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傷害致死事件の幇助

2019-02-09

傷害致死事件の幇助

傷害致死事件の幇助について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県多可郡多可町に住むAさんは、元夫との間にもうけたXくんとYくんを連れて、Bさんと内縁関係となり、同居していました。
しばらくすると、Bさんが、Aさん対して暴力を振るうようになりました。
次第に、XくんやYくんに対しても「しつけ」と称して手を挙げるようになりました。
初めは、AさんはBさんにやめるよう言っていましたが、自分にも暴力を振るわれるのを恐れ、AさんはBさんが子供たちに暴力を振るうのを見て見ぬふりをしていました。
ある日、Bさんは、言うことを聞かないYくんの顔面を何回も殴り、Yくんはそのまま意識を失って倒れてしまいました。
Aさんは、急いで救急車を呼びましたが、搬送先の病院でYくんの死亡が確認されました。
Yくんの身体に複数のあざがあったことから、病院は兵庫県西脇警察署に通報し、Bさんを傷害致死の容疑で逮捕し、Aさんを傷害致死幇助で逮捕しました。
(実際にあった事件を基にしたフィクションです)

不作為による傷害致死の幇助

親からの虐待により幼い命が失われるという、なんとも悲しい事件が後を絶ちません。
兵庫県において、2018年の1年間に兵庫県警察が摘発したDV事件は778件に上っています。(神戸新聞NEXT 2019年2月4日6時25分掲載記事を参照)
増加の背景には、DV事件が殺人などの重大事件に発展する事例が増えていることから、捜査機関がこれまで以上にDV関連事件に関与するようになったことがあるようです。

つい最近の事件では、千葉県の小学4年生の女児が父親から暴力を受けて死亡した事件がありました。
父親は傷害容疑で逮捕されましたが、母親もまた父親の暴力を黙認していたとして共犯で逮捕されたのには、驚いた方も多かったのではないでしょうか。
過去にも同じようなケースで、内縁の夫の暴力を黙認していた母親に対して、不作為による傷害致死幇助が認められた事例があります。

幇助」は、「正犯を幇助」する、つまり、正犯に物的・精神的な支援をすることによって、その実行行為の遂行を促進し、構成要件該当事実の惹起を促進することを意味します。
「正犯を幇助」したか否かについては、犯行道具を正犯に渡すなどの「作為」のみにとどまらず、黙って傍に佇んでいるといった「不作為」の場合についても、その「不作為」が「正犯を幇助」したということであれば、不作為による幇助が成立することになります。
では、どのような「不作為」が「正犯を幇助」すると言えるのかが問題となります。
つまり、正犯の犯行に影響力を与える「不作為」が一体どのようなものか、という点が争点になります。
この点、札幌高裁は、不作為による幇助犯の要件として、
「正犯者の犯罪を防止しなければならない作為義務のある者が、一定の作為によって正犯者の犯罪を防止することが可能であるのに、そのことを認識しながら、右一定の作為をせず、これによって正犯者の犯罪の実行を容易にした」
ことが、作為による幇助犯の場合と同視できると解しています。
「作為義務」について、母親は、死亡した子供の唯一の親権者であり、内縁の夫の暴行を阻止し得る者は母親以外にはおらず、子供の生命の安全の確保は母親のみに依存していたと考えられ、母親は内縁の夫の暴行を阻止すべき作為義務を負っていたと考えられます。
また、母親に要求される「一定の作為」は、内縁の夫の暴力を実力で阻止する行為だけでなく、内縁の夫に暴力を振るわないよう言葉で阻止する行為や警察などに通報する行為なども含まれるとされています。(札幌高裁平成12年3月16日判決)

以上を踏まえて上記ケースを考えてみると、Aさん自身もBさんから暴力を振るわれていたとは言え、AさんはYくんの親権者であり、Yを保護する責任があったにもかかわらず、BさんがYに暴力を振るう様子を見て見ぬふりをしており、阻止しようとBさんを止めたり警察に通報したりせず、結果、その「何もしなかった」ことがBさんがYくんに暴力を振るう行為を促すことになり、Yくんを死亡させてしまったと言え、Aさんは傷害致死幇助犯となる可能性があるでしょう。

事件の内容により、どのような犯罪が成立し、如何なる責任に問われるかが異なりますので、刑事事件の加害者として警察から取り調べを受けている方、ご家族が逮捕されてお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件を専門とする弁護士が、初回に限り無料で法律相談を行います。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

