Archive for the ‘未分類’ Category

少年保護事件と観護措置

2019-10-21

少年保護事件と観護措置

少年保護事件観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県丹波市に住むAくん(16歳)は、同級生の女子児童に対して無理わいせつな行為をしたとして、兵庫県丹波警察署に強制わいせつの容疑で逮捕されました。
その後、勾留され、神戸家庭裁判所に送致後、観護措置がとられました。
(フィクションです)

観護措置について

観護措置」というのは、家庭裁判所が調査や審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、少年の心身の鑑別をしたり、緊急に少年の保護が必要である場合に、終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。

この観護措置には、2種類あります。
ひとつめが、家庭裁判所調査官の保護に付する措置です。
これを「調査官観護(または在宅観護)」といいます。
調査官観護は、少年の身柄を拘束することなく、少年を家庭等に置いたまま、調査官が随時少年と接触しながら、調査官の人格的影響力により、少年に一種の心理的拘束を与えることなどにより、観護の目的を達成しようとするものです。
しかし、調査官観護は、少年の身柄の保全としての実効性に乏しく、実務上調査官観護はめったにとられることはありません。

ふたつめは、少年鑑別所に送致する措置で、単に「観護措置」といったり「収容観護」と呼んだりします。
実務上は、「観護措置」といえば少年鑑別所に収容する措置を指すことが通例となっています。
観護措置は、少年を少年鑑別所に送致し、現実に少年を少年鑑別所に収容し身柄を保全しようとするものです。
少年鑑別所は、観護措置により送致された者等を収容し、医学・心理学・教育学・社会学その他の専門的知識及び技術に基づいて少年の鑑別を行うとともに、必要な監護処遇等を行うため、法務大臣の管理する国立の施設です。

観護措置の要件

観護措置は、少年保護事件の継続している家庭裁判所が、適正妥当な調査・審判を行うために少年の身柄を保全する措置です。
この観護措置は、「審判を行うため必要があるとき」にとり得ることができると抽象的かつ包括的に少年法第17条1項に規定されています。
このように条項の文言では観護措置の要件は明らかではありませんが、実務上では、次のような要件が必要であると言われています。

1.審判条件があること

観護措置は、審判を行うためにとられる措置であるので、審判条件がある場合でなければなりません。

2.少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること

観護措置は、少年の意に反してその身柄を拘束する強制的措置であることから、人権保障の観点から非行事実の存在について、勾留の場合と同様の心証が必要であるとされています。

3.審判を行う蓋然性があること

観護措置は「審判を行うため必要があるとき」とされていることから、審判を行う蓋然性のある場合でなければなりません。

4.観護措置の必要性が認められること

観護措置をとる実質的な必要性として、次の事由のうちいずれかの事由が存在していればよいとされています。
(ア)調査、審判及び決定の執行を円滑かつ確実に行うため、少年の身柄を拘束する必要があること。
具体的にいえば、勾留の理由と同様に、住所不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかに該当し、身柄を確保する必要性があることです。
(イ)緊急的に少年の保護が必要であること。
少年が保護を必要とする状態にある場合、これを放置するのは相当ではなく、終局決定に至る間においても保護的措置をとる必要があります。
例えば、自殺自傷のおそれがある場合、家庭環境が劣悪で、家庭で虐待を受けたり悪影響を受けるおそれがある場合、不良集団等の影響により審判までに少年の非行性が急速に進行するおそれがある場合などです。
(ウ)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。
心身鑑別の必要性とは、少年の更生に向けて、相応の心理検査や継続的な行動観察を踏まえて、その有する問題性全般について詳細な鑑別を行う必要性が高い場合をいうとされています。
心身鑑別に必要性のみで観護措置がとれるかについては、これを否定する見解もありますが、これを肯定するのが通説となっています。

観護措置は、家庭裁判所に事件が係属中であれば、いつでもとることができます。
一般的には、逮捕・勾留により身柄拘束中の少年の事件の場合は、当該事件が家庭裁判所に送致されたときに観護措置をとることが多くなっています。
逮捕・勾留されていな少年であっても、家庭裁判所に送致された後に、観護措置をとる必要性が認められれば、観護措置がとられる可能性もあります。

観護措置において、少年鑑別所に収容する期間は、原則2週間、更新が必要な場合にはさらに2週間更新されることになります。
しかし、実務上は、少年鑑別所において行われる行動観察や心身鑑別に相当の日時を要することから、通常の事件については、1回更新することが多く、ほとんどの事件で収容期間は1か月ほどとなっています。

このような長期間少年鑑別所に収容されることになると、当然少年が社会に戻った後の生活にも影響が出てきます。
ですので、不要不当な身体拘束は回避する必要があります。
一方、観護措置の趣旨は、少年の心情の安定を図りながら心身鑑別等を行うことにあることを考慮すると、少年にとって外界から離れた環境で事件や自分自身と静かにゆっくりと向き合うことができる重要な機会とも言えます。
どちらが少年の更生にとって適切であるかは、少年や事件によっても異なりますので、少年事件に詳しい弁護士にぜひご相談ください。

