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入管法違反事件の刑事手続
入管法違反事件の刑事手続
入管法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
日本で生活していた外国籍のAさんは、かつて偽造パスポートで入国したことが発覚し、兵庫県美方警察署に入管法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの友人は、今後Aさんは起訴されてしまうのか、今後の手続はどうなるのか不安になり、外国人事件にも対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)
入国管理法違反事件~不法入国等の罪~
偽造したパスポートを使って日本に入国した場合、不法入国罪が成立する可能性があります。
第七十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
一 第三条の規定に違反して本邦に入つた者
第三条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入つてはならない。
一 有効な旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)
二 入国審査官から上陸許可の証印若しくは第九条第四項の規定による記録又は上陸の許可(以下「上陸の許可等」という。)を受けないで本邦に上陸する目的を有する者(前号に掲げる者を除く。)
「有効な旅券」というのは、権限ある官憲により適式に発行され、形式と実体の両面から見て有効である旅券のことです。
不法入国罪の時効は、3年です。
不法入国したときから3年が経過すれば、不法入国の罪には問われないことになりますが、不法に在留する行為について不法在留罪が成立することになります。
不法入国罪で逮捕・勾留された場合、最大で逮捕から23日間身柄が拘束されることになります。
起訴するか否かの判断は、検察官が行います。
その時の政策が、起訴・不起訴の判断にも影響を与えるようです。
起訴された場合、初犯であり、かつ、余罪等もなければ、執行猶予となる可能性が高いでしょう。
また、不起訴となった場合でも、不法在留の状態は続いているので、入国管理局に移送され、退去強制の手続がとられることになります。
即決裁判手続
軽微な入管法違反事件においては、「即決裁判手続」がとられる場合があります。
即決裁判手続は、争いのない簡易かつ明白な事件につき、簡易で迅速な裁判を可能とすることで、手続の合理化・迅速化を図る制度です。
略式手続と異なり、罰金や科料だけでなく、懲役や禁錮の言渡しも可能ですが、略式手続と同じく、被疑者の同意が手続の前提となっています。
懲役・禁錮を言い渡す場合は、必ず執行猶予が付されます。
退去強制手続
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
一 第三条の規定に違反して本邦に入つた者
不法入国は、退去強制事由となり、特段の事情がない限りは、退去強制となります。
しかし、母国での迫害等から逃れてきた難民申請者の場合には、不法入国罪の刑が免除されます。
そのような場合には、即決裁判手続ではなく、正式裁判手続を選択することになります。
基本的に、被疑者が外国人であっても、弁護人に求められる弁護活動は、日本人である場合と変わりありません。
しかし、言語や文化が異なることで、手続がうまく理解できず、外国の方が日本人以上に不安を感じることでしょう。
そのような場合には、すぐに刑事事件・外国人事件にも対応する弁護士に相談し対応を依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
弊所は、依頼者との綿密な連絡と報告、十分な報告を行い、刑事手続の段階から、その後の在留資格の問題や見通しと対処法についてアドバイスし、外国人の様々な不安を解決できるよう努めております。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881へお問い合わせください。
いたずらで威力業務妨害罪
いたずらで威力業務妨害罪
いたずらで威力業務妨害となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡市川町に住むAさんは、友人らと電車に乗車している際、いたずらで非常停止ボタンを押し、電車を緊急停止させたとして兵庫県福崎警察署で取調べを受けています。
警察から呼び出しを受けたAくんの両親は、急いで警察署に向かいました。
その日、Aさんは帰宅することが出来ましたが、警察からはまた呼び出すと言われており、心配になったAくん家族は、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)
威力業務妨害罪とは
刑法第234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条[信用棄損及び業務妨害]の例による。
威力業務妨害罪は、以下を構成要件とする犯罪です。
①威力を用いて、
②人の業務を妨害したこと
客体:人の業務
「業務」とは、自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連しておこなう職業その他の継続して従事することを必要とする事務のことをいいます。
職業のような経済活動の典型例とする「社会生活上の活動」であることが必要で、娯楽や趣味で行う個人的な活動や家庭生活上の活動は含まれません。
