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リベンジポルノと強要罪

2019-07-25

リベンジポルノと強要罪

リベンジポルノ強要罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
SNSを通じて知り合った会社員のAさんと高校生のVさん(17歳)は、1年ほど交際していましたが、別れることになりました。
その後しばらくして、Aさんから「会いたい」と連絡がありましたが、Vさんは断りました。
すると、「会わないというなら、お前の裸の写真や動画をネットに拡散するぞ。」と言い、AさんはVさんに面会を強要しました。
怖くなったVさんは、学校の先生に話し、兵庫県川西警察署に相談することにしました。
兵庫県川西警察署は、Aさんを強要未遂容疑で逮捕しました。
(フィクションです)

リベンジポルノって?

交際している間に撮影した交際相手の裸や性行為の写真・動画などは、信頼している相手だから悪用されることはないと信じていませんか?
10~20代の若者の間では、自身の裸の写真を相手に送ったり、性行為の様子を撮影することに同意した経験がある人の数が、他の年齢より多く、知識や経験が乏しく、その危険性を十分に理解していないことが多いようです。
そのような写真や動画は、交際関係が終わっても、データを完全に削除しない限り、相手の手元に残るということをきちんと理解しなければなりません。
近年、交際中に撮影した相手方の裸の写真などをネットに投稿するなどと言って、元交際相手に対して復縁を迫ったり面会するよう求める行為が増えてきています。
このように、離婚した配偶者や別れた元交際相手が、相手から別れを切り出されたことや要求を拒否されたことの仕返しとして、相手の裸の写真や動画など、相手が公開するつもりのない私的な性的画像を無断でネットに公開する行為を「リベンジポルノ」といいます。

リベンジポルノに関連する犯罪とは?

1.リベンジポルノ防止法違反

「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(以下、「リベンジポルノ防止法」)は、リベンジポルノを規制しています。

第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

リベンジポルノ防止法でいう「私事性的画像記録」というのは、
・性交または性交類似行為
・他人が人の性器等を触る行為または人が他人の性器等を触る行為
・服の全部または一部を着けていない姿で、殊更に人の性的な部位が露出されたり強調されたりしているものであって、性欲を興奮させまたは刺激するもの
を撮影した画像で、第三者に見られることに同意が得られていないものです。

このような画像をネットの掲示板などに投稿する行為は、リベンジポルノ防止法違反となります。

2.強要罪

刑法第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

性的な画像を公開することで、相手方の名誉を棄損すると脅し、面会や交際などといった義務のないことを行わせる行為は、強要罪にあたります。
強要罪は未遂でも処罰されます。

3.児童ポルノ法違反

画像等の被写体が18歳未満である場合は、児童ポルノに該当し、児童ポルノ製造・所持罪が成立するでしょう。
また、それらの画像等をネット上に載せた場合には、児童ポルノ公然陳列罪となり、その法定刑は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその併科と非常に重い罪に問われることとなります。

他にも、「性的な画像をばらまくぞ」と脅した場合には脅迫罪が、公開したことで名誉が毀損されたとして名誉棄損罪が成立する可能性もあります。

いずれにせよ、相手の気持ちを無視し、自己の欲求を満たすためにリベンジポルノに走ることはやめましょう。

もし、あなたがリベンジポルノで刑事事件の被疑者として警察に取り調べを受けているのであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
被害者がいる事件では、被害者との示談成立が事件解決に最も有効な手段です。
当事者が直接交渉するのではなく、弁護士を介して行うことで、円滑に示談交渉を進めることができるでしょう。
特に、元配偶者や交際相手といった関係性にある場合には、当事者間での交渉は難航しますので、弁護士を介して行うことをお勧めします。

刑事事件でお困りであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

盗撮で逮捕されるケース

2019-07-24

盗撮で逮捕されるケース

盗撮逮捕されるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県養父市にある駅構内の階段で、女子高生Vさんのスカート内にスマートフォンを差し入れ動画を撮影しました。
その直後、女子高生の隣にいた友人のWさんが後ろを振り向きました。
Wさんは、Aさんの不審な行動に気づいたようで、Vさんと何やらひそひそ話をしています。
Aさんは、そのままホームに停車していた電話に飛び乗りましたが、「自分の盗撮行為がバレてしまったのではないか」、「女子高生たちが警察に相談したら、自分は逮捕されてしまうのではないか」と心配になってきました。
ネットで刑事事件に強い弁護士を検索し、すぐに法律相談を申し込みました。
(フィクションです)

