Archive for the ‘未分類’ Category
少年事件で不処分
少年事件で不処分
少年事件における不処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
高校1年生のAくんは、兵庫県明石市の路上で帰宅途中の女子中学生のスカート内を盗撮したとして、兵庫県明石警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
Aくんは逮捕されたものの、両親が身元引受人として警察署に迎えにきて身柄解放となりました。
警察から、「警察と検察で取調べが終わったら、家庭裁判所に事件が送られて、そこで最終的な処分が決定されます。」と簡単な説明を受けたAくん家族は、どのような処分が見込まれるのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
少年事件については、捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると判断したときは、すべての事件を家庭裁判所に送致することとされています。
事件が家庭裁判所に送致された後は、少年保護事件として、成人の刑事事件とは異なる手続が進められます。
家庭裁判所による調査・審判を経て、少年の更生に適した終局処分が言い渡されます。
その終局処分は、以下の通りです。
①保護処分(保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致、少年院送致)
②都道府県知事または児童相談所長送致
③検察官送致
④不処分
⑤審判不開始
不処分とは
裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨を決定しなければなりません。(少年法第23条2項)
この決定を「不処分決定」といいます。
不処分決定の要件
不処分決定は、審判の結果、①保護処分に付することができないとき、又は②保護処分に付する必要がないと認められるとき、になされます。
以下、各々の要件を概観します。
(1)保護処分に付することができないとき
法律上又は事実上、保護処分に付することができない場合の不処分決定で、次のように分けられます。
・非行事実なし:非行事実の存在の蓋然性が認められない場合。
・所在不明等:少年に心神喪失、死亡、所在不明、疾病、海外居住等の事情が生じた場合。
・その他(審判条件が存在しない等)
(2)保護処分に付する必要がないとき
保護処分に付する必要がないときとは、審判の結果、要保護性が認められず、保護処分、児童福祉法上の措置、刑事処分のいずれも必要のない場合の不処分決定です。
・保護的措置:調査・審判の過程で、関係者による働きかけが講じられた結果、要保護性が解消し、再非行の危険性がなくなった場合。
・別件保護中:別件で保護的措置が講じられていたり、保護処分に付されていたりするため、本件ではとくに処分をする必要がないと認められる場合。
・事案軽微:非行事実がきわめて軽微な場合。
不処分決定がなされると、事件は終局します。
不処分決定に伴い、観護措置や試験観察等の中間決定の効力は消滅します。
非行事実に争いのない場合には、保護処分に付する必要がない場合の不処分を目指します。
前述のように、保護処分に付する必要がないときとは、審判の結果、要保護性が認められず、保護処分等が必要がないと判断された場合にさなれるものです。
「要保護性」というのは、審判の審理対象で、以下の3つの要素により構成されると考えられています。
1.再非行の危険性
少年の性格や置かれている環境に照らして、将来再び非行を犯す危険性があること。
2.矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことにより、再非行の危険性を除去できる可能性があること。
3.保護相当性
保護処分による保護が最も有効であり、かつ、適切な処遇であること。
このように要保護性が認められないためには、少年の環境調整を十分に行う必要があります。
少年が将来非行を再び犯すことがないよう、少年をとりまく環境を調整したり、少年の内面への働きかけを行います。
少年事件は様々な点で成人の刑事事件とは異なりますので、少年事件における弁護活動・付添人活動は、少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
服の上からの盗撮で迷惑防止条例違反
服の上からの盗撮で迷惑防止条例違反
服の上からの盗撮(迷惑防止条例違反)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市北区の商業施設で、女性のお尻部分を服の上から盗撮したとして、会社員のAさんは迷惑防止条例違反の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは、兵庫県有馬警察署で取り調べを受けており、「女性の下着を盗撮したのではなく、女性が普通に服を着ていた状態のお尻部分を撮っただけです。」と、迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されたことに不満がある様子です。
Aさんは、接見に訪れた弁護士に自分の行為が迷惑防止条例違反となるのか聞いています。
(フィクションです)
盗撮~迷惑防止条例違反~
「盗撮ぐらいならバレないだろう。」と、人のスカート内に自身が所持するスマートフォンを差し入れ、その下着を撮影するといった「盗撮」は、捜査機関に発覚していないことも多く、実際の件数はかなりの数に上ると言われています。
盗撮事件で逮捕された方が、実は逮捕された被疑事実以外にも盗撮行為を何件も行っていたことが発覚するケースが多く見られます。
みなさんご存知の通り、盗撮行為は犯罪です。
「盗撮罪」という犯罪はありませんが、各都道府県が定める迷惑防止条例が「盗撮」を禁止しており、違反者に対しては罰則を定めています。
兵庫県迷惑防止条例では、次のように規定しています。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
禁止される行為は、「盗撮」だけでなく、盗撮目的でカメラを向けたり、設置したりする行為も含まれます。
服の上から撮影しても迷惑防止条例違反の盗撮に?
