Archive for the ‘性犯罪’ Category

児童ポルノ事件で逮捕

2019-02-24

児童ポルノ事件で逮捕

児童ポルノ事件での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
大学生のAさんは、ネットを通じて知り合った中学生のVさんに、裸の写真を送るよう要求し、LINEを通じてAさんに送らせました。
AさんとVさんは、交際関係にあったわけではありませんが、VさんはAさんに好意を寄せていました。
ある日、Vさんが別件で兵庫県三木警察署に補導された際に、問題の写真が見つかり、事件が発覚しました。
兵庫県三木警察署は、Aさんを児童ポルノ禁止法違反(製造)の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、訳が分からず、急いで刑事事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)

児童ポルノ禁止法違反

上記ケースのように、18歳未満の者(以下、「児童」)に対して、児童の裸の写真を撮って自己に送らせる行為は、児童ポルノ禁止法(「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の略称)によって禁止されており、刑罰の対象となります。

児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」とは、以下のものを指します。

写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの (児童ポルノ禁止法第2条3項)

上の要件に該当する児童ポルノを、「自己の性的好奇心を満たす目的」で「所持」した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、児童との性交場面を撮影したり、児童に自身の裸の写真を撮らせてメールなどでそのデータを送信させる行為は、「製造」に当たります。
児童ポルノの製造については、以下の通り児童ポルノ禁止法で禁止されています。
①提供する目的での製造(児童ポルノ禁止法第7条3項)
②単純な製造(同条4項)
③盗撮による製造(同条5項)
④不特定もしくは多数への提供や公然陳列を目的とする製造(同条7項)

①~③の法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、④については、5年以下の懲役または500万円以下の罰金もしくはその併科です。

児童ポルノ事件で逮捕されたら

児童ポルノ事件で逮捕されると、逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか検察に送致するかを決めます。
検察に送致された場合、検察官は、被疑者の身柄を受けたときから24時間以内に、被疑者を釈放するか裁判官に勾留請求するかを判断します。
検察官が勾留請求すると、裁判官は、被疑者を勾留するか釈放するかを決定します。
勾留決定がなされると、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長されると最大で20日間身柄が拘束されることになります。

勾留されると、その間、会社や学校に行くことができないため、最悪の場合、懲戒解雇やタイ抱く処分となってしまう可能性もあります。
そのような事態を防ぐため、弁護士は、検察官や裁判官に対して勾留をする必要がない旨を主張し、勾留阻止に動きます。
また、勾留がされてしまった場合には、勾留決定に対する不服申し立てを行うなど、身柄解放活動に徹します。

ご家族が児童ポルノ事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件ではスピードが重要です。
刑事事件のことなら、刑事事件専門の弁護士にお任せください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。

出待ちとつきまといの線引き

2019-02-23

出待ちとつきまといの線引き

出待ちつきまといの線引きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
アイドルグループのVさんのファンであるAさんは、Vさんに会うため、コンサート等で移動する際、駅や空港で出待ちしたり、執拗に追いかけてカバンの中にプレゼントを入れたり、手を握ったり、挙句の果てには、プライベートでの外出先に押し掛け、飲食店の隣の席に座るなどの行為を行っていました。
Aさんの行為に困り果てたVさんは、会社から警察に相談してもらい、警察はAさんに警告をしました。
しかし、Aさんの行為は止むことがなく、むしろエスカレートしていきました。
ついに、兵庫県神戸市中央区で開催されたコンサートで出待ち中のAさんは、兵庫県生田警察署に逮捕されることとなりました。
Aさんは、自身の行為はストーカー行為ではなく、出待ち行為だと容疑を否認しています。
(フィクションです)

ストーカー行為で刑事事件

ファンの行き過ぎた追っかけや出待ち行為が、時に犯罪となることもあります。
ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、ストーカー行為を規制する法律です。
本法でいう「ストーカー行為」とは、以下のように定義されます。

同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。(ストーカー規制法第2条3項)

