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ひき逃げ事件で出頭
ひき逃げ事件を起こし出頭した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県豊岡市に住むAさんは、自宅で晩酌をした後に、つまみを買うために近所のコンビニへ車で向かいました。
「すぐそこやし、大丈夫やろう。」と思い運転していたAさんですが、交差点を左折する際に、横断歩道を横断中の女性に気づくのが遅れ、Aさんの車は女性と接触してしまいました。
Aさんは事故を起こし気が動転し、そのまま現場を立ち去りました。
自宅に帰ったAさんは、やはり警察に出頭すべきだと思い、兵庫県豊岡南警察署に出頭することを決意しました。
(フィクションです)
ひき逃げ事件を起こしたら
ひき逃げ事件を起こした場合に問われ得る罪は、道路交通法違反、そして過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪です。
(1)道路交通法違反
交通事故を起こした場合、運転手らは、直ちに運転をやめ、負傷者を救護し、道路における危険を防止する必要な措置をとらなければなりません。
これを「救護義務」といい、この義務に反し、そのまま現場から立ち去ってしまうと、道路交通法違反(救護義務違反)となります。
救護義務違反の法定刑は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
また、交通事故を起こしてしまった場合、運転手は直ちに最寄りの警察署などの警察官に交通事故が発生した日時・場所などを報告しなければなりません。
これを「報告義務」といい、これに違反した場合、道路交通法違反(報告義務違反)として、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金となる可能性があります。
(2)過失運転致傷罪
自動車を運転するにあたって必要な注意を怠って事故を起こし、相手を死傷させた場合、過失運転致死傷罪に問われる可能性があります。
過失運転致傷罪の法定刑は、7年以下の懲役又は禁錮若しくは100万円以下の罰金です。
(3)危険運転致傷罪
アルコールや薬物などに影響を受けて正常な運転が難しい状態、進行の制御がきかないような速度が出ている状態、信号無視をし、さらに大きな危険性のある速度が出ている状態など、危険な運転行為により死傷事故を起こした場合や、事故を起こす危険性があると認識していながら運転し、死傷事故を起こした場合、危険運転致傷罪に問われる可能性があります。
こちらの法定刑は、被害者が怪我をした場合には15年以下懲役、死亡してしまった場合には1年以上の有期懲役です。
事件後、捜査機関に出頭したら
一旦は事故現場から逃走したものの、その後捜査機関に出頭した場合には、どのようになるのでしょうか。
(1)自首が成立する場合
犯人が捜査機関に出向くことを「自首」と理解されている方も多いようですが、自首が成立するには、幾つかの要件を満たす必要があります。
①犯罪を起こした本人自らが自発的に犯罪事実を申告していること。
「自ら自発的に」自分の犯した犯罪を申告しなければならず、取調べで単に犯罪事実を自白しただけでは自首したことになりません。
②犯罪を行った本人が自身の罰則や処分を求めていること。
申告内容が、犯罪事実の一部を隠すためにされたものであったり、自己の責任を否定するようなものであったりした場合には、自首は成立しません。
③捜査機関に申告していること。
司法警察員または検察官に対して申告している必要があります。
④捜査機関が犯罪事実や犯人を特定していない段階で申告していること。
犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合や、犯罪事実は発覚していたとしても、その犯人が誰であるか発覚していない場合を含みます。
犯罪事実や犯人が誰であるか判明しているけれども、単に犯人の所在だけが不明である場合は、これに含まれません。
犯罪事実の申告を受けた警察官等が犯罪事実を知らなくても、捜査機関の誰かが犯罪事実を知っていた場合には、自首は成立しません。
これらの要件を充たしてはじめて「自首」が成立することになります。
自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります。
(2)単なる出頭となる場合
もうすでに捜査機関に犯罪事実や犯人が特定されしまっている場合には、自首が成立せず、単なる「出頭」ということになります。
自首が成立した場合の「刑の軽減」という可能性は該当しませんが、自ら捜査機関に出向いているという点で、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないとして、逮捕されず在宅のまま捜査が進む可能性があります。
ひき逃げ事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、無料法律相談や初回接見サービスを行います。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
