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児童虐待で逮捕
児童虐待で逮捕
児童虐待での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
数年前に妻と離婚し、それ以来男手一つで3人の子供を育ててきたAさん。
しかし、子供が言いつけを守らない時には手を挙げることもしばしばありました。
ある時、子供Vくんが反抗的な態度に出たことに腹を立てたAさんは、Vくんの頬を思いっきり拳で2~3発殴ってしまい、Vくんの顔にあざが出来てしまいました。
翌日、Vくんの顔のあざに気づいた学校の先生が、校長に報告し、学校から児童相談所に報告が行くことになりました。
Vくんは児童相談所に一時保護されており、児童相談所から連絡を受けたAさんは警察に逮捕されるのではないかと不安です。
(フィクションです)
児童虐待は犯罪か?
保護者が、子供に対してしつけと称して手を挙げてしまった場合、その行為は犯罪に当たるのでしょうか。
まず、「児童虐待」とは何か?という点ですが、これについては児童虐待の防止等に関する法律(以下、「児童虐待防止法」といいます。)第2条に定義されています。
第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
子供に対し身体的な暴力を加えることは、上の第1号に該当することになります。
児童虐待防止法は、その第3条において、児童に対する虐待を禁止しています。
しかし、児童虐待防止法は、児童虐待をした者に対する罰則を設けていません。
刑事手続では無罪推定原則があること、そして、逮捕・勾留、裁判、刑罰執行という事態が、子供の実際の監護養育にとってかえって好ましくない場合もあるので、児童虐待に該当するすべての行為に対して刑事的対応がなされるわけではありません。
一方、児童虐待防止法は、「児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。」と14条2項において明記しています。
身体的虐待の場合、子供を殴る行為は暴行罪、それにより怪我をさせた場合は傷害罪、さらに子供を死亡させてしまった場合には傷害致死罪または殺人罪の刑事責任が問われる可能性があります。
児童虐待ではなくしつけであったとの主張が多くなされていますが、親権者の懲戒権との関係について判示した裁判例に以下のものがあります。
9歳の子供の両手を針金で縛り押入内に入れて、トイレや食事以外を除く10数時間も継続して閉じ込めて放置したという事案において、親権者からの懲戒権の行使であるとの主張に対して、「到底一般社会人の首肯できる妥当な懲戒行為としては認められず、即ち正当な懲戒権行使の限度を超えたもの」として、逮捕監禁罪の成立を認めました。(東京高判昭35・2・13)
しつけと児童虐待との明確な線引きというのは、そう容易ではありませんが、一般的に懲戒権行使の範囲を超える行為をみなされると虐待行為として刑事的責任が問われることになります。
児童虐待で逮捕される可能性は?
児童虐待で警察に通報された場合、逮捕される可能性は高くなっています。
被害者である子供が児童相談所に保護されている場合であっても、その他の家族と共謀して罪証隠滅を図るおそれがあると判断されるためです。
逮捕されたら、原則、逮捕から勾留までの間は家族であっても逮捕された方と面会することは認められません。
ご家族が児童虐待で逮捕されたら、すぐに弁護士に接見を依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご依頼から24時間以内に逮捕された方のもとに赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
少年と援助交際
少年と援助交際
少年と援助交際について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県南あわじ市に住む中学生のAさん(15歳)の母親のもとに、兵庫県南あわじ警察署から連絡がありました。
「児童買春事件の件で、娘さんに話を聞きたい」と言われ、はじめてAさんの母親はAさんが援助交際をしていたことを知りました。
Aさんの母親は、Aさんが援助交際の件で今後逮捕されたりするのかと心配になり、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
子供が援助交際をしていたことが分かったら
一般的に、援助交際というのは、金銭等の経済的利益の代償として、性交を含めた性的な関係を提供することをいいます。
女子中学生や女子高生が援助交際を行うことも多く、児童買春として問題となっています。
児童買春をした者が、児童買春・児童ポルノ禁止法に違反し、刑事罰の対象となるのは多く知られたところですが、児童売春をした未成年者にはどのような処分が科され得るのでしょうか。
1.被害者として
児童買春は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)によって禁止されています。
ここでいう「児童買春」というのは、児童、児童に対する性交等の周旋をした者、または児童の保護者や児童をその支配下に置いている者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいいます。(児童買春・児童ポルノ禁止法第2条第2項)
児童買春をした者は、児童買春・児童ポルノ禁止法によって処罰の対象となります。(児童買春・児童ポルノ禁止法第4条)
児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童の権利を擁護することを目的とした法律ですので、同法において、児童買春の相手方となった児童は、児童買春によって心身に有害な影響を受けた児童買春の被害者として扱われることになります。
ですので、上記ケースのように、警察から児童買春事件の被害者として事情聴取を求められることがあります。
2.ぐ犯少年として
性交等を行う援助交際は売春行為であり、売春防止法に違反することとなります。(買春禁止法第3条)
しかしながら、単純な売春行為のみであれば、売春禁止法によって処罰されることはありません。