盗撮は迷惑防止条例違反

兵庫県の迷惑防止条例は、盗撮行為や盗撮目的でのカメラ等の差入れや設置を禁止しています。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

兵庫県では、盗撮等が禁止される場所が「公共の場所・乗物」に限定されておらず、「集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)」も含まれます。
また、「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」にいる人に対する盗撮等も禁止の対象となっており、公共性を欠く場所で盗撮する行為も迷惑防止条例違反に該当します。

盗撮で逮捕される場合とは

盗撮行為を行い逮捕される場合には、行為時に逮捕される場合と後に逮捕される場合とがあります。

現行犯逮捕

盗撮事件の多くは、盗撮行為が現場で被害者や目撃者に発覚しており、そのまま私人逮捕されるか通報を受けて駆け付けた警察官に逮捕されるといった流れになります。
満員電車のような身動きがとれない場所での盗撮は、目撃されることも少なく、犯人の不審な行為に目を止める余裕もないので、被害者や目撃者にその場で発覚することは少ないようです。
しかし、私服警官が電車に乗り込んでいる場合もありますので、満員電車であっても不審な行為に目を配らして盗撮行為を発見されるなんてこともあります。

通常逮捕

その場で盗撮行為がバレなかったとしても、異変に気付いた被害者などが警察に相談し、捜査の結果犯人が特定されて逮捕となる可能性も少なくありません。
防犯カメラの映像や電車の利用データなどから犯人を割り出すことも可能です。
何事もなく盗撮できたと思って安心していると、突然ある日逮捕される…なんてことも実際にあるのです。

盗撮行為をしてしまったが、逮捕されるか心配だ。」、「自首をしようか迷っている。」と盗撮事件でお困りであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件を含めた刑事事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスについてのお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

示談成立で不起訴に

2019-07-23

示談成立で不起訴に

示談成立での不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社の同僚と兵庫県美方郡香美町にあるバーを訪れたAさん。
お酒も入り、店のマスターや同僚との話も盛り上がり楽しい時間を過ごしていたのですが、店に来ていた他の客Vさんが、店の女性従業員にちょっかいをかけており、従業員やマスターは対応に困っていました。
そこで、AさんはVさんに「店の子も嫌がっるから、いい加減にしとき。」と言うと、Vさんは「お前誰やねん。しゃしゃりでてくんなや。」と言ってきたため、2人は口論になりました。
Aさんは、Vさんの挑発的な態度に我慢できなくなり、顔面を拳で一発殴ってしまいました。
口論が激しくなってきた際にマスターが兵庫県美方警察署に通報しており、駆け付けた警察官にAさんとVさんは別々に警察署に連行されました。
Aさんは、相手を殴ったことを素直に認めており、警察に事の経緯も正直に話しています。
警察官から、「相手と示談したらどうか。弁護士に相談してみたら。」と言われ、示談交渉を任せられる弁護士を探しています。
(フィクションです)

示談について

被害者がいる事件では、事件を穏便に解決する手段として、被害者との示談が挙げられます。
示談というのは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届の提出を行わないなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することです。
示談を成立させ、被害者が加害者に対して処罰を求めないとなれば、警察や検察官はそれ以上事件について捜査を行うことをせず、事件終了とする可能性が高いと言えるでしょう。

しかし、加害者が直接被害者と示談交渉することはお勧めできません。
警察が加害者に対して、被害者の連絡先を教えてくれることはあまりなく、加害者が直接被害者に連絡することができないからです。
加害者が被害者に働きかけて罪証隠滅を図るおそれもありますし、被害者が加害者に対して自分の連絡先を教えることを拒むことも多いのです。
また、元々被害者と知り合いで連絡先を知っていたとしても、当事者が直接交渉することで、感情論的になり、交渉が難航することが多いので、当事者間での交渉は好ましくないでしょう。
一般的に、示談交渉は弁護士を介して行います。
弁護士限りということであれば、連絡先を教えてもよいという被害者も多いですし、弁護士からの話を聞くうちに、処罰感情が高い被害者も徐々に示談意向を示すようになるケースもあります。
ですので、被害者との示談交渉は、加害者本人ではなく、代理人である弁護士に任せるのがよいでしょう。

示談が成立すれば

被害者との示談が成立した場合、以下のような結果が期待できます。
①事件化阻止
捜査機関が介入する前に示談が成立した場合には、事件化を阻止することができます。
警察が捜査を開始する前に、示談が成立しているので、被疑者として警察から取調べを受けることはありません。
②不起訴(起訴猶予)
既に被害者から被害届が出されているなど、事件が捜査機関に発覚している場合であっても、早期に示談を成立させることで、検察官が不起訴として事件を終了させる可能性を高めることになります。

