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刑事事件:窃盗と器物損壊

2020-02-20

窃盗器物損壊について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、兵庫県神戸市長田区の店に勤務していましたが、解雇されました。
解雇されたことを逆恨みしていたAさんは、「看板を壊してやろう。」と思い立ち、店のスタンド看板を持ち去って、1キロほど先の公園で看板を叩き割って投棄しました。
後日、兵庫県長田警察署から連絡があり、「看板の件で話が聞きたい。」と言われ、1週間後に出頭することになりました。
Aさんは、自分の行為がどのような罪になるのか、今後どのように対応すべきか分からず不安になったので、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

盗んだ物を使用する目的がない持ち去りは何罪?

他人の物を勝手に持ち去る行為は、通常「窃盗」に当たります。
盗んだ物を使用・利用するためがほとんどですが、中には、嫌がらせ目的など使用・利用する目的以外で他人の物を持ち去るケースもあり、そう珍しいことではありません。
それでは、盗んだ物を積極的に使う目的のない場合も、窃盗罪が成立するのでしょうか。

まずは、窃盗罪(刑法第235条)についてみていきましょう。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと
により成立する罪です。

◇客体:他人の財物◇

他人の占有する他人の財物が、窃盗罪の客体です。
「占有」とは、人が財産を事実上支配し、管理する状態をいいます。

◇行為:窃取◇

窃盗罪の行為は、「窃取」です。
「窃取」は、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを意味します。(大判大4・3・18)

◇主観的要件:故意と不法領得の意思◇

窃盗罪の故意は、①財物が他人の占有に属していること、および、②その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識・認容していることです。
故意は、次の「不法領得の意思」とは別の要件です。
目的物を遺失物と誤認していた場合には、窃盗の故意を書き、遺失物横領の限度でしか認められません。(東京高判昭35・7・15)
また、目的物を自己の所有物と誤認していたが、他人が占有していることを認識・認容していれば、窃盗の故意は認められます。

不法領得の意思は、条文にはありませんが、判例上認められる要件です。
不法領得の意思とは、「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」です。(最判昭26・7・13)
この不法領得の意思は、窃盗と一時使用行為や毀棄隠匿とを区別する上で重要です。

次に、器物損壊罪(刑法第261条)について説明します。

第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、
①他人の物を
②損壊又は傷害した
場合に成立します。

◇客体:他人の物◇

器物損壊罪の客体は、他人の所有する財物で、公用文書、私用文書、建造物・艦船以外の物です。
財物には動物も含みます。

◇行為:損壊・傷害◇

「損壊」とは、広く物の効用を害することをいい、物理的に破壊するなどして効用を害する他に、事実上や感情上使用できなくさせて効用を害することも含まれます。
「傷害」は、動物を殺傷することの他、飼っている動物を逃がすなど本来の効用を失わせる行為も含みます。

◇主観的要件:故意◇

器物損壊罪の故意は、他人の財物を損壊・傷害することの認識・認容です。
窃盗罪には、故意とは別に、不法領得の意思が必要となりますが、器物損壊罪の成立には必要とされません。

さて、Aさんの行為を分析してみましょう。
Aさんは、店の看板を「壊す」ために、看板を盗み、実際に壊しています。
看板は店が所有するものですので、看板を勝手に持ち去る行為は、窃盗の行為である「窃取」に当たるでしょう。
と同時に、Aさんは店の看板を壊していますので、器物損壊の「損壊」にも該当することとなります。
それでは、Aさんの行為は、窃盗罪と器物損壊罪のどちらが成立することになるのでしょうか。
この点、不法領得の意思があるか否かが判断の分かれ目となります。
つまり、Aさんに「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」があったかどうかという点です。
「権利者を排除」する点では、窃盗器物損壊も同じですが、持ち去った物を「経済的用法に従って利用し又は処分する意思」があったか否かが判断の分かれ目です。
「経済的用法に従って利用・処分する意思」は、経済的に利益を受ける意思、その物の用途にかなった使用をする意思、財物から生じる何等かの効用を受ける意思を意味します。(最判昭33・4・17)
この点、Aさんは、解雇されたことへの逆恨みで、嫌がらせ目的で看板を持ち去り、看板を何ら使用することなく壊しているので、看板を利用する意思はなく、また何ら効用も得ていないため、不法領得の意思がなく、窃盗ではなく器物損壊が成立するものと考えられます。

どのような罪が成立するかは、事件内容によって異なることがありますので、刑事事件を起こしてお困りであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

DV事件で刑事事件に発展したら

2020-02-19

DV事件で刑事事件に発展した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県南あわじ市に住むAさんは、ある夜、妻のVさんと家計のことや子供の教育について口論となりました。
会社の飲み会で帰宅が遅くなったAさんに、Vさんは暴言を吐くので、カッとなったAさんは、Vさんに対して殴る蹴るの暴行を加えました。
Vさんは、そのまま家を出て、近所の交番に駆け込みました。
その後、警察官がAさん宅に訪れ、Aさんに事情を聞いた後、兵庫県南あわじ警察署に連れていってしまいました。
「警察に説教してもらって反省すればいいわ。」と思っていたVさんでしたが、警察からAさんを逮捕したとの連絡を受けて、驚いています。
(フィクションです)

DV事件で刑事事件に発展する可能性は?

