Archive for the ‘未分類’ Category

しつけと虐待

2019-09-27

しつけと虐待

しつけ虐待について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡新温泉町に住むAさんは、息子のVくん(10歳)が学校で教師に対して暴言を吐くなどしたため、学校から呼び出しを受けていました。
Aさんは自宅でVくんと話をし、態度を改めるよう言いました。
しかし、Vくんは反抗的な態度を取り続けたため、AさんはVくんの両手を針金で緊縛し、自宅の階段下の物置に居れ、中から出られないように外側から戸を固定し、トイレや食事の時以外は1日そこに閉じ込めていました。
すると、どこから話を聞いたのか、兵庫県美方警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんの行為はしつけではなく虐待に当たる可能性があると言われました。
Aさんは、反抗的な子供を更生させるためにやったことであって虐待ではないと考えています。
(フィクションです)

親のしつけ~懲戒権の行使~

親として子供を懲戒することは民法上認められています。

第820条(監護及び教育の権利義務)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

第822条(懲戒)
親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

子の監護及び教育に必要な範囲内での懲戒は民法上認められているわけで、当該規定に基づく懲戒であれば、それは法令に基づく行為ということになり、違法性が阻却され、犯罪は成立しないことになります。

例えば、親子間ではなく教師と生徒の間の事例ではありますが、過去の裁判では、教師の生徒に対する軽微な暴行は体罰には当たらず、正当な懲戒権の行使の許容限度内にある行為であるとされてものがあります。
被告人の「本件行為の動機・目的は、生徒の軽率な言動に対してその非を指摘して注意すると同時に、同人の今後の自覚を促すことにその主眼があったものとみられ、また、その態様・程度も平手及び軽く握った右手の拳で同人の頭部を数回軽くたたいたという軽度のものにすぎ」ず、懲戒権の範囲内にとどまることを理由に違法性が阻却されるとしています。(東京高裁判決昭和56・4・1)

これに対して、懲戒という目的を超えて、対象者の身体の機能等、他の利益を侵害した場合には、懲戒行為の違法性は阻却されません。
子供に対する暴行が「しつけ」であると主張するケースは多くありますが、この「しつけ」が懲戒権の適切な行使に当たるかどうかといった線引きが問題となります。
問題の懲戒行為の内容や対象の子供の年齢等により異なりますが、当該行為が子供の監護・教育に必要であったのかどうか、その行為は懲戒権の行使として適当であったか、度を越していなかったかどうかが判断基準となります。

例えば、子供に対するしつけの一環として暴力を振るった事件において、父親が子供(3歳)を叱った際に子供が反抗的な態度をとったことに激昂し、子供に対して、顔面を鉄拳や平手で数回殴打した上、腹部を数回足蹴りするなどの暴行を加えた事案で、「その体罰は、およそしつけとは無縁の感情に任せたものであり、思慮を欠くこと甚だしく、同情する点はない。」などとして、しつけのための懲戒であるとする主張を認めなかったもの(横浜地裁判決平成14・1・24)、また、盗むをはたらく9歳児へのしつけとして、当該児童の両手をしばりあげ、押入に10数時間監禁した事件において、判決は、「親権者たる実父が子の性行、悪癖を矯正する目的で、制縛、監禁等の方法を用いてその子の自由をある程度拘束することは、法が親権者の懲戒権を認めた趣旨に鑑み許されるべきものであろうが、その懲戒の方法、程度は、その親子の社会的地位、境遇、子の年令、体格、性質並びに非行の種類、態様及び性質等により個々の場合の具体的事情に基き一般社会人において妥当適切と首肯できるものでなければならない」とし、子供の非行行為の内容や年令・体格と父親が行った懲戒行為の程度とを比較検討し、到底一般社会人の首肯できる妥当な懲戒行為とは認められないとして、逮捕監禁罪の成立を認めています。(東京高裁判決昭和35・2・13)

このように、しつけの必要性や相当性を判断し、当該しつけが懲戒権の妥当な行使であったか否かが判断されることになります。

しかし、この懲戒権について、児童虐待問題が相次ぐ昨今、懲戒権が親から子への虐待を正当化する口実として利用されているとの指摘もあり、懲戒権の見直しが検討されています。

しつけは子供のために必要ではありますが、度を超すようなしつけ、少なくとも子供に大きな怪我を負わせるようなしつけは、適切な行為とは認められることは難しいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

強盗と恐喝の区別とは?

2019-09-26

強盗と恐喝の区別とは?

強盗罪と恐喝罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県川辺郡猪名川町の公園で、会社員の男性Vに因縁をつけて金銭を巻き上げようと、Vに対して少年Aは、「ちょっとお金貸してくれませんか?痛い目にあいたくないでしょ。」と鉄バットを手に持った状態でVを脅し、所持金5千円を奪いました。
しかし、少年Aは、Vがもっと金を持っているだろうと思い、「まだ持ってるんやったら、出してくれへん?」と言ったところ、Vがこれを拒否したので、その場でVの顔面等に対して殴る蹴るの暴行を加えて傷害を負わせ、抵抗できなくなったVから現金2万円を奪って逃走しました。
Vはすぐに最寄りの交番に駆け込み、警察官に被害届を出しました。
兵庫県川西警察署は県内に住む少年Aを強盗致傷の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)

カツアゲで成立し得る犯罪とは?

