Archive for the ‘少年事件’ Category

少年事件の弁護活動:環境調整

2020-01-18

少年事件弁護活動のうち環境調整について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県養父市に住む高校1年生のAくん(16歳)は、高校進学後も中学時代の友人や先輩とつるむことが多く、深夜に公園でたむろしたり、バイクで暴走したりしていました。
仲間の先輩に言われ、原付バイクを盗むようになり、兵庫県養父警察署に窃盗の疑いで逮捕されました。
その後、神戸家庭裁判所豊岡支部に送致され、Aくんの両親はどのように対応すればよいか分からず困っています。
(フィクションです)

少年事件の流れ

少年の被疑事件について、捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑は認められないものの家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予といった捜査機関限りで事件を終了させるといったことは認められていません。

事件が家庭裁判所に送致され、家庭裁判所が事件を受理すると、調査を経て審判期日での審理を行い、終局決定により終了することになります。
審判での審理対象は、「非行事実」と「要保護性」です。
「非行事実」は、刑事裁判における「公訴事実」に当たるものです。
一方、「要保護性」とは、多義的に用いられますが、一般的に次の3つの要素により構成されるものと考えられています。

①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分に寄る矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を除去できる可能性。
③保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。

少年審判では、非行事実とともに要保護性も審理の対象となることから、少年事件では、犯罪行為の軽重がそのまま量刑に影響する成人の刑事事件とは異なり、非行事実が軽微なものであっても、要保護性が高い場合には、少年院送致等の身体拘束を伴う処遇が選択されることもあります。
逆に言えば、非行事実は重い罪名の付くものであっても、要保護性が解消され、社会内での更生を図ることが少年の健全育成のために望ましいと判断されれば、社会内処遇が選択されることもあるのです。

環境調整について

上で述べたように、少年事件において終局決定がなされる際、非行事実のみならず要保護性も審判での審理対象となります。
そのため、要保護性が解消されていると裁判官が判断するように働きかけることが重要な活動となります。
そこでポイントとなるのが「環境調整」です。
環境調整は、保護者の関係の調整、就業先の開拓、帰住先の確保など、少年の社会復帰を円滑にするために少年をとりまく環境を調整することです。

少年が非行を犯した背景に、家庭環境や人間関係がある場合、家族との関係修復を図ったり、悪友との関係を断ち切るなど、少年が社会内で健全に更生していける環境を整えることは、要保護性の解消には必要不可欠です。

少年や事件内容によって、どのような環境調整を行うかは異なりますが、一般的な環境調整は、家庭・学校・職場といった少年をとりまく環境を調整し、少年が事件や自身が抱える問題にきちんと向き合い解決策を見つけられるよう少年の内面への働きかけなどが含まれます。

お子様が事件を起こし、その後の手続や対応方法について分からずお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件で保護観察処分

2020-01-05

少年事件における終局決定の一つである保護観察処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市西区に住むAさん(16歳)は、ツイッターを利用してアイドルのコンサートチケットを詐取したとして、逮捕・勾留されました。
その後、神戸家庭裁判所に送致され、観護措置が取られました。
Aさんの両親は、少年事件に強い弁護士に付添人として活動してほしいと思い、少年事件に精通する弁護士を探しています。
(フィクションです)

少年事件における終局決定

非行事実が認められた場合、家庭裁判所は、要保護性の有無、程度を判断し、最終的な処分を決定します。
最終的な処分の決定(「終局決定」)には、次の5種類があります。
①審判不開始
②不処分
③知事・児童相談所長送致
④検察官送致
⑤保護処分

⑤の保護処分は、非行を行った少年に対し、性格の矯正及び環境の調整を目的として行われる少年法上の中心的処分です。
保護処分には、保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設送致、少年院送致の3種類があります。

保護観察処分

保護観察」は、少年を家庭や職場に置いたまま、保護観察所の行う指導監督と補導援護によって、少年の改善更生を図る社会内処遇です。
保護観察の期間は、対象者が20歳に達するまでとされますが、保護観察が決定した時から20歳になるまで2年に満たない場合には、期間は2年となります。
保護観察期間中であっても、対象者の状態にお医事手、解除や一時解除が認められます。