配偶者や子供、交際相手などに暴力を振るった場合、暴行罪や傷害罪といった罪に問われる可能性があります。
一昔前までは、家庭内の問題への介入に警察は消極的でしたが、DV事件から殺人や傷害致死といった大きな事件に発展するケースが増え、今日では警察もDV事件に対して厳しく対処しています。

警察に事件が発覚する経緯としては、次のようなものが挙げられます。

●子供に暴力を振るい、身体にあざや怪我が残った場合、学校が不審に思い、児童相談所などに報告することで、事件が発覚する。
この場合、子供は児童相談所に一時保護される可能性があります。
また、児童相談所から警察に連絡がいき、警察は被疑事件として捜査を開始するでしょう。
被疑者と被害者の関係性から、身体拘束の必要性が生じ、逮捕される可能性も否定できません。

●配偶者や交際相手が、直接警察に通報・相談することで、事件が発覚する。
暴力を受けた配偶者や交際相手が、警察などに通報・相談することで、刑事事件に発展するケースも少なくありません。
診断書や被害届を提出した場合には、警察は刑事事件として捜査に着手します。
被害届を提出するケースでは、DV被害を受けた配偶者や交際相手が関係解消を望んていることが多いでしょう。
しかし、相手に反省してもらおうと警察に通報・相談した場合であっても、状況によっては駆け付けた警察官により被疑者が現行犯逮捕される可能性もあります。

DV事件で逮捕されたら

DV事件で逮捕されたら、通常の刑事事件と同様の手続を踏むことになります。
逮捕から、48時間以内に、被疑者は釈放される、若しくは、検察に送致されることになります。
検察に送致されたら、今度は検察官が被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか、あるいは勾留請求を行うかを決めます。
検察官が勾留請求した場合、裁判官は勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。

このように、逮捕から比較的短時間で勾留の有無が決まってしまいます。

配偶者や交際相手の身体拘束まで求めていない場合、長期身体拘束によって生じうる解雇等の不利益は、被疑者だけでなく被害者やその家族も被ることになってしまいます。
このように、被害者が刑事事件化や被疑者の身体拘束を望まない場合には、その旨をきちんと捜査機関や裁判所に理解してもらうことが重要です。
その結果、早期釈放や不起訴で事件を終える可能性を高めることができるでしょう。

他方、配偶者や交際相手が被疑者との関係解消を望んでおり、身体拘束について特に不利益がない場合には、逮捕後勾留となり、身体拘束が長期化する可能性があります。
しかし、相手方との示談を成立させることにより、事件を早期に終了させ、釈放となる可能性もあります。
離婚や交際関係解消が絡んだ示談交渉は、当人同士や家族同士で行うと、感情的になり上手く進まないことが多々ありますので、そのような交渉は弁護士を介して行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお悩みであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
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逮捕・監禁事件で逮捕

2020-02-18

逮捕監禁罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県豊岡市にある学習塾で講師をしているAさんは、兵庫県豊岡南警察署逮捕監禁の疑いで逮捕されました。
Aさんの生徒であるVさんが、Aさんに手錠で両足を固定されたまま個別指導を2時間受けたことをVさんの母親に話し、驚いた母親が豊岡南警察署に相談したことで事件が発覚しました。
警察は、早朝にAさん宅を訪れ、家宅捜索後にAさんを豊岡南警察署に連れて行きました。
自宅にいたAさんの妻は、警察から詳しいことを聞かされず、Aさんを警察署に連行した数時間後に「Aさんを逮捕した。」との連絡を受けました。
今後どうなるのか全く分からず不安に駆られたAさんの妻は、ネットで検索して刑事事件に強い弁護士に接見を依頼することにしました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

逮捕・監禁罪について

逮捕監禁罪は、刑法第220条に規定される罪です。

第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

本条の前段は逮捕罪について、後段は監禁罪について規定しています。

逮捕監禁罪の客体は、身体活動の自由を有する自然人です。
逮捕監禁罪の保護法益は、身体活動の自由ですので、意思に基づく身体の活動能力を有しない嬰児や意識喪失状態の者は逮捕監禁罪の客体には含まれません。