「盗撮」といった場合、多くの人が、他人の下着や裸などを許可なく撮影することを想像されると思いますが、被撮影者が服を着た状態で勝手に撮影した場合でも、迷惑防止条例で禁止されている盗撮に該当するのでしょうか。
この点、札幌の迷惑防止条例に関してではありますが、服の上からでも「公共の場所・乗物において、卑わいな言動」に当たり条例違反となることを肯定した裁判がありますので、ご紹介しましょう。
事件の内容は、被告人が、ショッピングセンター内で女性に執拗につきまとい、ズボンを着用した女性のお尻部分をカメラで11回撮影したというものです。
女性の下着や身体を盗撮したのではないから、「卑わいな言動」には当たらないのではないかと争われましたが、最高裁判所は、「被告人の本件撮影行為は、被害者がこれに気付いておらず、また被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり、これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ、被害者に不安を覚えさせるものといえるから、上記条例10条1項、2条の2第1項4号に当たるというべきである。」とし、服の上からであっても被害女性のお尻を盗撮する行為は、迷惑防止条例における「卑わいな言動」に当たると解されました。(最決平20・11・10)
このように、人が服を着た状態であっても、その臀部を盗撮する行為は、卑わいな言動に当たる可能性があり、上記ケースにおいてAさんに対して迷惑防止条例違反が成立するものと考えられます。
盗撮事件のような被害者が存在する事件においては、被害者との示談の有無が処分結果に大きく影響します。
被害者との示談は、弁護士を介して行うことをお勧めします。
盗撮事件でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
殺害目的で包丁所持~殺人予備罪~
殺害目的で包丁所持~殺人予備罪~
殺害目的での包丁所持(殺人予備罪)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、交際相手を巡ってVさんと揉めていました。
Aさんは、Vさんの態度に激怒し、Vさんを殺害することを決意しました。
Aさんは、ホームセンターで文化包丁を購入し、兵庫県川辺郡猪名川町のVさん宅付近の路上でVさんを待ち伏せしていました。
すると、付近の住民がAさんを不審に思い、兵庫県川西警察署に通報しました。
現場に駆け付けた警察官から職務質問を受けた際、警察官がAさんが文化包丁を持っていることに気づき、Aさんを銃刀法違反容疑で現行犯逮捕しました。
兵庫県川西警察署での取調べでは、AさんはVさんを殺害するために文化包丁を所持していたと供述しており、Aさんは殺人予備容疑でも取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
殺人予備罪について
殺人罪は、刑法第192条に次のように規定されています。
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
殺人罪の構成要件(法律により犯罪として決められた行為類型)は、「人を殺した」行為です。
人が死亡することにより構成要件的結果が惹起され、殺人罪という犯罪が成立します。
それでは、人が結果として死に至らなかった場合は罪に問われないのでしょうか。
第二百三条 第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
上記のように、殺人罪に関して、人を殺そうとしたけれど、結果人を死亡させるに至らなかった場合(未遂)でも、未遂犯として処罰の対象となります。
現行刑法は、未遂を一般的に処罰の対象とするのではなく、処罰の必要を認めた犯罪について、個別に処罰規定を設けています。
未遂とは、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」ことです。(刑法第43条)
ですので、未遂というためには「犯罪の実行に着手した」ことが必要となります。
この実行の着手の有無をどのような基準で判断すべきかについて、判例は、既遂犯の構成要件的結果を生じさせる危険性が認められる行為への着手の時点で実行の着手が認められるとする立場にたっています。
例えば、クロロホルムを吸引させて被害者を失神させ(第1行為)、失神した被害者を車ごと海に転落させて溺死させる(第2行為)事案において、第1行為は第2行為を確実かつ容易に行うために必要不可欠であったといえること、第1行為に成功した場合、それ以降の殺害計画を遂行する上で障害となるような特段の事情が存しなかったと認められることや、第1行為と第2行為との間の時間的場所的近接性などに照らすと、第1行為は第2行為に密接な行為であり、被告人らが第1行為を開始した時点ですでに殺人に至る客観的な危険性が明らかに認められるとして、第1行為を開始した時点で殺人未遂が成立するとしています。(最決平16・3・22)
上のケースでは、AさんはVさんを殺害する目的で凶器である包丁を購入した上で、Vさん宅付近で待ち伏せしていました。
Aさんの行為は、殺人の実行に着手したと言えるでしょうか。
凶器を所持して待ち伏せする行為だけでは、「Vさんの死」という法益侵害の現実的危険が発生していたとは言えないでしょう。
であれば、そのような未遂にも至っていない場合は何ら罪に問われないのでしょうか。
刑法は、未遂以前の犯行の「予備」についても、殺人罪や強盗罪など極めて重い犯罪について例外的に処罰の対象としています。
第二百一条 第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
殺人予備罪は、殺人罪を犯す目的で、殺人の実行を可能にし、または容易にする準備行為です。
判例では、人を殺害する目的で刺身包丁を携えて被害者宅に侵入し、被害者の姿を探し求めて屋内を通り歩いた行為、他人から殺人の用に供するための青酸カリを調達するよう依頼を受け、これを入手してその他人に手交する行為、殺人を意図して被害者等の日常通行する能動の道端に毒入りジュースを置く行為は、殺人予備罪に該当するとしています。
となれば、上記ケースで、殺意を持って包丁を手に被害者宅付近で待ち伏せしていた行為は、殺人予備罪に当たると考えることができるでしょう。
逮捕されたAさんは、身体拘束されたまま連日捜査機関からの取調べを受けることになります。
外界から隔離された環境での取調べで、身体的にも精神的にも疲労し、自己に不利な供述がとられてしまう可能性もあります。
ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
無免許運転と交通保護観察
無免許運転と交通保護観察
無免許運転と交通保護観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡神河町に住む高校3年生のAくんは、免許をとった友人Bくんとレンタカーを借りてドライブに出かけました。
Aくんも車の運転に興味があったことから、「ちょっとだけ運転させて。」といって、Aくんが車を運転することになりました。
すると、兵庫県神崎郡内で交通取り締まりを行っていた兵庫県福崎警察署に車を停止するよう要求され、免許証の提示を求められたことで、Aくんが無免許運転をしていたことが発覚しました。
兵庫県福崎警察署は、Aくんを道路交通法違反の容疑で現行犯逮捕しました。
(フィクションです)
無免許運転により成立する犯罪とは
無免許運転とは、公安委員会の運転免許を受けていないにもかかわらず自動車や原付自転車を運転する行為をいい、運転免許を取得したことがない場合だけでなく、免許停止中の運転や、免許取り消し処分後に免許の再取得なく運転している場合も無免許運転に含まれます。
少年による無免許運転は、その多くが、運転免許自体を取得したことがないのに、自動車等を運転するケースです。
運転免許を一度も取得したことがなく、運転技術も未熟であることから、事故を起こしてしまう可能性も高いと言えるでしょう。
無免許運転は、道路交通法で次のように禁止されています。
第六十四条 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
無免許運転に対する罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
無免許運転を常習的に行ったいた場合や、人身事故を起こしてしまった場合には、逮捕される可能性が高いと言えるでしょう。
無免許で人身事故を起こした場合には、無免許運転による罪が加重されることになります。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律は、危険運転致死傷罪、発覚免脱罪、過失運転致死傷罪の罪を犯した時に無免許運転をした場合、刑が加重することを規定しています。
少年が無免許運転をした場合~交通保護観察~
少年事件は、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所は、事件受理後、家庭裁判所調査官による調査、審判を経て処分を決定します。
家庭裁判所により決定される終局処分は、次の通りです。
・保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
・検察官送致
・不処分
・都道府県知事または児童相談所長送致
・審判不開始
上記処分のうち、保護観察は、少年を施設に収容せず、社会生活を送らせながら、保護観察所の行う指導監督および補導援護によって少年の改善更生を図る社会内処遇の保護処分です。
保護観察には、「一般保護観察」、「短期保護観察」、「交通保護観察」、そして「交通短期保護観察」の4つに分類されます。
交通関係事件の保護観察が、「交通保護観察」と「交通短期保護観察」で、交通関係事件で保護観察決定があった少年のうち交通短期保護観察の処遇勧告がなされない者が、交通保護観察の対象者となります。
交通保護観察を担当する保護観察官・保護しは、交通法規に通じる等、交通保護観察を行うにふさわしい者が選任されます。
必要に応じて、交通法規、運転技術等に関する個別指導、運転技術向上を図るための集団処遇等が行われます。
交通保護観察は、おおむね6ヶ月を経過していることが解除の目安とされ、一般の保護観察よりも短期間で解除されます。
少年の交通事件では、家庭裁判所での処分より刑事処分としての罰金刑に処するほうが教育的効果が高いとして、検察官送致となることも他の少年事件に比べて多くなっています。
お子様が無免許運転で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年事件・刑事事件を専門とする弁護士が、無料法律相談や初回接見サービスを行います。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
痴漢事件で被害者と示談するには
痴漢事件で被害者と示談するには
痴漢事件での被害者との示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、電車で通勤していました。
ある夜、会社の飲み会があり、かなりお酒が入った状態で最終電車に乗車しました。
Aさんは、隣に座っていた大学生と思われる女性が眠っていると思い、女性の太ももをさするなどの痴漢行為を行いました。
ところが、Aさんが電車を降りると、さきほどまで隣に座っていた女性に声を掛けられ、振り返ると、「あなた痴漢しましたよね?一緒に駅員室に行きましょう。」と言われ、そのまま駅員室に連れて行かれました。
その後、兵庫県飾磨警察署に行き、Aさんは迷惑防止条例違反の容疑で取り調べを受けることになりました。
Aさんは容疑を認めており、被害者に謝罪したと申し出ましたが、被害女性はAさんと直接連絡とりたくはないようで、警察からは「弁護士にでも相談したらどうか。」と言われました。
(フィクションです)
痴漢事件
弊所が受ける法律相談のなかでも、痴漢事件や盗撮事件に関するものが多くを占めています。
「家族が逮捕されてしまったが、すぐに釈放されないか。」、「今後どのような流れになるのか。どのような刑罰を受けるのか。」、「被害者の方に謝罪や被害弁償をしたいけれども、どうしたらいいのか。」などという相談が多く寄せられています。
痴漢をすると、多くの場合、各都道府県が定める迷惑防止条例違反の罪に問われます。
どこで痴漢行為を行ったかによって、どの都道府県の迷惑防止条例が適用されるかが異なりますが、痴漢に関して言えば各条例の内容にそれほど違いはありません。
痴漢は、各都道府県が定める迷惑防止条例が禁止する「卑わいな言動」に当たります。
以下、兵庫県の迷惑防止条例の該当条項です。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
公共の場所・乗物において、「不安を覚えさせるような卑わいな言動」を行った場合に成立します。
電車内での痴漢はまさに当該条項違反の典型例です。
