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児童買春・児童ポルノ処罰違反事件で取調べ

2020-01-15

児童買春児童ポルノ処罰法違反事件(児童買春)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、SNSで知り合った女子中学生Vさん(15歳)に対し、2万円で性交する約束をし、ホテルで性交しました。
後日、兵庫県生田警察署から連絡があり、「Vさんを知っていますか?彼女との件で、お話を聞きたいので、署まで来てもらえますか?」と言われ、週末に出頭することになりました。
その前に、今後の流れや見込まれる処分、取調べの対応方法についてアドバイスをもらおうと思い、児童買春事件にも対応する刑事事件専門の弁護士に相談予約の連絡を入れました。
(フィクションです)

児童売春児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下、「児童買春児童ポルノ処罰法」といいます。)では、「児童買春」、「児童ポルノ」、そして「児童売春」に係る行為等を処罰することとしています。

1.児童買春に係る行為について

児童買春に係る行為については、「児童買春罪」、「児童買春周旋罪」、および「児童買春勧誘罪」が設けられており、処罰の対象となっています。

ここでいう「児童買春」とは、「児童、児童に対する性交等の周旋をした者はたま児童の保護者若しくは児童を支配下に置いている者に対して、対償を供与し、またはその供与の約束をして、その児童に対し、性交等をする行為」と定義されています。(児童買春児童ポルノ処罰法第2条2項)
「性交等」とは、性交若しくは性交類似行為をし、または自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。
また、「対償」についてですが、児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益を意味し、その種類や金額の多寡は問われません。
児童に性交等の報酬に現金を与えることだけでなく、児童の食事をもてなす、プレゼントを渡す、児童やその親の雇用を約束するなどの場合も、それが性交等をすることに対する反対給付と言えるものであり、児童に与えられたものが経済的にみてどの程度の価値があるか、雇用の約束が経済的な利益かどうかなどを考慮して判断されます。

(1)児童買春罪

児童買春をした者は、5年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。

(2)児童買春周旋罪

児童買春の周旋をした者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれらの両方に処せられます。
児童買春を周旋した者」というのは、児童と児童に対して性交等を行う者との間に立って、性交等が行われるように仲介した者をいいます。
周旋を業として行った場合は、刑罰も7年以下の懲役および1000万円以下の罰金と加重されます。

(3)児童買春勧誘罪

児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
また、人に児童買春をするように勧誘することを業とした場合、刑罰は7年以下の懲役および1000万円以下の罰金となります。

児童買春が捜査機関に発覚するケースの多くは、次のような場合です。

①児童が警察に補導され、児童買春の件について発覚する。
②児童の親が、児童の携帯をチェックし、児童買春の件が発覚し、学校や警察に相談する。
③児童が複数と売春しており、他の児童買春事件が発覚したことで、本件も捜査機関にバレる。
児童買春後に、児童といる際に警察官に職務質問される。

児童買春が捜査機関に発覚すると、自宅への捜索・差押えが行われます。
また、逮捕の理由と必要性があると判断された場合には、逮捕される可能性もあります。

逮捕された場合には、勾留されずに釈放となるよう早期に捜査機関に働きかけることが重要です。

ご家族が児童買春事件で逮捕されて対応にお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、迅速かつ丁寧に対応し、早期釈放に向けた活動を行います。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

カスタマー・ハラスメントで強要事件

2020-01-14

カスタマー・ハラスメント強要事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町にある飲食店で、食事をしていたAさんは、注文した料理が運ばれてこないことに腹を立て、対応した従業員に罵声を浴びせ始めました。
Aさんの罵声を聞いた店長が、Aさんをなだめようと間に入りましたが、その態度に激昂したAさんは、「この店、どないなっとんねん!客に対してしっかり謝罪せんかい!お前、土下座で謝罪せんかい!誠意みせんと、この店潰したるでな!」と土下座を強要してきました。
困りかねた店長は、兵庫県相生警察署に通報しました。
警察署から駆け付けた警察官は、Aさんに話を聞いています。
(実際の事件に基づいたフィクションです)

カスタマー・ハラスメントで刑事事件に!?

「○○ハラスメント」といった言葉が浸透してきた昨今、カスタマー・ハラスメントで迷惑を被った、対応に困ったといった経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
従業員に対する暴言や土下座強要、ネットへの誹謗中傷の書き込み、客による常識を越えた悪質なクレームや迷惑行為を「カスタマー・ハラスメント」といいます。
店側のミスに対する正当な苦情であれば、店側もそれを真摯に受け止めサービスの向上に努めますが、通常の苦情を越えた悪質なクレームは、時に犯罪行為となる場合もあることに注意が必要です。

上記ケースのように、見せのサービスに対して苦情を訴えることから始まっていますが、Aさんは店長に土下座をして謝罪するよう求めています。
このような土下座強要は、刑法の「強要罪」に当たる可能性があります。

強要罪とは?

