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侵入盗で逮捕
侵入盗で逮捕
侵入盗で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県丹波市内で夜間や住人が留守にしている日中に住宅に侵入し現金やクレジットカードなどを盗む侵入盗が多発していました。
これを受けて、兵庫県丹波警察署は、巡回などの警備を強化していました。
防犯カメラの映像から身元が判明し、同署は、県内に住むAさんとBさんを窃盗と住居侵入の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)
侵入盗で成立し得る犯罪
人の住居や建物に忍び込み金品を盗む犯罪を「侵入盗」といいます。
その手口により、「空き巣」「居空き」「金庫破り」「事務所荒らし」などと呼ばれます。
兵庫県警察のデータによれば、平成30年度中の侵入盗の認知件数は2,741件、検挙件数は1,514件となっています。
侵入盗を行った場合、「住居侵入等罪」や「窃盗罪」に問われる可能性があります。
住居侵入等罪
まず、人の住居や建物に勝手に忍び込んだ行為については、「住居侵入等罪」が成立する可能性があります。
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
住居侵入等罪の客体は、「人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船」です。
「人の住居」とは、犯人がその住居において単独で、あるいは他の者と共同で生活を営んでいるものではない住居のことを指します。
共同生活を営んでいた者であっても、それから離脱した場合には、その住居は「人」の住居となります。
例えば、家出中の子供が実父の家に強盗目的で深夜に侵入する行為は、住居侵入罪を構成することになります。
ここでいう「住居」というのは、人の起臥寝食に使用される場所で、旅館やホテルなどの客室に関しても、その利用が短時間であっても、起臥寝食に使用されるものである限り「住居」にあたると解されます。(名古屋高判昭26・3・3)
また、「人の看守する邸宅・建造物・艦船」についてですが、「人の看守する」とは「人が事実上管理・支配している」を意味し、「邸宅」は「人の住居の用に供せられる家屋に付属し、主として住居者の利用に供されるために区画された場所」をいい、「建造物」とは、住居・邸宅以外の建造物およびこの付属地も含みます。
「艦船」は、軍艦その他の船舶をいいます。
そして、住居侵入盗の行為は、「正当な理由がないのに侵入すること」です。
「侵入」の意義については、住居者や看守者の意思に反して立ち入ることであると解されます。
「正当な理由がないのに」とは、「違法に」という意味です。
窃盗罪
次に、人の者を盗むという行為については、「窃盗罪」に問われ得ます。
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は、他人の財物を窃取するこ犯罪です。
窃盗罪の客体である「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物であり、自己の財物であっても他人の占有に属し、または公務所の命令によって他人が看守しているものは他人の財物とみなされます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを意味します。
窃取の手段や方法は問いません。
窃盗罪の成立には、上の要件に加えて、主観的要件を満たす必要があります。
主観的要件として、故意の他に「不法領得の意思」が必要であるか否かには争いがあります。
故意については、「財物が他人の占有に属していること」と「その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識すること」が必要となります。
また「不法領得の意思」とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思」をいいます。(大判大4・5・21)
上記ケースのような侵入盗は、住居侵入等罪ならびに窃盗罪が成立すると考えられます。
そうすると、この2つの罪はどのような関係にあるのでしょうか。
侵入盗の場合、住居侵入盗罪と窃盗罪の牽連犯となります。
牽連犯とは、犯罪の手段もしくは結果である行為が、他の罪名に触れる場合をいいます。
住居侵入は、窃盗の手段であるからです。
この場合、その最も重い刑により処断することになりますので、法定刑が10年以下の懲役又は50万円以下の罰金である窃盗罪の刑により処断されることになります。
侵入盗は、人の住居や建物に忍び込み盗みを働いている点で犯行が悪質であると判断されるでしょう。
また、侵入盗を複数回行っている場合も、被害額も大きくなり、初犯であっても、公判請求され、有罪となれば実刑が言い渡される可能性もあります。
実刑を回避するには執行猶予付き判決を獲得する必要がありますが、そのためには被害者への被害弁償や示談締結、家族からの監督が期待できることや専門的な治療を受けていることなどといった再発防止のための環境が整っていることを、公判において客観的な証拠に基づき主張することが必要となります。
このような弁護活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。
ご家族が侵入盗で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
執行猶予中の窃盗
執行猶予中の窃盗
執行猶予中の窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県淡路市のスーパーで商品3点を万引きしたとして、主婦のAさんが兵庫県淡路警察署に逮捕されました。
家族が身元引受人となり、翌日釈放されましたが、Aさんは、窃盗での前科があり、犯行当時は執行猶予期間中でした。
Aさんは、どうにか実刑を免れたいと思っており、すがる思いで刑事事件専門の弁護士に相談しに行きました。
(フィクションです)
刑の全部の執行猶予の取消
刑の全部の執行猶予の言渡しを受けたにもかかわらず、その執行猶予が取り消される場合があります。
刑の全部の執行猶予の取消事由には、必要的取消事由と裁量的取消事由とがあります。
必要的取消事由
①猶予の期間中に更に罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
②猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
裁量的取消事由
①猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
②刑法第25条の2第1項(保護観察の付与)の規定により保護観察に付せられたものが遵守すべき事項を遵守せず、その事情が重いとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。
必要的取消事由に該当する場合には、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければなりません。
上記ケースの場合には、執行猶予期間中の万引きですので、この万引き(=窃盗罪)について刑の全部について執行猶予が言い渡されない限り、前の事件で言い渡された刑の執行猶予が取り消されてしまうことになります。
ですので、今回の事件においても、実刑を回避するためには、「再度の執行猶予」を獲得する必要があるのです。
再度の執行猶予
再度の執行猶予が認められる要件は、次の①から④の全てを満たす必要があります。
①以前に刑の全部の執行猶予が付された懲役または禁錮の判決を受けていること。
②執行猶予期間中に、1年以下の懲役または禁錮の判決を受ける場合であること。
③情状に特に酌量すべきものがあること。
④保護観察中に罪を犯したものではないこと。
再度の執行猶予に付すか否かは裁判官の裁量によりますので、上の要件全てを満たした場合であっても、必ずしも再度の執行猶予が付されるわけではありません。
また、執行猶予期間中に再び罪を犯しているのですから、反省が足りていないと考えられるでしょう。
ですので、再度の執行猶予が認められるのは、非常に限られたケースであると言えます。
万引きを繰り返しているケースでは、クレプトマニアである可能性もあります。
クレプトマニアとは、窃盗や万引きを止められずに繰り返してしまう精神疾患のひとつです。
お金がないから物を盗むのではなく、盗むことに快感を得るなど、利益目的ではない窃盗行為です。
クレプトマニアと診断された場合には、再犯を防止するため、医師による専門的な治療やクレプトマニアの方の更生を支援する団体からの支援等を受けることが重要です。
裁判では、再犯防止のためには刑罰ではなく専門の治療を受ける必要があることを特に酌量すべき事情として主張することになるでしょう。
万引きを繰り返し執行猶予期間中に再び万引きをしてしまいお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。
初回の法律相談は無料です。
薬物事件で執行猶予付き判決
薬物事件で執行猶予付き判決
薬物事件での執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県須磨警察署は、兵庫県神戸市須磨区に住むAさんがMDMAを自宅で所持していたとして、麻薬取締法違反(所持)の疑いでAさんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、薬物事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aさんはその後起訴され、公判では懲役1年執行猶予3年の判決が言い渡されました。
Aさんは、実刑判決を受けずに済んだことに感謝し、これからは心を入れ替え新しい人生を歩んでいくことを心に誓いました。
(フィクションです)
執行猶予とは
刑を言い渡すにあたり、犯情により一定の期間その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度を「執行猶予」といいます。
上記ケースでは、「懲役1年、執行猶予3年」が言い渡されたいますが、これは、刑の言渡しを受けてから3年間、罪を犯すことなく過ごすことができれば、この刑の言渡しそのものが無効となり、刑務所に行かなくてもよくなる、ということです。
「執行猶予期間中に罪を犯さないこと」を条件としていますので、この期間中に何らかの罪を犯し有罪となると、執行を猶予されていた刑も受けなくてはなりません。
執行猶予には、刑期全部の執行猶予と刑の一部執行猶予の2種類があります。
刑の全部執行猶予の要件
(1)初度の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
または、
(b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免 除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役もしくは禁錮または50年以下の罰金の言渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするにたりる事情があること。
(2)再度の場合
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
(ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間内に更に罪を犯した場合には、 執行を猶予することは許されません。)
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。
刑の一部執行猶予の要件
宣告刑の一部だけの執行を猶予する制度です。
例えば、「懲役2年に処する。その刑の一部である懲役4月の執行を2年間猶予する。」と言い渡されたとします。
この場合、まず、猶予されなかった1年8か月の懲役刑の執行を実際に受けて服役することになります。
服役後、猶予された4か月の執行猶予期間である2年間が始まり、この2年間を無事に経過すれば、4か月の懲役刑は執行されないことになります。
(1)初めて刑事施設に入所する者の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがない者
または
(b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者
あるいは、
(c)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除 を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐため必要であり 、かつ、相当であると認められること。
(2)薬物使用者の場合
①薬物使用等の罪を犯した者であること。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、刑事施設における処遇に引き続き社会内において規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められること。
以上のように、実刑を回避し、執行猶予となるためには満たすべき要件が設けられています。
裁判では、このような要件を被告人が満たしていることを客観的な証拠に基づいて主張する必要があります。
このような弁護活動は、薬物事件に詳しい刑事事件専門弁護士にご依頼されるのがよいでしょう。
ご家族が薬物事件で逮捕・起訴されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
盗撮事件で逮捕されるか不安
盗撮事件で逮捕されるか不安
盗撮事件で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県揖保郡太子町に住むAさんは、通勤に電車を利用しています。
ある日、通勤で利用する駅構内の階段で、若い女性のスカート内を持っていた自分のスマートフォンを差し入れて撮影しました。
Aさんは、そのような行為を度々していました。
ある日、盗撮行為をした人が駅の防犯カメラの映像で特定され逮捕されたというニュースを知り、自分もいつかは逮捕されるのか不安になり、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
逮捕とは
「○○事件で逮捕」「△△事件で現行犯逮捕」といったことをニュースでよく耳にします。
弊社の無料法律相談でも、「○○してしまったのだが、逮捕されるか不安だ」と来所される方は少なくありません。
それでは、そもそも「逮捕」とは何なのか、逮捕の要件とはどのようなものなのかについて説明したいと思います。
「逮捕」とは、被疑者に対して最初に行われる強制的な身柄拘束処分であって、法に定められた短期間の留置という効果を伴うものをいいます。
この「逮捕」には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3つの種類があります。
通常逮捕
逮捕状による逮捕を「通常逮捕」といいます。
通常逮捕の要件は、①逮捕の理由、および②逮捕の必要性である。
①逮捕の理由
逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、つまり、嫌疑の相当性のことをいいます。
②逮捕の必要性
逮捕の必要性とは、被疑者の逃亡・罪証隠滅のおそれをいいます。
逮捕状の請求を受けた裁判官が、逮捕の必要性について判断します。
一定の刑儀犯罪では、被疑者の住所不定や正当な理由のない出頭要求の無視の場合のみ逮捕の必要性が認められます。
緊急逮捕
緊急逮捕とは、一定の重大犯罪について、充分な嫌疑があり、急速を要する場合に、逮捕後「直ちに」逮捕状を求めることを条件に認められる無令状の逮捕をいいます。
緊急逮捕の要件は、次の通りです。
①一定の入内犯罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由
②急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないこと
③被逮捕者に逮捕の理由を告げること
④逮捕後「直ちに」逮捕状請求の手続を行うこと
⑤逮捕の必要性
現行犯逮捕
現行犯人に対して行われる無令状の逮捕を「現行犯逮捕」といいます。
「現行犯人」というのは、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者」です。
現行犯逮捕の要件は、①犯行と逮捕行為との時間的場所的密着性、②犯罪および犯人の明白性、そして、③逮捕の必要性です。
逮捕者の逮捕行為着手後、犯人追跡行為が継続していれば、数時間経過後であっても現行犯逮捕と言えます。
逮捕者が被逮捕者の犯行を現認する場合でなくても、現場の客観的・外部的状況に照らして犯行・犯人が明白な場合は、現認に準ずることができるとされます。
盗撮事件で逮捕されるケース
盗撮事件で逮捕されるケースは、現行犯逮捕や通常逮捕が多いでしょう。
特に、盗撮を行った直後に、被害者や目撃者に犯行を問い詰められ、身柄が確保され、そのまま駅員室や交番・警察署に連れていかれる現行犯逮捕が多く見受けられます。
また、盗撮行為に気づいた被害者が、警察に相談し、警察が現場付近の防犯カメラの映像から犯人を特定し、通常逮捕となることもあります。
しかし、捜査機関が犯人を特定した場合であっても、逮捕されず在宅のまま捜査が進むこともあります。
逮捕の必要性がないと判断される場合です。
容疑を認めており、素直に取調べに応じている、被害者との接点がない、家族の監督が期待できるなどの事情は、逮捕の必要性がないと判断する要素になるでしょう。
また、自首することで、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断され、逮捕されないこともあるので、自首するというのも逮捕を免れるひとつの選択肢になるでしょう。
盗撮事件を起こし逮捕されないか心配な方、ご家族が盗撮事件で逮捕されてしまいお困りの方は、盗撮事件も含めた刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
土下座強要で刑事事件
土下座強要で刑事事件
土下座強要での刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、友人Bと兵庫県神崎郡市川町にあるボーリング場にやってきました。
Aさんは、店員Vの接客態度が悪いと因縁をつけ、Vに「土下座して謝れ。」「土下座せんかったら、店のもん壊したるからな。」「もう、お前ここで働かれへんようにしたるからな。」などと怒鳴りつけ、店員Vに土下座して謝罪することを要求しました。
店員Vは、Aの態度に怯え、Aの要求通り土下座をしました。
翌日、ボーリング場の責任者は、事件を聞き、店員Vと共に兵庫県福崎警察署に相談し、被害届を提出しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
強要罪について
強要罪とは、暴行や脅迫を用いて、相手に義務のないことを行わせる犯罪です。
強要罪は、刑法第223条に以下のように規定されています。
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
行為
本条1項では、本人の「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用い」る場合、本条第2項では「親族の生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫」する場合について規定されています。
(1)「脅迫」
本罪の「脅迫」は、脅迫罪の実行行為としての脅迫と基本的に同じで、「恐怖心を生じさせる目的で、相手方またはその親族の生命、身体、自由、財産に対し、害を加えることを告知する」ことをいいます。
「害悪の告知」に関して、その告知内容は、相手方の対応および客観的状況から判断して、一般に人を畏怖させるにたりる程度のものであることが必要です。
(2)「暴行」
被害者が畏怖し、そのため行動の自由が侵害されるにたりる程度の有形力の行使であることが必要となります。
本罪は、相手方を畏怖させて、瑕疵ある意思を生じさせ、その意思に基づいておこなわせるという犯罪であるため、物理的強制力をもって機械的に行動させた場合には、本罪は成立しません。
暴行について、相手方を畏怖させるにたりる程度のものであることを要求しており、一定の場所にとどまる権利を有する者をその意思を無視して身体を運び出す行為は、有形力の行使であっても、本罪における「暴行」にはあたりません。
結果
(1)義務なき作為の強要
「義務のないことを行わせた」例として、子守の少女に水入りのバケツを数十分ないし数時間、胸のあたりまたは頭上に支持せしめた場合があります。
店員に土下座を強要する行為も、義務のなき作為の強要に当たります。
(2)権利実行の不作為の強要
「権利の行使を妨害」するというのは、例えば、告訴を断念させることがあげられます。
故意
本罪の故意は、暴行または脅迫をもって人に義務のないことをおこなわせ、またはおこなうべき権利を妨害することの認識・予見です。
上記ケースでは、Aさんが店員Vさんに対して、「土下座しろ。」「土下座せんかったら、店のもん壊したるからな。」「もう、お前ここで働かれへんようにしたるからな。」と、Vさんの生命・身体・自由に対して害を加える旨を告知しており、この行為は「脅迫」に該当するでしょう。
脅迫を用いて、Aさんは店員Vさんに対し、「土下座」という義務のない作為を強要しており、実際にVさんは土下座しているので、Aさんに対する強要罪は成立するものと考えられます。
強要事件における弁護活動
強要事件のように、被害者がいる事件については、被害者との示談成立の有無が、最終的な処分に大きく影響します。
強要罪は、親告罪ではありませんので、被害者との示談が成立したからといって、必ずしも検察官が起訴しないとは限りません。
しかし、被害者との示談が成立しており、被害者も被疑者に対して処罰を望んでいない場合には、不起訴処分となる可能性は高いと言えるでしょう。
ですので、強要事件では、まず被害者との示談交渉を開始する必要があります。
ただし、被疑者が直接被害者と連絡をとり、示談交渉を行うことはお勧めしません。