お子様が事件を起こしてしまい対応にお困りであれば、少年事件・刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

ぐ犯少年と家庭裁判所

2019-10-20

ぐ犯少年と家庭裁判所

ぐ犯少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宍粟市に住むAさんは、現在公立中学の3年生です。
Aさんは、2年生の3学期から学校に行かず、夜遅くまで遊び回り、両親の再三の注意にも耳を貸さず、春からは家出をし、反社会的組織の一員であるBの自宅に寄宿しています。
Aさんは、生活費を稼ぐため、Bの仲介のもと売春を行っていました。
その事件でAさんは警察官に補導され、ぐ犯少年として神戸家庭裁判所姫路支部に送致されました。
(フィクションです)

家庭裁判所が取り扱う非行少年の事件を少年保護事件といいます。
家庭裁判所は、審判において、非行を犯したとされる少年について非行の事実があったか否かを確認し、非行を犯した少年に対して、その性格や環境の問題点に応じて、処分を決定します。
審判の対象となる少年は、
①審判の時に20歳未満である者で、②非行のある少年
です。
非行少年は、次の3つの分類されます。

(1)犯罪少年
犯罪少年は、罪を犯した少年です。

(2)触法少年
触法少年は、刑罰法令に反する行為を行った14歳未満の少年です。
刑法では、14歳未満の者は責任能力のない者として扱われますので、本来は犯罪となる行為を行ったとしても責任能力がないため犯罪は成立しません。
そのため、捜査機関に逮捕されることはありませんが、都道府県知事または児童相談所長から家庭裁判所に送致された場合、家庭裁判所は「触法少年」の少年保護事件として取り扱うことになります。

(3)ぐ犯少年
ぐ犯少年は、犯罪とはならないけれども、「ぐ犯事由」に該当し、その性格や環境から将来罪を犯すおそれがある少年です。
このようなぐ犯少年家庭裁判所の審判に付するとしているのは、今は未だ犯罪や刑罰法令に触れるような行為を行っていない不良少年を早期に発見し、少年の行状、性格、環境等から犯罪的危険性が察知される場合には、少年の適切な保護を加え、少年の健全な育成を図るとともに、犯罪の発生を未然に防止する目的です。

「ぐ犯事由」は、以下の通りです。

ア)保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
少年が、自身に保護者の監督を必要とする行状があるにもかかわらず、保護者の法律上、社会通念上正当な監督に服しない行動傾向があること。
イ)正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
少年が家庭に寄りつかないことが、その家庭の実体からして別段非難するに値しない場合には、正当な理由がないとは言えません。
例えば、虐待が行われているなどの理由で家に帰らない場合は、この事由に該当しません。
ウ)犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
例えば、反社会的集団に加わっていたり、不良仲間と付き合っている、若しくは、不良のたまり場や不健全な遊興施設等に出入りすること。
エ)自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
性格的な危険性を示す事由であり、社会的倫理的な通念に外れる行為をすること。

ぐ犯事由は、いずれも一定期間にわたる行状、性癖を指します。
ぐ犯事由があるというためには、上の1つでも該当すれば足ります。

罪を犯すおそれ(「ぐ犯性」)については、その内容は、少年の性格や環境に照らして、抽象的、一般的にみて将来少年が特定の犯罪を犯す可能性があると予測できるという程度では十分ではなく、将来当該少年が特定の犯罪を犯す蓋然性が高いと認められることが必要です。

上記ケースでは、Aさんは家出をし、反社会的組織に属する者の下、売春をしてお金を稼いでいました。
Aさん自身は罪を犯していませんが、両親の監督に服さない、犯罪性のある人物と交際している、売春行為を行っているなど、複数のぐ犯事由に該当しています。
また、Bと生活を共にしており、Bの指示の下売春に手を出しており、このままではBと共謀して犯罪を起こす可能性も高いと言えるでしょう。
このような状況下では、警察はAさんを児童相談所を経由せず直接家庭裁判所に送致する可能性も大いにあります。

お子様がぐ犯少年として家庭裁判所に送致されて対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで!

