Archive for the ‘未分類’ Category

美人局で逮捕

2019-05-10

美人局で逮捕

美人局逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Vさんは、出会い系サイトで知り合った女性Aさんと会う約束をしました。
Vさんは既婚者で、Aさんも既婚者であるが現在別居中だと聞いていました。
VさんとAさんは、食事のあと、ホテルへ行き肉体関係を持ちました。
ホテルから出ると、Aさんの夫だと名乗るBが突然現れ、「俺の嫁になにしてるんや!お前、独身か?結婚しとるんやったら、お前んとこの嫁に言うぞ!」と言い、金銭で和解することを持ち掛けられました。
妻にバレるのを恐れたVさんは、言われた通り金銭で解決することに合意し、手持ちの3万円を支払いました。
その後、Bと名乗る男から、更に金を無心する連絡が続き、困ったVさんは、兵庫県加西警察署に相談しました。
捜査の結果、AとBは、これまで同じような手法で多くの被害者から金銭を巻き上げていることが分かり、AとBを恐喝の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

美人局で問われ得る犯罪とは?

美人局とは、一般的に、ターゲットとなる男性に対し、男女が共謀して金銭をゆすり取る行為をいいます。
出会い系サイトで出会った女性と性的関係を持った直後に、夫や両親と名乗る男性から因縁をつけられ、事件解決名目で金銭を要求するケースが多くみられます。
未成年者がかかわる場合、18歳未満の少女と性的関係を持つことが刑罰法令に触れる可能性があることを逆手にとり、警察沙汰にしないことを条件に多額の金銭を要求するといった手法が多くなっています。
被害者側も、未成年者と性的関係を持った事実を公にされることを嫌いますので、美人局であると疑っても、被害を警察に相談・報告することが出来ないという点があるようです。

美人局は、恐喝罪・詐欺罪・脅迫罪・強要罪・暴行罪・傷害罪・強盗罪などに該当する可能性があります。

強盗罪

第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪における「暴行・脅迫」は、「相手方の反抗を抑圧するにたりる程度のもの」であることが必要となります。
そのような強度の暴力や脅迫で相手の反抗を抑圧し、相手の意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移した場合には、強盗罪が成立することになります。
暴行・脅迫と財物奪取との間に因果関係が必要となるのです。
上記ケースでは、BがVさんに暴行・脅迫を用いて、Vさんから金銭を奪い取ったのであれば、強盗罪に問われるでしょう。

恐喝罪

第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

「恐喝」とは、脅迫・暴行を手段として、その反抗を抑圧するに足りない程度に相手を畏怖させ、財物の交付を要求することをいいます。
この恐喝行為の結果、畏怖した相手の処分行為に基づく交付によって、財物を取得した場合に、恐喝罪は成立します。
強盗罪との違いは、暴力・脅迫の程度、そして相手の処分行為の有無です。
脅迫の結果、Vさんが畏怖を原因としてBに金銭を渡したのであれば、恐喝罪となるでしょう。

詐欺罪

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

人を欺いて財物を交付させる犯罪です。
詐欺罪は、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じる、一連の相当因因果関係にあることが必要となります。
美人局の場合、恐喝罪との違いは、「錯誤に基づく財産的処分行為」であるか「畏怖に基づく財産的処分行為」かという点です。
相手が18歳未満ではないのに18歳未満だと虚偽の事実を示して、児童買春が成立するとして示談金を求めるケースでは、詐欺罪が問われる可能性もあります。

美人局事件でも、事案によって成立する罪名は異なりますので、一度刑事事件に強い弁護士にご相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ご家族が美人局事件で逮捕されている場合には、刑事事件専門弁護士が接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881まで。

自転車事故で刑事事件

2019-05-09

自転車事故で刑事事件

自転車事故刑事事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県南あわじ市に住むAさん(20歳)は、イヤホンで音楽を聴いたり、スマホを操作しながら自転車を運転していました。
ちょうどAさんがスマホを操作しようと目を下にやっていた時に、前方に歩行者の女性がいることに気が付かずに、その女性に衝突してしまいました。
女性はその場で倒れ込み、Aくんは急いで女性の様子を確認しましたが、意識がありません。
Aくんは慌てて救急車を呼びましたが、女性は搬送先の病院で死亡が確認されました。
Aくんは、現場に駆け付けた兵庫県南あわじ警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)

自転車対歩行者の事故

自転車と歩行者の交通死傷事故は、交通事故死傷者全体でみると、対四輪車の事故が最も多くを占めており、自転車と歩行者の事故件数は少ないように思われるかもしれません。
しかし、スマホの普及により、いわゆる「ながら運転」によって生じる交通死傷事故は増加していると言われています。

自転車を運転するにあたってのルール

意外と知られていませんが、自転車は道路交通法上の「軽車両」にあたります。

八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。(道路交通法2条1項8号)
十一 軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。(道路交通法2条1項11号)

「車両」には「軽車両」が含まれているので、自転車も自動車と同じ「車両」ということになります。
1.原則、車道を通行
歩道と車道の区別があるところでは、自転車は原則車道を通行しなければなりません。
また、軽車両である自転車は、車道の左側を通行しなければなりません。
2.歩道は歩行者優先
自転車は車両なのですが、例外的に歩道を通行することができます。
歩道に「自転車歩道通行可」の道路標識等がある場合、13歳未満の幼児・児童や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が運転している場合、そして、車道または交通の状況からみてやむを得ない場合です。
歩道を通行するときには、歩道の車道寄りまたは指定された部分をすぐに停止できる速度で走り、歩行者の妨げになる場合には一時停止しなければなりません。
3.安全ルール
二人乗りをしない、夜間のライト点灯、並走しない、飲酒運転しない、信号を守る、一時停止と安全確認をしっかりする、などといったルールも道路交通法に定められています。

自転車事故で問われる刑事責任

自転車対歩行者の事故を起こした場合、自転車だから刑事上の責任が問われない、なんてことにはなりません。
相手を死傷させた場合、道路交通法違反や刑法の過失傷害罪、過失致死罪、重過失致死傷罪に問われる可能性があります。

自転車を運転して相手に怪我を負わせた、死亡させてしまった場合、運転手の過失の程度によって、過失傷害罪・過失致死罪、または重過失致死傷罪となります。
重過失致死傷罪における「重大な過失」は、「人の死傷の結果がその具体的状況下において通常人として容易に予見できたのに、これを怠り、あるいは、結果を予見しながら、その回避の措置をとることが同様容易であったのに、これを怠ったというような注意義務の懈怠の著しい場合を指すもの」と解されます。(東京高判昭62.10.6)
イヤホンで音楽を聴き、スマホを操作しながら自転車を運転し、歩行者にぶつかり怪我を負わた、或いは死亡させた場合には、「重大な過失」の結果、人を死傷させたと言え、重過失致死傷罪が適用されるでしょう。

このように、自転車による事故であっても、刑事責任が問われることがあります。
被害の程度や過失の程度のより、適用される罪も異なります。
自転車で人身事故を起こしお困りの方は、一度交通事故を含む刑事事件に対応する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
初回の法律相談は、無料です。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお電話ください。

窃盗罪と詐欺罪

2019-05-08

窃盗罪と詐欺罪

窃盗罪詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
主婦のVさんは、神戸市灘区の商店街で買い物をしていると、見知らぬ女性たちから声を掛けられました。
女性たちは、「あなたには悪い霊がついている。すぐに除霊しないと、子供が死ぬことになる。」と言われ、Vさんは指示された通り、急いで自宅から貴金属品や現金などを新聞紙に包み、バックに入れて商店街に戻りました。
女性たちは、「今から除霊するから、目をつぶって。」と言われ、Vさんは目をつぶりました。
その後、女性たちはVさんにバックを返し、「これで大丈夫。悪い霊はいなくなった。」と言って去っていきました。
Vさんが家に帰ってバックの中身を確認すると、貴金属や現金が他の物と取り換えられていたことが分かり、慌てて兵庫県灘警察署に被害届を出しに行きました。
同署は、窃盗事件として捜査を開始しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)

窃盗罪と詐欺罪の違い

上記ケースでは、犯人たちがVさんを「騙して」Vさんの財物をとったことから、「詐欺罪」に問われるのでは?と思われる方が少なくないのではないでしょうか。

まず、詐欺罪とはどのような場合に成立するのか、以下説明していきます。

詐欺罪

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪の基本的な構成要件(犯罪類型)は、「人を欺いて財物を交付」させることです。
つまり、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって才物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じることが必要となります。
①欺く行為
「欺く」というのは、一般人をして財物・財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
「人」を欺くものでなければならないので、機械に対して虚偽情報を入力した場合には、詐欺罪にいう「欺く行為」にはあたりません。
②錯誤
錯誤は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであればたります。
③処分行為
相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することです。
処分行為には、財産処分の意思と財産を処分する事実とが必要となります。
④財物の移転
財産の占有が移転することを「財物の移転」といいます。
⑤財産的損害
詐欺罪は財産罪であるため、被害者に何らかの財産的損害が生じたことが成立要件として必要となります。

