ひったくりで窃盗罪?強盗罪?

2019-09-08

ひったくりで窃盗罪?強盗罪?

ひったくり行為で成立し得る犯罪(窃盗罪強盗罪)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市や伊丹市などの路上で通行人から現金が入ったかばんを奪ったとして、兵庫県尼崎東警察署は、AさんとBさんを窃盗強盗致傷の疑いで逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、事件の詳細も分からず対応に困ってしまいました。
(神戸新聞NEXT 2019年8月21日21時12分掲載記事を基にしたフィクションです)

ひったくり行為で成立する犯罪は?

道を歩いている人のカバンを、原付バイクや自転車などに乗った犯人が奪取する「ひったくり」事件は、兵庫県警察によれば、平成30年中兵庫県下では、71件が認知されています。
ひったくりの発生は、主に都市部に集中しており、高齢者や女性を狙ったものが多くなっています。
ひったくりは、その犯行内容により成立する犯罪は異なります。

(1)窃盗罪

AさんとBさんは、自転車の前かごに入れてあったカバンを追い抜きざまにひったくり、Vさんはあっけにとられてしばらく呆然としていました。

このような場合には、「窃盗罪」が適用される可能性が高いでしょう。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取した
ことで成立します。
「不法領得の意思」というのは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思」のことをいいます。(大判大4・5・21)
また、「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。(最決昭31・7・3)
窃取の手段や方法は問いませんので、こっそりであっても、ひったくりのようにあからさまであっても構いません。

このように、ひったくり窃盗罪に当たるケースがほとんどです。
しかし、ひったくる時にうまくバックを盗ることができずに、被害者ともみあった場合には、「窃盗罪」ではなく「強盗罪」となることもあるのです。

(2)強盗罪

AさんとBさんは、カバンを肩に提げて歩いていた歩行者から、カバンをひったくろうとしました。その際に、バックを離さない歩行者を転倒させてしまいました。

このような場合、強盗罪が、被害者に怪我を負わせたのであれば強盗致傷罪が成立する可能性があります。

(強盗)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗罪は、
(1項)①暴行または脅迫を用いて
    ②他人の財物を
    ③強取したこと
(2項)①暴行または脅迫を用いて
    ②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと
により成立する犯罪です。
実行行為の手段である「暴行・脅迫」は、相手方の反抗を抑圧するにたりる程度のものであることが必要となります。(最判昭24・2・8)
ひったくりは、犯行抑圧に向けられた暴行ではなく、暴行を手段とするものであっても窃盗罪にしかなりません。
しかし、暴行の程度如何によっては強盗罪若しくは恐喝罪が成立する可能性はあります。
「強取」とは、暴行・脅迫を用いて相手方の反抗を抑圧し、その意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移す行為をいいます。
強盗罪の法定刑は、5年以上の有期懲役と、窃盗罪のそれよりも重くなっています。
また、強盗により人に怪我を負わせた場合には、強盗致傷罪となり、その法定刑も無期または6年以上の懲役と加重されます。

ひったくりには、被害に遭った方がいらっしゃいますので、重要な刑事弁護活動のひとつに、被害者への被害弁償や示談交渉があげられます。
このような活動には、刑事事件に精通する被害者との示談に豊富な経験を持つ弁護士に依頼するのがよいでしょう。

ご家族がひったくり事件で被疑者として逮捕されてしまったのであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。