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刑事事件で逮捕~緊急逮捕~
刑事事件で逮捕~緊急逮捕~
刑事事件の緊急逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県洲本警察署は、殺意を持ち、ゴルフクラブで男性Vさんの頭部を殴ったとして、兵庫県洲本市に住む少年Aくんを殺人未遂容疑で緊急逮捕しました。
Aくんは、「Vさんとトラブルになりカッとなって殴ってしまったが、殺すつもりはなかった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、急いで接見に行ってくれる弁護士を探しました。
(フィクションです)
被疑者の身柄を拘束し、引き続き短時間その拘束を続ける強制処分である「逮捕」には、3種類あり、前回はそのうちの「通常逮捕」について説明しました。
今回は、「緊急逮捕」についてみていきたいと思います。
「逮捕」や「現行犯逮捕」というワードは、ニュースなどで頻繁に耳にしているとは思いますが、「緊急逮捕」についてはあまり聞き慣れない言葉ではないでしょうか。
緊急逮捕とは、一定以上の重大な罪の嫌疑が高い場合、急速を要して、裁判官に対して逮捕状を請求することができないため、ひとまず被疑者の身柄を確保した上で、その後、直ちに逮捕状を請求するものです。
緊急逮捕については、刑事訴訟法第210条に次のように規定されています。
第二百十条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
○2 第二百条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。
当該条項の趣旨は、現行犯以外の場合で、犯人であることが明らかであるが、事前に逮捕状が必要であるとすると、その手続をしている間に被疑者が逃亡し、その後の逮捕が極めて困難になる場合もあるため、事実発見の観点から、一定の重い罪について厳重な制限の下に無令状の逮捕を認めた点にあります。
この緊急逮捕は、令状主義との関係で、憲法に反しているのではないかとの議論がありましたが、この点、最高裁判所は、「厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急やむを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件都市、被疑者の逮捕を認めることは、憲法33条規定の趣旨に反するものではない」とし、その合憲性を認めています。(最大判昭30・12・14)
緊急逮捕をする際には、被疑者に「その理由を告げて」行わなければならないとありますが、「その理由」には被疑事実の要旨および急速を要する事情にあることが含まれます。
緊急逮捕の要件は次の通りです。
①一定の重大犯罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があること。
死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪が対象となります。
この「罪」は特定されている必要があります。
そして、そのような重大犯罪を犯したことに対して、単なる疑いがあるだけでは足りず、通常逮捕においては「相当な」とあるのに対して、緊急逮捕では「充分な」とあるため、より高い嫌疑が必要です。
②急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないこと。
「急を要し」とは、被疑者が逃走しまたは証拠を隠滅するおそれが高く、逮捕状を請求している時間的余裕がないことをいいます。
③理由の告知をすること。
④逮捕後、直ちに逮捕状請求の手続をすること。
⑤逮捕の必要性があること。
通常逮捕と同様に、逮捕時に逮捕の必要があることが前提となります。
このように、緊急逮捕の要件は通常逮捕よりも厳しいものになっています。
通常逮捕や現行犯逮捕と比べると、緊急逮捕で身柄確保となる件数は少なくなっています。
しかし、緊急逮捕された後の流れも、他の逮捕と同様に、逮捕から48時間以内に警察は被疑者を釈放するか、検察に送致するかを決めます。
警察が検察に被疑者の身柄と証拠書類等を送致した場合、検察官は被疑者を取り調べた上で、被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか、裁判官に対して勾留請求を行うかを決定します。
検察官が勾留請求をすると、裁判官は被疑者と面談をし、被疑者を勾留するか、釈放するかを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間身柄が拘束されることになります。
そのような長期の身体拘束を避けるためにも、逮捕されたら早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に動くのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件で逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談や初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
刑事事件で逮捕~通常逮捕~
刑事事件で逮捕~通常逮捕~