行為:威力を用いて人の業務を妨害すること
「威力」は、犯人の威勢、人数および四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を抑制するにたりる勢力をいい、現実に被害者が自由意思を抑圧されたことは必要とされません。(最判昭28.1.30)
裁判例で威力に該当するとされたものには、デパートの食堂の配膳部にヘビをまき散らした事例、机の引き出しに猫の死骸を入れ、これを被害者に発見させた事例など、人の意思に働きかける場合のほか、営業中の商家の周りに板囲いを設置した事例など公然と行われた妨害行為まで広く認められています。
業務妨害の手段が異なる「偽計業務妨害」との区別ですが、「偽計」は相手の錯誤を誘発する行為で、「威力」は相手の意思を抑圧する行為をいうとされており、判例や裁判例では、非公然の妨害行為が「偽計」で、公然と行われた妨害行為が「威力」とする立場をとっています。
上記ケースでは、Aくんはいたずらのつもりで、電車内の緊急停止ボタンを押して、実際、電車を緊急停止させています。
Aくんの緊急停止ボタンを押すという行為により、電車の運転手は、緊急停車しなければならない状況にあり、その自由意思が抑制されているので、Aくんの行った行為は「威力」に該当し、電車を運行する鉄道会社の業務を妨害したと言えるでしょう。
やった本人は単なるいたずらのつもりでも、刑事事件に発展してしまうこともあるのです。
威力業務妨害事件の弁護活動
威力業務妨害事件は被害者がいる事件ですので、事件を穏便に解決するには、被害者との示談交渉が重要です。
威力業務妨害罪は親告罪(被害者の告訴がなければ、公訴を提起することができないもの)ではありませんが、被害者との示談が成立しており、被害届が取り下げられた場合には、検察官もその点を考慮して不起訴処分とする可能性は高いでしょう。
ですので、威力業務妨害事件を起こしてしまった場合には、早期に被害者との示談交渉に着手することをお勧めします。
示談交渉は、一般的に弁護士を介して行うのがよいと言われています。
それは、当事者同士が直接交渉することで、感情的になり話し合いがうまくすすまなかったり、被害者側が加害者と直接連絡をとることを拒否する場合が多いからです。
示談が成立し、不起訴処分となれば、前科がつくことはありません。
身柄が拘束されている場合には、即釈放となります。
威力業務妨害事件で刑事事件の加害者となりお困りの方、被害者との示談交渉にお悩みであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にお任せください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881へご連絡いただき、無料法律相談のご予約を。
傷害罪で逮捕
傷害罪で逮捕
傷害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市西区にある介護福祉施設に入所している女性が不自然な怪我を負っていることに職員が気が付き、内部調査を進めていました。
すると、職員のAさんが女性に対して暴力を振るっていたことが分かり、兵庫県神戸西警察署に通報しました。
Aさんは、女性が転んだ時にできた怪我だと供述しており、容疑を否認しています。
(フィクションです)
犯罪とは
法律に違反する行為を行った場合、全てのケースにおいて、ただちに犯罪が成立するわけではありません。
犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」をいいます。
つまり、犯罪というのは、人の行為であって、
①構成要件に該当すること
②違法であること
③有責であること
のすべてを満してはじめて成立するのです。
【構成要件】
犯罪となるには、法律で定められている行為類型に該当しなければなりません。
この法律により犯罪として定められた行為の類型を「構成要件」といいます。
上記ケースにおいて、「傷害罪」が問題となっていますが、この「傷害罪」を例にとってみていきましょう。
傷害罪は、刑法第204条に規定されています。
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪の構成要件は、「人の身体を傷害した」行為であることです。
この構成要件は、それを構成する構成要件要素から成っており、構成要件要素は個々の犯罪によって異なりますが、一般的に言えば、①行為の主体、②行為、③結果、④行為と結果との間の因果関係、⑤故意・過失です。
傷害罪の行為は、「人の身体を傷害」することです。
「傷害」の意味については、争いがありますが、判例は「人の生理的機能に障害を与えること」と解しています。
殴って骨折させるような場合だけでなく、嫌がらせの電話を繰り返し相手をノイローゼにさせる場合にも、「人の身体を傷害」する行為となります。
傷害罪の構成要件的故意について、相手に怪我を負わせるつもりで殴った場合のように傷害の故意がある場合には、傷害罪が成立し得ることについて問題はありません。
しかし、暴行を加える意図で相手方の顔を軽くたたいたところ、相手方がバランスを崩して転倒し、結果、大けがを負わせた場合にも、傷害罪が成立するのかが問題となります。
この点、暴行罪の条文が「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」という文言であることから、傷害罪は暴行罪の結果的加重犯を含んでいると解するのが通説であり、暴行の故意があれば足りるとされています。
上記ケースでは、Aさんが「女性が転んだ」と供述しており、それが事実であれば、Aさんは「人の身体を傷害した」とは言えず、Aさんに対する傷害罪は成立しないことになります。