強要罪は、刑法第223条に規定されています。

第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

強要罪は、相手方またはその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して、害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことをおこなわせ、または権利の行使を妨害することにより成立する罪です。

◇脅迫・暴行◇

「脅迫」は、脅迫罪のものと同様に、恐怖心を生じさせる目的で、相手方またはその親族の生命・身体・自由・財産に対し、害を加えることを告知することです。

「暴行」は、被害者が畏怖し、そのため行動の自由が侵害されるに足りる程度の有形力の行使であることを要し、かつ、それで足りると解されます。

◇強制・妨害◇

暴行・脅迫を手段として、被害者の意思を抑圧し、義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害することを強要といいます。
「義務のないことを行わせ」た例としては、子守の少女に水入りバケツ等を数十分ないし数時間、胸の辺りまたは頭上に支持せしめたもの(大判大8・6・30)、理由なく謝罪文を書かせたもの(大判大15・3・24)があります。

「権利の行使を妨害する」には、告訴を断念させたもの(大判大7・7・20)、競技大会への出場をやめさせたもの(岡地判昭43・4・30)があります。

Aさんは、注文した料理が提供されていないことに対して苦情を申し立てたようですが、それに対応した店長に対して、土下座での謝罪を要求し、しなければ店を潰すと脅しています。
店を潰す、つまり店長の財産に対し害を加えることを告知していますので、「脅迫」を手段としていますね。
そして、「店を潰す」と脅迫し、店長に土下座して謝罪させようとしていますが、いくら店側にサービスにおける落度があったとしても、土下座という行為を行う「義務」までは発生しませんので、土下座をさせることは「義務のないことを行わせ」ることだと言えるでしょう。

実際に店長が土下座をした場合は、強要罪が成立し、Aさんから脅迫され土下座を強要されたが結局土下座はせずに終わったのであれば、強要未遂となります。
強要罪は、未遂も処罰の対象となります。

店の対応に満足できず、苦情を申し立てることはあっても、カスタマー・ハラスメントで刑事時事件に発展してしまうなんてことのないように、客側もきちんとした態度で対応するべきでしょう。

強要事件のように被害者がいる事件においては、最終的な処分が決められる上で、被害者との間で示談が成立しているか否かが重要視されます。
ですので、早期に被害者との示談交渉に着手する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りの方、被害者との示談交渉にお悩みの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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銃砲刀不法所持罪で任意同行

2020-01-12

銃砲刀不法所持罪任意同行を求められた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡香美町の路上に車を停車させて休憩していたところ、兵庫県美方警察署の警察官から職務質問の後に車内捜索を受けることになりました。
すると、刃渡り20センチほどのナイフが見つかり、Aさんは警察署まで任意同行を求められました。
(フィクションです)

銃砲刀不法所持罪について

銃砲刀不法所持罪とは、銃刀法で定められている、一定の法外の除外事由に該当する場合を除いて、銃砲または刀剣類を所持する犯罪です。

「銃砲」とは、けん銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属製弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲および空気銃をいいます。

「刀剣類」とは、刃渡り15㎝以上の刀、やりおよびなぎなた、刃渡り5.5㎝以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛び出しナイフをいいます。
銃刀法の刀剣類に該当するには、その物品が、社会通念上、刀・やり・なぎなた・剣・あいくち及び飛び出しナイフの類型のいずれかにあてはまる形態・実質を備える刃物であることが必要となります。

銃砲刀不法所持罪において、所持の禁止となる刀剣類は、人畜を殺傷する機能を有し、社会通念上、刀・やり・なぎなた・剣・あいくち・飛び出しナイフの各類型にあてはまる類型を備え、その罪質が銅質性で、かつ、次の形式を有する刀剣類を所持の禁止対象としています。

「刀」は、通常つば及び柄を付けて用いる片刃の銅質性の刃物であって、本来殺傷の用具としての機能を有するものです。
「やり」とは、長い棒状の柄を付けて、突きやすいように作られた銅質性の刃物であって、本来殺傷の用具としての機能を有するものをいいます。
「なぎなた」は、長い柄を付けて用いる中子の長い片刃の銅質性の刃物であって、本来殺傷の用具としての機能を有するものを指します。
「剣」とは、柄を付けて用いる左右均整の計上を下諸刃の銅質性の刃物であって、先端部分が著しく鋭く、本来殺傷の用具としての機能を有するものをいいます。
「あいくち」は、つばのない柄を付けて用いる刃渡りがおよそ15㎝未満の銅質性の短刀で、本来殺傷の用途に供されるものです。
「飛び出しナイフ」とは、ばねの弾力等を利用し、45度以上に自動的に開刃する装置を有するナイフのことです。
これらいずれにも該当しないものは、人畜を切断刺突できるとしても銃刀法における「刀剣類」には当たらないことになります。
しかし、形態上刀剣類に類似するものは模造刀剣類の携帯禁止に触れる可能性はあります。