職務質問からの銃刀法違反

2019-02-08

職務質問からの銃刀法違反

銃刀法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
深夜、兵庫県伊丹市の路上に車を停車させ横になっていたAさんは、車の窓ガラスを叩く音で目が覚めました。
周囲を巡回していた兵庫県伊丹警察署の警察官が、深夜に路上駐車されていた車を不審に思い、Aさんに職務質問をしたのです。
Aさんの車のアタッシュボードからサバイバルナイフが見つかり、Aさんはそのまま兵庫県伊丹警察署に連れて行かれ、銃刀法違反の容疑で取り調べを受けました。
「また連絡する」と警察官から言われたAさんは、まさかこんな事で事件になるとは思っておらず、慌てて刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

銃刀法違反となるケース

銃刀法とは、正式には「銃砲刀剣類所持等取締法」といい、法令に基づき職務のために所持する場合などを除いて、原則銃砲・刀剣類の所持は禁止されています。
銃刀法で所持が禁止されているのは、「鉄砲」及び「刀剣類」で、以下のように定義されています。

第ニ条 この法律において「銃砲」とは、けん銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)をいう。
2 この法律において「刀剣類」とは、刃渡り十五センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り五・五センチメートル以上の剣、あいくち並びに四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り五・五センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつてみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して六十度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。

上の「刀剣類」に該当しない場合であっても、「刃体の長さが6センチを超える刃物の携帯」もまた銃刀法において禁止されています。

第二十二条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

「業務その他正当な理由による場合」というのは、調理師が業務に使うために包丁を携帯している場合や、お店で包丁などを購入して家に帰る場合などです。
ここでいう「刃物」というのは、その用法に置いて人を殺傷する性能を有し、銅又はこれと同程度の物理的性能を有する素材でできている片刃又は両刃の器物で刀剣類以外のものをいいます。
「刃体」というのは、刀剣類以外の刃物の刃の長さのことです。
また「携帯」とは、単に所持する場合とは違い、自宅や居室以外の場所で刃物を手に持ち、あるいは身体に帯びる等して、これを直ちに使用し得る状態で身辺に置くことをいい、かつ、その状態が多少継続することをいいます。

上記ケースのように、キャンプや登山などで果物ナイフやサバイバルナイフなどを利用し、そのまま車のアタッシュボードに入れっぱなしにしている方は少なくありません。
しかし、職務質問などで車からそのようなナイフが見つかり、刃体の長さが6センチを超えている場合には、銃刀法違反となる可能性があります。

刃体の長さが6センチを超えない場合には、軽犯罪法違反となる可能性もあります。

第一条
二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

これに違反した場合、拘留(1日以上30日未満の間刑事施設に拘置する自由刑)または科料(1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰)が科せられる可能性があります。

銃刀法違反・軽犯罪法違反事件で、取調べを受けた場合には、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
携帯していた刃物の形や種類、携帯していた状況や理由などを把握した上で、適切なアドバイスを行います。
まずは、フリーダイアル0120-631-881へお気軽にお電話ください。

不正指令電磁的記録供用罪で逮捕

2019-02-07

不正指令電磁的記録供用罪で逮捕

不正指令電磁的記録供用罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
大学生のAさん(21歳)は、彼女のVさんのスマートフォンに「遠隔操作アプリ」を勝手にインストールし、遠隔操作でメールをチェックしたり、居場所を特定できるアプリを無断でインストールして、居場所を確認していました。
Vさんは、見覚えのないアプリが入っていることに気づき、兵庫県福崎警察署に相談しに行ったことにより事件が発覚しました。
Aさんは、兵庫県福崎警察署の警察官に不正指令電磁的記録供用罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

不正指令電磁的記録供用罪とは

平成23年の刑法改正により、不正指令電磁的記録に関する罪が新設されました。
コンピューターを使って膨大な情報を処理することが不可欠となっている現代社会において、コンピューターウイルスによりパソコンを使用している者の意図に反した動作が行われるといった事態が野放しにされると、プログラムを実行する際に果たしてそのプログラムを信頼してよいものか不安になりますし、その結果、コンピューターでの情報処理業務が円滑にいかなくなるおそれが出てくるでしょう。
そのような事態を回避するためにも、不正指令電磁的記録に関する罪(いわゆる「コンピューター・ウイルス」に関する罪)が設けられたのです。
不正指令電磁的記録に関する罪は、「不正指令電磁的記録作成等」(刑法第168条の2)及び「不正指令電磁的記録取得等」(刑法第168条の3)から成ります。