保護観察も、その内容により、①一般保護観察、②一般短期保護観察、③交通保護観察、③交通短期保護観察、の4種類に分けられます。
ここでは、①一般保護観察、及び、②一般短期保護観察について概観します。

①一般保護観察
一般保護観察は、家庭裁判所で保護観察に付された少年のうち、一般短期保護観察対象者及び交通事件によって保護観察に付された者を除く者が対象となります。
内容は、保護観察官及び保護司による指導監督と補導援護です。
保護観察官は、保護観察が開始される際に処遇方針を示し、必要に応じて介入し保護司に助言指導を与える役割を担います。
保護司は、保護観察官の指示や連絡に従い、少年や家族と連絡を取り合い、処遇及び本人の状況等の経過を書面で定期的に報告し、再犯や所在不明といった少年の心情に重要なことが起こった場合にも報告をします。
保護司は、民間のボランティアで、様々な職種の方がいらっしゃいます。
一般保護観察の解除は、保護観察に付されてから概ね1年が経過した時に検討されます。

②一般短期保護観察
一般短期保護観察の対象者は、交通事件以外の非行により保護観察に付された少年のうち、一般短期保護観察相当の処遇勧告がなされた者です。
一般短期保護観察では、保護観察官が、改善更生のために重要な領域、例えば生活習慣、友人関係など、を一つ設定して、これについて具体的な課題を出し、少年にその履行状況についての報告を受け、それに対し必要な指導や助言を行います。
一般短期保護観察の実施期間は、6~7か月とされており、この期間内に解除されて終了します。

このように、審判において保護観察処分が言い渡されると、少年は家庭や職場に身を置いたまま、定期的に保護観察官や保護司と連絡をとり、現状について報告を行った上で、指導・助言を受けることになります。
収容されることなく社会内で生活を送ることができるため、社会と切り離されることがありません。

家庭裁判所が保護観察を終局決定とするには、裁判官が少年の更生には社会内処遇で足りると判断することが必要です。
逆に言えば、もし、裁判官が当該少年がきちんと更生するには矯正施設に入れる必要があると判断したのであれば、保護観察ではなく少年院や児童自立支援施設・児童養護施設への送致を選ぶ可能性があるのです。
ですので、裁判官に社会内処遇での更生が期待できると判断してもらえるよう、早い段階から適切な働きかけを行うことが重要です。

お子様が事件を起こし、対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、お子様の更生に向けて尽力致します。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル2020まで。

少年事件における示談の効果

2019-12-31

少年事件における示談の効果について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県相生市の商業施設内で、女子中学生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、高校生のAくん(16歳)が逮捕されました。
兵庫県相生警察署からの連絡を受け、Aくんを迎えに来た両親は、すぐにでも被害者の方に謝罪と被害弁償をしたいと思っています。
(フィクションです)

示談とは

示談は、加害者が被害者に対して相応の被害弁償金を支払うことで、被害者は被害届を提出しないなど、今回の事件は当事者間では解決したとする約束のことです。
一言で「示談」といっても、その内容は、単に被害弁償を行ったとするものから、加害者を許し更正に期待するという文言(「宥恕条項」といいます。)が入ったものまで様々です。
告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪の場合であれば、被害者と示談を成立させ、告訴を取り下げる、もしくは告訴をしない約束をしてもらえれば、起訴されることはありません。
また、非親告罪の場合においても、告訴が起訴の前提条件とはなってはいませんが、示談を成立させ被害者から許しを得ている場合であれば、事件の最終的な処分として、起訴をしないとする処分(「不起訴処分」といいます。)として終了する可能性は高くなります。

このように、示談を成立させることで、刑事事件を早期に解決する可能性を高めることができます。

少年事件において示談を成立させることの意義

成人の刑事事件においては、早期に被害者と示談を成立させ、事件を穏便に終了させることはできます。
それでは、少年事件においても同じことが言えるのでしょうか。

少年事件は、原則として、捜査機関が捜査を遂げた結果、少年が犯罪を行ったとの嫌疑がある場合、そして、犯罪の嫌疑は認められないけれども、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
ですので、少年事件においては、成人の刑事事件のように、被害者と示談が成立したからといって、そこで事件が終了することはないのです。