つまり、「つきまとい等」を「反復して」行うことを「ストーカー行為」といいます。

ここで問題となる「つきまとい等」についてですが、以下の要件を満たすものをいいます。

特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。(ストーカー規制法第2条1項)

「ある人に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」をもって、「その人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して、第1号から8号に該当するような行為をすることが「つきまとい等」となります。

さて、ファンの「出待ち」だけで「ストーカー行為」に当たってしまうのでしょうか。
通常、ファンの「出待ち」とは、その有名人が劇場、テレビ局、コンサート会場などでの公演が終わり、その施設から出てくるのを見たり、声をかけるために、当該施設の出入り口で待機することをいいます。
この行為自体は、第1号に当たりそうですが、これには「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる」場合に限定されていますので、単にテレビ局やコンサート会場付近で、サインを求めるために出待ちする程度では該当せず、「ストーカー行為」には当たらないでしょう。
しかし、上記のケースのAさんの行為は、単なる出待ちを超えてしまっており、Vさんに「不安を覚えさせるような方法」で繰り返し待ち伏せ等をしているわけですから、ストーカー行為に当たるでしょう。

ファンの「出待ち」行為と「ストーカー行為」の明確な線引きは、なかなか難しいものがありますが、あきらかに度を越えた行為は、ストーカー行為となり、刑事事件化することもあります。
刑事事件化してしまった場合には、早急に刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ストーカー規制法違反事件を含めた刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、0120-631-881までご連絡ください。

少年の刑事事件

2019-02-16

少年の刑事事件

少年刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県須磨区に住むAさん(当時16歳)は、神戸市内の高校に通っていました。
Aさんは、同じ高校に通うBさんに対し、かねてより好意を抱いており、「いつか付き合うことができれば・・・」と思っていました。
しかし、Bさんに直接告白することができないAさんは、せめて下着の色くらい見てみたいと思い、Bさんを盗撮することとしました。
AさんはたまたまBさんと同じ電車で通学していたため、学校の最寄り駅までBさんのあとをつけ、エスカレーターに乗ったところで背後から動画モードにしたスマートフォンをスカート内に差し入れました。
Aさんの行為は、反対側のエスカレーターに乗っていた通行人に目撃され、ただちにBさんや周りの人に発覚してしまい、Aさんはそのまま長田警察署に連行され、そのまま逮捕されてしまいました。
不安になったAさんの両親は、すぐに少年事件に精通する弁護士に相談電話を入れました。
(フィクションです)

少年の刑事事件

Aさんは、現在長田警察署に逮捕されています。
この後Aさんはどのようになるのでしょうか。
 
まず、Aさんは長田警察署で取調べを受けます。
逮捕という手続きは、警察署で最長48時間身体拘束をされる手続きです。
その後、Aさんは神戸検察庁にそのまま連れていかれます。
ここで、検察官から取調べを受けますが、この取調べが終わった後にどのような手続きになるのかが、少年の場合には複数の可能性が考えられます。
①48時間で警察が捜査を終え、これ以上捜査をする必要性がないと判断された場合には、検察官は事件を直接家庭裁判所に送致します。
②48時間では捜査が終了していないと判断された場合には、検察官はさらに身体拘束を継続する必要性があるか判断します。
今回のように、被害者と加害者の人間関係が近いような事件の場合には、盗撮のような比較的軽微な事件であったとしても、身体拘束の継続の必要性があると判断される可能性があります。
そのような場合に、勾留という手続きにより身体拘束が継続されますが、10日ないし20日間身体拘束される可能性があります。
この勾留という手続きが終了すると(日数が経過すると)検察官は事件を家庭裁判所に送致します。

家庭裁判所送致後の手続き

家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所の裁判官は、観護措置を取る必要があるか判断します。
観護措置とは、少年鑑別所に通常4週間収容した上で、少年の心身の状態を調査するという手続きになります。
4週間もの間身体拘束をするものですから、少年にとって非常に負担が大きなものになります。
観護措置の必要性がないと判断された場合には、家庭裁判所でそのまま釈放されることとなります。