第百六十八条の二 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
3 前項の罪の未遂は、罰する。

本条第1項は、「不正指令電磁的記録作成・提供罪」について規定しており、第2項が「不正指令電磁的記録供用罪」について定めています。
つまり、上記ケースで問題となっている不正指令電磁的記録併用罪とは、
①正当な理由がないのに
②前項第1号に掲げる電磁的記録を
③人の電子計算機における実行の用に供した
ことにより成立します。

【客体】
併用罪の対象は、「前項第1号に掲げる電磁的記録」、つまり、「人が電子計算機を使用するに際してその意図を沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」です。
「人」とは、犯人以外の者であり、「電子計算機」とは、自動的に計算やデータ処理を行う電子装置のことで、パソコンや、サーバーコンピューター、スマートフォンなどがこれに当たります。
ここでいう使用者の「意図」とは、個別具体的な使用者の実際の認識を基準として判断されるのではなく、問題となるプログラムの機能の内容や機能に関する説明内容、想定される利用方法等を総合的に考慮して、その機能について一般に認識すべきであるところを規範的に判断されます。
例えば、市販のソフトウェアであれば、電子計算機の利用者は、そのプログラムの指令によって電子計算機が行う基本的な動作について当然認識しているものと考えられますし、説明書には当該プログラムの機能の詳細について記載されていますので、使用者が認識し得る状態にあるので、使用者がプログラムの機能すべてを現実に認識していなくても、当該プログラムによる電子計算機の動作は、「使用者の意図に反する動作」には当たらないことになります。
「電磁的記録」とは、電子的方式、電磁的方式その他人の知覚によって認識することができない方式で作られる記録のことです。

【行為】
不正指令電磁的記録を「人の電子計算機における実行の用に供する」とは、不正指令電磁的記録を、電子計算機の使用者にこれを実行しようとする意思がないのに実行され得る状態に置くことをいいます。
つまり、電子計算機を使用している者は、不正指令電磁的記録がパソコンなどの電子計算機に入っているとは知らずに、使用者が当該不正指令電磁的記録を作動させることが出来るようにしておくことです。

【正当な理由の不存在】
「正当な理由がないのに」というのは、「違法に」という意味です。

上記ケースでは、彼女のスマートフォンに遠隔操作や位置確認のアプリを彼女に断りなく勝手にインストールして使っていたので、不正指令電磁的記録併用罪が成立すると考えられます。
本罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

「恋人の浮気を確かめたくて…」と軽い気持ちで行ってしまったとしても、犯罪となる場合もあります。
兵庫県の不正指令電磁的記録併用事件で加害者となりお困りの方は、サイバー犯罪を含めた刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

窃盗事件で審判不開始決定

2019-02-06

窃盗事件で審判不開始決定

審判不開始決定について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に両親と同居しているAくん(17歳)は、地元の高校を中退し、飲食店でアルバイトとして勤務していました。
Aくんは、友人Bくんと駐車中のバイクを盗んだとして、兵庫県相生警察署で取調べを受けました。
Aくんの両親は、どのような処分が下されるのか心配になり、少年事件に強い弁護士に相談し、弁護を依頼することにしました。
その後、事件は神戸家庭裁判所姫路支部に送致されましたが、審判不開始決定となりました。
(フィクションです)

家庭裁判所が事件を受理すると

原則、すべての少年事件は、捜査機関による捜査が終了すると、家庭裁判所に送致されます。(「全件送致主義」)
少年事件においては、科学的な調査機関を有する家庭裁判所が、専門的に少年の処遇を選択するのが相当であることから、全件送致主義が採られています。
家庭裁判所は、事件を受理すると、書記官と裁判官が事件記録に基づいて、審判条件や非行事実の存否について審査・検討を行います。(「法的調査」)
この法的調査では、管轄、少年の年齢などといった審判条件や、事件が原則検察官送致事件・検察官関与対象事件・国選付添人対象事件・被害者審判傍聴対象事件・被害者配慮制度の案件対象事件などに該当するか否か、少年が非行事実を否認しているか否か、自白事件について補強証拠の有無といった事実認定上の問題の有無などについて、事前に事件記録を精査します。
成人の刑事事件では、公判当日まで裁判官は証拠を見ることはありませんが、少年事件では、裁判官は、捜査機関や付添人から送致された証拠書類等を精査し、非行事実の存否に関して一応の心象を得た上で審判に臨みます。
法的調査の結果、非行事実が存在することについて裁判官が蓋然的心証を得た場合には、家庭裁判所の調査官に要保護性の判断をするための調査(「社会調査」)をするように命じます。
調査官は、社会学・心理学・教育学などを専門とし、法律の専門家である裁判官とは異なる観点から少年の問題性を探り、少年の更生に最も適した処分について意見を出します。
社会調査が終了すると、調査官は、裁判官に対して調査結果を提出し、裁判官は、法律記録と共に検討します。
その結果、家庭裁判所は、審判に付することができない(形式的審判不開始)、又は、審判に付するのが相当でないと認める場合(実体的審判不開始)には、審判を開始しない決定をしなければなりません。
この決定を「審判不開始決定」といいます。