だからといって、被害者との示談をすることに意味がないということではありません。

被害者が事件に対してどのような感情を抱いているかは、審判において処遇を決定する際の一つの考慮要素とされています。
また、家庭裁判所では、少年の保護者が事件に対してどのように向き合い対応したかという部分を見ています。
少年の保護者が示談に消極的であった場合、保護者が十分に事件に向き合っていないと判断され、保護者の監督能力が否定されてしまう可能性があります。

そのため、少年事件であっても示談は重要だと言えるでしょう。

示談の締結は1回限りの行為ですので、加害者本人が直接被害者と行うことには注意が必要です。
まず、加害者が被害者に対して示談をしたいと思っても、被害者と連絡をとることは容易ではありません。
特に、被害者とは全く面識のない場合、警察や検察を通じて被害者の連絡先を教えてもらわなければなりませんが、捜査機関は被害者の連絡先を加害者に直接教えることはあまりありません。
また、被害者は、加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、加害者と直接連絡をとることを望まないケースも多々あります。
ですので、被害者との示談交渉には、弁護士を介して行うことが通常です。
弁護士は、示談交渉を数多く経験しているため、交渉のノウハウを持っています。
示談交渉に優れた弁護士に依頼し、適切な法的サポートを受け、加害者と被害者がお互いに納得できるような示談をしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所の弁護士にお気軽にご相談ください。
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盗撮事件を起こしたら

2019-12-29

盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県高砂市にある駅構内において、Aさんの前に立っていた女性のスカート内にスマートフォンを差し向け盗撮した疑いで、兵庫県高砂警察署に逮捕されました。
逮捕の翌日にAさんは釈放されましたが、警察が押収したスマートフォンやパソコンからは他にも複数の盗撮画像が見つかっており、警察は余罪についても調べる方針です。
釈放されたAさんは、今後の処分について心配になり刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
Aさんは、常習的に盗撮を行っており、本件の事件現場である駅構内だけでなく、勤務先や商業施設などでも行っていたことを弁護士に話しています。
(フィクションです)

盗撮行為で問われ得る罪とは

みなさんご存知の通り、「盗撮」は「犯罪」です。
しかし、日本の法律には、「盗撮罪」なるものはありません。
それでは、盗撮行為を行うとどのような犯罪が成立し得るのでしょうか。

迷惑防止条例違反

各都道府県は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、住民生活の平穏を保持することを目的とした条例を制定しています。
兵庫県は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」を制定しており、盗撮行為を禁止しています。

(卑わいな行為等の禁止)
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

盗撮行為は、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たります。
条例における「卑わいな言動」の意義について、北海道の迷惑防止条例についてではありますが、最高裁は、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言動又は動作」をいうとし、衣服の上から女性の臀部を盗撮する行為が「卑わいな言動」に当たるとしています。

兵庫県の迷惑防止条例は、盗撮行為だけでなく、盗撮目的でのカメラの設置やカメラを向ける行為も禁止しています。
例えば、盗撮するために動画撮影モードにしたスマートフォンを女性のスカート内に差し入れたが撮影に失敗した場合や、女性社員の着替えを撮影するために会社の更衣室にカメラを設置した場合も、本条例の規制行為に当たります。

兵庫県の迷惑防止条例は、場所的規制対象を公共の場所・乗物における盗撮等に限定しているわけではありません。
駅構内での盗撮等であれば、①に当たります。
また、学校の教室や会社の事務所で盗撮等をおこなえば②に、学校や会社のトイレや更衣室、そして住居やホテルの部屋での盗撮等は③に当たり、迷惑防止条例違反に問われることになるでしょう。

まとめると、
①公共の場所・乗物における盗撮および盗撮目的でのカメラの設置行為。
②不特定多数の者が利用する場所における盗撮盗撮目的でのカメラの設置並びにカメラを向ける行為。
③人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所での盗撮盗撮目的でのカメラの設置並びにカメラを向ける行為。
について禁止しており、これらの違反について罰則が設けられています。