少年事件のポイント

少年事件は、基本的にすべての事件が家庭裁判所に送致されます。
これは、例外はほとんどなく、たとえ被害者との間の示談が成立するなどしても、家庭裁判所に事件が送られてしまいます。
また、家庭裁判所では、少年の健全な育成という観点から、どのような指導を行えば、少年が再非行をしないかという点が重視されます。
そのため、少年が真に反省しているかどうかという点が調査されます。
今回の事件で言えば、「付き合うことができない」から「下着を見たい」という動機は、直ちには理解しにくいところです。
このようなことがBさんにばれてしまえば、必ずBさんから嫌われてしまいます。
Aさんはこのようなことまで考えられていたのでしょうか。
このように、非行をした少年には、何等かの点で十分に考えられていない点があることが多くあります。
家庭裁判所に送致された後は、このような点について、少年と一緒になって考え、どのようにすれば再び同じようなことをせず、相手の気持ちなどを十分考えられるのかということを話し合っていく必要があります。

このように、少年事件における弁護人・付添人の活動は、成人の刑事事件における活動と異なるところがありますので、少年事件でお困りであれば、少年事件に精通する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件および刑事事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしてしまった、警察に逮捕されてしまった…とお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

少年事件の処分:少年院送致

2019-02-14

少年事件の処分:少年院送致

少年事件処分少年院送致)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県相生市に住むAくん(17歳)は、受験勉強のストレスを発散させようと、深夜に自宅付近でジョギングをしていました。
ある夜、Aくんがジョギングをしていると、若い女性が路上を歩いていることに気が付きました、Aくんは、その女性の後をつけ、人気のない場所で、女性を背後から襲い、女性の服の中に手を入れて胸を掴む行為に及びました。
女性が大声を出したことで我に返ったAくんは、すぐにその場を立ち去りました。
しばらくしたある日、兵庫県相生警察署の警察官がAくん宅を訪れ、強制わいせつ致傷の疑いでAくんを逮捕しました。
Aくんの両親は、このままでは少年院に収容されるのではと不安です。
(事実を基にしたフィクションです)

少年事件の処分

少年事件は、原則すべての事件が家庭裁判所に送られ、調査・審判を経て、少年の更生に適した処分が決定されます。
この最終処分には、以下の種類があります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官送致
③知事又は児童相談所長送致
④不処分
⑤審判不開始

お子様が事件を起こしてしまった場合、ご本人やご家族が、「少年院に入ることになるのか…」と心配されることが多いように思います。
再び非行を犯すおそれが強く、社会内での更生が難しいと判断される場合、少年を少年院に収容して矯正教育を受けさせる処分を「少年院送致」といいます。

少年院の処遇

家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年や懲役・禁錮の言渡しを受けた16歳未満の少年を収容し、これらの少年に、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う施設が「少年院」です。
再び非行を犯すことなく、社会に復帰させることが目的であるので、少年院における矯正教育は少年の更生の中核となります。
少年院送致となった少年は、人間関係や学校・職場でのルールなどに適切に対応する能力が不十分である場合が多く、少年が更生するためには、少年が社会に出たときに遭遇するであろう様々な困難を乗り越え、再び非行を犯すことなく社会で生活していくことができるよう、健全なものの見方や考え方を身に着けることが重要だからです。
矯正教育は、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導を適切に組み合わせて行われます。
この中でも、生活指導は少年院における矯正教育の中心とされます。
少年院送致となる少年の多くは、基本的な生活習慣が身に付いていない、周囲とのコミュニケーション能力や自己表現力が乏しいために社会に適用できない、ものの見方や行動選択の場面に問題がある、などといったことが非行の原因となっていると考えられるので、これらの問題を改善することが少年の更生には必要不可欠と言えるからです。
生活指導には、基本的な生活習慣に関する指導から、様々な問題について講義やディスカッションを通して正しい知識や対処法を学んだり、家族との関係改善を図る指導まで幅広い内容となっています。