審判に付することが出来ない場合というのは、法律上又は事実上審判に付することが出来ない場合です。
審判条件の不存在や非行事実の不存在、事実上の審判不能などの場合です。
審判に付するのが相当でない場合というのは、審判条件や非行事実の存在が認められ、審判を行うことは可能であるが、保護処分等を行うことが妥当ではなく、裁判官による直接審理の必要性もない場合のことをいいます。
例えば、事実が軽微な場合、別件保護中の場合、保護的措置による要保護性解消の場合などがあります。

審判不開始をめざす付添人活動

捜査段階から弁護人として活動していた場合には、それまでの弁護活動の成果を早期に家庭裁判所に伝え、審判不開始を求める意見書を提出するなどの活動を行います。
審判不開始の多くは、実体的審判不開始であるので、家庭裁判所の調査や付添人の活動により、要保護性が解消されており、あえて審判を行う必要はないことを、裁判官に説得的に主張する必要があります。
例えば、既に被害者への被害弁償が済んでおり示談が成立していることや、少年が真摯に反省していること、保護者や学校による監督が期待できること、また、カウンセリングに通うなどして更生に向けた環境が整っていることなどが、要保護性が解消されたと認める重要な要素となります。

このような活動は、少年事件に強い弁護士に任せることをお勧めします。

お子様が事件を起こしてお困りであれば、少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお電話ください。

交通事故で逮捕

2019-02-05

交通事故で逮捕

交通事故を起こした場合に成立し得る罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは深夜、兵庫県加古郡稲美町の交差点を左折する際、左から横断中の歩行者を見落とし、横断中の歩行者に当たってしまいました。
運転前に飲酒していたAさんは、事故を起こしたことに動揺していた上に、飲酒運転がバレたら大変だと焦り、そのまま現場を立ち去りました。
翌日、防犯カメラの映像から犯人を特定した兵庫県加古川警察署は、Aさんの自宅を訪れ、Aさんを逮捕しました。
(フィクションです)

交通事故を起こしたら~成立し得る罪とは~

1.物損事故の場合

物損事故を起こした場合、物損事故それ自体については刑事責任が問われることはありません。
しかし、物損事故を起こしたにもかかわらず、その後警察に報告せず、道路上危険を防止する措置を怠った場合(つまり「当て逃げ」)には、道路交通法違反が成立する可能性があります。
報告義務違反の法定刑は、3月以下の懲役または5万円以下の罰金で、道路上の危険防止措置義務違反の法定刑は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

2.人身事故の場合

人身事故を起こした場合、以下の犯罪が成立する可能性があります。

過失運転致死傷罪

自動車を運転する上で必要な注意を怠って、人を負傷または死亡させた場合に成立する犯罪です。
ここの言う「過失」とは、車間距離を見誤ってブレーキをかけるのが遅くなった場合や、赤信号を見落としていた場合など、車を運転するに当たって気をつけなけばいけないことをしていなかった場合をいいます。
ですので、上記ケースのように、横断中の歩行者を見落として巻き込んでしまった場合には、本罪が成立するでしょう。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役或いは禁錮または100万円以下の罰金です。
しかし、飲酒運転をしていた場合、その影響の程度によっては、危険運転致死傷罪が成立する可能性もあります。

危険運転致死傷罪

以下に該当する危険な運転をし、人を負傷または死亡させた場合に成立する罪です。
・アルコールや薬物の影響を受けて正常な運転が困難な状況で自動車を走行させる行為
・進行を制御することが困難なのどの速度で自動車を走行させる行為
・進行を制御する技量を有しないで自動車を走行させる行為
・人や自動車などの通行を妨害する目的で、それらに著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
・赤信号を無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
・通行禁止道路を走行し、重大な交通の危険をしょうじさせる速度で自動車を運転する行為
アルコールの影響で「正常な運転が困難な状況」というのは、前方の注視が困難になったり、意図したとおりの時期や加減でハンドルやブレーキを操作するのが困難になったりするなど、現実に道路や交通の状況に応じた運転操作をすることが困難な心身の状態にあることと理解されています。
危険運転致傷罪の法定刑は、15年以下の懲役、そして危険運転致死罪の法定刑は1年以上の有期懲役です。