当該違反行為に対する刑罰は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
常習として痴漢行為を行った者に対しては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と刑罰は加重されます。
痴漢事件では、逮捕されたとしても、初犯であり、容疑を認めている場合には、家族などの身元引受人が迎えに来ることで釈放される可能性があります。
この点、釈放されたことから、事件が終了したと勘違いされる方もいらっしゃいますが、残念ながら、釈放されたからといって事件が終わるなんてことにはなりません。
在宅事件として、身柄拘束しないまま被疑者としての取調べが続くのです。
警察での捜査が終了すると、事件は検察に送致され、今度は検察官から呼び出され取調べを受けることになります。
その後、検察官が被疑者を起訴するかどうかを決定します。
ここで、起訴しないとする処分(「不起訴処分」)となれば、事件は終了します。
一方、検察官が起訴した場合には、略式手続で略式命令を言い渡され罰金を納める、若しくは、公判請求され公判を経て有罪・無罪が言い渡され、有罪の場合には執行猶予付き判決または実刑判決が下れるという流れになります。
痴漢事件の場合、前科があれば、公判請求される可能性がありますが、そうでなければ、不起訴処分か略式手続で罰金刑となることが多いですのですが、不起訴処分で終わるか、罰金刑で終わるかは、大きな違いと言えるでしょう。
ここでは容疑を認めていることを前提としてお話しますが、この場合の不起訴処分は「起訴猶予」となります。
これは、被疑者が犯罪を行ったと立証するに十分な証拠があるけれども、被疑者の年令・性格・境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を考慮し、訴追の必要がないため、起訴しないとする処分です。
この判断をする際に、考慮要素となるのが、被害者との示談の有無です。
示談というのは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者が被害届の提出をしない等、当事者間では今回の事件は解決したとする約束のことをいいます。
迷惑防止条例違反は親告罪ではありませんが、初犯であり、被害者との間で示談が成立しており、被害者から許しが得られている場合には、検察官があえて起訴に踏み切る可能性は低いと言えるでしょう。
不起訴処分となれば、前科はつきません。
他方、初犯であっても、被害者との示談が成立していない場合や、件数が多く全ての被害者との示談が困難である場合には、略式起訴され罰金刑を受ける可能性もあります。
略式手続は、公判を開くことなく書面上での手続で終了しますが、罰金刑を受けることになり、有罪の前科が付くことには変わり有りません。
つまり、被害者との示談の有無が、刑事処分に大きく影響し得るのです。
しかしながら、当事者同士で直接示談交渉することは事実上難しい場合が多いのです。
被害者から連絡先を教えたくないと言われるケースや、連絡がとれて直接交渉したとしても、お互いやったやってないの感情論になり交渉がうまくまとまらないケースが多いからです。
そのような場合には、弁護士を介して示談交渉を行うのがよいでしょう。
弁護士限りなら連絡先を教えてもよいと言われることも多く、冷静で粘り強い交渉を行うことで高額な示談金を支払うこと回避し、清算条項や宥恕条項などをきちんと盛り込んだ示談書を作成することができます。
痴漢事件での示談交渉にお悩みであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料の法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881へ。
しつけと虐待
しつけと虐待
しつけと虐待について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県美方郡新温泉町に住むAさんは、息子のVくん(10歳)が学校で教師に対して暴言を吐くなどしたため、学校から呼び出しを受けていました。
Aさんは自宅でVくんと話をし、態度を改めるよう言いました。
しかし、Vくんは反抗的な態度を取り続けたため、AさんはVくんの両手を針金で緊縛し、自宅の階段下の物置に居れ、中から出られないように外側から戸を固定し、トイレや食事の時以外は1日そこに閉じ込めていました。
すると、どこから話を聞いたのか、兵庫県美方警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんの行為はしつけではなく虐待に当たる可能性があると言われました。
Aさんは、反抗的な子供を更生させるためにやったことであって虐待ではないと考えています。
(フィクションです)
親のしつけ~懲戒権の行使~
親として子供を懲戒することは民法上認められています。
第820条(監護及び教育の権利義務)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
第822条(懲戒)
親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
子の監護及び教育に必要な範囲内での懲戒は民法上認められているわけで、当該規定に基づく懲戒であれば、それは法令に基づく行為ということになり、違法性が阻却され、犯罪は成立しないことになります。
例えば、親子間ではなく教師と生徒の間の事例ではありますが、過去の裁判では、教師の生徒に対する軽微な暴行は体罰には当たらず、正当な懲戒権の行使の許容限度内にある行為であるとされてものがあります。
被告人の「本件行為の動機・目的は、生徒の軽率な言動に対してその非を指摘して注意すると同時に、同人の今後の自覚を促すことにその主眼があったものとみられ、また、その態様・程度も平手及び軽く握った右手の拳で同人の頭部を数回軽くたたいたという軽度のものにすぎ」ず、懲戒権の範囲内にとどまることを理由に違法性が阻却されるとしています。(東京高裁判決昭和56・4・1)
これに対して、懲戒という目的を超えて、対象者の身体の機能等、他の利益を侵害した場合には、懲戒行為の違法性は阻却されません。
子供に対する暴行が「しつけ」であると主張するケースは多くありますが、この「しつけ」が懲戒権の適切な行使に当たるかどうかといった線引きが問題となります。
問題の懲戒行為の内容や対象の子供の年齢等により異なりますが、当該行為が子供の監護・教育に必要であったのかどうか、その行為は懲戒権の行使として適当であったか、度を越していなかったかどうかが判断基準となります。