「所持」の意義について、銃刀法上に定義規定はありませんが、判例は、「所定の物の保管について実力支配関係をもつこと」をいうとしています。
この「実力支配関係」というのは、具体的には、物に対して事実上の支配を及ぼしている客観的な支配関係のことをいい、現実に物を直接または間接に手で持ったり、服に隠すなどして体に帯びるなど、直ちに使用し得る状態で事故の身辺に置く場合を含みます。

銃砲刀不法所持罪が成立するためには、銃砲刀剣類を所持したという行為についての故意が必要となります。
ここでの所持の故意とは、所持という行為を認識していることです。
つまり、その物を保管する上での事故の実力支配関係を有している事実を認識していることが必要となります。
所持の動機や目的は関係ありません。

けん銃等の所持の罰則は、1年以上10年以下の懲役です。
けん銃等と一緒に実包や弾丸・火薬を所持していた場合は、3年以上の有期懲役と加重されます。

刀剣類の所持については、3年以下の懲役または50万円以下の罰則です。

職務質問の後に、警察署まで任意同行を求められた場合、どのように対応してよいものか悩まれる方も多いでしょう。
任意同行は、あくまでも「任意」ですので、これに応じる義務はなく、断ることもできます。
しかし、任意同行を拒否すれば、警察官はますます怪しみ、しつこく対応を迫ってきますので、素直に指示に応じるのがよいでしょう。

上のケースのように、車の中にナイフを置き忘れていたような場合、ナイフが発見されたからといって逮捕される可能性はそう高くはありません。
しかし、身柄不拘束のまま捜査は進められることになりますので、取調べ対応やその後の流れ、見込まれる処分などについて刑事事件に詳しい弁護士に一度ご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
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ストーカー事件で警告を受けたら

2020-01-11

ストーカー事件で警告を受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県朝来市に住むVさんは、元交際相手のAさんから、執拗に「会いたい」とのメールが来て困っていました。
Vさんは、メールを無視し続けましたが、ある日、Vさんが仕事から帰宅した際、自宅マンション前にAさんが立っている姿を目撃し、怖くなり友人に相談しました。
友人からは、警察に相談したほうがいいと言われ、Vさんは兵庫県朝来警察署ストーカー被害の相談をしました。
後日、兵庫県朝来警察署からAさんに連絡があり、「これ以上連絡をとらない、家に行かないように。」と警告を受けました。
Aさんは、自身がストーカー行為をしているとは認識していなかったので、警察からの連絡に驚き、今後どうなるのか心配になったので、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

ストーカーとは?

ストーカー行為を規制する「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下、「ストーカー規制法」といいます。)は、平成12年に制定・施行された法律です。
ストーカー規制法は、「ストーカー行為」を処罰対象とするほか、「つきまとい等」の行為を取り締まり、被害者に対してストーカーからの被害の防止のための援助などを行うことを定めています。

ストーカー規制法で規制対象となる行為は、「つきまとい等」と「ストーカー行為」です。

(1)つきまとい等

「つきまとい等」とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」て、次の8つの類型の行為をすることをいいます。(ストーカー規制法第2条1項)

①つきまとい、待ち伏せ行為など
つきまとい、待ち伏せ、進路への立ちふさがり、住居・勤務先・学校その他通常所在する場所の付近における見張り、住居等への押し掛け。

②監視していると告げる行為
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

③面会・交際などの要求
面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。

④乱暴な言動
著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

⑤無言電話、電子メールなどの送付
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず連続して電話をかけ、FAXを送信し、若しくは電子メールを送信すること。

⑥汚物などの送付
汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

⑦名誉を害する行為
その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

⑧性的羞恥心を害する行為
その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。

(2)ストーカー行為

ストーカー行為」は、同一の者に対し、「つきまとい等」を反復して行うことです。(ストーカー規制法第2条2項)
「反復して」とは、複数回繰り返してということを意味します。
また、①から⑧までに掲げる「つきまとい等」のうち、いずれかの行為をすることを反復する行為が「ストーカー行為」であり、特定の行為あるいは特定の号に掲げられた行為を反復する場合に限られません。
ですので、つきまとい行為を1回、面会の要求を1回、メール送付を1回といったように各行為を1回ずつ行ったとしても、全体として「つきまとい等」に当たる行為を反復して行っているため、「ストーカー行為」に当たることになります。

ストーカー事件で警告を受けたら

ストーカー規制法の罰則

ストーカー規制法では、「ストーカー行為」を処罰こととしているほか、公安委員会による禁止命令等に違反した者も処罰されます。

(1)ストーカー行為に対する罪

ストーカー行為をした者は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
本罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪です。

(2)禁止命令等に違反する罪

ストーカー規制法第5条1項1号に係る禁止命令等に違反に違反してストーカー行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同様に、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
さらに、禁止命令に違反した者は、50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

ストーカー規制法の手続の流れ

被害者等からの相談を受けた捜査機関は、加害者の行為がストーカー規制法における「つきまとい等」または「ストーカー行為」に該当するか否かを判断します。
「つきまとい等」に該当する場合、警察本部長等は、警告を求める旨の申出を受けると、つきまとい等の行為者に対し、さらに反復してつきまとい等を行ってはならない旨を警告します。
警告を受けた者が警告に従わず、さらにつきまとい等を行った場合、都道府県公安委員会は、行為者がさらに反復してつきまとい等を行うおそれがあると認めるときは、さらに反復してつきまとい等をしてはならない旨の命令を発します。

そして、上述したように、禁止命令に反した場合、若しくはストーカー行為に該当し告訴がなされた場合には、処罰されるおそれがあります。
警告を受けた段階で、すぐに逮捕とはなりませんが、その後も「つきまとい等」に当たる行為を継続して行った場合には、ストーカー行為に対する罪や禁止命令等に違反する罪となり逮捕される可能性もあります。

ストーカー事件で警告を受けて、その後の流れや対応についてお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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交通事件:過失運転致傷事件を起こしたら

2020-01-10

過失運転致傷事件を起こしてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
深夜に自動車を運転していたAさんは、兵庫県加東市の交差点を左折しようとした際、手前から自転車が横断していることに気づかず、自転車と衝突してしまいました。
被害者は衝突の衝撃で自転車ごと倒れてしまいました。
Aさんは、慌てて車から出て、被害者の様子を確認し、すぐに救急車を呼びました。
被害者はそのまま救急車で病院に運ばれ、Aさんは現場に駆け付けた兵庫県加東警察署から事件について詳しい事情を聴かれています。
(フィクションです)

過失運転致傷罪について

交通事故を起こし、被害者に怪我を負わせてしまった場合、過失運転死傷罪に問われるケースが多くあります。

過失運転致傷罪は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定されています。

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

過失運転致傷罪は、刑法の旧規定(第221条の2)に自動車運転過失致傷罪として規定されていたものです。

「自動車」には、自動二輪車、原動機付自転車も含まれます。

「自動車の運転上必要な注意」とは、自動車の発進から停止までの運転において必要とされる注意義務のことをいいます。
自動車を停止させる行為も運転に含まれますが、停止後に降車するためにドアを開ける行為は運転には含まれません。
前方不注視やわき見運転、巻き込み確認を怠った、歩行者の飛び出しに気づかなかった、方向指示器を点滅させずに方向転換したことなどは、「自動車の運転上必要な注意」を怠ったことに該当します。

過失運転致傷事件を起こしてしまったら

人身事故を起こし、過失運転致傷罪に問われた場合、必ずしも起訴されるとは限りません。
事故の内容にもよりますが、被害者の怪我の程度が軽く、事故後被害者への対応がきちんとなされており、犯行態様も悪質なものでなければ、検察官が起訴しないとする処分(不起訴処分)とし事件を終了させる可能性はあります。
しかし、事件内容によっては、検察官により起訴されることもあります。
起訴には、公判請求による正式起訴と略式起訴の2種類があります。
検察官から公判請求がなされると、一般に公開される刑事裁判が開かれることになります。
そうなると、起訴された人(被告人)は、法廷に出席しなければなりません。
一方、略式起訴は、裁判の正式な手続を踏まずに、検察官からの提出書類に基づいて処罰を決定する略式手続で処分を終わらせるものです。
略式起訴ができるのは、
・簡易裁判所が管轄する比較的軽微な事件であること。
・100万円以下の罰金または科料の対象となりうる事件であること。
・処罰される加害者から略式命令に異議がないこと。
以上の場合です。
手続が簡略化され、法廷に立つ必要はありませんが、略式命令を言い渡されると、有罪判決を受けたことを意味しますので、これにより前科が付くことには変わりありません。