少年事件における不送致処分
少年事件における不送致処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県尼崎市の駅ホームで、女性客に痴漢行為を行ったとして、大学生のAくん(18歳)が兵庫県尼崎東警察署に逮捕されました。
しかし、Aくんは一貫して容疑を否認しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aくんは逮捕後勾留となりましたが、最終的に家庭裁判所不送致の処分となりました。
(フィクションです)
少年が事件を起こした場合
少年が事件を起こした場合、成人の刑事事件における場合と同様に、主に刑事訴訟法に基づいた手続がとられることになります。
しかし、刑法は、14歳未満の者については刑事責任を問わないこととしていますので、14歳未満の少年が刑罰法令に触れる行為を行った場合、刑事処分を受けることはありません。
刑事責任が問われませんので、被疑者として逮捕・勾留といった身体拘束を受けることはありません。
ただし、児童相談所で一時保護される可能性はあります。
このように、捜査段階、つまり、家庭裁判所に送致される前の段階では、事件を起こした少年の年齢によってとられる手続が異なります。
ここでは、14歳以上の少年の場合についてみていくことにします。
先述のように、14歳以上の少年が事件を起こした場合、逮捕・勾留などの身体拘束が伴う強制処分がなされることがあります。
身体拘束を受けている事件を「身柄事件」、身体拘束を受けていない事件を「在宅事件」と呼びますが、どちらであっても被疑者として捜査機関による捜査の対象となれば、取調官から取調べを受けたり、現場検証を行ったりと捜査を受けることになります。
その捜査を遂げた結果、少年が犯罪を行ったとの嫌疑がある場合、および、犯罪の嫌疑が認められないけれども、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
これは、少年法に以下にように規定されています。
第四十一条 司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
第四十二条 検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
2 前項の場合においては、刑事訴訟法の規定に基づく裁判官による被疑者についての弁護人の選任は、その効力を失う。
このように、捜査機関は原則、以下の場合には、事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
①司法警察員からの送致
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、原則として事件を検察官に送致することになっていますが、少年の被疑事件において、罰金以下の刑にあたる犯罪については、検察官に送致せず、直接事件を家庭裁判所に送致します。
②検察官からの送致
検察官は、警察が捜査を行い検察官に送致してきた事件の他に、検察官が自ら捜査した事件について、家庭裁判所に送致します。
しかし、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がない、および、家庭裁判所の審判に付すべき事由もないと考えられた場合には、捜査機関は事件を家庭裁判所に送致しない処分を決定します。
この処分を「不送致処分」といいます。
事件を家庭裁判所に送致しないため、その後家庭裁判所から調査や審判のために呼び出しを受けることはありません。
少年事件において不送致となるためには、捜査段階の早期から適切な弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
美人局で恐喝事件
美人局で恐喝事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
大学生のAさんは、友人のBさん、交際相手のCさん(17歳)と共謀し、出会い系アプリで知り合った男性とCさんとがホテルに入ろうとしたところを狙い、「俺の妹に何してくれてんねん。こいつ17やで。犯罪やで。どないしてくれるねん。」などといい、解決金名目で20万円を男性に要求し、ATMで現金を下ろさせて奪取したとして、恐喝容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
(フィクションです)
インターネットの普及に伴い、容易に見ず知らずの人と連絡がとれるようになりました。
便利である一方で、それが犯罪に利用されることも増えています。
上記ケースのように、若者が出会い系アプリを利用して、成人を未成年者と出合わせ、ホテルへ行こうとするところにその未成年者の交際相手や親族と名乗る者が現れ、示談金名目に高額な金銭を要求するといった事件が後を絶ちません。