少年院は、少年が再び非行を犯すことがないよう、社会に適応して生活することができるよう支援する施設であり、少年院送致となることが必ずしも少年にとって不利益であるとは言えません。
しかしながら、長期間施設に収容されることで、少年の社会復帰に弊害をもたし得ることも否定できません。
お子様が事件を起こし、少年院送致が見込まれる場合には、すぐに少年事件に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
弊所の弁護士は、少年一人ひとりに合う弁護・付添人活動を行い、少年の更生に適した処分となるよう尽力します。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

強制わいせつ罪で逮捕

2019-02-11

強制わいせつ罪で逮捕

強制わいせつ罪逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県揖保郡太子町のマンションのエレベーター内で、小学生の女児のスカートをめくってお尻を触るなど、わいせつな行為をしたとして、兵庫県たつの警察署は、県内に住むAさんを強制わいせつの容疑で逮捕しました。
被害児童が母親に相談したことで事件が発覚し、相談を受けた兵庫県たつの警察署は、エレベーターの防犯カメラの画像からAさんを特定しました。
Aさんは容疑を認めていますが、他にも同種の事件を起こしており、長期の身体拘束となることを恐れています。
(産経WEST 2019年2月5日20時56分掲載記事を基にしたフィクションです)

強制わいせつ罪とは

刑法第176条
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
 13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪とは、
①13歳以上の者に対し、暴行・脅迫を用いて、わいせつな行為をする
もしくは、
②13歳未満の者に対し、わいせつな行為をする
犯罪です。

つまり、強制わいせつ罪の構成要件に該当するためには、
行為の客体が「13歳以上の者」である場合、「暴行又は脅迫」を用いて「わいせつな行為」をすることが必要となりますが、行為の客体が「13歳未満の者」の場合には、「暴行又は脅迫」を用いずとも「わいせつな行為」をすれば該当することになります。

「暴行又は脅迫」の程度についてですが、通説では「相手方の反抗を著しく困難にさせる程度のもの」と理解されています。
また、「わいせつな行為」の意義についは、基本的には公然わいせつの「わいせつ」概念である「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」と同様に理解されますが、強制わいせつ罪の保護法益は「個人の性的自由」であるのに対し、公然わいせつ罪の保護法益は「性的秩序」であるので、両者の「わいせつ」概念のニュアンスは異なります。
例えば、見知らぬ人に無理やりキスをする行為は、強制わいせつ罪に該当し得ますが、公然わいせつ罪には当たらないでしょう。

強制わいせつ罪の構成要件的故意は、「13歳以上の者に対し、暴行・脅迫を用いて、わいせつな行為をすること」もしくは「13歳未満の者に対し、わいせつな行為をすること」の認識・認容です。
この点、13歳未満の者を13歳以上だと誤信していた場合、構成要件的故意がないので、暴行・脅迫が用いられていない限り、強制わいせつ罪は成立しないことになります。
また、判例は、かつて、強制わいせつ罪の成立には、「犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図」が必要であるとする立場をとっており、報復や金銭目的などでせいわつな行為を行った場合には、強制わいせつ罪は成立しないとしてきました。
しかし、平成29年の最高裁判決は、この点、性的意図の有無については、個別具体的な事情の一つとして考慮すべき場合があり得ることは否定しないとしつつも、客観的にわいせつな行為であることが明らかであれば、性的意図の有無を判断することなく強制わいせつ罪が成立する可能性はあるとしました。

強制わいせつ事件で逮捕されたら

強制わいせつ事件で逮捕されると、その後勾留される可能性が高いと言えるでしょう。
勾留が決定すると、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長されると最大で20日間身柄が拘束されることとなります。
余罪が複数ある場合には、再逮捕の可能性もあり、更に身体拘束が長引くおそれも考えられます。

長期間の身体拘束により被る不利益は計り知れません。
そのような事態を回避するためにも、早期に弁護士に相談・依頼し、身柄解放活動に動いてもらうのがよいでしょう。
事案によって、活動内容も異なりますので、刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする全国でも数少ない法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ事件で逮捕されたら、すぐに弊所にご相談ください。