さて、上記ケースで詐欺罪が成立するか?ということですが、Vさんは犯人に「除霊をしなければ子供が死ぬ」と言われ信じ込んでいます。
除霊のために現金や貴金属を持ってくるよう言われ、Vさんはそれらを自宅から持ってきて犯人に手渡しています。
しかし、Vさんはあくまでその場で除霊をしてもらうために現金や貴金属を持ってき、商店街で除霊のために財物を犯人に手渡しました。
Vさんは、犯人らが「除霊をしている」という点について誤信をして目をつぶっており、「財物に対する自己の占有を解き、これを犯人に終局的に移転することを容認する意思」があったとまでは言えず、「人を欺いて財物を交付」させたことにはなりません。
よって、詐欺罪は成立しません。

窃盗罪

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪の基本的な構成要件は、「他人の財物を、不法領得の意思をもって、窃取」することです。
「他人の財物」とは、他人の占有する他人の財物のことで、「占有」とは、人が財物を事実上支配し、管理する状態をいいます。
この「占有」は、占有の事実と占有の意思という2つの要素により構成されます。
除霊のために財物を一瞬手渡したことにより、Vさんが当該財物を占有していないことにはなりません。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを指します。
財物奪取の手段として人を騙したとしても、占有移転行為時に瑕疵ある意思に基づく占有移転がなければ、窃盗罪が成立することになります。
つまり、詐欺罪と窃盗罪の大きな違いは、「占有移転が被害者の意思に基づく処分行為によるか否か」という点にあるのです。
よって、犯人はVさんの意思に反してVさんの財物の占有を自己に移転したので、窃盗罪が成立するものと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
あなたやご家族が、詐欺事件、窃盗事件で被疑者・被告人となってしまいお困りであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。

商標法違反で略式命令

2019-05-07

商標法違反で略式命令

商標法違反での略式命令について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市兵庫区に住む外国籍のAさんは、某有名ブランドの偽物の商品をネットで販売したとして兵庫県兵庫警察署から来た警察官に家宅捜索後に通常逮捕されました。
Aさんは、「海外から仕入れたが、偽物だとは知らなかった。」と容疑を否認しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの友人が、このままでは強制退去となってしまうのではないかと思い、慌てて刑事事件に精通する弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)

商標法違反

私たちが日頃商品の購入やサービスを利用する際、それらの「名前」や「マーク」を見て選ぶことが多いのではないでしょうか。
それは、私たちが商品等の「名前」や「マーク」が信頼する会社の商品等であると認識しているからです。
もし、勝手にある商品の「名前」や「マーク」をコピーして、品質の悪い商品に使ったのであれば、その「名前」や「マーク」の会社は消費者の信頼を失うことになります。

商標法は、商標を使用する者に独占的な使用権(商標権)を与えることで、業務上の信頼を維持し産業の発展に寄与するとともに、需要者の利益保護を目的とする法律です。
商標法が保護する「商標」とは、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的計上若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」で、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者が、その商品について使用するもの、又は業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するものを言います。
簡単に言えば、自己の商品やサービスを他者のそれと区別するために使用する「名前」や「マーク」を「商標」です。
そして、「商標」を独占排他的に商品・サービスの識別標識として使用できる権利を「商標権」と言います。
「商標権」を取得するには、特許庁へ「商標」を出願して商標登録を受ける必要があります。
この「商標権」を侵害した場合には、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はその両方が科せられる可能性があります。
また、「商標権」の侵害とみなされる行為をすれば、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はその両方が科されることもあります。
「商標権」の侵害とみなす行為とは、他社のブランドの「名前」や「マーク」に似た商標を使う、他者の商標に指定されている商品やサービスに似た商品・サービスを商標登録する、他社の商標に指定された商品・サービスに似た商品・サービスをその他社の商標の付いた包装紙で包装して人に渡す行為などが含まれます。(商標法第37条)
さらに、法人関係者が「商標権」を侵害した場合には、3億円以下の罰金となります。

略式命令

簡易裁判所が、原則として、検察官の提出した資料のみに基づいて、公判を開かずに、非公開で罰金または科料を科す刑事手続を「略式手続」といい、これにより裁判所が下す命令を「略式命令」といいます。
事件が比較的軽微であり、被告人にとって公判出頭の必要がなく、また迅速な裁判が期待できる等、被告人の利益となること、当事者に一定の場合に手続処分権が認められること、簡易手続が訴訟経済にも益することなどが略式手続の趣旨と言われています。
商標法違反事件では、商品の数の多さ、販売期間などを考慮し、その悪質性が高いと評価される場合には、公判請求される可能性もあります。

