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万引きと常習累犯窃盗
万引きと常習累犯窃盗
万引きと常習累犯窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加古郡稲美町のスーパーで食料品など計5点(6,000円相当)を万引きしたとして、Aさんは兵庫県加古川警察署に逮捕されました。
Aさんは、過去にも万引きで逮捕されており、直近では2年前に懲役6月の実刑判決が言い渡され刑に服していました。
Aさんは生活に困ってやったとのことですが、窃盗の前科もあり、今回は自身がどのような処罰を受けるのか心配しています。
(フィクションです)
常習累犯窃盗について
あなたがスーパーで商品を支払うことなく店を後にしたとしましょう。
これは、いわゆる「万引き」で、刑法における「窃盗罪」に当たります。
窃盗罪とは、「他人の財物を窃取」する犯罪です。
「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物です。
つまり、他人が事実上支配し管理している他人のものをいいます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
窃盗罪が成立するには、これらの要件に加えて、次の主観的要件を満たす必要があります。
1.故意
①財物が他人の占有に属していること、及び、②その占有を排除して財物を自己又は第三者の占有に移すことを認識すること。
2.不法領得の意思
不法領得の意思の要否については争いがありますが、判例では、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物として経済的用法に従い利用処分する意思」をいうと解されています。
つまり、窃盗罪の成立要件には、故意に加えて、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として扱う意思(排除意思)と、他人の物をその経済的用法に従い、利用又は処分する意思(利用意思)から構成される「不法領得の意思」が求められます。
窃盗罪の罰則は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
あなたが万引きで捕まり、検察官に起訴され、有罪判決を言い渡された場合には、10年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金の範囲内での刑事罰が科されることになります。
万引きの場合、初犯であり、被害金額も少額で、被害弁償が済んでいれば、微罪処分として事件が処理されるケースも多く、検察官によって起訴されずに事件終了となることが多いでしょう。
しかし、過去に何度も万引きを行っていた場合には、当然ながら事件を穏便に済ませるというわけにはいきません。
窃盗罪は再犯が多い犯罪です。
窃盗罪を常習的に繰り返す「常習累犯窃盗罪」が特別法(「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律」)で規定されています。
第三条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
当該条項は、常習累犯窃盗および常習累犯強盗について規定しており、常習としての窃盗等を行う習癖を有する者に対して、行為前野一定の前科を考慮し、その習癖のない者より重く処罰することとしています。
常習累犯窃盗とは、
①過去10年間に、窃盗罪等で6月以上の懲役刑を3回以上受けた者が
②常習として窃盗を行うこと
です。
①について、過去10年の内に、窃盗罪等で実刑判決を3回受けていれば当てはまるのですが、例えば、一回目が懲役6月の執行猶予判決、二回目が懲役1年の保護観察付執行猶予判決、三回目が懲役2年の実刑判決であった場合、一回目と二回目の執行猶予が取り消され、三回目の懲役2年の刑の執行後に、引き続き一回目と二回目の刑の執行を受けた場合においても、それらは合計3回の刑の執行を受けたことになる点に留意が必要です。
①の要件に加えて、「反復して犯罪行為を行う習癖」があるか否かという②の要件を満たして初めて常習累犯窃盗が成立するというわけです。
常習累犯窃盗は、刑法で規定されている窃盗罪より刑罰が重く規定されており、3年以上の有期懲役に処せられる可能性があります。
このように窃盗罪と常習累犯窃盗罪の法定刑は異なります。
万引きの前歴前科が多数あり、常習累犯窃盗にあたるのではとお困りであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回無料法律相談のご予約や、初回接見のお申込みは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受付しております。
クレジットカードの不正利用
クレジットカードの不正利用
クレジットカードの不正利用について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、Bさんと交際関係にあり、Aさん宅に同棲していました。
Aさんは、Bさんに日常生活で必要なものはAさん名義のクレジットカードで支払ってよいと言われ、日頃からBさんはAさん名義のクレジットカードで買い物をしていました。
(フィクションです)
他人名義のクレジットカードの不正利用
上のケースのように、他人名義のクレジットカードを名義人以外の者が使用して商品等を購入した場合、名義人から当該クレジットカードの使用を許可されていたとしても、何等かの罪が成立し得るのでしょうか。
クレジットカード取引について
クレジットカードである商品を購入した場合、次のような形で取引が行われることになります。