このように、兵庫県の迷惑防止条例は広範囲にわたる盗撮行為を規制しており、ほとんどの盗撮事件では本条例が適用されます。

盗撮事件を起こしてしまった場合、事件を穏便に解決するためには、何よりも被害者との示談を成立させることが重要です。
被害者への謝罪・被害弁償を行った上で、示談を成立させることができれば、不起訴で事件を終える可能性は高まるでしょう。
しかし、被害者が複数いる場合は、それだけ示談交渉を行う相手方がいるということですので、交渉が難航することや示談金額が高くなることも考えられます。
また、被害者が特定されず設置行為や差し向け行為で検挙された場合であれば、示談をする相手方がいないため、示談交渉を行うことはできません。
事件の内容によって対応も異なりますので、盗撮事件を起こしお困りの方は、一度刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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事後強盗事件で少年が逮捕

2019-12-27

少年事後強盗事件を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古川市の家電量販店で、Amazonギフト券(2万円分)を万引きしたとして、市内に住むAくん(16歳)は店の出口付近で店員に声をかけられました。
驚いたAくんは、自分の腕を掴んでいた店員の手を振りほどき、そのまま全速力で店外へと逃亡しました。
しかし、数日後、兵庫県加古川警察署の警察官が、早朝にAくん宅を訪れ、事後強盗の容疑でAくんを逮捕しました。
突然の逮捕に驚いたAくんの両親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士はいないかとネットで検索しました。
(フィクションです)

事後強盗とは

上のケースでは、Aくんは商品の代金を支払わずに商品を店外へ持ち去ろうとしています。
このような行為を、「万引き」といいます。
みなさんも一度は耳にされた言葉だと思います。
通常、万引き行為を行った場合、「窃盗罪」が適用されることになります。
しかし、上記のケースでは、Aくんは「事後強盗罪」に問われていますね。
それでは、事後強盗罪とはどのような犯罪なのでしょうか。

事後強盗罪は、刑法第238条に規定されています。

第二百三十八条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪の成立要件は、次のとおりです。
①窃盗が、
②財物を得てこれを取り返されるのを防ぎ、逮捕を免れ、または罪責を隠滅するために、
③暴行または脅迫をしたこと。

①主体:窃盗
「窃盗」というのは、「窃盗犯人」のことです。
未遂犯であると既遂犯であるとを問いません。

②目的:財物を得てこれを取り返されるのを防ぎ、逮捕を免れ、または罪責を隠滅するため
「財物を得てこれを取り返されることを防ぐ」目的というのは、他人の占有を侵奪して事実上自己の占有下にある財物を被害者側に取り返されるのを阻止しようとする意図をいいます。
「逮捕を免れる」目的は、窃盗未遂・既遂の行為者が、被害者などから取り押さえられて身柄を拘束されるのを阻止しようとする意図です。
そして、「罪責を隠滅する」目的とは、窃盗犯人が後日窃盗犯人として捜査官に検挙され、処罰されることとなると認められる罪責を無にする意図をいいます。

③行為:暴行・脅迫
ここでいう「暴行又は脅迫」というのは、相手方に対する有形力の不法な行使(暴行)、そして、害悪の告知(脅迫)をいいます。
暴行・脅迫の程度は、相手方の反抗を抑圧するに足りるものであることが必要となります。
この暴行・脅迫の相手方は、窃盗の被害者に限定されません。
また、暴行・脅迫は「窃盗の機会」、つまり、窃盗の現場およびその継続的延長とみられる場所で行われることが必要とされます。
「窃盗の機会」についての判断は、窃盗行為と暴行・脅迫行為との場所的・時間的な近接等を基礎に行われます。

上のケースでは、家電量販店内で窃盗行為を行ったAくんが、店の出口付近で万引きに気づいた店員に声を掛けられ、Aくんの腕を掴んでいた店員の手を振り払うという「暴行」と加えて、逃走しています。
ですので、窃盗犯人であるAくんが、万引きした商品を取り返されるのを防ぎため、もしくは店員に捕まらないために、腕を掴んでいた店員の手を振り払うという暴行を加えていますので、Aくんに対して事後強盗罪が成立するものと考えられます。