準危険運転致死傷罪

アルコールや薬物、政令で指定する病気の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、その結果、アルコールや薬物、病気の影響で正常な運転が困難な状態に陥り、事故を起こし、よって人を負傷または死亡させた場合に成立します。
「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは、飲酒などの影響で、自動車を運転するのに必要な注意力・判断能力・操作能力が相当程度に低下して、危険な状態にあることをいいます。
例えば、道路交通法の酒気帯び運転に該当する程度のアルコールが体内にある状態であれば、これに該当することになります。

飲酒運転の発覚を恐れて逃亡し、体内のアルコール濃度を下げるなど罪を免れようとした場合には、過失運転致死傷アルコール等影響発覚逸脱の罪に問われることになります。
また、交通事故を起こし、無免許であった場合には、刑罰は加重されます。
そして、ひき逃げをした場合には、救護義務・危険防止措置義務違反となり、これらの違反と過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪とは併合罪となります。

交通事件では、成立する犯罪によって、科され得る刑罰の重さも異なりますので、交通事故を起こし、刑事責任を問われてお困りであれば、交通事件を含めた刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

少年事件と面会

2019-02-04

少年事件と面会

少年との面会について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aくん(18歳)は、先輩の誘いで、いわゆる特殊詐欺の受け子をしていました。
ある日、指示役の男から連絡があり、兵庫県川辺郡猪名川町に住む女性宅に行き、封筒を受け取るよう指示され、その場に向かい、女性から封筒を受け取りました。
Aくんは女性宅を離れ、指示された駅のコインロッカーに封筒を入れようとしたところで、兵庫県川西警察署の警察官に逮捕されました。
Aくんは、その後勾留され、接見禁止が付いており、Aくんの両親は面会できずに大変困っています。
(フィクションです)

お子様が逮捕されたら~少年との面会~

もし、あなたのお子様が何らかの事件を起こし、警察に逮捕されてしまったら、不安ですぐにでも会いにいきたいと思われることでしょう。
しかし、身体拘束されてしまうと、自由にお子様と会うことは出来なくなります。

(1)逮捕から勾留までの段階
原則、逮捕から勾留が決定するまでの間は、ご家族であっても逮捕された方に面会することは出来ません。
逮捕から48時間以内に警察は、被疑者を検察に送致するか釈放するかを決定し、検察に送致した場合、検察官は24時間以内に被疑者を釈放するか、勾留請求をするかを決定します。
勾留が決定するまでの段階であっても、弁護士であれば、逮捕された方に会うことができます。

(2)勾留から家庭裁判所に送致されるまでの段階
勾留が決定すると、ご家族の方は被疑者と面会することは出来ます。(一般面会
ただし、一般面会にはいくつか制限があります。
面会できるのは平日の午前9時から午後5時まで(正午~午後1時を除く)で、面会時間も15~20分に限られています。
面会には、警察官が立会います。
一般面会は、1日1組限りで、1回3人までです。
勾留の期間は、10日間ですが、延長されると最大で20日間となります。

接見禁止が付されている場合、ご家族であっても面会することは出来ません。
共犯者などと面会し、罪証隠滅を行うおそれがあると判断される場合になされるもので、弁護士以外の物との面会を禁止する決定です。

また、少年事件の場合には、勾留ではなく「勾留に代わる観護措置」がとられることもあります。
検察官は、勾留に代えて勾留に代わる観護措置を請求することができます。
勾留に代わる観護措置がとられると、少年は警察署の留置場ではなく少年鑑別所に収容されます。
期間は、10日間です。
勾留とは違い、延長は認められません。
ただ、勾留に代わる観護措置がとられた場合、その後に家庭裁判所に送致されると、そのまま観護措置がとられることになります。

(3)家庭裁判所送致後
事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることが出来ます。
観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りつつ、少年の身体を保護してその安全を図る措置をいいます。
観護措置には、調査官の観護に付する措置(在宅観護)と少年鑑別所に送致する措置(収容観護)の2種類がありますが、通常観護措置という場合、後者を指すものとされています。
少年鑑別所での一般面会は、平日の9時から午後4時までで、近親者、保護者、その他鑑別所が必要と認める者に限って許可されます。
警察の留置施設では、接見禁止がついていない限り、友人や恋人も面会が許されますが、少年鑑別所では通常許可されません。
面会時間は1回15分程度に限られており、面会には鑑別所の職員が立ち会うことになっています。