しかし、仮に「怪我をさせてやろう」と思って女性に暴行を加えてないとしても、暴行を加える意図をもってして暴行を加えた結果、女性が怪我を負ってしまったのであれば、傷害罪が成立し得ることになります。
不注意で女性に怪我を負わせてしまったのであれば、傷害罪ではなく、「過失傷害罪」や「重過失傷害罪」が成立する可能性もあります。
【違法性】
犯罪であるというためには、構成要件に該当する行為が違法でなければなりません。
犯罪として法律で規定された行為は、本来違法であることが想定されたものではありますが、その違法性が失われる特段の事情がある場合には、違法性は阻却され、犯罪が成立しないことになります。
そのような特段の事情を「違法性阻却事由」といいます。
違法性阻却事由には、正当行為、正当防衛、緊急避難があります。
相手方から攻撃を受け、反撃しないと自分が殺されるといった窮地において、相手方に反撃し、結果、相手方に傷害を負わせてしまった場合には、正当防衛が成立し、傷害罪とならない可能性もあります。
【責任】
構成要件に該当し、違法である行為が、行為者により有責に行われたのでなければ、犯罪は成立しません。
すなわち、責任の判断は、構成要件に該当する違法な行為を行ったことについて、その行為者を非難することができるという評価となります。
責任の要素は、責任能力、故意・過失、そして期待可能性です。
責任能力や期待可能性が欠ける場合には、責任が阻却され、犯罪は成立しないことになります。
例えば、傷害を負わせた者が14歳未満であれば、責任能力がなく、責任が阻却されます。
構成要件に該当する違法かつ有責な行為であるか否かは、客観的に判断されます。
刑事事件の加害者となり、行った行為が犯罪となるのか、犯罪となる場合にはどのような処罰を受けるのか…とお悩みであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
強制わいせつ罪で逮捕
強制わいせつ罪で逮捕
強制わいせつ罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県揖保郡太子町のマンションのエレベーター内で、小学生の女児のスカートをめくってお尻を触るなど、わいせつな行為をしたとして、兵庫県たつの警察署は、県内に住むAさんを強制わいせつの容疑で逮捕しました。
被害児童が母親に相談したことで事件が発覚し、相談を受けた兵庫県たつの警察署は、エレベーターの防犯カメラの画像からAさんを特定しました。
Aさんは容疑を認めていますが、他にも同種の事件を起こしており、長期の身体拘束となることを恐れています。
(産経WEST 2019年2月5日20時56分掲載記事を基にしたフィクションです)
強制わいせつ罪とは
刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪とは、
①13歳以上の者に対し、暴行・脅迫を用いて、わいせつな行為をする
もしくは、
②13歳未満の者に対し、わいせつな行為をする
犯罪です。
つまり、強制わいせつ罪の構成要件に該当するためには、
行為の客体が「13歳以上の者」である場合、「暴行又は脅迫」を用いて「わいせつな行為」をすることが必要となりますが、行為の客体が「13歳未満の者」の場合には、「暴行又は脅迫」を用いずとも「わいせつな行為」をすれば該当することになります。
「暴行又は脅迫」の程度についてですが、通説では「相手方の反抗を著しく困難にさせる程度のもの」と理解されています。
また、「わいせつな行為」の意義についは、基本的には公然わいせつの「わいせつ」概念である「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」と同様に理解されますが、強制わいせつ罪の保護法益は「個人の性的自由」であるのに対し、公然わいせつ罪の保護法益は「性的秩序」であるので、両者の「わいせつ」概念のニュアンスは異なります。
例えば、見知らぬ人に無理やりキスをする行為は、強制わいせつ罪に該当し得ますが、公然わいせつ罪には当たらないでしょう。
強制わいせつ罪の構成要件的故意は、「13歳以上の者に対し、暴行・脅迫を用いて、わいせつな行為をすること」もしくは「13歳未満の者に対し、わいせつな行為をすること」の認識・認容です。
この点、13歳未満の者を13歳以上だと誤信していた場合、構成要件的故意がないので、暴行・脅迫が用いられていない限り、強制わいせつ罪は成立しないことになります。
また、判例は、かつて、強制わいせつ罪の成立には、「犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図」が必要であるとする立場をとっており、報復や金銭目的などでせいわつな行為を行った場合には、強制わいせつ罪は成立しないとしてきました。
しかし、平成29年の最高裁判決は、この点、性的意図の有無については、個別具体的な事情の一つとして考慮すべき場合があり得ることは否定しないとしつつも、客観的にわいせつな行為であることが明らかであれば、性的意図の有無を判断することなく強制わいせつ罪が成立する可能性はあるとしました。
強制わいせつ事件で逮捕されたら
強制わいせつ事件で逮捕されると、その後勾留される可能性が高いと言えるでしょう。
勾留が決定すると、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長されると最大で20日間身柄が拘束されることとなります。
余罪が複数ある場合には、再逮捕の可能性もあり、更に身体拘束が長引くおそれも考えられます。