金銭を要求された側も、実際に未成年といかがわしいことをしようとしていた手前、警察に被害を届け出ることは少なく、実際にどのくらい美人局が行われているのかは定かではありません。
美人局を行った場合、強盗罪、恐喝罪、詐欺罪、脅迫罪、強要罪などといった罪に問われる可能性があります。
今回は、恐喝罪について説明します。
恐喝罪
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
恐喝罪は、人を恐喝して財物または財産上の利益を交付させる罪です。
1.財物恐喝罪(刑法第249条第1項)
◇客体◇
本罪の客体は、他人の所有する財物です。
この財物には、不動産を含むとされます。
◇行為◇
本罪の構成要件的行為は、「人を恐喝して、財物を交付させる」ことです。
恐喝
「恐喝」というのは、脅迫または暴行を手段として、その反抗を抑圧するに足りない程度に相手方を畏怖させ、財物の交付を要求することです。
ここでいう「脅迫」とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
また、「暴行」は、人に対する不法な夕景力の行使を意味します。
「強盗罪」においても、「暴行または脅迫」を用いて行うことが求められますが、強盗罪における暴行・脅迫の程度は、犯行を抑圧する程度であることを必要とされ、恐喝罪のそれは相手方を抑圧するに足りない程度でよいとされています。
交付行為
「交付させた」とは、恐喝行為の結果、畏怖した相手方の処分行為に基づく交付によって、財物の占有を取得することをいいます。
よって、恐喝行為と財物の交付との間には、因果関係がなければなりません。
◇主観的要件◇
本罪の故意は、「他人を恐喝して、畏怖に基づく処分行為により、財物又は財産上不法の利益を得もしうは他人に得させること」の認識です。
この他、判例は、不法領得の意思も必要だとしています。
2.利益恐喝罪(同条第2項)
◇客体◇
本罪の客体は、財産上の利益です。
財産上の利益とは、財物以外の財産的利益のすべて、つまり、債券や担保権の取得、労務・サービスを提供させることだけでなく、債務免除や支払猶予も含みます。
◇行為◇
利益恐喝罪においても、相手方を恐喝した結果、相手方が畏怖し、相手方の意思に基づいて財産上の利益を移転させる処分行為が必要となります。
さて、上記ケースでは、Aさんは、BさんとCさんとグルになって、出会い系アプリで知り合った男性に対して、「未成年者とホテルにいこうとした」ことをネタに解決金名目で20万円を要求し、取得しています。
Aさんは、男性に対して、「俺の妹に何してくれてんねん。こいつ17やで。犯罪やで。どないしてくれるねん。」などと申し向けています。
この手のケースでは、未成年者とのいかがわしい行為は犯罪であることを主張し、そのことを公にしたくなければ金銭で解決すること提案するといったものがほとんどです。
相手方も、自分の行為を公にはしてほしくないですので、「もし暴露されたら大変だ!」と恐れおののき、高額な金銭を恐喝相手に渡してしまうのです。
つまり、脅迫を用いて、相手方を畏怖し、相手方の意思に基づいて、お金を交付させており、恐喝罪が成立するものと考えられます。
恐喝罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
恐喝罪で起訴され、有罪となれば、実刑となる可能性があるということです。
そのような事態を回避するためにも、早期の段階から刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、適切な弁護活動を行うこと重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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白タク営業で刑事事件に
白タク営業を行い刑事事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県姫路市で違法な「白タク営業」を行ったとして、兵庫県姫路警察署は、県内に住む男性3人を道路運送法違反(無許可営業)の容疑で逮捕しました。
被疑者らは、タクシーよりも安い運賃で走行しており、外国人客を中心に客を集め、「白タク営業」を行っていたということです。
(フィクションです)
後を絶たない白タク営業
タクシー事業は、国からの許可を受けて行う必要があります。
許可を受けたタクシーには、「緑色のナンバープレート」がつけられています。
一方、許可を受けていない車には、「白色のナンバープレート」がついています。
一般の自家用車(普通車)が付けているのと同じものです。
つまり、「白タク」とは、タクシーとして営業する許可を受けていないにもかかわらず、タクシー営業を行っている車のことです。
白タク営業は、道路運送法により禁止されています。
第四条 一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
ここでいう「一般旅客自動車運送事業」というのは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業です。