1.恐喝罪

第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

恐喝罪は、人を恐喝して財物を交付させた場合、及び、人を恐喝して、財産上不法の利益を得、又はこれを他人に得させた場合に成立する犯罪です。
恐喝」とは、暴行又は脅迫により被害者を畏怖させることをいい、恐喝は財物又は財産上の利益の交付に向けられたものでなければなりません。
恐喝罪が成立するためには、被害者の意思に基づいて交付行為がなされることが必要となり、畏怖状態を生じさせる暴行・脅迫の程度は、被害者の反抗を抑圧するに至らないものでなければなりません。
つまり、相手方からの暴行・脅迫によって恐れおののいた被害者が、仕方なく自己の財物を相手方に渡したり、支払いを免除する等の財産上不法の利益を得させることが必要となります。

2.強盗罪

第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強手した場合、及び、暴行又は脅迫を用いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合に成立する犯罪です。
強盗罪における暴行・脅迫の程度は、判例及び通説によれば、「被害者の反抗を抑圧する程度」のものであることが必要です。
その程度に達していない場合には、強盗罪ではなく恐喝罪が成立するにすぎません。
強盗罪が成立するためには、暴行・脅迫により、被害者の反抗を抑圧して財物を奪取する(=強取)が必要となるのです。
反抗が抑圧された被害者から、その意思に反して財物を奪取する行為、反抗が抑圧された被害者が差し出した財物を受け取る行為、反抗を抑圧され、逃げ出した被害者が放置した物を取る行為も「強取」に当たります。

また、強盗犯人が人を負傷・死亡させた場合には、強盗致死傷罪が成立します。
強盗致死傷罪は、刑法第240条に次のように規定されています。

第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗犯人(既遂・未遂を問わない)が、人を負傷させた場合に、強盗致傷罪が成立します。
死傷の結果は、強盗の手段である行為から生じることを要するとの立場もありますが、判例・通説は、死傷結果は、強盗の機会に行われた行為から生じたもので足りるとする立場をとっています。
法定刑は無期又は6年以上の懲役と厳罰が定められています。

通常、カツアゲ行為であれば恐喝罪が成立します。
上記ケースでは、最初にAは、被害者Vに対して、鉄バットで威嚇しながら金銭を出すように申し付けて脅しています。
この脅迫に畏怖したVは、Aに持っていた5千円を渡しています。
この一連の行為は、恐喝罪が成立します。
さて、その後、更に金を巻き上げることができると思ったAは、再度Vに対して脅迫した上で金銭を要求していますが、Vが拒否したため、Vが抵抗できなくなるまで暴力を振るい傷害を負わせ、Vから現金2万円を奪っています。
この第二の行為に用いられた暴行は、Vの反抗を抑圧する程度のものであり、抵抗できなくなったVから現金を奪っているため、もはや恐喝罪ではなく強盗罪、今回は強盗の結果Vに怪我を負わせていますので、強盗致傷罪が成立するでしょう。
第一の行為では、恐喝罪が、第二の行為では強盗致傷罪が成立することになりますが、同一の被害者に対する同一の犯意に基づく金銭奪取犯罪であるため、恐喝罪は強盗致傷罪に吸収され、強盗致傷罪のみによって処罰されることになるでしょう。

カツアゲ事件で見込まれる処分は?

強盗致傷罪は、刑事事件であれば裁判員裁判の対象となる犯罪です。
少年事件であっても、カツアゲ事件が恐喝罪に当たる場合、共犯がいたり凶器を用いたりと犯情が悪いという場合を除いて、いきなり少年院送致となるケースはそう多くありません。
しかし、強盗罪や強盗致傷罪となれば、初犯であっても少年院送致が言い渡される可能性は高まります。

お子様が強盗致傷事件で逮捕されてお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に今すぐご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡を!

強盗殺人罪と公訴時効

2019-09-25

強盗殺人罪と公訴時効

強盗殺人罪公訴時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
1993年に兵庫県多可郡多可町で起きた強盗殺人事件から26年が経過した今年、兵庫県西脇警察署などは、県外に住むAさんを強盗殺人の容疑で逮捕しました。
Aさんは別件で捜査を受けていましたが、Aさんから採取したDNAと現場に残されていた凶器に付着していたDNAとが一致したため、Aさんが強盗殺人事件の容疑者として浮上したということです。
Aさんは「覚えていない。」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

公訴時効について

刑事法における「時効」には、①刑の時効、と②公訴時効の2種類があります。
①の「刑の時効」というのは、刑事裁判で刑の言渡しを受けた者が、一定期間その執行を受けないことにより刑罰権が消滅することをいいます。
死刑は、刑の時効にかかりませんが、刑の時効の期間は、刑の種類とその重さによって定められています。
例えば、裁判での宣告刑が、無期懲役・禁錮であった場合は、刑の時効期間は30年、10年以上の有期懲役・禁錮は20年、3年以上10年未満の懲役・禁錮は10年です。
刑の時効の起算点は、裁判で刑の言渡しがあり、かつそれが確定した時点です。
ちなみに、刑の施行猶予期間中は、刑の時効は進行しません。
裁判で執行猶予判決が言い渡され、無事に執行猶予期間を終えた場合には、刑の言渡しの効力が失われますが、これは刑の時効とは別の制度です。

さて、刑事事件で「時効」といえば、一般的には②の「公訴時効」を指します。
公訴時効」は、一定期間内に公訴を提起することを訴訟条件とするものです。
つまり、一定の期間が経過することにより公訴の提起ができなくなるという制度です。
公訴を提起することが可能な一定の期間を経過してしまった場合には、判決で免訴の言渡しをしなければなりません。

公訴時効の期間は、対象となる法定刑を基準に定められています。

●公訴時効なし
人を死亡させて、死刑に当たる罪(殺人罪、強盗殺人罪など)に関しては、公訴時効はありません。
●公訴時効30年
人を死亡させて、無期懲役・禁錮刑にあたる罪(強制性交等致死罪、強制わいせつ致死罪など)については、公訴時効は30年となります。
●公訴時効25年
人を死亡させていない、死刑に当たる罪(現住建造物等放火罪など)に関しては、公訴時効は25年です。
●公訴時効20年
人を死亡させ、長期20年の懲役・禁錮に当たる罪(傷害致死罪、危険運転致死罪など)については、公訴時効は20年となります。
●公訴時効15年
人を死亡させていない、無期懲役・禁錮に当たる罪(通貨偽造罪など)に関しては、公訴時効は15年です。
●公訴時効10年
人を死亡させて、長期20年に満たない懲役・禁錮に当たる罪(業務上過失致死罪、過失運転致死罪など)、及び人を死亡させず、長期15年以上の懲役・禁錮に当たる罪(強制性交等罪、傷害罪、強盗罪など)については、公訴時効は10年となります。
●公訴時効7年
人を死亡させず、長期15年未満の懲役・禁錮に当たる罪(窃盗罪、詐欺罪、業務上横領罪、強制わいせつ罪など)の公訴時効は7年です。
●公訴時効5年
人を死亡させず、長期10年未満の懲役・禁錮に当たる罪(監禁罪、単純横領罪など)に関して、公訴時効は5年です。
●公訴時効3年
人を死亡させず、長期5年未満の懲役・禁錮または罰金に当たる罪(住居侵入罪、公然わいせつ罪、脅迫罪、名誉棄損罪、威力業務妨害罪など)については、公訴時効は3年です。
●公訴時効1年
人を死亡させず、拘留または科料に当たる罪(侮辱罪、軽犯罪法違反など)についての公訴時効は1年です。

公訴時効は、「犯罪行為が終わった時」から進行します。
共犯の場合には、「最終の行為が終わった時」から、すべての共犯に対して時効の期間を起算します。
「犯罪行為が終わった時」というのは、結果犯の場合は結果が発生した時を意味します。
挙動犯や未遂の場合は、実行行為が終了した時が、時効期間の起算点となります。

さて、上の公訴時効は、2010年の刑事訴訟法改正に伴い改正されたものです。
それ以前は、殺人や強盗殺人といった重大事件についても公訴時効が定められていました。
強盗殺人罪公訴時効は、刑事訴訟法が2010年に改正される前は、25年でした。
ですので、犯行当時1993年の法律では、2018年の犯行終了時に公訴時効が成立することになっていました。
しかし、この点、2010年の改正刑事訴訟法は、経過措置について定めており、改正後の刑事訴訟法第250条(公訴時効期間)は、改正刑事訴訟法の施行の際に「既にその公訴の時効が完成している罪については、適用しない」とし、人を死亡させた罪であって禁固以上の刑に当たるもので2010年3月27日までに公訴時効が完成していない罪については、すべて2010年の改正刑事訴訟法が適用されることが規定されています。
2010年3月27日までに公訴時効が完成していないAさんのケースでは、改正後の刑事訴訟法が適用され、公訴時効はなく、2018年を過ぎても強盗殺人罪で起訴される可能性は残るのです。
この経過措置が、憲法の保障する遡及処罰の禁止と適正手続に反するとする主張が最高裁判所に提起されましたが、最高裁判所は、2010年の改正刑事訴訟法の経過措置は、公訴時効制度の趣旨を実現させるために、人を死亡させた罪であって、死刑に当たるものについて公訴時効を廃止し、懲役または禁錮の刑に当たるものについての公訴時効期間を延長したにすぎず、行為時点における違法性の評価や責任の重さを遡って変更するものではなく、被疑者・被告人となり得る者につき既に生じた法律上の地位を著しく不安定にするようなものでもない、として当該経過措置は憲法違反ではないとしています。

というわけで、殺人罪や強盗殺人罪などの重大事件については、公訴時効がなく、証拠が固まり次第、逮捕され起訴される可能性は残るというわけです。

重大事件をはじめ刑事事件でお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件と学校への連絡

2019-09-24

少年事件と学校への連絡

少年事件における学校への連絡について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県佐用郡佐用町の商業施設内のエスカレーターで、女子中学生のスカート内を盗撮したとして兵庫県内の私立中学校に通う中学生のAくん(14歳)が兵庫県佐用警察署に迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
警察署で取調べを受けたAくんでしたが、その日の夜にAくんの両親が身元引受人として警察署まで迎えに来て身柄釈放となりました。
幸い学校を休むことなく釈放となりましたが、警察から事件について学校連絡がいくのではないかとAくん家族は心配しています。
(フィクションです)