長期間の身体拘束により被る不利益は計り知れません。
そのような事態を回避するためにも、早期に弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動に動いてもらうのがよいでしょう。
事案によって、活動内容も異なりますので、刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする全国でも数少ない法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ事件で逮捕されたら、すぐに弊所にご相談ください。
傷害致死事件の幇助
傷害致死事件の幇助
傷害致死事件の幇助について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県多可郡多可町に住むAさんは、元夫との間にもうけたXくんとYくんを連れて、Bさんと内縁関係となり、同居していました。
しばらくすると、Bさんが、Aさん対して暴力を振るうようになりました。
次第に、XくんやYくんに対しても「しつけ」と称して手を挙げるようになりました。
初めは、AさんはBさんにやめるよう言っていましたが、自分にも暴力を振るわれるのを恐れ、AさんはBさんが子供たちに暴力を振るうのを見て見ぬふりをしていました。
ある日、Bさんは、言うことを聞かないYくんの顔面を何回も殴り、Yくんはそのまま意識を失って倒れてしまいました。
Aさんは、急いで救急車を呼びましたが、搬送先の病院でYくんの死亡が確認されました。
Yくんの身体に複数のあざがあったことから、病院は兵庫県西脇警察署に通報し、Bさんを傷害致死の容疑で逮捕し、Aさんを傷害致死の幇助で逮捕しました。
(実際にあった事件を基にしたフィクションです)
不作為による傷害致死の幇助
親からの虐待により幼い命が失われるという、なんとも悲しい事件が後を絶ちません。
兵庫県において、2018年の1年間に兵庫県警察が摘発したDV事件は778件に上っています。(神戸新聞NEXT 2019年2月4日6時25分掲載記事を参照)
増加の背景には、DV事件が殺人などの重大事件に発展する事例が増えていることから、捜査機関がこれまで以上にDV関連事件に関与するようになったことがあるようです。
つい最近の事件では、千葉県の小学4年生の女児が父親から暴力を受けて死亡した事件がありました。
父親は傷害容疑で逮捕されましたが、母親もまた父親の暴力を黙認していたとして共犯で逮捕されたのには、驚いた方も多かったのではないでしょうか。
過去にも同じようなケースで、内縁の夫の暴力を黙認していた母親に対して、不作為による傷害致死の幇助が認められた事例があります。
「幇助」は、「正犯を幇助」する、つまり、正犯に物的・精神的な支援をすることによって、その実行行為の遂行を促進し、構成要件該当事実の惹起を促進することを意味します。
「正犯を幇助」したか否かについては、犯行道具を正犯に渡すなどの「作為」のみにとどまらず、黙って傍に佇んでいるといった「不作為」の場合についても、その「不作為」が「正犯を幇助」したということであれば、不作為による幇助が成立することになります。
では、どのような「不作為」が「正犯を幇助」すると言えるのかが問題となります。
つまり、正犯の犯行に影響力を与える「不作為」が一体どのようなものか、という点が争点になります。
この点、札幌高裁は、不作為による幇助犯の要件として、
「正犯者の犯罪を防止しなければならない作為義務のある者が、一定の作為によって正犯者の犯罪を防止することが可能であるのに、そのことを認識しながら、右一定の作為をせず、これによって正犯者の犯罪の実行を容易にした」
ことが、作為による幇助犯の場合と同視できると解しています。
「作為義務」について、母親は、死亡した子供の唯一の親権者であり、内縁の夫の暴行を阻止し得る者は母親以外にはおらず、子供の生命の安全の確保は母親のみに依存していたと考えられ、母親は内縁の夫の暴行を阻止すべき作為義務を負っていたと考えられます。
また、母親に要求される「一定の作為」は、内縁の夫の暴力を実力で阻止する行為だけでなく、内縁の夫に暴力を振るわないよう言葉で阻止する行為や警察などに通報する行為なども含まれるとされています。(札幌高裁平成12年3月16日判決)
以上を踏まえて上記ケースを考えてみると、Aさん自身もBさんから暴力を振るわれていたとは言え、AさんはYくんの親権者であり、Yを保護する責任があったにもかかわらず、BさんがYに暴力を振るう様子を見て見ぬふりをしており、阻止しようとBさんを止めたり警察に通報したりせず、結果、その「何もしなかった」ことがBさんがYくんに暴力を振るう行為を促すことになり、Yくんを死亡させてしまったと言え、Aさんは傷害致死の幇助犯となる可能性があるでしょう。
事件の内容により、どのような犯罪が成立し、如何なる責任に問われるかが異なりますので、刑事事件の加害者として警察から取り調べを受けている方、ご家族が逮捕されてお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件を専門とする弁護士が、初回に限り無料で法律相談を行います。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。
職務質問からの銃刀法違反
職務質問からの銃刀法違反
銃刀法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
深夜、兵庫県伊丹市の路上に車を停車させ横になっていたAさんは、車の窓ガラスを叩く音で目が覚めました。
周囲を巡回していた兵庫県伊丹警察署の警察官が、深夜に路上駐車されていた車を不審に思い、Aさんに職務質問をしたのです。