これに違反し、無許可営業を行った場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの両方が科される可能性があります。
このように思い刑罰が設けられているにもかかわらず、白タク営業は後を絶ちません。
特に、訪日客が増加するに伴い、外国人を対象にした白タク営業が増えています。
白タク営業で逮捕されたら
白タク営業を行い逮捕された場合、他の刑事事件と同様に、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄や証拠書類とともに事件が検察に送致される、もしくは被害者の身柄が釈放されます。
検察に送致されると、検察が身柄を受けてから24時間以内に、検察官は勾留請求を行うか、被疑者を釈放するかを決めます。
検察官が勾留請求した場合、裁判官は請求を受けて、被疑者を勾留するか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定すると、検察官が勾留請求した日から原則10日間身柄が拘束されることになります。
長期の身体拘束を回避するためにも、逮捕後すぐに身柄解放活動に着手することが重要です。
ご家族が白タク営業で逮捕され対応にお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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汚職事件:収賄罪で逮捕
汚職事件を起こし収賄罪で逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
汚職の罪について
刑法の第25章は、汚職の罪と題して、職権濫用の罪および賄賂の罪について規定しています。
これらの罪は、いずれも公務員による犯罪で、公務執行の公正およびそれに対する国民の信頼を国家機関の内部から侵害する罪と言われています。
「職権濫用の罪」は、公務員がその職権を濫用することにより国民の権利・自由を侵害する罪で、「公務員職権乱用罪」、「特別公務員職権濫用罪」、「特別公務員暴行陵虐罪」、そして、「特別公務員職権濫用等致死傷罪」により構成されます。
「賄賂の罪」は、公務員の職務に関して賄賂を受供与することによって、公務の公正さを侵害する犯罪です。
賄賂の罪は、「収賄罪」、「受託収賄罪」、「事前収賄罪」、「第三者供賄罪」、「加重収賄罪」、「事後収賄罪」、「あっせん収賄罪」、「贈賄罪」から成ります。
収賄罪について
第百九十七条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
「収賄罪」は、公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした場合に成立する罪です。
本罪は、収賄罪の基本類型であり、「単純収賄罪」とも呼ばれます。
◇主体◇
本罪の主体は、「公務員」です。
刑法において「公務員」とは、「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」をいうと定義されています。(刑法第7条)
◇行為◇
本罪の構成要件的行為は、「賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をすること」です。
「賄賂」の意義についてですが、判例によれば、「賄賂」とは、「公務員の職務に関連する不正の報酬としての一切の利益」をいうとされます。(大判明43・12・19)
賄賂としての利益は、人の需要または欲求を充たすものであれば足りるとされます。
また、賄賂は、「職務行為または職務と密接に関連する行為の対価として提供されたもの」でなければなりません。
この対価関係は、一定の職務に対する抽象的・包括的な反対給付としての性質が認められれば足りるとされており、個々の職務行為とその利益との間に対価関係があることまでも要されません。
中元や歳暮といった社交儀礼としての贈与については、社交的慣習・儀礼の範囲内であれば、価値が比較的軽微であったり、職務との対価性が認められないため、賄賂には当たらないとされます。
しかし、それが公務員の職務に関して授受されるときは、賄賂性が生じることになります。
この賄賂性については、公務員の職務内容、その職務と利益供与者との関係性、当事者間の親疎、利益の種類や多寡、利益授受の経過などといった事情を考慮して判断されます。
「収受」とは、供与された賄賂を自己の物とする意思で取得することをいいます。
賄賂の「要求」というのは、賄賂の供与を求める意思表示を意味しますが、これは、相手方が認識し得る程度になされれば足り、現実にそれが認識されたことを要しません。
また、賄賂の「約束」は、賄賂の供与・収受について贈賄者・収賄者間で合意することをいいます。
◇主観的要件◇
本罪の主体である公務員は、収受等した賄賂が職務行為と対価関係に立つものであること、つまり賄賂性を認識していることが必要となります。