ただ、援助交際を繰り返している少年は、性の逸脱行為があるとして、補導の対象となります。
警察官は、街頭補導活動を中心とする補導活動を行っています。
街頭補導というのは、道路その他の公共の場所、駅その他の多数の客を来集する施設又は風俗営業の営業所その他の少年の非行が行われやすい場所において、非行少年、不良行為少年、被害少年、そして要保護少年を発見し、必要に応じその場で、次の措置をとることをいいます。
①非行少年については、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他の必要な措置をとる。
②不良行為少年については、当該不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言又は指導その他の補導を行い、必要に応じ保護者に連絡する。
③被害少年については、適切な助言を行う等必要な支援を実施する。
④要保護少年については、児童相談所への通告又は児童相談所長もしくは都道府県知事の委託を受けて行う一時保護の適切な実施のため、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他必要な措置をとる。
また、売春を行っていた少年は、「ぐ犯少年」として家庭裁判所に送致され、審判に付される可能性があります。
「ぐ犯少年」というのは、ぐ犯事由があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある20歳未満の少年のことです。
ぐ犯事由というのは、次に掲げる事由です。
①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
②正当な理由なく家庭に寄りつかないこと。
③犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること。
④自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
これらのぐ犯事由自体は犯罪には該当しないので、他に犯罪行為がない限り、家庭裁判所への送致に先立って逮捕・勾留等はなされません。
しかし、捜査機関においてぐ犯事由があると思料するときには、家庭裁判所に送致され、調査・審判を経て最終的な処分が決定することとなります。
このように、犯罪行為そのものを行っていない場合であっても、ぐ犯少年として家庭裁判所に送致され、調査・審判に付される可能性はあるのです。
お子様がぐ犯少年として家庭裁判所に送致されて、その対応にお困りであれば、少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
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初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
刑事裁判で執行猶予付き判決②
刑事裁判で執行猶予付き判決②
執行猶予付き判決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に住むAさんは、コカインを使用したとして、兵庫県相生警察署に麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕されました。
逮捕・勾留後、Aさんは神戸地方検察庁姫路支部に同罪で起訴されました。
検察官は懲役3年を求刑しましたが、判決期日に神戸地方裁判所姫路支部は、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
判決の言い渡し
前回のブログで刑事裁判の大まかな流れについて説明しましたが、最後の判決において、裁判長は有罪か無罪か、有罪であれば被告人に科すべき刑事罰を言い渡すことがお分かりいただけたと思います。
判決期日は、事件が単純で軽微なケースであれば、結審して1~2週間後となることが多くなっています。
刑事裁判の判決の言渡しは、ドラマと違い短時間で終了します。
判決文は「主文」と「判決理由」から成りますが、それらを読み上げるのに通常5分とかかりません。
裁判長は、被告人の氏名、生年月日、住所や本籍などを訪ねる人定質問を再び行い、被告人が人間違いでないことを確かめます。
その後、判決文が読み上げられます。
「被告人は無罪。」「被告人を○○の刑に処する」
といった内容の主文がまず読まれます。
その後に、裁判長は判決理由を読み上げます。
判決理由は、罪となるべき事実を説明し、どのような法律が適用され、量刑を科す理由から成ります。
執行猶予付き判決
「被告人を懲役1年6月の刑に処する。」との言渡しを受けた後、「ただし、刑の執行を3年猶予する。」という文言が追加されると、単に「被告人を懲役1年6月の刑の処する。」との言渡しとは異なる効果が生じます。
これを執行猶予付き判決といいます。
刑を言い渡すにあたり、犯情により一定の期間その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度を「執行猶予」といいます。
上記ケースでは、「懲役1年6月、執行猶予3年」が言い渡されたいますが、これは、刑の言渡しを受けてから3年間、罪を犯すことなく過ごすことができれば、この刑の言渡しそのものが無効となり、刑務所に行かなくてもよくなる、ということです。
「執行猶予期間中に罪を犯さないこと」を条件としていますので、この期間中に何らかの罪を犯し有罪となると、執行を猶予されていた刑も受けなくてはなりません。
執行猶予には、刑期全部の執行猶予と刑の一部執行猶予の2種類があります。
刑の全部執行猶予の要件
(1)初度の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
または、
(b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免 除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役もしくは禁錮または50年以下の罰金の言渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするにたりる事情があること。
(2)再度の場合