窃盗罪の法定刑が10年以下の懲役または50万円以下の罰金であるのに対して、事後強盗罪は強盗と同様に、5年以上の有期懲役と、重くなっています。

少年が事件を起こした場合、原則として、捜査機関の捜査終了後に、事件は家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所は、調査・審判を行い、最終的な処分を決定します。
少年事件は、罪名が重いからといって必ずしも少年院送致のような厳しい保護処分を決定するわけではありません。
逆に言えば、比較的軽微な犯罪であっても、少年の更生には少年院送致が適していると判断されることもあるのです。
家庭裁判所の審判は、非行事実と要保護性を審理対象としています。
非行事実は、成人の刑事裁判でいう公訴事実です。
一方、要保護性とは、概して、①再非行性の危険性、②矯正可能性、③保護相当性の3要素で構成されている概念です。
つまり、①少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があるか、②保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を除去できる可能性があるか、③保護処分に寄る保護がもっとも有効でかつ適切な処遇であるか、の3点が考慮されて要保護性の有無が判断されるのです。
事後強盗という重い罪名であったとしても、少年自身が真摯に反省しており、家庭や学校の協力も積極的に期待でき、被害者への謝罪・被害弁償等も済んでいるなど、要保護性が高くはないと判断されれば、最終的な処分が保護観察処分となる可能性はあります。

このように、少年事件の場合には、成人の刑事事件とは手続も異なりますので、お子様が事件を起こして対応にお困りであれば、少年事件に精通する弁護士に相談するのがよいでしょう。

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窃盗事件で不処分

2019-12-18

少年が窃盗事件を起こし不処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県三木市に住む中学生のAくん(14歳)は、市内の書店で漫画本を数冊万引きしたとして、店員に取り押さえられました。
その後、兵庫県三木警察署で取り調べを受けましたが、夕方にはAくんの両親が迎えに来て釈放となりました。
Aくんは、以前にも同じ書店で漫画本を万引きしたことがあり、警察にもそのことを正直に話しています。
翌日、AくんとAくんの両親は、少年事件に強い弁護士に事件について相談しました。
(フィクションです)

窃盗事件:少年による万引き

当たり前のことですが、商品を得るためには代金を支払わなければなりません。
後払いの約束をしていた場合を除いて、代金を支払わずに商品を持って帰る行為は「万引き」であり、「窃盗罪」に当たる犯罪行為です。

兵庫県警察によれば、平成30年中の兵庫県内の少年の非行について、刑法犯少年の中では窃盗犯が最も多く、初発型非行の中では万引きが最も多くなっています。
少年は、「ちょっとだけならバレないだろう。」「少しぐらいパクるぐらい、どうってことない。」などと軽い気持ちで、商品を万引きしてしまう傾向にあります。

万引きは犯罪ですので、場合によっては逮捕されることもあるのです。

少年による万引きが発覚した場合、店によっては被害弁償を行えば警察には通報しないとすることもありますが、万引き犯を見つけたら警察に通報することが決まっている店も多く、発覚後に警察署で被疑者として取調べを受ける可能性も大いにあります。

捜査機関での捜査の結果、犯罪の嫌疑がある場合、または犯罪の嫌疑はないが家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料する場合は、捜査機関は事件を家庭裁判所に送致します。
家庭裁判所に送致された場合、調査・審判を経て、少年に対する処分が決定されます。
その処分の中に「不処分決定」というものがあります。

不処分について

家庭裁判所が下す処分には、保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)、検察官送致、都道府県知事又は児童相談所長送致、不処分、審判不開始があります。
不処分」とは、少年を保護処分や検察官逆送などの処分に付さずとも、少年の更生が十分に期待できる場合、少年を保護処分に付さないことをいいます。

裁判官や調査官による訓戒・指導など教育的な働きかけを行い、少年・保護者がどのように受け止めたかを見た上で、裁判官は不処分とするのが適切か否か判断します。

不処分決定の場合は、審判自体は開かれます。
不処分が決定される多くは、保護処分に付するまでの必要がないと判断される場合です。
少年審判までに少年が更生し、要保護性がなくなった場合などです。
それに向けて、付添人である弁護士は、少年審判までに少年に対して教育的な働きかけを行い、少年が事件に対して深く反省するように努め、生活環境を整えていく等の活動を行います。

このような活動は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が窃盗事件を起こし、対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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少年事件における不送致処分

2019-12-12

少年事件における不送致処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市の駅ホームで、女性客に痴漢行為を行ったとして、大学生のAくん(18歳)が兵庫県尼崎東警察署に逮捕されました。
しかし、Aくんは一貫して容疑を否認しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aくんは逮捕後勾留となりましたが、最終的に家庭裁判所不送致の処分となりました。
(フィクションです)