まず、クレジットカード会員がクレジットカード加盟店に有効なクレジットカードを提示し、これに対して加盟店が商品の提供を行います。
当該商品の代金をクレジットカード会社が立替払いし、それによって譲渡された代金債権に基づき、後日クレジットカード会社が当該クレジットカード会員に支払い請求をし、クレジットカード会員がその代金を支払います。
クレジットカード会社は、クレジットカード会員がクレジットカード会社が立替えた商品代金を後から必ず支払ってくれるとの信頼のもとにクレジットカード加盟店に立替支払いをします。
つまり、クレジットカード取引では、クレジットカード会員の個人的信用力に基づいて無担保での信用供与を可能とすることが前提条件となっているのです。
この点、他人名義のクレジットカードの不正使用については、この前提条件を偽ることになり、クレジットカード会社に対する詐欺罪が成立することになります。
もし、BさんがAさんに黙ってAさんの財布からAさん名義のクレジットカードをとり、そのカードを使って買い物をしたとすれば、Aさんの財布からクレジットカードをとったBさんの行為が「窃盗罪」、そしてAさんと偽りクレジットカードを使って商品を購入したBさんの行為が「詐欺罪」となると考えられます。
それでは、Aさん名義のクレジットカードの使用をAさんがBさんに許可していた場合であっても、「詐欺罪」は成立する可能性があるのでしょうか。
詐欺罪とは
まずは、詐欺罪がどのような罪であるのか、詐欺罪が規定されている刑法第246条をみていきましょう。
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件は、次のとおりです。
(1項)①人を欺いて
②財物を
③交付させたこと。
(2項)①人を欺いて
②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと。
つまり、詐欺罪の成立には、「人を欺いて錯誤を生じさせ、その錯誤に基づいて財物・財産上の利益を交付させること」が必要となります。
他人名義のクレジットカードの不正使用について、判例は、名義を偽っていることで作為による詐欺といえ、また、商品の交付が処分行為といえるとして、1項詐欺罪の成立を認めています。
判例は、「クレジットカードの規約上、会員である名義人のみがクレジットカードを利用できるものとされ、加盟店に対しクレジットカードの利用者が会員本人であることの確認義務が課されているなど判示の事実関係の下では、クレジットカードの名義人に成り済まし同カードを利用して商品を購入する行為は、仮に、名義人から同カードの使用を許可されており、かつ、自らの使用に係る同カードの利用代金が規約に従い名義人において決済されるものと誤信していたとしても、詐欺罪にあたる。」としています。(最決平16・2・9)
このように、名義人からクレジットカードの使用を許可されていたとしても、他人名義のクレジットカードを使用することは、詐欺罪に当たる可能性があるのです。
他人名義のクレジットカード不正使用に限らず、思わぬ行為が犯罪となることもあります。
あなたやあなたの家族が、刑事事件の加害者として取調べを受けており対応にお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
横領事件で事件化阻止
横領事件で事件化阻止
横領事件で事件化阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県朝来市にあるクリニックで経理と受付業務を行っていたAさんは、細工をしクリニックのレジから現金を抜き取る行為を繰り返していました。
Aさんは、家庭の事情でクリニックを先日退職しましたが、その後、クリニック側にAさんの不正が発覚し、クリニックからAさんに問い合わせの連絡が入りました。
「全額返してもらえなければ、兵庫県朝来警察署に被害届を出す。」と言われ、困ったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
横領罪とは
刑法上、罪名に「横領」が付くものには、「(単純)横領罪」、「業務上横領罪」、そして「遺失物等横領罪」の3つがあります。
横領罪
第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
本条は、他人の委託に基づいて物を占有している者が、その物を領得する行為を内容とする犯罪です。
本罪の主体は、「他人の物を占有する者」または「公務所の命によって自己の物を保管する者」です。
客体は、「自己の占有する他人の物」または「公務所から保管を命ぜられた」自己の物です。
前者の客体に関して、
①物であること
②自己が占有すること
③その占有が委託に基づくこと
④それが他人の物であること
が必要な要件となります。
ここでいう「占有」とは、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態をいいます。
また、占有が、物の所有者または公務所と、行為者との間の委託信任関係に基づくものであることが必要です。
これは、契約に限らず、事務管理、後見などの法律上の規定による場合にも生じます。
次に本罪の行為である「横領」の意義についてですが、判例・通説では、「委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為」を横領というと解されます。
この「不法領得の意思」の内容については、争いがありますが、判例によれば、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいうとされます。
業務上横領罪
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
業務上横領罪は、業務上自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する犯罪です。