少年の刑事事件~家庭裁判所送致前~

2019-10-19

少年の刑事事件~家庭裁判所送致前~

家庭裁判所送致前少年刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市長田区の路上で、帰宅途中の女性に対して背後から抱きつき、胸などを触るなどしたとして、同市に住む中学生のAくん(14歳)が兵庫県長田警察署に強制わいせつの疑いで逮捕されました。
逮捕後、Aくんは勾留に代わる観護措置で神戸少年鑑別所に収容されることになったと連絡を受けたAくんの両親は、今後どのような流れになるのか分からず少年事件に詳しい弁護士に相談の連絡を入れました。
(フィクションです)

少年法第1条は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して保護処分を行うとともに、少年刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする旨を規定しています。

少年の犯罪事件は、原則、成人の刑事事件の場合と同様に被疑事件として捜査機関による捜査が行われ、その後、全事件が家庭裁判所送致されます。
これを「全件送致主義」といいます。
少年法は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合及び犯罪の嫌疑はなくとも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、全ての事件を家庭裁判所送致することを義務付けています。
これは、非行事実が軽微なものであったとしても、その背後には様々な問題がある場合が多いため、家庭裁判所に全ての事件を送致させ、そこで行われる少年に対する調査を踏まえて保護処分と刑事処分のいずれが相当かを判断させようという趣旨に基づくものです。
ただし、犯罪の嫌疑がなく、ぐ犯少年にも該当しないときには、不起訴処分に付されることもあります。

少年刑事事件というのは、「少年の犯罪事件」が
家庭裁判所送致される以前の段階における少年の被疑事件
家庭裁判所から検察官への逆送から刑事裁判所へ公訴を提起される以前の段階における少年の被疑事件
③公訴提起後の被告事件
をいいます。

20歳未満の者であっても、犯罪を犯したと疑われる場合には、成人の場合と同様に逮捕されることがあります。
犯罪を犯した少年を「犯罪少年」といいます。
ただし、14歳未満の者は、刑事責任を問われませんので、犯罪とはならず逮捕されることもありません。
(もちろん、都道府県知事または児童相談所長から家庭裁判所送致されると、少年審判を受け保護処分が言い渡される可能性はあります。)
犯罪を犯した14歳未満の少年を「触法少年」と呼びます。

犯罪少年が警察に逮捕された後の流れは、基本的に成人の刑事事件と同じです。
逮捕から48時間以内に、検察に送致される、若しくは釈放されます。
検察に送致されると、検察官は少年の身柄を受けてから24時間以内に裁判官に対して勾留請求をする、あるいは釈放するかを決めます。
勾留請求を受けた裁判官は、少年と面談した上で、少年を勾留するか釈放するかを判断します。
勾留となった場合には、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、勾留延長が認められると最大で20日間身柄が拘束されることになります。

勾留に代わる観護措置について

少年法は、刑法、刑事訴訟法、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律等の一般法に対する特則を定めている。
身体拘束に関するものでいえば、「拘留に代わる観護措置」の手続が設けられています。

検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して、勾留に代わる観護措置を請求することができ、裁判官は、当該措置をとることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されていますが、以下の点が勾留と異なります。
・身体拘束を伴う少年鑑別所収容の観護措置のほかに、家庭裁判所調査官による観護措置の方法もとることができるとされています。
・勾留は延長することができるのに対し、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求した日から10日で、延長は認められません。
・勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容されていた事件が家庭裁判所送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。

少年事件の場合、成人の刑事事件の手続と異なる点もありますので、少年事件については専門の弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡を!

検察官の事件処理~不起訴処分~

2019-10-18

検察官の事件処理~不起訴処分~

不起訴処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、SNSを通じて知り合った中学生のVさんに、裸の自撮り画像をAさんの携帯に送信させたとして、児童ポルノ規制法違反の疑いで兵庫県赤穂警察署に逮捕されました。
Aさんは容疑を認めており、なんとか不起訴で事件が終了できないものかと悩んでいます。
(フィクションです)

検察官事件処理には、終局処分と中間処分とがあります。
そして、終局処分には、起訴処分と不起訴処分があります。
不起訴処分とは、検察官が公訴を提起しないとする処分のことです。
公訴を提起するか否かの決定権限は、検察官にあります。
検察官が起訴しないとする不起訴処分には、主に以下のような種類があります。

1.罪とならず

被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき、または犯罪の成立を阻却する事由のあることが証拠上明確な時にする処分をいいます。
被疑者が被疑事実とされる行為の行為者であった場合でも、その行為が犯罪構成要件に該当しないとき、又は被疑者に責任阻却事由、あるいは法令若しくは正当の業務に基づく行為、正当防衛、緊急避難、盗犯等の防止及び処分に関する法律第1条第1項、第2項該当などの違法性阻却事由のあることが明白となったとき、つまりその行為が犯罪に当たらないことが明らかな場合に限って行われる処分です。

2.嫌疑なし

被疑事実につき、被疑者がその行為者でないことが明白なとき、またあ犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なときに行う処分です。
例えば、真犯人が現れたとき、被疑者が行為者であるという唯一の証拠であった目撃者の供述が虚偽であることが明らかになった場合などがこれに当たります。

3.嫌疑不十分

被疑事実について、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なときに行う処分です。
例えば、正当防衛に該当することが明らかな場合には「罪とならず」となりますが、防衛の程度を超えた疑いがあり、かつ、その証拠が十分でない場合には「嫌疑不十分」と裁定されます。