少年が事件を起こした場合

少年が事件を起こした場合、成人の刑事事件における場合と同様に、主に刑事訴訟法に基づいた手続がとられることになります。

しかし、刑法は、14歳未満の者については刑事責任を問わないこととしていますので、14歳未満の少年が刑罰法令に触れる行為を行った場合、刑事処分を受けることはありません。
刑事責任が問われませんので、被疑者として逮捕・勾留といった身体拘束を受けることはありません。
ただし、児童相談所で一時保護される可能性はあります。

このように、捜査段階、つまり、家庭裁判所に送致される前の段階では、事件を起こした少年の年齢によってとられる手続が異なります。
ここでは、14歳以上の少年の場合についてみていくことにします。

先述のように、14歳以上の少年が事件を起こした場合、逮捕・勾留などの身体拘束が伴う強制処分がなされることがあります。
身体拘束を受けている事件を「身柄事件」、身体拘束を受けていない事件を「在宅事件」と呼びますが、どちらであっても被疑者として捜査機関による捜査の対象となれば、取調官から取調べを受けたり、現場検証を行ったりと捜査を受けることになります。
その捜査を遂げた結果、少年が犯罪を行ったとの嫌疑がある場合、および、犯罪の嫌疑が認められないけれども、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
これは、少年法に以下にように規定されています。

第四十一条 司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

第四十二条 検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
2 前項の場合においては、刑事訴訟法の規定に基づく裁判官による被疑者についての弁護人の選任は、その効力を失う。

このように、捜査機関は原則、以下の場合には、事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
①司法警察員からの送致
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、原則として事件を検察官に送致することになっていますが、少年の被疑事件において、罰金以下の刑にあたる犯罪については、検察官に送致せず、直接事件を家庭裁判所に送致します。
②検察官からの送致
検察官は、警察が捜査を行い検察官に送致してきた事件の他に、検察官が自ら捜査した事件について、家庭裁判所に送致します。

しかし、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がない、および、家庭裁判所の審判に付すべき事由もないと考えられた場合には、捜査機関は事件を家庭裁判所に送致しない処分を決定します。
この処分を「不送致処分」といいます。

事件を家庭裁判所に送致しないため、その後家庭裁判所から調査や審判のために呼び出しを受けることはありません。

少年事件において不送致となるためには、捜査段階の早期から適切な弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に今すぐご相談ください。
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少年事件における身体拘束②:家庭裁判所送致後

2019-12-05

少年事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県三田市にある民家を訪れ、弁護士の秘書と偽り住民女性からキャッシュカードを盗み取ったとして、兵庫県三田警察署は、Aくん(17歳)を窃盗の疑いで逮捕しました。
Aくんは、「簡単に稼げる仕事がある」と知人から紹介され、これまで数件同様の犯行を行っていました。
「仕事内容が特殊詐欺だということは分かっていたが、簡単に大金が手に入るのと、一度やったらやめるとは言いにくくなった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、警察から「身体拘束期間は長くなることを覚悟してください。」と言われて、今後のことが心配になり、急いで少年事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合、少年であっても身体拘束を受ける可能性があります。
前回のブログでは、家庭裁判所送致前の捜査段階における少年身体拘束の可能性について取り上げました。
今回は、家庭裁判所送致された後身体拘束の可能性についてみていきたいとおもいます。

家庭裁判所送致後の身柄拘束

捜査機関は、少年の被疑事件について、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合であっても家庭裁判所に審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所送致しなければなりません。
これを「全件送致主義」といいます。
少年事件では、成人の刑事事件のように、起訴猶予や微罪処分といった捜査機関限りで事件を終了させることは認められていません。

事件が家庭裁判所送致された後に、少年身体拘束を受けるのは、「観護措置」がとられた場合です。
「観護措置」というのは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りつつ、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する措置(「在宅観護」)と、少年鑑別所に収容する措置(「収容観護」)の2種類がありますが、前者は実務上ほとんど活用されていません。
ですので、「観護措置」というときは後者を指すものとなっています。

観護措置の要件

少年法第17条第1項は、観護措置の要件として、「審判を行うため必要があるとき」と規定していますが、その他の要件については明記していません。
一般的には、次のような要件があると言われています。
①審判条件があること。
少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。

④の「観護措置の必要性」については、以下のいずれかの事由がある場合に認められるとされます。
(a)調査、審判および決定の執行を円滑、確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。(住所不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあるため、身体を確保する必要性がある場合など)
(b)緊急的に少年の保護が必要であること。(自殺自傷のおそれがある、家族から虐待を受けるおそれがある、不良集団等の影響により非行性が急速に進行するおそれがある場合など)
(c)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。

観護措置の期間は、法律上は2週間を超えることはできず、特に継続の必要があるときに1回に限り更新することができるとされていますが、実務上は、更新されるのが通常であり、観護措置の期間は、概ね4週間となっています。
観護措置がとられた場合、家庭裁判所送致された後、1か月間少年鑑別所に収容されることになります。
そのため、学校や職場に行くことができず、退学や懲戒解雇となる可能性は高まります。
一方で、少年少年鑑別所に収容されることで、少年が落ち着いた環境で事件や少年自身が抱える問題についてしっかり考えることができるなど、少年の更生に資する機会と成り得るという側面もあります。

もちろん、不当・不要な少年身体拘束は回避すべきです。
しかし、長期的な観点から、少年の更生にとって何が必要であるか、一度少年事件に精通する弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件における身体拘束①:捜査段階

2019-12-04

少年事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県三田市にある民家を訪れ、弁護士の秘書と偽り住民女性からキャッシュカードを盗み取ったとして、兵庫県三田警察署は、Aくん(17歳)を窃盗の疑いで逮捕しました。
Aくんは、「簡単に稼げる仕事がある」と知人から紹介され、これまで数件同様の犯行を行っていました。
「仕事内容が特殊詐欺だということは分かっていたが、簡単に大金が手に入るのと、一度やったらやめるとは言いにくくなった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、警察から「身体拘束期間は長くなることを覚悟してください。」と言われて、今後のことが心配になり、急いで少年事件に精通する弁護士に相談することにしました。

(フィクションです)

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合、少年であっても身体拘束を受ける可能性があります。

捜査段階での身体拘束

少年事件を起こすと、成人の刑事事件の場合と同様に、捜査段階では刑事訴訟法が適用されることから、捜査機関に逮捕される可能性はあります。
ただし、14歳未満の者に対しては、刑事責任は問われませんので、犯罪は成立せず、捜査機関によって逮捕されることはありません。

逮捕後の流れは、次の通りです。
逮捕から48時間以内に、警察は事件を検察に送るか、それとも少年を釈放するかを決めます。
警察から検察に少年の身柄付きで送致されると、検察は少年の身柄を受けてから24時間以内に、送られてきた関係書類や少年の弁解を聴いた上で、少年を釈放するか、それとも勾留請求をするかを決定します。
勾留請求がなされると、裁判官は少年と面談をした上で、少年を勾留するか、釈放するかを判断します。
勾留が決定すると、勾留請求がされた日から原則10日間身柄が拘束されることになります。

身体拘束は、成人にとっても重大な不利益となりますが、心身ともに未熟で発展途上である少年の場合は、成人以上に重大な悪影響を与えるでしょう。
長期の身体拘束により、学校や職場に行くことができず、退学や懲戒解雇となる可能性も高まります。
そうなれば、身体拘束少年の更生に資するどころか逆に作用しかねません。

このように、少年にとって身体拘束は重大な不利益を及ぼし得るものですので、少年法は、少年の勾留について、勾留についての特則や勾留に代わる観護措置の制度を設けるなどし、少年に対する身体拘束に配慮しています。

勾留についての特則

少年を勾留する場合、成人の場合と同様の「勾留の要件」に加えて、「やむを得ない場合」であることが必要とされます。
また、少年の勾留場所を、少年鑑別所とすることができます。
少年を警察留置施設で勾留する場合であっても、少年を成人とは分離して収容されます。

勾留に代わる観護措置

検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して勾留に代わる観護措置の請求をすることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されますが、次の点が勾留とは異なります。

●勾留に代わる観護措置には、少年鑑別所収容の観護措置に加えて、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
●勾留は延長が出来るのに対して、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求があった日から10日間であり、延長することはできません。
●勾留に代わる観護措置として少年鑑別所収容がとられた事件が、家庭裁判所に送致されると、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされ、引き続き身体拘束を受けることになります。