例えば、子供に対するしつけの一環として暴力を振るった事件において、父親が子供(3歳)を叱った際に子供が反抗的な態度をとったことに激昂し、子供に対して、顔面を鉄拳や平手で数回殴打した上、腹部を数回足蹴りするなどの暴行を加えた事案で、「その体罰は、およそしつけとは無縁の感情に任せたものであり、思慮を欠くこと甚だしく、同情する点はない。」などとして、しつけのための懲戒であるとする主張を認めなかったもの(横浜地裁判決平成14・1・24)、また、盗むをはたらく9歳児へのしつけとして、当該児童の両手をしばりあげ、押入に10数時間監禁した事件において、判決は、「親権者たる実父が子の性行、悪癖を矯正する目的で、制縛、監禁等の方法を用いてその子の自由をある程度拘束することは、法が親権者の懲戒権を認めた趣旨に鑑み許されるべきものであろうが、その懲戒の方法、程度は、その親子の社会的地位、境遇、子の年令、体格、性質並びに非行の種類、態様及び性質等により個々の場合の具体的事情に基き一般社会人において妥当適切と首肯できるものでなければならない」とし、子供の非行行為の内容や年令・体格と父親が行った懲戒行為の程度とを比較検討し、到底一般社会人の首肯できる妥当な懲戒行為とは認められないとして、逮捕監禁罪の成立を認めています。(東京高裁判決昭和35・2・13)
このように、しつけの必要性や相当性を判断し、当該しつけが懲戒権の妥当な行使であったか否かが判断されることになります。
しかし、この懲戒権について、児童虐待問題が相次ぐ昨今、懲戒権が親から子への虐待を正当化する口実として利用されているとの指摘もあり、懲戒権の見直しが検討されています。
しつけは子供のために必要ではありますが、度を超すようなしつけ、少なくとも子供に大きな怪我を負わせるようなしつけは、適切な行為とは認められることは難しいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
強盗と恐喝の区別とは?
強盗と恐喝の区別とは?
強盗罪と恐喝罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川辺郡猪名川町の公園で、会社員の男性Vに因縁をつけて金銭を巻き上げようと、Vに対して少年Aは、「ちょっとお金貸してくれませんか?痛い目にあいたくないでしょ。」と鉄バットを手に持った状態でVを脅し、所持金5千円を奪いました。
しかし、少年Aは、Vがもっと金を持っているだろうと思い、「まだ持ってるんやったら、出してくれへん?」と言ったところ、Vがこれを拒否したので、その場でVの顔面等に対して殴る蹴るの暴行を加えて傷害を負わせ、抵抗できなくなったVから現金2万円を奪って逃走しました。
Vはすぐに最寄りの交番に駆け込み、警察官に被害届を出しました。
兵庫県川西警察署は県内に住む少年Aを強盗致傷の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)
カツアゲで成立し得る犯罪とは?
1.恐喝罪
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
恐喝罪は、人を恐喝して財物を交付させた場合、及び、人を恐喝して、財産上不法の利益を得、又はこれを他人に得させた場合に成立する犯罪です。
「恐喝」とは、暴行又は脅迫により被害者を畏怖させることをいい、恐喝は財物又は財産上の利益の交付に向けられたものでなければなりません。
恐喝罪が成立するためには、被害者の意思に基づいて交付行為がなされることが必要となり、畏怖状態を生じさせる暴行・脅迫の程度は、被害者の反抗を抑圧するに至らないものでなければなりません。
つまり、相手方からの暴行・脅迫によって恐れおののいた被害者が、仕方なく自己の財物を相手方に渡したり、支払いを免除する等の財産上不法の利益を得させることが必要となります。
2.強盗罪
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強手した場合、及び、暴行又は脅迫を用いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合に成立する犯罪です。
強盗罪における暴行・脅迫の程度は、判例及び通説によれば、「被害者の反抗を抑圧する程度」のものであることが必要です。
その程度に達していない場合には、強盗罪ではなく恐喝罪が成立するにすぎません。
強盗罪が成立するためには、暴行・脅迫により、被害者の反抗を抑圧して財物を奪取する(=強取)が必要となるのです。
反抗が抑圧された被害者から、その意思に反して財物を奪取する行為、反抗が抑圧された被害者が差し出した財物を受け取る行為、反抗を抑圧され、逃げ出した被害者が放置した物を取る行為も「強取」に当たります。
また、強盗犯人が人を負傷・死亡させた場合には、強盗致死傷罪が成立します。
強盗致死傷罪は、刑法第240条に次のように規定されています。
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
強盗犯人(既遂・未遂を問わない)が、人を負傷させた場合に、強盗致傷罪が成立します。
死傷の結果は、強盗の手段である行為から生じることを要するとの立場もありますが、判例・通説は、死傷結果は、強盗の機会に行われた行為から生じたもので足りるとする立場をとっています。
法定刑は無期又は6年以上の懲役と厳罰が定められています。
通常、カツアゲ行為であれば恐喝罪が成立します。
上記ケースでは、最初にAは、被害者Vに対して、鉄バットで威嚇しながら金銭を出すように申し付けて脅しています。
この脅迫に畏怖したVは、Aに持っていた5千円を渡しています。
この一連の行為は、恐喝罪が成立します。
さて、その後、更に金を巻き上げることができると思ったAは、再度Vに対して脅迫した上で金銭を要求していますが、Vが拒否したため、Vが抵抗できなくなるまで暴力を振るい傷害を負わせ、Vから現金2万円を奪っています。
この第二の行為に用いられた暴行は、Vの反抗を抑圧する程度のものであり、抵抗できなくなったVから現金を奪っているため、もはや恐喝罪ではなく強盗罪、今回は強盗の結果Vに怪我を負わせていますので、強盗致傷罪が成立するでしょう。
第一の行為では、恐喝罪が、第二の行為では強盗致傷罪が成立することになりますが、同一の被害者に対する同一の犯意に基づく金銭奪取犯罪であるため、恐喝罪は強盗致傷罪に吸収され、強盗致傷罪のみによって処罰されることになるでしょう。
カツアゲ事件で見込まれる処分は?