実刑判決と執行猶予付き判決

2019-01-25

実刑判決と執行猶予付き判決

実刑判決執行猶予付き判決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加東市に住むAさんは、泥酔した女性を狙った準強制性交等事件の被疑者として、兵庫県加東警察署に逮捕されました。
Aさんは、容疑を認めていますが、裁判で実刑判決が宣告されるのかと不安に思っています。
(フィクションです)

実刑判決と執行猶予付きの違いとは

あなたが、ある犯罪を犯し、警察官に起訴されると、正式な刑事裁判を受けることになります。
刑事裁判において、被告人が有罪であるか無罪であるか、有罪である場合には如何なる処罰に処するのかについて判決が下されます。
実刑判決執行猶予付き判決も、どちらも有罪判決です。

実刑判決

執行猶予が付されていない有罪判決のことを「実刑判決」といいます。
実刑判決が言い渡されると、被告人は受刑者となり、刑務所に収容され、服役することになります。
起訴後も勾留されている場合には、そのまま勾留が継続し、保釈されている場合には保釈が自動的に取り消され、、判決言い渡し後、そのまま拘置所に収容されます。
在宅事件の場合には、裁判確定後に検察官から連絡があり、検察庁に出頭した後に、拘置所に収容されます。
判決が下されてから14日が経過すると、裁判が確定します。
判決が確定すると、裁判が執行されることになり、身柄は拘置所から刑務所へと移ります。
第一審で保釈されていたが、実刑判決を宣告された場合、保釈が失効することになります。
しかし、判決が宣告された時から再度の保釈請求を行うことができますので、実刑判決が見込まれる場合には、再度の保釈請求の準備をしておく必要があります。

執行猶予付き判決

刑を言い渡すにあたり、犯情により一定の期間その執行を猶予し、執行猶予期間を無事に経過したときに、刑罰権の消滅を認める制度を「執行猶予」といい、これが付される有罪判決を「執行猶予付き判決」です。
執行猶予付き判決が宣告されると、直ちに拘置所に収容されることはありませんが、法廷で即釈放というわけではなく、一度勾留場所に戻り、所持品等の宅下げを受けた後に釈放されることになります。

つまり、実刑判決執行猶予付き判決は、刑の執行をすぐに受けるか受けないかの違いであり、後者は、一定の条件を執行猶予中に遵守すれば、言い渡された刑を受ける必要がなくなるので、両者の間には大きな違いがあると言えます。

執行猶予付き判決となるには、幾つか満たさなければならない要件があります。

刑法第25条
1 次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金の言い渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することがきでる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

執行猶予付き判決を得るポイントは、犯した犯罪の内容や犯罪の悪質性も重要ですが、被害者がいる場合には、被害者との間で示談が成立していることも重要な要素となります。
また、社会内での更生が期待できる環境が整っていることもポイントとなりますので、家族や職場・学校などと協力してそのような環境を整える必要があります。

刑事事件の加害者となり、執行猶予付き判決の獲得を希望されている方、実刑判決になるのではとお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
ご家族やご友人が逮捕・勾留されている場合には、弊所の弁護士が勾留場所に赴いて接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

少年事件の身体拘束

2019-01-24

少年事件の身体拘束

少年事件身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県芦屋市の駅構内の階段で、女子高生のスカートの中をスマートフォンで撮影したとして、目撃者の男性に取り押さえられた高校生のAくん(16歳)。
その後、兵庫県芦屋警察署から駆け付けた警察官に連行され取調べを受けており、Aくんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、このまま身体拘束が続くのか、不安に思っています。
(フィクションです)

少年事件における身体拘束

少年事件とは、犯罪を起こしたり、今後起こす恐れがある20歳未満の者の事件のことをいいます。
原則、すべての少年事件は家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所が取り扱う少年事件は、次のような少年の事件です。
①犯罪少年:罪を犯した14歳以上20歳未満の少年。
②触法少年:刑罰法令に触れる行為をしたが、その行為時に14歳未満であったために刑事責任が問われない少年。
③ぐ犯少年:20歳未満で、保護者の正当な監督に従わないなどの不良行為があり、その性格や環境から将来犯罪を犯すおそれのある少年。
ここでは、①犯罪少年の身体拘束についてみていきます。