このように、少年であっても、家庭裁判所に送致される前の捜査段階において身体拘束を受ける可能性はあります。
勾留延長が認められると、逮捕から最大で23日間もの身体拘束を余儀なくされてしまいます。
その間、学校や職場には行くことはできませんので、先述したように退学や懲戒解雇となる可能性は高くなります。

そのような事態を防ぐため、長期の身体拘束を回避すべく関係各所に働きかけることが重要です。
弁護士は、逮捕から勾留請求までの間に、勾留の要件を満たしていないことを客観的な証拠を付して検察官に主張し、検察官が勾留請求しないよう働きかけます。
検察官が勾留請求をした場合には、裁判官に対して、同様に勾留を決定しないよう主張します。
裁判官が勾留を決定した後であっても、勾留に対する準抗告という勾留決定に対する不服申し立てを行います。

このような活動は、刑事事件・少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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交通事件:少年事件における手続

2019-12-01

少年交通事件を起こした場合にとられる手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市北区の県道を原付バイクで走行していたAくん(17歳)は、一旦停止を怠ったとして、兵庫県有馬警察署の警察官に停車を求められました。
警察官は、Aくんに運転免許証を見せるよう言いましたが、Aくんは免許証を持っておらず、無免許運転であることが発覚しました。
そのまま警察署で取り調べを受けましたが、Aくんの両親が身元引受人となり当日の夜に家に帰ることができました。
捜査機関から何度か呼び出された後に、神戸家庭裁判所に事件が送られると言われたAくんとAくんの両親は、その後どのような手続きを踏むことになるのか不安です。
(フィクションです)

少年の交通事件

家庭裁判所が受理する少年保護事件は、交通関係事件とそれ以外の一般事件とに分けられます。
交通事件には、無免許運転、速度違反、安全運転義務違反、信号無視、一時不停止等といった道路交通法違反事件、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反事件、そして、過失運転致死傷、重過失致死傷、危険運転致死傷などの車両運転に起因する致死傷事件があります。

交通事件が家庭裁判所に送致される方法は、一般の事件と同様に、多くの場合、捜査機関から捜査が終了した後に送致されます。
しかし、道路交通法違反事件の場合、全件送致主義の例外として、「交通反則通告制度」というものがあります。
この制度は、交通反則告知書(いわゆる「青キップ」)により告知を受けた場合に、刑事処分ではなく行政処分でなされる処分のことをいいます。
当該反則行為に当たるものとしては、一般道における時速30キロメートル未満の速度超過、高速道における時速40キロメートル未満の速度超過、信号無視、放置・駐停車違反、運行区分違反等があり、これらの行為を行った少年については、所定の手続に従って反則金を納付すれば、家庭裁判所に送致されません。

少年交通事件のなかでも、共同危険行為、自動車運転過失致死傷事件等の車両運転に起因する致死傷事件は、通常の少年事件と同様の手続を踏むことになります。
一方、その他の道路交通法違反事件は、次のような手続となります。

調査

事件が家庭裁判所に送致されると、通常の少年事件と同様に、家庭裁判所の調査官による調査が行われます。
単なる無免許運転などの道路交通法違反事件では在宅のまま捜査が進められることが多く、その場合、家庭裁判所に送致された後も継続して在宅のまま進められることが多いでしょう。
在宅事件の場合には、少年は保護者とともに調査のために家庭裁判所を訪れ、調査官との面談が行われます。
調査の一環として家庭裁判所において少年に対する交通講習が実施されることもあるようです。
調査に基づき調査官は処遇意見を裁判官に提出し、審判を開始する必要がない場合には審判不開始の決定がされます。

審判

審判は、一般の事件と同様に行われ、審判の経て、不処分・保護観察・検察官送致等の処分がなされます。
交通事件の特徴として、非行内容が同種である、交通要保護性に共通点がある場合もあり、そのような複数の少年を一緒に審判する集団審判が行われる場合もあります。

保護処分

一般の事件と同様の処遇がなされますが、交通事件を対象とした保護観察があります。
交通事件の保護観察には、交通保護観察と交通短期保護観察とがあります。
また、交通事件においては、検察官送致も相当数あります。

このように、少年交通事件の場合には、一般の事件とは少し異なる手続となる可能性もあります。
お子様が交通事件を起こして対応にお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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