4.親告罪の告訴取り下げ

親告罪の告訴が取り下げられた場合、検察官は告訴なく公訴を提起することはできませんので、訴訟条件を欠くため、不起訴処分とします。

5.起訴猶予

被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格、年令及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに行う処分です。
刑事訴訟法第248条は、起訴猶予処分に付することについて、一応の基準を示しています。

第二百四十八条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

しかし、その裁量は検察官に任せています。

不起訴処分を獲得するために

上記ケースのような被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かといった点が、不起訴処分を獲得する上では非常に重要です。
親告罪では、被害者との示談を成立させ、告訴を提起しない若しくは告訴を取り下げてもらうことで、検察官不起訴処分としますし、親告罪でない場合でも、被害者との示談の有無は検察官が起訴・不起訴を判断する上で重量な考慮要素となります。
ですので、刑事事件を起こしてしまったら、早期に被害者との示談交渉を開始する必要があるのです。

しかし、被害者との示談交渉を加害者やその家族が直接行うことはお勧めできません。
一般的に、被害者は加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、加害者に連絡先を教えることはあまり多くありませんし、仮に連絡先を教えたとしても、当事者同士の交渉は感情的になりやすく交渉が難航する傾向にあります。
被害者との示談交渉は、弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士限りであれば連絡先を教えてもよいと回答する被害者も多く、被害者の連絡先を教えてもらえる可能性があります。
また、弁護士を介することで、冷静な話し合いができ、示談を円滑に成立させることも期待できるでしょう。

示談交渉を弁護士に依頼することで、このようなメリットがあります。

刑事事件を起こし、被害者対応にお悩みであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
これまで数多くの示談交渉を行ってきた刑事事件専門弁護士が無料で法律相談を行います。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

検察官の事件処理~起訴処分~

2019-10-17

検察官の事件処理~起訴処分~

~ケース~
兵庫県加古川市の居酒屋で隣同士になったAさんとBさんは、些細なことから言い争いになりました。
Bさんは、Aさんに「やれるもんやったらやってみい!」と挑発的な言葉を発したため、AさんはBさんの脚を蹴りました。
それに対してBさんもAさんの左腕を殴るなど、両者殴り合いの喧嘩となりました。
店員が止めに入りましたが、喧嘩はおさまる様子はなかったので、店長は兵庫県加古川警察署に通報しました。
警察からは、Aさんと示談することを勧められましたが、AさんはBさんも自分を殴っていたのだからBさんに謝罪する気持ちなどありませんでした。
ある日、Aさんは検察官から呼び出され、略式手続について説明を受けました。
(フィクションです)

検察官による事件処理

警察から検察に送致された事件は、検察官処理することになります。
検察官による処理には、中間処分と終局処分とがあります。

中間処分とは、終局処分にむけて処理を保留し、または別の検察官処理をゆだねる処分のことで、中止処分と移送処分とがあります。

終局処分とは、検察官による終結的な処理のことで、成人の刑事事件の場合、起訴処分、そして不起訴処分とがあります。

起訴処分

起訴するかどうかを決定するのは、検察官です。
捜査の結果、有罪を立証するのに十分な証拠があると判断した場合に、検察官は公訴を提起します。
公訴の提起とは、裁判所に対して審判を求める意思表示をいいます。
検察官が裁判所に対して起訴状を提出することによって行います。
公訴の提起には、次のような種類があります。
①公判請求
②即決裁判手続の申立て
③略式命令の請求

(1)公判請求
検察官が公訴を提起し、公判を請求することです。
検察官が公判を請求すると、正式な裁判が開かれ、有罪無罪が審理され、有罪の場合には刑事罰を言い渡されます。

(2)即決裁判手続の申立て
即決裁判手続とは、争いのない簡易明白な事件につき、簡易かつ迅速な裁判を可能とする簡易な手続です。
検察官は、事案が明白かつ軽微であること、証拠調べの速やかな終了が見込まれることなどの事情を考慮して相当と認める場合に、即決裁判手続の申立てを行います。
検察官が公判請求すると同時に、即決裁判手続が申し立てられます。
当該手続を申し立てるには、事前に被疑者の同意と弁護人の同意を得ておかなければなりません。
「即決」裁判で、即日判決が原則です。
また、懲役・禁錮を言い渡す場合は、刑の執行を猶予しなければなりません。

(3)略式命令の請求
検察官の請求を受けて、簡易裁判所は、公判を開かずに書面審理によって、簡易裁判所が管轄する事件について、100万円以下の罰金または科料を科すことができます。(略式手続)
簡易裁判所が言い渡す裁判を「略式命令」といい、検察官が行う請求を「略式命令請求」といいます。
略式手続の特徴は、公判を開くことなく、書面だけの審理が行われる点です。
略式手続を踏むためには、検察官は、あらかじめ被疑者に対して、略式手続について説明し、略式手続で行うことに異議がないか確認し、書面にて異議がないことを明らかにしなければなりません。