少年事件の流れについて

20歳未満の者が刑罰法令に触れる行為を行い、警察などの捜査機関に発覚すると少年法に基づく手続に従って事件が処理されることになります。
少年の年齢によって、事件処理の流れは異なりますが、ここでは14歳以上の20歳未満の少年(「犯罪少年」)について説明していきます。

捜査段階の手続は、ほとんど成人の刑事手続と同様であり、少年であっても逮捕される可能性はあります。
逮捕された場合、逮捕から48時間以内に警察が少年を釈放するか、それとも検察に送致するかを決めます。
Aくんのケースでは、逮捕はしましたが、取調べ後にAくんを釈放しています。
警察は、Aくんを検察に送致し勾留する必要はないと判断したのでしょう。
他方、警察が少年を検察に送致した場合、少年の身柄を受けた検察官は、少年の取調べを行った上で、逮捕に引き続き身柄を拘束する必要があるか否かを少年の身柄を受けてから24時間以内に決定します。
検察官が少年を勾留する必要があると判断した場合、検察官は裁判所に対して勾留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受け、裁判官は少年と面談した上で、少年を勾留する要件が満たされているか否かを判断し、勾留決定または勾留却下決定を下します。
兵庫県では、1日で検察への送致から勾留決定まで行われます。
このように、捜査段階ではほぼ成人の刑事事件と同じ流れとなりますが、検察官は勾留の代わりに「勾留に代わる観護措置」を請求することができ、裁判官が当該措置を決定した場合には、少年の収容先は警察署の留置場ではなく少年鑑別所となり、収容期間も10日間と延長はありません。

捜査機関による捜査が終了すると、事件は家庭裁判所に送られます。
家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることができます。
観護措置は、少年の身柄を少年鑑別所に移し、審判のために必要な調査や心身鑑別などを行う措置です。
観護措置の期間は概ね1か月で、捜査段階で身体拘束を受けていた場合には、引き続き観護措置がとられる傾向にあります。

事件が学校に伝わる可能性は?

事件が学校に伝わる経緯としては、概ね、①家族からの連絡、②警察からの連絡、③家庭裁判所からの連絡、の3つでしょう。

①は、事件が発覚した早い段階で、少年の家族が学校に相談することにより発覚するケースです。
逮捕・勾留により長期間の身体拘束を受ける場合には、学校に休む旨の連絡をしなければなりませんが、数日であれば体調不良などでごまかすことは可能でしょうが、10日間となると本当のことを話さずにはいられない状況になるでしょう。
②については、逮捕された時点で警察から学校にその旨連絡がいくケースです。
逮捕されると必ず警察が学校連絡するということではありませんが、警察と学校との間で一定の事柄については相互に連絡をしましょうとする取り決めが交わされていることがあります。
「警察・学校相互連絡制度」というのは、都道府県の警察本部と教育委員会が協定を結び、児童生徒の健全育成を目的として、警察と学校連絡をとりあう制度です。
兵庫県においても、県や各市の教育委員会が兵庫県警察本部と協定を結び、本制度を運営しています。

この制度によって、少年や保護者が知らないうちに、警察から学校連絡が入り、事件のことが学校側に発覚してしまう可能性があります。
私立の学校の場合には、このような協定を結んでいないことが多く、すぐには連絡がいかない場合もあります。
最後に、③についてですが、家庭裁判所の調査官が調査の一環として、少年の所属校や所属していた学校に「学校照会書」を送ることがあります。
調査官は、少年の性格や家庭環境、交友関係、学校の状況などを調査する必要があるため、少年の通ってた学校や現在在籍している学校学校での少年の様子や成績などを調べるのです。

学校には知られたくない」、「知られてしまうと退学になるおそれがある」と心配される方も多くいらっしゃると思います。
お子様が事件を起こしてしまい対応にお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
初回無料法律相談のご予約、初回接見サービスのお申込みは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

万引きと常習累犯窃盗

2019-09-23

万引きと常習累犯窃盗

万引き常習累犯窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古郡稲美町のスーパーで食料品など計5点(6,000円相当)を万引きしたとして、Aさんは兵庫県加古川警察署に逮捕されました。
Aさんは、過去にも万引きで逮捕されており、直近では2年前に懲役6月の実刑判決が言い渡され刑に服していました。
Aさんは生活に困ってやったとのことですが、窃盗の前科もあり、今回は自身がどのような処罰を受けるのか心配しています。
(フィクションです)

常習累犯窃盗について

あなたがスーパーで商品を支払うことなく店を後にしたとしましょう。
これは、いわゆる「万引き」で、刑法における「窃盗罪」に当たります。

窃盗罪とは、「他人の財物を窃取」する犯罪です。
「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物です。
つまり、他人が事実上支配し管理している他人のものをいいます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
窃盗罪が成立するには、これらの要件に加えて、次の主観的要件を満たす必要があります。
1.故意
 ①財物が他人の占有に属していること、及び、②その占有を排除して財物を自己又は第三者の占有に移すことを認識すること。
2.不法領得の意思
 不法領得の意思の要否については争いがありますが、判例では、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物として経済的用法に従い利用処分する意思」をいうと解されています。
 つまり、窃盗罪の成立要件には、故意に加えて、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として扱う意思(排除意思)と、他人の物をその経済的用法に従い、利用又は処分する意思(利用意思)から構成される「不法領得の意思」が求められます。