◇逮捕罪◇
逮捕」は、人の身体を直接的に拘束して、その身体活動の自由を奪うことです。
その方法は、縄で縛るといった有形的手段でも詐欺や脅迫などの無形的手段でも構いません。
また、不作為であってもよく、第三者や被害者自身の行為を利用する間接正犯であってもよいとされます。
逮捕」という行為に加えて、逮捕罪が成立するためには、人の身体活動の自由を奪うことについての認識が必要となります。

◇監禁罪◇
監禁」とは、人の身体を間接的に拘束して、その身体活動の自由を奪うこと、つまり、人が一定の区画された場所から脱出することを不能または著しく困難にすることをいいます。
例え、両腕を縛っていても、場所的移動の自由が害されていない限り、暴行罪は成立するとしても、逮捕罪は成立しないことになります。
監禁方法については、逮捕罪の場合と同様、有形的方法でも無形的方法でも構いません。
脱出方法があったとしても、社会通念上人が脱出するのに困難を感じさせる方法で、身体活動の自由を奪うときは、「監禁」に当たると解されます。(最決昭30・9・29)
監禁罪の成立には、逮捕罪と同様に、人の身体活動の自由を奪うことについての認識が必要となります。

◇同意と錯誤◇
場所的移動の自由が失われることについて、被害者が自由な意思により同意を与えている場合には、逮捕監禁罪は成立しません。
しかし、この同意が欺罔や偽計によって得られた場合、逮捕監禁罪が成立し得るのかが問題となります。
騙されて脱出困難な部屋に連れてこられた場合や、脱出不可能だと騙されて部屋に留まった場合に、監禁罪が成立するものと解されます。
また、判例は、場所的移動の自由が失われることについての同意が瑕疵あるものであった場合、本当のことを知っていたなら、逮捕監禁されなかった場合には同意の有効性を否定する立場をとっています。(最決昭33・3・19)

逮捕・監禁事件で逮捕されたら

逮捕監禁事件で逮捕された場合、逮捕後勾留となる可能性が高いでしょう。
特に、上記ケースのように、被疑者と被害者が学習塾の講師と生徒という関係であった場合、被疑者が被害者の連絡先や住所を把握している可能性が高く、被疑者を逮捕後に釈放することになれば、被疑者が被害者に働きかけ罪証隠滅を図るおそれがあると判断され、勾留となる可能性は高いと言えるでしょう。

とは言っても、長期間の身体拘束によって被疑者やその家族が被る影響は計り知れません。
少しでも身体拘束が短くなることを希望されるでしょう。
早期釈放のために、被疑者が釈放されても逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に認めてもらう必要がありますので、被疑者の家族による徹底した監督が期待できることなどを主張し、勾留前であれば勾留としないよう関係先に意見し、勾留後であれば勾留決定を取消し勾留請求を却下するよう申立てを行うことが重要です。
また、被害者がいる事件ですので、早期に被害者との示談交渉に着手し、示談を締結することで事件を穏便に終了させ、釈放となる可能性を高めることも重要でしょう。

逮捕から勾留までは3日ほどで決まってしまいます。
刑事事件はスピードが重要ですので、弁護活動は刑事事件に精通する弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件で逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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交通事件(人身事故)での身体拘束

2020-02-17

交通事件人身事故)での身体拘束の可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
自家用車を運転していたAさんは、兵庫県丹波篠山市の交差点で左折しようとしたところ、自転車で横断歩道を横断していたVさんと衝突してしまいました。
Aさんは、車を停めて、窓を開けてVさんの様子を確認しましたが、すぐに起き上がり自転車を押して横断したため、「大丈夫だったんだな。」と思い、そのまま現場を離れました。
後日、兵庫県篠山警察署の警察官がAさん宅を訪れ、過失運転致傷と道路交通法違反の容疑でAさんを逮捕しました。
Aさんの家族は、すぐに交通事件にも対応する弁護士に連絡を入れました。
(フィクションです)

交通事件(人身事故)で逮捕される場合

人身事故を起こしてしまった場合、多くのケースでは、過失運転致死傷罪に問われることになります。

過失運転致死傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)の第5条に規定される罪です。

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

「自動車の運転上必要な注意を怠り」とは、自動車の運転者が、自動車の各種装置を操作して、そのコントロール下において、自動車を動かす上で必要とされる注意義務を怠ることをいいます。
前方不注意やスピードの出しすぎ、周囲の歩行者や走行車両などの確認を怠ったなどは、自動車を運転する上で遵守すべき義務に違反する行為と言えるでしょう。

運転行為の中でも特に危険性の高いもので危険運転に該当する場合には、より刑罰が重い危険運転致死傷罪が適用される可能性もあります。

人身事故を起こした場合、駆け付けた警察官に現行犯逮捕される可能性が高いでしょう。
しかし、容疑を認めており、罪証隠滅や逃亡のおそれがないと判断されれば、逮捕後に勾留されずに釈放となるケースも少なくありません。
一方、人身事故を起こしたにもかかわらず、警察に通報せずに現場を離れた場合には、ひき逃げ事件とみなされ、後日犯人を特定して通常逮捕される可能性が高いでしょう。