過失運転致傷事件では、身体拘束を受けないまま捜査が進むケースが多く、事件があった日からしばらく時間をおいてから起訴されることが少なくありません。
在宅事件であっても、刑事事件の被疑者となったことに違いはありません。
あなたやご家族が交通事件を起こしてしまったのであれば、今すぐ交通事件に精通する弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件も含む刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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建造物侵入事件での身柄解放

2020-01-09

建造物侵入事件での身柄解放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古郡稲美町にある学校に、深夜不法に侵入したとして、県内に住むAさんが建造物侵入の容疑で兵庫県加古川警察署に逮捕されました。
Aさんは容疑を認めていますが、何とか早期釈放とならないかと心配しています。
(フィクションです)

建造物侵入罪について

建造物侵入罪は、刑法第130条に規定されています。

第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪は、
①正当な理由がないのに、
②人の看守する建造物に
③侵入する
ことにより成立する犯罪です。

①正当な理由がないのに
「正当な理由がないのに」とは、違法にという意味です。
判例によれば、正当な理由のある侵入というのは、法令のより捜索等のため看守者の意に反して立ち入る場合のようなことをいい、看守者の意に反してまで建造物に立ち入ることを正当視するためには極めて強い理由が存在しなければならない、としています。(東京高判昭27・4・24)

②人の看守する建造物
「人の看守する」というのは、人が事実上管理・支配していることをいいます。(最判昭59・12・18)
「建造物」とは、住居、邸宅以外の建造物およびこれに付随する囲繞地をいいます。
人の起臥寝食に使用される場所を「住居」、人の住居の用に供せられる家屋に付属し、主として住居者の利用に供されるために区画された場所を「邸宅」といいます。

③侵入
「侵入」の意義についての学説には、意思侵害説と平穏侵害説とが主張されています。
前者は、住居者・看守者の意思に反する立ち入りを「侵入」とする立場で、後者は、住居等の事実上の平穏を侵害する態様での立ち入りを「侵入」とするものです。
判例は、意思侵害説に立っています。
この立場にたてば、許諾権者、つまり、管理権者の立入りについての許諾の有無によって建造物侵入罪が成立するか否かが決まることになりますが、この許諾権を誰が有するのかが問題となります。
建造物については、看守者が許諾権者となります。
看守者は、門衛や守衛とは異なり、建物について管理権限を有する者のことを指します。
立入りの許諾が欺罔などによる錯誤に基づいて与えられた場合、その許諾が有効なものと認められるかも問題となります。
判例は、許諾が錯誤に基づくものであれば、建造物侵入罪が成立するものとしています。
特に、一般に立ち入りが禁止されている場所へ、違法目的で立ち入ったケースにおいては、違法な目的を隠していたことから、侵入罪の成立を肯定した判例が多くなっています。

建造物侵入で逮捕されたら

建造物侵入事件で逮捕されると、逮捕から48時間以内に事件の証拠や書類とともに被疑者の身柄を検察に送致するか、それとも被疑者を釈放するかが決められます。
検察に送致された場合、検察は、身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、あるいは裁判所に勾留請求をするかを決めます。
検察が勾留請求すると、今度は裁判官が被疑者を勾留すべきか否かの判断を行います。
裁判官が勾留を決定した場合、検察官が勾留請求をした日から、原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を強いられることとなります。
そのような長期間身体を拘束されることとなれば、当然会社や学校に行くことはできませんので、退学や懲戒解雇となる可能性が生じます。
そのような事態を回避するためにも、逮捕されたら早期に身柄解放活動に着手することが重要です。
逮捕から勾留が決定するまでの限られた時間内に、勾留阻止を目指した活動を行わなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
数多くの身柄解放にも成功した実績があります。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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介護殺人事件で執行猶予

2020-01-08

介護殺人事件で執行猶予を目指す活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
「近所から異臭がする。」と通報を受けた兵庫県福崎警察署は、兵庫県神崎郡神河町にある民家に駆け付けました。
民家の部屋には練炭が置かれており、一酸化炭素が充満していました。
そこに、親子とみられる高齢女性と男性が倒れていました。
救急搬送され、男性は一命を取り留めましたが、高齢女性は既に死亡しており、死因は首を絞められたことによる窒息死であることが分かりました。
男性に事情を聴いたところ、「介護をしていた母が、死にたいと口にしたので、一緒に死のうと思った。」と供述しています。
接見に訪れた弁護士は、Aさんに、今後の手続の流れについて説明しており、執行猶予の可能性についても話をしています。
(フィクションです)