検察官に公訴を提起され、有罪判決により刑が言い渡されると、「前科」がつくことになります。
「前科」というのは、法律的には定まった定義はありませんが、一般的に「前に刑に処せられた事実」を指します。
「前に刑に処せられた」というのは、全ての有罪の確定判決をいい、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料だけでなく、刑の免除、刑の執行免除が言い渡された場合も含みます。

検察官起訴されて前科が付くことを回避するためには、検察官が不起訴処分とすることが望ましいでしょう。
そのためには、早期に弁護士に相談・依頼し、被害者との示談を成立させる等、不起訴処分となるよう動くことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡を!

警察における処理~微罪処分と簡易送致~

2019-10-16

警察における処理~微罪処分と簡易送致~

微罪処分簡易送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西脇市にあるスーパーで商品4点(計3000円相当)を万引きしたとして、Aさんは店の外に出た際に、警備員に取り押さえられました。
Aさんは、兵庫県西脇警察署で取り調べを受けましたが、その日に釈放されました。
Aさんは、警察から「また呼び出すかもしれない。連絡がとれるようにはしておくように。」とだけ言われましたが、数か月なんの連絡もありません。
この先どうなるのか心配になったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

捜査が終結すると~警察での事件処理~

捜査が開始され、その捜査にも一応の目途がつくと、捜査は終結します。
捜査は、警察または検察官が処理することで終結することになります。
今回は、警察における事件処理についてみていきましょう。

警察が犯罪の捜査をした場合、ある一定の場合以外は、速やかに書類や証拠物とともに事件を検察官に送致することになっています。
その例外として、
①告訴・告発・自首を受けた事件
②身柄拘束の法定期間からくる例外
③少年法41条による例外
微罪処分
簡易送致
とがあります。

微罪処分について

犯罪が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについて、警察は、事件を送致しないことができます。(刑事訴訟法246条但書、捜査規範198条)
この処分を「微罪処分」といいます。
どの事件が微罪処分の対象となるかは、検事総長の通達に基づいて、各地方検察庁のトップである検事正が一般的指示の形で決まります。
対象となる事件は、各地方検察庁により異なりますが、概ね、被害額や犯情などが軽微であり再犯のおそれがない、窃盗、詐欺、横領、盗品等譲受け等、賭博といったものです。

簡易送致について

簡易送致は、微罪処分に似ていますが、少年事件について行われるものです。
検察官または家庭裁判所があらかじめ指定した事件であり、事実が極めて軽微で、再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないものについては、通常の送致の手続をとりません。
簡易送致では、少年事件簡易送致書というものを作成し、1か月分まとめて検察官あるいは家庭裁判所に送致します。

微罪処分簡易送致ともに、警察段階で事件が終了していますので、前科がつくことはありません。
「前科」というのは、検察官に起訴され、裁判所に有罪判決で刑が言い渡された事実です。
略式起訴で略式命令を受け罰金刑となった場合も、正式裁判で有罪判決(執行猶予判決を含む)を言い渡されたも、前科がつくことになります。
微罪処分簡易送致で事件が終了した場合、「前科」はつかなくとも、「前歴」はつくことに注意が必要です。
「前歴」とは、刑事事件の被疑者として捜査対象となった事実です。
前歴については、警察および検察の管理するデータに保存されますので、次回犯罪を起こしてしまった場合には、初犯として扱われることはありません。

あなたやあなたの家族が刑事事件を起こしてしまい、対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

逮捕から勾留決定まで~勾留の要件~

2019-10-13

逮捕から勾留決定まで~勾留の要件~

勾留要件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
ある夜、兵庫県三木市の自宅で晩酌をしていたAさんは、つまみが切れていたことに気が付き、近くのコンビニまで買いに行くことにしました。
Aさんはビール缶1本を飲み干したところでしたが、近所のコンビニまでなら大丈夫だと思い、そのまま自分で運転していくことにしました。
コンビニで買い物を終えて帰宅する途中、交差点を左折した際、手前から横断歩道を渡っていた自転車に気が付かず、自転車と接触し、自転車を横転させてしまいました。
Aさんは、飲酒運転していたことがバレることを恐れ、被害者を救助することなく、その場を後にしました。
後日、兵庫県三木警察署がAさん宅を訪れ、Aさんを逮捕しました。
Aさんは、その後勾留請求のため神戸地方検察庁に送致されましたが、このまま勾留となるのか不安でなりません。
(フィクションです)

逮捕から48時間以内に、警察は被疑者の身柄を解放するか、身柄と証拠書類などを検察に送致するかを決めます。
検察に送致された場合、検察官は被疑者を取り調べた上で、引き続き身柄を拘束し捜査する必要があると判断すれば、裁判官に勾留請求を行い、その必要がないと判断した場合には勾留請求せずに被疑者を釈放します。

勾留の要件とは

勾留」とは、被疑者・被告人の身柄を拘束する裁判とその執行をいいます。
この勾留には、「被疑者勾留」(起訴前勾留)と「被告人勾留」(起訴後勾留)とがあります。
ここでは、前者について説明していきます。

勾留要件は、次のとおりです。
①勾留の理由
②勾留の必要性

1.勾留の理由

勾留の理由というのは、(ア)被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」、および、(イ)住所不定、罪証隠滅、逃亡のおそれのいずれかがあることをです。

2.勾留の必要性

勾留の必要性は、事案の軽重、捜査の進展の程度、被疑者の年令や身体の状況等から判断した「勾留の相当性」です。

被疑者勾留は、検察官の請求を受けて、裁判官が勾留状を発することにより行われます。
勾留請求を受けた裁判官は、被疑者に対し被疑「事件を告げこれに関する陳述を聴」かなければなりません。
これを「勾留質問」といいます。
検察官が裁判官に勾留請求した後、被疑者の身柄は検察庁から裁判所に移されます。
裁判所では、被疑者は公正中立な立場にある裁判官と面談し、事件についての弁解を聴いてもらうことになります。
裁判官は、勾留質問を行った上で、勾留の要件を満たさないと判断した場合には、検察官の勾留請求を却下し、被疑者を釈放します。
一方、勾留要件を満たすと判断されれば、勾留状を発します。

勾留期間は、原則として、検察官が勾留請求をした日から10日間です。
また、検察官は、裁判官に対して、勾留期間延長の請求をすることができ、裁判官は、「やむを得ない事由がある」と認めるときは、勾留期間を延長することができます。
勾留延長は、10日を超えない範囲で認められますので、最大で勾留期間は20日となります。

兵庫県では、検察へ送致された日に勾留決定までが行われます。
たった一日で、その後の身体拘束の如何が決まってしまうのです。
逮捕された日からであれば、長くて3日、多くの場合は2日で勾留まで決まってしまいます。
逮捕された!」と驚いていると、あっという間に勾留となり、長期間の身体拘束を余儀なくされてしまう可能性があるのです。

ですので、逮捕されたら、できる限り早い段階で弁護士に相談され、身柄解放に動くことが重要です。

弁護士は、勾留が決定する前に、勾留されないよう関係各所に働きかけます。
具体的に言いますと、まずは、検察に送致された段階で、担当検察官と連絡をとり、勾留要件を満たさない旨を客観的証拠と併せて書面にて担当検察官に対して説得的に主張します。
勾留請求後には、裁判官に対して、当該被疑事件において勾留の要件を満たしていないことを書面にて主張し、裁判官が勾留決定しないよう働きかけます。
これらの働きかけは、検察官の勾留請求をする前、裁判官が勾留を決定する前に行わなければ意味がありません。
そのため、刑事事件、特に身柄事件においては、刑事事件に熟知した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りの方、早期身柄解放とならないかご不安であれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881まで今すぐご連絡を!

逮捕から勾留決定まで~取調べ対応~

2019-10-12

逮捕から勾留決定まで~取調べ対応~

逮捕から勾留決定までの取調べ対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市垂水区に住むAさんは、友人と居酒屋で飲んだ後、バーに入りました。
そこで、隣に座ったVさんと意気投合し、次の店に移ろうという話になりました。
しかし、Aさんは、Vさんといい雰囲気になったと思い、その場の流れでホテルに行けると思い、タクシーでホテル街へ向かいました。
Vさんはタクシーで移動中に眠ってしまっており、ホテルへ入る際も、Aさんが肩をかして入店する状態でした。
Aさんは、Vさんの合意があったと思い、性交渉に及びましたが、翌日Aさんが目覚めるとVさんの姿はなく、「合意なく行われた。警察に被害届を出します。」との置手紙が置いてありました。
後日、兵庫県垂水警察署の警察官がAさん宅を訪れ、準強制性交等の疑いでAさんを逮捕しました。
Aさんは、逮捕後あれよあれよという間に勾留決定がなされ、今後どのような流れになるのかとても不安になってきました。
(フィクションです)

刑事事件で逮捕されたら

逮捕から検察への送致まで

Aさんは、「強制性交等罪」という犯罪を犯した疑いで警察に逮捕されました。
Aさんの身柄は警察署に移され、警察署で取調べを受けることになります。
この取調べで供述した内容は、「調書」として記録されます。
調書は、検察にも送られる資料で、刑事裁判となった場合には証拠として取り扱われ得る重要なものです。
逮捕された直後に作成される調書は、「弁解録取書」と「身上経歴調書」です。
前者は、被疑者の事件についての弁解を記すものです。
後者は、被疑者自身のことについて記されており、履歴書のような内容となります。

このように、逮捕されると、すぐに警察による取調べが始まります。
この取調べにおいて、被疑者は必ず取調官の質問に答えなければならないわけではありません。

黙秘権

憲法第38条 
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

刑事訴訟法第198条2項 
前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

取調べに際して、被疑者は自己の意思に反して発言しない権利が保障されています。
どのような場合に黙秘するのがより効果的であるのかはケースにより異なりますでの、弁護士と相談した上で、当該権利を効果的に使われるのがよいでしょう。

また、取調べで被疑者が話した内容が「調書」として記録されることは前述したところですが、その調書に被疑者が署名押印することで、「調書に記載されている内容は被疑者が発言したもので間違いない」ものとして後の裁判で証拠として取り扱われます。
そのような重大な意味を持つものですから、出来上がった調書に署名押印する際にはしっかりとその内容を確認しなければなりません。
この署名押印もまた義務ではありません。
調書の内容が納得できるものでなければ、修正を求めることもできます。
納得できなければ、署名押印を拒否することもできますので、少しでも迷った場合には、署名押印する前に弁護士に相談するのがよいでしょう。

逮捕されたとしても、警察が取調べを行った上で、被疑者の身体拘束を継続する必要がないと判断した場合には、被疑者は釈放されます。
一方、警察が書類とあわせて被疑者の身柄を検察に送った場合には、今度は検察官からの取調べを受けることになります。
これらの判断は、逮捕から48時間以内に行われます。
逮捕により身柄が拘束された場合には、被疑者も多くの不利益を被ることになるので、手続にも厳格な時間的制約が設けられています。

逮捕から勾留決定までの間は、被疑者の家族であっても、原則として被疑者と面会することは出来ません。
しかしながら、弁護士であれば、いつでも逮捕された方と面会(接見)することが可能ですので、ご家族が逮捕されてお困りの方は、すぐに弁護士に接見を依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

取調べ~被疑者の権利:弁護人選任権~

2019-10-10

取調べ~被疑者の権利:弁護人選任権~

被疑者の権利弁護人選任権)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市の駅構内で、見ず知らずの女性の身体を触ったとして、会社員のAさんは迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
Aさんは兵庫県尼崎南警察署に連れて行かれ取調べを受けています。
(フィクションです)

取調べにおける被疑者の諸権利

あなたが、何らかの罪を犯し、刑事事件の被疑者として捜査の対象となれば、捜査機関からの取調べを受けることになります。
また、身体拘束が必要と判断されれば、逮捕・勾留により長期の身体拘束となる可能性もあります。

被疑者」とは、公訴の提起前において、犯罪の嫌疑により捜査の対象となっている者のことです。
「被告人」は、公訴を提起された者です。
両者とも、刑事訴訟におけるもっとも実質的な当事者として、刑事手続における権利義務の主体となります。

ここでは、取調べに関連した被疑者の権利についてご説明したいと思います。

1.弁護人選任権

弁護人選任権に関して、憲法は次のように定めています。

第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
○2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
○3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

憲法第34条の前段は、身体拘束を受けている者に対して、また憲法第37条3項は、被告人に対して、弁護人選任権を保障しています。
これを受けて、刑事訴訟法は、被告人または被疑者はいつでも弁護人を選任できることを定めています。

第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
○2 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。

被疑者・被告人は、法律知識に乏しく、身体拘束されて活動の自由が奪われている場合が多いため、相手方当事者である検察官と対等の立場で防御活動をすることが困難な立場にいます。
そこで、検察官と同等の法律的能力を持つ弁護人に被疑者・被告人を補助させ、当事者主義を実質的に保障する目的を有しています。

被疑者・被告人が選任する弁護人には、「私選弁護人」と「国選弁護人」の2種類あります。

(1)私選弁護人

「私選弁護人」は、被疑者・被告人またはその一定の関係者が選任した弁護人です。
弁護士費用は自己負担となりますが、被疑者・被告人またはその家族が弁護人を選ぶことができますので、弁護人の専門性や経験、人柄などを考慮して選任することができる点でメリットがあると言えるでしょう。

(2)国選弁護人

「国選弁護人」は、裁判所または裁判長が被告人のために選任した弁護人です。
被疑者・被告人が経済的理由により弁護人を自ら選任することができない場合に、国がその費用で弁護人を付することにより、被疑者・被告人の権利を守ることを目的とする国選弁護制度に基づき、就任した弁護人です。
国選弁護制度には、起訴後の被告人国選弁護と、起訴前の被疑者国選弁護との2つに分けられます。

●被告国選弁護●
被告人は、貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判所に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができます。
被告人が国選弁護人を請求するためには、自身の資力申告書を提出しなければなりません。
資力が50万円に満たない場合には、その請求が認められます。
また、法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件、公判前整理手続若しくは期日間整理手続に付された事件又は即決裁判手続による事件については、既に私選弁護人が選任している場合を除き、裁判所は国選弁護人を選任しなければなりません。