逮捕されたら

逮捕された後の流れは、概ね次のとおりです。

●逮捕後、警察署にて取調べを受ける。
      ↓
●逮捕から48時間以内に、釈放or証拠や書類と一緒に検察庁に送致される。
      ↓
●検察庁に送致された場合、被疑者は検察庁で取調べを受ける。被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は被疑者を釈放するor勾留請求をする。
      ↓
●検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被害者と面談の上、被疑者を勾留するor釈放するかを決める。
      ↓
●勾留請求が却下されれば釈放される。勾留となれば、勾留請求の日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となる。

長期間の身体拘束は、被疑者のその後の生活に大きな影響を及ぼします。

そこで、逮捕された場合には、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に着手してもらうことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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往来危険事件で執行猶予判決

2020-02-16

往来危険事件における執行猶予判決獲得に向けての弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
酒に酔った勢いで、自転車を線路上に投げ入れたとして、大学生のAさんは、兵庫県加古川警察署往来危険および業務妨害の容疑で逮捕されました。
警察から、裁判になるだろうと言われているAさんは、どうなるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)

往来危険罪は重い罪

往来危険罪という罪について、あまり聞き覚えがないという方が多いのではないでしょうか。

往来危険罪は、刑法第125条に規定される罪です。

第百二十五条 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 灯台若しくは浮標を損壊し、又はその他の方法により、艦船の往来の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

(1)客体
●「鉄道若しくはその標識」
「鉄道」とは、レールだけでなく、構造上これと密接不可分の関係にあって、汽車、電車の走行に直接役立っているものすべてをいいます。
例えば、枕木、鉄橋、トンネルなどです。
「標識」とは、信号機その他運行のための目標をいいます。
●「灯台若しくは浮標」
「灯台」は、夜間、艦船の航行の利便を図るために、灯火をもって示した陸上の標識です。
「浮標」というのは、艦船の航行上安全か否かや水の深さを標示する水上の目標、標示物のことです。

(2)行為
●鉄道、標識、灯台、浮標を「損壊」し、またはほかの方法によって、汽車、電車、艦船の往来の危険を生じさせる。
汽車・電車の往来の危険または艦船の往来の危険を生じさせる行為であって、その手段として、鉄道やその標識の損壊、灯台や浮標の損壊、或いは他の方法と定められています。
「損壊」とは、物理的に破壊して、その効用を失わせることをいいます。
「その他の方法」とは、損壊以外の方法で汽車、電車、艦船の往来の危険を生じさせることをいい、その手段や方法は問いません。
線路上に石などの障害物を置くことも「その他の方法」に該当しますので、自転車を線路に投げ込むことも「その他の方法」に当たるでしょう。

「往来の危険」とは、汽車・電車・艦船の衝突・脱線・転覆・沈没・破壊など交通の安全を害するおそれのある状態をいいます。
往来危険罪が成立するためには、交通の妨害を生じさせた程度では足りません。
交通機関の往来に危険な結果を生ずるおそれのある状態を発生させることが必要です。
しかしながら、実害発生のおそれについては、一般的可能性で足り、その必然性や蓋然性は必要ではないと解されます。

往来危険罪の法定刑は、2年以上の有期懲役で、罰金刑は設けられていません。
このような重い刑となっているのは、交通機関の運転に従事する者や利用者の生命・身体に対する危険を生じさせるためです。

執行猶予判決を獲得するために

往来危険罪には、罰金刑が設けられていませんので、略式手続をとることができません。
検察官に起訴された場合、正式な刑事裁判が開かれることになります。
裁判では、審理が終わると、裁判官が被告人に対して有罪もしくは無罪を言い渡します。
有罪となった場合であっても、必ずしも刑が執行されるわけではありません。
刑の執行を一定期間猶予し、猶予期間内に再び罪を犯すことがなければ、刑の言渡しは効力を失う制度を「執行猶予」といいます。
刑に執行猶予が付いていれば、有罪であることには変わりありませんが、直ちに刑務所へ送られることはありません。
一方、執行猶予が付いていない刑を「実刑」といい、例えば、裁判で懲役2年の実刑が言い渡された場合、その判決が確定すれば、直ちに刑務所で服役することになります。