執行猶予について

執行猶予」とは、裁判で有罪が言い渡された場合、一定の要件のもとに様々な情状を考慮し、その刑の執行を一定期間猶予し、その猶予期間中何事もなく無事に経過すれば、刑の言渡しの効力を失わせるという制度のことです。
有罪となっても、実際に刑罰を受けることはないため、執行猶予が付いているのと付いていないのとでは、裁判後の生活は全く異なります。

執行猶予には、全部執行猶予と一部執行猶予とがありますが、今回は前者について説明します。

当たり前ですが、どんな事件でも執行猶予を付けることができるわけではありません。
執行猶予を付けることができるのは、様々な要件を充たしていなければなりません。

◇執行猶予の要件◇

執行猶予については、刑法第25条に規定されています。

第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

執行猶予の要件は、
(1)①前に禁固以上の刑に処せられたことがない者、あるいは、
   ②前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処させらことがない者、であり、
(2)3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しをする場合で、
(3)執行猶予を相当とするにたりる情状があること
です。

(1)の「前に禁固以上の刑に処せられたことがない」とは、これまでに死刑・懲役・禁錮の刑に処する確定判決を受けたことを意味します。
罰金・拘留・科料の前科が何回あっても関係ありません。
(2)の要件について、拘留・科料を言い渡す場合には、その執行を猶予することはできません。
そして、(3)の情状に関しては、犯行方法や犯行態様が悪質ではないこと、犯罪の結果が軽微であること、動機に酌むべき事情があること、被告人に反省が見られること、被害者への被害弁償が済んでいること又は被害者の許しを得ていること、などが量刑の際に考慮される要素です。

また、前に禁固以上の刑の処せられたことがあっても、その執行を猶予された者に、1年以下の懲役・禁錮の言渡しをする場合、「情状に特に酌量すべきものがある」ときは、同様に全部執行猶予となる可能性があります。
これを「再度の執行猶予」といいます。

さて、上記ケースについて検討してみましょう。

まず、Aさんが行った行為に対して、如何なる罪が成立するでしょうか。
Aさんは、母親の介護をしていたようで、その母親が死にたがっていたので、自分も死ぬつもりで母親を殺害した後に、練炭自殺を行ったようです。
母親が既に死を心に決め、自分を殺すようAさんに頼んだのであれば、「同意殺人」罪が成立する可能性があります。
しかし、同意殺人が成立するためには、被殺者が殺人の意味を理解し、死について自由な意思決定能力を有する者であることが必要です。
また、被殺者である人からその殺害を依頼されてこれに応じる、もしくは、被殺者である人から殺害されることについての同意を得た上で殺す行為が対象となりますが、この嘱託・承諾は被殺者本人の意思によるものであることが必要であり、通常の弁識能力を有する者の自由かつ真意に基づいてなされていなければなりません。
ですので、欺罔や威迫に基づく嘱託・承諾は無効となり、この場合は殺人罪を構成することになります。
また、被殺者が自殺意思を有していただけにすぎない場合、行為者と被殺者との間に嘱託・承諾の関係がないため、同意殺人ではなく殺人罪が成立することになります。

Aさんに対して、同意殺人罪が成立する場合、刑罰は6月以上7年以下の懲役・禁錮の範囲で決められます。
法定刑の下限が6月であるので、執行猶予の要件である、「3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しをする場合」にも該当する余地があります。

一方、殺人罪が成立する場合、その法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役ですので、「3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しをする場合」には該当しないことになります。
しかしながら、事件の内容によっては、刑の減軽により執行猶予となったケースもあります。

執行猶予となる可能性があるか否かについては、事件の内容にもよりますので、刑事事件を起こしお困りの方は、一度刑事事件に精通する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

ゴミの不法投棄で刑事事件

2020-01-07

ゴミ不法投棄刑事事件へと発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
自宅にため込んだ家庭ごみ兵庫県たつの市内の空き地に複数回捨てたとして、兵庫県たつの警察署は、市内に住むAさんに出頭を求めました。
Aさんは、出頭予定日前に、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

ゴミの不法投棄が犯罪になる場合とは

ゴミを無断で捨てたぐらい、大したことない」と軽く考えていませんか?
ゴミ不法投棄が犯罪となり刑事事件へと発展するケースについてみてきましょう。

廃棄物処理法について

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃棄物処理法」といいます。)は、廃棄物の排出を抑え、発生した廃棄物はリサイクルする等の適正な処理をすることで、生活環境と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。