このように、少年事件における面会は、ご家族であっても、面会時間や面会できる時間帯が限られており、立会人がいるなど、さまざまな制限がかかります。
更に、接見禁止がついた場合には、面会することは出来ません。
そのような時でも、弁護士であれば、平日・休日問わず、いつでも立会人なく、制限時間なく面会(接見)することが出来ます。
もちろん、取調べ対応についてのアドバイスや、ご家族への伝言も受けることが出来ますので、身体拘束を受けている少年にとって弁護士は心強い味方となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を専門とする法律事務所です。
あなたのお子様が刑事事件を起こし、身体拘束を受けているのであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881まで。

脱税で告発

2019-02-03

脱税で告発

脱税事件で告発された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市須磨区で会社を経営するAさんは、取引先などの口座に架空の外注費を振り込んだ後、現金で戻させる手法で、架空の外注費を計上し、約1億円の所得を隠すなどして脱税していました。
ところがある日、大阪国税局は、会社とその社長Aさんを法人税違反などの疑いで神戸地方検察庁告発しました。
この先どうなるのか心配になったAさんは、脱税事件にも対応してくれる弁護士を探すことにしました。
(共同通信 2019年1月28日3時11分掲載記事を基にしたフィクションです)

脱税で刑事事件に

違法な手段により納税を免れる行為を「脱税」といいます。
脱税罪なる罪はありませんが、脱税行為はさまざまな税法により禁止されており、違反行為には刑事罰も科されますので、脱税事件は場合によっては刑事事件に発展することもあります。
脱税事件で問題となる税法は、主に、「所得税法」や「法人税法」、それから、「消費税法」などです。
所得税法は、その名の通り所得に対する税について定めた法律ですが、その中でも、個人の所得に対する税金について定めたものです。
一方、法人税法は、法人の所得等に対する税金である法人税について定めた法律です。
どちらも、所得に対して課税されるわけですので、所得が多いほど課税額も増えることになります。
支払う税金を少しでも抑えたいという気持ちから、所得が実際よりも少なく申告するなどの不正行為が行われるケースは少なくありません。
しかし、これらの税法では、「偽りその他不正な行為」により法税を免れる又は還付を受ける行為に対して刑事罰を設けています。
上記ケースのように、架空の外注費を計上して、実際より所得を少なく申告した場合、10年以下の懲役若しくは1000万円の罰金(納税額が1000万円を超える場合は情状により脱税相当額以下の罰金)または懲役と罰金の併科が科される可能性があります。(法人税法第159条)
また、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業員が、法人の業務または財産に関して脱税行為をした場合は、法人に対しても罰金刑が科されます。

脱税で告発されると

脱税が発覚するきっかけは様々で、国税局が他の事件の捜査中に発覚する場合、内部告発で発覚する場合、所轄税務署の税務調査から発覚することもあります。
国税局は、事前の通告なく、事務所や社長の自宅、取引先等に訪れ、脱税に関する証拠を収集するため査察調査(「犯則調査」)を行います。
査察調査の結果、脱税に関する犯罪が成立すると判断された場合、検察官に告発されることになります。
告発」は、告訴権者や犯人以外の第三者が、捜査機関に対して、犯罪の事実を申告し、訴追を求める意思表示です。
捜査機関に犯罪事実を申告し、訴追を求める意思表示という点では、「告訴」と同じですが、告訴を行えるのは、告訴権者であり、被害者本人や被害者の法定代理人である点で異なります。
検察官に告発されると、その後は通常の刑事事件の流れとなります。

脱税事件で刑事罰を受けないようにするためには、まずは国税局に告発されないようにすることが重要ですが、査察調査が入った場合、告発される可能性は十分にありますので、告発された後のことも見込んで対応するのがベストでしょう。
ですので、脱税事件が発覚した早い段階から、脱税事件や刑事事件に詳しい弁護士に相談し、今後の流れについて詳しい説明を受け、対応についても適切なアドバイスをもらいましょう。
不安な状態で捜査や調査を受けた結果、予想していた以上に大事になってしまうこともありますので、早期に専門家に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脱税事件も含めた刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
脱税事件で国税局からの査察調査を受けた、検察に告発された、とお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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不法投棄で逮捕

2019-02-02

不法投棄で逮捕

不法投棄逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県高砂市で青果店を営むAさんは、従業員のBさんと、店で処理した野菜の皮などを大量に、正規の処理業者を介さずに、同市の山林に不法に捨てていました。
ある日、兵庫県高砂警察署に「山に野菜くずが大量に捨てられている」との通報があり、事件が発覚しました。
同署は、捜査をすすめ、AさんとBさんによる犯行であることを突き止め、AさんとBさんを廃棄物処理法違反(不法投棄)の容疑で逮捕しました。
(産経WEST 平成31年1月28日22時13分掲載記事を基にしたフィクションです)

不法投棄で刑事事件に~廃棄物処理法違反~

廃棄物処理法(「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の略称)は、廃棄物の排出抑制、リサイクル、適正処理をすすめることで、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。
本法は、本法で定められた処分場所以外に廃棄物を投棄する行為(不法投棄)を禁止しており、違反に対して罰則を設けています。

第十六条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 八 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者

それでは、上記のケースが不法投棄罪に該当するのか否かについて検討していきます。
「みだりに廃棄物を捨てる」行為とは、どのような行為をいうのでしょうか。

まず、「青果店で処理した野菜の皮など」が「廃棄物」に当たるのでしょうか。

廃棄物処理法における「廃棄物」とは、その2条に以下の様に定義されています。

第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

ここでいう「不要物」とは、判例上、「占有者が自ら利用し又は他人に有償で売却することができないため不要になった物」と解釈されます。
「廃棄物」は「産業廃棄物」と「一般廃棄物」とに分類されます。
「産業廃棄物」は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法で規定された20種類をいいます。
この20種類には、「動植物性残さ」があり、食料品、医薬品、香料製造業から生ずるあめかす、のりかす、醸造かす、魚および獣のあら等の固形状の不要物とされています。
「青果店で処理した野菜の皮など」は、青果店で野菜を販売する際に、皮などの要らない部分をとる作業で発生するものですので、食料品製造業から生じているとは言えず、「産業廃棄物」には該当しないでしょう。
一方、「一般廃棄物」には「事業系一般廃棄物」「家庭廃棄物」「特別管理一般廃棄物」とに分類されます。
「事業系一般廃棄物」とは、事業活動に伴って生じた廃棄物で「産業廃棄物」以外のものをいいます。
ですので、「青果店で処理した野菜の皮など」は「事業系一般廃棄物」に当たるでしょう。

次に、「捨てる」の解釈についてですが、「捨てる」とは、市場に投棄する行為だけでなく、海中に投棄する行為や地中に埋める行為など、最終処分する行為のことをいい、廃棄物を最終的に占有者の手から離して自然に還元することをいいます。
不法投棄の際には「放置したままにする」という不作為も「捨てる」に該当するかについてですが、不要物としてその「管理を放棄した」時点で「廃棄物を捨てる」行為に該当すると理解されています。
上記ケースでは、「捨てる」に当たると考えられるでしょう。

最後に、「みだりに」の意味ですが、社会通念上、公衆衛生・生活環境の保全に支障が生じうると認められる方法です。
この判断には、行為の態様、当該物の性質・量・管理の状況、周囲の環境、行為者の内心の意図など客観的及び主観的側面を総合し、生活環境の保全及び公衆衛生の向上という廃棄物処理法の趣旨と社会通念に照らして、個別具体的に決められます。
この点、野菜の皮などは事業系一般廃棄物に当たり、処理業者に処理を委託するか、事業者が処理施設等に搬入しなければなりませんので、「みだりに」の要件にも該当するでしょう。

上記ケースでは廃棄物処理法違反(不法投棄罪)が成立すると考えられます。
事業活動に関して従業員が廃棄物処理法違反をした場合、その従業員のみならず、その人を雇用していた法人にも、1億円以下の罰金が科される可能性があります。

ご家族が、不法投棄逮捕されてお困りであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件で保護観察処分

2019-02-01

少年事件で保護観察処分

保護観察処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西脇市に住む中学生のAさん(15歳)は、ドラッグストアで化粧品など計5点(1万円相当)を万引きしたところ、警備員に見つかり、兵庫県西脇警察署に連れていかれました。
その日の夜に釈放となったAさんですが、余罪が他にもあり、その後、警察で何度か取調べを受けました。
その後、神戸家庭裁判所姫路支部より呼び出しがあり、調査官による調査を受けることになりました。
Aさんの両親は、今後どのような処分になるのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

保護観察処分とは

少年事件は、原則、すべての事件が家庭裁判所に送致されることになります。
家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所の調査官による調査、そして少年審判を経て、当該少年の更生に適した処分が裁判官によって言い渡されます。
この最終処分には、以下のものがあります。
①保護処分決定
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始

①の保護処分決定には、さらに以下のものがあります。
1.保護観察
2.少年院送致
3.自立児童支援施設等送致

1の保護観察は、少年を家庭や職場などに置いたまま、保護観察官による指導監督という社会内処遇によって、少年の更生を目指す処分です。
期間は、原則、少年が20歳に達するまでですが、その期間が2年に満たない場合は、2年間まで延長されることになります。
保護観察は、少年の居住地の保護観察所が中心となって行われます。
実際に、少年を指導監督・補導援護を行うのは、保護観察官や保護司です。
保護観察官は、保護観察所勤務の国家公務員で、保護司は、地域の有識者が務めることが多く、身分は非常勤の国家公務員ですが、無給で行われています。
家庭裁判所で保護観察の決定が出ると、少年や保護者は、そのまま保護観察所へ行き、保護観察について説明を受け、担当の保護観察官と面接を行います。
その際に、担当の保護司が決定されます。
保護観察中、少年は、月に1~2回、担当の保護観察官または保護司と面会し、近況報告を行います。
保護司らは、少年に対して、必要な指導・助言を行います。
また、保護観察中に遵守すべき事項が定められており、保護司らは、この遵守事項を守るよう少年に対して指導監督を行います。
この遵守事項には、保護観察に付された少年全員が遵守しなければならない「一般遵守事項」と少年ごとに定められた「特別遵守事項」とがあります。

保護観察には、①一般保護観察、②一般短期保護観察、③交通保護観察、④交通短期保護観察の4つの類型があります。
①一般保護観察
交通事件以外の一般事件により保護観察に付された少年が対象となります。
保護観察に付されてから、1年を経過し3月以上継続して成績良好であれば、解除が検討されます。
②一般短期保護観察
交通事件以外の一般事件により保護観察が付され、短期処遇勧告がなされた少年が対象です。
6月以上7月以内の期間に解除が検討されます。

勿論、このような保護観察は、どの少年事件にも付されるわけではありません。
少年審判において、非行事実および要保護性が審理され、保護観察により少年の改善更正が期待できると判断された場合に付されますので、そのように家庭裁判所が納得するよう活動する必要があります。
そのような活動は、少年事件に精通した弁護士に任せるのが良いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件の刑事弁護を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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当て逃げで出頭

2019-01-31

当て逃げで出頭

当て逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡新温泉町のスーパーで買い物を終えたAさんは、駐車場に止めてあった自分の車で帰宅しようとした際、隣に止まっていた車に接触してしまいました。
Aさんは、動揺して、被害者にも警察にも連絡することなくその場を立ち去りました。
しかし、防犯カメラに写っている可能性もあるので、兵庫県美方警察署出頭しようか悩んでいます。
(フィクションです)

当て逃げで刑事事件!?

当て逃げ」とは、自動車やバイク等を運転中に、他の車等に接触するなどの物損事故を起こしたにもかかわらず、道路の危険を防止することなく現場から離れることで成立する犯罪です。
「ひき逃げ」と違い、人の死傷を伴うものではないので、運転手が不在の駐車中の車に接触してしまった場合、「このままバレなければ大丈夫だろう」などと軽率な考えからその場を離れてしまうケースが少なくありません。
物損事故それ自体は、刑事責任や行政責任に問われることはありません。
しかし、現場から逃げることで罪が成立し、被害者が警察に被害届を出した場合、警察による捜査が行われます。

当て逃げは、道路交通法違反となります。

道路交通法第72条 
 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

運転手は、交通事故を起こした場合、人身か物損かを問わず、適切な処置を講じて警察に報告しなければなりません。
事故により道路上に危険が生じた場合には、それを防止する措置を講じなければならず、この措置をとらなかった場合には、危険防止等措置義務違反となり、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。(道路交通法第117条の2)
また、報告義務に違反した場合には、3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。(道路交通法第119条第1項10号)

当て逃げをしてしまったら

当て逃げをしてしまった場合、すぐに警察へ出頭し、被害者への被害弁償と示談交渉をする必要があります。
物損事故では、逮捕・勾留といった身体拘束が伴う可能性は低いと言えますが、事故の原因・態様・結果等が悪い場合には、身体拘束の可能性がまったくないとも言い切れません。
そこで、弁護士は、逮捕する理由や必要性がないことを捜査機関に主張したり、被疑者に取調べ対応についてアドバイスを行ったり、出頭する際に同行する等、身体拘束を回避する活動を行います。

兵庫県美方郡新温泉町当て逃げ事件でお困りの方は、いますぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所は、交通事件を含めた刑事事件を専門とする全国でも数少ない法律事務所です。
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