往来危険事件の場合、被告人が初犯であり、3年以下の懲役の言渡しをするとき、「情状により」執行猶予付き判決が言い渡される可能性があります。
「情状」というのは、検察官が起訴するかどうかを決める際や、裁判官が有罪の場合の判決で、どの程度の量刑にするかを判断する際に考慮される事情のことをです。
情状には、犯罪行為自体に関する事情(犯情)と、それ以外の事情(一般情状)とがあります。
具体的に言うと、前者には、犯行態様、犯行動機、犯行の結果、共犯関係など、後者には、その人の年齢・性格、被害弁償の有無、反省の有無、被害感情、更生・再犯の可能性などです。
公訴事実に争いがない場合には、被告人にとって有利な事情を集め、裁判で説得的に主張することが弁護人に求められる重要な弁護活動となります。

上のケースであれば、犯情については、酒に酔って行った行為であり電車の運行に支障をきたしてやろうと思ってやった行為ではない点が考えられるでしょう。
また、一般情状に関しては、被告人が反省し事件以降断酒していること、家族による監督が期待できること、被告人が学生であること、鉄道会社への被害弁償が済んでいる(被害弁償できなかった場合でも、被害弁償金を供託している)といった点が挙げられるでしょう。

ケースによって情状弁護の内容も異なりますので、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

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薬物事件:保釈で釈放

2020-02-14

薬物事件における保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたAさんは、逮捕後に勾留となり兵庫県赤穂警察署に勾留されています。
勾留決定と共に、接見禁止が付されており、Aさんは家族と面会することはできません。
勾留延長の満期日に、Aさんは麻薬取締法違反の罪で神戸地方検察庁姫路支部に起訴されました。
Aさんは、弁護人に保釈請求をしてほしいと話しています。
(フィクションです)

薬物事件で逮捕されたら

麻薬取締法違反を含めた薬物事件で逮捕された場合、その後勾留となる可能性は非常に高いでしょう。
勾留とは、被疑者および被告人の身柄を拘束する裁判ならびにその執行のことをいいます。
起訴前の勾留を「被疑者勾留」、起訴後の勾留を「被告人勾留」と呼びます。
薬物事件の場合、薬物の入手先や譲渡先など、被疑者本人だけでなく複数人が事件に関与しているため、釈放されることにより被疑者・被告人が関係者と接触し、罪証隠滅を図るおそれがあると判断されることが多くなっています。

そのため、捜査が終了する起訴前の段階では、釈放される可能性はそう高くありません。
しかし、起訴後であれば保釈制度を利用することにより釈放される可能性はあります。

保釈制度について

保釈」というのは、一定額の保釈保証金を納付することにより、勾留されている被告人を暫定的に釈放する制度です。

保釈には、次の3種類があります。

1.権利保釈(必要的保釈)

第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

裁判所は、保釈の請求があったときは、原則として保釈を許可しなければなりません。
例外として、刑事訴訟法第89条の1号~6号の除外事由がある場合には、請求を却下することができます。

2.裁量保釈(任意的保釈)

第九十条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することができます。

3.義務的保釈

第九十一条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。

裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許可しなければなりません。

上記ケースにおいて、Aさんは麻薬取締法違反の罪で起訴されています。
まずは、権利保釈が認められるか検討しましょう。

麻薬取締法違反の罪の法定刑は、規制薬物の種類及び違反形態により異なりますが、ここでは所持についてみていきましょう。
ジアセチルモルヒネ等の所持は、10年以下の懲役、ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の所持は7年以下の懲役、向精神薬の所持は3年以下の懲役です。
「短期一年以上の懲役」には該当しないので、除外事由1号には当たりません。
Aさんに前科がないとすれば、2号も該当しません。
しかし、問題は3号です。
Aさんが1件のみで起訴されたとしても、同じ犯罪を複数回(2回以上)繰り返していた場合には「常習」犯とみなされます。
また、法定刑が「長期3年以上の懲役」の罪となっていますので、上限が3年以上である上の所持罪も含まれますので、3号に該当する可能性はあります。
また、4号の「逃亡・罪証隠滅のおそれ」についても、余罪が複数ある場合や共犯者が複数いる場合など捜査が終了していなければ、罪証隠滅のおそれが高いと判断される可能性があります。

権利保釈が認められない場合であっても、裁量保釈が認められる可能性もあります。
形式的には逃亡・罪証隠滅のおそれが残る場合であっても、その程度が低く、身体拘束によって被る被告人の不利益の程度等を考慮して、裁判所の裁量によって保釈が許可されるのです。
権利保釈と同時に裁量保釈を請求することが出来ますので、弁護人に頼んで両方の保釈を請求してもらうのがよいでしょう。

裁判所に保釈が許可され、保釈保証金を納付すれば、被告人は釈放されることになります。
保釈保証金の額は、犯罪の性質や被告人の資力にもよりますが、150~200万円が相場となっています。
出頭を拒んだり、逃亡したりしなければ保釈保証金は、裁判終了後に戻ってきます。