Aさんの車のアタッシュボードからサバイバルナイフが見つかり、Aさんはそのまま兵庫県伊丹警察署に連れて行かれ、銃刀法違反の容疑で取り調べを受けました。
「また連絡する」と警察官から言われたAさんは、まさかこんな事で事件になるとは思っておらず、慌てて刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
銃刀法違反となるケース
銃刀法とは、正式には「銃砲刀剣類所持等取締法」といい、法令に基づき職務のために所持する場合などを除いて、原則銃砲・刀剣類の所持は禁止されています。
銃刀法で所持が禁止されているのは、「鉄砲」及び「刀剣類」で、以下のように定義されています。
第ニ条 この法律において「銃砲」とは、けん銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)をいう。
2 この法律において「刀剣類」とは、刃渡り十五センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り五・五センチメートル以上の剣、あいくち並びに四十五度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り五・五センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつてみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で一センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して六十度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。
上の「刀剣類」に該当しない場合であっても、「刃体の長さが6センチを超える刃物の携帯」もまた銃刀法において禁止されています。
第二十二条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
「業務その他正当な理由による場合」というのは、調理師が業務に使うために包丁を携帯している場合や、お店で包丁などを購入して家に帰る場合などです。
ここでいう「刃物」というのは、その用法に置いて人を殺傷する性能を有し、銅又はこれと同程度の物理的性能を有する素材でできている片刃又は両刃の器物で刀剣類以外のものをいいます。
「刃体」というのは、刀剣類以外の刃物の刃の長さのことです。
また「携帯」とは、単に所持する場合とは違い、自宅や居室以外の場所で刃物を手に持ち、あるいは身体に帯びる等して、これを直ちに使用し得る状態で身辺に置くことをいい、かつ、その状態が多少継続することをいいます。
上記ケースのように、キャンプや登山などで果物ナイフやサバイバルナイフなどを利用し、そのまま車のアタッシュボードに入れっぱなしにしている方は少なくありません。
しかし、職務質問などで車からそのようなナイフが見つかり、刃体の長さが6センチを超えている場合には、銃刀法違反となる可能性があります。
刃体の長さが6センチを超えない場合には、軽犯罪法違反となる可能性もあります。
第一条
二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
これに違反した場合、拘留(1日以上30日未満の間刑事施設に拘置する自由刑)または科料(1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰)が科せられる可能性があります。
銃刀法違反・軽犯罪法違反事件で、取調べを受けた場合には、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
携帯していた刃物の形や種類、携帯していた状況や理由などを把握した上で、適切なアドバイスを行います。
まずは、フリーダイアル0120-631-881へお気軽にお電話ください。
不正指令電磁的記録供用罪で逮捕
不正指令電磁的記録供用罪で逮捕
不正指令電磁的記録供用罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大学生のAさん(21歳)は、彼女のVさんのスマートフォンに「遠隔操作アプリ」を勝手にインストールし、遠隔操作でメールをチェックしたり、居場所を特定できるアプリを無断でインストールして、居場所を確認していました。
Vさんは、見覚えのないアプリが入っていることに気づき、兵庫県福崎警察署に相談しに行ったことにより事件が発覚しました。
Aさんは、兵庫県福崎警察署の警察官に不正指令電磁的記録供用罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
不正指令電磁的記録供用罪とは
平成23年の刑法改正により、不正指令電磁的記録に関する罪が新設されました。
コンピューターを使って膨大な情報を処理することが不可欠となっている現代社会において、コンピューターウイルスによりパソコンを使用している者の意図に反した動作が行われるといった事態が野放しにされると、プログラムを実行する際に果たしてそのプログラムを信頼してよいものか不安になりますし、その結果、コンピューターでの情報処理業務が円滑にいかなくなるおそれが出てくるでしょう。
そのような事態を回避するためにも、不正指令電磁的記録に関する罪(いわゆる「コンピューター・ウイルス」に関する罪)が設けられたのです。
不正指令電磁的記録に関する罪は、「不正指令電磁的記録作成等」(刑法第168条の2)及び「不正指令電磁的記録取得等」(刑法第168条の3)から成ります。