業務上の委託に基づいて他人の物を占有する者を主体とし、上の横領罪の業務者であることによる責任の加重規定です。
「業務」とは、「委託を受けて他人の物を管理(占有・保管)することを内容とする業務を反復継続しておこなう地位」を指します。
例えば、質屋、倉庫業者や職務上金銭を保管する役職員などが業務上の占有者です。
上のケースのように、経理業務も行っていたAさんは、業務上の占有者に当たるため、Aさんに対して成立し得るのは、業務上横領罪となるでしょう。
遺失物等横領罪
第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
「遺失物」とは、占有者の意思によらずにその占有を離れ、いまだ誰の占有にも属してないものをいいます。
「漂流物」は、水中にある遺失物のことです。
「占有を離れた」とは、占有者の意思に基づかないでその占有を離れたことを意味します。
忘れ物、落とし物などがこれらに該当します。
トイレやベンチに置き忘れた財布などをとった場合には、遺失物等横領罪となる可能性があります。
横領罪の事件化阻止
横領罪をはじめとする犯罪を犯し、事件が被害者に発覚すると、多くの場合警察に通報・報告することにより、刑事事件として捜査が開始されることになります。
しかし、横領事件、特に業務上横領事件の場合には、被害者に多大な経済的損害が発生しており、加害者が横領した金額を回収することが被害者にとって最優先事項となることがほとんどです。
警察に被害を訴え、加害者が刑事事件の被疑者・被告人として刑事罰を受けたとしても、加害者が横領した金額がすべて被害者に戻ってくるとも限りません。
ですので、被害者が警察に被害を申告する前に、横領した金額を返済すること(もしくは、返済する約束)が出来れば、被害者が警察に被害届等を出さないと約束してもらえる可能性も十分あるのです。
このように、被害弁償を行う代わりに被害届の提出などを行わないとし、当該事件に関しては当事者間で解決したとする約束を「示談」といいます。
この示談に向けた話し合いは、当事者間で行った場合には、感情論で交渉が円滑に進まないなどのデメリットもありますので、示談交渉には弁護士を介して行うのがよいでしょう。
横領事件でお困りであれば、横領事件も取り扱う刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスについては、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
債務不履行と詐欺罪
債務不履行と詐欺罪
債務不履行と詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、会社の経営がうまくいかず、知り合いから会社の運営資金200万円を借りていました。
しかし、その借金を返すことができないため、知人のVさんから運営資金200万円を借り、経営が軌道に乗れば必ず返済することを約束しました。
その後、Vさんが借金の返済を迫っても、Aさんは、「必ず返す。あともう少し資金があれば、経営がうまくいくんだ。」と更なる借り入れを申し入れる始末でした。
そのうち、VさんはAさんと連絡がとれなくなってしまいました。
いつまで経っても返済する様子がないことに業を煮やしたVさんは、Aさんに対して、債務不履行による損害賠償の請求を裁判所に申し立てました。
それでも何ら連絡のないことに腹を立てたVさんは、「Aさんは元々返すつもりがなく借りたのではないか?」と疑いはじめ、兵庫県宍粟警察署に詐欺の疑いで被害届を提出することにしました。
(フィクションです)
借金を踏み倒すと…
「会社の経営がうまくいかない…」、「生活が苦しい…」等の理由で貸金業者や知人等からお金の借り入れをされた経験がある方も少なくないと思います。
借りる際には、「きちんと借りたお金を返す」と約束するのですが、いつまで経っても貸したお金を返してもらえないというケースも残念ながらあります。
借金を踏み倒した場合、債権者は債務者に対してどのような手段を講じ得るのでしょうか。
1.債務不履行による債務履行請求・損害賠償請求~民事事件~
お金の貸し借りの約束は、債権者と債務者との私人間の約束です。
当該約束内容には、お金を借りた者(債務者)はお金を貸した者(債権者)にいついつまでに借りたお金を返すことが含まれています。
この約束により、債務者には、借りたお金を返す「義務」が生じるわけですが、借りたお金を返さない行為は、その約束に違反する行為、つまり、借金を返済する義務を怠ることとなります。
故意または過失によって自分の債務(この場合の債務は、お金を借りた者がお金を貸した者に借りたお金を返すという義務)を履行(実行)しないことを「債務不履行」といいます。
そして、債務を履行しない場合には、法的な責任=債務不履行責任が債務者に生じます。
債務不履行責任が生じた場合、債権者は債務者に対して、完全な履行を請求すること、契約に基づく債務の場合には契約を解除すること、債務不履行から生じた損害賠償を請求することができます。
よって、お金を貸したがいつまでたっても返済されない場合には、債権者が貸金返金請求(債務履行請求)訴訟や債務不履行により生じた損害賠償請求訴訟を裁判所に起こすことが予想されます。
2.詐欺罪による被害届等の提出~刑事事件~
先述しましたが、借金の貸し借りというのは私人間のやりとりですので、私人間の消費貸借契約から生じた紛争は民事事件として取り扱われます。
しかし、「最初から返すつもりがないにもかかわらず、相手方に返すと嘘をついてお金を借りた」場合に限っては、詐欺罪として刑事事件へ発展する、ということがあります。
詐欺罪は、「人を欺いて財物または財産上不法の利益を詐取する」犯罪です。
詐欺罪の成立には、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転または利益が移転するといった一連の関係性がなければなりません。
借金返済が問題となる場合、①の欺く行為があったかあったのか、つまり、相手方を騙す行為があったのかどうかがポイントとなります。
つまり、返済する意思がない、返済する能力がないにもかかわらず、あるかのように装い、相手方を騙してお金を借りたのであれば、欺罔行為に当たることになります。
実際にはそのような人の心の中を立証することは困難です。
しかし、その時の金銭状況を示す客観的な証拠があれば、返済する意思も能力もなかったことを立証することは可能です。
借金の返済踏み倒しで刑事事件に発展する可能性も0ではありません。
詐欺罪の疑いがかけられている方やご家族が詐欺事件で逮捕されてしまいお困りの方は、今すぐ刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件専門の弁護士による無料法律相談・初回接見サービスをご案内いたします。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
少年事件で保護観察処分
少年事件で保護観察処分
少年事件における保護観察処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県淡路市に住む高齢女性の自宅を訪れ、弁護士の秘書を装い、女性から現金100万円を騙し取ったとして、少年Aくん(17歳)が兵庫県淡路警察署に詐欺罪で逮捕されました。
Aくんは、逮捕・勾留後に家庭裁判所に送致され、少年審判を受けることになりました。
Aくんの両親は、審判で少年院送致が言い渡されるのではないかと不安でなりません。
(フィクションです)
少年と特殊詐欺事件
兵庫県警察によると、兵庫県における特殊詐欺の認知件数は、平成26年度以降増加しており、平成30年中には773件となっています。
交付形態は、振込型や現金送付型は減少する一方、現金手交型、キャッシュカード手交型、電子マネー型が増加しています。
増加している手交型のように、被害者に直接会いに行って現金やキャッシュカードなどを受領する役割は「受け子」と呼ばれており、受け子役は犯罪組織の内部の者ではなく、外部の者に担わせることが多くなっています。
ネットの掲示板などで「高額アルバイト募集」などと謳い外部から特殊詐欺に加担する者を募るわけですが、20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が受け子として事件に関与したケースは少なくありません。
少年は、「荷物を受け取るだけで数万稼げるなんて…」「友人や先輩から誘われたし…」と、安易な気持ちで特殊詐欺に加担してしまうケースが多く見受けられます。
このような特殊詐欺の裏には、犯罪組織が存在しており、最も警察に捕まりやすい「受け子」や「出し子」の役割を少年たちに担わせ、自分たちは足がつかないようにしているのです。
言葉巧みに少年たちを勧誘し、利用する大人たちが背後にいるのです。
特殊詐欺事件における処分傾向
少年(20歳未満の者)が犯罪行為を行った場合、原則、少年法に基づいた手続に従って処分が決定されます。
処分は、家庭裁判所の調査や審判を経て、少年の更生に適したものが下されることになります。
家庭裁判所が言い渡す終局処分には、次のようなものがあります。
①保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事または児童相談所長送致
⑤審判不開始
少年事件であっても、組織的な詐欺に関与したことが疑われる場合には、初犯であっても、逮捕・勾留される可能性が高く、家庭裁判所に送致された後も、そのまま少年鑑別所に収容される割合が高くなっています。
また、勾留と同時に、弁護士以外の者との面会等を禁止する接見禁止が付される可能性もあります。
また、少年に前歴や補導歴がないとしても、終局処分として少年院送致が言い渡される可能性があります。
そのような処分を回避するため、できるだけ早期に弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。
保護観察処分
特殊詐欺の少年事件では、弁護士は、少年院送致を回避し保護観察処分となるよう弁護人・付添人として活動することになります。
保護観察処分は、少年が保護観察官や保護司の指導監督の下、社会内で更生できると判断された場合に付される保護処分です。
保護観察に付された場合、少年は決められた遵守事項を守りながら家庭等で生活し、保護観察官や保護司と定期的に面会し現状報告した上で、彼らから生活や交友関係などについて指導を受けることになります。
保護観察の期間は、原則として、少年が20歳に達するまでです。
ただし、決定時から少年が20歳になるまでの期間が2年に満たない場合は、2年となります。
また、少年の改善更正に役立つと判断される場合には、期間を定めて保護観察を一時的に解除することもあり、保護観察継続の必要性がなくなったと認められるときは、保護観察は解除されます。
少年事件では、付添人である弁護士が、少年が社会内での更生が期待できることを客観的な証拠を提示し、裁判官に説得的に主張するなどの付添人活動を行います。
具体的には、少年が自らの行為を反省しているなど少年自身の更生可能性や、家族や学校・職場の協力を得て少年の周囲の更生環境が整っていることを主張していきます。
お子様が逮捕されてお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年事件・刑事事件を専門とする弁護士が無料法律相談や初回接見を行います。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
ひったくりで窃盗罪?強盗罪?