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
(ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間内に更に罪を犯した場合には、 執行を猶予することは許されません。)
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。
刑の一部執行猶予の要件
宣告刑の一部だけの執行を猶予する制度です。
例えば、「懲役2年に処する。その刑の一部である懲役4月の執行を2年間猶予する。」と言い渡されたとします。
この場合、まず、猶予されなかった1年8か月の懲役刑の執行を実際に受けて服役することになります。
服役後、猶予された4か月の執行猶予期間である2年間が始まり、この2年間を無事に経過すれば、4か月の懲役刑は執行されないことになります。
(1)初めて刑事施設に入所する者の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがない者
または
(b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者
あるいは、
(c)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除 を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐため必要であり 、かつ、相当であると認められること。
このように判決言い渡しで、執行猶予が付されるか否かで、被告人のその後の生活が大きく変わります。
刑事事件を起こしてしまったが、執行猶予付き判決を獲得できないかとお悩みであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事裁判に豊富な経験を有し、執行猶予付き判決も数多く獲得する弁護士にお任せ下さい。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
刑事裁判で執行猶予付き判決①
刑事裁判で執行猶予付き判決①
刑事裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に住むAさんは、コカインを使用したとして、兵庫県相生警察署に麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕されました。
逮捕・勾留後、Aさんは神戸地方検察庁姫路支部に同罪で起訴されました。
検察官は懲役3年を求刑しましたが、判決期日に神戸地方裁判所姫路支部は、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
刑事裁判の流れ
あなたがある罪を犯し、その罪について検察官に公判請求されたとしましょう。
あなたは、刑事裁判を受けることになり、審理を経て有罪無罪が言い渡され、有罪の場合にはあなたに科される刑事罰も言い渡されます。
刑事裁判の流れは、次のようになります。
1.冒頭手続
①人定質問
裁判長が被告人に対し、人違いでないことを確かめるため、氏名・年齢・職業・住居・本籍を尋ねます。
②起訴状の朗読
検察官が起訴状を読み上げます。
起訴状には、被告人が誰で、どのような行為を行い、その行為はどの法律に規定される何罪にあたるのかが記載されています。
③黙秘権など諸権利の告知
裁判長が被告人に黙秘権など諸権利について告知します。
④罪状認否
被告人・弁護人は、事件の実体に関する認否、弁解・主張、訴訟条件の欠缺に関する主張、訴訟手続きに関する請求・申立てなどを行います。
刑事裁判は、起訴事実があったのか否かを審理する手続となります。
どんな些細な内容であっても起訴事実に間違いがあれば、それを明らかにする必要があります。
2.証拠調べ手続
検察が裁判で被告人の犯罪を立証する手続です。
①冒頭陳述
検察官が証拠によって証明すべき事実が明らかにします。
実務では、冒頭陳述書を作成し法廷で朗読し、書面を裁判所に提出します。
検察官の冒頭陳述の後に、裁判所の許可を得て、被告人・弁護人も冒頭陳述をすることができます。
②証拠調べ請求
証拠調べとは、証人などの尋問、証拠書類・証拠の取調べ、検証、鑑定などをいいます。
初めに当事者(検察官、被告人・弁護人)の請求に基づいて証拠調べがなされ、必要な場合には補充的に裁判所の職権で証拠調べが行われます。
まず、検察官が事件の審判に必要と認められるすべての証拠の取調べの請求を行います。
被告人・弁護人は、検察官の取調べ請求に対して証拠意見を述べます。
裁判所は、証拠調べ請求に対し、決定でもって判断を示さなければなりません。
裁判所が証拠調べをすることを決める(証拠決定)に際して、裁判所は、それが請求に基づく場合は相手方またはその弁護人の意見を、職権による場合には、検察官および被告人・弁護人の意見を聴かなければなりません。
証拠調べ請求が適式になされない場合(刑事訴訟規則189条4項)、証拠能力のない証拠や事件と関連性のない証拠が証拠調べ請求された場合、裁判所は請求を却下することになります。
③証拠調べの実施
証拠書類や証拠物の取調べ、証人尋問、鑑定人の尋問、被告人質問などが行われます。
・証人尋問
証人尋問は、まずその証人尋問を請求した当事者から尋問がなされ、その後に、その相手方に よる尋問が行われます。
・鑑定人尋問
裁判所は、特別の知識や経験を有する者に鑑定を命じることができます。この鑑定を命じられ た者を鑑定人と呼び、その専門知識や経験、若しくはその専門知識・経験に基づいて鑑定人が 下した判断を報告させることを鑑定といいます。
・証拠書類・証拠物の取調べ
証拠書類の取調べは、請求した者が朗読によって行い、証拠物は請求した者によって示されま す。
・被告人質問
裁判官、検察官、弁護人、共同被告人またはその弁護人は、被告人に質問し供述を求めること ができます。被告人が任意にした供述は、証拠となります。
3.弁論・論告
証拠調べが終了すると、検察側、弁護側双方から事実および法律の適用について意見陳述が行われます。
検察官が、事実および法律の適用について意見を陳述することを「論告」といいます。
検察官は、有罪を主張する場合、量刑についても意見を述べるのが通例となっています。