捜査段階

少年が被疑者であっても、捜査段階では基本的に刑事訴訟法が適用されるため、捜査段階の手続は成人の刑事事件とほとんど同じになります。
つまり、逮捕・勾留による身体拘束となる可能性があるということです。
逮捕後に勾留となると、逮捕から23日間身体拘束を受けることになります。
勾留が延長されると、身体拘束期間が、さらに10日増えることになります。
捜査段階の手続が少年事件も成人の刑事事件もほとんど同様だと先述しましたが、成人の場合と異な規定も設けられています。
勾留に代わる観護措置」です。
検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断する場合であっても、裁判官に対して、勾留に代わる観護措置を請求することができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されていますが、以下の点が当該措置の特徴と言えるでしょう。
・少年鑑別所収容の観護措置の他に、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができる。
・勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日で、延長はできない。
・勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容された場合、事件が家庭裁判所に送致された際に、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされる。

家庭裁判所送致後

事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることができます。
観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りつつ、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
この観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護があります。
しかし、実務上、在宅観護はほとんどとられておらず、観護措置と言う際には後者の収容観護を意味するものとなっています。
観護措置の要件は、「審判を行うために必要があるとき」と少年法に明記されていますが、一般的には、以下の要件を満たす必要があるとされています。
・審判条件があること
・少年が非行を犯したことを疑うに足りる事情があること
・審判を行う蓋然性があること
・観護措置の必要性が認められること
「観護措置の必要性」については、次の要件のいずれかに該当する場合に認められるとされています。
・調査、審判、決定の執行を円滑・確実に行うために、少年の身体を確保する必要がある。
・緊急的に少年の保護が必要であること。
・少年を収容して心身鑑別をする必要がある。
観護措置の期間は、法律上は2週間、特に継続の必要がある場合に1回更新することが出来ることになっていますが、実務上は4週間となっています。

以上の様に、少年事件において、長期間の身体拘束となる可能性はあります。
その期間、少年は学校や職場に行くことができませんので、最悪の場合、退学や解雇となってしまう可能性もあります。
そのような事態を避けるためにも、早期に少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼し、身体拘束を回避するよう動くことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が逮捕された、観護措置をとられた、と身体拘束でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問合せは、フリーダイアル0120-631-881まで。

盗撮事件で逮捕

2019-01-21

盗撮事件で逮捕

盗撮事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県明石市にある銭湯の脱衣所で、父親に連れられた女児の裸を、スマートフォンで撮影しました。
Aさんの行動を不審に思った被害女児の父親は、Aさんが盗撮をしたことに気づき、すぐにAさんを取り押さえました。
通報を受けて兵庫県明石警察署から駆け付けた警察官に、Aさんは逮捕されました。
Aさんは、容疑を認めていますが、身体拘束が長引くと会社にもバレてしまうと、心配しています。
(フィクションです)

盗撮は何罪に?

被写体の許可をとらずに、こっそりと撮影することを「盗撮」といいます。
盗撮行為が犯罪であることは、みなさん知るところではありますが、いったいどのような罪となり、如何なる刑事罰の対象となるのか、については意外に知られていないように思います。
以下、兵庫県において盗撮行為をした場合に問われ得る罪や刑罰について概観していきます。

迷惑防止条例違反

各都道府県では、住民が平穏に生活できるよう、公衆に著しく迷惑をかける行為を禁止する「迷惑防止条例」を制定しています。
兵庫県は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」を定めています。
この条例が禁止する行為のなかには盗撮行為も含まれているのです。
該当箇所を見てみましょう。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

まず、第1項では、対象場所が「公共の場所又は公共の乗物」に限定されています。
「公共の場所」というのは、道路、公園、広場、駅、空港、埠ふ頭、興行場、飲食店その他の公衆が出入りすることができる場所を指し、「公共の乗物」は、汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他公衆が利用することができる乗物を意味します。
次に、禁止されている行為については、「不安を覚えさせるような卑わいな言動」と定められています。
この「卑わいな言動」とは、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言動又は動作」をいうと解されています。(最決平20・11・10)
盗撮行為は、まさにこの「卑わいな言動」に当たるのです。
第1項では、盗撮行為に加えて、盗撮目的でカメラ等を設置する行為も禁止されています。