廃棄物処理法において「廃棄物」とは、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の姿態その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの」と定義されています。(廃棄物処理法2条1項)
つまり、「汚物又は不要物」が「廃棄物」ということになりますが、「不要物」については、「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではない」と環境省は解釈しています。
ここでいう「占有者の意思」というのは、その物の性状、保管および排出の状況、取引価値の有無など客観的な諸事実から社会通念上合理的に推認できる占有者の意思のことをいいます。
例えば、古タイヤがある場所に積まれていたとしましょう。
それらのタイヤが再生タイヤ、土止め材料・燃料などに利用することを内容とする履行期限が確定した具体的な契約が結ばれているような場合には、有用物といえ、廃棄物には当たらないでしょう。

廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物に分類されます。
産業廃棄物は、事情活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類のほか政令で定める廃棄物及び輸入された廃棄物です。
一般廃棄物は、産業廃棄物に当たらない廃棄物をいいます。

さて、上記ケースにおいては、Aさんは家庭ごみを空き地に捨てていましたが、家庭ごみは一般廃棄物の家庭廃棄物であり、廃棄物処理法における「廃棄物」に該当します。

廃棄物の不法投棄

廃棄物処理法は、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」と定めています。(廃棄物処理法第16条)
ここでいう「捨てる」とは、地上に投棄する行為のみならず、海中に投棄する行為や地中に埋める行為など、最終処分する行為のことをいい、廃棄物を最終的に占有者の手から離して自然に還元することを意味します。
「捨てる」行為は、廃棄物をある場所に置いた時点では不要でなくとも、その後、不要物として取りに行かずそのまま放置するといった不作為によっても該当することもあります。

個人が廃棄物処分場として決められていない場所に廃棄物を捨てたといった場合の不法投棄に関して、違反者に対して、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科という刑罰が設けられています。
廃棄物処理法違反事件で、警察などの捜査機関から取調べを受け、その対応にお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)事件で逮捕

2020-01-06

覚せい剤取締法違反営利目的輸入)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、海外から帰国するにあたり、覚せい剤約1㎏を引越荷物内に隠匿して密輸入しようと企てたが、神戸税関が実施した引越荷物の別送品検査において覚せい剤を発見しました。
神戸税関は、兵庫県警察と共同調査を実施し、神戸地方検察庁に告発しました。
Aさんは、覚せい剤取締法違反営利目的輸入)の容疑で逮捕されました。
調べに対してAさんは、「友人から日本の知人に渡してほしいと頼まれただけで、中身が覚せい剤だとは知らなかった。」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

覚せい剤取締法違反:営利目的輸入

覚せい剤取締法は、覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用について必要な取締を行うことを目的に、昭和27年7月30日に施行されました。

覚せい剤取締法の規制対象となる「覚せい剤」は、
①フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
②①に掲げる物と同種の覚醒作用を有する物であって政令で指定するもの
③①及び②のいずれかを含有する物
です。

第十三条 何人も、覚せい剤を輸入し、又は輸出してはならない。

第四十一条 覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、一年以上の有期懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

覚せい剤取締法は、覚醒剤の輸入を絶対的に禁止しています。
覚せい剤をみだりに輸入した者については、これを1年以上の有期懲役に処し、営利目的で輸入した場合は、無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により1000万円以下の罰金を併科することとされています。

覚せい剤取締法第41条は、覚せい剤をみだりに本邦に輸入する行為を処罰することとしており、覚せい剤輸入罪が成立するためには、「覚せい剤を輸入する行為」がなければなりません。

「輸入」とは、「国外から我が国へ物品を搬入すること」と理解されます。
どの段階に至った時に我が国内に搬入されたと理解するのかが問題となります。
陸路による密輸入については、「国境線を踰越して我が国内へ搬入した時点」と解する見解が有力です。
海路・空路については、船舶から覚せい剤を我が国領土内へ陸揚げした時点又は航空機の場合は機内から地上へ持ち出された時点で既遂に達するとする見解が、通説・判例の立場となっています。

覚せい剤を密輸入した場合、覚せい剤は関税法で輸入を禁止される貨物に当たり、関税法違反(禁制品輸入罪)が成立することとなります。
覚せい剤取締法上の輸入罪と関税法上の禁制品輸入罪の罪数関係については、両者は観念的競合の関係(1個の行為が2つ以上の罪名に触れる場合)に立つと判例・実務上ともに解されています。
観念的競合の処罰については、その最も重い刑によって処断されます。

さて、Aさんのように「覚せい剤だとは知らなかった。」と弁解している場合、覚せい剤の輸入罪は成立しないのでしょうか。

覚せい剤の輸入罪は、覚せい剤であることを知りつつそれを我が国内に搬入することによって成立します。
そのため、覚せい剤の認識に欠ける場合、輸入罪は成立しません。
しかし、認識の程度については、「被告人は本件物件を密輸入して所持した際、覚せい剤を含む身体に有害で違法な薬物類であるとの認識があったというのであるから、覚せい剤であるかもしれないし、その他の身体に有害で違法な薬物であるかもしれないとの認識はあったことに帰する。そうすると覚せい剤輸入罪、同所持罪の故意に欠けるところはない」とした判決(最決平2・2・9)があるため、状況証拠から被告人が覚せい剤もしくは体に有害な薬物「かもしれない」と思っていたと判断された場合、覚せい剤輸入罪が成立することになります。