職務の正当な報酬であると誤信しておれば、故意が阻却されることになります。
収賄事件は、賄賂を贈った側と受け取った側が存在する共犯事件です。
共犯事件の場合、逮捕された後も、共犯者と口裏を合わせるなど罪証隠滅のおそれがあると認められ、勾留となる可能性があります。
汚職事件を起こし、収賄罪で逮捕されてしまったのであれば、早期に刑事事件に強い弁護士に接見を依頼し、取調べ対応についてのアドバイスを受けるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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監護者わいせつの容疑で逮捕
監護者わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県赤穂市に住むAさんは、5年前にBさんと結婚しました。
Bさんには13歳になる娘Vさんがいましたが、ある日学校から、「Vさんがお義父さんから性的虐待を受けているようだ。」との連絡を受けました。
Vさんは児童相談所に保護され、Aさんは兵庫県赤穂警察署から監護者わいせつの容疑で取り調べを受けています。
Aさんは、今後逮捕されるのではないかと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
監護者わいせつ罪について
2017年の刑法改正に伴い、「監護者わいせつ罪」および「監護者性交等罪」が新設されました。
改正以前は、「強制わいせつ罪」および「強姦罪」は、13歳以上の者に対しては、「暴行または脅迫」を用いて、わいせつ行為や性行為が行われる必要がありました。
しかし、被害者と加害者が親子関係にある場合、支配関係に置かれ、被害者が心理的に抵抗することが困難な状態であることが多く、「強制わいせつ罪」や「強姦罪」では処罰することができませんでした。
そこで、監護者によるわいせつ及び性交等の行為を処罰する規定が新たに設けられたのです。
今回は、監護者わいせつ罪について解説します。
第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
◇主体と客体◇
客体は、18歳未満の男女です。
行為者との関係では、現に監督されている者であることが必要となります。
主体は、18歳未満の者を法律上または事実上「現に監護する者」です。
「監護する」とは、監督し、保護することです。
法律上の監護権に基づかなくても、事実上、現に18歳未満の者を監督し、保護する者であれば、「現に監護する者」となりますが、法律上の監護権を有している者であっても、実際に監護している実態がなければ「現に監護する者」に当たらないことになります。
「現に監護する者」に当たるか否かは、同居しているかどうか、居住場所に関する指定等の状況、指導の状況、身の回りの世話等の生活状況、生活費の支出などの経済的状況、未成年者に関する諸手続等を行う状況などを考慮して判断されます。
ですので、教師やクラブ活動のコーチ等の指導者などについては、上のような点を考慮すると、「監護者」には当たらないことになります。
◇行為◇
監護者わいせつ罪の構成要件的行為は、「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をする」ことです。
前半の「現に監護する者であることによる影響力」というのは、監護者が、被監護者の生活全般にわたし経済的・精神的な観点から、現に被監護者を監督し、保護することにより生じる影響力(人の意思決定に何らかの作用を及ぼし得る力)のことです。
そのような影響力が一般的に存在し、当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態で、わいせつな行為をすることが、当該影響力があることに「乗じて」となります。
◇故意◇
本罪の成立には、被害者の年齢および実行行為の認識が必要です。
監護者の立場を利用して行う行為を処罰するものであるため、被害者が同意していたか否かは問題となりません。
ですので、行為者が被害者の同意があるものと誤信していた場合にも、故意の存否には影響しないことになります。
◇処罰◇
刑法第176条に規定される強制わいせつ罪と同様の法定刑となりますので、監護者わいせつ罪で起訴され有罪が言い渡されると、6月以上10年以下の懲役が科される可能性があります。
監護者わいせつ罪は、その法定刑には罰金刑がなく懲役刑のみとなっています。
また、被害者との関係性から、罪証隠滅のおそれが認められ、逮捕後に勾留に付され、長期の身体拘束が強いられる可能性は高いでしょう。
監護者わいせつ罪を含めた刑事事件でお困りであれば、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件における身体拘束②:家庭裁判所送致後
少年事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県三田市にある民家を訪れ、弁護士の秘書と偽り住民女性からキャッシュカードを盗み取ったとして、兵庫県三田警察署は、Aくん(17歳)を窃盗の疑いで逮捕しました。