第百六十八条の二 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
3 前項の罪の未遂は、罰する。
本条第1項は、「不正指令電磁的記録作成・提供罪」について規定しており、第2項が「不正指令電磁的記録供用罪」について定めています。
つまり、上記ケースで問題となっている不正指令電磁的記録併用罪とは、
①正当な理由がないのに
②前項第1号に掲げる電磁的記録を
③人の電子計算機における実行の用に供した
ことにより成立します。
【客体】
併用罪の対象は、「前項第1号に掲げる電磁的記録」、つまり、「人が電子計算機を使用するに際してその意図を沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」です。
「人」とは、犯人以外の者であり、「電子計算機」とは、自動的に計算やデータ処理を行う電子装置のことで、パソコンや、サーバーコンピューター、スマートフォンなどがこれに当たります。
ここでいう使用者の「意図」とは、個別具体的な使用者の実際の認識を基準として判断されるのではなく、問題となるプログラムの機能の内容や機能に関する説明内容、想定される利用方法等を総合的に考慮して、その機能について一般に認識すべきであるところを規範的に判断されます。
例えば、市販のソフトウェアであれば、電子計算機の利用者は、そのプログラムの指令によって電子計算機が行う基本的な動作について当然認識しているものと考えられますし、説明書には当該プログラムの機能の詳細について記載されていますので、使用者が認識し得る状態にあるので、使用者がプログラムの機能すべてを現実に認識していなくても、当該プログラムによる電子計算機の動作は、「使用者の意図に反する動作」には当たらないことになります。
「電磁的記録」とは、電子的方式、電磁的方式その他人の知覚によって認識することができない方式で作られる記録のことです。
【行為】
不正指令電磁的記録を「人の電子計算機における実行の用に供する」とは、不正指令電磁的記録を、電子計算機の使用者にこれを実行しようとする意思がないのに実行され得る状態に置くことをいいます。
つまり、電子計算機を使用している者は、不正指令電磁的記録がパソコンなどの電子計算機に入っているとは知らずに、使用者が当該不正指令電磁的記録を作動させることが出来るようにしておくことです。
【正当な理由の不存在】
「正当な理由がないのに」というのは、「違法に」という意味です。
上記ケースでは、彼女のスマートフォンに遠隔操作や位置確認のアプリを彼女に断りなく勝手にインストールして使っていたので、不正指令電磁的記録併用罪が成立すると考えられます。
本罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
「恋人の浮気を確かめたくて…」と軽い気持ちで行ってしまったとしても、犯罪となる場合もあります。
兵庫県の不正指令電磁的記録併用事件で加害者となりお困りの方は、サイバー犯罪を含めた刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
交通事故で逮捕
交通事故で逮捕
交通事故を起こした場合に成立し得る罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは深夜、兵庫県加古郡稲美町の交差点を左折する際、左から横断中の歩行者を見落とし、横断中の歩行者に当たってしまいました。
運転前に飲酒していたAさんは、事故を起こしたことに動揺していた上に、飲酒運転がバレたら大変だと焦り、そのまま現場を立ち去りました。
翌日、防犯カメラの映像から犯人を特定した兵庫県加古川警察署は、Aさんの自宅を訪れ、Aさんを逮捕しました。
(フィクションです)
交通事故を起こしたら~成立し得る罪とは~
1.物損事故の場合
物損事故を起こした場合、物損事故それ自体については刑事責任が問われることはありません。
しかし、物損事故を起こしたにもかかわらず、その後警察に報告せず、道路上危険を防止する措置を怠った場合(つまり「当て逃げ」)には、道路交通法違反が成立する可能性があります。
報告義務違反の法定刑は、3月以下の懲役または5万円以下の罰金で、道路上の危険防止措置義務違反の法定刑は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
2.人身事故の場合
人身事故を起こした場合、以下の犯罪が成立する可能性があります。
過失運転致死傷罪
自動車を運転する上で必要な注意を怠って、人を負傷または死亡させた場合に成立する犯罪です。
ここの言う「過失」とは、車間距離を見誤ってブレーキをかけるのが遅くなった場合や、赤信号を見落としていた場合など、車を運転するに当たって気をつけなけばいけないことをしていなかった場合をいいます。
ですので、上記ケースのように、横断中の歩行者を見落として巻き込んでしまった場合には、本罪が成立するでしょう。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役或いは禁錮または100万円以下の罰金です。
しかし、飲酒運転をしていた場合、その影響の程度によっては、危険運転致死傷罪が成立する可能性もあります。
危険運転致死傷罪
以下に該当する危険な運転をし、人を負傷または死亡させた場合に成立する罪です。
・アルコールや薬物の影響を受けて正常な運転が困難な状況で自動車を走行させる行為
・進行を制御することが困難なのどの速度で自動車を走行させる行為
・進行を制御する技量を有しないで自動車を走行させる行為