外国人と刑事罰

外国籍を有する方が刑事事件を起こし、刑事処分を受けた場合、滞在資格や科された刑事処分によっては強制退去の対象となる可能性があります。
滞在資格、犯した罪や最終的な刑事処分の種類により、退去強制事由も異なりますので、刑事事件を起こし、今後の滞在の可否について不安を抱いていらっしゃる方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
外国人事件にも対応しております。
刑事事件でお困りであれば、フリーダイアル0120-631-881までご相談ください。

痴漢事件で自首

2019-05-06

痴漢事件で自首

自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宝塚市に住む会社員のAさんは、通勤で利用する電車で隣に座っていた女性が眠っていたようなので、スカートの上から女性の脚やお尻を触りました。
電車が駅に到着しようとしていたその時、眠っていたと思っていた女性は、「やめてくれますか」とAさんに言ってきたので、Aさんは驚いて思わずそのまま席を立ち、停車駅で降車しました。
その後、家に帰宅したAさんは、「女性が警察に被害届を出し、警察が捜査しはじめたら、きっと防犯カメラに映っている映像から犯人を割り出すだろう。そしたら、逮捕されてしまうかもしれない。」と不安で仕方ありません。
Aさんは、ネットで刑事事件に強い弁護士を探し、翌日相談の電話を入れました。
(フィクションです)

捜査の端緒

捜査は、警察などの捜査機関が、犯罪があると考えるとき、犯人と思われる者を特定・発見し、必要な場合にはその身柄を確保するとともに、証拠を収集・保全する一連の手続をいいます。
捜査機関が「犯罪がある」と考えるきっかけを「捜査の端緒」と呼びます。
捜査の端緒には、以下のものがありま。
・被害者や被害関係者の届出・告訴・告発
・警察官による現認(現に犯罪を行っていることを認知したもの)、職務質問、取調べ(取調べ中に他の犯罪が判明したもの)
・犯人の自首

痴漢事件では、被害者からの被害届の提出や被害者・目撃者等により現行犯逮捕されることをきっかけに事件が発覚するケースが多くなっています。

ここでは、捜査の端緒である「自首」について説明していきます。

自首とは

罪を犯した人が、自ら捜査機関に対して、自分が犯した罪を自発的に申告し、その処分を求める意思表示のことを「自首」といいます。
単に、警察署などに自ら出向くだけでは、法律上の自首が成立するとは限らないのです。

刑法第42条は、自首について規定しています。

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

つまり、自首の成立要件は、以下の4つになります。
①犯罪を起こした本人自らが自発的に犯罪事実を申告していること
②犯罪を行った本人が自身の罰則や処分を求めていること
③捜査機関に申告していること
④捜査機関が犯罪事実や犯人を特定していない段階で申告していること
これらの要件を充たしている場合に、はじめて自首が成立することになります。

自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります。
どの程度刑が減軽されるかについても、刑法第68条が定めています。

法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは、次の例による。
1 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁固又は10年以上の懲役若しくは禁固とする。
2 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、7年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
3 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
4 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。
5 拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。
6 科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。

上記ケースの場合、Aさんは女性の服の上から体を触ったので、兵庫県迷惑防止条例違反が成立すると考えられます。
迷惑防止条例違反の痴漢に対する法定刑は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
常習が認められると、刑が加重され、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
有期懲役の場合、長期及び短期の2分の1に、罰金の場合、多額及び寡額の2分の1に減軽されるので、迷惑防止条例違反の痴漢の場合には、3か月以下の懲役又は25万円以下の罰金(常習の場合、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)の範囲内で刑罰が科されることになります。

痴漢事件を起こしてしまった場合、自首することもひとつの選択肢です。
自首することにより、刑を軽くしてもらえる可能性もありますし、逃亡のおそれがないことをアピールすることにもなり逮捕の可能性を低めることもなります。

痴漢事件でお困りの方、刑事事件を起こして自首をお考えの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の法律相談無料です。
法律相談のご予約は、フリーダイアル0120-631-881まで。

淫行条例違反と児童福祉法違反

2019-05-05

淫行条例違反と児童福祉法違反

淫行条例違反児童福祉法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市の学校で臨時教師として勤務するAさん(23歳)は、勤務校の女子生徒(16歳)と付き合うようになりました。
二人が付き合い始めてから半年ほど経ったとき、女子生徒の誘いでホテルに行き、性行為をしました。
その後、二人の関係はしばらく誰にも発覚しなかったのですが、Aさんが別の学校に赴任することとなり、女子生徒に別れを告げました。
しかし、女子生徒は分かれることに納得がいかず、ひどく落ち込んでしまいました。
心配した女子生徒の両親が、女子生徒から話を聞いたことで二人の関係が発覚し、両親は学校と兵庫県尼崎東警察署に相談しました。
Aさんは、警察から話が聞きたいと言われており、自分がどのような罪に問われるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)