強盗致傷罪は、刑事事件であれば裁判員裁判の対象となる犯罪です。
少年事件であっても、カツアゲ事件が恐喝罪に当たる場合、共犯がいたり凶器を用いたりと犯情が悪いという場合を除いて、いきなり少年院送致となるケースはそう多くありません。
しかし、強盗罪や強盗致傷罪となれば、初犯であっても少年院送致が言い渡される可能性は高まります。
お子様が強盗致傷事件で逮捕されてお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に今すぐご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡を!
強盗殺人罪と公訴時効
強盗殺人罪と公訴時効
強盗殺人罪と公訴時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
1993年に兵庫県多可郡多可町で起きた強盗殺人事件から26年が経過した今年、兵庫県西脇警察署などは、県外に住むAさんを強盗殺人の容疑で逮捕しました。
Aさんは別件で捜査を受けていましたが、Aさんから採取したDNAと現場に残されていた凶器に付着していたDNAとが一致したため、Aさんが強盗殺人事件の容疑者として浮上したということです。
Aさんは「覚えていない。」と容疑を否認しています。
(フィクションです)
公訴時効について
刑事法における「時効」には、①刑の時効、と②公訴時効の2種類があります。
①の「刑の時効」というのは、刑事裁判で刑の言渡しを受けた者が、一定期間その執行を受けないことにより刑罰権が消滅することをいいます。
死刑は、刑の時効にかかりませんが、刑の時効の期間は、刑の種類とその重さによって定められています。
例えば、裁判での宣告刑が、無期懲役・禁錮であった場合は、刑の時効期間は30年、10年以上の有期懲役・禁錮は20年、3年以上10年未満の懲役・禁錮は10年です。
刑の時効の起算点は、裁判で刑の言渡しがあり、かつそれが確定した時点です。
ちなみに、刑の施行猶予期間中は、刑の時効は進行しません。
裁判で執行猶予判決が言い渡され、無事に執行猶予期間を終えた場合には、刑の言渡しの効力が失われますが、これは刑の時効とは別の制度です。
さて、刑事事件で「時効」といえば、一般的には②の「公訴時効」を指します。
「公訴時効」は、一定期間内に公訴を提起することを訴訟条件とするものです。
つまり、一定の期間が経過することにより公訴の提起ができなくなるという制度です。
公訴を提起することが可能な一定の期間を経過してしまった場合には、判決で免訴の言渡しをしなければなりません。
公訴時効の期間は、対象となる法定刑を基準に定められています。
●公訴時効なし
人を死亡させて、死刑に当たる罪(殺人罪、強盗殺人罪など)に関しては、公訴時効はありません。
●公訴時効30年
人を死亡させて、無期懲役・禁錮刑にあたる罪(強制性交等致死罪、強制わいせつ致死罪など)については、公訴時効は30年となります。
●公訴時効25年
人を死亡させていない、死刑に当たる罪(現住建造物等放火罪など)に関しては、公訴時効は25年です。
●公訴時効20年
人を死亡させ、長期20年の懲役・禁錮に当たる罪(傷害致死罪、危険運転致死罪など)については、公訴時効は20年となります。
●公訴時効15年
人を死亡させていない、無期懲役・禁錮に当たる罪(通貨偽造罪など)に関しては、公訴時効は15年です。
●公訴時効10年
人を死亡させて、長期20年に満たない懲役・禁錮に当たる罪(業務上過失致死罪、過失運転致死罪など)、及び人を死亡させず、長期15年以上の懲役・禁錮に当たる罪(強制性交等罪、傷害罪、強盗罪など)については、公訴時効は10年となります。
●公訴時効7年
人を死亡させず、長期15年未満の懲役・禁錮に当たる罪(窃盗罪、詐欺罪、業務上横領罪、強制わいせつ罪など)の公訴時効は7年です。
●公訴時効5年
人を死亡させず、長期10年未満の懲役・禁錮に当たる罪(監禁罪、単純横領罪など)に関して、公訴時効は5年です。
●公訴時効3年
人を死亡させず、長期5年未満の懲役・禁錮または罰金に当たる罪(住居侵入罪、公然わいせつ罪、脅迫罪、名誉棄損罪、威力業務妨害罪など)については、公訴時効は3年です。
●公訴時効1年
人を死亡させず、拘留または科料に当たる罪(侮辱罪、軽犯罪法違反など)についての公訴時効は1年です。
公訴時効は、「犯罪行為が終わった時」から進行します。
共犯の場合には、「最終の行為が終わった時」から、すべての共犯に対して時効の期間を起算します。
「犯罪行為が終わった時」というのは、結果犯の場合は結果が発生した時を意味します。
挙動犯や未遂の場合は、実行行為が終了した時が、時効期間の起算点となります。
さて、上の公訴時効は、2010年の刑事訴訟法改正に伴い改正されたものです。
それ以前は、殺人や強盗殺人といった重大事件についても公訴時効が定められていました。