・人や自動車などの通行を妨害する目的で、それらに著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
・赤信号を無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
・通行禁止道路を走行し、重大な交通の危険をしょうじさせる速度で自動車を運転する行為
アルコールの影響で「正常な運転が困難な状況」というのは、前方の注視が困難になったり、意図したとおりの時期や加減でハンドルやブレーキを操作するのが困難になったりするなど、現実に道路や交通の状況に応じた運転操作をすることが困難な心身の状態にあることと理解されています。
危険運転致傷罪の法定刑は、15年以下の懲役、そして危険運転致死罪の法定刑は1年以上の有期懲役です。
準危険運転致死傷罪
アルコールや薬物、政令で指定する病気の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、その結果、アルコールや薬物、病気の影響で正常な運転が困難な状態に陥り、事故を起こし、よって人を負傷または死亡させた場合に成立します。
「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは、飲酒などの影響で、自動車を運転するのに必要な注意力・判断能力・操作能力が相当程度に低下して、危険な状態にあることをいいます。
例えば、道路交通法の酒気帯び運転に該当する程度のアルコールが体内にある状態であれば、これに該当することになります。
飲酒運転の発覚を恐れて逃亡し、体内のアルコール濃度を下げるなど罪を免れようとした場合には、過失運転致死傷アルコール等影響発覚逸脱の罪に問われることになります。
また、交通事故を起こし、無免許であった場合には、刑罰は加重されます。
そして、ひき逃げをした場合には、救護義務・危険防止措置義務違反となり、これらの違反と過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪とは併合罪となります。
交通事件では、成立する犯罪によって、科され得る刑罰の重さも異なりますので、交通事故を起こし、刑事責任を問われてお困りであれば、交通事件を含めた刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
脱税で告発
脱税で告発
脱税事件で告発された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市須磨区で会社を経営するAさんは、取引先などの口座に架空の外注費を振り込んだ後、現金で戻させる手法で、架空の外注費を計上し、約1億円の所得を隠すなどして脱税していました。
ところがある日、大阪国税局は、会社とその社長Aさんを法人税違反などの疑いで神戸地方検察庁に告発しました。
この先どうなるのか心配になったAさんは、脱税事件にも対応してくれる弁護士を探すことにしました。
(共同通信 2019年1月28日3時11分掲載記事を基にしたフィクションです)
脱税で刑事事件に
違法な手段により納税を免れる行為を「脱税」といいます。
脱税罪なる罪はありませんが、脱税行為はさまざまな税法により禁止されており、違反行為には刑事罰も科されますので、脱税事件は場合によっては刑事事件に発展することもあります。
脱税事件で問題となる税法は、主に、「所得税法」や「法人税法」、それから、「消費税法」などです。
所得税法は、その名の通り所得に対する税について定めた法律ですが、その中でも、個人の所得に対する税金について定めたものです。
一方、法人税法は、法人の所得等に対する税金である法人税について定めた法律です。
どちらも、所得に対して課税されるわけですので、所得が多いほど課税額も増えることになります。
支払う税金を少しでも抑えたいという気持ちから、所得が実際よりも少なく申告するなどの不正行為が行われるケースは少なくありません。
しかし、これらの税法では、「偽りその他不正な行為」により法税を免れる又は還付を受ける行為に対して刑事罰を設けています。
上記ケースのように、架空の外注費を計上して、実際より所得を少なく申告した場合、10年以下の懲役若しくは1000万円の罰金(納税額が1000万円を超える場合は情状により脱税相当額以下の罰金)または懲役と罰金の併科が科される可能性があります。(法人税法第159条)
また、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業員が、法人の業務または財産に関して脱税行為をした場合は、法人に対しても罰金刑が科されます。
脱税で告発されると
脱税が発覚するきっかけは様々で、国税局が他の事件の捜査中に発覚する場合、内部告発で発覚する場合、所轄税務署の税務調査から発覚することもあります。
国税局は、事前の通告なく、事務所や社長の自宅、取引先等に訪れ、脱税に関する証拠を収集するため査察調査(「犯則調査」)を行います。
査察調査の結果、脱税に関する犯罪が成立すると判断された場合、検察官に告発されることになります。
「告発」は、告訴権者や犯人以外の第三者が、捜査機関に対して、犯罪の事実を申告し、訴追を求める意思表示です。
捜査機関に犯罪事実を申告し、訴追を求める意思表示という点では、「告訴」と同じですが、告訴を行えるのは、告訴権者であり、被害者本人や被害者の法定代理人である点で異なります。
検察官に告発されると、その後は通常の刑事事件の流れとなります。
脱税事件で刑事罰を受けないようにするためには、まずは国税局に告発されないようにすることが重要ですが、査察調査が入った場合、告発される可能性は十分にありますので、告発された後のことも見込んで対応するのがベストでしょう。