Aくんは、「簡単に稼げる仕事がある」と知人から紹介され、これまで数件同様の犯行を行っていました。
「仕事内容が特殊詐欺だということは分かっていたが、簡単に大金が手に入るのと、一度やったらやめるとは言いにくくなった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、警察から「身体拘束期間は長くなることを覚悟してください。」と言われて、今後のことが心配になり、急いで少年事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合、少年であっても身体拘束を受ける可能性があります。
前回のブログでは、家庭裁判所送致前の捜査段階における少年の身体拘束の可能性について取り上げました。
今回は、家庭裁判所に送致された後の身体拘束の可能性についてみていきたいとおもいます。
家庭裁判所送致後の身柄拘束
捜査機関は、少年の被疑事件について、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合であっても家庭裁判所に審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
これを「全件送致主義」といいます。
少年事件では、成人の刑事事件のように、起訴猶予や微罪処分といった捜査機関限りで事件を終了させることは認められていません。
事件が家庭裁判所に送致された後に、少年が身体拘束を受けるのは、「観護措置」がとられた場合です。
「観護措置」というのは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りつつ、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する措置(「在宅観護」)と、少年鑑別所に収容する措置(「収容観護」)の2種類がありますが、前者は実務上ほとんど活用されていません。
ですので、「観護措置」というときは後者を指すものとなっています。
観護措置の要件
少年法第17条第1項は、観護措置の要件として、「審判を行うため必要があるとき」と規定していますが、その他の要件については明記していません。
一般的には、次のような要件があると言われています。
①審判条件があること。
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。
④の「観護措置の必要性」については、以下のいずれかの事由がある場合に認められるとされます。
(a)調査、審判および決定の執行を円滑、確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。(住所不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあるため、身体を確保する必要性がある場合など)
(b)緊急的に少年の保護が必要であること。(自殺自傷のおそれがある、家族から虐待を受けるおそれがある、不良集団等の影響により非行性が急速に進行するおそれがある場合など)
(c)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。
観護措置の期間は、法律上は2週間を超えることはできず、特に継続の必要があるときに1回に限り更新することができるとされていますが、実務上は、更新されるのが通常であり、観護措置の期間は、概ね4週間となっています。
観護措置がとられた場合、家庭裁判所に送致された後、1か月間少年鑑別所に収容されることになります。
そのため、学校や職場に行くことができず、退学や懲戒解雇となる可能性は高まります。
一方で、少年が少年鑑別所に収容されることで、少年が落ち着いた環境で事件や少年自身が抱える問題についてしっかり考えることができるなど、少年の更生に資する機会と成り得るという側面もあります。
もちろん、不当・不要な少年の身体拘束は回避すべきです。
しかし、長期的な観点から、少年の更生にとって何が必要であるか、一度少年事件に精通する弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
少年事件における身体拘束①:捜査段階
少年事件における身体拘束について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県三田市にある民家を訪れ、弁護士の秘書と偽り住民女性からキャッシュカードを盗み取ったとして、兵庫県三田警察署は、Aくん(17歳)を窃盗の疑いで逮捕しました。
Aくんは、「簡単に稼げる仕事がある」と知人から紹介され、これまで数件同様の犯行を行っていました。