刑事事件の通常逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県姫路市の路上で、性的暴行を加える目的で、帰宅中の女子高生Vさんの後をつけ、背後から襲い、「騒いだら殺す」などと脅迫し、性交しようとしたろこと、Vさんが抵抗したため、犯人がその場から逃げ出すという強制性交等未遂事件が発生しました。
兵庫県姫路警察署は、現場付近の防犯カメラの映像から、県内に住むAさんを特定しました。
ある朝、Aさん宅に兵庫県姫路警察署の署員が訪れ、逮捕状をAさんに提示し、Aさんを逮捕しました。
(フィクションです)
捜査の流れ
捜査は、警察などの捜査機関が、犯罪があると考える時に、犯人と思われる者(被疑者)を特定・発見し、必要な場合には、被疑者の身柄を確保するとともに、証拠を収集・保全するといった一連の手続です。
捜査は、被害届の提出や告訴・告発、警察官による職務質問、犯人の自首などをきっかけに開始されます。
捜査は、強制処分による強制捜査と、任意処分による任意捜査の方法により行われます。
捜査は、基本的に次のような原則に基づいて行われます。
・強制処分を用いるのは、刑事訴訟法にそれを許す特別の規定がある場合に限られます。
・捜査は、基本的には任意捜査の方法によって行われることになっています。
・被疑者の身柄拘束や捜索・押収は、原則として、あらかじめ裁判官の発布する令状を得て行われなければなりません。
これらの原則に基づいて捜査を行うわけですので、被害者の身柄拘束を伴う「逮捕」の実施にもきちんとしたルールが定められているのです。
「逮捕」とは、被疑者の身柄を拘束し、引き続き短時間その拘束を続ける強制処分をいいます。
この「逮捕」は、次の3種類に分けられます。
①通常逮捕
②緊急逮捕
③現行犯逮捕
今回は、①の「通常逮捕」についてみてきましょう。
通常逮捕について
通常逮捕は、裁判官からあらかじめ逮捕状の発付を受けて行われるものです。
憲法第33条
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
逮捕は人の身体の自由を奪う重大な処分ですので、逮捕の許否判断は、原則として裁判官の事前の審査によるものとされます。
通常逮捕の要件は、
(1)逮捕の理由(刑事訴訟法第199条1項本文)
(2)逮捕の必要性(同条2項ただし書)
です。
(1)逮捕の理由
逮捕の理由とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことをいいます。
捜査機関が被疑者に対して数回出頭要請をしたにもかかわらず、当該被疑者が無視した場合、それ自体では犯罪の嫌疑があるとはいえないので逮捕の理由とはなりません。
しかし、それが続くことで、逃亡・罪証隠滅のおそれが増し、逮捕の必要性が推認される可能性はあります。
(2)逮捕の必要性
逮捕の必要性とは、被疑者の逃亡・罪証隠滅のおそれをいいます。
逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕状の必要性について判断します。
一定の軽微な犯罪については、被害者の住所不定、正当な理由なく出頭要求を無視する場合のみに逮捕の必要性が認められます。
以上の要件を満たすと裁判官が判断した場合、逮捕令状が発付され、捜査機関により逮捕が実施されます。
逮捕されると、逮捕に引き続き短時間(48時間以内)の身体拘束を強いられることになります。
また、逮捕されることにより、家族や学校・職場に事件のことが発覚する可能性もあります。
そのような事態を回避するため、できるだけ早期に弁護士に相談し、逮捕を回避してもらえるよう捜査機関への働きかけを行うのがよいでしょう。
具体的には、弁護士は、家族等の身元引受人により被疑者の監督が期待できることや、学校や仕事があり逃亡するおそれがないこと、被害者がいる事件では被害者と連絡が取れない状況であることなど、逮捕の要件である逮捕の必要性がないことを客観的な証拠に基づき説得的に主張します。
あなたが、刑事事件を起こし、逮捕されるのではないかと不安を覚えいらっしゃるのであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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捜査の端緒~自首~
捜査の端緒~自首~
捜査の端緒(自首)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県小野市のゲームセンターで、女子高生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したAさん。
その様子を他の客が見ていたらしく、その客が店員に通報しようとしていることが分かり、Aさんは慌ててゲームセンターから逃げ出しました。
その後、店から誰かが追ってくる姿は確認しませんでしたが、Aさんは、店内に防犯カメラがあることからいずれ自分の犯行だと分かり、警察が逮捕しに来るのではないかと気が気ではありません。
自首したほうがよいのか、逮捕されるのだけはどうしても回避したいAさんは、刑事事件に強い弁護士に法律相談を申し込みました。
(フィクションです)
捜査の端緒として、主に
①被害者や被害関係者の届出、告訴・告発
②警察官による現認、職務質問、取調べ
③犯人の自首
があることは先述しました。
今回は、③の「自首」について説明していきましょう。
自首とは
みなさんは、「自首」という言葉は聞かれたことはありますよね?
「自首」は「犯人が警察署に出頭すること」によって成立する、と誤解されている方も多くいらっしゃるようです。
実は、法律上の「自首」が成立するためには、幾つかの要件を満たさなければならないのです。
「自首」とは、犯罪事実または犯人が誰であるかが捜査機関に発覚する前に、犯人自ら進んで犯罪事実を申告し、処罰を求める意思表示のことをいいます。
自首については、刑法第42条に次のように規定されています。
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
自首の成立には、以下の要件を満たす必要があります。
(1)自発的に自己の犯罪事実を申告すること
犯罪事実を自発的に申告していなければならず、単に捜査機関の取調べに対して自白した場合には、自発的な申告とはいえません。
もっとも、逮捕・勾留中の取調べ中であっても、未だ捜査機関に発覚していない余罪について自白した場合には自首が成立することになります。
しかし、捜査機関が嫌疑を持っていた場合には成立しないので注意が必要です。
また、発覚前に犯行をほのめかしたことをきっかけに行われた取調べで自供するに至った場合も自首は成立しません。
(2)自己の訴追を含む処分を求めること
犯罪事実の申告は、自己に対する処罰を求める趣旨が明示的もしくは黙示的に含まれていることが必要です。
犯罪事実の申告が、犯罪の一部を隠すためや、自己の責任を否定するものであった場合には自首は成立しません。
(3)捜査機関に対する申告であること
検察官や司法警察員に対して犯罪事実を申告していなければなりません。
(4)捜査機関に発覚する前に申告していること
犯罪事実だけでなく、犯人が誰かということまでも捜査機関が分かる前に申告する必要があります。
報告した相手が犯罪事実を知らない場合であっても、他の捜査機関の者が知っていれば、自首は成立しません。
また、犯罪事実および犯人が特定されているが、犯人の住所だけが不明の場合にも、発覚前とは言えません。
自首が成立した場合の効果
上の要件を満たし、自首が成立すると、刑が減軽される可能性が生じます。
自首をした者に対して刑を減軽するかどうかは、裁判所の裁量によって判断されるため、事件の性質や、自首の態様などの諸般の事情を総合的に考慮して決定されることとなります。
また、自ら犯行を素直に認めて捜査機関に出頭しているため、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断されやすくなります。
そのため、逮捕されずに在宅で捜査がすすんだり、逮捕後に勾留請求されなかったり勾留請求が却下されたりと、早期に釈放される可能性が高まります。
先述のように、自首の成立には満たすべき要件がありますので、刑事事件を起こし自首を検討されている方は、一度刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。
また、自首の前に弁護士に相談することで、その後の刑事手続について説明や取調べ対応についてのアドバイスを受けることもできます。
刑事事件を起こしてしまい自首をしようかとお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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捜査の端緒~職務質問~
捜査の端緒~職務質問~
捜査の端緒(職務質問)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市東灘区の路上をライトを点灯せずに自転車で通行していたAさん。
すると、兵庫県東灘警察署の警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
Aさんは、職務質問を拒否し、その場を立ち去ろうとしたところ、警察官が自転車のハンドルを持っていたため、うまく立ち去ることが出来ませんでした。
Aさんは、そのまま職務質問を受けたところ、乗っていた自転車が盗難車であることが発覚し、そのまま兵庫県東灘警察署で取り調べを受けることになりました。
しかし、Aさんは警察官の職務質問に不満があるようです。
(フィクションです)
前回、「捜査の端緒」のうちの①被害者や被害関係者の届出、告訴・告発、について説明しました。
今回は、②警察官による現認、職務質問、取調べ、のうちの「職務質問」についてみていきたいと思います。
職務質問
職務質問というのは、警察官が、「何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者」等を、「停止させて質問すること」です。(警職法第2条1項)
職務質問は、主として、これから行われようとする犯罪の予防、及び、すでに行われた犯罪の鎮圧を目的として、街頭などで日常的に行われています。
職務質問の対象となるのは、「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して」、
①罪を犯したと疑われる者、
②罪を犯そうとしていると疑われる者、
③すでに行われた犯罪について知っていると認められる者、
④犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者
です。
警察官は、このような者を「停止させて質問する」ことができますが、その場で質問をすることが本人に対して不利であり、また交通の妨害となると認められる場合には、付近の警察署、派出所、駐在所に「同行」を「求めることができ」ます。(警職法第2条2項)
これは、行政警察目的の任意同行で、犯罪捜査の一環である司法警察目的の任意同行とは区別されます。
職務質問およびその後の任意同行は、あくまでも「任意」であるので、要求に対する協力は強制されるものではありません。
ですので、制度上、警察から職務質問を受けても対応や回答を強いられることはなく、拒否して立ち去ることは可能です。
しかし、職務質問においては、逮捕の場合ような強制力を行使することはできないとしても、対象者が停止、応答ないし同行を拒む場合、言語による説得のみが許されるとしたら、職務質問の持つ犯罪防止・鎮圧の目的が実質的に意味を持たないことになります。
法文上、身柄の拘束や意に反する連行が認められないことは明らかで、犯罪がまさに行われようとしている際に抑止が認められますが(警職法第5条)、それ以上の規定はなく、職務質問における「停止」の意義、つまり、職務質問の際の有形力の行使が認められるかが問題となります。
この点、最高裁は、任意捜査における有形力の行使につき、強制手段にわたらない限り、「必要性、緊急性なども考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度で許容される」としています。(最三小決昭51・3・16)
この「必要性、緊急性、相当性」を判断する際の考慮要素として、
・対象者の嫌疑の内容と程度
・対象者の対応、
・侵害される対象者の利益と程度
・警察側の対応、
・有形力行使の態様・程度
などが多くの裁判例で挙げられています。
過去の判例で、以下の行為は適法とされました。
・職務質問中に逃げた者を130メートル追いかけ、背後から腕に手をかけ停止させた行為。
・酒気帯び運転の嫌疑がある者の逃走防止のため、窓から手を入れてエンジンキーを回してスイッチを切った行為。
・交通整理等の職務に従事していた警察官につばを吐きかけた通行人の胸元をつかみ歩道上に押し上げた行為。
・ホテルの宿泊客に対する職務質問を継続するため、ドアを押し開け、ドアが閉められるのを防止した行為。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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捜査の端緒~被害届・告訴・告発~
捜査の端緒~被害届・告訴・告発~
捜査の端緒(被害届・告訴・告発)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県三田市にあるマンションに住むAさんは、マンションの駐輪場に原付を止めていましたが、大型のバイクの止め方が気に食わず、怒りに任せてバイクを蹴って倒してしまいました。
Aさんは、倒したバイクを起こすことなくそのまま放置してその場を立ち去りました。
バイクの持ち主も、最初はたまたまこけたのかと思っていましたが、その後も何度かバイクが倒れていたため、誰かが故意にやっているのではないかと思い、兵庫県三田警察署に相談に行きました。
マンションに警察官が来ているところを見たAさんは、自分が被疑者として調べられているのではないかと思い、気が気でなりません。
(フィクションです)
捜査の端緒
捜査は、捜査機関が「犯罪がある」と考えるときに開始されます。
そのように考えるきっかけを「捜査の端緒」と呼び、概ね次のものが挙げられます。
①被害者や被害関係者の届出、告訴・告発
②警察官による現認、職務質問、取調べ
③犯人の自首
被害者や被害関係者の届出、告訴・告発
事件の被害者が警察に被害届を提出したり、告訴を行ったり、関係者からの告発があった場合に、当該事件が捜査機関に発覚するケースは少なくありません。
(A)被害届
犯罪被害者が、捜査機関に対して、犯罪による被害の事実を申告する(被害届の提出)ことにより、捜査が開始される場合があります。
(B)告訴
犯罪の被害者及びその他の告訴権者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その訴追を求める意思表示を「告訴」をいいます。
被害届が犯罪事実の申告行為のみであるのに対して、告訴は犯人の訴追・処罰を求める点で異なります。
告訴は、犯罪事実に対して行うものであって、犯人に対して行うものではありません。
ですので、告訴の内容としては犯人の特定は必ずしも必要ではなく、判例は、親告罪である名誉棄損被告事件において、告訴には必ずしも被告人の氏名を指定する必要はないとしています。
告訴することができるのは、原則、犯罪被害者と被害者の法定代理人です。
告訴することができるのは、犯人を知った日から6ヶ月です。
告訴は、書面または口頭で、検察官または司法警察員に行い、告訴は、公訴の提起があるまで取り消すことができます。
しかし、いったん取り消した後は、再度告訴することはできません。
告訴は、親告罪においては特に重要な意味を持ちます。
「親告罪」というのは、告訴がなければ公訴を提起することができない罪のことです。
例えば、未成年者略取誘拐罪、名誉棄損罪、侮辱罪、過失傷害罪、器物損害罪などです。
(C)告発
告発は、第三者が、捜査機関に対して、犯罪事実を申告し、犯人の訴追・処罰を求める意思表示です。
告発の手続や効果は、告訴の場合に準ずることになりますが、代理人によることができないこと、期間の制限がないこと、起訴後の取消や取消後の再告発が禁止されていないことが異なります。
被害届の提出、告訴がされたら
被害者等から捜査機関に被害届が提出されたり告訴された場合、捜査機関は捜査を開始します。
捜査機関が被疑者を特定し、逮捕の要件を満たすと判断されれば、被疑者を逮捕することもあります。
しかし、捜査機関に事件が発覚する前に、被害者との示談が成立し、被害届の提出や告訴を行わない旨の約束ができれば、捜査機関が捜査を開始することもなく事件は終了します。
被害者等が既に被害届を警察に提出していたり、告訴をしてしまっていた場合でも、早期に被害者との示談を成立させ、被害届や告訴を取り下げてもらえれば、不起訴処分となる可能性も高まります。
このように、事件の早期解決には、被害者との示談の有無が大きく影響するわけですが、加害者が直接被害者と示談交渉することは困難です。
なぜならば、元々被害者と加害者が知り合いであるといった場合や被害者が加害者と連絡をとりたいと申し出る場合を除いて、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えることはありません。
また、加害者に対する恐怖や嫌悪感から加害者と直接連絡をとることを承諾する被害者も少なく、加害者が被害者の連絡先を入手することは極めて難しいのです。
ですので、被害者との示談交渉は弁護士に任せるのが一般的です。
弁護士限りであれば連絡先を教えてもよいと回答する被害者の方も多くいらっしゃいますし、当事者同士であれば感情的になりがちな話し合いも、代理人を立てることで冷静にすすめることができます。
あなたやあなたのご家族が刑事事件を起こし、対応にお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件で不処分
少年事件で不処分
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~ケース~
高校1年生のAくんは、兵庫県明石市の路上で帰宅途中の女子中学生のスカート内を盗撮したとして、兵庫県明石警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
Aくんは逮捕されたものの、両親が身元引受人として警察署に迎えにきて身柄解放となりました。
警察から、「警察と検察で取調べが終わったら、家庭裁判所に事件が送られて、そこで最終的な処分が決定されます。」と簡単な説明を受けたAくん家族は、どのような処分が見込まれるのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
少年事件については、捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると判断したときは、すべての事件を家庭裁判所に送致することとされています。
事件が家庭裁判所に送致された後は、少年保護事件として、成人の刑事事件とは異なる手続が進められます。
家庭裁判所による調査・審判を経て、少年の更生に適した終局処分が言い渡されます。
その終局処分は、以下の通りです。
①保護処分(保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致、少年院送致)
②都道府県知事または児童相談所長送致
③検察官送致
④不処分
⑤審判不開始
不処分とは
裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨を決定しなければなりません。(少年法第23条2項)
この決定を「不処分決定」といいます。
不処分決定の要件
不処分決定は、審判の結果、①保護処分に付することができないとき、又は②保護処分に付する必要がないと認められるとき、になされます。
以下、各々の要件を概観します。
(1)保護処分に付することができないとき
法律上又は事実上、保護処分に付することができない場合の不処分決定で、次のように分けられます。
・非行事実なし:非行事実の存在の蓋然性が認められない場合。
・所在不明等:少年に心神喪失、死亡、所在不明、疾病、海外居住等の事情が生じた場合。
・その他(審判条件が存在しない等)
(2)保護処分に付する必要がないとき
保護処分に付する必要がないときとは、審判の結果、要保護性が認められず、保護処分、児童福祉法上の措置、刑事処分のいずれも必要のない場合の不処分決定です。
・保護的措置:調査・審判の過程で、関係者による働きかけが講じられた結果、要保護性が解消し、再非行の危険性がなくなった場合。
・別件保護中:別件で保護的措置が講じられていたり、保護処分に付されていたりするため、本件ではとくに処分をする必要がないと認められる場合。
・事案軽微:非行事実がきわめて軽微な場合。
不処分決定がなされると、事件は終局します。
不処分決定に伴い、観護措置や試験観察等の中間決定の効力は消滅します。
非行事実に争いのない場合には、保護処分に付する必要がない場合の不処分を目指します。
前述のように、保護処分に付する必要がないときとは、審判の結果、要保護性が認められず、保護処分等が必要がないと判断された場合にさなれるものです。
「要保護性」というのは、審判の審理対象で、以下の3つの要素により構成されると考えられています。
1.再非行の危険性
少年の性格や置かれている環境に照らして、将来再び非行を犯す危険性があること。
2.矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことにより、再非行の危険性を除去できる可能性があること。
3.保護相当性
保護処分による保護が最も有効であり、かつ、適切な処遇であること。
このように要保護性が認められないためには、少年の環境調整を十分に行う必要があります。
少年が将来非行を再び犯すことがないよう、少年をとりまく環境を調整したり、少年の内面への働きかけを行います。
少年事件は様々な点で成人の刑事事件とは異なりますので、少年事件における弁護活動・付添人活動は、少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
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初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
服の上からの盗撮で迷惑防止条例違反
服の上からの盗撮で迷惑防止条例違反
服の上からの盗撮(迷惑防止条例違反)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市北区の商業施設で、女性のお尻部分を服の上から盗撮したとして、会社員のAさんは迷惑防止条例違反の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは、兵庫県有馬警察署で取り調べを受けており、「女性の下着を盗撮したのではなく、女性が普通に服を着ていた状態のお尻部分を撮っただけです。」と、迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されたことに不満がある様子です。
Aさんは、接見に訪れた弁護士に自分の行為が迷惑防止条例違反となるのか聞いています。
(フィクションです)
盗撮~迷惑防止条例違反~
「盗撮ぐらいならバレないだろう。」と、人のスカート内に自身が所持するスマートフォンを差し入れ、その下着を撮影するといった「盗撮」は、捜査機関に発覚していないことも多く、実際の件数はかなりの数に上ると言われています。
盗撮事件で逮捕された方が、実は逮捕された被疑事実以外にも盗撮行為を何件も行っていたことが発覚するケースが多く見られます。
みなさんご存知の通り、盗撮行為は犯罪です。
「盗撮罪」という犯罪はありませんが、各都道府県が定める迷惑防止条例が「盗撮」を禁止しており、違反者に対しては罰則を定めています。
兵庫県迷惑防止条例では、次のように規定しています。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
禁止される行為は、「盗撮」だけでなく、盗撮目的でカメラを向けたり、設置したりする行為も含まれます。
服の上から撮影しても迷惑防止条例違反の盗撮に?
「盗撮」といった場合、多くの人が、他人の下着や裸などを許可なく撮影することを想像されると思いますが、被撮影者が服を着た状態で勝手に撮影した場合でも、迷惑防止条例で禁止されている盗撮に該当するのでしょうか。
この点、札幌の迷惑防止条例に関してではありますが、服の上からでも「公共の場所・乗物において、卑わいな言動」に当たり条例違反となることを肯定した裁判がありますので、ご紹介しましょう。
事件の内容は、被告人が、ショッピングセンター内で女性に執拗につきまとい、ズボンを着用した女性のお尻部分をカメラで11回撮影したというものです。
女性の下着や身体を盗撮したのではないから、「卑わいな言動」には当たらないのではないかと争われましたが、最高裁判所は、「被告人の本件撮影行為は、被害者がこれに気付いておらず、また被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり、これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ、被害者に不安を覚えさせるものといえるから、上記条例10条1項、2条の2第1項4号に当たるというべきである。」とし、服の上からであっても被害女性のお尻を盗撮する行為は、迷惑防止条例における「卑わいな言動」に当たると解されました。(最決平20・11・10)
このように、人が服を着た状態であっても、その臀部を盗撮する行為は、卑わいな言動に当たる可能性があり、上記ケースにおいてAさんに対して迷惑防止条例違反が成立するものと考えられます。
盗撮事件のような被害者が存在する事件においては、被害者との示談の有無が処分結果に大きく影響します。
被害者との示談は、弁護士を介して行うことをお勧めします。
盗撮事件でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
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初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
殺害目的で包丁所持~殺人予備罪~
殺害目的で包丁所持~殺人予備罪~
殺害目的での包丁所持(殺人予備罪)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
Aさんは、交際相手を巡ってVさんと揉めていました。
Aさんは、Vさんの態度に激怒し、Vさんを殺害することを決意しました。
Aさんは、ホームセンターで文化包丁を購入し、兵庫県川辺郡猪名川町のVさん宅付近の路上でVさんを待ち伏せしていました。
すると、付近の住民がAさんを不審に思い、兵庫県川西警察署に通報しました。
現場に駆け付けた警察官から職務質問を受けた際、警察官がAさんが文化包丁を持っていることに気づき、Aさんを銃刀法違反容疑で現行犯逮捕しました。
兵庫県川西警察署での取調べでは、AさんはVさんを殺害するために文化包丁を所持していたと供述しており、Aさんは殺人予備容疑でも取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
殺人予備罪について
殺人罪は、刑法第192条に次のように規定されています。
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
殺人罪の構成要件(法律により犯罪として決められた行為類型)は、「人を殺した」行為です。
人が死亡することにより構成要件的結果が惹起され、殺人罪という犯罪が成立します。
それでは、人が結果として死に至らなかった場合は罪に問われないのでしょうか。
第二百三条 第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
上記のように、殺人罪に関して、人を殺そうとしたけれど、結果人を死亡させるに至らなかった場合(未遂)でも、未遂犯として処罰の対象となります。
現行刑法は、未遂を一般的に処罰の対象とするのではなく、処罰の必要を認めた犯罪について、個別に処罰規定を設けています。
未遂とは、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」ことです。(刑法第43条)
ですので、未遂というためには「犯罪の実行に着手した」ことが必要となります。
この実行の着手の有無をどのような基準で判断すべきかについて、判例は、既遂犯の構成要件的結果を生じさせる危険性が認められる行為への着手の時点で実行の着手が認められるとする立場にたっています。
例えば、クロロホルムを吸引させて被害者を失神させ(第1行為)、失神した被害者を車ごと海に転落させて溺死させる(第2行為)事案において、第1行為は第2行為を確実かつ容易に行うために必要不可欠であったといえること、第1行為に成功した場合、それ以降の殺害計画を遂行する上で障害となるような特段の事情が存しなかったと認められることや、第1行為と第2行為との間の時間的場所的近接性などに照らすと、第1行為は第2行為に密接な行為であり、被告人らが第1行為を開始した時点ですでに殺人に至る客観的な危険性が明らかに認められるとして、第1行為を開始した時点で殺人未遂が成立するとしています。(最決平16・3・22)
上のケースでは、AさんはVさんを殺害する目的で凶器である包丁を購入した上で、Vさん宅付近で待ち伏せしていました。
Aさんの行為は、殺人の実行に着手したと言えるでしょうか。
凶器を所持して待ち伏せする行為だけでは、「Vさんの死」という法益侵害の現実的危険が発生していたとは言えないでしょう。
であれば、そのような未遂にも至っていない場合は何ら罪に問われないのでしょうか。
刑法は、未遂以前の犯行の「予備」についても、殺人罪や強盗罪など極めて重い犯罪について例外的に処罰の対象としています。
第二百一条 第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
殺人予備罪は、殺人罪を犯す目的で、殺人の実行を可能にし、または容易にする準備行為です。
判例では、人を殺害する目的で刺身包丁を携えて被害者宅に侵入し、被害者の姿を探し求めて屋内を通り歩いた行為、他人から殺人の用に供するための青酸カリを調達するよう依頼を受け、これを入手してその他人に手交する行為、殺人を意図して被害者等の日常通行する能動の道端に毒入りジュースを置く行為は、殺人予備罪に該当するとしています。
となれば、上記ケースで、殺意を持って包丁を手に被害者宅付近で待ち伏せしていた行為は、殺人予備罪に当たると考えることができるでしょう。
逮捕されたAさんは、身体拘束されたまま連日捜査機関からの取調べを受けることになります。
外界から隔離された環境での取調べで、身体的にも精神的にも疲労し、自己に不利な供述がとられてしまう可能性もあります。
ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
無免許運転と交通保護観察
無免許運転と交通保護観察
無免許運転と交通保護観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡神河町に住む高校3年生のAくんは、免許をとった友人Bくんとレンタカーを借りてドライブに出かけました。
Aくんも車の運転に興味があったことから、「ちょっとだけ運転させて。」といって、Aくんが車を運転することになりました。
すると、兵庫県神崎郡内で交通取り締まりを行っていた兵庫県福崎警察署に車を停止するよう要求され、免許証の提示を求められたことで、Aくんが無免許運転をしていたことが発覚しました。
兵庫県福崎警察署は、Aくんを道路交通法違反の容疑で現行犯逮捕しました。
(フィクションです)
無免許運転により成立する犯罪とは
無免許運転とは、公安委員会の運転免許を受けていないにもかかわらず自動車や原付自転車を運転する行為をいい、運転免許を取得したことがない場合だけでなく、免許停止中の運転や、免許取り消し処分後に免許の再取得なく運転している場合も無免許運転に含まれます。
少年による無免許運転は、その多くが、運転免許自体を取得したことがないのに、自動車等を運転するケースです。
運転免許を一度も取得したことがなく、運転技術も未熟であることから、事故を起こしてしまう可能性も高いと言えるでしょう。
無免許運転は、道路交通法で次のように禁止されています。
第六十四条 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
無免許運転に対する罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
無免許運転を常習的に行ったいた場合や、人身事故を起こしてしまった場合には、逮捕される可能性が高いと言えるでしょう。
無免許で人身事故を起こした場合には、無免許運転による罪が加重されることになります。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律は、危険運転致死傷罪、発覚免脱罪、過失運転致死傷罪の罪を犯した時に無免許運転をした場合、刑が加重することを規定しています。
少年が無免許運転をした場合~交通保護観察~
少年事件は、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所は、事件受理後、家庭裁判所調査官による調査、審判を経て処分を決定します。
家庭裁判所により決定される終局処分は、次の通りです。
・保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
・検察官送致
・不処分
・都道府県知事または児童相談所長送致
・審判不開始
上記処分のうち、保護観察は、少年を施設に収容せず、社会生活を送らせながら、保護観察所の行う指導監督および補導援護によって少年の改善更生を図る社会内処遇の保護処分です。
保護観察には、「一般保護観察」、「短期保護観察」、「交通保護観察」、そして「交通短期保護観察」の4つに分類されます。
交通関係事件の保護観察が、「交通保護観察」と「交通短期保護観察」で、交通関係事件で保護観察決定があった少年のうち交通短期保護観察の処遇勧告がなされない者が、交通保護観察の対象者となります。
交通保護観察を担当する保護観察官・保護しは、交通法規に通じる等、交通保護観察を行うにふさわしい者が選任されます。
必要に応じて、交通法規、運転技術等に関する個別指導、運転技術向上を図るための集団処遇等が行われます。
交通保護観察は、おおむね6ヶ月を経過していることが解除の目安とされ、一般の保護観察よりも短期間で解除されます。
少年の交通事件では、家庭裁判所での処分より刑事処分としての罰金刑に処するほうが教育的効果が高いとして、検察官送致となることも他の少年事件に比べて多くなっています。
お子様が無免許運転で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年事件・刑事事件を専門とする弁護士が、無料法律相談や初回接見サービスを行います。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
痴漢事件で被害者と示談するには
痴漢事件で被害者と示談するには
痴漢事件での被害者との示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社員のAさんは、電車で通勤していました。
ある夜、会社の飲み会があり、かなりお酒が入った状態で最終電車に乗車しました。
Aさんは、隣に座っていた大学生と思われる女性が眠っていると思い、女性の太ももをさするなどの痴漢行為を行いました。
ところが、Aさんが電車を降りると、さきほどまで隣に座っていた女性に声を掛けられ、振り返ると、「あなた痴漢しましたよね?一緒に駅員室に行きましょう。」と言われ、そのまま駅員室に連れて行かれました。
その後、兵庫県飾磨警察署に行き、Aさんは迷惑防止条例違反の容疑で取り調べを受けることになりました。
Aさんは容疑を認めており、被害者に謝罪したと申し出ましたが、被害女性はAさんと直接連絡とりたくはないようで、警察からは「弁護士にでも相談したらどうか。」と言われました。
(フィクションです)
痴漢事件
弊所が受ける法律相談のなかでも、痴漢事件や盗撮事件に関するものが多くを占めています。
「家族が逮捕されてしまったが、すぐに釈放されないか。」、「今後どのような流れになるのか。どのような刑罰を受けるのか。」、「被害者の方に謝罪や被害弁償をしたいけれども、どうしたらいいのか。」などという相談が多く寄せられています。
痴漢をすると、多くの場合、各都道府県が定める迷惑防止条例違反の罪に問われます。
どこで痴漢行為を行ったかによって、どの都道府県の迷惑防止条例が適用されるかが異なりますが、痴漢に関して言えば各条例の内容にそれほど違いはありません。
痴漢は、各都道府県が定める迷惑防止条例が禁止する「卑わいな言動」に当たります。
以下、兵庫県の迷惑防止条例の該当条項です。
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
公共の場所・乗物において、「不安を覚えさせるような卑わいな言動」を行った場合に成立します。
電車内での痴漢はまさに当該条項違反の典型例です。
当該違反行為に対する刑罰は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
常習として痴漢行為を行った者に対しては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と刑罰は加重されます。
痴漢事件では、逮捕されたとしても、初犯であり、容疑を認めている場合には、家族などの身元引受人が迎えに来ることで釈放される可能性があります。
この点、釈放されたことから、事件が終了したと勘違いされる方もいらっしゃいますが、残念ながら、釈放されたからといって事件が終わるなんてことにはなりません。
在宅事件として、身柄拘束しないまま被疑者としての取調べが続くのです。
警察での捜査が終了すると、事件は検察に送致され、今度は検察官から呼び出され取調べを受けることになります。
その後、検察官が被疑者を起訴するかどうかを決定します。
ここで、起訴しないとする処分(「不起訴処分」)となれば、事件は終了します。
一方、検察官が起訴した場合には、略式手続で略式命令を言い渡され罰金を納める、若しくは、公判請求され公判を経て有罪・無罪が言い渡され、有罪の場合には執行猶予付き判決または実刑判決が下れるという流れになります。
痴漢事件の場合、前科があれば、公判請求される可能性がありますが、そうでなければ、不起訴処分か略式手続で罰金刑となることが多いですのですが、不起訴処分で終わるか、罰金刑で終わるかは、大きな違いと言えるでしょう。
ここでは容疑を認めていることを前提としてお話しますが、この場合の不起訴処分は「起訴猶予」となります。
これは、被疑者が犯罪を行ったと立証するに十分な証拠があるけれども、被疑者の年令・性格・境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を考慮し、訴追の必要がないため、起訴しないとする処分です。
この判断をする際に、考慮要素となるのが、被害者との示談の有無です。
示談というのは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者が被害届の提出をしない等、当事者間では今回の事件は解決したとする約束のことをいいます。
迷惑防止条例違反は親告罪ではありませんが、初犯であり、被害者との間で示談が成立しており、被害者から許しが得られている場合には、検察官があえて起訴に踏み切る可能性は低いと言えるでしょう。
不起訴処分となれば、前科はつきません。
他方、初犯であっても、被害者との示談が成立していない場合や、件数が多く全ての被害者との示談が困難である場合には、略式起訴され罰金刑を受ける可能性もあります。
略式手続は、公判を開くことなく書面上での手続で終了しますが、罰金刑を受けることになり、有罪の前科が付くことには変わり有りません。
つまり、被害者との示談の有無が、刑事処分に大きく影響し得るのです。
しかしながら、当事者同士で直接示談交渉することは事実上難しい場合が多いのです。
被害者から連絡先を教えたくないと言われるケースや、連絡がとれて直接交渉したとしても、お互いやったやってないの感情論になり交渉がうまくまとまらないケースが多いからです。
そのような場合には、弁護士を介して示談交渉を行うのがよいでしょう。
弁護士限りなら連絡先を教えてもよいと言われることも多く、冷静で粘り強い交渉を行うことで高額な示談金を支払うこと回避し、清算条項や宥恕条項などをきちんと盛り込んだ示談書を作成することができます。
痴漢事件での示談交渉にお悩みであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料の法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881へ。

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