窃盗罪の罰則は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
あなたが万引きで捕まり、検察官に起訴され、有罪判決を言い渡された場合には、10年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金の範囲内での刑事罰が科されることになります。

万引きの場合、初犯であり、被害金額も少額で、被害弁償が済んでいれば、微罪処分として事件が処理されるケースも多く、検察官によって起訴されずに事件終了となることが多いでしょう。
しかし、過去に何度も万引きを行っていた場合には、当然ながら事件を穏便に済ませるというわけにはいきません。

窃盗罪は再犯が多い犯罪です。
窃盗罪を常習的に繰り返す「常習累犯窃盗罪」が特別法(「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律」)で規定されています。

第三条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル

当該条項は、常習累犯窃盗および常習累犯強盗について規定しており、常習としての窃盗等を行う習癖を有する者に対して、行為前野一定の前科を考慮し、その習癖のない者より重く処罰することとしています。

常習累犯窃盗とは、
①過去10年間に、窃盗罪等で6月以上の懲役刑を3回以上受けた者が
②常習として窃盗を行うこと
です。

①について、過去10年の内に、窃盗罪等で実刑判決を3回受けていれば当てはまるのですが、例えば、一回目が懲役6月の執行猶予判決、二回目が懲役1年の保護観察付執行猶予判決、三回目が懲役2年の実刑判決であった場合、一回目と二回目の執行猶予が取り消され、三回目の懲役2年の刑の執行後に、引き続き一回目と二回目の刑の執行を受けた場合においても、それらは合計3回の刑の執行を受けたことになる点に留意が必要です。
①の要件に加えて、「反復して犯罪行為を行う習癖」があるか否かという②の要件を満たして初めて常習累犯窃盗が成立するというわけです。

常習累犯窃盗は、刑法で規定されている窃盗罪より刑罰が重く規定されており、3年以上の有期懲役に処せられる可能性があります。
このように窃盗罪と常習累犯窃盗罪の法定刑は異なります。

万引きの前歴前科が多数あり、常習累犯窃盗にあたるのではとお困りであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回無料法律相談のご予約や、初回接見のお申込みは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受付しております。

児童虐待で逮捕

2019-09-22

児童虐待で逮捕

児童虐待逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神崎郡市川町に住むAさんは、娘のVちゃん(3歳)と交際相手のBさんと暮らしていました。
ある日、Vちゃんの様子がおかしいことに気が付いたAさんは、慌てて救急車を呼びましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。
Vちゃんの身体に複数のあざがあることを不審に思った病院は、兵庫県福崎警察署虐待されていた可能性があると通報しました。
AさんとBさんは兵庫県福崎警察署で事情を聞かれていますが、AさんはBさんがしつけで何度かVちゃんに手を挙げていたことがあると供述しています。
Aさんは、Bさんが刑事責任を問われるのか、また自分も何らかの罪に問われるのか心配しています。
(フィクションです)

残念ながら、児童虐待により幼い子供が亡くなるという悲惨な事件が後を絶ちません。
虐待していた大人の多くが、「しつけのつもりだった。」と供述しているようですが、子供に大けがを負わせたり死亡させてしまうようなものは「しつけ」とは言えないでしょう。

児童虐待の防止等に関する法律は、「児童虐待」を、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)がその監護する児童(18歳に満たない者)に対し、次に掲げる行為をすることと定義しています。(同法第2条)

①身体的虐待
児童の身体に外傷を生じ、又は生じさせるおそれのある暴行を加えること。
②性的虐待
児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
③ネグレクト
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による①、②、④の行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
④心理的虐待
児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

このように、児童虐待の防止等に関する法律は、「児童虐待」を定義し、児童虐待を禁止しています。(同法第3条)
しかし、本法は、児童虐待行為に対しては罰則を設けていません。

児童虐待の防止等に関する法律に定義される「児童虐待」に当たる行為を行った場合、虐待内容により以下のような犯罪に当たる可能性があります。

①身体的虐待
殴る蹴るといった身体的虐待を行った場合の多くは、暴行罪や傷害罪が適用されます。
暴行を加えた結果、児童が死亡した場合には、傷害致死罪、そして殺意があったと認められれば殺人罪が成立する可能性もあります。

②性的虐待
児童に対してわいせつな行為をしたり、裸の写真を撮るなどの行為により、監護者性交等罪や監護者わいせつ罪、児童買春・児童ポルノ法違反が成立する可能性があります。
監護者性交等罪および監護者わいせつ罪は、平成29年7月13日から施行された刑法の一部改正により新設されたものです。
18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者による影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者や性交等をした者は、暴行や脅迫を用いない場合であっても、強制わいせつ罪や強制性交等罪と同様に処罰されます。
「現に監護する者」とは、実際に児童の生活全般にわたって衣食住などの経済的な観点、生活上の指導監督などの精神的な観点から依存、被依存ないし保護・被保護の関係が認められ、かつ、その関係性に継続性が認められることが必要となります。
実親や養親は「現に監護する者」に該当し得るのですが、教師やコーチなどは生活全般にわたった関係性がないので「現に監護する者」には当たらないと考えられています。

③ネグレクト
保護責任者遺棄罪、その結果死亡させてしまうと保護責任者遺棄致死罪が成立するでしょう。

④心理的虐待
身体的虐待でなくとも、暴言を児童に吐き捨てたりすることにより、精神的に障害を負った場合には傷害罪が成立することになります。

上記ケースでは、BさんがVちゃんに対して、しつけと称して暴力を振るっていたとAさんが証言していますので、BさんはVちゃんに対する暴行罪や傷害罪、Vちゃんの死因とBさんの暴行の因果関係が立証できれば傷害致死罪や殺人罪に問われる可能性があります。
一方、Aさんはというと、Aさん自身がVちゃんに暴力を振るうことはなかったとしても、BさんがVちゃんに暴力を振るっていたことを知っておきながら何もしなかった場合には、共同正犯もしくは幇助犯として暴行罪や傷害罪、傷害致死罪などに問われる可能性があるのです。
どのような罪に問われ得るのかは、事案によって異なりますので、児童虐待を疑われているのであれば、刑事事件に詳しい弁護士に今すぐご相談ください。

刑事事件でお困りの方は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

盗撮事件で成立する犯罪とは?

2019-09-21

盗撮事件で成立する犯罪とは?

盗撮事件で成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県高砂市にあるスポーツクラブの女性更衣室にカメラを設置し盗撮したとして、兵庫県高砂警察署は、インストラクターとして当該スポーツクラブに勤務するAさんを迷惑防止条例違反の容疑で逮捕しました。
Aさんは、接見に来た弁護士に、盗撮行為は1年前から行っており、水泳教室に参加していた小学生の着替え中にも盗撮していたことを話しています。
Aさんは、今後どのような罪に問われ、最終的にどのような処分を受けることになるのか不安でなりません。
(フィクションです)

盗撮は何罪になるの?

一般的に、相手方に了解を得ずに、密かに撮影する行為を「盗撮」といいます。
盗撮犯罪です!」というポスターがあるように、盗撮行為は犯罪です。
しかし、「盗撮罪」なる犯罪はありません。
盗撮の行為内容によって、成立する犯罪は異なりますが、概して次にあげる犯罪に当たることが多いと言えるでしょう。

1.兵庫県迷惑防止条例違反

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

まず、迷惑防止条例で禁止される盗撮は、「公共の場所又は公共の乗物」、「集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所」、そして「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に限定されています。
上記ケースでは、スポーツクラブの更衣室での盗撮ですので、迷惑防止条例第3条の2第3項に規定されている「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に当たります。
また、禁止される行為は、盗撮のみならず、盗撮目的でカメラ等を向けたり設置したりする行為も含まれます。

以上より、Aさんの盗撮行為は、迷惑防止条例違反となり、その法定刑は6ヶ月の懲役または50万円以下の罰金です。
しかし、常習が認められると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と加重されます。

2.児童買春・児童ポルノ禁止法違反

さて、Aさんは小学生の着替え中も盗撮したと供述しています。
これについては、児童買春・児童ポルノ禁止法違反が成立するでしょう。
なぜならば、被写体が18歳未満の児童であるからです。

児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童ポルノの所持・提供・製造・輸出入等を禁止しています。
児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」とは、以下のものを指します。

写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの (児童買春・児童ポルノ禁止法第2条3項)

上記ケースのように、女児の裸を写したものは、三号に当たる可能性があります。
「衣服の全部又は一部を着けない」とは、社会通念上衣服と認められる物を全く着用していないか、又は衣服の一部を着用していない状態をいいます。
全裸や半裸の状態がこれに当たり、通常の水着を着ている場合にはこれに当たりません。
しかし、半透明又は透明の材質で作られた衣装等を着ている場合には、社会通念上人が着用する衣服とは認められず、「衣服の全部又は一部を着けていない姿態」に該当すると考えられます。
「殊更に」とは、問題となる写真や映像等の内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価されるものであることです。
子供が裸で水遊びをしている様子を成長の記録として撮影する場合は、内容が性欲の興奮又は刺激に向けられていると評価されるものでない限り「殊更に」とは言えず児童ポルノに当たりません。
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」とは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激することをいいます。
一部の人の性欲を興奮させ又は刺激するものであっても、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものでない限り児童ポルノには当たりません。
例えば、炎暑に半裸でプールで遊んでいる姿をニュースで報道するなどは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものとはいいがたく、児童ポルノにはあたりません。

児童買春・児童ポルノ禁止法は、盗撮により児童ポルノを製造することを禁止しており、違反に対する刑事罰を規定しています。
法定刑も、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。

以上のように、盗撮した被写体の年齢や盗撮した内容によっては、児童買春・児童ポルノ禁止法違反となる可能性があります。

これらの2つ罪に加えて、盗撮目的で更衣室に侵入した行為について建造物侵入罪が成立します。

盗撮事件であっても、件数も多く、児童買春・児童ポルノ禁止法違反として立件された場合には、公判請求の可能性も高まりますので、早期に弁護士に相談し弁護活動を開始するのがよいでしょう。

ご家族が盗撮事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

クレジットカードの不正利用

2019-09-20

クレジットカードの不正利用

クレジットカードの不正利用について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、Bさんと交際関係にあり、Aさん宅に同棲していました。
Aさんは、Bさんに日常生活で必要なものはAさん名義のクレジットカードで支払ってよいと言われ、日頃からBさんはAさん名義のクレジットカードで買い物をしていました。
(フィクションです)

他人名義のクレジットカードの不正利用

上のケースのように、他人名義のクレジットカードを名義人以外の者が使用して商品等を購入した場合、名義人から当該クレジットカードの使用を許可されていたとしても、何等かの罪が成立し得るのでしょうか。

クレジットカード取引について

クレジットカードである商品を購入した場合、次のような形で取引が行われることになります。
まず、クレジットカード会員がクレジットカード加盟店に有効なクレジットカードを提示し、これに対して加盟店が商品の提供を行います。
当該商品の代金をクレジットカード会社が立替払いし、それによって譲渡された代金債権に基づき、後日クレジットカード会社が当該クレジットカード会員に支払い請求をし、クレジットカード会員がその代金を支払います。
クレジットカード会社は、クレジットカード会員がクレジットカード会社が立替えた商品代金を後から必ず支払ってくれるとの信頼のもとにクレジットカード加盟店に立替支払いをします。
つまり、クレジットカード取引では、クレジットカード会員の個人的信用力に基づいて無担保での信用供与を可能とすることが前提条件となっているのです。

この点、他人名義のクレジットカード不正使用については、この前提条件を偽ることになり、クレジットカード会社に対する詐欺罪が成立することになります。
もし、BさんがAさんに黙ってAさんの財布からAさん名義のクレジットカードをとり、そのカードを使って買い物をしたとすれば、Aさんの財布からクレジットカードをとったBさんの行為が「窃盗罪」、そしてAさんと偽りクレジットカードを使って商品を購入したBさんの行為が「詐欺罪」となると考えられます。
それでは、Aさん名義のクレジットカードの使用をAさんがBさんに許可していた場合であっても、「詐欺罪」は成立する可能性があるのでしょうか。

詐欺罪とは

まずは、詐欺罪がどのような罪であるのか、詐欺罪が規定されている刑法第246条をみていきましょう。

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪の構成要件は、次のとおりです。
(1項)①人を欺いて
    ②財物を
    ③交付させたこと。
(2項)①人を欺いて
    ②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと。

つまり、詐欺罪の成立には、「人を欺いて錯誤を生じさせ、その錯誤に基づいて財物・財産上の利益を交付させること」が必要となります。

他人名義のクレジットカードの不正使用について、判例は、名義を偽っていることで作為による詐欺といえ、また、商品の交付が処分行為といえるとして、1項詐欺罪の成立を認めています。
判例は、「クレジットカードの規約上、会員である名義人のみがクレジットカードを利用できるものとされ、加盟店に対しクレジットカードの利用者が会員本人であることの確認義務が課されているなど判示の事実関係の下では、クレジットカードの名義人に成り済まし同カードを利用して商品を購入する行為は、仮に、名義人から同カードの使用を許可されており、かつ、自らの使用に係る同カードの利用代金が規約に従い名義人において決済されるものと誤信していたとしても、詐欺罪にあたる。」としています。(最決平16・2・9)

このように、名義人からクレジットカードの使用を許可されていたとしても、他人名義のクレジットカードを使用することは、詐欺罪に当たる可能性があるのです。

他人名義のクレジットカード不正使用に限らず、思わぬ行為が犯罪となることもあります。
あなたやあなたの家族が、刑事事件の加害者として取調べを受けており対応にお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

横領事件で事件化阻止

2019-09-19

横領事件で事件化阻止

横領事件事件化阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県朝来市にあるクリニックで経理と受付業務を行っていたAさんは、細工をしクリニックのレジから現金を抜き取る行為を繰り返していました。
Aさんは、家庭の事情でクリニックを先日退職しましたが、その後、クリニック側にAさんの不正が発覚し、クリニックからAさんに問い合わせの連絡が入りました。
「全額返してもらえなければ、兵庫県朝来警察署に被害届を出す。」と言われ、困ったAさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

横領罪とは

刑法上、罪名に「横領」が付くものには、「(単純)横領罪」、「業務上横領罪」、そして「遺失物等横領罪」の3つがあります。

横領罪

第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

本条は、他人の委託に基づいて物を占有している者が、その物を領得する行為を内容とする犯罪です。
本罪の主体は、「他人の物を占有する者」または「公務所の命によって自己の物を保管する者」です。
客体は、「自己の占有する他人の物」または「公務所から保管を命ぜられた」自己の物です。
前者の客体に関して、
①物であること
②自己が占有すること
③その占有が委託に基づくこと
④それが他人の物であること
が必要な要件となります。
ここでいう「占有」とは、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態をいいます。
また、占有が、物の所有者または公務所と、行為者との間の委託信任関係に基づくものであることが必要です。
これは、契約に限らず、事務管理、後見などの法律上の規定による場合にも生じます。

次に本罪の行為である「横領」の意義についてですが、判例・通説では、「委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為」を横領というと解されます。
この「不法領得の意思」の内容については、争いがありますが、判例によれば、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」をいうとされます。

業務上横領罪

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、業務上自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する犯罪です。
業務上の委託に基づいて他人の物を占有する者を主体とし、上の横領罪の業務者であることによる責任の加重規定です。

「業務」とは、「委託を受けて他人の物を管理(占有・保管)することを内容とする業務を反復継続しておこなう地位」を指します。
例えば、質屋、倉庫業者や職務上金銭を保管する役職員などが業務上の占有者です。
上のケースのように、経理業務も行っていたAさんは、業務上の占有者に当たるため、Aさんに対して成立し得るのは、業務上横領罪となるでしょう。

遺失物等横領罪

第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「遺失物」とは、占有者の意思によらずにその占有を離れ、いまだ誰の占有にも属してないものをいいます。
「漂流物」は、水中にある遺失物のことです。
「占有を離れた」とは、占有者の意思に基づかないでその占有を離れたことを意味します。
忘れ物、落とし物などがこれらに該当します。
トイレやベンチに置き忘れた財布などをとった場合には、遺失物等横領罪となる可能性があります。

横領罪の事件化阻止

横領罪をはじめとする犯罪を犯し、事件が被害者に発覚すると、多くの場合警察に通報・報告することにより、刑事事件として捜査が開始されることになります。
しかし、横領事件、特に業務上横領事件の場合には、被害者に多大な経済的損害が発生しており、加害者が横領した金額を回収することが被害者にとって最優先事項となることがほとんどです。
警察に被害を訴え、加害者が刑事事件の被疑者・被告人として刑事罰を受けたとしても、加害者が横領した金額がすべて被害者に戻ってくるとも限りません。
ですので、被害者が警察に被害を申告する前に、横領した金額を返済すること(もしくは、返済する約束)が出来れば、被害者が警察に被害届等を出さないと約束してもらえる可能性も十分あるのです。
このように、被害弁償を行う代わりに被害届の提出などを行わないとし、当該事件に関しては当事者間で解決したとする約束を「示談」といいます。
この示談に向けた話し合いは、当事者間で行った場合には、感情論で交渉が円滑に進まないなどのデメリットもありますので、示談交渉には弁護士を介して行うのがよいでしょう。

横領事件でお困りであれば、横領事件も取り扱う刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスについては、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

未成年者誘拐で逮捕

2019-09-18

未成年者誘拐で逮捕

未成年者誘拐事件での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
インターネットのオンラインゲームで知り合った女子高生を自宅に連れ込んだとして、未成年者誘拐の疑いで、兵庫県たつの警察署は会社員のAさんを逮捕しました。
Aさんは、女子高生に対して「家に来ないか」などと言って誘惑し、Aさんの自宅マンションに1泊させたとの疑いです。
帰宅しない女子高生の母親が心配して兵庫県たつの警察署に相談したことで事件が発覚しました。
Aさんは、「無理やり連れてきたわけではありません。」と供述してます。
(フィクションです)

未成年者誘拐とは~被誘拐者の同意の有無~

インターネットを通じて見知らぬ人と簡単に連絡が取りあえる昨今。
インターネットで知り合った未成年者を呼び出し、自宅や宿泊施設に一緒に泊まり、「未成年者誘拐事件」で逮捕されるというニュースを耳にします。

未成年者誘拐罪は、欺罔や誘惑を手段として、未成年者の意思に反しない態様で自己または第三者の事実的支配化におく犯罪です。(刑法第224条)

家出をしている少女を自宅に宿泊させるケースが多いようですが、家出をしている少女自身もお金をかけずに雨風をしのげる場所を探しているため、見知らぬ男性であっても自宅に泊まることに同意していることがほとんどです。
つまり、被害者とされる未成年者が加害者宅に泊まることに同意しているわけですが、被害者の同意があっても未成年者誘拐の罪が成立するのでしょうか。

結論から言うと、未成年者本人の同意があっても、未成年者誘拐罪は成立します。
これは、同罪の保護法益には、未成年者の自由だけでなく、保護者の監護権も含まれると理解されているからです。(大判明43・9・30)
保護監督者の承諾がない限り、未成年者本人が同意していたとしても、保護監督権が侵害されているので、未成年者誘拐罪は成立すると考えられます。

また、本罪が成立するためには、相手が未成年者であることを知っていたことが必要となります。

未成年者誘拐罪の法定刑は、3月以上7年以下の懲役です。
起訴された場合には、実刑判決を受ける可能性があります。
しかし、不起訴や執行猶予となれば、実刑を回避することができます。
そのためには、被害者との示談を成立させることが重要となります。
というのも、未成年者誘拐罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪だからです。

未成年者誘拐事件における示談交渉は、未成年者の保護者を相手方とすることになります。
一般的に、保護者は加害者に対して激しい処罰感情を抱いている場合も多く、冷静で粘り強い交渉が必要不可欠です。
そのような示談交渉は、刑事事件における示談交渉に豊富な経験を持つ弁護士に依頼されるのがよいでしょう。

未成年者誘拐事件でご家族が逮捕された方、被害者との示談交渉にお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件専門弁護士が、無料法律相談初回接見サービスを行います。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら