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覚せい剤事件における弁護活動

2019-04-14

覚せい剤事件における弁護活動

覚せい剤事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県姫路市に住むAさんは、ある日突然兵庫県姫路警察署の警察官による家宅捜索を受け、その後、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されました。
Aさんは罪を認めていますが、今後どのような処分を受けるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)

覚せい剤取締法違反

覚せい剤取締法は、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関する取締りについて定めています。

覚せい剤取締法14条は、覚せい剤製造業者等の一定の資格を有する者が所持する場合等を除き、覚せい剤の所持を禁止しています。
ここでいう「所持」は、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうものであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)
つまりは、「覚せい剤を自己の支配内に置く行為」が「所持」にあたるというわけです。
判例によれば、以下の場合にも「所持」が認められると判示しています。
・物理的に把持する必要はなく、その存在を認識して管理し得る状態にある場合。
・直接所持しなくてもよく、他人の行為を介して自己の所持を実現したと認められる場合。
・比較的短時間の携行にすぎない場合。
また、所持罪が成立するためには、故意、つまり、覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していることが必要です。
積極的に覚せい剤を自己または他人のために保管する意思や、自己使用または第三者に使用させる意思などは必要とされず、その動機や目的、態様の如何を問いません。
ですので、覚せい剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けばそれだけで所持罪は成立することとなります。
「知人が勝手に置いて行ったので仕方なく保管していただけだ」と主張したとしても、置いて行ったものが覚せい剤だと認識しており、それでも自己の支配内に置いていたのであれば、所持罪の罪に問われ得るのです。

覚せい剤事件における弁護活動

覚せい剤事件で逮捕された場合、そのご勾留がなされ長期の身体拘束となるケースがほとんどです。
覚せい剤のような薬物事件では、共犯者がいることを疑われる場合には、接見禁止が付されることがあります。
接見禁止となると、弁護士以外の者と面会できなくなります。
このような場合、弁護人である弁護士は、被疑者の家族は事件に無関係であることを主張し、家族との面会を許可してもうえるよう接見禁止一部解除申立てを行います。
また、起訴後には保釈請求を行い、身柄解放活動を行います。
覚せい剤の所持や使用は、初犯であり、犯罪事実を認めている場合には、執行猶予がつく可能性があります。
一方、執行猶予中の再犯は実刑となる可能性が高いと言えます。
覚せい剤の被疑者・被告人は、薬物の依存症となっている場合が多く、治療やカウンセリングにつなげ、薬物をやめられる環境をつくることが大切です。
保釈された段階から、治療やカウンセリングを開始し、公判では既に専門的治療を受けており再犯防止の環境が整っている旨を主張することにより、社会内での更生が期待できると裁判官に判断してもらうことで執行猶予が獲得できる可能性が高まるでしょう。

ご家族が覚せい剤事件で逮捕されお困りであれば、薬物事件も数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
ご家族が逮捕されている場合には、弊所の弁護士が留置先に赴き直接接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡を。
兵庫県姫路警察署までの初回接見費用:39,900円)

刑事事件と前科前歴

2019-04-13

刑事事件と前科前歴

前科前歴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、電車で通勤しています。
ある日、会社の飲み会の帰りに電車に乗ったAさんは、隣に座っている女性が眠っているのをいいことに女性の太ももを触るなどしました。
Aさんが電車を降りる際に、女性から「触りましたよね。駅員室に行きましょう」と言われ、そのまま駅員室に連れて行かれました。
Aさんは、駆け付けた兵庫県甲子園警察署の警察官に逮捕され、翌日の夕方に釈放となりました。
Aさんは、前科が付くことは避けたいと思っています。
(フィクションです)

前科とは~前科と前歴の違い~

前科」という言葉は、正確な法律用語ではなく、通俗的に使用されているものですので、その意味は必ずしも明らかではありません。
しかし、一般的には、「前に刑に処せられた事実」を「前科」といいます。
「前に刑に処せられた」とは、全ての有罪の確定判決をいい、その刑が死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料である場合だけでなく、刑の免除、刑の執行免除が言い渡された場合も含みます。

一方、「前科」と似た言葉に「前歴」というものがあります。
前歴」は、「前科」も含めたより広い概念であり、警察や検察などの捜査機関により被害者として捜査対象となった事実を意味します。
不起訴となった場合にも、「前歴」はつくことになります。

前科」と「前歴」の最も大きな違いは、「有罪判決を受けたかどうか」という点です。

前科が及ぼす影響は?

前科が付くことで、就職や結婚など日常生活に何らかの支障が出ることは否定できません。
しかし、そのような事実上の不利益の他に、前科は、法律上においても一定の不利益をもたらすことになります。
例えば、以下のような不利益が挙げられます。
・執行猶予に付し得ない事由(刑法25条、27条の6)
・執行猶予の取消事由(刑法26条、26条の2、26条の3、27条の4、27条の6)
・再犯加重の事由(刑法56条、59条)
・仮釈放の取消事由(刑法29条1項)
・常習犯の認定事由(刑法186条、暴力行為等処罰二関スル法律1条ノ3、2条、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条ないし4条)
・必要的保釈を消極とする事由(刑事訴訟法89条2号、3号)
・特定の法令が定める資格制限事由

資格制限事由は、個人が特定の職業や地位に就いたり、特定の営業活動等を行う場合に、法律が前科の存在を理由としてこれらの資格に就くことを制限するものです。
例えば、国家公務員や地方公務員については、執行猶予を含む禁固以上の刑に処せられた者は、刑の執行を終わり又はその執行を受けることがなくなるまでの公務員となる資格を有することができず、在職中にこれらの刑の言渡しを受けた者は、自動的にその地位を失うことになります。(国家公務員法38条2号、4号、地方公務員法16条2号、4号)

このような不利益を受けないためにも、前科が付くことを回避することが重要でしょう。
それでは、どのように前科が付くのを回避するのでしょうか。

先述しましたが、「有罪判決を受けた事実」が前科ですので、有罪判決を受けなければ前科が付くことはありません。
ですので、無罪判決を勝ち取れば言い訳ですが、日本の有罪率は99.9%と言われており、一度起訴されると無罪となるのは非常に厳しいと言えるでしょう。
逆に言えば、検察官は確実に有罪を立証できる証拠がなければ、起訴しないと言えるでしょう。
なので、確実に前科を付けないようにするためには、起訴されないこと、つまり、不起訴となることが重要です。
不起訴にもその理由により様々な種類に分けられますが、罪を認めている場合には、起訴猶予を目指すことになります。
「起訴猶予」とは、被疑事実が明白であり、起訴をすれば有罪となることは確実であるけれども、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重や情状、そして被害者と示談が成立しているなどの事情を考慮し起訴しないとする処分です。
痴漢事件の場合には、被害者がいる事件ですので、早期に弁護士に示談交渉を依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
これまでも痴漢事件を含め数多くの刑事事件において不起訴を獲得し前科回避に成功した実績があります。
刑事事件を起こし、前科がつなかいか心配されているのであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。
初回の法律相談無料です。
お問い合わせ、無料法律相談のご予約は、フリーダイアル0120-631-881まで。

少年逮捕で弁護士が接見

2019-04-12

少年逮捕で弁護士が接見

少年逮捕された場合の弁護士接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市垂水区に住む高校生のAさんは、大麻を所持していたとして兵庫県垂水警察署に大麻取締法違反の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、Aさんとの面会を警察に求めましたが、逮捕段階では面会できないと言われました。
事件の詳細も分からず、Aさんのことも心配でならない両親は、藁にも縋る想いでネットで少年事件に強い弁護士を探し、接見を依頼しました。
(フィクションです)

少年が逮捕されたら

少年逮捕された後の流れは、基本的に成人の刑事事件と同じです。
逮捕されてから48時間以内に、警察は少年を釈放するか検察に送致するかを判断します。
検察に送致する場合、検察官は少年から話を聞いた上で、検察官は少年の身柄を受けてから24時間以内に少年を釈放するか勾留請求をするかを決定します。
検察官が勾留請求すると、今度は裁判官が少年と面談し、少年を釈放するか勾留するかを決めます。
勾留決定がなされると、検察官が勾留請求した日から10日間、勾留延長がなされると最大で20日間身柄が拘束されることになります。

少年の場合、長期の身体拘束は、少年の心身に過度に負担を強いるものであり、退学や解雇となると少年の更生に大きな不利益を及ぼすおそれがあります。
そのため、少年法も、少年の勾留については、①勾留についての特則や、②勾留に代わる観護措置の制度を設けています。

①勾留に関する特則(勾留の要件、勾留場所、勾留の裁判をする裁判所)
少年を勾留するときには、成人と同様の勾留要件を満たしていることに加え、「やむを得ない場合」でなければ勾留をすることができないと定められています。(少年法43条3項、48条)
勾留場所については、少年鑑別所とすることもできますし、少年を警察留置施設で勾留する場合であっても、少年を成人と同じ留置施設に勾留することには様々な悪影響があるため、成人とは分離されます。
少年を勾留する要件に「やむを得ない場合」が設けられていますが、実務上はこれは非常に緩やかに解釈されており、多くのケースで少年の勾留が認められています。