「仕事内容が特殊詐欺だということは分かっていたが、簡単に大金が手に入るのと、一度やったらやめるとは言いにくくなった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、警察から「身体拘束期間は長くなることを覚悟してください。」と言われて、今後のことが心配になり、急いで少年事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が事件を起こした場合、少年であっても身体拘束を受ける可能性があります。
捜査段階での身体拘束
少年が事件を起こすと、成人の刑事事件の場合と同様に、捜査段階では刑事訴訟法が適用されることから、捜査機関に逮捕される可能性はあります。
ただし、14歳未満の者に対しては、刑事責任は問われませんので、犯罪は成立せず、捜査機関によって逮捕されることはありません。
逮捕後の流れは、次の通りです。
逮捕から48時間以内に、警察は事件を検察に送るか、それとも少年を釈放するかを決めます。
警察から検察に少年の身柄付きで送致されると、検察は少年の身柄を受けてから24時間以内に、送られてきた関係書類や少年の弁解を聴いた上で、少年を釈放するか、それとも勾留請求をするかを決定します。
勾留請求がなされると、裁判官は少年と面談をした上で、少年を勾留するか、釈放するかを判断します。
勾留が決定すると、勾留請求がされた日から原則10日間身柄が拘束されることになります。
身体拘束は、成人にとっても重大な不利益となりますが、心身ともに未熟で発展途上である少年の場合は、成人以上に重大な悪影響を与えるでしょう。
長期の身体拘束により、学校や職場に行くことができず、退学や懲戒解雇となる可能性も高まります。
そうなれば、身体拘束は少年の更生に資するどころか逆に作用しかねません。
このように、少年にとって身体拘束は重大な不利益を及ぼし得るものですので、少年法は、少年の勾留について、勾留についての特則や勾留に代わる観護措置の制度を設けるなどし、少年に対する身体拘束に配慮しています。
勾留についての特則
少年を勾留する場合、成人の場合と同様の「勾留の要件」に加えて、「やむを得ない場合」であることが必要とされます。
また、少年の勾留場所を、少年鑑別所とすることができます。
少年を警察留置施設で勾留する場合であっても、少年を成人とは分離して収容されます。
勾留に代わる観護措置
検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して勾留に代わる観護措置の請求をすることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されますが、次の点が勾留とは異なります。
●勾留に代わる観護措置には、少年鑑別所収容の観護措置に加えて、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
●勾留は延長が出来るのに対して、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求があった日から10日間であり、延長することはできません。
●勾留に代わる観護措置として少年鑑別所収容がとられた事件が、家庭裁判所に送致されると、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされ、引き続き身体拘束を受けることになります。
このように、少年であっても、家庭裁判所に送致される前の捜査段階において身体拘束を受ける可能性はあります。
勾留延長が認められると、逮捕から最大で23日間もの身体拘束を余儀なくされてしまいます。
その間、学校や職場には行くことはできませんので、先述したように退学や懲戒解雇となる可能性は高くなります。
そのような事態を防ぐため、長期の身体拘束を回避すべく関係各所に働きかけることが重要です。
弁護士は、逮捕から勾留請求までの間に、勾留の要件を満たしていないことを客観的な証拠を付して検察官に主張し、検察官が勾留請求しないよう働きかけます。
検察官が勾留請求をした場合には、裁判官に対して、同様に勾留を決定しないよう主張します。
裁判官が勾留を決定した後であっても、勾留に対する準抗告という勾留決定に対する不服申し立てを行います。
このような活動は、刑事事件・少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
ながら運転の交通事故で刑事事件に
ながら運転で交通事故を起こし刑事事件へと発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県洲本市の道路を走行していたトラック運転手のAさんは、スマートフォンの画面を確認しながら運転していました。
仕事上運転には慣れていたAさんは、ちょっとぐらいスマートフォンをみながら運転しても事故をしないだろうと思っていました。
しかし、スマートフォンの画面に気を盗られていたAさんは、信号待ちで前方に停車していた車両にぶつかってしまいました。
幸い前方の車の運転手に怪我はなく、車両損害だけで済みました。
兵庫県洲本警察署から駆け付けた警察官に、Aさんは話を聞かれており、Aさんは「スマートフォンの画面に気を盗られていた」と話しています。
(フィクションです)
「ながら運転」自体で問われる罪は?