不起訴とは

被疑者を起訴するか否かは、裁判官ではなく検察官が決めます。
検察官が起訴しないとする処分を「不起訴処分」といいます。
不起訴処分には、①罪とならず、②嫌疑なし、③嫌疑不十分、④起訴猶予の種類があります。
不起訴となる場合の多くが、④の「起訴猶予」です。
起訴猶予は、被疑者が犯罪を犯したという証拠が十分あり起訴することも可能であるが、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の情況を考慮し、起訴する必要がないと判断され、不起訴となることです。
起訴猶予を獲得するためには、被疑者が反省していることや、被害者との示談が成立していることなどが重要なポイントとなります。
示談が成立することによって、被疑者の反省の態度を示すことにもなりますし、被害者との和解が成立しているとして被疑者にとって有利な材料にもなります。

このように、被害者がいる事件では、早期に示談を成立させることで、不起訴処分を獲得する可能性を高めることができます。
刑事事件の加害者となり対応にお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881まで。

中間処分としての試験観察

2019-07-22

中間処分としての試験観察

試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
小遣い欲しさから、NSNの高額アルバイト募集広告に飛びついた大学生のAくん(19歳)は、特殊詐欺に受け子として関与してしまいました。
兵庫県相生市に住む女性から、弁護士のアシスタントと称して現金100万円を騙し取ったとして、兵庫県相生警察署は、Aくんを詐欺容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
弁護士からは、特殊詐欺関連の事件については、少年院送致という重い処分も十分可能性があるため、中間処分である試験観察を目指し、試験観察を経て保護観察処分となるよう活動する方針を打ち出されました。
特殊詐欺という重罪に手を染めてしまった以上、身体拘束やある程度の処分を受けることについては仕方がないとAくん本人と両親は覚悟していますが、大学を留年、若しくは退学しなければならなくなる少年院送致だけは回避したいと思っています。
(フィクションです)

少年事件において決定される処分とは

少年事件は、原則としてすべての事件が、捜査機関の捜査が終了すると管轄の家庭裁判所に送致されます。
保護事件として受理した家庭裁判所は、調査・審判を経て、少年の更生に適した処分を決定します。
終局処分は、以下の通りです。
①保護処分
・保護観察
・少年院送致
・児童自立支支援施設等送致
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始
この他、中間処分として「試験観察」があります。

試験観察について

試験観察」とは、家庭裁判所は保護処分を決定するために必要があると認めるときに、相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定をいいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。

試験観察制度の趣旨については、次の2点が挙げられます。

(1)十分な調査を尽くす趣旨
保護処分は、身体拘束等、少年の権利を制約するものであるので、少年審判においては、少年の要保護性に関する資料を十分に調査し、少年の行動等の観察も尽くして、慎重かつ適切な判断がされなければなりません。
そのため、少年にとって適切な処分を慎重に見極めるために、十分な調査を尽くさせるという趣旨があります。

(2)プロベーション機能を期待する趣旨
プロベーションとは、犯罪者に対し、矯正施設への収容を猶予し、社会内で指導監督や援助を加え、その経過が悪い場合には矯正施設に収容するという心理強制によって改善と社会復帰を図る制度のことをいいます。
試験観察では、終局処分をいったん保留することで、試験期間中の少年に心理的な影響を与え、更生を促す効果を期待するという側面が期待されます。

試験観察の要件について、少年法25条1項は、「保護処分を決定するために必要があると認めるとき」とのみ規定しています。
しかし、一般的には、以下の要件を満たす必要があるといわれています。
・保護処分に付する蓋然性があること。
・ただちに保護処分に付することができない、或いは付すのが相当でない事情があること。
・調査官の観察活動が必要であり、かつ、その結果、適切な終局決定ができる見込みがあること。
・相当期間内に観察目的を達成する見込みのあること。

試験観察の期間は、通常3か月から半年ほどです。

特殊詐欺事件の様な少年院送致の可能性がある場合、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。

お子様が特殊詐欺事件を起こし、少年院送致のような重い処分になるのではないかと心配されているのであれば、まずは少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お子様の更生にとって適した処分となるよう少年事件に精通する弁護士が尽力します。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

公判欠席で保釈の取消

2019-07-21

公判欠席で保釈の取消

保釈取消について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古郡稲美町内のスーパーで商品を万引きしたとして窃盗容疑で逮捕されたAさん。
その後、神戸地方検察庁姫路支部に窃盗罪で起訴され、7月1日の第一回公判神戸地方裁判所姫路支部で開かれました。
しかし、判決期日にAさんは姿を現さず、延期された期日も欠席し、再度延期された期日にやっと姿を現したAさんですが、欠席した理由は「判決を受ける覚悟がなかった。」と説明しました。
検察官が準備をしていなかったため、裁判官は3回目の延期を決めましたが、Aさんは保釈取消となり、判決期日には手錠と腰縄姿で入廷しました。
(朝日新聞DIGITAL 2019年7月1日21時48分掲載記事を基にしたフィクションです)

保釈制度について

保釈」は、一定額の保釈保証金を納付することで、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判とその執行です。
被疑者が逮捕され、その後勾留された場合、検察官から勾留請求をされた日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を強いられることになります。
検察官が起訴する前の段階で、身柄解放となるには、「勾留理由開示請求」、「勾留決定に対する準抗告」、「勾留取消請求」、「勾留執行停止の申立」といった方法があります。
被疑者が置かれた状況や手続の進展状況によって採るべき方法は異なりますが、「勾留決定に対する準抗告」が最も利用される方法でしょう。
これらの申立が認められない場合には、起訴まで勾留により身体拘束を受けます。
保釈請求ができるのは、検察官が起訴してからです。

保釈には次の3つがあります。

1.権利保釈(必要的保釈)
裁判所は、保釈の請求があったときは、原則として保釈を許さなければなりません、
例外として、権利保釈の除外事由がある場合には、裁判所は請求を却下することができます。
①被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる物若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。

2.裁量保釈(任意的保釈)
裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合でも、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することができます。

3.義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許可しなければなりません。

保釈の取消

裁判所に保釈が許可され、保釈保証金を収納すれば、身体拘束を受けていた被告人は、釈放されることとなります。
保釈は、被告人の出廷を確保するための制度ですので、当然その約束が守れない場合には保釈は取り消されますし、納付した保釈保証金も没収されることになります。

裁判所は、次に該当する場合には、検察官の請求により、又は職権で、保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができます。
①被告人が、召喚を受け正当な理由なく出頭しないとき。
②被告人が逃亡又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
③被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑う相当な理由があるとき。
④被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
⑤被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。

上のいずれかに該当し、保釈が取り消されてしまった場合には、納付した保釈保証金の全部又は一部が没収される可能性があります。

逮捕後に勾留が付き、起訴前段階では身柄解放ができなかったとしても、起訴後には保釈となる可能性も十分あります。
ご家族が刑事事件を起こし、保釈で身柄解放をとお考えであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

ストーカー行為で逮捕

2019-07-20

ストーカー行為で逮捕

ストーカー行為での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、会社の取引先に勤務していたVさんと1年間交際していました。
しかし、1年経ったある日、Vさんから別れ話を切り出し、2人の交際関係は終了しました。
別れたことでAさんのVさんに対する態度が豹変し、交際時に渡したプレゼント代や食事代などを清算してほしいと、AさんはVさんに一日に何度もメールや電話をしたり、時にはVさん宅を訪れることもありました。
怖くなったVさんは、兵庫県加東警察署に相談し、Aさんは警察からVさんへの接触をしないよう警告を受けていました。
それでも、AさんはVさんへの連絡を続けていたため、ストーカー行為をしたとしてAさんは逮捕されることとなりました。
(フィクションです)

男女関係のもつれからのストーカー行為

交際相手や元交際相手に対する執拗なつきまといや連絡は、法律で規制される「ストーカー行為」に該当する可能性があります。
一昔前までは、警察も男女関係のもつれについては積極的に介入することはしませんでしたが、ストーカー行為から殺人事件に発展したケースもあり、近年では警察も積極的にストーカー事件やDV事件といった男女関係のもつれから端を発する事件に介入するようになりました。

ストーカー行為については、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下、「ストーカー規制法」という。)で規制されています。
ストーカー規制法では、以下のように罰則を設けています。

第十三条 ストーカー行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第十四条 禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反して
ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、
ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。
第十五条 前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、五十万円以下の罰金
に処する。

つまり、罰則の対象は、
(1)ストーカー行為をした者。
(2)禁止命令等に違反してストーカー行為をした者。
(3)禁止命令等に違反してつきまとい等をし、ストーカー行為をした者。
(4)禁止命令等に違反した者。
です。

ストーカー行為」というのは、「同一の者に対し、つきまとい等(一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすること」をいいます。(ストーカー規制法第2条2項)
「つきまとい等」というのは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること」をいいます。(同法第2条1項)
①つきまとい、見張り、おしかけ、うろつきなど
②監視していることを知らせる行為
③面会や交際などを要求すること
④乱暴な言動等
⑤無言電話、繰り返しの電話・FA・メール送信等
⑥汚物などの送付
⑦名誉を傷つけること
⑧わいせつな言葉を投げかけたり、わいせつな画像を送りつけたり、インターネット掲示板に掲載するなど

ストーカー被害を受けている被害者から相談があった場合、被害者からの申出があった上で、つきまとい等を行い更に反復してつきまとい等を行うおそれがあると判断すると、警察は加害者に対してつきまとい等をやめるよう「警告」をすることができます。
それでも加害者が 警告を無視し、つきまとい等をし、更に反復して行うおそれがある場合には、公安委員会は、つきまとい等をこれ以上しないよう「禁止命令」を出すことができます。
この禁止命令にも違反し、ストーカー行為をした場合には、上の(2)~(4)に当たることになります。
また、ストーカー行為をした者については、被害者などの告訴により、警告や禁止命令等を経ず、刑罰の対象となります。
ですので、事前に警察からの警告を受けずに、いきなりストーカー規制法違反で逮捕されることも十分にあり得ます。

ストーカー事件では、加害者は被害者の連絡先や住居を知っていることが多いので、被害者との接触を回避するために身体を拘束される可能性は高いと言えるでしょう。

ご家族がストーカー事件で加害者として逮捕されたら、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
ストーカー事件も含めた刑事事件を専門とする弁護士が、連絡をいただいてから24時間以内に逮捕された方と接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

刑事処分と行政処分

2019-07-19

刑事処分と行政処分

刑事処分行政処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡新温泉町に住むAさんは、コンビニでビールとおつまみを買い、駐車場に停めてある自家用車に乗り込みました。
家に帰って一杯やるつもりでビールを購入したのですが、気温も高く喉も乾いていたので、我慢できずに購入したビールを飲んでしまいました。
家まで数百メートルだから大丈夫だろうと思い、そのまま運転を始めたAさんでしたが、一旦停止を怠ったとして、兵庫県美方警察署の警察官に車を停止するよう求められました。
Aさんは、飲酒運転がバレると思い、要求を無視して、警察を振り切り自宅まで辿り着きました。
しかし、すぐに警察はAさん宅にやってきて、道路交通法違反で調べに応じるよう求めました。
Aさんからアルコールの匂いがすることに気づいた警察官は、Aさんの飲酒運転を疑っていますが、Aさんは「家に帰ってから飲んだ」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

交通事件と刑事処分

無免許運転、飲酒運転、人身事故が捜査機関に発覚した場合、刑罰法令に反する行為を行ったとして、刑事責任が問われることになります。
交通事件で問題となる刑罰法令は、刑法、道路交通法、そして自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律です。
以下、交通事件においてよく適用される罪について概観します。

①無免許運転:道路交通法違反

道路交通法第六十四条 
何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

無免許運転禁止違反の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

②飲酒運転:道路交通法違反

道路交通法第六十五条 
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

飲酒運転は、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に分けられます。
「酒気帯び運転」とは、呼気1リットルあたり0.15mg以上、もしくは血液1ミリリットルあたり0.3㎎以上のアルコールを含んで車を運転することです。
一方、「酒酔い運転」は、呼気アルコール濃度は関係なく、アルコールの影響で正常に車を運転できないおそれのある状態をいいます。
「酒気帯び運転」の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金であるのに対して、「酒酔い運転」は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。

③人身事故:過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪

運転者の過失=注意義務違反によって、人に怪我を負わせてしまったり、死亡させてしまった場合には、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」における「過失運転致死傷罪」が適用されます。
過失運転致傷罪の法定刑は、7年以下の懲役または禁錮もしくは100万円以下の罰金です。

アルコールや薬物の影響により正常な運転ができない状態になっているにもかかわらず、車を運転して人を負傷させた場合や人を死なせてしまった場合には、危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。
この場合、人に怪我を負わせた場合には15年以下の懲役、死亡させた場合には1年以上の有期懲役という刑事罰が科される可能性があります。
また、アルコールや薬物の影響により安全な運転に支障がある状態で運転し、人に怪我を負わせた場合には12年以下の懲役、死亡させた場合には15年以下の懲役となります。

以上のように、交通事件を起こすと、罰金や懲役といった刑事処分を受ける可能性があります。

行政処分

交通事件を起こしてしまったら、刑事処分とは別に、行政処分も科されることになります。
公安委員会による免許の停止や取消などの処分です。
無免許運転の違反点数は、25点です。
違反点数は、運転者の過去3年間の交通違反や交通事故に対して付けられた点数のことで、その合計点数が一定の基準に達した場合に、免許の効力の停止や取消しなどの処分がなされます。
過去の行政処分の点数によって免許の再取得できない欠格期間が変わってきますが、過去の行政処分がなかった場合でも、一発で免許取消となり、欠格期間2年です。
また、酒気帯び運転(0.15mg以上0.25mg未満)の違反点数は13点で、過去3年間に交通違反で免許停止や取消を受けていなければ、90日間の免許の停止となります。
酒気帯び運転(0.25mg以上)は25点、酒酔い運転は35点と、どちらも一発で免許取消となります。
行政処分は、行政庁が独自の立場で行いますので、最終的な刑事処分が「不起訴」であっても行政処分の軽減につながるわけではありません。

交通事件を起こし、行政処分のみならず刑事処分の対象となりお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の法律相談無料です。

観護措置がとられたら

2019-07-18

観護措置がとられたら

観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市西区に住むAさん(16歳)は、地元の高校に進学するも、数か月で退学してしまいました。
その後、友人宅で寝泊まりすることが続き、家にもあまり帰らなくなりました。
心配した両親は、Aさんと連絡をとろうと試みますが、一向に応対がありません。
とうとう両親が兵庫県神戸西警察署に相談したところ、県外の警察署で保護されていることが分かりました。
家出中のAさんは、生活費や遊ぶ金欲しさに売春していたということでした。
その後、Aさんは虞犯少年として神戸家庭裁判所に送致されましたが、裁判所からは観護措置をとるとの連絡が入りました。
(フィクションです)

観護措置とは

少年法第17条1項は、以下のように規定しています。

第十七条 家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、次に掲げる観護の措置をとることができる。
一 家庭裁判所調査官の観護に付すること。
二 少年鑑別所に送致すること。

家庭裁判所が、調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りつつ、少年の身体を保護してその安全を図る措置を「観護措置」といいます。
観護措置には、上の規定にあるように、調査官の観護に付する「在宅観護」と、少年鑑別所に送致する「収容観護」とがあります。
実務上は、在宅観護はほとんどとられることはなく、単に「観護措置」という場合、収容観護を指すものとされます。

観護措置の目的及び機能は、大別すると以下の3つであると理解されます。
①少年の逃亡を防止し、調査・審判への出頭を確保するとともに、罪証隠滅を防ぐこと。
②本人自身又は周辺環境に問題がある少年について、保護処分等の終局決定による保護がなされるまでの間、暫定的に身柄を保全することで、その心情の安定・情操の保護を図り、非行性の深化を防止すること。
③少年の身柄を拘束した状態で、行動の観察、心身の鑑別を行うこと。

観護措置がとられる要件は、上記のように「審判を行うため必要があるとき」という抽象的な規定が定められているだけですが、実務上は次のような要件を満たす必要があるとされています。
1.事件の係属
2.審判条件の具備
3.審判に振るべき事由についての嫌疑の存在
4.審判を行う蓋然性
5.観護措置の必要性
上の5については、観護措置の目的・機能に対応し、以下のような要件が必要と理解されています。
(ア)審判・調査・法定執行のための身柄拘束が必要である。
(イ)少年が緊急の保護を要する状態にあること。
(ウ)少年を収容して鑑別をする必要があること。

上記ケースを検討すると、Aさんは虞犯少年として事件が神戸家庭裁判所に係属しています。
仮に観護措置の要件である1~4は既に満たしているとします。
そこで、家庭裁判所は観護措置の必要性について判断することになります。
(ア)Aさんは、警察に保護される前に家に寄りつかず家出をしていましたので、再度家出をする可能性も否定できず、逃亡のおそれという観点から、身柄拘束が必要であると判断されるでしょう。
(イ)家庭環境が劣悪、自傷自殺のおそれがある、反社会的集団の影響により審判までに非行性が進化するおそれがあると考えられる場合ですが、上記ケースではそこまでの緊急性はありません。
(ウ)少年の非行は、少年の資質的な問題のみならず、少年を取り巻く環境が複雑に絡み合って引き起こされたものであり、非行に及んだ少年の健全育成を期するためより適切な措置をとるには、その前提として、少年の心身の状態を可能な限り正確に把握する必要があります。
虞犯少年は、その要件として、保護者による保護が実効性を有していなかったり、環境的な要因が認められたり、少年の性格的問題性が存在していることが前提として、今後少年が犯罪に及ぶ蓋然性があるとされており、虞犯少年は要保護性が高い少年を対象とするものであるから、心身鑑別の必要性は高いと言えます。

ですので、Aさんのように、犯罪を起こしたわけではないが虞犯少年として家庭裁判所に送致された場合、その後観護措置がとられる可能性は高いのです。

観護措置がとられることにより、1か月ほど少年鑑別所に収容され、身体拘束を受けることになりますので、それによって少年が被る不利益もあります。
しかし、少年鑑別所でしっかりと専門家による心身鑑別を受けることにより、少年の更生に資することや、非行の要因になった環境から切り離された場にいることで、しっかりと自分を向き合うことができるといったメリットもあります。

少年の更生に向けて最善の方法を見つけるために、少年事件に精通する弁護士にご相談されてみてはいかがでしょう。
お子様が家庭裁判所に送致され、観護措置をとられた・とられそうだとお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

刑事裁判と被害者参加

2019-07-17

刑事裁判と被害者参加

刑事裁判被害者参加について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
酒に酔った状態の女性Vさんが抵抗できないことを利用し、わいせつな行為を行い怪我を負わせたとして、Aさんは兵庫県伊丹警察署に準強制性交等致傷の容疑で逮捕されました。
逮捕・勾留後に同罪で起訴されましたが、弁護人を通じて被害者であるVさんが被害者参加制度を利用する予定であることを知りました。
裁判員裁判かつ被害者参加が予定されており、通常の刑事裁判とは異なる点も多く、Aさんは弁護人と入念な打ち合わせを重ねて裁判に臨みたいと思っています。
(フィクションです)

刑事裁判について

あなたがある罪を犯し、警察などの捜査機関に逮捕されたとしましょう。
検察・警察の捜査終了後に、担当の検察官があなたを起訴するか否かを判断します。
検察官による起訴は、正式起訴と略式起訴の2種類があります。
「略式起訴」というのは、刑事裁判の正式な手続きを踏まずに、検察官からの提出書類に基づいて処罰を決定するものです。
一方、「正式起訴」とは、検察官が裁判所に対して起訴状を提出し、審理を求めるものです。

刑事裁判の当事者は、検察官と被告人・弁護人です。
裁判官は、当事者から提出された証拠に基づいて、検察官が起訴状で示した起訴事実が合理的な疑いを超えて立証されたか否かを判断します。

通常の刑事裁判では、検察官、被告人および弁護人、裁判官が主要な役割を果たすことになります。
しかし、ある一定の重大な刑事事件は裁判員制度の対象となります。
裁判員裁判では、被告人が無罪か有罪か、有罪である場合にはどのような量刑を科すべきかについて、裁判官だけではなく、国民から選ばれた裁判員と共に決定されます。
通常の刑事裁判では、裁判官が一人の場合、合議体で三人の場合がありますが、裁判員裁判となれば、法廷の裁判官席には9名ものジャッジが当事者の主張に耳を傾けることになるのです。

被害者参加制度について

さて、それでは犯罪被害者は、刑事裁判において如何なる役割を担うのでしょうか。

従来、刑事裁判において、犯罪被害者は、起訴事実を証明する証拠である「証人」としての役割のみを担ってきました。
しかし、90年代より犯罪被害者の権利実現に向けた動きが大きくなり、2018年にはある一定の犯罪被害者等が刑事裁判に参加することができる「被害者参加制度」が導入されました。
参加の申出をすることができるのは、以下の事件の犯罪被害者本人や法定代理人、犯罪被害者本人が亡くなった場合や心身に重大な故障がある場合の犯罪被害者の配偶者、直系親族、兄弟姉妹です。
①殺人、傷害などの故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
②強制わいせつ、強制性交等などの罪
③逮捕および監禁の罪
④略取、誘拐、人身売買の罪
⑤上の②~④の犯罪行為を含む他の犯罪
⑥過失運転致傷などの罪
⑦上の①~⑤の未遂罪

被害者参加制度の利用は、検察官に対して申し出ます。
申出を受けた検察官は、裁判所に通知し、裁判所は被告人または弁護人の意見を聴いた上で、犯罪の性質、被告人との関係といった事情を考慮し、相当と認める場合には犯罪被害者等の参加を許可します。
参加が認められた被害者は、「被害者参加人」と呼ばれます。

被害者参加人またはその委託を受けた弁護士は、
・公判期日への出席
・検察官の権限行使に関して意見を述べ、説明を受ける
・情状に関する事項についての証人尋問
・被告人質問
・事実関係や法律の適用についての意見陳述
を行うことができます。

被害者またはその代理人が刑事裁判に参加することで、被害者に配慮した審理の進行が求められます。
しかし、被告人の不利益になるような参加形態についてはしっかりと意見しなければなりません。
また、裁判員裁判では、裁判員が被害者参加人等の意見や主張に重きを置き、量刑に影響を与えることも懸念されます。
被害者参加人等が参加する裁判員裁判では、過剰に被害者よりの判断とならぬよう、慎重に審理を進めることが重要です。
そのような弁護は、刑事裁判に豊富な経験を持つ弁護士に任せましょう。

刑事事件でお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

詐欺罪と業務上横領罪

2019-07-16

詐欺罪と業務上横領罪

詐欺罪業務上横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、兵庫県宍粟市にある会社の経理課長です。
普段から会社の預金通帳や取引印は、Aさんが保管していました。
Aさんは、消費者金融に返済するため、架空の取引伝票を起票し、会社の経理部長に対し、この架空の取引伝票を見せて現金支出の決裁を受けていました。
部長の決裁を受け、Aさんは預金通帳や取引印を用いて、決裁を受けた現金を引き出し、現金を自分の物にしていました。
Aさんが自己都合により退職した後に、Aさんの行為が発覚し、会社から全額返済する旨の連絡を受けました。
返済できなければ兵庫県宍粟警察署に被害届を提出すると言っており、Aさんは自分の行為が何罪に当たるのか、できれば事件化することなく穏便に解決したいと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

詐欺罪か?業務上横領罪か?

上記ケースでは、Aさんは会社のお金を扱う経理担当者です。
しかし、社内ルールでは、Aさんの上司である経理部長の決裁がなければ請求金額を支払うことができません。
この場合、Aさんは経理部長を騙して会社の現金を引き出し、自分の物にしており、詐欺的手段を用いて横領しているので、この行為は詐欺罪となるのか、それとも横領罪になるのか、という問題が生じます。

それでは、まず詐欺罪業務上横領罪がどのような罪であるのかみていきましょう。

詐欺罪

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は、①人を欺いて財物を交付させた場合(1項詐欺)、および②人を欺いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合(2項詐欺)に成立する罪です。
詐欺罪が成立するためには、「人を欺く行為」をし、それにより「相手方が錯誤に陥り」、「物や財産上の利益が交付され」、「物や財産上の利益が移転する」といった一連の流れがあることが必要となります。

業務上横領罪

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、業務上の委託に基づき自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する罪です。
業務上横領罪における「業務」とは、委託を受けて物を管理することを内容とする事務のことをいいます。
典型例は、経理など会社のお金の出し入れを担当している人が、会社のお金をくすねた場合には、業務上横領罪となります。
一方、そのような地位にない社員が会社の金庫に保管していたお金を勝手にとった場合には、業務上横領罪ではなく窃盗罪となります。

さて、上記ケースでは、詐欺罪業務上横領罪のどちらが成立し得るのでしょうか。

詐欺罪横領罪は、客体の「占有が行為者にあるか否か」が分かれ目のポイントです。
詐欺罪が、「他人の占有する他人の財物」を欺く行為により取得する罪であるのに対して、横領罪は、「自己の占有する他人の財物」を自分の物とする罪です。
よって、両者の違いは、「目的となる財物の占有が行為者にあるか他人にあるか」という点です。
ですので、財物を自己の物とするに当たり、詐欺的手法が用いられていたのであっても、当該財物の占有が行為者にあれば横領罪となり、その財物の占有が他人にあり、自己の者とするに当たり詐欺的手法が用いられたのであれば、欺く行為により財物の占有を取得したものとして詐欺罪となる、というわけです。

Aさんは、会社の経理課長で、普段から会社の預金通帳や取引印を保管しています。
預金から引き出した現金はAさん自ら保管=占有していました。
Aさんは、その現金を自分の物とするために、会社にルールに従い架空の取引伝票を上司に見せて決裁を得たにすぎず、Aさんに対しては業務上横領罪が成立すると考えられます。

業務上横領事件では、会社も横領した額を回収したいと考えているので、ちきんと被害弁償をすれば、刑事事件として警察に相談しないケースも少なくありません。
事件化する前に、被害者に被害弁償を行い示談をすることが、事件を早期に解決する有効な手段です。

業務上横領事件で会社に発覚し対応にお困りの方は、一度刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談されてみてはいかがでしょう。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

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