18歳未満の者とみだらな行為をした場合

18歳未満の青少年と性交等のみだらな行為をした場合に問われ得る罪としては、まず「淫行条例違反」が考えられます。

淫行条例」とは、青少年の健全な保護育成を図ることを目的として各地方公共団体が定めた青少年保護育成条例(兵庫県では、「青少年愛護条例」という名称)の中にある青少年との淫行を禁止する条文の通称です。

兵庫県の青少年愛護条例では、第21条で「青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為」をすることを禁止しています。
青少年愛護条例における「青少年」とは、18歳未満の者です。

青少年愛護条例で禁止している「みだらな性行為」について、過去の最高裁判決による「淫行」(=「みだらな行為」)の解釈では、
「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である」
とされています。

また、「わいせつな行為」についてですが、過去の判例では、
「徒に性欲を興奮または刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること」
と定義しています。

18歳未満と知りながら、金銭のやりとりはなく性行為をした場合、淫行条例違反に問われる可能性があります。
たとえ交際関係にあったとしても、両者の年齢差、性行為に至る過程、交際の態様などの要件が考慮された結果、淫行条例違反か否かが判断されます。

さて、上記ケースのように二人の関係が教師と生徒だった場合はどうでしょうか。
この場合、児童福祉法違反(児童淫行罪)に問われる可能性があります。
児童福祉法第34条1項6号は、「児童に淫行をさせる行為」を禁止しています。
この「児童に淫行をさせる行為」については、東京高等裁判所の判例によると、
「…淫行を「させる行為」とは、児童に淫行を強制する行為のみならず、児童に対し、直接であると間接であると物的であると精神的であるとを問わず、事実上の影響力を及ぼして児童が淫行することに原因を与えあるいはこれを助長する行為をも包含するものと解される。…淫行をする行為に包摂される程度を超え、児童に対し、事実上の影響力を及ぼして淫行をするように働きかけ、その結果児童をして淫行をするに至らせることが必要であるものと解される。」
とされます。
ですので、教師と生徒の師弟関係の実質的影響力を行使して性交等を行ったと判断される場合には、児童福祉法違反の罪に該当することになるでしょう。
当該罪に対しては、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はそれらの併科が科される可能性があります。
淫行条例違反に対する法定刑が2年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですので、児童福祉法違反のほうが重くなっています。

淫行条例違反または児童福祉法違反事件で、加害者となってしまった場合には、被害者との示談締結が重要な弁護活動のひとつとなります。
しかし、被害者本人は未成年であるため、実際にはその保護者と示談交渉を行う必要があります。
被害者の保護者は、被害者以上に加害者に対して怒りを感じていることが多いため、示談交渉には弁護士を介して行うことをお勧めします。

兵庫県の淫行条例違反事件・児童福祉法違反事件でお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の法律相談は、無料です。
法律相談のご予約・お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。

家庭内暴力(DV)で刑事事件

2019-05-04

家庭内暴力(DV)で刑事事件

家庭内暴力DV)で刑事事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市西区に妻と長男(2歳)と暮らす会社員のAさんは、普段はとても温厚な性格ですが、酒に酔うと気が荒くなり、妻からの小言に対し、妻に物を投げつけたり、妻の顔を殴るなどの暴行を加えることが多々ありました。
ある夜、酒に酔って帰ってきたAさんに対し、「帰りが遅い」「子供の面倒をもっと見てほしい」などと妻が言ってきたため、Aさんはカッとなり妻の顔面を思いっきり殴ってしまいました。
妻は殴られた衝撃で床に倒れ、頭部から出血が確認されました。
妻は自ら救急車を呼びましたが、搬送先の病院から兵庫県神戸西警察署に通報され、Aさんは傷害罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

家庭内暴力(DV)事件

近年、家庭内暴力(DV)により大きな怪我を負ったり、死亡してしまう事件が社会的に問題となっています。
一昔前までは、家庭内の出来事については警察も介入することがそう多くはありませんでしたが、残虐な暴力により幼い命が犠牲になった事件が相次ぎ、警察も家庭内の問題、特にDV事件については積極的に介入するようになりました。

DVに関する特別法として、DV防止法があります。
DV防止法(正式名:「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」)は、平成13年に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、都道府県における配偶者暴力相談支援センターの機能の充実、配偶者からの暴力発見者による通報等の仕組みの整備、裁判所の保護命令制度の創設等を内容として制定・施行されました。
DV法における「配偶者からの暴力」とは、「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響力を及ぼす言動」と定義されています。(DV防止法1条1項)
「配偶者」というのは、婚姻の届出をしていない「事実婚」も含まれ、男性、女性を問いません。
離婚後も引き続き暴力を受ける場合も、「配偶者」に含まれます。
「配偶者からの暴力」とは、身体に対する暴力である「配偶者からの身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの」、又は「これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」が含まれます。
後者に当たるものとしては、脅迫にあたるような言動や、精神的暴力、性的暴力が挙げられます。
また、配偶者や元配偶者だけでなく、生活の本拠を共にする交際する関係にある相手からの暴力及びその被害者についても、本法は準用されます。

DVの被害者の申立てにより、裁判所が、被害者の生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、身体に対する暴力や生命等に対する脅迫を行った配偶者等に対して、一定期間、被害者又は被害者の子や親族等へのつきまとい等の禁止、住居からの退去等をさせるために発する命令を「保護命令」といいます。
この保護命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
この保護命令には、接近禁止命令、退去命令、子への接近禁止命令、親族等への接見禁止命令、電話等禁止命令の5つがあります。

また、被害者が警察に相談し、被害の届出を行った場合には、警察は刑事事件として捜査を開始します。
問われ得る刑事責任は、暴力の態様によって異なりますが、主に以下のような犯罪が成立する可能性があるでしょう。

身体的暴力:傷害罪、暴行罪
精神的暴力:脅迫罪、名誉棄損罪
性的暴力:強制性交等罪

家庭内暴力(DV)事件で逮捕されたら

家族に対して暴力を振るい、刑事事件の被疑者として逮捕されると、被害者との関係から、逮捕後勾留が付き、長期の身体拘束を余儀なくされる可能性が高いでしょう。
ご家族が家庭内暴力(DV)事件で逮捕されたら、できるだけ早く弁護士に相談し弁護を依頼されるのがよいでしょう。
事件を認めている場合には、反省し二度と同じようなことを行わないことを誓約した上で、被害者との接触をしない・できない環境を整え、身体拘束をする必要がないことを主張します。
一方、事件を認めない場合には、疑われている犯罪が成立しない旨を客観的な証拠と共に説得的に主張し、不起訴(罪とならず、嫌疑なし、嫌疑不十分)や無罪を狙います。
逮捕されてから勾留されるまでの間は、逮捕された方の家族であっても面会することはできません。
逮捕された方は、どのように対応すればよいのか分からず自己に不利な供述をしてしまうこともありますので、逮捕されたらすぐに弁護士に接見を依頼してください。

ご家族が家庭内暴力(DV)事件で逮捕されたら、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件に詳しい弁護士が、逮捕された方のところに行き接見を行います。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
兵庫県神戸西警察署までの初回接見費用:37,400円)

児童ポルノ禁止法違反事件で逮捕

2019-05-03

児童ポルノ禁止法違反事件で逮捕

児童ポルノ禁止法違反事件での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県に住む高校生のAくん(16歳)は、兵庫県加東警察署児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕されました。
Aくんは、SNSで知り合った女子中学生に胸を露出した画像を撮影させ、自分のスマートフォンに送らせた疑いが持たれています。
逮捕されたAくんは、取調べ対応に困っています。
Aくんの両親は、急いで少年事件に強い弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)

児童の裸を自撮りさせ、画像を送らせたら児童ポルノ禁止法違反!

裸の「自撮り画像」を送らされるという児童ポルノ禁止法違反事件が後を絶ちません。
画像を送ってしまった子供のほとんどは、交流サイトを通じて知り合った面識がない相手に、悩みを相談したら、「ばらす」と脅されて自撮りの画像を送ったり、裸の写真を交換しようなどとそそのかされて送ってしまった事例が多いようです。

児童ポルノ禁止法は、児童ポルノの所持・保管・提供・製造・輸出入・公然と陳列といった行為を禁止しています。
「児童ポルノ」の定義については、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の者であって、
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの。
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は茂樹するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの。
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの。
としています。

平成27年5月に、児童ボルノ禁止法が一部改正され、児童ボルノの単純所持・保管でも処罰の対象となりましたが、自己の性的好奇心を満たす目的を有する場合が対象とされています。
自己の性的好奇心を満たす目的での児童ボルノの所持・保管の法定刑は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

また、児童ポルノを他人に提供した、又は提供目的で製造・所持・運搬・輸出入・保管した、若しくは提供目的なく児童ポルノを製造した、盗撮して児童ポルノを製造した場合の法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。

更に、児童ポルノを不特定多数に提供・公然と陳列された場合には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。
児童ポルノを不特定多数に提供する目的での製造・所持・運搬・輸出入・保管の法定刑も同様です。

このように、未成年者自身が自身の裸の自撮り画像を相手に送った場合、児童ポルノ製造罪が成立する可能性があります。
児童ポルノ禁止法第7条4項は、
前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
とあり、他人に提供する目的を伴わないものであっても、児童に本法第2条3項各号に掲げる姿態をとらせた上、これを写真等によって描写し、よって当該児童に係る児童ポルノを製造することを処罰の対象としています。
「姿態をとらせ」とは、行為者の言動等により、当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいい、強制によることは必要ではありません。
描写される児童が当該製造について同意していたことも必要ではありません。
しかし、自撮り写真を送った未成年者も、児童ポルノ禁止法では描写された児童は「被害者」として扱われることや被疑者扱いすると捜査の端緒が得られないなどの理由で、警察が児童自身を検挙することは稀であると言われています。

児童ポルノ禁止法違反逮捕されると、その後勾留され、長期の身体拘束となる可能性があるでしょう。
お子様が逮捕されたら、すぐに少年事件に強い弁護士にご相談ください。
逮捕から勾留までは、ご家族であっても逮捕された少年と会うことはできません。
しかし、弁護士であれば、いつでも少年と接見することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の少年事件専門の弁護士は、接見の依頼を受け直ちに少年のもとに赴き、接見を行います。
初回接見サービス」についてのお問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。

飲酒運転で刑事事件

2019-05-02

飲酒運転で刑事事件

飲酒運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県美方郡新温泉町にある会社まで車で通勤していました。
飲み会があるときは、電車で帰宅するようにしていましたが、その晩は、疲れて駐車場に止めていた車の中で少し休むことにしました。
3時間ほど眠ったAさんは、もう車を運転してもいいだろうと思い、そのまま車で帰宅することにしました。
ところが、駐車場から出てすぐ、携帯の着信音がなり、電話に出ようと携帯に目をやった瞬間に、道路上の電柱に車をぶつけてしまいました。
ちょうどその時、周囲を巡回していた兵庫県美方警察署の警察官が、停止した車から出てくるAさんを見かけ、物損事故かと思い現場に駆け付けました。
その後、警察官に事情を聞かれ、呼気検査を受けたAさんは、そのまま兵庫県美方警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)

飲酒運転により問われ得る犯罪とは

今年のゴールデンウイークは10日と、例年よりも長い連休となりました。
この大型連休を利用して、外で飲食する機会も増えた方も多いのではないでしょうか。
心身ともにリラックスさせるのに最適な機会にしたいところですが、あまりに気を緩めて飲酒したにもかかわらず車を運転することは絶対にしないように気を引き締めましょう!

飲酒運転が発覚した場合、以下の犯罪が成立する可能性があります。

道路交通法違反

飲酒運転は、道路交通法により禁止されています。
飲酒運転は、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つに分けられます。

酒気帯び運転

道路交通法第65条は、

第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第六号及び第百十七条の三の二第三号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。

第1項は、「酒気を帯びて車両等を運転すること」を全面的に禁止したものです。
「酒気を帯びて」とは、社会通念上酒気帯びといわれる状態をいうものであって、運転手の顔色や呼気等で認知できる状態にあることをいうものと理解されています。
ですので、酒に酔った状態であることは必要ではなく、運転への影響が外観上認知できることも必要ではありません。
この禁止に違反した場合、その違反が後述する「酒酔い運転」または政令数値(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリ、または血液1ミリリットル中0.3ミリグラム以上)以上の酒気帯び運転に当たるときに限り罰則が設けられています。
政令数値未満の単なる酒気帯び運転については、訓示規定にとどめられています。
酒気帯び運転をする者だけでなく、アルコール提供者や車の提供者、同乗者も刑罰の対象となりますので、ご注意ください。

酒酔い運転

第百十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
二 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)

酒酔い運転が成立するには、第65条1項(酒気を帯びて車両等を運転してはならない)に違反している者であることが前提要件となります。
必ずしも政令数値以上の飲酒を必要とせず、「酒気を帯びている」ことに当たればよく、おちょこ2~3杯程度の飲酒であっても、顔色や呼気等から身体にアルコールを保有していることが認知できるときは、第65条1項に違反している者に当たるので、その者がアルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがあるときは、酒酔い運転の違反で処罰される可能性があります。
「酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。)」とは、法令に定められる身体内のアルコール保有量のみで判断するのではなく、感覚機能、運転機能、判断力や抑止力が著しくおかされている場合をいうものと理解されます。
このように「酒に酔う」というのは、個人差が大きいので、具体的にそれぞれの場合について判断すべきとされます。
身体内のアルコール濃度が高いだけでなく、取調べで呂律が回っていない、まっすぐ歩くことができない等、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがあると判断される可能性があるでしょう。

酒気帯び運転の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
一方、酒酔い運転は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と、酒気帯び運転のそれよりも重くなっています。

兵庫県で飲酒運転をし、警察から取調べを受けている方、今後の流れや取調べ対応にご不安であれば、交通事件にも対応する刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の法律相談は、無料です。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。

傷害事件で少年審判

2019-05-01

傷害事件で少年審判

傷害事件の少年審判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古郡播磨町に住む少年Aくん(17歳)は、知人Bさんと交際女性を巡って口論となり、カッとなりBさんの顔面を殴る等、全治2週間の怪我を負わせてしまいました。
Bさんは、兵庫県加古川警察署に被害届を出してことで、事件が発覚しました。
幸い、Aくんは逮捕されることはありませんでしたが、取調べに応じた警察官から、警察や検察での取調べが終われば、神戸家庭裁判所姫路支部に送致され少年審判を受けることになると言われました。
どのように対処すればよいか分からず、Aくんと両親は少年事件に精通する弁護士に法律相談をお願いしました。
(フィクションです)

少年審判について

少年審判」というのは、一般的には、家庭裁判所が少年の非行事実および要保護性について審理・判断を行う手続のことをいいます。
刑事事件の公判期日にあたる概念と考えられるでしょう。
少年審判は、以下の点で刑事裁判と大きく異なります。
①職権主義的質問構造
少年審判では、刑事裁判のような当事者主義的訴訟構造をとっておらず、職権主義的質問構造がとられています。
つまり、家庭裁判所が自ら審判手続を主導し、少年に関する調査を行い、その結果に基づいて審理を行い処分を言い渡すのが少年審判であり、検察官と被告人・弁護人が対立して攻撃防御を尽くし、当事者が訴訟を主体的に追行していく刑事裁判の構造とは大きく異なるのです。
②証拠に関する規則
余談排除原則や伝聞法則の適用が少年審判にはありません。裁判官が審判期日の前からあらゆる証拠に触れる点で、刑事裁判とは異なります。
また、少年審判は原則として非公開です。

少年審判の審理対象は「非行事実」および「要保護性」です。

非行事実

非行事実とは、刑事裁判における公訴事実に該当するものです。

要保護性

要保護性は、その用語が多義的に用いられることがありますが、概ね次の3つの要素により更正されるものと考えられています。
①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らし、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことにより、少年が再非行におよぶ危険性を除去できる可能性があること。
③保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。

少年審判に向けた付添人の活動

家庭裁判所が事件を受理すると、書記官や裁判官が、審判条件や非行事実の存否について事件記録に基づいて法的調査を行います。
法的調査の結果、非行事実が存在することについて裁判官が蓋然的心証を得た場合、調査官に要保護性を判断するための社会調査を命じます。
社会調査が終了すると、調査官は、少年鑑別所の鑑別結果通知書などとともに裁判官に調査結果を提出し、裁判官は、証拠書類などの法律記録と併せて検討します。
その結果、家庭裁判所が、審判に付することができない、または審判に付するのが相当でないと認めるときには、審判不開始決定をします。
一方、少年が非行事実を行った蓋然性があり、調査官による教育的措置を経た上でもなお少年に要保護性が認められる場合には、審判開始決定が行われます。
先述しましたが、少年審判の審理対象は、非行事実と要保護性の2要素となります。
非行事実に争いのない場合には、要保護性の解消が、少年審判に向けた付添人の重要な活動になります。
少年が事件と向き合い、事件を起こしてしまった原因に気づき、今後同じ過ちを繰り返さないためにはどのようにすればよいのかをしっかり考えることができるよう、付添人は少年を支援します。
また、被害者への謝罪や被害弁償を含めた示談交渉も行います。
そのうえで、少年の更生に適した環境を整えるべく、少年の家族や学校・職場と連携して活動します。
このような活動を、調査官や裁判官に適時報告し、少年の要保護性が解消されたと判断してもらうべく働きかけます。

以上の活動は、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしてお困りの方は、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら