が真に事件、そして自分自身と向き合うことができなければ、どんなに外部的環境調整に尽力したとしても、要保護性を解消することは難しく、少年の更生にはつながりません。
自分が何故今回の事件を起こしてしまったのか、それにより誰を傷つけてしまったのか、二度と同じ過ちを繰り返さないためにはどうすべきなのか等、しっかりと考えていかなければなりません。
勿論、このようなことを考え、答えを見つけることは、少年のみでは容易ではありません。
少年の家族や、学校の先生方、家庭裁判所の調査官など、協力してくれる大人はいます。
また、弁護士は弁護人・付添人として、少年が事件や自分自身の問題と向き合いあえるよう支援し、解決策を見出せるよう共に考えていきます。

(2)家庭への働きかけ

家庭は少年にとって最も身近な環境であり、家庭内の問題が非行の背景にあることが多く、家庭への働きかけは環境調整をする上でも重要であると言えるでしょう。
弁護士は、少年と保護者との間に入り仲介役的な役割を担うこともあれば、両者に対して問題点を指摘したり改善のアドバイスをしたり学校の先生のような役割を担うこともあります。
勿論、これらは弁護士から一方的に行うものではなく、少年や保護者との話し合いを重ね、ともに考える中で行うものです。

(3)学校や職場への働きかけ

学校に在籍している少年の場合、今後も在籍できるか、学校側が少年を受け入れて適切な指導をしてくれるかどうかは、少年の更生を考えるうえで重要な事項です。
公立の学校は、警察・学校相互連絡制度によって警察から学校に逮捕の連絡がいってることがあります。
学校に知られている場合には、学校側に少年事件の手続や少年が真摯に反省し更生に向けて努力している点などを報告し、少年を積極的に受け入れてくれるよう協力を求めます。
学校が事件について把握していない場合、私立学校のように事件を起こしたことを知れば退学処分とするようなところもあるため、学校に知られないように働きかける必要もあるでしょう。
働いている少年についても、学校と同様、少年が職場で働き続けることができるよう職場の上司などに協力を求めていきます。

(4)交遊関係の調整

少年の交遊関係が事件の背景にある場合もそう少なくありません。
ケース②のように薬物事件では、恋人や友人から勧められて薬物に手を出すといったケースも多く、薬物を断つためにはこのような関係を解消する必要があります。
ケース②では、Aさんは交際相手の勧めで大麻に手をだしているわけですので、この交際相手との関係を終わらせることはもとより、大麻の入手先を知っている場合には、入手先とも一切連絡をとれなくするなど、薬物に関連する関係を一切断ち切る必要があるでしょう。

(5)被害者への対応

成人の刑事事件のように、被害者との示談成立により、不起訴処分で事件終了というわけにはいきませんが、被害者への謝罪・被害弁償、示談が成立していることにより、少年が事件を真摯に反省し、被害者にも配慮していると判断される要素にはなります。
勿論、少年が反省せず、単に形式上被害弁償をしたという事実だけでは、要保護性を解消させる要素となり得ません。
ケース①の盗撮事件のように、被害者がいる事件では、一刻も早く被害者に被害弁償を!と急がれる場合がありますが、形だけの被害弁償を急ぐのではなく、少年自身が真に反省し、被害者に対してきちんと謝罪する気持ちを持つことができてから、それに基づいて被害者対応を行うことが、要保護性の解消につながるでしょう。

このように、少年事件においては、成人の刑事事件とは異なる視点で対応しなければならないことも多くあります。
そのため、少年事件については、少年事件に精通する弁護士に相談されることをお勧めします。

お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

少年事件における環境調整①~少年事件の流れ~

2019-08-21

少年事件における環境調整①~少年事件の流れ~

少年事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース①~
兵庫県内に住む中学生のAくん(15歳)は、駅構内のエスカレーターにおいて女子高生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、目撃者の男性に身柄確保されました。
Aくんは兵庫県垂水警察署で取調べを受けた後、両親が身元引受人となり夜に釈放となりました。
「余罪もあるようなので、また何回か取調べを受けてもらうことになる。捜査機関の捜査が終了したら、家庭裁判所が事件を担当することになる。」と警察官から簡単な説明を受けたAくんと両親は、少年事件の流れや最終的な処分について分からず心配になってきました。
(フィクションです)

~ケース②~
大学生のAさん(18歳)は、交際相手から大麻を勧められ、大麻を使用するようになりました。
交際相手の自宅に居た際に、兵庫県垂水警察署がやってきて、家宅捜索後に、Aさんと交際相手を大麻取締法違反の容疑で逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、すぐに弁護士に接見を依頼し、事件について報告を受けることができました。
逮捕後に勾留が付く可能性が高いことや薬物事件では接見禁止となる可能性もあることを弁護士から聞き、Aさんの更生を第一にと弁護士に弁護を依頼することにしました。
(フィクションです)

少年事件の流れについて

20歳未満の者(「少年」といいます。)が刑罰法令に反する行為を行った場合、少年法に基づく手続に従って処分を受けることになります。
少年の年齢や非行内容により少年事件の流れは異なりますが、ここでは14歳以上20歳未満の犯罪行為を行った少年(「犯罪少年」といいます。)の少年事件の流れについて説明しましょう。

(1)捜査段階

警察に事件が発覚すると、捜査が開始されます。
捜査段階では、成人の刑事事件とほとんど同様の手続がとられます。

ケース①

Aくんは盗撮をし、目撃者によって私人逮捕されています。
容疑を認めており、前歴・補導歴もないこと、スマートフォン内のデータ等の証拠を押収していること、そして身元引受人がいること等から、逮捕に引き続き身柄を拘束する必要がないと警察が判断したものと考えられます。
こうして、Aくんは逮捕の日に釈放され、余罪の件も含めてあと何回か警察に出頭し取調べを受けることになりました。
身柄を拘束せずに捜査を行う事件を「在宅事件」と呼びます。
警察での捜査が終わると、事件は検察に送致されます。
法定刑が罰金以下の比較的軽微な犯罪を犯した疑いがある場合は、警察から直接家庭裁判所に送致されます。
Aくんの場合は、迷惑防止条例違反に問われていると考えられますので、警察での捜査が終了すると、次は検察が事件を担当することになり、検察官から呼び出しがあります。
検察官は捜査を終えると、事件の記録を管轄の家庭裁判所に送致します。

ケース②

身柄を拘束する必要がある場合には、少年であっても逮捕されます。
逮捕から48時間以内に警察から検察官に事件が送致され、被疑者である少年の身柄を受けた検察官は24時間以内に少年を釈放するか勾留請求を行うかを決めます。
検察官が勾留請求した場合、裁判官は少年と面談した上で、勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最長で20日間、警察署の留置場で身柄が拘束されることになります。
ここまでは成人の刑事事件の流れと同じですが、少年事件の場合には、「勾留に代わる観護措置」がとられる点が成人の刑事事件とは異なります。
少年事件の場合には、検察官は裁判官に「勾留に代わる観護措置」を請求することができます。
当該措置がとられると、収容場所が少年鑑別所となります。
収容期間も10日で、延長は認められません。

(2)家庭裁判所送致後

警察や検察での捜査を終えると、事件が家庭裁判所に送られます。

家庭裁判所は、事件が係属している期間中いつでも「観護措置」をとることができます。
「観護措置」は、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護しその安全を図る措置で、そのほとんどが少年鑑別所に送致する措置がとられています。
捜査段階で「勾留に代わる観護措置」がとられていた場合、家庭裁判所に事件が送致されると当然に「観護措置」とみなされます。
逮捕・勾留されている少年については、家庭裁判所は送致された時に観護措置をとることがほとんどです。
ケース②の場合、薬物事件ということもあり、逮捕後勾留されることがほとんどです。
そのため、送致後に観護措置がとられる可能性は高いでしょう。

一方、ケース①のように在宅事件であっても、観護措置をとる必要があると判断されることもありますので、在宅事件だからと安心していると、家庭裁判所送致後に観護措置がとられ少年鑑別所に収容となることもあります。

家庭裁判所は事件を受理すると、家庭裁判所の調査官による調査、及び審判を経て最終的な処分が決定されます。

最終的な処分は、次の通りです。
①保護処分決定
 (a)保護観察
 (b)少年院送致
 (c)児童自立支援施設等送致
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始
中間的な処分として、試験観察があります。

以上、少年事件の流れを見てきましたが、少年であっても身柄がとられる可能性もあります。
長期の身体拘束により退学や解雇といった不利益を被るおそれもありますので、お子様が逮捕・勾留されお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

薬物事件で少年審判

2019-08-13

薬物事件で少年審判

薬物事件での少年審判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市東灘区に住む学生のAさんは、交際相手を通じて大麻を勧められ、大麻を使用するようになりました。
ある日、交際相手が大麻取締法違反で逮捕され、Aさんも同罪で逮捕されることとなりました。
逮捕・勾留後に、神戸家庭裁判所に送致され、少年審判が開かれることになりました。
Aさんは、どのような処分を受けるのかとても心配です。
(フィクションです)

少年事件の流れ

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が刑罰法令に触れる行為をした場合、成人の刑事事件と同様に捜査機関により逮捕されることがあります。
ただし、14歳未満の者(「触法少年」といいます。)の場合、刑事責任に問われることはないので、警察は処罰を目的とした捜査をすることはできず、任意捜査の範囲内で捜査を行い、その後、児童相談所に通告することになります。
ですので、少年といっても事件を起こした少年の年齢によって、その後の手続が変わってきます。

14歳以上20歳未満の少年を「犯罪少年」といい、刑事責任能力が生じ、事件を起こせば、警察に逮捕される可能性があります。
逮捕された後は、成人の刑事事件とおおよそ同じ手続きがとられますので、逮捕後に勾留された場合には逮捕から13日、延長されると最大で23日もの間、身柄が拘束されることになります。
ただ、少年の場合は、勾留に代わる観護措置がとられることもあるので、その場合には、留置場所が少年鑑別所になり、期間も10日となります。

捜査機関による捜査が終れば、少年事件について、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されることになっています。(これを「全件送致主義」といいます。)
家庭裁判所が事件を受理すると、家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年の更生に適した処分を決定します。
家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることができます。
観護措置がとられると、少年少年鑑別所に原則2週間、最大で8週間収容されることになり、少年鑑別所において、少年の非行原因や今後の更生の可能性について調査・分析されることになります。

少年審判について

少年に対する最終的な処分を言い渡すために設けられた期日において、裁判官による審理および決定の過程を「少年審判」といいます。

少年審判では、少年の犯した「非行事実」、並びに、少年の「要保護性」について審理されます。
要保護性とは、以下の3つの要素により構成されると考えられています。

1.再非行の危険性
少年の性格や置かれている環境に照らして、将来再び非行を犯す危険性があること。
2.矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことにより、再非行の危険性を除去できる可能性があること。
3.保護相当性
保護処分による保護が最も有効であり、かつ、適切な処遇であること。

ここでいう保護処分というのは、家庭裁判所に送致された少年を更生させることを目的とし、家庭裁判所が下す終局処分であって、①保護観察、②少年院送致、③児童自立支援施設等送致の3種類があります。

少年審判では、少年の非行事実のみならず、要保護性が審理されるため、少年事件では、非行事実が軽微であっても、要保護性が高いと判断されると、少年院送致といった処分が選択されることもあります。
逆に言うと、非行事実は重い犯罪に該当するものであっても、要保護性が解消されたと認められれば、保護観察のような社会内処遇が選択されることもあるのです。
ですので、要保護性の解消に向けた活動が少年事件においては重要となります。

その意味で、少年事件における弁護士の活動の中でも、「環境調整」に重きが置かれます。
環境調整は、少年と保護者・学校との関係調整、専門的な治療が必要な場合にはそのような治療を受けれるよう専門機関の協力を求めるなど、少年の社会復帰を円滑にするために少年を取り巻く環境を調整することをいいます。
加えて、少年が事件や自身が持つ問題を理解し、解決していけるように指導したり、被害者への被害弁償や示談交渉なども、少年事件において弁護士が行う重要な活動です。
薬物事件であれば、薬物を絶つことが非常に重要なポイントとなりますので、薬物を使用するようになった経緯や入手経路をしっかりと把握し、その関係性を断ち、二度と薬物に手を出さない環境を作り出す必要があります。
上記のケースであれば、交際相手とのつながりで薬物に手を出したことを踏まえ、その相手との関係性を完全に断つこと、そして必要であれば専門機関で治療を受けることが重要な環境調整となるでしょう。
もちろん、少年の家族による更生への支援も必要不可欠です。

少年事件では、少年だけでなく、家族や学校・職場といった周囲と協力し、少年の更生に向けて動いていかなければなりません。

お子様が薬物事件で逮捕された、家庭裁判所に送致され少年審判を受けることになり対応にお困りであれば、少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

少年事件で初回接見

2019-08-05

少年事件で初回接見

少年事件での初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市北区に住む少年Aくん(18歳)は、ネットで麻薬と覚せい剤を染み込ませた紙を購入し、密輸したとして兵庫県神戸北警察署に逮捕されました。
Aくんは、「興味本位でやった」と容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

少年が逮捕されたら

20歳未満の少年が刑罰法令に反する行為をした場合、成人の場合と同様に警察に逮捕される可能性があります。
14歳未満の少年の場合は、刑法で刑事責任に問えない旨が規定されていますので、犯罪とならず逮捕されることはありません。(ただし、事件の内容や少年の状況によっては、児童相談所で身柄を保護されることもあります。)
少年であっても、家庭裁判所に送致されるまでは、基本的に成人の刑事事件と同じ手続が適用されます。
逮捕されると、少年は警察署で警察からの取調べを受けます。
警察は、逮捕から48時間以内に、少年を検察に送致するか若しくは釈放するかを決めます。
警察が検察に事件を送致すると、少年は検察官からの取調べを受けます。
検察官は、少年の身柄を受けてから24時間以内に、裁判官に勾留請求をするか若しくは少年を釈放するかを決定します。
検察官が少年を勾留する必要があると判断した場合、裁判官に対して勾留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、少年と面談を行い、少年を勾留するべきか否かを判断します。
裁判官が勾留すべきと判断すると、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
勾留の場合留置先は警察署の留置場となりますが、少年の場合、この「勾留」に代わって「勾留に代わる観護措置」がとられる場合があります。
この「勾留に代わる観護措置」がとられると、留置先は少年鑑別所となり、期間も10日間と定められており、延長は認められません。
ただし、勾留に代わる観護措置がとられると、家庭裁判所に事件が送致された際、当然に観護措置がとられることとなり、更に1か月ほど少年鑑別所に収容されることとなります。

成人の刑事事件では、検察官が不起訴処分で事件を終了することがありますが、少年の場合、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されることになるので、この点成人の刑事事件とは異なります。
事件を受理した家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年の最終的な処分を決定します。

初回接見のメリット

先述したように、少年であっても逮捕される可能性はあります。
成人であっても、外部との接触が途絶えた状況で連日取調べを受けることは身体的・精神的に厳しいものです。
とかく、心身ともに発展途上の少年であれば、少年の心身に与える影響は大きいでしょう。
逮捕から勾留までの間は、原則として家族であっても逮捕された方と面会することはできません。
突然の逮捕で家族との接触も絶たれ、警察からの取調べにどう対応したらよいか分からない状況では、自己に不利な供述が取られたり、やってもないことまで認めてしまうこともあります。
そのような事態を回避するためにも、早い段階から弁護士との面会(接見)を行うことが重要です。
弁護士であれば、逮捕から勾留までの間であっても逮捕された方との接見は可能です。
弁護士は接見において、逮捕された方から事件の詳細を伺った上で、今後の流れや見込まれる処分、取調べ対応についての的確なアドバイスをするなどします。
また、ご家族からの伝言を逮捕された方に伝え、逮捕された方からご家族への伝言を伝えることもできます。
弁護士による接見は、専門家からの助言を受けることで逮捕された方の精神的な負担を軽減することにもつながります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
弊所では、刑事事件専門の弁護士が留置施設に出張し、逮捕・勾留されている方と接見をする「初回接見サービス」をご用意しております。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

少年事件と勾留に代わる観護措置

2019-07-26

少年事件と勾留に代わる観護措置

少年事件勾留に代わる観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
小学生の女児を公園のトイレに連れ込み、わいせつな行為をしたとして、兵庫県福崎警察署は、中学生のAくん(14歳)を強制わいせつ容疑で逮捕しました。
逮捕後、神戸地方検察庁姫路支部勾留に代わる観護措置を請求し、神戸地方裁判所姫路支部勾留に代わる観護措置を決定しました。
Aくんの両親は、警察から「明日からは神戸少年鑑別所に収容されることになる。明日以降で鑑別所のほうで面会を予約してください。」と言われました。
Aくんの両親は、今後の流れやAくんに対する処分について、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

勾留に代わる観護措置とは

20歳以上の成人が刑事事件を起こし逮捕された場合、刑事訴訟法に基づいた手続に従って事件は進められます。
具体的には、逮捕されたら、警察署に連行され、警察署での取調べを受けます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を検察に送致するか、それとも釈放するかを決めます。
事件自体が比較的軽微なものは「微罪処分」として処理されたり、容疑を認めており証拠も収集済みであり、継続して身体拘束する必要がない場合には、48時間以内に被疑者の身柄を解放し、在宅事件としてすすめます。
しかし、捜査も十分に尽くせておらず、証拠を収集する必要もある、逃亡のおそれもあるなど継続して身柄を拘束する必要があると判断されると、被疑者を証拠書類とともに検察に送致します。
被疑者の身柄を受けた検察官は、被疑者の取調べを行った上で、24時間以内に被疑者を釈放するか、勾留請求を行うかを決定します。
検察官が勾留請求をした場合、請求を受けて裁判官は、被疑者と面談し、当該被疑者について勾留の要件を満たしているか否かについて判断します。
裁判官が勾留決定を出せば、被疑者は検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
留置先は、警察署の留置場です。

少年が被疑者であっても、家庭裁判所に送致されるまでの捜査段階においては、基本的に刑事訴訟法に基づいた手続が適用されます。
ですので、捜査段階での手続は成人の刑事事件とほぼ同様となります。
しかし、少年の場合には、「勾留に代わる観護措置」という措置がとられることがあります。
検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合であっても、裁判官に対して、勾留に代わる観護措置を請求することができ、裁判官は、勾留に代わる観護措置をとることができます。
この勾留に代わる観護措置の手続は、基本的には勾留に関する規定が準用されるのですが、以下の点で勾留とは異なります。

①少年鑑別所収容の観護措置のほかに、家庭裁判所の調査官による観護の方法もとることができます。

②勾留は延長することができるのに対して、勾留に代わる観護措置は、その期間を10日間とし、延長することはできません。

勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容された事件が、家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置がとられたとみなされます。
ですので、勾留に代わる観護措置がとられると、家庭裁判所送致後も引き続き少年鑑別所に収容されることになるのです。

勾留に代わる観護措置がとられた場合、家庭裁判所送致後も少年鑑別所収容が継続することになりますので、長期での身体拘束を強いられることになります。
長期の身体拘束により、学校や職場に事件が発覚し、退学や解雇となるおそれもあり、少年の更生にとって大きな影響を及ぼすことが予想されます。
その一方で、少年鑑別所に収容されることで、少年自身が落ち着いて事件のことを振り返り、真摯に反省する機会を得ることができるという利点もあります。

お子様が事件を起こしてお困りの方は、少年事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
少年事件でお困りであれば、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

中間処分としての試験観察

2019-07-22

中間処分としての試験観察

試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
小遣い欲しさから、NSNの高額アルバイト募集広告に飛びついた大学生のAくん(19歳)は、特殊詐欺に受け子として関与してしまいました。
兵庫県相生市に住む女性から、弁護士のアシスタントと称して現金100万円を騙し取ったとして、兵庫県相生警察署は、Aくんを詐欺容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
弁護士からは、特殊詐欺関連の事件については、少年院送致という重い処分も十分可能性があるため、中間処分である試験観察を目指し、試験観察を経て保護観察処分となるよう活動する方針を打ち出されました。
特殊詐欺という重罪に手を染めてしまった以上、身体拘束やある程度の処分を受けることについては仕方がないとAくん本人と両親は覚悟していますが、大学を留年、若しくは退学しなければならなくなる少年院送致だけは回避したいと思っています。
(フィクションです)

少年事件において決定される処分とは

少年事件は、原則としてすべての事件が、捜査機関の捜査が終了すると管轄の家庭裁判所に送致されます。
保護事件として受理した家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年の更生に適した処分を決定します。
終局処分は、以下の通りです。
①保護処分
・保護観察
・少年院送致
・児童自立支支援施設等送致
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始
この他、中間処分として「試験観察」があります。

試験観察について

試験観察」とは、家庭裁判所は保護処分を決定するために必要があると認めるときに、相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定をいいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。

試験観察制度の趣旨については、次の2点が挙げられます。

(1)十分な調査を尽くす趣旨
保護処分は、身体拘束等、少年の権利を制約するものであるので、少年審判においては、少年の要保護性に関する資料を十分に調査し、少年の行動等の観察も尽くして、慎重かつ適切な判断がされなければなりません。
そのため、少年にとって適切な処分を慎重に見極めるために、十分な調査を尽くさせるという趣旨があります。

(2)プロベーション機能を期待する趣旨
プロベーションとは、犯罪者に対し、矯正施設への収容を猶予し、社会内で指導監督や援助を加え、その経過が悪い場合には矯正施設に収容するという心理強制によって改善と社会復帰を図る制度のことをいいます。
試験観察では、終局処分をいったん保留することで、試験期間中の少年に心理的な影響を与え、更生を促す効果を期待するという側面が期待されます。

試験観察の要件について、少年法25条1項は、「保護処分を決定するために必要があると認めるとき」とのみ規定しています。
しかし、一般的には、以下の要件を満たす必要があるといわれています。
・保護処分に付する蓋然性があること。
・ただちに保護処分に付することができない、或いは付すのが相当でない事情があること。
・調査官の観察活動が必要であり、かつ、その結果、適切な終局決定ができる見込みがあること。
・相当期間内に観察目的を達成する見込みのあること。

試験観察の期間は、通常3か月から半年ほどです。

特殊詐欺事件の様な少年院送致の可能性がある場合、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。

お子様が特殊詐欺事件を起こし、少年院送致のような重い処分になるのではないかと心配されているのであれば、まずは少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お子様の更生にとって適した処分となるよう少年事件に精通する弁護士が尽力します。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

観護措置がとられたら

2019-07-18

観護措置がとられたら

観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市西区に住むAさん(16歳)は、地元の高校に進学するも、数か月で退学してしまいました。
その後、友人宅で寝泊まりすることが続き、家にもあまり帰らなくなりました。
心配した両親は、Aさんと連絡をとろうと試みますが、一向に応対がありません。
とうとう両親が兵庫県神戸西警察署に相談したところ、県外の警察署で保護されていることが分かりました。
家出中のAさんは、生活費や遊ぶ金欲しさに売春していたということでした。
その後、Aさんは虞犯少年として神戸家庭裁判所に送致されましたが、裁判所からは観護措置をとるとの連絡が入りました。
(フィクションです)

観護措置とは

少年法第17条1項は、以下のように規定しています。

第十七条 家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、次に掲げる観護の措置をとることができる。
一 家庭裁判所調査官の観護に付すること。
二 少年鑑別所に送致すること。

家庭裁判所が、調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りつつ、少年の身体を保護してその安全を図る措置を「観護措置」といいます。
観護措置には、上の規定にあるように、調査官の観護に付する「在宅観護」と、少年鑑別所に送致する「収容観護」とがあります。
実務上は、在宅観護はほとんどとられることはなく、単に「観護措置」という場合、収容観護を指すものとされます。

観護措置の目的及び機能は、大別すると以下の3つであると理解されます。
①少年の逃亡を防止し、調査・審判への出頭を確保するとともに、罪証隠滅を防ぐこと。
②本人自身又は周辺環境に問題がある少年について、保護処分等の終局決定による保護がなされるまでの間、暫定的に身柄を保全することで、その心情の安定・情操の保護を図り、非行性の深化を防止すること。
③少年の身柄を拘束した状態で、行動の観察、心身の鑑別を行うこと。

観護措置がとられる要件は、上記のように「審判を行うため必要があるとき」という抽象的な規定が定められているだけですが、実務上は次のような要件を満たす必要があるとされています。
1.事件の係属
2.審判条件の具備
3.審判に振るべき事由についての嫌疑の存在
4.審判を行う蓋然性
5.観護措置の必要性
上の5については、観護措置の目的・機能に対応し、以下のような要件が必要と理解されています。
(ア)審判・調査・法定執行のための身柄拘束が必要である。
(イ)少年が緊急の保護を要する状態にあること。
(ウ)少年を収容して鑑別をする必要があること。

上記ケースを検討すると、Aさんは虞犯少年として事件が神戸家庭裁判所に係属しています。
仮に観護措置の要件である1~4は既に満たしているとします。
そこで、家庭裁判所は観護措置の必要性について判断することになります。
(ア)Aさんは、警察に保護される前に家に寄りつかず家出をしていましたので、再度家出をする可能性も否定できず、逃亡のおそれという観点から、身柄拘束が必要であると判断されるでしょう。
(イ)家庭環境が劣悪、自傷自殺のおそれがある、反社会的集団の影響により審判までに非行性が進化するおそれがあると考えられる場合ですが、上記ケースではそこまでの緊急性はありません。
(ウ)少年の非行は、少年の資質的な問題のみならず、少年を取り巻く環境が複雑に絡み合って引き起こされたものであり、非行に及んだ少年の健全育成を期するためより適切な措置をとるには、その前提として、少年の心身の状態を可能な限り正確に把握する必要があります。
虞犯少年は、その要件として、保護者による保護が実効性を有していなかったり、環境的な要因が認められたり、少年の性格的問題性が存在していることが前提として、今後少年が犯罪に及ぶ蓋然性があるとされており、虞犯少年は要保護性が高い少年を対象とするものであるから、心身鑑別の必要性は高いと言えます。

ですので、Aさんのように、犯罪を起こしたわけではないが虞犯少年として家庭裁判所に送致された場合、その後観護措置がとられる可能性は高いのです。

観護措置がとられることにより、1か月ほど少年鑑別所に収容され、身体拘束を受けることになりますので、それによって少年が被る不利益もあります。
しかし、少年鑑別所でしっかりと専門家による心身鑑別を受けることにより、少年の更生に資することや、非行の要因になった環境から切り離された場にいることで、しっかりと自分を向き合うことができるといったメリットもあります。

少年の更生に向けて最善の方法を見つけるために、少年事件に精通する弁護士にご相談されてみてはいかがでしょう。
お子様が家庭裁判所に送致され、観護措置をとられた・とられそうだとお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

少年事件の捜査段階における弁護活動

2019-07-11

少年事件の捜査段階における弁護活動

少年事件捜査段階における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県高砂市にある駅構内の階段で女子高生のスカート内を盗撮したとして、高校2年生のAくんは目撃者によって駅員室に連れて行かれました。
その後、通報を受けて駆け付けた兵庫県高砂警察署の警察官に、警察署に連れて行かれましたが、その日の夜にAくんの両親が迎えにきて釈放となりました。
警察からは「また連絡します。」と言われており、今後どのように対応すればよいか分からず、翌日少年事件に強い弁護士のもとに相談に訪れました。
(フィクションです)

少年が事件を起こしたら

20歳未満の少年が刑罰法令に触れる行為を行った場合、少年法に基づいた手続に沿って事件が処理されることになります。
しかし、事件が家庭裁判所に送致される以前の捜査段階においては、成人の刑事事件とほぼ同様に刑事訴訟法に沿って進みます。
(ただし、14歳未満の者に対しては刑事責任は問われませんので、これらの者については異なります。)

警察官による職務質問や所持品検査、自動車検問、現行犯逮捕、自首、告訴、告発、被害届などを発端として警察などの捜査機関は捜査を開始します。
盗撮事件の場合には、現行犯逮捕や被害届により事件が警察に発覚することが多くなっています。

逮捕された場合

盗撮行為を行い逮捕されてしまった場合、警察は逮捕から48時間以内に被疑者を検察に送致するか、それとも釈放するかを決めます。
盗撮はスマートフォンで行われることが多く、スマートフォンを既に押収しており、被害者も容疑を認めており身元引受人もしっかりしている場合には、逃亡や罪証隠滅のおそれがないとして48時間以内に釈放となることが多いようです。
他方、容疑を否認している、余罪も多く疑われる、身元引受人がいないなどであれば、検察に送致される可能性も充分にあります。
検察に送致されると、検察官は少年を勾留する必要があると判断した際には、裁判所に対して勾留請求または勾留に代わる観護措置を請求します。
勾留に代わる観護措置は、少年法に規定されており、勾留場所を少年鑑別所とし、勾留期間も10日間と勾留と違って延長はできません。
検察官からの勾留請求または勾留に代わる観護措置の請求を受けた裁判官は、当該少年を勾留または勾留に代わる観護措置をとるか否かを判断します。
勾留が決定すれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となり、勾留に代わる観護措置がとられれば10日間の身体拘束を余儀なくされます。

捜査段階での弁護活動

逮捕される前であれば、相談において刑事処分の見通しや対処方法をアドバイスしたり、取調べ対応を指示する、出頭や取調べなどへ同行するなどします。
逮捕されてしまった場合には、少年との小まめに接見し取調べについて綿密に打ち合わせを行い、釈放に向けた活動を行います。
接見禁止が付いている場合には、ご家族との面会が可能となるよう一部解除に向けて動きます。
さらに、被害者がいる事件では、被害者との示談交渉を迅速に行うなど、事件の早期解決や後の審判でも有利に考慮されるよう努めます。
加えて、少年事件では要保護性の解消も審判の審理対象となりますので、少年の資質や事件内容に応じて適切な環境調整をご家族や学校・職場と協力して捜査段階から行います。

お子様が事件を起こし突然逮捕されてしまったら、お子様ご本人もご家族も今後の流れや最終的な処分について不安を抱かれることでしょう。
少年の場合には、成人の刑事事件とは異なる手続がとられることもあり、少年事件に特有の対応を迫られることもあります。
そんなときには、刑事事件にも少年事件にも精通する弁護士にご相談・ご依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
事務所設立以来、数多くの少年事件を取り扱ってまいりました。
その豊富な経験から得たノウハウと活かし、迅速かつ適切な弁護活動をご提供いたします。
お子様が事件を起こした、逮捕された、家庭裁判所に送致されたとご対応にお悩みの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
専門のスタッフが事件概要を伺った上で、無料法律相談もしくは初回接見サービスをご案内させていただきます。

少年と援助交際

2019-07-04

少年と援助交際

少年援助交際について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県南あわじ市に住む中学生のAさん(15歳)の母親のもとに、兵庫県南あわじ警察署から連絡がありました。
「児童買春事件の件で、娘さんに話を聞きたい」と言われ、はじめてAさんの母親はAさんが援助交際をしていたことを知りました。
Aさんの母親は、Aさんが援助交際の件で今後逮捕されたりするのかと心配になり、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

子供が援助交際をしていたことが分かったら

一般的に、援助交際というのは、金銭等の経済的利益の代償として、性交を含めた性的な関係を提供することをいいます。
女子中学生や女子高生が援助交際を行うことも多く、児童買春として問題となっています。
児童買春をした者が、児童買春・児童ポルノ禁止法に違反し、刑事罰の対象となるのは多く知られたところですが、児童売春をした未成年者にはどのような処分が科され得るのでしょうか。

1.被害者として

児童買春は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)によって禁止されています。
ここでいう「児童買春」というのは、児童、児童に対する性交等の周旋をした者、または児童の保護者や児童をその支配下に置いている者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいいます。(児童買春・児童ポルノ禁止法第2条第2項)
児童買春をした者は、児童買春・児童ポルノ禁止法によって処罰の対象となります。(児童買春・児童ポルノ禁止法第4条)
児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童の権利を擁護することを目的とした法律ですので、同法において、児童買春の相手方となった児童は、児童買春によって心身に有害な影響を受けた児童買春の被害者として扱われることになります。
ですので、上記ケースのように、警察から児童買春事件の被害者として事情聴取を求められることがあります。

2.ぐ犯少年として

性交等を行う援助交際は売春行為であり、売春防止法に違反することとなります。(買春禁止法第3条)
しかしながら、単純な売春行為のみであれば、売春禁止法によって処罰されることはありません。
ただ、援助交際を繰り返している少年は、性の逸脱行為があるとして、補導の対象となります。
警察官は、街頭補導活動を中心とする補導活動を行っています。
街頭補導というのは、道路その他の公共の場所、駅その他の多数の客を来集する施設又は風俗営業の営業所その他の少年の非行が行われやすい場所において、非行少年、不良行為少年、被害少年、そして要保護少年を発見し、必要に応じその場で、次の措置をとることをいいます。
①非行少年については、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他の必要な措置をとる。
②不良行為少年については、当該不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言又は指導その他の補導を行い、必要に応じ保護者に連絡する。
③被害少年については、適切な助言を行う等必要な支援を実施する。
④要保護少年については、児童相談所への通告又は児童相談所長もしくは都道府県知事の委託を受けて行う一時保護の適切な実施のため、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他必要な措置をとる。

また、売春を行っていた少年は、「ぐ犯少年」として家庭裁判所に送致され、審判に付される可能性があります。
「ぐ犯少年」というのは、ぐ犯事由があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある20歳未満の少年のことです。
ぐ犯事由というのは、次に掲げる事由です。
①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
②正当な理由なく家庭に寄りつかないこと。
③犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること。
④自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
これらのぐ犯事由自体は犯罪には該当しないので、他に犯罪行為がない限り、家庭裁判所への送致に先立って逮捕・勾留等はなされません。
しかし、捜査機関においてぐ犯事由があると思料するときには、家庭裁判所に送致され、調査・審判を経て最終的な処分が決定することとなります。

このように、犯罪行為そのものを行っていない場合であっても、ぐ犯少年として家庭裁判所に送致され、調査・審判に付される可能性はあるのです。

お子様がぐ犯少年として家庭裁判所に送致されて、その対応にお困りであれば、少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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