強盗殺人罪の公訴時効は、刑事訴訟法が2010年に改正される前は、25年でした。
ですので、犯行当時1993年の法律では、2018年の犯行終了時に公訴時効が成立することになっていました。
しかし、この点、2010年の改正刑事訴訟法は、経過措置について定めており、改正後の刑事訴訟法第250条(公訴時効期間)は、改正刑事訴訟法の施行の際に「既にその公訴の時効が完成している罪については、適用しない」とし、人を死亡させた罪であって禁固以上の刑に当たるもので2010年3月27日までに公訴時効が完成していない罪については、すべて2010年の改正刑事訴訟法が適用されることが規定されています。
2010年3月27日までに公訴時効が完成していないAさんのケースでは、改正後の刑事訴訟法が適用され、公訴時効はなく、2018年を過ぎても強盗殺人罪で起訴される可能性は残るのです。
この経過措置が、憲法の保障する遡及処罰の禁止と適正手続に反するとする主張が最高裁判所に提起されましたが、最高裁判所は、2010年の改正刑事訴訟法の経過措置は、公訴時効制度の趣旨を実現させるために、人を死亡させた罪であって、死刑に当たるものについて公訴時効を廃止し、懲役または禁錮の刑に当たるものについての公訴時効期間を延長したにすぎず、行為時点における違法性の評価や責任の重さを遡って変更するものではなく、被疑者・被告人となり得る者につき既に生じた法律上の地位を著しく不安定にするようなものでもない、として当該経過措置は憲法違反ではないとしています。
というわけで、殺人罪や強盗殺人罪などの重大事件については、公訴時効がなく、証拠が固まり次第、逮捕され起訴される可能性は残るというわけです。
重大事件をはじめ刑事事件でお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
少年事件と学校への連絡
少年事件と学校への連絡
少年事件における学校への連絡について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県佐用郡佐用町の商業施設内のエスカレーターで、女子中学生のスカート内を盗撮したとして兵庫県内の私立中学校に通う中学生のAくん(14歳)が兵庫県佐用警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
警察署で取調べを受けたAくんでしたが、その日の夜にAくんの両親が身元引受人として警察署まで迎えに来て身柄釈放となりました。
幸い学校を休むことなく釈放となりましたが、警察から事件について学校に連絡がいくのではないかとAくん家族は心配しています。
(フィクションです)
少年事件の流れについて
20歳未満の者が刑罰法令に触れる行為を行い、警察などの捜査機関に発覚すると少年法に基づく手続に従って事件が処理されることになります。
少年の年齢によって、事件処理の流れは異なりますが、ここでは14歳以上の20歳未満の少年(「犯罪少年」)について説明していきます。
捜査段階の手続は、ほとんど成人の刑事手続と同様であり、少年であっても逮捕される可能性はあります。
逮捕された場合、逮捕から48時間以内に警察が少年を釈放するか、それとも検察に送致するかを決めます。
Aくんのケースでは、逮捕はしましたが、取調べ後にAくんを釈放しています。
警察は、Aくんを検察に送致し勾留する必要はないと判断したのでしょう。
他方、警察が少年を検察に送致した場合、少年の身柄を受けた検察官は、少年の取調べを行った上で、逮捕に引き続き身柄を拘束する必要があるか否かを少年の身柄を受けてから24時間以内に決定します。
検察官が少年を勾留する必要があると判断した場合、検察官は裁判所に対して勾留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受け、裁判官は少年と面談した上で、少年を勾留する要件が満たされているか否かを判断し、勾留決定または勾留却下決定を下します。
兵庫県では、1日で検察への送致から勾留決定まで行われます。
このように、捜査段階ではほぼ成人の刑事事件と同じ流れとなりますが、検察官は勾留の代わりに「勾留に代わる観護措置」を請求することができ、裁判官が当該措置を決定した場合には、少年の収容先は警察署の留置場ではなく少年鑑別所となり、収容期間も10日間と延長はありません。
捜査機関による捜査が終了すると、事件は家庭裁判所に送られます。
家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることができます。
観護措置は、少年の身柄を少年鑑別所に移し、審判のために必要な調査や心身鑑別などを行う措置です。
観護措置の期間は概ね1か月で、捜査段階で身体拘束を受けていた場合には、引き続き観護措置がとられる傾向にあります。
事件が学校に伝わる可能性は?
事件が学校に伝わる経緯としては、概ね、①家族からの連絡、②警察からの連絡、③家庭裁判所からの連絡、の3つでしょう。
①は、事件が発覚した早い段階で、少年の家族が学校に相談することにより発覚するケースです。
逮捕・勾留により長期間の身体拘束を受ける場合には、学校に休む旨の連絡をしなければなりませんが、数日であれば体調不良などでごまかすことは可能でしょうが、10日間となると本当のことを話さずにはいられない状況になるでしょう。
②については、逮捕された時点で警察から学校にその旨連絡がいくケースです。
逮捕されると必ず警察が学校に連絡するということではありませんが、警察と学校との間で一定の事柄については相互に連絡をしましょうとする取り決めが交わされていることがあります。
「警察・学校相互連絡制度」というのは、都道府県の警察本部と教育委員会が協定を結び、児童生徒の健全育成を目的として、警察と学校が連絡をとりあう制度です。
兵庫県においても、県や各市の教育委員会が兵庫県警察本部と協定を結び、本制度を運営しています。
この制度によって、少年や保護者が知らないうちに、警察から学校に連絡が入り、事件のことが学校側に発覚してしまう可能性があります。
私立の学校の場合には、このような協定を結んでいないことが多く、すぐには連絡がいかない場合もあります。
最後に、③についてですが、家庭裁判所の調査官が調査の一環として、少年の所属校や所属していた学校に「学校照会書」を送ることがあります。
調査官は、少年の性格や家庭環境、交友関係、学校の状況などを調査する必要があるため、少年の通ってた学校や現在在籍している学校に学校での少年の様子や成績などを調べるのです。
「学校には知られたくない」、「知られてしまうと退学になるおそれがある」と心配される方も多くいらっしゃると思います。
お子様が事件を起こしてしまい対応にお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
初回無料法律相談のご予約、初回接見サービスのお申込みは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
万引きと常習累犯窃盗
万引きと常習累犯窃盗
万引きと常習累犯窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加古郡稲美町のスーパーで食料品など計5点(6,000円相当)を万引きしたとして、Aさんは兵庫県加古川警察署に逮捕されました。
Aさんは、過去にも万引きで逮捕されており、直近では2年前に懲役6月の実刑判決が言い渡され刑に服していました。
Aさんは生活に困ってやったとのことですが、窃盗の前科もあり、今回は自身がどのような処罰を受けるのか心配しています。
(フィクションです)
常習累犯窃盗について
あなたがスーパーで商品を支払うことなく店を後にしたとしましょう。
これは、いわゆる「万引き」で、刑法における「窃盗罪」に当たります。
窃盗罪とは、「他人の財物を窃取」する犯罪です。
「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物です。
つまり、他人が事実上支配し管理している他人のものをいいます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
窃盗罪が成立するには、これらの要件に加えて、次の主観的要件を満たす必要があります。
1.故意
①財物が他人の占有に属していること、及び、②その占有を排除して財物を自己又は第三者の占有に移すことを認識すること。
2.不法領得の意思
不法領得の意思の要否については争いがありますが、判例では、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物として経済的用法に従い利用処分する意思」をいうと解されています。
つまり、窃盗罪の成立要件には、故意に加えて、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として扱う意思(排除意思)と、他人の物をその経済的用法に従い、利用又は処分する意思(利用意思)から構成される「不法領得の意思」が求められます。
窃盗罪の罰則は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
あなたが万引きで捕まり、検察官に起訴され、有罪判決を言い渡された場合には、10年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金の範囲内での刑事罰が科されることになります。
万引きの場合、初犯であり、被害金額も少額で、被害弁償が済んでいれば、微罪処分として事件が処理されるケースも多く、検察官によって起訴されずに事件終了となることが多いでしょう。
しかし、過去に何度も万引きを行っていた場合には、当然ながら事件を穏便に済ませるというわけにはいきません。
窃盗罪は再犯が多い犯罪です。
窃盗罪を常習的に繰り返す「常習累犯窃盗罪」が特別法(「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律」)で規定されています。
第三条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
当該条項は、常習累犯窃盗および常習累犯強盗について規定しており、常習としての窃盗等を行う習癖を有する者に対して、行為前野一定の前科を考慮し、その習癖のない者より重く処罰することとしています。
常習累犯窃盗とは、
①過去10年間に、窃盗罪等で6月以上の懲役刑を3回以上受けた者が
②常習として窃盗を行うこと
です。
①について、過去10年の内に、窃盗罪等で実刑判決を3回受けていれば当てはまるのですが、例えば、一回目が懲役6月の執行猶予判決、二回目が懲役1年の保護観察付執行猶予判決、三回目が懲役2年の実刑判決であった場合、一回目と二回目の執行猶予が取り消され、三回目の懲役2年の刑の執行後に、引き続き一回目と二回目の刑の執行を受けた場合においても、それらは合計3回の刑の執行を受けたことになる点に留意が必要です。
①の要件に加えて、「反復して犯罪行為を行う習癖」があるか否かという②の要件を満たして初めて常習累犯窃盗が成立するというわけです。
常習累犯窃盗は、刑法で規定されている窃盗罪より刑罰が重く規定されており、3年以上の有期懲役に処せられる可能性があります。
このように窃盗罪と常習累犯窃盗罪の法定刑は異なります。
万引きの前歴前科が多数あり、常習累犯窃盗にあたるのではとお困りであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回無料法律相談のご予約や、初回接見のお申込みは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受付しております。