ご家族が薬物事件で逮捕・勾留され、長期の身体拘束を受けてお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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銃刀法違反で現行犯逮捕

2020-02-13

銃刀法違反現行犯逮捕となるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
山陽新幹線の車内で刃渡り14センチの包丁が乗客のカバンから露出していたことに気が付いた車掌は、警察に通報し、JR西明石駅に停車しました。
通報を受けて駆け付けた兵庫県明石警察署の警察官は、包丁を所持しているAさんを銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕しました。
Aさんは「護身用のために持ち歩いていた」と容疑を認めているとのことです。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、遠方に住んでいるためすぐに明石警察署に行くことができません。
また、警察からは「今来てもらっても会うことはできない。」と言われ、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

護身用は通用しない?銃刀法違反~包丁・ナイフの所持~

銃砲刀剣類所持当取締法(以下、「銃刀法」といいます。)は、銃砲刀剣類は、社会生活を送る上で便利なものもある一方、使い方によっては人や動物を殺すこともあでき、犯罪に利用される危険性を有しています。
そのため、そのような危害を防止するために、銃刀法は、銃砲、刀剣類等の所持、使用等に関する危害予防上必要な規制について定めています。
関係する規定は、銃刀法第3条および第22条です。

第三条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。

本条は、銃砲刀剣類の所持を原則として禁止しています。
対象となる「銃砲刀剣類」のうち、ここでは「刀剣類」の定義についてみてみましょう。
刀剣類の定義は、銃刀法第2条2項に次のように規定されています。

2 この法律において「刀剣類」とは、刃渡り十五センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り五・五センチメートル以上の剣、あいくち並びに四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り五・五センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつてみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して六十度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。

判例によれば、ある物が銃刀法における刀剣類に該当するためには、その物品が、社会通念上、刀、やり、なぎなた、剣、あいくち及び飛び出しナイフの類型のいずれかに当てはまる形態・実質を備える刃物であることが必要です。
刀剣類の実質というのは、銅性質であって、人畜を殺傷する程度の威力を有するものであることをいいます。

上述したように、銃砲刀剣類の所持は、法令に基づき職務のために所持する場合などを除いて、原則として禁止されています。
ですので、護身用に個人が所持していた場合には、所持が認められる正当な理由とはなりません。

さて、上記ケースのように包丁を所持していた場合ですが、包丁は、銃刀法における刀剣類には該当しませんので、銃刀法第3条1項の違反は成立しないでしょう。
しかし、第22条では刃体の長さが6センチを超える刃物の携帯を禁止していますので、それに違反することになります。

第二十二条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

刀剣類に該当しないものでも、刃体の長さが6センチを超える刃物は携帯が禁止されます。
人が職業その他社会生活上の地位に基づいて、継続して行う事務・事業のため、または、社会通念上正当な理由がある場合、例えば、特定の用途に供するため市販されている刃物をその用途に供する場合や購入して自宅に持ち帰る場合などは、本条に違反しません。
判例は、護身用として携帯することは正当な理由とは認めていません。(東京地判平8・3・12)

職務質問からの所持品検査や刃物を所持しているところを通行人などに目撃され警察に通報されることから銃刀法違反が発覚し、現行犯逮捕されるケースがあります。
現行犯逮捕されたら、逮捕から勾留までの間は、逮捕された方の家族であっても原則面会することはできません。
しかし、弁護士であれば、いつでも面会することができますので、ご家族が刑事事件を起こしてお困りの方は、すぐに弁護士に接見をご依頼ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

未成年との性交で刑事事件に発展!?

2020-02-12

未成年との性交刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、SNSを通じて知り合ったVさん(15歳)と会って食事をすることになりました。
食事の後、カラオケに行くことになったAさんとVさんは、カラオケでいい雰囲気になり、そのまま性交をしました。
Aさんは、その後もVさんと連絡をとりあっていましたが、ある日突然連絡が取れなくなりました。
不思議に思っていたAさんでしたが、突然兵庫県川西警察署から連絡があり、Vさんの件で話が聞きたいと言われました。
今後の自分の処遇について心配になったAさんは、警察に行く前に刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

未成年者との性交で成立し得る犯罪とは?

未成年者でも18歳に満たない者と性交を行った場合には、どのような罪に問われ得るでしょうか。
成立し得る犯罪としては、(1)淫行条例違反、(2)児童買春罪、(3)強制性交等罪が挙げられます。

(1)淫行条例違反

「淫行条例」とは、各都道府県が定める青少年保護育成条例の中で、18歳未満の青少年との「淫行」を禁止する条文の通称のことです。
兵庫県では、青少年愛護条例の第21条に規定されています。

第21条 何人も、青少年に対し、みだなら性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

ここでいう「みだらな性行為又はわいせつな行為」とはいったいどのような行為を指すのか、という点が気になるところでしょう。
各都道府県が規定する淫行条例の文言は「淫行」「みだなら性行為」「わいせつな行為」「みだらな性交」等、若干の違いはありますが、青少年との「淫行」について規定している点で共通しています。
そこで、「みだらな性行為又はわいせつな行為」について、最高裁判所による福岡県青少年保護育成条例における淫行条例の解釈を参照してみたいと思います。

(淫行条例の)趣旨は、一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に未だ十分に安定していないため、性行為等によつて精神的な痛手を受け易く、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとしたものであることが明らかであつて、右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例一〇条一項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。【最高裁昭和60年10月23日大法廷判決】

「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない」と判断される場合の明確な線引きは難しいですが、性交等に至るまでの経緯や両者の関係性などの要素を考慮して判断されることになります。
上記ケースのように、よく素性も分からないネットで知り合った相手と会ってすぐに性交する場合には、当該要件を満たしていると判断される可能性があるでしょう。
他方、両親も当事者の交際を認めており、結婚を前提にしているといった場合やそれに近い関係性が認められる場合には、淫行条例違反とはならないでしょう。

兵庫県において、淫行条例違反に対する罰則は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

(2)児童買春罪

お金を払う等して児童と性交等を行うことを「児童買春」といい、児童買春は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(通称:児童買春・児童ポルノ禁止法)」により禁止され、罰則規定も設けられています。
児童買春・児童ポルノ禁止法における「児童」とは、18歳未満の者をいいます。
そして、問題となる「児童買春」については、以下のように定義されています。

第二条
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為とし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者

まず、児童買春が成立するためには、①児童本人、児童買春の斡旋者、児童の保護者等に対して、金銭などを渡したり、その約束をして、②児童と性交等を行う、ことが必要となります。

児童買春罪の法定刑は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。

(3)強制性交等罪

相手児童が13歳未満であった場合、暴行・脅迫を用いずとも、金銭のやりとりがなくとも強制性交等罪が成立することになります。
強制性交等の法定刑は、5年以上の有期懲役です。

18歳未満の者と性交をしたからといって、必ずしも何らかの罪に問われるとは限りませんが、上記の犯罪のいずれかの構成要件を充たす場合には、刑事事件として発展し刑事責任に問われる可能性もあります。

そのような場合には、早期に弁護士に相談し、今後の流れや取調べ対応について適切なアドバイスを得ることをお勧めします。

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特殊詐欺事件で少年院送致回避

2020-02-11

特殊詐欺事件で少年院送致を回避する活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県小野市の民家を訪れ、弁護士秘書を名乗り、高齢女性からキャッシュカードと窃取したとして、関西地域に住むAくん(17歳)が窃盗の容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
Aくんは、他にも2件同様の手口で特殊詐欺事件に関与しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、Aくんが少年院送致となるのではないかと心配し、急いで少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

特殊詐欺事件の終局処分

事件が家庭裁判所に送られると、調査・審判を経て最終的な処分が言い渡されます。
その終局処分には、次のものがあります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始

⑤の審判不開始は、調査官による調査が終了した後に決定され、審判は開かれません。

少年院とは

終局処分の①保護処分決定には、保護観察、少年院送致、そして児童自立支援施設等送致の3種類があります。
少年が再び非行を犯すおそれが強く、社会内での更生が難しいと判断された場合には、少年を少年院に送致して矯正教育が行われることになります。
この処分を「少年院送致」といいます。

「少年院」は、家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年や懲役・禁錮の言い渡しを受けた16歳に満たない少年を収容し、これらの少年に対して、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う施設です。
少年院には4種類あり、年齢、犯罪傾向の程度、心身の著しい障害の有無に応じて、以下のように区分されています。
●第1種:心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者を収容。
●第2種:心身に著しい障害がない犯罪傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を収容。
●第3種:心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容。
●第4種:少年院において刑の執行を受ける者を収容。

「少年刑務所」や「少年鑑別所」と混同されることがありますが、前者は、懲役又は禁錮の言渡しを受けた少年の相対的不定期刑を執行する施設であり、少年院が少年の矯正教育をその目的とし、少年の健全育成の理念のもとで処遇が実施されるのに対し、少年刑務所はあくまで刑を執行する刑事施設である点で異なります。
また、「少年鑑別所」は、家庭裁判所等の求めに応じて鑑別対象者を鑑別すること、観護措置が執られて少年鑑別所に収容されている者に対して必要な監護処遇を行うこと、そして、非行及び犯罪の防止に関する援助を行う施設です。

少年院送致回避に向けた活動について

特殊詐欺事件は、その被害の大きさに鑑みて、厳しく罰せられる傾向にあります。
被害額や犯行態様によっては、初犯であっても、いきなり実刑となるケースも少なくありません。
少年事件においても、同様の傾向が見られ、これまで非行歴がない少年であっても、少年院送致が言い渡されることもあります。
少年院送致となれば、少年院に収容中は通常の生活を送ることが出来ませんので、退院後の社会復帰にも影響を及ぼす可能性はあります。
そのような事態を回避するためにも、少年院送致ではなく保護観察のような社会内処遇となるよう働くことが重要です。
少年事件では、非行事実とともに要保護性について審判で審理されます。
要保護性というのは、少年が将来再犯するおそれがあり、保護処分によって再犯のおそれが除去できる可能性があり、かつ保護処分が適切であることです。
非行事実を行ったと認定された場合でも、将来、非行を繰り返すおそれがないと判断されれば、保護処分でも保護観察といった社会内処遇となる可能性があります。

特殊詐欺事件について言えば、非行事実が重い罪名の付くもので会ったり、社会的に問題視されているものであっても、要保護性が解消されていると判断されれば、少年院送致ではなく保護観察となることもあるのです。
要保護性の解消には、少年を取り巻く環境をしっかりと調整することが重要です。
少年自身がきちんと反省し、少年が抱く問題点を理解し、解決策を見出すなど、少年本人の内部の環境を調整することや、保護者や学校などと協力し、少年の更生に資する周囲の環境を調整することも大切です。
また、被害者に対して謝罪や被害弁償を行うことも、少年事件においても重要です。

これらの要保護性を解消する活動は、出来る限り早期に着手するのがよいでしょう。

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お子様が事件を起こし、対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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住居侵入事件で現行犯逮捕

2020-02-10

住居侵入事件で現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宝塚市の会社の寮の敷地内に侵入したとして、Aくん(16歳)は、住人からの通報を受けて駆け付けた兵庫県宝塚警察署の警察官に住居侵入の容疑で逮捕されました。
Aくんは、取調べで「スマホでゲームをしようと思ったけど、お金がかからないようにしようとして、Wi-Fiが使えるところがないか探していた。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、ネットで検索し、刑事事件専門の弁護士に相談の連絡をしました。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)

住居侵入罪

住居侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入した場合に成立する罪です。

◇正当な理由がない◇

他人の家などを訪問したりすることは日常的に行われることですので、犯罪となるものを構成要件上明らかにしようとする意図から、「正当な理由がないのに」という文言が定められたと解されます。
どのような場合が「正当な理由」があるとされるのかと言えば、警察官が犯人を逮捕する場合に人の住居等に立ち入って捜索するとき、令状を得て屋内で検証するときなどがあります。

◇客体◇

【住居】
人の起臥寝食に使用される場所を「住居」といいます。
旅館やホテルの客室も、滞在者にとっては住居となり、アパートなどでは、その一部屋がその部屋の住人の住居となります。

【邸宅】
「邸宅」とは、住居用の建造物で、住居以外のものをいいます。
例えば、居住者のいない空き家や閉鎖された別荘などがあります。
集合住宅の通路や階段などの共用部分は邸宅です。

【建造物】
住居や邸宅以外の建造物を広く含み、土地に定着し、内部に人が出来るできる構造をもつ家屋その他これに類似した工作物です。

【艦船】
軍艦および船舶をいいます。

邸宅・建造物・船舶については「人の看守する」ものに限られます。
みだりに他人が出入りできないように人を監視させたり、鍵をかけるなどの戸締りをしている場合、「人の看守する」建物に当たります。

住居・邸宅・建造物については、建物自体だけでなく、付属する囲繞地も客体に含まれます。

◇侵入◇

「侵入する」とは、住居の場合は住居者、邸宅・建造物等の場合は看守者の意思に反して立ち入ることをいいます。
住居者や看守者が立入りについて許諾していた場合には、住居侵入罪は成立しません。
しかし、その許諾が欺罔などの錯誤に基づいて付与された場合には、許諾を無効し住居侵入罪が成立するものとされます。

住居侵入事件で現行犯逮捕されたら

住居侵入事件で現行犯逮捕となる場合、犯行時に住居者や看守者に目撃され、彼らに身柄確保されるケースや、通報により駆け付けた警察官に逮捕されるケースなどです。
住居侵入は、窃盗や盗撮など他の目的があって行われることが多く、その点についても取調べで聞かれるでしょう。
単なる好奇心による侵入の場合には、家族による監督が期待できると判断されれば逮捕後に釈放となる可能性はあるでしょう。
しかし、窃盗やわいせつ目的などがある場合には、逮捕後に勾留となる可能性もあります。
勾留されると、逮捕から最大で23日間身柄が拘束されることになりますので、その間学校や会社に行くことができません。
そうなれば、退学や解雇といったおそれも出てきます。

ご家族が住居侵入事件で逮捕されてお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

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