被害者が被疑者に連絡先を教えることは稀ですし、当事者間で交渉すると、感情論的になり交渉がうまく進まないことが多いからです。
そこで、示談交渉は弁護士に依頼するのが一般的です。
弁護士であれば、粘り強く被害者との示談交渉を行うことができ、相場の金額で示談を成立させることが期待できます。
兵庫県の強要事件でお困りの方、被害者の方と示談交渉をしたいがどうしたらよいか分からずお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお電話ください。
窃盗事件で審判不開始
窃盗事件で審判不開始
窃盗事件での審判不開始について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県宍粟市に住むAさん(15歳)は、市内のコンビニさんで商品を万引きしたとして、店員に呼び止められました。
Aさんは、通報を受けて兵庫県宍粟警察署から駆け付けた警察官に現行犯逮捕されました。
警察で取調べを受けたAさんは、両親が身元引受人となり、釈放されました。
後日、今後どのような処分を受けることになるのか不安になり、少年事件に強い弁護士に相談し、弁護を依頼することになりました。
(フィクションです)
終局決定の種類
家庭裁判所が少年保護事件について行う決定には、事件自体について判断し、最終的な少年の処分を決定する終局決定と、終局決定前の中間的な措置としてなされる中間決定とがあります。
終局決定としては、次の5種類があります。
①審判不開始
②不処分
③保護処分
(ア)保護観察
(イ)児童自立支援施設又は児童養護施設送致
(ウ)少年印送致
④検察官送致
⑤知事又は児童相談所長送致
審判不開始
家庭裁判所は、調査を行った結果、審判に付することができず、又は審判に付することが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければなりません。
この決定を「審判不開始決定」といいます。
審判不開始決定は、調査の結果に基づいてなされる決定であり、その要件は、審判に付することができないとき、及び審判に付するのが相当でないときです。
(1)審判に付するのが相当でないとき
審判に付するべき事由はあるけれども、少年に要保護性の存在する蓋然性が認めらず、裁判官による直接の審理を必要としないため、審判を行う必要性がない場合をいいます。
つまり、上の②~⑤のいすれの処分も必要がない場合に限られます。
(2)審判に付することができないとき
法律上または事実上、審判を行うことができない場合をいいます。
これは、次の3つに分けられます。
・非行なし
非行事実の存在の蓋然性が認められないときで、これは、少年の行為が非行構成要件に該当せず 、非行として成立しない場合と、証拠上、非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合を指し ます。
・所在不明等
調査・審判を行うことが法律上又は事実上不可能であると認められる場合で、少年の心神喪失、 死亡、所在不明、疾病、海外居住等の場合です。
・その他
審判不開始をめざす活動
審判不開始を目指す場合、付添人である弁護士は、捜査段階から弁護人として活動していたのであれば、それまでの弁護活動の成果を早期に裁判所に伝え、審判不開始を求める意見書を提出するなどの活動を行います。
例えば、事件後すぐに、被害者に謝罪と被害弁償、示談ができていることや、少年が自身の行為を振り返りしっかりと反省できていること、保護者や学校の監督が期待でき、カウンセリング等を受けており更生に向けた環境が整っていることなど、少年に要保護性がないことを主張します。
家庭裁判所の調査や付添人である弁護士の活動の結果、少年への教育的な働きかけにより、要保護性が解消された場合、あえて審判を行う必要はなく、審判不開始となる可能性があります。
このような活動を依頼するのは、少年事件に精通した弁護士がよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
少年の更生のため、少年一人ひとりに適した弁護活動、付添人活動を行えるよう尽力します。
お子様が事件を起こしてしまった、家庭裁判所に送致されたがどのような処分を受けるのか不安だ、とお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。
少年事件と観護措置
少年事件と観護措置
少年事件と観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県高砂市に住む中学生のAくん(14歳)は、路上で帰宅途中の女性に痴漢行為をしたとして兵庫県高砂警察署に逮捕されました。
Aくんの両親が身元引受人となり、Aくんは釈放されました。
Aくんには余罪が複数あり、在宅事件として捜査が進められていましたが、事件が神戸家庭裁判所姫路支部に送致されると、観護措置をとるとの決定がなされ、Aくんは神戸少年鑑別所に収容されることになりました。
Aくんの両親は不安になり、慌てて少年事件に詳しい弁護士に相談しました。
(フィクションです)
観護措置について
観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、少年の心身の鑑別をしたり、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置をいいます。
観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する措置(在宅観護)と、少年鑑別所に送致する措置(収容観護)の2種類があります。
実務上、在宅観護はほとんどとられておらず、「観護措置」は収容観護を意味するものとなっています。
ここでも、収容観護である「観護措置」について説明します。
少年鑑別所は、観護措置により送致された者を収容し、医学・心理学・教育学・社会学その他の専門的知識及び技術に基づいて、少年の鑑別を行うとともに、必要な観護処遇等を行うための施設です。
観護措置の要件
観護措置は、家庭裁判所が、適正妥当な調査・審判を行うために少年の身柄を保全する措置であり、家庭裁判所が職権で行うものです。
観護措置がいかなる場合にとり得るかについては、少年法17条1項に「審判を行うため必要があるとき」と規定されていますが、実務上は、以下の要件が必要であるといわれています。
①審判条件があること
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること
③審判を行う蓋然性があること
④観護措置の必要性が認められること
④については、次の事由のうち、いずれかの事由が存在すれば足りるとされます。
・調査・審判・決定の執行を円滑かつ確実に行うため、少年の身柄を確保する必要があること。
住所不定、罪証隠滅や逃亡のおそれがある場合など。
・緊急的に少年の保護が必要であること。
自殺、自傷のおそれがある場合や、家庭環境が劣悪で、家庭から虐待され又は悪影響を受けるおそれのある場合など。
・少年を収容して心身鑑別をする必要があること。
観護措置は、家庭裁判所に事件が係属中であれば、いつでもとることができます。
つまり、家庭裁判所が事件を受理したときから終局決定がなされるまでの間です。
捜査段階で、逮捕・勾留により身柄が拘束されていた少年の場合、事件が家庭裁判所に送致されたときに観護措置をとることが多くなっています。
また、勾留に代わる観護措置がとられている事件が家庭裁判所に送致された場合には、その措置は観護措置とみなされ、観護措置として存続することになります。
ただし、捜査段階で在宅事件として捜査が進められていたとしても、事件が家庭裁判所に送致され、調査や審判中に観護措置をとる必要性が判明した場合には、観護措置がとられることもあります。
収容期間
観護措置により少年を少年鑑別所に収容する期間は、2週間を超えることができないと少年法により定められています。
特に継続の必要がある場合には、決定をもって、これを更新することができるものとされています。
つまり、観護措置の期間は、原則2週間で、特に必要があるときに限って更新することができるものとされます。
しかし、実務上は、少年鑑別所で行われる行動観察や心身鑑別に相当の日時を要するため、通常の事件についても1回の更新をする扱いがなされています。
観護措置は、少年を長期間少年鑑別所に収容することになり、その間学校や職場に行くことは出来ないため、少年の社会復帰の妨げとなるおそれもあります。
そのため、不必要な観護措置がとられることがないよう付添人である弁護士は、観護措置回避や異議申立て、取消請求を行います。
しかし、観護措置は、少年の心情の安定に配慮しつつ、少年の身体の安全を確保する措置であるので、単に身体を拘束するだけでなく、少年の心身の鑑別も行われることから、少年の更生に資するというメリットもあります。
ですので、どのような対応が、少年の更生に適するのか、少年事件に豊富な経験を持つ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
あなたのお子様が、事件を起こし、逮捕された、家庭裁判所に送致された、観護措置がとられたとお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。
(神戸少年鑑別所までの初回接見費用:35,500円)
窃盗事件で逮捕
窃盗事件で逮捕
窃盗事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県美方郡香美町の民家に侵入し、現金300万円と宝石類を盗んだ疑いで、県内に住むAさんとBさんは兵庫県美方警察署に窃盗容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、警察から事件の詳細について教えてもらえず、Aさんと会うこともできず困っていました。
そんな時、知人から弁護士に相談することを提案された、Aさんの家族は、慌ててネットで検索した刑事事件専門の弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)
窃盗事件で逮捕されたら
あなたが、犯罪を犯し、警察に逮捕されたとしましょう。
あなたは、警察署内の留置場で身体拘束をうけることになります。
逮捕から48時間以内に警察は、あなたを釈放するか、それとも検察に送致するかを決めます。
警察が、あなたの身柄を事件の証拠物などと共に検察に引き継ぐことを「送致」といいます。
検察官は、あなたの身柄を受けてから24時間以内に、あなたを引き続き身体拘束するかどうかを判断します。
被疑者または被告人を拘禁する裁判および執行を「勾留」といいます。
勾留には、起訴前勾留と起訴後勾留とがありますが、ここでは起訴前勾留について説明します。
裁判官が勾留請求しない場合には、あなたは釈放されます。
勾留の要件は、(1)犯罪の嫌疑、(2)勾留の理由、および、(3)勾留の必要性があることです。
(1)犯罪の嫌疑
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がなければなりません。
身体拘束をする上で、犯罪を行ったことを裏付ける事実が必要となります。
しかし、勾留段階では、すべての証拠がそろっていることはなく、ここで要求されている嫌疑の程度は、それほど高いものではありません。
(2)勾留の理由
以下のうち、どれか一つに該当している必要があります。
①定まった住所を有しないとき。
②罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
③逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
(3)勾留の必要性
嫌疑及び勾留の理由がある場合であっても、被疑者を勾留することにより得られる利益と、これにより生ずる不利益とを比較し、権衡を失するときは、被疑者を勾留することは許されません。
以上の要件に該当すると判断した場合には、検察官は勾留請求をします。
勾留請求前の段階で、あなたは、弁護人に依頼し、勾留の要件に該当しないことを示す証拠を収集し、検察官に提出してもらうことで、勾留請求しないよう検察官に働きかけることができます。
検察官が勾留請求をすると、あなたの身柄は裁判所に移され、裁判官はあなたと面会し、事件についてあなたの反論・弁明を聞いた上で、あなたを勾留するかどうかを判断します。
裁判官が、勾留の要件を満たしていると判断した場合には、勾留決定を出します。
勾留が決定する前に、弁護人に依頼し、裁判官に対して勾留決定しないよう、勾留要件を満たさないことを示す証拠を裁判官に提出するなど、働きかけを行うことにより、勾留阻止の可能性を高めることができます。
勾留が決定すると、あなたは、検察官が勾留請求した日から10日間、必要があれば勾留延長され、最大で20日間勾留されます。
ただし、勾留決定に対しては、裁判官に対し不服申立てを行うことができます。
不服申立てを受けた裁判官が、あなたは勾留の要件を満たしていないと判断すれば、勾留決定を取消し、あなたを釈放することになります。
勾留されると、長期間の身体拘束を受けることになり、それによって生じる不利益は小さくはありません。
もし、あなたの家族が刑事事件で逮捕されてしまったのであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
刑事事件専門弁護士が、逮捕されている方のもとへ赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
刑事事件専門の私選弁護人
刑事事件専門の私選弁護人
刑事事件専門の私選弁護人を選任するメリット・デメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
車を運転していたAさんは、兵庫県相生市の交差点で人身事故を起こしてしまいました。
Aさんは、飲酒していたことがバレると思い、怖くなって、そのまま現場から離れました。
しかし、翌日、兵庫県相生警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんを過失運転致傷および道路交通法違反の容疑で逮捕しました。
Aさんの家族は、すぐに刑事事件に強い弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)
刑事手続における弁護人の役割
刑事手続は、個々の犯罪に関し犯人の処罰について判断するために設けられた一連の手続です。
この刑事手続には、多くの者が関与しています。
Aさんは、過失運転致傷罪および道路交通法違反の容疑で捜査の対象となっており、「被疑者」として刑事手続における権利・義務の主体となっています。
今後、Aさんは、警察や検察といった捜査機関から取調べを受け、検察官が勾留請求をした場合には、裁判所により勾留の判断がなされることになります。
更に、起訴された場合には、Aさんは裁判を受けることになり、有罪となれば刑罰が科されることになります。
このような手続において、被疑者、或いは、被告人は、自らを法的に防御し、正当に権利を行使し、正当な利益を擁護する必要があります。
しかしながら、現実において、一般市民である被疑者・被告人が、警察や検察官といった捜査機関と比べると、その立場は圧倒的に弱いと言えます。
そこで、刑事手続において、被疑者・被告人の権利を正当に行使し、正当な利益を擁護する「弁護人」の活動が重視されます。
憲法第34条前段は、身柄の拘束を受けている者に対し、憲法第37条3項は、被告人に対して、弁護人依頼権を保障しています。
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
刑事訴訟法は、全ての被疑者・被告人に対し弁護人選任権を保障しています。
第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
弁護人の資格として「弁護士」であることが必要とされますが、地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所では、裁判所の許可を受けて、弁護士でない者を弁護人に選任することもできます。
弁護人は、選任方式の違いにより、「私選弁護人」と「国選弁護人」とに区別されます。
私選弁護人
被疑者・被告人、および一定の関係人が選任した弁護人です。
被疑者・被告人が、自ら弁護士を選び、弁護人として選任しますので、自分に合った弁護士を弁護人として選任できるメリットがあります。
医者にも内科医や外科医がいるように、弁護士にもある特定の分野に特化していることが多く、刑事事件専門の弁護士であれば、適切かつ迅速に対応してくれることが期待できます。
一方、デメリットとしては、弁護士費用を自己負担しなければなりませんので、費用面で工面することが出来ない場合には、国選弁護人を検討されるのもオプションのひとつです。
国選弁護人
裁判所、裁判長または裁判官が選任する弁護人です。
国選弁護人は、「被告人国選弁護」と「被疑者国選弁護」の2つの制度によって就任する弁護人です。
(1)被疑者国選弁護
被疑者に対して勾留状が発せられている場合で、被疑者が貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときには、裁判官に対し、国選弁護人の選任を請求することができます。
(2)被告人国選弁護
被告人は、貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判所に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができます。
国選弁護人は、費用を国が負担してくれるので、経済面でメリットが大きいのですが、必ずしも刑事事件に詳しい弁護士が選任されるわけではありません。
また、被疑者段階では、勾留前から選任することは出来ませんので、逮捕後すぐに勾留阻止を目指した活動を依頼することはできません。
私選弁護人、国選弁護人ともにメリット・デメリットがあります。
ご自身やご家族が信頼することができる弁護士を選任することが何よりも重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、0102-631-881まで。
特殊詐欺における共犯③
特殊詐欺における共犯③
特殊詐欺における共犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、ギャンブルでできた借金の返済に苦労していました。
SNSで「高額アルバイト」で検索すると、「荷物を受け取るだけの高額アルバイト」がヒットしました。
掲載してあった連絡先に問い合わせると、Bと名乗る男が出て、「指定された場所に行ってキャッシュカードを受け取り、現金を引き出すだけ」の内容だと言われました。
Aさんは携帯電話でBと連絡をとり、指定された通りに動きました。
指定された場所に赴く際にはスーツを着用すること、銀行協会の○○だと名乗ることなどが指示されました。
Aさんは、受け取ったキャッシュカードでATMから現金を引き出し、自分の取り分を取った残額とキャッシュカードを指定されたコインロッカーに入れました。
このようなことを3~4回繰り返していましたが、ある日、いつものようにBからの指示通りに兵庫県川辺郡猪名川町にある家を訪問した際に、待機していた兵庫県川西警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです)
特殊詐欺と共犯~幇助犯~
前回は、「受け子」として特殊詐欺にかかわった場合に「共同正犯」として正犯として刑事責任が問われる可能性があることを説明しました。
今回は、詐欺罪の「幇助犯」について見ていきたいと思います。
幇助
刑法第62条
1 正犯を幇助した者は、従犯とする。
幇助犯とは、「正犯を幇助した者」のことをいいます。
幇助は、正犯に物的・精神的な支援や援助を与えることにより、その実行行為の遂行を促進し、構成要件該当事実の惹起を促進することを意味します。
つまり、幇助犯が成立するためには、
①幇助者が「正犯を幇助」し、
②被幇助者が犯罪を実行したこと、
が必要となります。
①正犯を幇助すること
幇助犯の成立要件である「正犯を幇助した」と言えるか否かは、「幇助行為の存否」という客観面の検討、並びに、「幇助の故意の有無」という主観面の検討が必要とされています。
(ア)幇助行為
幇助行為は、犯罪の実行を容易にするものでれば、凶器を渡すなどの物理的方法であること、激励するなどの精神的方法であることを問いません。
(イ)幇助の故意
幇助の故意の内容については、争いがありますが、正犯の犯罪行為を容易にしているという認識・容認と、幇助行為の結果被幇助者が犯罪の結果を発生させることを認識・容認していたことも必要とする立場もあります。
②被幇助者が犯罪を実行したこと
幇助者が正犯を幇助し、それに基づき、正犯が犯罪を実行行為したことが必要です。
「幇助の未遂」とは、幇助行為は行われたけれども、正犯が実行の着手に至らなかった場合をいい、被幇助者が実行行為に出たがその犯罪が未遂に終わった場合を「未遂犯の幇助」といいます。
前者は不可罰となり、後者は処罰されます。
共同正犯と幇助犯の区別
「共同正犯」と「幇助犯」の区別は、一般的に、「特定の犯罪を自己の犯罪として実現する意思がある」か、あるいは、「他人の犯罪を手助けする意思がある」にすぎないのか、です。
これらの意思は、主観的なものであり、犯罪の動機、犯罪から得る利益、犯罪までの経緯、正犯者との関係性、犯罪への主体的関与の程度、担った役割の重要性などの事情を考慮して判断されます。
「受け子」についてみれば、例えば、正犯から脅されて特殊詐欺に関与した場合には、自己の犯罪を実現する意思がなかったと判断され、幇助犯が成立する可能性がありますが、特殊詐欺と認識・容認しつつ、小遣い稼ぎのために加担した場合には、自己の犯罪を実現する意思があったと判断され、共同正犯となるでしょう。
共同正犯は正犯として扱われますので、起訴され有罪判決を受けると、詐欺罪の法定刑である10年以下の懲役の範囲内で刑が言い渡されます。
一方、幇助犯で起訴され有罪判決を受けた場合には、5年以下の懲役の範囲内で刑が言い渡されます。
ご家族が特殊詐欺の受け子として詐欺事件に加担してしまい逮捕されてお困りであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
ご本人様が逮捕されている場合には、刑事事件専門弁護士が留置先に赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。