覚せい剤取締法違反事件では、逮捕後、勾留される可能性が非常に高いと言えるでしょう。
また、組織犯罪が疑われた場合には、勾留と同時に接見禁止に付されることも多く、家族であっても被疑者・被告人と接見することができない可能性もあります。
そのような場合でも、弁護士であれば、いつでも接見することができます。

ご家族が覚せい剤取締法違反事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件で保護観察処分

2020-01-05

少年事件における終局決定の一つである保護観察処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市西区に住むAさん(16歳)は、ツイッターを利用してアイドルのコンサートチケットを詐取したとして、逮捕・勾留されました。
その後、神戸家庭裁判所に送致され、観護措置が取られました。
Aさんの両親は、少年事件に強い弁護士に付添人として活動してほしいと思い、少年事件に精通する弁護士を探しています。
(フィクションです)

少年事件における終局決定

非行事実が認められた場合、家庭裁判所は、要保護性の有無、程度を判断し、最終的な処分を決定します。
最終的な処分の決定(「終局決定」)には、次の5種類があります。
①審判不開始
②不処分
③知事・児童相談所長送致
④検察官送致
⑤保護処分

⑤の保護処分は、非行を行った少年に対し、性格の矯正及び環境の調整を目的として行われる少年法上の中心的処分です。
保護処分には、保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設送致、少年院送致の3種類があります。

保護観察処分

保護観察」は、少年を家庭や職場に置いたまま、保護観察所の行う指導監督と補導援護によって、少年の改善更生を図る社会内処遇です。
保護観察の期間は、対象者が20歳に達するまでとされますが、保護観察が決定した時から20歳になるまで2年に満たない場合には、期間は2年となります。
保護観察期間中であっても、対象者の状態にお医事手、解除や一時解除が認められます。

保護観察も、その内容により、①一般保護観察、②一般短期保護観察、③交通保護観察、③交通短期保護観察、の4種類に分けられます。
ここでは、①一般保護観察、及び、②一般短期保護観察について概観します。

①一般保護観察
一般保護観察は、家庭裁判所で保護観察に付された少年のうち、一般短期保護観察対象者及び交通事件によって保護観察に付された者を除く者が対象となります。
内容は、保護観察官及び保護司による指導監督と補導援護です。
保護観察官は、保護観察が開始される際に処遇方針を示し、必要に応じて介入し保護司に助言指導を与える役割を担います。
保護司は、保護観察官の指示や連絡に従い、少年や家族と連絡を取り合い、処遇及び本人の状況等の経過を書面で定期的に報告し、再犯や所在不明といった少年の心情に重要なことが起こった場合にも報告をします。
保護司は、民間のボランティアで、様々な職種の方がいらっしゃいます。
一般保護観察の解除は、保護観察に付されてから概ね1年が経過した時に検討されます。

②一般短期保護観察
一般短期保護観察の対象者は、交通事件以外の非行により保護観察に付された少年のうち、一般短期保護観察相当の処遇勧告がなされた者です。
一般短期保護観察では、保護観察官が、改善更生のために重要な領域、例えば生活習慣、友人関係など、を一つ設定して、これについて具体的な課題を出し、少年にその履行状況についての報告を受け、それに対し必要な指導や助言を行います。
一般短期保護観察の実施期間は、6~7か月とされており、この期間内に解除されて終了します。

このように、審判において保護観察処分が言い渡されると、少年は家庭や職場に身を置いたまま、定期的に保護観察官や保護司と連絡をとり、現状について報告を行った上で、指導・助言を受けることになります。
収容されることなく社会内で生活を送ることができるため、社会と切り離されることがありません。

家庭裁判所が保護観察を終局決定とするには、裁判官が少年の更生には社会内処遇で足りると判断することが必要です。
逆に言えば、もし、裁判官が当該少年がきちんと更生するには矯正施設に入れる必要があると判断したのであれば、保護観察ではなく少年院や児童自立支援施設・児童養護施設への送致を選ぶ可能性があるのです。
ですので、裁判官に社会内処遇での更生が期待できると判断してもらえるよう、早い段階から適切な働きかけを行うことが重要です。

お子様が事件を起こし、対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、お子様の更生に向けて尽力致します。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル2020まで。

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