ですので、脱税事件が発覚した早い段階から、脱税事件や刑事事件に詳しい弁護士に相談し、今後の流れについて詳しい説明を受け、対応についても適切なアドバイスをもらいましょう。
不安な状態で捜査や調査を受けた結果、予想していた以上に大事になってしまうこともありますので、早期に専門家に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脱税事件も含めた刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
脱税事件で国税局からの査察調査を受けた、検察に告発された、とお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。
不法投棄で逮捕
不法投棄で逮捕
不法投棄で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県高砂市で青果店を営むAさんは、従業員のBさんと、店で処理した野菜の皮などを大量に、正規の処理業者を介さずに、同市の山林に不法に捨てていました。
ある日、兵庫県高砂警察署に「山に野菜くずが大量に捨てられている」との通報があり、事件が発覚しました。
同署は、捜査をすすめ、AさんとBさんによる犯行であることを突き止め、AさんとBさんを廃棄物処理法違反(不法投棄)の容疑で逮捕しました。
(産経WEST 平成31年1月28日22時13分掲載記事を基にしたフィクションです)
不法投棄で刑事事件に~廃棄物処理法違反~
廃棄物処理法(「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の略称)は、廃棄物の排出抑制、リサイクル、適正処理をすすめることで、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。
本法は、本法で定められた処分場所以外に廃棄物を投棄する行為(不法投棄)を禁止しており、違反に対して罰則を設けています。
第十六条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
八 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者
それでは、上記のケースが不法投棄罪に該当するのか否かについて検討していきます。
「みだりに廃棄物を捨てる」行為とは、どのような行為をいうのでしょうか。
まず、「青果店で処理した野菜の皮など」が「廃棄物」に当たるのでしょうか。
廃棄物処理法における「廃棄物」とは、その2条に以下の様に定義されています。
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
ここでいう「不要物」とは、判例上、「占有者が自ら利用し又は他人に有償で売却することができないため不要になった物」と解釈されます。
「廃棄物」は「産業廃棄物」と「一般廃棄物」とに分類されます。
「産業廃棄物」は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法で規定された20種類をいいます。
この20種類には、「動植物性残さ」があり、食料品、医薬品、香料製造業から生ずるあめかす、のりかす、醸造かす、魚および獣のあら等の固形状の不要物とされています。
「青果店で処理した野菜の皮など」は、青果店で野菜を販売する際に、皮などの要らない部分をとる作業で発生するものですので、食料品製造業から生じているとは言えず、「産業廃棄物」には該当しないでしょう。
一方、「一般廃棄物」には「事業系一般廃棄物」「家庭廃棄物」「特別管理一般廃棄物」とに分類されます。
「事業系一般廃棄物」とは、事業活動に伴って生じた廃棄物で「産業廃棄物」以外のものをいいます。
ですので、「青果店で処理した野菜の皮など」は「事業系一般廃棄物」に当たるでしょう。
次に、「捨てる」の解釈についてですが、「捨てる」とは、市場に投棄する行為だけでなく、海中に投棄する行為や地中に埋める行為など、最終処分する行為のことをいい、廃棄物を最終的に占有者の手から離して自然に還元することをいいます。
不法投棄の際には「放置したままにする」という不作為も「捨てる」に該当するかについてですが、不要物としてその「管理を放棄した」時点で「廃棄物を捨てる」行為に該当すると理解されています。
上記ケースでは、「捨てる」に当たると考えられるでしょう。
最後に、「みだりに」の意味ですが、社会通念上、公衆衛生・生活環境の保全に支障が生じうると認められる方法です。
この判断には、行為の態様、当該物の性質・量・管理の状況、周囲の環境、行為者の内心の意図など客観的及び主観的側面を総合し、生活環境の保全及び公衆衛生の向上という廃棄物処理法の趣旨と社会通念に照らして、個別具体的に決められます。
この点、野菜の皮などは事業系一般廃棄物に当たり、処理業者に処理を委託するか、事業者が処理施設等に搬入しなければなりませんので、「みだりに」の要件にも該当するでしょう。
上記ケースでは廃棄物処理法違反(不法投棄罪)が成立すると考えられます。
事業活動に関して従業員が廃棄物処理法違反をした場合、その従業員のみならず、その人を雇用していた法人にも、1億円以下の罰金が科される可能性があります。
ご家族が、不法投棄で逮捕されてお困りであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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