ひったくりで窃盗罪?強盗罪?
ひったくり行為で成立し得る犯罪(窃盗罪、強盗罪)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県尼崎市や伊丹市などの路上で通行人から現金が入ったかばんを奪ったとして、兵庫県尼崎東警察署は、AさんとBさんを窃盗と強盗致傷の疑いで逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、事件の詳細も分からず対応に困ってしまいました。
(神戸新聞NEXT 2019年8月21日21時12分掲載記事を基にしたフィクションです)
ひったくり行為で成立する犯罪は?
道を歩いている人のカバンを、原付バイクや自転車などに乗った犯人が奪取する「ひったくり」事件は、兵庫県警察によれば、平成30年中兵庫県下では、71件が認知されています。
ひったくりの発生は、主に都市部に集中しており、高齢者や女性を狙ったものが多くなっています。
ひったくりは、その犯行内容により成立する犯罪は異なります。
(1)窃盗罪
AさんとBさんは、自転車の前かごに入れてあったカバンを追い抜きざまにひったくり、Vさんはあっけにとられてしばらく呆然としていました。
このような場合には、「窃盗罪」が適用される可能性が高いでしょう。
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は、
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取した
ことで成立します。
「不法領得の意思」というのは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思」のことをいいます。(大判大4・5・21)
また、「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。(最決昭31・7・3)
窃取の手段や方法は問いませんので、こっそりであっても、ひったくりのようにあからさまであっても構いません。
このように、ひったくりは窃盗罪に当たるケースがほとんどです。
しかし、ひったくる時にうまくバックを盗ることができずに、被害者ともみあった場合には、「窃盗罪」ではなく「強盗罪」となることもあるのです。
(2)強盗罪
AさんとBさんは、カバンを肩に提げて歩いていた歩行者から、カバンをひったくろうとしました。その際に、バックを離さない歩行者を転倒させてしまいました。
このような場合、強盗罪が、被害者に怪我を負わせたのであれば強盗致傷罪が成立する可能性があります。
(強盗)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
強盗罪は、
(1項)①暴行または脅迫を用いて
②他人の財物を
③強取したこと
(2項)①暴行または脅迫を用いて
②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと
により成立する犯罪です。
実行行為の手段である「暴行・脅迫」は、相手方の反抗を抑圧するにたりる程度のものであることが必要となります。(最判昭24・2・8)
ひったくりは、犯行抑圧に向けられた暴行ではなく、暴行を手段とするものであっても窃盗罪にしかなりません。
しかし、暴行の程度如何によっては強盗罪若しくは恐喝罪が成立する可能性はあります。
「強取」とは、暴行・脅迫を用いて相手方の反抗を抑圧し、その意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移す行為をいいます。
強盗罪の法定刑は、5年以上の有期懲役と、窃盗罪のそれよりも重くなっています。
また、強盗により人に怪我を負わせた場合には、強盗致傷罪となり、その法定刑も無期または6年以上の懲役と加重されます。
ひったくりには、被害に遭った方がいらっしゃいますので、重要な刑事弁護活動のひとつに、被害者への被害弁償や示談交渉があげられます。
このような活動には、刑事事件に精通する被害者との示談に豊富な経験を持つ弁護士に依頼するのがよいでしょう。
ご家族がひったくり事件で被疑者として逮捕されてしまったのであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
身柄解放活動③~起訴後~
身柄解放活動③~起訴後~
起訴後の身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県南あわじ市の玉ねぎ農家の玉ねぎ畑に何者かが侵入し、大量の玉ねぎが盗まれるという事件が起きました。
兵庫県南あわじ警察署は、被害届の提出を受けて捜査に乗り出しました。
警察の地道な捜査の結果、県内に住むAさんの犯行であることが判明し、警察はAさんの自宅に赴き、家宅捜索後に窃盗の容疑でAさんを逮捕しました。
逮捕・勾留・勾留延長を経て、神戸地方検察庁洲本支部はAさんを窃盗罪で起訴しました。
(フィクションです)
窃盗事件で起訴されたら~保釈で身柄解放~
逮捕後に、勾留が決定し、10日間もしくは20日間の身体拘束を余儀なくされた場合であっても、起訴後に釈放となる可能性はあります。
それは、「保釈」により身柄解放となる場合です。
「保釈」というのは、一定額の保釈保証金を納付することにより、勾留されている被告人を暫定的に釈放する制度です。
この保釈は、起訴前の段階では利用することが出来ません。
つまり、検察官が被疑者を起訴してから利用できるものです。
保釈には、次の3種類があります。
1.権利保釈(必要的保釈)
第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
裁判所は、保釈の請求があったときは、原則として保釈を許可しなければなりません。
例外として、刑事訴訟法第89条の1号~6号の除外事由がある場合には、請求を却下することができます。
2.裁量保釈(任意的保釈)
第九十条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することができます。
3.義務的保釈
第九十一条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許可しなければなりません。
上記ケースにおいて、Aさんは窃盗罪で起訴されています。
まずは、権利保釈が認められるか検討しましょう。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金ですので、「短期一年以上の懲役」には該当しないので、除外事由1号には当たりません。
Aさんに前科がないとすれば、2号も該当しません。
しかし、問題は3号です。
Aさんが窃盗1件のみで起訴されたとしても、同じ犯罪を複数回(2回以上)繰り返していた場合には「常習」犯とみなされます。
また、法定刑が「長期3年以上の懲役」の罪となっていますので、上限が3年以上である窃盗罪(上限が10年)も含まれますので、3号に該当する可能性はあります。
また、4号の「逃亡・罪証隠滅のおそれ」についても、余罪が複数ある場合や共犯者が複数いる場合など捜査が終了していなければ、罪証隠滅のおそれが高いと判断される可能性があります。
権利保釈が認められない場合であっても、裁量保釈が認められる可能性もあります。
形式的には逃亡・罪証隠滅のおそれが残る場合であっても、その程度が低く、身体拘束によって被る被告人の不利益の程度等を考慮して、裁判所の裁量によって保釈が許可されるのです。
権利保釈と同時に裁量保釈を請求することが出来ますので、弁護人に頼んで両方の保釈を請求してもらうのがよいでしょう。
裁判所に保釈が許可され、保釈保証金を納付すれば、被告人は釈放されることになります。
保釈保証金の額は、犯罪の性質や被告人の資力にもよりますが、窃盗被告事件で被告人の資力もそれほどでない場合は、150~200万円が相場となっています。
出頭を拒んだり、逃亡したりしなければ保釈保証金は、裁判終了後に戻ってきます。
逮捕後に勾留となり、長期間の身体拘束を余儀なくされた場合には、家族や仕事の関係ですぐにでも釈放されることを希望されるものです。
早期の保釈を希望されるのであれば、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件をはじめとする刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こして対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
身柄解放活動②~勾留決定後~
身柄解放活動②~勾留決定後~
勾留決定後の身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県南あわじ市の玉ねぎ農家の玉ねぎ畑に何者かが侵入し、大量の玉ねぎが盗まれるという事件が起きました。
兵庫県南あわじ警察署は、被害届の提出を受けて捜査に乗り出しました。
警察の地道な捜査の結果、県内に住むAさんの犯行であることが判明し、Aさんの自宅に赴き、家宅捜索後に窃盗の容疑でAさんを逮捕しました。
その後、Aさんは神戸地方検察庁洲本支部に送致され、神戸地方裁判所洲本支部はAさんに対して勾留を決定しました。
(フィクションです)
窃盗事件で逮捕されたら~勾留から起訴まで~
上記ケースでは、Aさんは勾留されることになりました。
「勾留」というのは、被疑者または被告人を拘禁する裁判と執行をいいます。
刑罰の一種である「拘留」と読み方は同じですが、意味は異なるので注意が必要です。
拘留は、1日以上30日未満の一定期間、刑事施設に収監する刑罰です。
懲役と違って、所定の作業はありません。
勾留がなされると、検察官が勾留請求をした日から、原則10日間、刑事施設に留置されることになります。
勾留を延長する必要があると検察官が判断した場合には、検察官は裁判官に対して勾留延長の請求を行います。
検察官からの請求を受けた裁判官は、勾留を延長するか否かを決定します。
勾留延長となると、最大で10日間勾留期間が延長されることになり、検察官の最初の勾留請求から20日間の身体拘束となる可能性もあります。
勾留が決定した場合、弁護士は、主に以下のような身柄解放活動を行います。
1.勾留に対する準抗告の申立て
勾留の理由はあっても、勾留の必要性がないとして勾留に対する準抗告の申立が認められることもありますので、勾留が決定した場合には、勾留に対する準抗告申立書を提出します。
「準抗告」というのは、裁判官の裁判や検察官・警察官の処分の取消や変更を裁判所に請求することをいいます。
第429条
裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる。
①忌避の申立を却下する裁判
②勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判
③鑑定のため留置を命ずる裁判
④証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判
⑤身体の検査を受ける者に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判
刑事訴訟法第429条第1項第2号において、勾留に対する準抗告について規定されています。
弁護士は、勾留阻止の際と同様に、勾留の要件を満たさない旨を主張します。
しかし、勾留決定された時点では明らかではなかった事実やその後に被疑者に有利な事情が生じた場合などは、これを新たに証拠として裁判所に提出します。
例えば、勾留決定時には弁護人がおらず、被疑者の釈放を求める切実な事情などが勾留決定の判断の前提となるような記録には現れていなかった場合には、準抗告の申立により被疑者側の事情を明らかにすることになり、勾留の必要性がないと判断されることがあります。
また、勾留決定後に示談交渉が進み示談締結に至るなど、もはや罪証隠滅のおそれがなくなった場合にも、勾留の理由がないとして準抗告が認容されることもあるでしょう。
2.勾留の取消請求
被疑者について、勾留の理由または勾留の必要性がなくなった場合に、「勾留取消請求」を行い、被疑者の身柄解放を求めます。
勾留の取消しについては、刑事訴訟法第87条に規定されます。
刑事訴訟法第87条
勾留の理由又は勾留の必要がなくなったときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
勾留取消請求の場合も、勾留に対する準抗告と同様に、勾留の理由や勾留の必要性がなくなったことを、裏付ける資料と共に具体的に述べる必要があります。
勾留に対する準抗告が1つの勾留に対して1回しか認められないのに対して、勾留取消請求は、事情の変更があれば何度でも認められる点で、勾留に対する準抗告と異なります。
ですので、勾留の理由や勾留の必要性がなくなったというべき事情が生じた場合には、何度でも勾留取消請求を行うことができます。
このように、勾留が決定した場合であっても、身柄解放に向けて動くことで、釈放となる可能性を高めることができます。
ご家族が刑事事件を起こし、逮捕・勾留されてしまいお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡を。
身柄解放活動①~逮捕から勾留まで~
身柄解放活動①~逮捕から勾留まで~
逮捕から勾留までの身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県南あわじ市の玉ねぎ農家の玉ねぎ畑に何者かが侵入し、大量の玉ねぎが盗まれるという事件が起きました。
兵庫県南あわじ警察署は、被害届の提出を受けて捜査に乗り出しました。
警察の地道な捜査の結果、県内に住むAさんの犯行であることが判明し、Aさんの自宅に赴き、家宅捜索後に窃盗の容疑でAさんを逮捕しました。
Aさんは、今後どのような流れになるのか、このまま留置施設に拘束されたままになるのか、気が気でなりません。
(フィクションです)
窃盗事件で逮捕されたら~逮捕から勾留までの流れ~
上記ケースでは、Aさんが玉ねぎ畑に勝手に入り、無断で玉ねぎを盗んでいます。
これらの行為により、窃盗と軽犯罪法違反(立ち入り場所等侵入の罪)が成立することになります。
Aさんは、警察に上の罪を犯したとして逮捕されましたが、その後、Aさんはどうなるのでしょうか。
逮捕から送致まで
Aさんは、逮捕後、兵庫県あわじ警察署で取調べを受けることになります。
警察は、被疑者を逮捕すると、「弁解録取書」を作成します。
この「弁解録取書」には、逮捕事実の認否、認めの場合には動機、弁護人をどうするか否かについてが記載されます。
「弁解録取書」の他に、事件の詳細について聞き取った内容の調書と被疑者の「身上経歴書」が作成されます。
警察は、逮捕から48時間以内に、被疑者を釈放するか、それとも検察に送致するかを決めます。
「送致」とは、刑事事件の被疑者本人や、刑事事件の証拠や資料などを検察官に引き継ぐことをいいます。
警察が被疑者を釈放するか送致するかの判断は、被疑者を留置する必要があるか否かにあります。
更に詳しくいうと、被疑者が犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由があり、被疑者が逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあると疑うに足りる相当な理由がある場合に、検察への送致がなされます。
送致後
兵庫県では、午前中に検察への送致が行われます。
Aさんは、兵庫県南あわじ署を9時頃に出発し、神戸地方検察庁洲本支部に向かいます。
神戸地方検察庁洲本支部は、Aさんの身柄と先述した書類や証拠品などを一緒に検察庁に送致します。
担当検察官は、Aさんと面談します。(これを「弁解録取」といいます。)
その後、担当検察官は、その後も継続してAさんを拘束する必要があると認める場合には、裁判官に対して勾留の請求を行います。(これを「勾留請求」といいます。)
「勾留」というのは、被疑者や被告人を刑事施設に拘束することです。
この「勾留」には、起訴前の勾留(「被疑者勾留」)と起訴後の勾留(「被告人勾留」)の2種類がありますが、ここでは「被疑者勾留」について説明します。
検察官が勾留の必要がないと判断すれば、Aさんは釈放となります。
勾留請求となったAさんは、検察に送致された日の午後に、検察庁から裁判所に身柄を移し、今度は裁判官と面談することになります。(これを「勾留質問」といいます。)
勾留質問を終えた裁判官は、勾留の要件を満たしている場合に、Aさんを勾留するとの決定を出します。
被疑者を勾留するには、勾留の「理由」および、勾留の「必要性」がなければなりません。
勾留の理由
・被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ、
・住所不定、罪証隠滅のおそれ、若しくは逃亡のおそれの少なくとも1つに該当する場合。
勾留の必要性
被疑者を勾留することによって得られる利益と、これによって被る被疑者の不利益を比較衡量した上で、被疑者を勾留する必要がある場合。
これらの要件を満たしている場合に、裁判官は勾留の決定を行います。
身柄解放活動
逮捕から勾留までの段階での身柄解放活動は、弁護士は勾留を阻止することを目標とし行われます。
1.検察に送致された段階
警察がAさんを検察に送致した場合、弁護士は、担当検察官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。
具体的には、Aさんは勾留要件を満たしていない旨を主張した意見書を担当検察官に提出します。
意見書には、Aさん作成の誓約書、Aさんの家族作成の上申書や身元引受書を付せ、客観的に罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを主張します。
これにより、検察官が裁判官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。
2.勾留請求した場合
上の働きかけにもかかわらず、検察官が勾留請求をした場合には、弁護士は、裁判官に対して勾留決定をしないよう働きかけます。
勾留要件をを満たしていない旨を意見書を通じて裁判官に主張します。
検察に送致された日に勾留決定まで行われます。
勾留を阻止するためには、送致から勾留決定までの短期間に上記の活動を行う必要があります。
このような活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。
刑事事件に強い弁護士であれば、刑事事件の流れや提出すべき書面・資料をきちんと把握していますので、素早く的確に動くことが期待されます。
あなたの家族が逮捕されてしまったのであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
勾留阻止を目指して尽力いたします。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
刑罰はどうやって決められるの?
刑罰はどうやって決められるの?
刑罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県洲本市の民家に侵入し、現金20万円と貴金属などを盗んだとして、兵庫県洲本警察署は無職のAさんを窃盗と住居侵入の容疑で逮捕しました。
Aさんは容疑を認めていますが、どのような刑罰が科せられるのか不安です。
Aさんは、接見にやってきた弁護士に、どのような刑罰が科せられる可能性があるのか聞こうと考えています。
(フィクションです)
刑罰の種類
刑罰には、死刑、懲役、罰金、拘留、科料の5種類があります。
刑の重さは、上の並び順となります。
逮捕に引き続き行われる「勾留」と、刑罰としての「拘留」とは異なりますので、ご留意ください。
刑法を含めた刑罰法令は、「この罪名で有罪となった場合には、この範囲内で刑罰を科すことができる」と定めており、この法律に記載のある刑罰を「法定刑」と呼んでいます。
上記の事例でみていると、
刑法第235条 窃盗 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
刑法第130条 住居侵入 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
という形で法定刑が定められています。
法定刑は、あくまで、罪名と刑の対応となります。
そのため、具体的に事件の内容によって実際にどのような刑の範囲が適当かは異なります。
例えば、複数の事件が同時に発生した場合には、どのような範囲で刑を科せばよいかが問題となります。
法律では、具体的事件の形に合わせて、実際に処罰することが可能な刑の範囲を定めます。
この範囲を「処断刑」といいます。
処断刑の定め方は、いろいろありますが、今回は複数の事件がある場合の刑の定め方についてみていきます。
(1)原則(併合罪加重)
原則として、複数の事件が発生した場合、以下のような形で処罰します。
・最も重い法定刑が定められている罪で処罰する。
・刑の範囲は、法定刑を基準に、懲役であれば1.5倍、罰金であれば複数の罪の合計額を限度とします。ただし、懲役の場合には、元の罪の懲役の合計を超えてはなりません。
このような処罰の形を「併合罪加重」といいます。
(2)例外
併合罪加重は原則ですが、法律は様々な例外についても定めています。
a 牽連犯
2つの行為が目的と手段の関係にある場合には、併合罪加重はせず、重い方の罪の法定刑を遮断刑とするとされています。
これを「牽連犯」といいます。
例えば、上記ケースのように家に入って盗みをした場合には、住居侵入と窃盗が成立しますが、目的(窃盗)と手段(住居侵入)の関係にあるので、処断刑は、窃盗の罪の法定刑がそのまま用いられることになります。
b 包括一罪
法律に定めはありませんが、同じ目的をもって、時間的場所的に近接している状況で、同じ事件を反復継続して起こしている場合には、まとめて1罪として処罰します。
街頭募金詐欺は、被害者は募金をした一人ひとりなので、複数の詐欺罪が成立することになりますが、同じ場所で同じ時間、同じ目的で詐欺をしていますので、まとめて1つの詐欺罪として扱われた事例があります。
このように、実際にどのような刑が科せられるかは、起こした事件の内容により異なります。
刑事事件を起こし、どのような罪に問われ、どのような刑罰が科され得るのかご不安な方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
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