「ながら運転」は、スマートフォンやカーナビなどの画面を注視したり、携帯電話で通話しながら車などを運転することです。
ながら運転の末に交通事故を起こし、人を死亡させてしまう事故が後を絶ちません。
12月1日から施行された改正道路交通法は、「ながら運転」についての罰則や反則金、違反点数を厳罰化しており、ながら運転による事故の防止につながることが期待されています。
道路交通法は、運転者の遵守事項として、運転中の携帯電話等の使用を禁止しています。
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
五の五 自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百二十条第一項第十一号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。
運転中に携帯電話で通話したり、スマートフォンやカーナビの画面を注視した場合の罰則は、6月以下の懲役または10万円以下の罰金です。
さらに、ながら運転の結果、道路における交通の危険を生じさせた場合、罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。
この場合、交通反則通告制度の対象とはなりませんので、刑事手続に基づき刑事処分が科されることとなります。
「交通反則通告制度」というのは、自動車や原動機付自転車の運転手がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判を受けることなく事件が処理される制度です。
「反則金」は行政罰であるのに対して、「罰金」は刑事罰です。
ながら運転を行っただけであれば交通反則通告制度の対象となり、反則金を支払うことで事件が終了するになります。
しかし、ながら運転により交通事故を起こしてしまった場合は、交通反則通告制度の対象外となり、刑事事件として処理されることになります。
刑事事件となれば、刑事手続に沿って事件が処理されることになります。
捜査機関からの取調べにも対応することになりますので、ながら運転で刑事事件に発展してしまいお困りの方は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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交通事件:少年事件における手続
少年が交通事件を起こした場合にとられる手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市北区の県道を原付バイクで走行していたAくん(17歳)は、一旦停止を怠ったとして、兵庫県有馬警察署の警察官に停車を求められました。
警察官は、Aくんに運転免許証を見せるよう言いましたが、Aくんは免許証を持っておらず、無免許運転であることが発覚しました。
そのまま警察署で取り調べを受けましたが、Aくんの両親が身元引受人となり当日の夜に家に帰ることができました。
捜査機関から何度か呼び出された後に、神戸家庭裁判所に事件が送られると言われたAくんとAくんの両親は、その後どのような手続きを踏むことになるのか不安です。
(フィクションです)
少年の交通事件
家庭裁判所が受理する少年保護事件は、交通関係事件とそれ以外の一般事件とに分けられます。
交通事件には、無免許運転、速度違反、安全運転義務違反、信号無視、一時不停止等といった道路交通法違反事件、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反事件、そして、過失運転致死傷、重過失致死傷、危険運転致死傷などの車両運転に起因する致死傷事件があります。
交通事件が家庭裁判所に送致される方法は、一般の事件と同様に、多くの場合、捜査機関から捜査が終了した後に送致されます。
しかし、道路交通法違反事件の場合、全件送致主義の例外として、「交通反則通告制度」というものがあります。
この制度は、交通反則告知書(いわゆる「青キップ」)により告知を受けた場合に、刑事処分ではなく行政処分でなされる処分のことをいいます。
当該反則行為に当たるものとしては、一般道における時速30キロメートル未満の速度超過、高速道における時速40キロメートル未満の速度超過、信号無視、放置・駐停車違反、運行区分違反等があり、これらの行為を行った少年については、所定の手続に従って反則金を納付すれば、家庭裁判所に送致されません。
少年の交通事件のなかでも、共同危険行為、自動車運転過失致死傷事件等の車両運転に起因する致死傷事件は、通常の少年事件と同様の手続を踏むことになります。
一方、その他の道路交通法違反事件は、次のような手続となります。
調査
事件が家庭裁判所に送致されると、通常の少年事件と同様に、家庭裁判所の調査官による調査が行われます。
単なる無免許運転などの道路交通法違反事件では在宅のまま捜査が進められることが多く、その場合、家庭裁判所に送致された後も継続して在宅のまま進められることが多いでしょう。
在宅事件の場合には、少年は保護者とともに調査のために家庭裁判所を訪れ、調査官との面談が行われます。
調査の一環として家庭裁判所において少年に対する交通講習が実施されることもあるようです。
調査に基づき調査官は処遇意見を裁判官に提出し、審判を開始する必要がない場合には審判不開始の決定がされます。
審判
審判は、一般の事件と同様に行われ、審判の経て、不処分・保護観察・検察官送致等の処分がなされます。
交通事件の特徴として、非行内容が同種である、交通要保護性に共通点がある場合もあり、そのような複数の少年を一緒に審判する集団審判が行われる場合もあります。
保護処分
一般の事件と同様の処遇がなされますが、交通事件を対象とした保護観察があります。
交通事件の保護観察には、交通保護観察と交通短期保護観察とがあります。
また、交通事件においては、検察官送致も相当数あります。
このように、少年の交通事件の場合には、一般の事件とは少し異なる手続となる可能性もあります。
お子様が交通事件を起こして対応にお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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