この量刑に関する意見を「求刑」と呼びます。
その後、被告人または弁護人に最終的に意見を陳述する機会が与えられ、これを「最終弁論」といいます。
4.判決
裁判所で行われた証拠調べ、論告、弁論を基に、裁判官は判決を言い渡します。
判決を宣告するには、裁判長が主文および理由を朗読し、または主文の朗読と同時に理由の要旨を告げなければなりません。
以上が刑事裁判の大まかな流れとなります。
刑事裁判の期間は、事件によって異なりますが、容疑を認めており特に争いのない事件であれば1回審理で結審となることが多く、法廷に出廷するのは公判期日と判決期日の2回のみとなります。
他方、重大事件で起訴事実にも争いがある事件であれば、1~2年かかることもあります。
刑事裁判の結果は、被告人のその後の人生に大きく影響しますので、刑事裁判には刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼されるのがよいでしょう。
刑事事件でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
爆破予告で偽計業務妨害罪
爆破予告で偽計業務妨害罪
偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県淡路市に住むVさんは、元交際相手のAさんから、Vさんが住むマンションを爆破するとLINEで爆破予告を受けました。
Vさんは怖くなり、すぐに兵庫県淡路警察署に相談しました。
相談を受けた淡路警察署の警察官は、マンションや周辺に不審物がないか捜索しましたが、何も見つかりませんでした。
後日、警察署はマンション付近にいたAさんを、爆破予告で警察を出動させたとして、偽計業務妨害の疑いで逮捕しました。
(神戸新聞NEXT 2019年6月17日21時25分掲載記事を基にしたフィクションです)
偽計業務妨害罪
上記ケースでは、Aさんは偽計業務妨害の容疑で逮捕されました。
それでは、今回は、偽計業務妨害罪とはいったいどのような犯罪なのかについてみていきたいと思います。
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
本条の前段は信用棄損罪についての規定であり、後段が「偽計業務妨害罪」についてのものとなります。
偽計業務妨害罪の保護法益(法によって保護される利益)は、人の業務の安全です。
ここでいう「業務」とは、自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連して行う職業その他の継続して従事することを必要とする事務をいいます。
この事務は、経済的に収入を得る目的でなくても構いません。
さて、偽計業務妨害罪の客体である「業務」には「公務」も含まれるのでしょうか。
公務については、公務執行妨害罪において、「暴行又は脅迫」という限定された妨害手段に対してのみ保護されています。
一方、業務妨害については、人の業務を①虚偽の風説の流布や偽計(刑法第233条)、②威力(刑法第234条)、③電子計算機損壊等(刑法第234条の2)という妨害手段から広く保護しています。
そのため、公務執行妨害罪で限定的に保護されている公務を業務妨害の罪で保護されている業務に含むことが適切か否かが問題となるのです。
判例は、権力的・支配的性質の公務は業務妨害の「業務」に含まれないが、非支配的公務、特に私企業的な公務は含まれ、非支配的な公務に対しては、公務執行妨害罪と業務妨害罪とが競合的に成立し得るとしています。
つまり、強制力を行使する権力的公務については公務執行妨害罪のみの適用があり、その他の公務については、公務執行妨害罪と業務妨害罪の双方の適用があるのです。
しかし、権力的公務であっても偽計に対しては自力での妨害排除機能が認められないので、偽計業務妨害罪の成立を認める裁判例も多くなっています。
例えば、ネットの掲示板に無差別殺人予告を行い、警察を警戒出動させて本来の警ら業務等を妨害した事例につき、偽計業務妨害罪の成立を認めています。(東京高判平21・3・12)
次に、偽計業務妨害罪の行為についてですが、「偽計の風説の流布」または「偽計を用いて」、「人の業務を妨害する」ことです。
「虚偽の風説を流布」とは、虚偽の事項を内容とする噂を不特定多数の者に知れ渡るような態様において伝達することをいいます。
「偽計」とは、人を欺罔・誘惑し、または他人の無知や錯誤を利用することをいいます。
偽計は「人」に対しての行為を指し、「機械」に対しては含まれません。
ここで、業務妨害罪である「偽計業務妨害罪」と「威力業務妨害罪」を区別する業務妨害手段の違いについて説明したいと思います。
「偽計」は、相手の錯誤を誘発する行為であって、相手の意思を制圧する行為を「威力」といいます。
これらの区別は具体的場面において難しい場合がありますが、判例は概して、それが外見的にみて明らかである、公然と行われた妨害行為が「威力」であり、外見的にみて明らかでない、非公然と行われた妨害行為は「偽計」としています。
では、ここで上記ケースにおける爆破予告が「偽計」若しくは「威力」のどちらに当たるのかについて検討してみましょう。
上記ケースでは、AさんがVさんに対して「マンションを爆破する」と連絡し、怖くなったVさんが警察に通報し、警察が出動したものです。
この事件(業務妨害)の被害者は、通報を受けて不審物の捜索や警戒にあたった警察です。
しかし、Aさんは、被害者である警察に対して直接爆破予告をしていません。
つまり、被害者に対して公然と行われた妨害行為ではないため、当該業務妨害は「偽計」を用いて遂行されたと言えるでしょう。
偽計業務妨害罪で被疑者として取調べを受けた、あるいは逮捕されたら、すぐに弁護士に相談することが大切です。
取調べでどのような供述をするかは、その後の処分にも大きく影響しますので、自己に不利な供述調書を取られないためにも、早期に弁護士に相談し、取調べ対応についてのアドバイスを受けるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、偽計業務妨害事件も含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
悪口言いふらしたら、ネットに書き込んだら名誉毀損罪!?
悪口言いふらしたら、ネットに書き込んだら名誉毀損罪!?
名誉毀損罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大学生のAさん(20歳)は、同じサークルに所属するVさんを忌み嫌っていました。
というのも、元々AさんとVさんは仲が良かったのですが、Aさんが同じサークルに所属するBくんに好意を抱いていることをVさんに相談したことで、VさんもBくんに好意を寄せるようになり、結局VさんがBくんに告白し二人が付き合うようになったという出来事があったからです。
Aさんは、Vさんのした裏切り行為を許すことが出来ず、サークル仲間にVさんの悪口を言いまわっていました。
Aさんは、匿名でネットの掲示板にもVさんを名指しし誹謗中傷するような書き込みをしていました。
ある日、サークル仲間を通じてAさんがVさんの悪口を言っていることやネットの掲示板にひどい書き込みがしてあることを知ったVさんが、Aさんに対して「これ以上はやめてほしい。でないと警察に相談する。」とメールで警告してきました。
Aさんは自分のやった行為が犯罪に当たるのか、Vさんが警察に相談した場合にはどうなるのか心配になり刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
人の悪口を言いふらす行為やネット上に書き込む行為は犯罪?
誰もがみな仲良く争いもなく生活を送る、そんな素晴らしい人生が送らたらどんなに幸せでしょうか。
十人十色といいますが、人生長く生きていれば、気が合う人もいれば、そうでない人も出てくるでしょう。
ついつい嫌いな人や苦手な人の悪口を言ってしまうものですが、度が過ぎる行為は犯罪となる可能性もありますので気を付けましょう。
名誉毀損罪
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に、その事実の有無にかかわらず成立する犯罪です。
「人の名誉」というのは、人についての事実上の社会的評価を意味します。
ですので、人の真価とは異なった評価である虚名も保護され、摘示した事実が真実でも、後述する真実性の証明による免責が認められない限り、処罰対象となります。
名誉の対象は、自然人の他に、法人などの団体を含みます。
「公然」とは、不特定多数人が認識し得る状態をいいます。
不特定人というのは、相手方が特殊の関係によって限定された者でない場合をいい、多数人とは数字によって何人以上と限定することはできないが、単に数名では足りず、相当の員数であることを必要とします。
また、特定少数の者に事実を摘示した場合であっても、伝播して不特定多数の者が認識し得る可能性を含む場合には公然性が認められます。
摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りる事実であることが必要となります。
この事実は、真実か否か、公知か否か、過去のものか否かは問われません。
「摘示」とは、具体的に人の社会的評価を低下させるに足りる事実を告げることをいいます。
摘示の方法・手段には制限がありません。
名誉毀損罪は、社会的評価を害するおそれのある状態を発生させればたり、公然と事実を摘示すれば通常人の名誉は毀損されたものといえます。
さて、真実である事実を摘示した場合にも名誉毀損罪は成立するのですが、真実性の証明による免責が設けられています。
名誉毀損行為が、公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合で、摘示した事実が真実であることの証明があったときに、免責が認められます。
加えて、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実、公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実についての特則も定められています。(刑法第230条の2)
では、Aさんの行為が名誉棄損罪に当たるのか検討してみましょう。
(1)Vさんの悪口をサークル仲間に言いふらす行為について
Aさんは、AさんがBくんを好きなことを知った上でBくんに告白し付き合うことになったVさんが許せないのですから、おそらくAさんが言いふらしたVさんの悪口は「Vさんは友人の好きな人を知っていたのに、その人を奪うような人間だ!」といった感じの内容でしょう。
これが事実だとしても、この内容はVさんの社会的評価を下げるものと言えるでしょう。
しかし、Aさんがサークル仲間にその事実を言いふらしたことが「公然」と言えるかが問題となります。
サークル仲間全員の前で、事実を摘示したのであれば公然性が認められるでしょうが、サークル仲間のうち数名だけに対して摘示したのであれば、それだけで公然とは言うことは難しいでしょう。
摘示した人物が「おしゃべり好き」で知られた人物であった場合には、その人から不特定多数の者に摘示した事実が伝播する可能性が認められるかもしれません。
(2)Vさんの悪口をネットの掲示板に書き込む行為について
一方、ネットの掲示板に書き込む行為は、それによってサークル仲間に限らず不特定多数の者が閲覧可能な状態にしていることになりますので、公然性が認められることになります。
ですので、この場合には、名誉棄損罪が成立する可能性が高いでしょう。
名誉棄損事件を穏便に解決する方法としては、被害者との示談成立が挙げられます。
なぜならば、名誉棄損罪は親告罪だからです。
親告罪というのは、告訴権者による告訴がなければ、公訴を提起することができない罪のことです。
ですので、名誉棄損事件で加害者となってしまった場合には、すぐに被害者との間で示談を成立させ事件化回避や不起訴獲得などを目指します。
しかし、名誉を棄損された被害者は、加害者に対して怒りや恐怖を感じていることが多く、直接話をすることに積極的でない場合が多いのです。
ですので、被害者との示談交渉には、第三者である弁護士を介して行うことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名誉棄損事件をはじめとする刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
名誉棄損事件でお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
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初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
酔っ払って暴力事件
酔っ払って暴力事件
酔っ払いの暴力事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社の飲み会でAさんは上司や部下ら数人と兵庫県神戸市東灘区の居酒屋で夜10時頃まで飲み食いしていました。
店を出るときはそこまで酔っ払っていなかったのですが、上司から2軒目に誘われ、そこで足もとがふらつくぐらい酔っ払ってしまいました。
2軒目を出ると、上司が通行人Vさんとぶつかり、2人の間で意図的にぶつかったのどうだのと言い争いになりました。
Aさんは酔っ払っていましたが、仲裁に入ろうとして2人の間に入りましたが、気が大きくなっていたAさんはVさんの言動に腹が立ち、とうとうVさんの顔面を拳で一発殴ってしまいました。
目撃者からの通報で駆け付けた兵庫県東灘警察署の警察官は、Aさんを暴行容疑で逮捕しました。
Aさんは酔っ払っていて記憶が曖昧ですが、自分がVさんを殴ったことは自分の手の腫れ具合から間違いないだろうと供述しています。
会社のこともあるので、一日でも早く釈放されないかと心配でたまりません。
酔っ払った末の刑事事件
普段は温厚で犯罪とは何ら関りをもたない方でも、酔っ払って気が大きくなり罪を犯してしまうケースは少なくありません。
特に、酔った勢いで人に手を挙げてしまったり、物を壊してしまうといったことはよく耳にします。
お酒の失敗談として笑い話で済めばいいのですが、残念ながら犯罪行為となり、被疑者として警察に逮捕される可能性があるのです。
それでは、酔っ払って人を殴ってしまった場合に成立し得る犯罪はどのようなものでしょうか。
暴行罪
上記ケースでも問われている「暴行罪」が成立する可能性があるでしょう。
暴行罪については、刑法第208条に規定されています。
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪の構成要件は、
①人に暴行を加えたが、
②その人が傷害するに至らなかった
ことです。
ここでいう「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいいます。
いわゆる殴る蹴るといった暴力の行使のみならず、音・光・熱等による作用も含まれます。
判例は、暴行について緩やかに捉えており、暴行とは、人の身体に対する不法な一切の攻撃方法を含み、性質上傷害の結果を惹起すべきものである必要はないと解されています(大判昭8・4・15)。
また、有形力が人の身体に接触することは不要とされており、驚かす目的で人の数歩手前を狙って投石する行為(東京高判昭25・6・10)や、高速道路上で並進中の自動車に嫌がらせ目的で幅寄せする行為(東京高昭50・4・15)も暴行に当たるとされています。
傷害罪
暴行の末、人に怪我を負わせた場合には「傷害罪」が成立する可能性があります。
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
「傷害」の概念について、判例は、「人の生理的機能に障害を加えること」としており、生活機能の毀損と健康状態の不良変更を傷害として解しています。
髪の毛を切る行為は傷害ではなく暴行となりますが、梅毒の感染や失神、騒音による慢性頭痛症等、不安・抑うつ症、PTSDなどを生じさせることは傷害となります。
また、傷害の方法は有形無形を問いません。
暴行によって傷害が惹起されることが多いですが、嫌がらせ電話により不安感を与え精神衰弱症にする場合、怒号等の嫌がらせによって不安・抑うつ状態にする場合など、心理的な方法により健康状態を害する場合も傷害となります。
傷害罪は、故意犯のみならず、暴行罪の結果的加重犯の場合も含むと解するのが通説となっており、傷害罪の故意は暴行の認識があれば足りるとされます。
暴力事件で逮捕されたら
酔っ払って暴力事件を起こしてしまった場合、目撃者からの通報や巡回中の警察官に現行犯逮捕されることが多いようです。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも検察に送致するかを決めます。
検察に送致されると、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に勾留請求をするか釈放するかを決定します。
検察官が勾留請求し、その請求を受けて裁判官が被疑者を勾留する理由も必要もあると判断すれば、当該被疑者は検察官が勾留請求をした日から原則10日間の身体拘束を余儀なくされます。
ですので、勾留となれば長期間の身体拘束となり、その間会社に行くことはできません。
その結果、最悪の場合、会社をクビになる可能性もあります。
そのような事態を回避するため、逮捕されたら早期に刑事事件に詳しい弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動を依頼されるのがよいでしょう。
あなたの家族が暴力事件で逮捕されてしまったのであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
人に犯罪を依頼したら
人に犯罪を依頼したら
人に犯罪を依頼した場合に成立し得る罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
海外に住む妻Vさんが、現地で何者かに銃で射殺される事件が起きました。
現地の警察は、Vさんを射殺したとされる被疑者を2名逮捕しました。
取調べにおいて、被疑者らは兵庫県に住むVさんの夫のAさんからVさんを殺すよう依頼された旨を供述していることが明らかになりました。
兵庫県警察は、殺人の容疑でVさんの夫であるAさんを逮捕しました。
(朝日新聞デジタル 2019年6月14日5時00分掲載記事を基にしたフィクションです)
他人に犯罪を依頼した場合に問われる刑事責任とは
殺害依頼と聞くと、「殺し屋」などが出てくるドラマや映画の話だと思ってしまいますが、現実でも起こり得る話なのです。
このように、自らが実際に犯行に及ばないけれども、他人に犯罪を実行するよう依頼すると、依頼者に如何なる刑事責任が問われるのでしょうか。
ここでは、上記ケースを例に人を殺すことを依頼した場合で考えてみましょう。
まず、実際に犯行に及んだ者(正犯)は、人を殺意を持って殺したのですから、殺人罪が成立します。
それでは、殺人の依頼者はどうでしょうか。
1.殺人罪の教唆犯
教唆犯については、刑法第61条に規定されています。
第六十一条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
教唆は、「人を教唆して犯罪を実行させた」ことで成立します。
人に犯罪行為を遂行する意思を生じさせて、それに基づき犯罪を実行させることです。
つまり、教唆行為によって、正犯における犯罪行為を遂行しようとする意思が惹起され、その意思に基づいて犯罪を実行し、構成要件該当事実(殺人罪の場合には、人を殺すこと)の発生という、一連の因果関係が肯定されることが必要となります。
教唆行為は、黙示的でもよく、利益の供与、誘導、強制、威嚇、哀願等、その手段方法は問いません。
教唆犯の法定刑は、正犯のそれと同じですので、教唆犯であっても起訴され有罪判決を受ければ、死刑または無期もしくは5年以上の懲役刑が科される可能性があるのです。
2.共謀共同正犯
人の殺人を依頼した場合の依頼者の刑事責任について、共謀共同正犯となることも考えられます。
「共謀共同正犯」とは、複数人が一定の犯罪を実行することを共謀し、その共謀した者の中の一部の者が共謀した犯罪の実行に出た場合、共謀に参加したすべての者について共同正犯としての罪責が認められる共犯形態をいいます。
「共同正犯」の一類型が「共謀共同正犯」です。
「共同正犯」というのは、二人以上が共同して犯罪を実行することです。
第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
共同正犯者はすべて正犯とされる点で、教唆犯とは異なります。
共謀共同正犯の成立要件は、次のとおりです。
①共謀の存在
②共謀に基づき、共謀者の全部または一部の者が実行行為をおこなったこと
つまり、2人以上の者が特定の犯罪をおこなうため、共同意思の基に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とした謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならないのです。
殺害を依頼した依頼者が犯罪にどのように関与したかによって殺人の教唆犯となるか共謀共同正犯となるかは異なります。
いずれにせよ、法定刑はどちらも同じです。
殺人事件における弁護活動については、容疑を認める場合と否認する場合とで異なります。
容疑を否認している場合には、教唆も共謀もしておらず殺人罪を犯していない、殺意がないことを立証し、殺人罪が成立しない旨を主張し、無罪獲得に向けた活動を行います。
容疑を認めている場合には、他の刑事事件と比べて起訴猶予による不起訴処分の獲得の可能性は著しく低いと言えるでしょう。
ですので、公判請求されることを前提に、情状証拠の収集に努め、量刑の軽減を目指す弁護活動が中心となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、殺人罪等の暴力事件を含めた刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、弊所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
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受水槽で遊泳は浄水汚染罪!?
受水槽で遊泳は浄水汚染罪!?
浄水汚染罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県小野市にあるマンションの受水槽でパンツ一丁で泳ぐ少年たちの動画がツイッターやインスタグラムから拡散しています。
マンションの管理会社は、兵庫県小野警察署に被害届を提出しました。
動画やマンションの防犯カメラから少年たちの身元が特定され、市内に住む少年Aくん(17歳)は浄水汚染の容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
他の少年も逮捕され、それぞれ異なる警察署に留置されています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
浄水汚染罪~飲料水に関する罪~
刑法には、飲料水に関する罪として、次の6つの罪について規定されています。
・浄水汚染罪(刑法第142条)
・水道汚染罪(同143条)
・浄水毒物混入罪(同144条)
・浄水汚染等致死傷罪(同145条)
・水道毒物混入罪及び同致死罪(同146条)
・水道損壊及び閉塞罪(同147条)
あまり耳にしない罪名ですが、マンションの受水槽の中で泳ぐ行為については、「浄水汚染罪」が成立する可能性があります。
それでは、「浄水汚染罪」とはいったいどのような罪をいうのでしょうか。
第百四十二条 人の飲料に供する浄水を汚染し、よって使用することができないようにした者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
浄水汚染罪の保護法益は、公衆の健康です。
飲料水は私たちの生活において欠かすことの出来ないものですので、それが汚染され使用できなくなってしまうと、多くの人の生活や健康に害を及ぼすことになってしまうからです。
「飲料に供する」というのは、飲料として提供することを予定していることを意味します。
ですので、工業用水、灌漑用水、家畜用の飲み水などは、人の飲料に供することを予定していないので除かれます。
「浄水」とは、人の飲料に供し得る程度の水のことをいいます。
また、「汚染」については、水の清潔な状態を不潔にすることを意味し、その方法は物理的・科学的・心理的であるとを問いません。
不潔な状態が一時的か、或いは長時間続いているかといった点も問題となりません。
「使用することができないようにし」とは、飲料水として使用不能の程度に至らせることを意味します。
使用については、一時的であってもよく、使用できなくなった理由は、物理的・科学的・心理的であるかを問いません。
それでは、上記ケースのように、マンションの受水槽の中で泳ぐ行為について検討していきましょう。
「受水槽」というのは、建築物内で使用する水を貯留する設備のことです。
問題となっているマンションの受水槽は飲料水を貯めていたということですので、「人の飲料に供する浄水」という部分は当てはまりますね。
それでは、受水槽の中で泳ぐ行為によって当該浄水が「汚染」され、その結果「使用することができないようにした」と言えるでしょうか。
前述のように、「使用することができない」というのは、飲料水として使用不能の程度に至らせることです。
過去の判例では、「通常人の感覚を基準として、物理的、生物的または心理的に使用に堪えない」ことをいうとされています(最判昭36・9・8)
一般的には、人が泳いだ後の水を飲む気にはなりませんので、心理的に当該浄水を飲料水として使用することはできないと言えるでしょう。
このように、受水槽の中で泳ぐ行為は犯罪に該当し刑事責任を問われる可能性があるのです。
いたずらや遊びのつもりでと軽い気持ちでやったとしても、それは言い訳にはなりません。
もし、あなたやあなたの家族が浄水汚染事件を含めた刑事事件の加害者となり、今後の流れや処分、捜査機関による取調べ対応、被害者への対応についてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けています。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

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墓石に落書きで礼拝不敬罪
墓石に落書きで礼拝不敬罪
礼拝不敬罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県丹波市にある墓地のとある墓石に赤い塗料が吹き付けてあるのを通行人が発見し、兵庫県丹波警察署に通報しました。
警察は捜査を開始し、周囲への聞き込みや防犯カメラの解析を始めました。
警察が捜査に乗り出したことを聞きつけた同市に住むAさんは、いずれは自分がやったことがバレて逮捕されるのではないかと心配しています。
すぐにでも自首したほうがいいのかと悩んでおり、自分の行為がどのような犯罪に当たり、自首した場合どのような処分を受けるのか気になり、刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
(NHK NEWS WEB 2019年6月12日19時47分掲載記事を基にしたフィクションです)
墓石への落書き行為で成立し得る犯罪は?
墓石に落書きするなんて、なんとも罰当たりな行為ですよね。
では、このような行為により成立する可能性がある罪とはどのようなものがあるのでしょうか。
(1)器物損壊罪
刑法
第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪は、公用文書等、私用文書等、建造物等以外の「他人の物を損壊・傷害」することで成立する犯罪です。
(a)「他人の物」
動産、不動産を広く含みます。
電磁的記録媒体も含まれます。
また、判例は、法令上違法なものも客体に含まれると解しています。
(b)「損壊・傷害」
「損壊」とは、物の物理的な損壊だけでなく、物の効用を害する一切の行為を含みます。
例えば、飲食器に放尿する行為や、鯛や海老が描かれた掛け軸に黒墨で「不吉」と書く行為、施設の塀に赤色スプレーで落書きする行為も「損壊」に当たるとされます。
「傷害」は、客体が動物の場合に用いられ、動物を殺傷したり、逃がすなど本来の効用を失わせる行為を含みます。
他人の墓石に塗料で落書きする行為は、他人の物を損壊したと言えるので、器物損壊罪の構成要件に該当するでしょう。
(2)礼拝不敬罪
刑法
第百八十八条 神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
礼拝不敬罪の保護法益(法令がある特定の行為を規制することによって保護・実現しようとしている利益)は、国民の宗教的感情及び死者に対する敬虔・尊崇の感情とされています。
対象となる場所は、神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所です。
「礼拝所」とは、宗教的に崇め敬われている場所を指し、既存の宗教と関係のない施設でも構いません。
被爆慰霊碑やひめゆりの塔なども含まれます。
次に本罪の行為である「公然と不敬な行為」に関してですが、「公然と」というのは、不特定多数の人が認識し得る状態のことをいいます。
実際に、不特定多数の者が認識したことは必要としません。
例えば、深夜の墓地で誰もいなかったとしても、誰かが通る可能性があれば、「公然」であるとみなされます。
「不敬な行為」とは、神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所の尊厳を害するに足りる行為を広く含むと解されています。
壊す、倒す、汚す、除去するといった行為が広く含まれます。
このように、墓石に落書きをする行為は、犯罪となる可能性があります。
逮捕の要件に該当すれば、捜査機関に逮捕されることもあります。
器物損壊罪のように親告罪の場合には、被害者との示談を成立し、事件化回避や不起訴処分で事件を穏便に終了させるために動くことが重要です。
また、上記ケースのAさんのように、自首をすることにもメリットがあるでしょう。
自首が成立すれば、刑が減軽される可能性もありますし、自首することにより罪証隠滅や逃亡のおそれが低いと判断され捜査機関に逮捕されない可能性も高まります。
しかし、そもそも問題の行為が何等かの犯罪に該当するのかといった点や、自首した後の流れや取調べ対応についても事前に弁護士に相談されることをお勧めします。
刑事事件でお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。