②勾留に代わる観護措置
少年の場合には、勾留に代わる観護措置の制度が設けられており、検察官は、刑事訴訟法上の勾留要件を満たすと判断した場合であっても、裁判官に対して勾留に代わる観護措置を請求することができます。
勾留に代わる観護措置は、以下の3つの点で勾留とは異なります。
少年鑑別所収容の観護措置の他に、家庭裁判所の調査官による観護の方法もとることができます。
・勾留は延長することができますが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日間で、延長することはできません。
・勾留に代わる観護措置がとして少年鑑別所収容がとられた事件が家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。

弁護士との接見

少年は、心身共に未発達であるため、逮捕により身体拘束を受けることで、心身両面への大きな負担となることも多いと言えます。
また、取調べに対しても、取調官の誘導にのったり、少年の意に反した供述調書が作成されてしまいやすいでしょう。
ですので、弁護士接見し、少年の意に反した供述調書が作成されないように、取調べ対応について適切なアドバイスをもらうことは重要です。
加えて、弁護士から手続の流れや処分見通しなどを詳しく丁寧な説明を受けることで、精神的にも安心することができるでしょう。
特に、逮捕から勾留までの間は、原則として少年の家族であっても少年と面会することはできませんので、早期の段階で弁護士接見を依頼することをお勧めします。
接見を依頼する弁護士は、刑事事件だけでなく少年事件にも精通した弁護士がよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所にご相談ください。
少年事件・刑事事件を専門とする弁護士が、留置先に赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。
兵庫県垂水警察署までの初回接見費用:37,800円)

侵入盗で逮捕

2019-04-11

侵入盗で逮捕

侵入盗逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県丹波市内で夜間や住人が留守にしている日中に住宅に侵入し現金やクレジットカードなどを盗む侵入盗が多発していました。
これを受けて、兵庫県丹波警察署は、巡回などの警備を強化していました。
防犯カメラの映像から身元が判明し、同署は、県内に住むAさんとBさんを窃盗と住居侵入の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)

侵入盗で成立し得る犯罪

人の住居や建物に忍び込み金品を盗む犯罪を「侵入盗」といいます。
その手口により、「空き巣」「居空き」「金庫破り」「事務所荒らし」などと呼ばれます。
兵庫県警察のデータによれば、平成30年度中の侵入盗の認知件数は2,741件、検挙件数は1,514件となっています。

侵入盗を行った場合、「住居侵入等罪」や「窃盗罪」に問われる可能性があります。

住居侵入等罪

まず、人の住居や建物に勝手に忍び込んだ行為については、「住居侵入等罪」が成立する可能性があります。

第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

住居侵入等罪の客体は、「人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船」です。
「人の住居」とは、犯人がその住居において単独で、あるいは他の者と共同で生活を営んでいるものではない住居のことを指します。
共同生活を営んでいた者であっても、それから離脱した場合には、その住居は「人」の住居となります。
例えば、家出中の子供が実父の家に強盗目的で深夜に侵入する行為は、住居侵入罪を構成することになります。
ここでいう「住居」というのは、人の起臥寝食に使用される場所で、旅館やホテルなどの客室に関しても、その利用が短時間であっても、起臥寝食に使用されるものである限り「住居」にあたると解されます。(名古屋高判昭26・3・3)
また、「人の看守する邸宅・建造物・艦船」についてですが、「人の看守する」とは「人が事実上管理・支配している」を意味し、「邸宅」は「人の住居の用に供せられる家屋に付属し、主として住居者の利用に供されるために区画された場所」をいい、「建造物」とは、住居・邸宅以外の建造物およびこの付属地も含みます。
「艦船」は、軍艦その他の船舶をいいます。

そして、住居侵入盗の行為は、「正当な理由がないのに侵入すること」です。
「侵入」の意義については、住居者や看守者の意思に反して立ち入ることであると解されます。
「正当な理由がないのに」とは、「違法に」という意味です。

窃盗罪

次に、人の者を盗むという行為については、「窃盗罪」に問われ得ます。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、他人の財物を窃取するこ犯罪です。
窃盗罪の客体である「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物であり、自己の財物であっても他人の占有に属し、または公務所の命令によって他人が看守しているものは他人の財物とみなされます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを意味します。
窃取の手段や方法は問いません。
窃盗罪の成立には、上の要件に加えて、主観的要件を満たす必要があります。
主観的要件として、故意の他に「不法領得の意思」が必要であるか否かには争いがあります。
故意については、「財物が他人の占有に属していること」と「その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識すること」が必要となります。
また「不法領得の意思」とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思」をいいます。(大判大4・5・21)

上記ケースのような侵入盗は、住居侵入等罪ならびに窃盗罪が成立すると考えられます。
そうすると、この2つの罪はどのような関係にあるのでしょうか。
侵入盗の場合、住居侵入盗罪と窃盗罪の牽連犯となります。
牽連犯とは、犯罪の手段もしくは結果である行為が、他の罪名に触れる場合をいいます。
住居侵入は、窃盗の手段であるからです。
この場合、その最も重い刑により処断することになりますので、法定刑が10年以下の懲役又は50万円以下の罰金である窃盗罪の刑により処断されることになります。

侵入盗は、人の住居や建物に忍び込み盗みを働いている点で犯行が悪質であると判断されるでしょう。
また、侵入盗を複数回行っている場合も、被害額も大きくなり、初犯であっても、公判請求され、有罪となれば実刑が言い渡される可能性もあります。
実刑を回避するには執行猶予付き判決を獲得する必要がありますが、そのためには被害者への被害弁償や示談締結、家族からの監督が期待できることや専門的な治療を受けていることなどといった再発防止のための環境が整っていることを、公判において客観的な証拠に基づき主張することが必要となります。
このような弁護活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

ご家族が侵入盗逮捕されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

執行猶予中の窃盗

2019-04-10

執行猶予中の窃盗

執行猶予中窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県淡路市のスーパーで商品3点を万引きしたとして、主婦のAさんが兵庫県淡路警察署に逮捕されました。
家族が身元引受人となり、翌日釈放されましたが、Aさんは、窃盗での前科があり、犯行当時は執行猶予期間中でした。
Aさんは、どうにか実刑を免れたいと思っており、すがる思いで刑事事件専門の弁護士に相談しに行きました。
(フィクションです)

刑の全部の執行猶予の取消

刑の全部の執行猶予の言渡しを受けたにもかかわらず、その執行猶予が取り消される場合があります。
刑の全部の執行猶予の取消事由には、必要的取消事由と裁量的取消事由とがあります。

必要的取消事由
①猶予の期間中に更に罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
②猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

裁量的取消事由
①猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
②刑法第25条の2第1項(保護観察の付与)の規定により保護観察に付せられたものが遵守すべき事項を遵守せず、その事情が重いとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。

必要的取消事由に該当する場合には、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければなりません。
上記ケースの場合には、執行猶予期間中の万引きですので、この万引き(=窃盗罪)について刑の全部について執行猶予が言い渡されない限り、前の事件で言い渡された刑の執行猶予が取り消されてしまうことになります。
ですので、今回の事件においても、実刑を回避するためには、「再度の執行猶予」を獲得する必要があるのです。

再度の執行猶予

再度の執行猶予が認められる要件は、次の①から④の全てを満たす必要があります。
①以前に刑の全部の執行猶予が付された懲役または禁錮の判決を受けていること。
執行猶予期間中に、1年以下の懲役または禁錮の判決を受ける場合であること。
③情状に特に酌量すべきものがあること。
④保護観察中に罪を犯したものではないこと。
再度の執行猶予に付すか否かは裁判官の裁量によりますので、上の要件全てを満たした場合であっても、必ずしも再度の執行猶予が付されるわけではありません。
また、執行猶予期間中に再び罪を犯しているのですから、反省が足りていないと考えられるでしょう。
ですので、再度の執行猶予が認められるのは、非常に限られたケースであると言えます。

万引きを繰り返しているケースでは、クレプトマニアである可能性もあります。
クレプトマニアとは、窃盗や万引きを止められずに繰り返してしまう精神疾患のひとつです。
お金がないから物を盗むのではなく、盗むことに快感を得るなど、利益目的ではない窃盗行為です。
クレプトマニアと診断された場合には、再犯を防止するため、医師による専門的な治療やクレプトマニアの方の更生を支援する団体からの支援等を受けることが重要です。
裁判では、再犯防止のためには刑罰ではなく専門の治療を受ける必要があることを特に酌量すべき事情として主張することになるでしょう。

万引きを繰り返し執行猶予期間中に再び万引きをしてしまいお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。
初回の法律相談無料です。

薬物事件で執行猶予付き判決

2019-04-09

薬物事件で執行猶予付き判決

薬物事件での執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県須磨警察署は、兵庫県神戸市須磨区に住むAさんがMDMAを自宅で所持していたとして、麻薬取締法違反(所持)の疑いでAさんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、薬物事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aさんはその後起訴され、公判では懲役1年執行猶予3年の判決が言い渡されました。
Aさんは、実刑判決を受けずに済んだことに感謝し、これからは心を入れ替え新しい人生を歩んでいくことを心に誓いました。
(フィクションです)

執行猶予とは

刑を言い渡すにあたり、犯情により一定の期間その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度を「執行猶予」といいます。
上記ケースでは、「懲役1年、執行猶予3年」が言い渡されたいますが、これは、刑の言渡しを受けてから3年間、罪を犯すことなく過ごすことができれば、この刑の言渡しそのものが無効となり、刑務所に行かなくてもよくなる、ということです。
執行猶予期間中に罪を犯さないこと」を条件としていますので、この期間中に何らかの罪を犯し有罪となると、執行を猶予されていた刑も受けなくてはなりません。

執行猶予には、刑期全部の執行猶予と刑の一部執行猶予の2種類があります。

刑の全部執行猶予の要件

(1)初度の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
 または、
 (b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免   除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役もしくは禁錮または50年以下の罰金の言渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするにたりる事情があること。

(2)再度の場合
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
 (ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間内に更に罪を犯した場合には、 執行を猶予することは許されません。)
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。

刑の一部執行猶予の要件

宣告刑の一部だけの執行を猶予する制度です。
例えば、「懲役2年に処する。その刑の一部である懲役4月の執行を2年間猶予する。」と言い渡されたとします。
この場合、まず、猶予されなかった1年8か月の懲役刑の執行を実際に受けて服役することになります。
服役後、猶予された4か月の執行猶予期間である2年間が始まり、この2年間を無事に経過すれば、4か月の懲役刑は執行されないことになります。

(1)初めて刑事施設に入所する者の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがない者
 または
 (b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者
 あるいは、
 (c)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除   を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐため必要であり 、かつ、相当であると認められること。

(2)薬物使用者の場合
①薬物使用等の罪を犯した者であること。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、刑事施設における処遇に引き続き社会内において規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められること。

以上のように、実刑を回避し、執行猶予となるためには満たすべき要件が設けられています。
裁判では、このような要件を被告人が満たしていることを客観的な証拠に基づいて主張する必要があります。
このような弁護活動は、薬物事件に詳しい刑事事件専門弁護士にご依頼されるのがよいでしょう。

ご家族が薬物事件で逮捕・起訴されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

盗撮事件で逮捕されるか不安

2019-04-08

盗撮事件で逮捕されるか不安

盗撮事件で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県揖保郡太子町に住むAさんは、通勤に電車を利用しています。
ある日、通勤で利用する駅構内の階段で、若い女性のスカート内を持っていた自分のスマートフォンを差し入れて撮影しました。
Aさんは、そのような行為を度々していました。
ある日、盗撮行為をした人が駅の防犯カメラの映像で特定され逮捕されたというニュースを知り、自分もいつかは逮捕されるのか不安になり、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

逮捕とは

「○○事件で逮捕」「△△事件で現行犯逮捕」といったことをニュースでよく耳にします。
弊社の無料法律相談でも、「○○してしまったのだが、逮捕されるか不安だ」と来所される方は少なくありません。
それでは、そもそも「逮捕」とは何なのか、逮捕の要件とはどのようなものなのかについて説明したいと思います。

逮捕」とは、被疑者に対して最初に行われる強制的な身柄拘束処分であって、法に定められた短期間の留置という効果を伴うものをいいます。
この「逮捕」には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3つの種類があります。

通常逮捕

逮捕状による逮捕を「通常逮捕」といいます。
通常逮捕の要件は、①逮捕の理由、および②逮捕の必要性である。
①逮捕の理由
逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、つまり、嫌疑の相当性のことをいいます。
②逮捕の必要性
逮捕の必要性とは、被疑者の逃亡・罪証隠滅のおそれをいいます。
逮捕状の請求を受けた裁判官が、逮捕の必要性について判断します。
一定の刑儀犯罪では、被疑者の住所不定や正当な理由のない出頭要求の無視の場合のみ逮捕の必要性が認められます。

緊急逮捕

緊急逮捕とは、一定の重大犯罪について、充分な嫌疑があり、急速を要する場合に、逮捕後「直ちに」逮捕状を求めることを条件に認められる無令状の逮捕をいいます。
緊急逮捕の要件は、次の通りです。
①一定の入内犯罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由
②急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないこと
③被逮捕者に逮捕の理由を告げること
逮捕後「直ちに」逮捕状請求の手続を行うこと
逮捕の必要性

現行犯逮捕

現行犯人に対して行われる無令状の逮捕を「現行犯逮捕」といいます。
「現行犯人」というのは、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者」です。
現行犯逮捕の要件は、①犯行と逮捕行為との時間的場所的密着性、②犯罪および犯人の明白性、そして、③逮捕の必要性です。
逮捕者の逮捕行為着手後、犯人追跡行為が継続していれば、数時間経過後であっても現行犯逮捕と言えます。
逮捕者が被逮捕者の犯行を現認する場合でなくても、現場の客観的・外部的状況に照らして犯行・犯人が明白な場合は、現認に準ずることができるとされます。

盗撮事件で逮捕されるケース

盗撮事件で逮捕されるケースは、現行犯逮捕や通常逮捕が多いでしょう。
特に、盗撮を行った直後に、被害者や目撃者に犯行を問い詰められ、身柄が確保され、そのまま駅員室や交番・警察署に連れていかれる現行犯逮捕が多く見受けられます。
また、盗撮行為に気づいた被害者が、警察に相談し、警察が現場付近の防犯カメラの映像から犯人を特定し、通常逮捕となることもあります。

しかし、捜査機関が犯人を特定した場合であっても、逮捕されず在宅のまま捜査が進むこともあります。
逮捕の必要性がないと判断される場合です。
容疑を認めており、素直に取調べに応じている、被害者との接点がない、家族の監督が期待できるなどの事情は、逮捕の必要性がないと判断する要素になるでしょう。
また、自首することで、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断され、逮捕されないこともあるので、自首するというのも逮捕を免れるひとつの選択肢になるでしょう。

盗撮事件を起こし逮捕されないか心配な方、ご家族が盗撮事件で逮捕されてしまいお困りの方は、盗撮事件も含めた刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。

土下座強要で刑事事件

2019-04-07

土下座強要で刑事事件

土下座強要での刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、友人Bと兵庫県神崎郡市川町にあるボーリング場にやってきました。
Aさんは、店員Vの接客態度が悪いと因縁をつけ、Vに「土下座して謝れ。」「土下座せんかったら、店のもん壊したるからな。」「もう、お前ここで働かれへんようにしたるからな。」などと怒鳴りつけ、店員Vに土下座して謝罪することを要求しました。
店員Vは、Aの態度に怯え、Aの要求通り土下座をしました。
翌日、ボーリング場の責任者は、事件を聞き、店員Vと共に兵庫県福崎警察署に相談し、被害届を提出しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

強要罪について

強要罪とは、暴行や脅迫を用いて、相手に義務のないことを行わせる犯罪です。
強要罪は、刑法第223条に以下のように規定されています。

第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

行為

本条1項では、本人の「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用い」る場合、本条第2項では「親族の生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫」する場合について規定されています。
(1)「脅迫」
本罪の「脅迫」は、脅迫罪の実行行為としての脅迫と基本的に同じで、「恐怖心を生じさせる目的で、相手方またはその親族の生命、身体、自由、財産に対し、害を加えることを告知する」ことをいいます。
「害悪の告知」に関して、その告知内容は、相手方の対応および客観的状況から判断して、一般に人を畏怖させるにたりる程度のものであることが必要です。
(2)「暴行」
被害者が畏怖し、そのため行動の自由が侵害されるにたりる程度の有形力の行使であることが必要となります。
本罪は、相手方を畏怖させて、瑕疵ある意思を生じさせ、その意思に基づいておこなわせるという犯罪であるため、物理的強制力をもって機械的に行動させた場合には、本罪は成立しません。
暴行について、相手方を畏怖させるにたりる程度のものであることを要求しており、一定の場所にとどまる権利を有する者をその意思を無視して身体を運び出す行為は、有形力の行使であっても、本罪における「暴行」にはあたりません。

結果

(1)義務なき作為の強要
「義務のないことを行わせた」例として、子守の少女に水入りのバケツを数十分ないし数時間、胸のあたりまたは頭上に支持せしめた場合があります。
店員に土下座強要する行為も、義務のなき作為の強要に当たります。
(2)権利実行の不作為の強要
「権利の行使を妨害」するというのは、例えば、告訴を断念させることがあげられます。

故意

本罪の故意は、暴行または脅迫をもって人に義務のないことをおこなわせ、またはおこなうべき権利を妨害することの認識・予見です。

上記ケースでは、Aさんが店員Vさんに対して、「土下座しろ。」「土下座せんかったら、店のもん壊したるからな。」「もう、お前ここで働かれへんようにしたるからな。」と、Vさんの生命・身体・自由に対して害を加える旨を告知しており、この行為は「脅迫」に該当するでしょう。
脅迫を用いて、Aさんは店員Vさんに対し、「土下座」という義務のない作為を強要しており、実際にVさんは土下座しているので、Aさんに対する強要罪は成立するものと考えられます。

強要事件における弁護活動

強要事件のように、被害者がいる事件については、被害者との示談成立の有無が、最終的な処分に大きく影響します。
強要罪は、親告罪ではありませんので、被害者との示談が成立したからといって、必ずしも検察官が起訴しないとは限りません。
しかし、被害者との示談が成立しており、被害者も被疑者に対して処罰を望んでいない場合には、不起訴処分となる可能性は高いと言えるでしょう。
ですので、強要事件では、まず被害者との示談交渉を開始する必要があります。
ただし、被疑者が直接被害者と連絡をとり、示談交渉を行うことはお勧めしません。
被害者が被疑者に連絡先を教えることは稀ですし、当事者間で交渉すると、感情論的になり交渉がうまく進まないことが多いからです。
そこで、示談交渉は弁護士に依頼するのが一般的です。
弁護士であれば、粘り強く被害者との示談交渉を行うことができ、相場の金額で示談を成立させることが期待できます。

兵庫県の強要事件でお困りの方、被害者の方と示談交渉をしたいがどうしたらよいか分からずお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお電話ください。

窃盗事件で審判不開始

2019-04-06

窃盗事件で審判不開始

窃盗事件での審判不開始について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宍粟市に住むAさん(15歳)は、市内のコンビニさんで商品を万引きしたとして、店員に呼び止められました。
Aさんは、通報を受けて兵庫県宍粟警察署から駆け付けた警察官に現行犯逮捕されました。
警察で取調べを受けたAさんは、両親が身元引受人となり、釈放されました。
後日、今後どのような処分を受けることになるのか不安になり、少年事件に強い弁護士に相談し、弁護を依頼することになりました。
(フィクションです)

終局決定の種類

家庭裁判所が少年保護事件について行う決定には、事件自体について判断し、最終的な少年の処分を決定する終局決定と、終局決定前の中間的な措置としてなされる中間決定とがあります。
終局決定としては、次の5種類があります。

審判不開始
②不処分
③保護処分
 (ア)保護観察
 (イ)児童自立支援施設又は児童養護施設送致
 (ウ)少年印送致
④検察官送致
⑤知事又は児童相談所長送致

審判不開始

家庭裁判所は、調査を行った結果、審判に付することができず、又は審判に付することが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければなりません。
この決定を「審判不開始決定」といいます。
審判不開始決定は、調査の結果に基づいてなされる決定であり、その要件は、審判に付することができないとき、及び審判に付するのが相当でないときです。
(1)審判に付するのが相当でないとき
審判に付するべき事由はあるけれども、少年に要保護性の存在する蓋然性が認めらず、裁判官による直接の審理を必要としないため、審判を行う必要性がない場合をいいます。
つまり、上の②~⑤のいすれの処分も必要がない場合に限られます。
(2)審判に付することができないとき
法律上または事実上、審判を行うことができない場合をいいます。
これは、次の3つに分けられます。
・非行なし
 非行事実の存在の蓋然性が認められないときで、これは、少年の行為が非行構成要件に該当せず 、非行として成立しない場合と、証拠上、非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合を指し ます。
・所在不明等
 調査・審判を行うことが法律上又は事実上不可能であると認められる場合で、少年の心神喪失、 死亡、所在不明、疾病、海外居住等の場合です。
・その他

審判不開始をめざす活動

審判不開始を目指す場合、付添人である弁護士は、捜査段階から弁護人として活動していたのであれば、それまでの弁護活動の成果を早期に裁判所に伝え、審判不開始を求める意見書を提出するなどの活動を行います。
例えば、事件後すぐに、被害者に謝罪と被害弁償、示談ができていることや、少年が自身の行為を振り返りしっかりと反省できていること、保護者や学校の監督が期待でき、カウンセリング等を受けており更生に向けた環境が整っていることなど、少年に要保護性がないことを主張します。
家庭裁判所の調査や付添人である弁護士の活動の結果、少年への教育的な働きかけにより、要保護性が解消された場合、あえて審判を行う必要はなく、審判不開始となる可能性があります。

このような活動を依頼するのは、少年事件に精通した弁護士がよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
少年の更生のため、少年一人ひとりに適した弁護活動、付添人活動を行えるよう尽力します。

お子様が事件を起こしてしまった、家庭裁判所に送致されたがどのような処分を受けるのか不安だ、とお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。

少年事件と観護措置

2019-04-05

少年事件と観護措置

少年事件観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県高砂市に住む中学生のAくん(14歳)は、路上で帰宅途中の女性に痴漢行為をしたとして兵庫県高砂警察署に逮捕されました。
Aくんの両親が身元引受人となり、Aくんは釈放されました。
Aくんには余罪が複数あり、在宅事件として捜査が進められていましたが、事件が神戸家庭裁判所姫路支部に送致されると、観護措置をとるとの決定がなされ、Aくんは神戸少年鑑別所に収容されることになりました。
Aくんの両親は不安になり、慌てて少年事件に詳しい弁護士に相談しました。
(フィクションです)

観護措置について

観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、少年の心身の鑑別をしたり、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置をいいます。

観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する措置(在宅観護)と、少年鑑別所に送致する措置(収容観護)の2種類があります。
実務上、在宅観護はほとんどとられておらず、「観護措置」は収容観護を意味するものとなっています。
ここでも、収容観護である「観護措置」について説明します。
少年鑑別所は、観護措置により送致された者を収容し、医学・心理学・教育学・社会学その他の専門的知識及び技術に基づいて、少年の鑑別を行うとともに、必要な観護処遇等を行うための施設です。

観護措置の要件

観護措置は、家庭裁判所が、適正妥当な調査・審判を行うために少年の身柄を保全する措置であり、家庭裁判所が職権で行うものです。
観護措置がいかなる場合にとり得るかについては、少年法17条1項に「審判を行うため必要があるとき」と規定されていますが、実務上は、以下の要件が必要であるといわれています。
①審判条件があること
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること
③審判を行う蓋然性があること
④観護措置の必要性が認められること

④については、次の事由のうち、いずれかの事由が存在すれば足りるとされます。
・調査・審判・決定の執行を円滑かつ確実に行うため、少年の身柄を確保する必要があること。
 住所不定、罪証隠滅や逃亡のおそれがある場合など。
・緊急的に少年の保護が必要であること。
 自殺、自傷のおそれがある場合や、家庭環境が劣悪で、家庭から虐待され又は悪影響を受けるおそれのある場合など。
・少年を収容して心身鑑別をする必要があること。

観護措置は、家庭裁判所に事件が係属中であれば、いつでもとることができます。
つまり、家庭裁判所が事件を受理したときから終局決定がなされるまでの間です。
捜査段階で、逮捕・勾留により身柄が拘束されていた少年の場合、事件が家庭裁判所に送致されたときに観護措置をとることが多くなっています。
また、勾留に代わる観護措置がとられている事件が家庭裁判所に送致された場合には、その措置は観護措置とみなされ、観護措置として存続することになります。
ただし、捜査段階で在宅事件として捜査が進められていたとしても、事件が家庭裁判所に送致され、調査や審判中に観護措置をとる必要性が判明した場合には、観護措置がとられることもあります。

収容期間

観護措置により少年を少年鑑別所に収容する期間は、2週間を超えることができないと少年法により定められています。
特に継続の必要がある場合には、決定をもって、これを更新することができるものとされています。
つまり、観護措置の期間は、原則2週間で、特に必要があるときに限って更新することができるものとされます。
しかし、実務上は、少年鑑別所で行われる行動観察や心身鑑別に相当の日時を要するため、通常の事件についても1回の更新をする扱いがなされています。

観護措置は、少年を長期間少年鑑別所に収容することになり、その間学校や職場に行くことは出来ないため、少年の社会復帰の妨げとなるおそれもあります。
そのため、不必要な観護措置がとられることがないよう付添人である弁護士は、観護措置回避や異議申立て、取消請求を行います。
しかし、観護措置は、少年の心情の安定に配慮しつつ、少年の身体の安全を確保する措置であるので、単に身体を拘束するだけでなく、少年の心身の鑑別も行われることから、少年の更生に資するというメリットもあります。
ですので、どのような対応が、少年の更生に適するのか、少年事件に豊富な経験を持つ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
あなたのお子様が、事件を起こし、逮捕された、家庭裁判所に送致された、観護措置がとられたとお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。
神戸少年鑑別所までの初回接見費用:35,500円)

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