第2項は、対象場所を「集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)」と規定されています。
そして、禁止行為は、人の裸や下着を盗撮したり、盗撮目的でカメラ等を向ける・設置する行為です。

第3項は、「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」が対象場所となり、それらの場所で盗撮し、盗撮目的でカメラ等を向ける・設置することが禁じられています。

このように、兵庫県の迷惑防止条例では、公共の場所・乗物だけでなく、不特定多数の者が利用する場所や通常衣服の全部・一部を着けない状態でいる場所での盗撮行為・盗撮目的のカメラ差し向け・設置行為が禁止されているのです。

上記ケースでは、「銭湯の脱衣所」での盗撮ですので、「通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に該当しますので、そのような場所で盗撮行為は、迷惑防止条例違反となるでしょう。

盗撮での迷惑防止条例違反の刑罰は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
しかし、常習性が認められた場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と刑が加重されます。

盗撮事件で逮捕された場合、勾留されないように、弁護士は、被疑者が逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に客観的証拠に基づいて主張するなど、すぐさま身柄解放活動を行います。
勾留されずに、釈放となれば、長い間会社や学校を休まずに済みますので、解雇や退学のリスクを抑えることになります。

兵庫県明石市盗撮事件で逮捕されたら、盗撮事件を含めた刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

淫行条例事件で示談

2019-01-14

淫行条例事件で示談

淫行条例事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県篠山警察署は、管轄地域内に住む中学3年生のVさん(15歳)を補導しました。
その際、Vさんがネットで知り合った男性と性的関係を持っていることがLINEのやり取りで発覚しました。
ある日、会社員のAさんは、兵庫県篠山警察署から連絡を受け、Vさんとの関係で話を聞きたいと、呼び出しを受けました。
Aさんは、今後どのような処分を受けることになるのか心配になり、淫行条例違反事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

淫行条例違反事件

淫行条例」とは、各都道府県が定める青少年保護育成条例の中で、18歳未満の青少年との「淫行」を禁止する条文の通称のことです。
兵庫県では、青少年愛護条例の第21条に規定されています。

第21条 何人も、青少年に対し、みだなら性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

ここでいう「みだらな性行為又はわいせつな行為」とはいったいどのような行為を指すのか、という点が気になるところでしょう。
各都道府県が規定する淫行条例の文言は「淫行」「みだなら性行為」「わいせつな行為」「みだらな性交」等、若干の違いはありますが、青少年との「淫行」について規定している点で共通しています。
そこで、「みだらな性行為又はわいせつな行為」について、最高裁判所による福岡県青少年保護育成条例における淫行条例の解釈を参照してみたいと思います。

(淫行条例の)趣旨は、一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に未だ十分に安定していないため、性行為等によつて精神的な痛手を受け易く、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとしたものであることが明らかであつて、右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例一〇条一項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。【最高裁昭和60年10月23日大法廷判決】※()内と下線は筆者が加筆。

「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない」と判断される場合の明確な線引きは難しいですが、性交等に至るまでの経緯や両者の関係性などの要素を考慮して判断されることになります。
上記ケースのように、よく素性も分からないネットで知り合った相手と会ってすぐに性交渉する場合には、当該要件を満たしていると判断されるでしょう。
他方、両親も当事者の交際を認めており、結婚を前提にしているといった場合には、淫行条例違反とはならないでしょう。

兵庫県において、淫行条例違反に対する罰則は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

淫行条例違反事件で、事件を穏便に解決したい、不起訴となり前科を回避したい場合には、相手方との示談を成立させる必要があります。
示談とは、加害者が被害者に対して、相応の弁償金を支払う一方で、被害者は被害届の提出を行わないなど、当事者間では当該事件は解決したと約束することをいいます。
示談を締結するには、未成年者である相手方本人ではなく、その保護者と行う必要があります。
本人よりも、保護者のほうが処罰感情が高いことが多いので、示談交渉を行うのは、加害者本人ではなく、弁護士を介して行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、刑事事件を専門とし、これまでも数多くの刑事事件において被害者との示談交渉を行ってきました。
淫行条例違反事件でお困りの方、被害者との示談交渉にお悩みの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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準強制性交等(旧準強姦)罪で不起訴

2019-01-08

準強制性交等(旧準強姦)罪で不起訴

準強制性交等旧準強姦)罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

知人が主催する飲み会に参加したAさんは、参加者のVさんと飲み会で意気投合し、その後二人でカラオケ店に行きました。
カラオケ店の個室内で、AさんとVさんは性行為をしました。
後日、共通の知人からVさんがAさんにレイプされたと言っていると聞き、Aさんは驚きました。
AさんはVさんが合意していたものと思っており、当時Vさんは嫌がる様子はなかったと認識していました。
その後、Vさんが兵庫県豊岡南警察署に被害届を出しにいったと聞いたAさんは、怖くなり刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

準強制性交等(旧準強姦)罪とは

強制性交等(旧強姦)や準強制性交等(旧準強姦)事件では、加害者とされる方が、性交等について相手方との合意があったと認識されているケースが多く見受けられます。
そのようなケースの多くは、男女関係のもつれや、飲酒が関係しているものとなっています。
例えば、上記ケースのように、お互いにお酒を飲んでいて、その場の雰囲気で肉体関係を持ったものの、後日、相手方から「合意なくやられた」と被害が訴えられる場合です。
このようなケースでは、準強制性交等(旧準強姦)罪が成立するか否かが問われることになります。

準強制性交等(旧準強姦)罪とは、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じて、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をする犯罪をいいます。
まず、「心神喪失」というのはどういうことかというと、睡眠や泥酔などによる意識喪失や高度の精神障害などによって性的行為について正常な判断ができない状態にあることです。
ここでいう「心神喪失」は、刑事責任能力における「心神喪失」と同じ意味ではなく、重度の精神薄弱者などで、責任無能力の状態であっても、性交の意味を理解できる場合には、準強制性交等(旧準強姦)罪における「心神喪失」には当たらないと理解されます。
「抗拒不能」とは、物理的・心理的に、性交等に対して抵抗することが不可能であったり著しく困難な状態をいいます。
例えば、相手方を自分の配偶者や恋人と勘違いして性交等を行った場合も、抗拒不能に当たります。
また、心神喪失・抗拒不能に乗じて、または、これらの状態にさせて、性交等をすることの認識・容認も準強制性交等(旧準強姦)罪の成立に必要となります。
つまり、上記のケースに当てはめると、Aさんが、Vさんが泥酔しており、その状態であればVさんと性交できると思っていた、若しくは、Vさんは泥酔していて、ちゃんとした意識はないかもしれないと思っていたが、そのまま流れで性交した場合には、上の認識・容認(=故意)があり、準強制性交等(旧準強姦)罪が成立する可能性があります。

この故意の有無を争う場合には、加害者が「被害者の合意があった」と思うことに合理的な理由があることを客観的な証拠に基づいて主張する必要があります。
例えば、これまでの二人の関係や行為に及ぶまでの経緯、飲酒量や飲酒時・後の様子、行為後のやり取りなど、客観的に当時被害者が泥酔状態ではなかったことや、今までの経験から合意がなかったとは言えないことなどを立証していきます。

一方、罪を認める場合、被害者との示談締結が重要です。
準強制性交等(旧準強姦)罪は、親告罪ではありませんが、被害者との示談が成立していれば、検察官が起訴・不起訴を検討する際や、裁判官が量刑を判断する際には、重要な判断材料となります。

このように、準強制性交等(旧準強姦)事件の弁護活動は、容疑を認めるか否か、そして事件内容によっても異なりますので、詳しくは刑事事件に強い弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
準強制性交等(旧準強姦)事件で加害者となりお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
初回の法律相談無料
問合せ先:0120-631-881

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