●被疑者国選弁護●
被疑者の国選弁護人の請求は、次の要件を満たす場合に認められます。
・死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮に当たる事件であること。
・被疑者に対して勾留状が発せられていること。
・貧困その他の事由で弁護人を選任することができないこと。
被疑者国選弁護制度は、被疑者が勾留されており、かつ一定の重い事件に限られるため、全ての被疑者に認められるものではありません。

私選弁護人と国選弁護人は、選任方式の違いによる手続上の差異を除けば、基本的な権利義務は同じです。
しかし、被疑者段階においては、身体拘束の有無や起こした事件の種類により国選弁護人を選任することができない場合があります。
上記ケースでは、迷惑防止条例違反事件であり、Aさんは被疑者国選弁護制度の対象外となります。
逮捕後、更なる身体拘束を阻止するため、また早期事件解決のため被害者との示談を成立させるためにも、刑事事件で逮捕されたら早期に弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所(フリーダイヤル0120-631-881)までご連絡ください。

刑事事件で逮捕~現行犯逮捕~

2019-10-09

刑事事件で逮捕~現行犯逮捕~

現行犯逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県篠山市の公園で、下半身を露出した男性がいるとの目撃者からの通報を受けて兵庫県篠山警察署の警察官が現場に駆け付けました。
警察官は、現場にいたAさんに話を聞いたところ容疑を認めたので、公然わいせつの容疑で現行犯逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、このまま身体拘束が長引くと会社をクビになってしまうのではないかと心配し、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

前回まで、3種類ある逮捕のうち「通常逮捕」と「緊急逮捕」について説明しました。
今回は、残りの「現行犯逮捕」についてみていきましょう。

現行犯逮捕について

現行犯逮捕は、現に罪を行っている、あるいは行い終った直後の者の場合に、逮捕状なしに逮捕できるというものです。

現行犯逮捕については、刑事訴訟法第213条に規定されています。

第二百十三条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

現行犯逮捕は、現行犯は逮捕者の面前における犯行であるから、嫌疑が明白で、犯人を誤認して逮捕する危険が少なく、緊急性があるため、令状主義の例外として無令状の逮捕を認められています。

「現行犯人」については、刑事訴訟法第212条で次のように定められています。

第二百十二条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
○2 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。

「現行犯人」の定義について

(1)「現に罪を行う者」
「現に罪を行う」とは、逮捕者の面前で犯罪の実行行為を行いつつある場合をいいます。
「罪」は特定されたものであることが必要となります。

(2)「現に罪を行い終った者」
「現に罪を行い終った」とは、犯罪の実行行為を終了した直後をいいます。
この判断は、時間的接着性および場所的接着性を考慮して行われます。
時間的接着性というのは、犯行と逮捕との間が時間的にそれほど隔たっていないことをいい、場所的接着性は、犯行と逮捕が場所的にも近接していることを指します。

「準現行犯人」の定義について

刑事訴訟法第212条は、その第2項で、現行犯人とみなす者(「準現行犯人」)について規定しています。
準現行犯人は、現行犯人とのものではないけれど、罪を行い終って間がない犯人であることの明白性が価値的に現行犯と同視できることから、現行犯とみなされます。

(1)「罪を行い終ってから間がない」
「間がない」というのは、時間的・場所的に近接した時点をいいます。
「罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるとき」という文言は、刑事訴訟法第212条第2号の各号とあわせて、犯罪と被逮捕者との結びつきが逮捕者に明白であることを必要とします。

①追呼
「犯人として追呼されているとき」というのは、犯人として追われている、或いは呼びかけられている状態です。

②贓物等の所持
「贓物(ゾウブツ)」とは、他人の財産を侵害する犯罪行為によって不法に領得された財物を意味します。
「兇器」とは、人を殺傷し得る器物で、一般人をして危険を感じさせるものであればよいとされます。
この兇器は、「明らかに犯罪の用に供したと思われ」なければなりません。

③犯罪の顕著な証跡
その犯罪を行ったことが外部的に、客観的に明らかといえる痕跡が身体あるいは服に認められる場合です。

④誰何されて逃走
「誰何」という言葉は、相手が何者かわからないときに、呼び止めて問いただすことを意味しますが、ここでは、これに類似する行為も含まれます。

現行犯逮捕は、警察などの捜査機関のほか一般人でも可能です。
一般人が現行犯逮捕した場合、直ちに検察官または司法警察職員に現行犯人を引き渡さなければなりません。

公然わいせつ事件は、目撃者が警察に通報し、現場に駆け付けた警察官が現行犯逮捕するケースが多いです。
刑事事件逮捕されたら、できるだけ早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に動くのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら