Archive for the ‘未分類’ Category
少年事件の捜査段階における弁護活動
少年事件の捜査段階における弁護活動
少年事件の捜査段階における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県高砂市にある駅構内の階段で女子高生のスカート内を盗撮したとして、高校2年生のAくんは目撃者によって駅員室に連れて行かれました。
その後、通報を受けて駆け付けた兵庫県高砂警察署の警察官に、警察署に連れて行かれましたが、その日の夜にAくんの両親が迎えにきて釈放となりました。
警察からは「また連絡します。」と言われており、今後どのように対応すればよいか分からず、翌日少年事件に強い弁護士のもとに相談に訪れました。
(フィクションです)
少年が事件を起こしたら
20歳未満の少年が刑罰法令に触れる行為を行った場合、少年法に基づいた手続に沿って事件が処理されることになります。
しかし、事件が家庭裁判所に送致される以前の捜査段階においては、成人の刑事事件とほぼ同様に刑事訴訟法に沿って進みます。
(ただし、14歳未満の者に対しては刑事責任は問われませんので、これらの者については異なります。)
警察官による職務質問や所持品検査、自動車検問、現行犯逮捕、自首、告訴、告発、被害届などを発端として警察などの捜査機関は捜査を開始します。
盗撮事件の場合には、現行犯逮捕や被害届により事件が警察に発覚することが多くなっています。
逮捕された場合
盗撮行為を行い逮捕されてしまった場合、警察は逮捕から48時間以内に被疑者を検察に送致するか、それとも釈放するかを決めます。
盗撮はスマートフォンで行われることが多く、スマートフォンを既に押収しており、被害者も容疑を認めており身元引受人もしっかりしている場合には、逃亡や罪証隠滅のおそれがないとして48時間以内に釈放となることが多いようです。
他方、容疑を否認している、余罪も多く疑われる、身元引受人がいないなどであれば、検察に送致される可能性も充分にあります。
検察に送致されると、検察官は少年を勾留する必要があると判断した際には、裁判所に対して勾留請求または勾留に代わる観護措置を請求します。
勾留に代わる観護措置は、少年法に規定されており、勾留場所を少年鑑別所とし、勾留期間も10日間と勾留と違って延長はできません。
検察官からの勾留請求または勾留に代わる観護措置の請求を受けた裁判官は、当該少年を勾留または勾留に代わる観護措置をとるか否かを判断します。
勾留が決定すれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となり、勾留に代わる観護措置がとられれば10日間の身体拘束を余儀なくされます。
捜査段階での弁護活動
逮捕される前であれば、相談において刑事処分の見通しや対処方法をアドバイスしたり、取調べ対応を指示する、出頭や取調べなどへ同行するなどします。
逮捕されてしまった場合には、少年との小まめに接見し取調べについて綿密に打ち合わせを行い、釈放に向けた活動を行います。
接見禁止が付いている場合には、ご家族との面会が可能となるよう一部解除に向けて動きます。
さらに、被害者がいる事件では、被害者との示談交渉を迅速に行うなど、事件の早期解決や後の審判でも有利に考慮されるよう努めます。
加えて、少年事件では要保護性の解消も審判の審理対象となりますので、少年の資質や事件内容に応じて適切な環境調整をご家族や学校・職場と協力して捜査段階から行います。
お子様が事件を起こし突然逮捕されてしまったら、お子様ご本人もご家族も今後の流れや最終的な処分について不安を抱かれることでしょう。
少年の場合には、成人の刑事事件とは異なる手続がとられることもあり、少年事件に特有の対応を迫られることもあります。
そんなときには、刑事事件にも少年事件にも精通する弁護士にご相談・ご依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
事務所設立以来、数多くの少年事件を取り扱ってまいりました。
その豊富な経験から得たノウハウと活かし、迅速かつ適切な弁護活動をご提供いたします。
お子様が事件を起こした、逮捕された、家庭裁判所に送致されたとご対応にお悩みの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
専門のスタッフが事件概要を伺った上で、無料法律相談もしくは初回接見サービスをご案内させていただきます。
逃走犯と逃走の罪
逃走犯と逃走の罪
逃走犯と逃走の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
窃盗罪などで実刑が確定し、横浜地方検察庁の検察事務官や横浜県警察の警察官らが受刑者宅を訪れた際、受刑者が自宅から車で逃走するといった事件が23日に起こったことは、ニュースでも大々的に報じされましたので、みなさまもご存知のことでしょう。
また、昨年の8月には、強制性交等未遂容疑などで逮捕・勾留されていた被疑者が、大阪府警察富田林警察署の留置場から逃亡した事件もありました。
これらの逃走犯すべてが、刑法に規定されている「逃走の罪」に問われるのではないかと思われた方も少なくはないのではないでしょうか。
しかし、前者の逃走犯に対しては「公務執行妨害罪」が、後者の逃走犯に対しては、「加重逃走罪」に問われています。
なぜ、両者に対して「逃走の罪」が適用されていないのでしょうか。
逃走の罪について
刑法に規定されている「逃走の罪」は、以下の犯罪類型に分けられます。
①被拘禁者自身の逃走行為を罰する類型
(a)単純逃走罪(刑法第97条)
(b)加重逃走罪(同法第98条)
②他者が被拘禁者を逃走させる行為を罰する類型
(c)被拘禁者奪取罪(刑法第99条)
(d)逃走援助罪(同法第100条)
(e)看守者等逃走援助罪(同法第101条)
今回は、被拘禁者自身が逃走する行為についての罪である(a)と(b)についてみていきましょう。
単純逃走罪
第九十七条 裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。
本罪の主体は、「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」です。
「裁判の執行により」とあるので、逮捕状により、ないしは現行犯人として逮捕された者は主体から除外されます。
裁判の執行により拘禁された「既決の者」というのは、確定判決によって、刑事施設に拘禁されている者をいいます。
また、裁判の執行により拘禁された「未決の者」とは、勾留状によって、刑事施設または警察留置場に拘禁されている被告人・被疑者のことを指します。
本罪の対象となる被拘禁者の範囲をまとめると、以下のとおりです。
①確定裁判を受け、それによって拘禁されている者。
②死刑の執行まで拘置されている者、労役場に留置されている者も含まれる。
③被疑者または被告人として勾留状により拘禁されている者。
④鑑定留置に付されている者。
この点、横浜の逃走犯は、確定判決を受けていましたが、保釈により身柄の拘束を受けておらず、拘禁された者には当たりませんので、本罪の主体とはならず、本罪は適用されないのです。
ちなみに、本罪の行為である「逃走」とは、「拘禁から離脱すること」を意味します。
刑事施設等の外へ脱出するなど、一時的であれ完全に看守者の実力的支配を脱した時点で既遂となります。
加重逃走罪
第九十八条 前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
本罪の主体は、単純逃走罪のそれよりも範囲が広くなっており、裁判の執行により拘禁された既決もしくは未決の者、または勾引状の執行を受けた者です。
「勾引状の執行を受けた者」については、勾引状は一定の場所で身体の自由を拘束する令状を広く指すと理解されているので、逮捕状により逮捕された被疑者も含まれます。
また、一定の場所に引致するために発せられる勾引状の執行を受けた被告人、身体検査の対象者、証人なども含まれます。
本罪の行為は、①「拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し」、「暴行若しくは脅迫をし」、または「2人以上通謀して」、②「逃亡」することです。
・手段1:拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊
「拘禁場」というのは、刑事施設や警察留置場などの拘禁の用に供される施設のことで、「拘束のための器具」というのは、拘束衣、手 錠および捕縄といった被拘禁者の身体を拘束する器 具です。これらを物理的に毀損することを「損壊」といいます。
・手段2:暴行若しくは脅迫
逃走の手段として、看守者またはこれに協力する者に対してなされることが必要とされます。
・手段3:2人以上通謀して
2人以上の既決または未決の者、または拘引状の執行を受けた者が意思の連絡を取り合い合意することを要します。
富田林の逃走犯は、勾留中の被疑者でしたので、本罪の主体に該当します。
また、接見室のアクリル板を外して警察留置場から逃走したので、拘禁場を損壊して逃亡したため、加重逃走罪が適用されました。
ご家族が刑事事件の被疑者・被告人として身体拘束を受けてお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件専門の弁護士が、直接拘禁されている方のもとへ赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
値札詐欺で逮捕
値札詐欺で逮捕
値札詐欺での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加古郡播磨町にあるディスカウントストアに訪れた一組の男女。
女性客Aは、スポーツブランドの帽子やシャンプーなどをレジで購入しようとしていましたが、防止に付けられていた値札の表示が760円となっており、定価の5400円を大きく下回る価格となっていたことにレジを担当していた店員が気づきました。
値札の価格が本来の価格とは異なることを女性客Aに説明したところ、連れの男性客Bが「そっちの間違いやないか!」といって店を出ていきました。
その後、店員が店長と防犯カメラの映像を確認したところ、女性客Aが防止を手に取りこそこそと作業している様子、そして男性客Bが店員を確認している様子が映っていたので、すぐに兵庫県加古川警察署に通報しました。
AとBは詐欺容疑で逮捕され、店のメンバーズカードの購入履歴から他にも値札を付け替えて商品を購入したことが発覚しています。
(フィクションです)
値札を付け替えてレジで精算する行為は詐欺罪
支払いを済ませずに店の商品を持ち去る「万引き」行為は、窃盗罪に当たります。
一方、もともと付いている値札を他の商品のものと勝手に交換したり、割引シールを貼り替えて安く商品を購入する行為は、詐欺罪に当たる可能性があります。
詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件は、以下の通りです。
【1項】①人を欺いて
②財物を
③交付させたこと
【2項】①人を欺いて
②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと
ここでは、1項詐欺について説明したいきます。
1.客体
詐欺罪の客体は、「他人の財物」、つまり、自然人と法人とを含めた他人の占有する他人の動産および不動産です。
上記ケースでは、本来よりも安く購入しようとした店の商品が客体となりますが、これは客が購入する前は店の所有物ですので、他人の財物に当たります。
2.行為
「人を欺いて財物を交付させること」が詐欺罪(1項詐欺)の行為となります。
つまり、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生ずることが必要となり、①~⑤が客観的に相当因果関係にあることが必要となります。
①欺く行為
「欺いて」とは、一般人として財物・財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
②錯誤
錯誤は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであれば足り、法律行為の要素の錯誤であるか動機の錯誤であるかを問いません。
③処分行為
「財物を交付させ」るというのは、相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することです。
この処分行為には、財産処分の意思と、財産を処分する事実とが必要となります。
幼児や高度の精神病者などは、財産を処分する意思をまったく有さないので、これらによる財産的処分行為は認められません。
④財物の移転
財物の移転とは、財物の占有が移転することをいいます。
⑤財産的損害
詐欺罪は財産罪であるので、成立要件として被害者に何等かの財産的損害が生じたことが必要となります。
さて、値札を付け替えて商品を購入する行為について検討してみましょう。
本来付いていた値札を、より安い値段で売られている他の商品の値札と付け替え(①)、レジ担当者は、あたかも購入しようとする商品の値段が付け替えた値札に記されている値段であるかのように勘違いさせています(②)。
レジ担当者は、その値段が正しいと思い、そのままの値段で商品を客に渡します(③、④)。
客は、本来の値段より安く商品を購入したことになるので、店としても利益を損なったことになります(⑤)。
よって、上記ケースのように安い商品の値札を買いたい商品の値札と交換し、当該商品を購入する行為は、詐欺罪に当たる、というわけです。
「ちょっとでも安く物を買いたい!」と思う気持ちは理解できますが、店員を騙してまで安く物を購入したとしても、詐欺罪で逮捕されてしまうと元も子もありません。
ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで。
チケット不正転売禁止法が6月14日施行
チケット不正転売禁止法が6月14日施行
チケット不正転売禁止法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
某人気アイドルのコンサートチケットをオークションサイトでファンクラブ価格7,500円のところ5万円で転売したとして兵庫県尼崎東警察署は、無職のAさんをチケット不正転売禁止法違反の容疑で逮捕しました。
Aさんは、「業として行っていない」と容疑を否認しています。
(フィクションです)
チケットの転売行為で成立し得る犯罪とは?
人気歌手やアイドルのコンサートチケットは、ファンクラブ会員であってもそう簡単に入手することはできません。
ですが、熱烈なファンであれば、何とか手に入れたいと思うものでしょう。
一昔前であれば、コンサート会場の周囲で、チケットを転売する、いわゆる「ダフ屋行為」が頻繁に見受けられていたようですが、ネットが普及した近年では、ネットオークションや転売サイト、SNSなどを通じて個人間で転売されるケースが多くなっているようです。
しかし、「自分が行くために買ったけど、用事で行けなくなってしまったから、他の人に譲ろう」といった理由ではなく、もともと原価よりも高値でチケットを他人に有償で譲り渡し利益を得ようと企み、チケットを購入する人間が少なからずいるのです。
転売目的でチケットが大量に購入され、本当のファンがチケットを入手することが非常に困難となることで、ファンからは不正転売行為の取り締まりを求める声が上がっていました。
では、チケットの転売行為はどのような犯罪となるのでしょうか。
1.迷惑防止条例違反
「兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(以下、「迷惑防止条例」という。)は、「公共の場でのチケット等の不正転売行為」を禁止しています。
第5条 何人も、入場券、観覧券その他の公共の娯楽施設を利用することができる権利を証する物又は乗車券、急行券、指定券、寝台券、乗船券その他の公共の乗物を利用することができる権利を証する物で発売数が制限されているもの(以下「入場券等」という。)を不特定の者に転売するため、又は不特定の者に転売しようとする者に交付するため、公共の場所(入場券等を公衆に発売する場所を含む。次項において同じ。)又は公共の乗物において、入場券等を、買い、又は人に立ちふさがり、付きまとい、若しくは呼び掛け、ビラその他の文書若しくは図画を配り、若しくは掲示し、若しくは公衆の列に加わって買おうとしてはならない。
2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、転売するために得た入場券等を不特定の者に、売り、又は人に立ちふさがり、付きまとい、若しくは呼び掛け、ビラその他の文書若しくは図画を配り、若しくは掲示し、若しくは入場券等を展示し、若しくは提示して売ろうとしてはならない。
ここでは、不特定多数の者への転売目的で公共の場や乗物で入場券等を購入するなどの行為や、不特定多数の者に対して公共の場で入場券等を転売することが禁じられています。
典型例としては、会場付近でチケットを転売しようと人に声をかける行為が挙げられます。
迷惑防止条例では、「公共の場」における転売行為を禁止対象とているのでネット上でのやり取りは除外されます。
2.チケット不正転売禁止法違反
チケット不正転売禁止法は、特定興行入場券の不正転売を禁止し、違反行為に対しての罰則が設けられています。
今年の6月14日から施行されました。
第三条 何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。
第四条 何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。
違反者は「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」(第9条第1項)する。
「特定興行入場券の不正転売」は、第2条4項において、「興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの」と定義されています。
つまり、3条違反となるには、「業として」「コンサートの主催者が設定するチケット価格を上回る価格で」チケットを他人に売ったことが必要となります。
「業として」に該当するには、「反復継続の意思をもって行う」ことが必要であり、利益を上げようと不正転売を繰り返すケースのみならず、反復継続の意思があることが明らかであれば1回の不正転売行為でも該当する可能性があります。
このように、個人であっても、チケットの不正転売に該当するとチケットの不正転売禁止法違反となり、捜査機関に逮捕される可能性もあるのです。
新たに施行された法律ですが、自分の行為もチケット不正転売禁止法違反にあたるのか心配されているのであれば、刑事事件専門の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
豊富な経験と知識に基づいた迅速かつ適切な弁護活動をご提供いたします。
保釈制度について
保釈制度について
保釈制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
覚せい剤取締法違反の疑いで兵庫県須磨警察署に逮捕されたAさんは、その後、窃盗、傷害でも再逮捕されました。
Aさんは、覚せい剤取締法違反、窃盗、傷害で神戸地方検察庁に起訴されました。
第一審では、神戸地方裁判所は懲役18年9月の実刑判決を言い渡しましたが、Aさんは控訴し、その後保釈されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
保釈制度
控訴審中に保釈されていた実刑確定者が収監に抵抗して刃物を持ったまま逃走するという事件が起きたことは、ニュースでも大々的に報じられていますので、多くの方がご存知のことと思います。
この事件を契機に、保釈制度について注目が集まっているようです。
そこで、今回のブログでは保釈制度について説明してみたいと思います。
保釈って何?
「保釈」というのは、一定額の保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判とその執行のことをいいます。
さて、保釈によってその執行を停止する「勾留」についてはご存知でしょうか。
勾留は、被疑者または被告人を拘禁(身柄を拘束)する裁判およびその執行のことです。
逮捕から48時間以内に警察は被疑者を釈放するか検察へ送致するかを決定します。
警察から検察へと被疑者の身柄が送致されると、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、釈放するか裁判所に対して勾留請求をするかを決めます。
検察官からの勾留請求を受けて、裁判官は被疑者を勾留するか否かを判断し、勾留決定を行います。
勾留期間は、検察官が勾留請求した日から原則で10日間、延長が認められれば最長で20日間の身体拘束となります。
これは、起訴前の勾留であり、「被疑者勾留」と呼ばれます。
検察官は、勾留期間中に被疑者を起訴するか否かを判断します。
検察官が被疑者を起訴すると、その段階から被疑者は「被告人」という立場になります。
起訴後の勾留を「被告人勾留」といいます。
被疑者段階で検察官の請求により勾留されていた者が、勾留期間中に同一の犯罪事実について起訴された場合には、起訴と同時に被疑者勾留は、自動的に被告人勾留に切り替わります。
被告人勾留の期間は、公訴の提起があった日から2か月とされており、特に必要がある場合は1か月ごとに更新されます。
長期間の身体拘束は、被告人に大きな影響を及ぼすことは容易に想像できるでしょう。
被疑者勾留は保釈が認められませんが、被告人勾留については保釈が認められます。
ですので、検察官が公判請求した場合には、すぐに保釈請求を行い、身柄解放に向けて動く必要があります。
保釈保証金っていくらになるの?
保釈保証金を預ける代わりに身体拘束をとくのが「保釈」ですので、裁判官・裁判所が保釈を許可したとしても、保釈保証金を納付しなければ被告人は釈放されません。
保釈保証金の額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性格や資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な額でなければなりません。
重大な犯罪を行い実刑が見込まれる場合には、逃亡を防止するため保釈保証金額が高くなりますし、被告人の経済力から高額でなければ逃亡を躊躇させる抑止力としての効果は望めませんので、その場合も高額となります。
しかし、そのような事情がない場合、一般的な相場は150~200万円となっています。
保釈はいつからいつまで?
先述したように、検察官が公判請求した時点から保釈請求を行うことはできます。
保釈請求書を提出後、裁判官・裁判所は、検察官からの意見を聴いた上で判断を下します。
その後、許可がでれば、許可書を受領し、裁判所の出納係に保釈保証金を納め、検察官が釈放指揮をとってから被告人が釈放されるという流れになります。
判決期日に実刑判決が言い渡されると、保釈は失効し、判決後すぐに身柄が拘束されることになります。
しかし、一審判決後に再度保釈請求をし、認められた上で保釈保証金を納めれば再び釈放されることは可能です。
保釈中に逃亡したら?
保釈保証金は、没収されなければ判決後に返還されます。
保釈保証金が没収される場合とは、①保釈が取り消されたとき、そして②刑の言渡しを受け、その判決が確定した後に、執行のために呼び出しを受けても正当な理由なく出頭しないときや逃亡したとき、です。
刑が言い渡される前に逃亡した場合にも、保釈が取り消される可能性がありますので、保釈後に被告人や受刑者が逃亡すれば、保釈は取り消され、保釈保証金が没収されるということになります。
刑事事件でご家族が逮捕・勾留され、保釈による身柄解放をお望みであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
刑罰の種類と刑の執行猶予
刑罰の種類と刑の執行猶予
刑罰の種類と刑の執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県朝来市にあるドラッグストラで商品を5点(計1万円相当)を万引きしたとして、警備員に現行犯逮捕されたAさん。
実は、Aさんには同種の前科前歴があり、直近では3年ほど前に懲役6月執行猶予3年の判決が言い渡されており、犯行時は執行猶予期間中でした。
また、5年前には罰金20万円の刑を受けており、こんどばかりは実刑となるだろうと警察から言われているAさんは、不安で仕方ありません。
(フィクションです)
刑罰の種類
刑罰は、犯罪に対する反作用であり、犯罪を行った者に対して科される制裁であるとされます。刑法および特別刑法において「刑」とされる刑罰は、刑法第9条に定められる主刑または付加刑としての7種類の刑を指します。
第九条 死刑、懲役、禁錮こ、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。
「主刑」とは、独立に科し言い渡すことができる刑罰をいい、「付加刑」とは、主刑に付加してのみ科し言い渡すことができる刑罰をいいます。
刑罰を科せられることによって受刑者がはく奪される法益という観点から、刑罰を種類分けすると、次のように分けられます。
①生命刑:受刑者の生命を剥奪する刑罰(死刑)
現行法上最も重い究極の刑罰です。
死刑は、刑事施設内において、絞首して執行されます。
②自由刑:受刑者の自由を剥奪する刑罰(懲役刑、禁錮刑、拘留刑)
(a)懲役…懲役は、最も主要な刑罰ですが、死刑に次ぐ重い刑罰となっています。
「所定の作業を行わせる」点で禁錮や拘留とは異なります。
無期及び有期の場合があり、有期は1月以上20年以下とされています。
ただし、有期懲役を加重減軽する場合には、30年にまで引き上げることができ、1月未満に引き下げることができます。
(b)禁錮…所定の作業がない点で懲役と異なりますが、希望により許可されることもあります。
(c)拘留…30日未満の短期自由刑で、軽微な犯罪に対する刑として定められています。
③財産刑:受刑者から一定額の財産を剥奪する刑罰(罰金刑、科料刑、没収)
(a)罰金…1万円以上の財産刑です。
(b)科料…千円以上1万円未満の軽微な財産刑で、軽微な犯罪に対する刑として定められています。
罰金・科料を完納することができない場合には、労役場に留置されます。
(c)没収…上の主刑に付加して科される財産刑で、物の所有権を剥奪して、国庫に帰属させる処分をいいます。
没収の対象となるのは、以下のものです。
・偽造通貨行使罪における偽造通貨など、犯罪行為を組成した物
・殺人に使用された凶器であるナイフなど、犯罪行為のために用い、又は用いようとした物
・通貨偽造罪における偽造通貨など、犯罪行為によって生じた物、又は賭博によって得た金銭など、犯罪行為によって得た物、 犯罪行為の報酬として得た物
・犯罪行為によって生じた物、犯罪行為によって得た物、犯罪行為の報酬として得た物の対価として得た物
没収は、その物が共犯者を含む犯人以外の者に帰属しない場合に限り許可されます。
検察官に起訴され、有罪となった場合、必ずしも言い渡された刑罰がすぐに執行されるわけではありません。
執行猶予
執行猶予とは、一定の期間他の刑事事件を起こさないことを条件として、刑の執行を猶予する制度をいいます。
執行猶予付きの判決が言い渡された場合、すぐに刑務所に行くことはなく、執行猶予期間中に無事に経過すれば、裁判官から言い渡された刑罰を実際に受けなくて済むのです。
執行猶予の対象となる要件は、
①前に禁固以上の刑に処せられたことがない者、
②前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者
について、3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金を言い渡す場合となります。
しかし、以上の要件は執行猶予の対象となる要件であり、執行猶予を付けるか否かは、裁判官が決めます。
上の要件を満たしており、かつ、「本人が反省している」「犯罪が悪質でない」「執行猶予を付しても再犯のおそれがない」といった情状が考慮され、執行猶予を付けるか否かを判断します。
この執行猶予期間中に罪を犯した場合に、もう一度執行猶予となる可能性もあります。
再度の執行猶予の要件は、以下の通りです。
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間中に更に罪を犯した場合には、執行を猶予することはできません。
②1年以下の懲役または禁錮の言い渡しをする場合であること。
初度の場合と異なり、罰金刑の言い渡しを受けたときは執行を猶予することはできません。
③情状が特に酌量すべきものであること。
要件に「特に酌むべき事情」があるように、再度の執行猶予となるのはそう簡単なことではありません。
刑事事件専門の弁護士に、刑務所への収容よりも社会内処遇がより被告人にとって更生に資することを説得的に裁判官に主張してもらう必要があります。
刑事事件でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
児童虐待で逮捕
児童虐待で逮捕
児童虐待での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
数年前に妻と離婚し、それ以来男手一つで3人の子供を育ててきたAさん。
しかし、子供が言いつけを守らない時には手を挙げることもしばしばありました。
ある時、子供Vくんが反抗的な態度に出たことに腹を立てたAさんは、Vくんの頬を思いっきり拳で2~3発殴ってしまい、Vくんの顔にあざが出来てしまいました。
翌日、Vくんの顔のあざに気づいた学校の先生が、校長に報告し、学校から児童相談所に報告が行くことになりました。
Vくんは児童相談所に一時保護されており、児童相談所から連絡を受けたAさんは警察に逮捕されるのではないかと不安です。
(フィクションです)
児童虐待は犯罪か?
保護者が、子供に対してしつけと称して手を挙げてしまった場合、その行為は犯罪に当たるのでしょうか。
まず、「児童虐待」とは何か?という点ですが、これについては児童虐待の防止等に関する法律(以下、「児童虐待防止法」といいます。)第2条に定義されています。
第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
子供に対し身体的な暴力を加えることは、上の第1号に該当することになります。
児童虐待防止法は、その第3条において、児童に対する虐待を禁止しています。
しかし、児童虐待防止法は、児童虐待をした者に対する罰則を設けていません。
刑事手続では無罪推定原則があること、そして、逮捕・勾留、裁判、刑罰執行という事態が、子供の実際の監護養育にとってかえって好ましくない場合もあるので、児童虐待に該当するすべての行為に対して刑事的対応がなされるわけではありません。
一方、児童虐待防止法は、「児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。」と14条2項において明記しています。
身体的虐待の場合、子供を殴る行為は暴行罪、それにより怪我をさせた場合は傷害罪、さらに子供を死亡させてしまった場合には傷害致死罪または殺人罪の刑事責任が問われる可能性があります。
児童虐待ではなくしつけであったとの主張が多くなされていますが、親権者の懲戒権との関係について判示した裁判例に以下のものがあります。
9歳の子供の両手を針金で縛り押入内に入れて、トイレや食事以外を除く10数時間も継続して閉じ込めて放置したという事案において、親権者からの懲戒権の行使であるとの主張に対して、「到底一般社会人の首肯できる妥当な懲戒行為としては認められず、即ち正当な懲戒権行使の限度を超えたもの」として、逮捕監禁罪の成立を認めました。(東京高判昭35・2・13)
しつけと児童虐待との明確な線引きというのは、そう容易ではありませんが、一般的に懲戒権行使の範囲を超える行為をみなされると虐待行為として刑事的責任が問われることになります。
児童虐待で逮捕される可能性は?
児童虐待で警察に通報された場合、逮捕される可能性は高くなっています。
被害者である子供が児童相談所に保護されている場合であっても、その他の家族と共謀して罪証隠滅を図るおそれがあると判断されるためです。
逮捕されたら、原則、逮捕から勾留までの間は家族であっても逮捕された方と面会することは認められません。
ご家族が児童虐待で逮捕されたら、すぐに弁護士に接見を依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご依頼から24時間以内に逮捕された方のもとに赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
少年と援助交際
少年と援助交際
少年と援助交際について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県南あわじ市に住む中学生のAさん(15歳)の母親のもとに、兵庫県南あわじ警察署から連絡がありました。
「児童買春事件の件で、娘さんに話を聞きたい」と言われ、はじめてAさんの母親はAさんが援助交際をしていたことを知りました。
Aさんの母親は、Aさんが援助交際の件で今後逮捕されたりするのかと心配になり、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
子供が援助交際をしていたことが分かったら
一般的に、援助交際というのは、金銭等の経済的利益の代償として、性交を含めた性的な関係を提供することをいいます。
女子中学生や女子高生が援助交際を行うことも多く、児童買春として問題となっています。
児童買春をした者が、児童買春・児童ポルノ禁止法に違反し、刑事罰の対象となるのは多く知られたところですが、児童売春をした未成年者にはどのような処分が科され得るのでしょうか。
1.被害者として
児童買春は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)によって禁止されています。
ここでいう「児童買春」というのは、児童、児童に対する性交等の周旋をした者、または児童の保護者や児童をその支配下に置いている者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいいます。(児童買春・児童ポルノ禁止法第2条第2項)
児童買春をした者は、児童買春・児童ポルノ禁止法によって処罰の対象となります。(児童買春・児童ポルノ禁止法第4条)
児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童の権利を擁護することを目的とした法律ですので、同法において、児童買春の相手方となった児童は、児童買春によって心身に有害な影響を受けた児童買春の被害者として扱われることになります。
ですので、上記ケースのように、警察から児童買春事件の被害者として事情聴取を求められることがあります。
2.ぐ犯少年として
性交等を行う援助交際は売春行為であり、売春防止法に違反することとなります。(買春禁止法第3条)
しかしながら、単純な売春行為のみであれば、売春禁止法によって処罰されることはありません。
ただ、援助交際を繰り返している少年は、性の逸脱行為があるとして、補導の対象となります。
警察官は、街頭補導活動を中心とする補導活動を行っています。
街頭補導というのは、道路その他の公共の場所、駅その他の多数の客を来集する施設又は風俗営業の営業所その他の少年の非行が行われやすい場所において、非行少年、不良行為少年、被害少年、そして要保護少年を発見し、必要に応じその場で、次の措置をとることをいいます。
①非行少年については、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他の必要な措置をとる。
②不良行為少年については、当該不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言又は指導その他の補導を行い、必要に応じ保護者に連絡する。
③被害少年については、適切な助言を行う等必要な支援を実施する。
④要保護少年については、児童相談所への通告又は児童相談所長もしくは都道府県知事の委託を受けて行う一時保護の適切な実施のため、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他必要な措置をとる。
また、売春を行っていた少年は、「ぐ犯少年」として家庭裁判所に送致され、審判に付される可能性があります。
「ぐ犯少年」というのは、ぐ犯事由があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある20歳未満の少年のことです。
ぐ犯事由というのは、次に掲げる事由です。
①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
②正当な理由なく家庭に寄りつかないこと。
③犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること。
④自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
これらのぐ犯事由自体は犯罪には該当しないので、他に犯罪行為がない限り、家庭裁判所への送致に先立って逮捕・勾留等はなされません。
しかし、捜査機関においてぐ犯事由があると思料するときには、家庭裁判所に送致され、調査・審判を経て最終的な処分が決定することとなります。
このように、犯罪行為そのものを行っていない場合であっても、ぐ犯少年として家庭裁判所に送致され、調査・審判に付される可能性はあるのです。
お子様がぐ犯少年として家庭裁判所に送致されて、その対応にお困りであれば、少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事裁判で執行猶予付き判決②
刑事裁判で執行猶予付き判決②
執行猶予付き判決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に住むAさんは、コカインを使用したとして、兵庫県相生警察署に麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕されました。
逮捕・勾留後、Aさんは神戸地方検察庁姫路支部に同罪で起訴されました。
検察官は懲役3年を求刑しましたが、判決期日に神戸地方裁判所姫路支部は、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
判決の言い渡し
前回のブログで刑事裁判の大まかな流れについて説明しましたが、最後の判決において、裁判長は有罪か無罪か、有罪であれば被告人に科すべき刑事罰を言い渡すことがお分かりいただけたと思います。
判決期日は、事件が単純で軽微なケースであれば、結審して1~2週間後となることが多くなっています。
刑事裁判の判決の言渡しは、ドラマと違い短時間で終了します。
判決文は「主文」と「判決理由」から成りますが、それらを読み上げるのに通常5分とかかりません。
裁判長は、被告人の氏名、生年月日、住所や本籍などを訪ねる人定質問を再び行い、被告人が人間違いでないことを確かめます。
その後、判決文が読み上げられます。
「被告人は無罪。」「被告人を○○の刑に処する」
といった内容の主文がまず読まれます。
その後に、裁判長は判決理由を読み上げます。
判決理由は、罪となるべき事実を説明し、どのような法律が適用され、量刑を科す理由から成ります。
執行猶予付き判決
「被告人を懲役1年6月の刑に処する。」との言渡しを受けた後、「ただし、刑の執行を3年猶予する。」という文言が追加されると、単に「被告人を懲役1年6月の刑の処する。」との言渡しとは異なる効果が生じます。
これを執行猶予付き判決といいます。
刑を言い渡すにあたり、犯情により一定の期間その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度を「執行猶予」といいます。
上記ケースでは、「懲役1年6月、執行猶予3年」が言い渡されたいますが、これは、刑の言渡しを受けてから3年間、罪を犯すことなく過ごすことができれば、この刑の言渡しそのものが無効となり、刑務所に行かなくてもよくなる、ということです。
「執行猶予期間中に罪を犯さないこと」を条件としていますので、この期間中に何らかの罪を犯し有罪となると、執行を猶予されていた刑も受けなくてはなりません。
執行猶予には、刑期全部の執行猶予と刑の一部執行猶予の2種類があります。
刑の全部執行猶予の要件
(1)初度の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
または、
(b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免 除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役もしくは禁錮または50年以下の罰金の言渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするにたりる事情があること。
(2)再度の場合
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
(ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間内に更に罪を犯した場合には、 執行を猶予することは許されません。)
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。
刑の一部執行猶予の要件
宣告刑の一部だけの執行を猶予する制度です。
例えば、「懲役2年に処する。その刑の一部である懲役4月の執行を2年間猶予する。」と言い渡されたとします。
この場合、まず、猶予されなかった1年8か月の懲役刑の執行を実際に受けて服役することになります。
服役後、猶予された4か月の執行猶予期間である2年間が始まり、この2年間を無事に経過すれば、4か月の懲役刑は執行されないことになります。
(1)初めて刑事施設に入所する者の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがない者
または
(b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者
あるいは、
(c)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除 を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐため必要であり 、かつ、相当であると認められること。
このように判決言い渡しで、執行猶予が付されるか否かで、被告人のその後の生活が大きく変わります。
刑事事件を起こしてしまったが、執行猶予付き判決を獲得できないかとお悩みであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事裁判に豊富な経験を有し、執行猶予付き判決も数多く獲得する弁護士にお任せ下さい。
刑事裁判で執行猶予付き判決①
刑事裁判で執行猶予付き判決①
刑事裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県赤穂郡上郡町に住むAさんは、コカインを使用したとして、兵庫県相生警察署に麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕されました。
逮捕・勾留後、Aさんは神戸地方検察庁姫路支部に同罪で起訴されました。
検察官は懲役3年を求刑しましたが、判決期日に神戸地方裁判所姫路支部は、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
刑事裁判の流れ
あなたがある罪を犯し、その罪について検察官に公判請求されたとしましょう。
あなたは、刑事裁判を受けることになり、審理を経て有罪無罪が言い渡され、有罪の場合にはあなたに科される刑事罰も言い渡されます。
刑事裁判の流れは、次のようになります。
1.冒頭手続
①人定質問
裁判長が被告人に対し、人違いでないことを確かめるため、氏名・年齢・職業・住居・本籍を尋ねます。
②起訴状の朗読
検察官が起訴状を読み上げます。
起訴状には、被告人が誰で、どのような行為を行い、その行為はどの法律に規定される何罪にあたるのかが記載されています。
③黙秘権など諸権利の告知
裁判長が被告人に黙秘権など諸権利について告知します。
④罪状認否
被告人・弁護人は、事件の実体に関する認否、弁解・主張、訴訟条件の欠缺に関する主張、訴訟手続きに関する請求・申立てなどを行います。
刑事裁判は、起訴事実があったのか否かを審理する手続となります。
どんな些細な内容であっても起訴事実に間違いがあれば、それを明らかにする必要があります。
2.証拠調べ手続
検察が裁判で被告人の犯罪を立証する手続です。
①冒頭陳述
検察官が証拠によって証明すべき事実が明らかにします。
実務では、冒頭陳述書を作成し法廷で朗読し、書面を裁判所に提出します。
検察官の冒頭陳述の後に、裁判所の許可を得て、被告人・弁護人も冒頭陳述をすることができます。
②証拠調べ請求
証拠調べとは、証人などの尋問、証拠書類・証拠の取調べ、検証、鑑定などをいいます。
初めに当事者(検察官、被告人・弁護人)の請求に基づいて証拠調べがなされ、必要な場合には補充的に裁判所の職権で証拠調べが行われます。
まず、検察官が事件の審判に必要と認められるすべての証拠の取調べの請求を行います。
被告人・弁護人は、検察官の取調べ請求に対して証拠意見を述べます。
裁判所は、証拠調べ請求に対し、決定でもって判断を示さなければなりません。
裁判所が証拠調べをすることを決める(証拠決定)に際して、裁判所は、それが請求に基づく場合は相手方またはその弁護人の意見を、職権による場合には、検察官および被告人・弁護人の意見を聴かなければなりません。
証拠調べ請求が適式になされない場合(刑事訴訟規則189条4項)、証拠能力のない証拠や事件と関連性のない証拠が証拠調べ請求された場合、裁判所は請求を却下することになります。
③証拠調べの実施
証拠書類や証拠物の取調べ、証人尋問、鑑定人の尋問、被告人質問などが行われます。
・証人尋問
証人尋問は、まずその証人尋問を請求した当事者から尋問がなされ、その後に、その相手方に よる尋問が行われます。
・鑑定人尋問
裁判所は、特別の知識や経験を有する者に鑑定を命じることができます。この鑑定を命じられ た者を鑑定人と呼び、その専門知識や経験、若しくはその専門知識・経験に基づいて鑑定人が 下した判断を報告させることを鑑定といいます。
・証拠書類・証拠物の取調べ
証拠書類の取調べは、請求した者が朗読によって行い、証拠物は請求した者によって示されま す。
・被告人質問
裁判官、検察官、弁護人、共同被告人またはその弁護人は、被告人に質問し供述を求めること ができます。被告人が任意にした供述は、証拠となります。
3.弁論・論告
証拠調べが終了すると、検察側、弁護側双方から事実および法律の適用について意見陳述が行われます。
検察官が、事実および法律の適用について意見を陳述することを「論告」といいます。
検察官は、有罪を主張する場合、量刑についても意見を述べるのが通例となっています。
この量刑に関する意見を「求刑」と呼びます。
その後、被告人または弁護人に最終的に意見を陳述する機会が与えられ、これを「最終弁論」といいます。
4.判決
裁判所で行われた証拠調べ、論告、弁論を基に、裁判官は判決を言い渡します。
判決を宣告するには、裁判長が主文および理由を朗読し、または主文の朗読と同時に理由の要旨を告げなければなりません。
以上が刑事裁判の大まかな流れとなります。
刑事裁判の期間は、事件によって異なりますが、容疑を認めており特に争いのない事件であれば1回審理で結審となることが多く、法廷に出廷するのは公判期日と判決期日の2回のみとなります。
他方、重大事件で起訴事実にも争いがある事件であれば、1~2年かかることもあります。
刑事裁判の結果は、被告人のその後の人生に大きく影響しますので、刑事裁判には刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼されるのがよいでしょう。
刑事事件でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。