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AirDrop悪用で迷惑防止条例違反
AirDrop悪用で迷惑防止条例違反
AirDrop悪用での迷惑防止条例違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県警察サイバー犯罪対策課は、電車の正面に座った女性のスマートフォンにAirDropを利用してわいせつな画像を送りつけたとして、兵庫県迷惑防止条例違反の疑いで兵庫県内に住むAさんを逮捕しました。
Aさんは容疑を認めており、被害者に被害弁償を行いたいと考えています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
AirDrop痴漢事件
AirDrop(エアドロップ)は、Apple制のディバイス同士で簡単にデータファイルの受け渡しができる機能です。
周辺のApple製ディバイス間で、写真やデータファイルなどのコンテンツを共有することができるので、友達と写真を共有する際には役立つ機能です。
しかし、AirDropの受信制限の選択を「すべての人」としている場合、まったく知らない人からの送られているデータを受信する可能性も生じてしまいます。
この機能を悪用し、わいせつな画像を見ず知らずの人に送信し、受信した人の驚く顔を見て楽しむといったAirDrop痴漢事件が起きました。
警察は、AirDrop痴漢事件を各都道府県が定める迷惑防止条例違反として摘発しています。
兵庫県の迷惑防止条例は、その第3条の2において次のように規定しています。
(卑わいな行為等の禁止)
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。
当該条項は、痴漢や盗撮に対して適用されることで知られています。
AirDrop痴漢の場合も、「人にわいせつな画像を見せる」という行為が「人に対する不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たると考えられるでしょう。
また、そのような行為を行った場所が電車内であれば、「公共の乗物において」行ったのであるから、迷惑防止条例第3の2第1項第1号に該当することになります。
当該違反行為の刑事罰は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
常習として当該違反行為を行った場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と加重されます。
不起訴処分とするためには
迷惑防止条例違反は親告罪ではありませんが、被害者との示談が成立している場合には、検察官が不起訴処分とする可能性は、成立していない場合と比べて高いと言えます。
勿論、複数回違反行為を行っていたり、犯行が悪質である場合には、被害者との示談が成立していたとしても、略式起訴若しくは公判請求となる可能性はあります。
しかし、そうでない場合には、被害者との示談成立を考慮して、起訴猶予で不起訴となるケースが多く、不起訴処分を獲得し前科を回避するためには被害者との示談成立が重要となります。
痴漢事件や盗撮事件では、見ず知らずの人が被害者となることが多く、一般に加害者が被害者の連絡先を知っていることは稀です。
連絡を取るには、警察などを通して教えてもらう必要がありますが、被害者が自分の連絡先を教えることを拒否する、捜査機関が証拠隠滅のおそれから被害者との接触を避けるために、容易に被害者の連絡先を入手することは出来ません。
そのような場合には、弁護士を介して示談交渉を行うのがよいでしょう。
弁護士限りであれば、連絡先を教えてもいいと回答する被害者も多く、代理人である弁護士を通しての示談交渉は、感情論的になり交渉が決裂したり高額な示談金を請求されるといったことを回避することにもつながります。
また、法律のプロである弁護士に、しっかりとした示談書を作成してもらうことで、後々に民事事件で慰謝料等を請求されることのないようにすることもできます。
刑事事件で加害者となり、被害者との示談交渉にお困りであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
動物虐待で起訴
動物虐待で起訴
動物虐待事件での起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県相生市に住むAさんは、市内の路上にいた飼い猫1匹を連れ去り、自宅で虐待死させたとして、兵庫県相生警察署に器物損壊と動物愛護法違反の容疑で逮捕されました。
その後、Aさんは神戸地方検察庁姫路支部に同罪で起訴されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
動物虐待で成立し得る犯罪とは?
上記ケースのように、動物に対して虐待を行った場合には、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
人間に対して行った場合には、虐待の内容にもよりますが、暴行罪や傷害罪、保護責任者遺棄罪など、また、相手方が死亡してしまったのであれば、傷害致死罪や殺人罪、保護責任者遺棄致死罪が成立する可能性があります。
それでは、「動物」に対して行った場合も同様の罪が成立し得るのでしょうか。
実は、これらの罪は、客体が「人」に限定されているため、虐待の対象が「動物」である場合には成立しないのです。
しかし、以下の罪が成立する可能性がありますので、それらについてみていきましょう。
器物損壊罪
刑法第261条(器物損壊等)
前3条[公用文書等毀棄、私用文書等毀棄、建造物等損壊及び同致死傷]に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料の処する。
器物損壊罪の客体は、「前3条に規定した以外の他人の物」です。
これには、動産・不動産だけでなく、ペットなどの動物も含まれます。
器物損壊罪の行為は、「損壊」または「傷害」することです。
「損壊」というのは、物理的に壊す行為に限定されず、広く物本来の効用を失わしめる行為を含みます。
過去の裁判例では、他人の飲食器に放尿する行為(大判明42・4・16)、荷物から荷札をとりはずす行為(最判昭32・4・4)、公選法違反のポスターにシールを貼る行為(最決昭55・2・29)などが「損壊」に該当するとしています。
また、「傷害」は、客体が動物の場合に用いられます。
動物を物理的に殺傷する以外に、本来の効用を失わせる行為を含みます。
例えば、鳥かごを開けて他人の飼っていた鳥を逃がす行為や、池に飼育されている他人の鯉をいけすの柵を外して流出させる行為などです。
動物愛護条例違反
動物愛護法は、「動物の愛護及び管理に関する法律」の略称です。
動物愛護法では、愛護動物の保護として、虐待や不十分な保護について罰則を規定しています。
ここで言う「愛護動物」とは、飼育されている哺乳類・鳥類・爬虫類、そして野生の指定11動物です。(動物愛護法第44条4項)
・みだりに殺す、傷つける行為をした場合には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、
・給餌・給水しない、酷使する、健康・安全環境の悪い状態で拘束・衰弱させる、飼育中に疾病・負傷した場合に適切な保護をしない、遺棄した場合には、100万円以下の罰金が科される可能性があります。
このように、飼い猫を虐待の末殺してしまったAさんは、器物損壊罪及び動物愛護条例違反の罪で起訴されてしまったというわけです。
起訴されると
Aさんは神戸地方検察庁に起訴されてしましましたが、「起訴」されるとどうなるのでしょうか。
「起訴」というのは、「公訴の提起」のことで、裁判所に対して審判を求める意思表示のことをいいます。
公訴の提起は、検察官が裁判所に対して起訴状を提出することによって行われます。
公訴の提起には、正式裁判の手続と簡易裁判の手続(略式手続、即決裁判手続)とがあります。
検察官が裁判所に対して正式裁判を求めることを「公判請求」といい、検察官が公判請求せずに略式手続による裁判を請求することを「略式請求(起訴)」といいます。
公判請求されると、公判手続に移行し、公開法廷での裁判が行われます。
事実を争う場合には無罪判決を、事実を認める場合には執行猶予判決の獲得に向けて入念に公判準備をする必要があります。
一方、略式請求となれば、簡易裁判所が、原則として、検察官の提出した資料のみに基づいて、公判を開かずに、略式命令により罰金又は科料を科す手続に移行します。
公判が開かれませんので、公判の準備に時間をさく必要もなく、公開法廷に出席することもないという点で被疑者・被告人にとってメリットがあると言えるでしょう。
また、身柄が拘束されている場合には、解放されるので、被疑者・被告人の早期社会復帰を実現させることもできます。
ただ、略式手続では、被疑者・被告人が自身の主張をする機会はなく、事実を認めていることを前提に有罪判決を下されることに留意が必要です。
略式手続であっても有罪判決が言い渡されることに変わりはありませんので、前科が付くことになります。
略式請求する際には、検察官が被疑者にそれで良いか必ず聞かれますので、どうすればよいか分からない時は、弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
あなたやあなたの家族が刑事事件の被疑者・被告人となってしまいお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
少年事件における弁護人・付添人の選任
少年事件における弁護人・付添人の選任
少年事件における弁護人・付添人の選任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加古郡播磨町に住む中学生のAくん(14歳)は、帰宅途中の女子児童のおしりを服の上から触ったとして、兵庫県加古川警察署に迷惑防止条例違反の疑い取調べを受けました。
逮捕されることはありませんでしたが、どうやらAくんには他にも同様の事件を起こしていたようで、警察からは「あと何度か警察で取調べをした後、検察に送致されて、その後家庭裁判所に事件が送られることになる。」と言われ、今後どのような手続を踏み、どんな処分が言い渡されることになるのか、AくんもAくんの両親も心配です。
Aくんの両親は、少年事件に詳しい弁護士に相談してみようかと話をしています。
(フィクションです)
少年事件の流れ
少年法は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合及び犯罪の嫌疑はなくとも家庭裁判所の審判に付すべく事由がある場合には、全ての事件を家庭裁判所に送致することを義務付けています。
これの趣旨は、たとえ非行事実が軽微なものであっても、その背後には様々な問題が存在する場合が多く、家庭裁判所に全ての事件を送致させ、そこで行われる少年に対する科学的調査を踏まえて保護処分と刑事処分のいずれかが相当であるかを判断させようとする点にあります。
家庭裁判所に送致される「少年」は、大きく次の3つに分けられます。
①罪を犯した少年(「犯罪少年」)
②14歳未満の者で刑罰法令に触れる行為をした少年(「触法少年」)
③次に掲げる事由があり、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年(「ぐ犯少年」)
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
ロ 正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人との交際、又はいかがわしい場所に出入りすること
二 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること
①の犯罪少年については、家庭裁判所送致前の捜査段階では、刑事訴訟法が適用されるので、成人の刑事事件の場合とほぼ同様の手続を踏むことになります。
ですので、「被疑者」として捜査の対象となれば、少年は「弁護人」を選任することもできます。
弁護人は、違法・不当な捜査活動がなされないよう監視したり、被害者がいる事件では被害者と示談交渉を行う等、被疑者である少年の権利や利益を擁護する役割を担っており、早期に弁護人を選任し弁護活動を行ってもらうことが重要です。
弁護人は、「国選弁護人」と「私選弁護人」とに分けられます。
ここでいう国選弁護人は、被疑者国選弁護制度を利用し国が選任した弁護人です。
被疑者に対して勾留状が発せられており、被疑者が貧困その他の事由によって弁護人を選任することができない場合に、裁判官に対して国選弁護人の選任を請求することができます。
しかし、被疑者国選弁護の対象事件は、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」に限れらますので、上記ケースにおいては被疑者国選弁護の対象事件には当たらないことになります。
一方、少年やその家族によって自由に選任する弁護人を「私選弁護人」といい、費用は自己負担ですが、身柄在宅にかかわらず、どの段階でも選任することが可能です。
先述しましたが、原則すべての少年事件は家庭裁判所に送致されます。
少年事件では、捜査段階の弁護人選任の効力が家庭裁判所に送致された時点で失われ、家庭裁判所送致後に改めて「付添人」として選任される必要があることに注意が必要です。
家庭裁判所送致後、少年の権利を擁護し、その代弁者としての性格と、少年保護事件の目的が適正に実現されるよう家庭裁判所に協力し援助するという役割を付添人は担っています。
この付添人にも、私選付添人と国選付添人とがあります。
少年法は、国選付添人の場合を除き、付添人の資格について特に設けていません。
少年及び保護者は、私選付添人を家庭裁判所に事件が係属した後はいつでも選任することができます。
国選付添人には、次の2つがあります。
①裁量的国選付添人
家庭裁判所は、犯罪少年又は触法少年のうち、死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪に該当する非行に及んだ者について、観護措置がとられており、かつ、弁護士の付添人がいない場合には、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮して、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付すことができます。
②必要的国選付添人
家庭裁判所は、前述した裁量的国選付添人対象事件のうち、非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときは、決定をもって、審判に検察官を出席させることができ、この決定をした場合において、家庭裁判所は少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなけらばなりません。
このように、被疑者国選弁護人と同様に、国選付添人対象事件は一定の重大事件に限られており、上記ケースは該当せず、国選付添人を選任することはできません。
少年審判においては、非行事実のみならず要保護性も審理対象となり、非行自体が軽微なものであっても、要保護性が高いと判断されれば、身体拘束を伴う保護処分が言い渡される可能性もあります。
そのような事態を回避するためにも、早期の段階から刑事事件・少年事件に精通する弁護士を弁護人・付添人として選任するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。

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犯人隠避で逮捕されたら
犯人隠避で逮捕されたら
犯人隠避での逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県芦屋市の道路上で、あおり運転をした上、Vさんの車を停車させ、Vさんの顔を数回殴り怪我を負わせたとして、兵庫県芦屋警察署は、Aさんを傷害容疑で指名手配しました。
兵庫県芦屋警察署は、Aさんの交際相手であるBさんの自宅でAさんの身柄を確保しました。
一緒に居たBさんは、犯人隠避容疑などで逮捕されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
茨城県のあおり運転殴打事件がこの夏世間を騒がせましたが、あおり運転をした男性と一緒に居た女性についても話題になっていますね。
この女性も、犯人隠避の容疑などで逮捕されることとなりましたが、「犯人隠避罪」とはどのような罪でしょうか。
犯人隠避罪について
犯人隠避罪は、刑法の第103条に規定されている犯罪です。
第百三条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
犯人隠避罪の構成要件は、次の通りです。
①罰金以上の刑にあたる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を
②隠避させたこと。
本罪の意義は、犯人や逃走者を蔵匿・隠避し、刑事裁判や刑の執行を免れさせることにより、国家の刑事司法作用を侵害することを防止することにあります。
本罪の主体は、犯人以外の者です。
犯人自身がみずから蔵匿・隠避する行為は、類型的に期待可能性がないため不可罰とされています。
本罪の客体は、「罰金以上の刑にあたる罪を犯した者または拘禁中逃走した者」です。
「罪を犯した者」は、訴追・処罰の可能性がある者でなければなりません。
「罪を犯した者」の意義については、争いがありますが、最高裁判例は、犯罪の嫌疑を受けて捜査または訴追されている者とする立場をとっています。(最判昭24・8・9)
告訴権の消滅、時効の完成などにより訴追・処罰の可能性がなくなった者は、本罪の客体とはなりません。
保釈中の被告人も「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」にあたります。
また、「拘束中に逃走した者」とは、法令により拘禁されている間に逃走した者をいいます。
本罪の行為である「隠避」は、「蔵匿」以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れしめるべき一切の行為をいいます。
「蔵匿」とは、官憲による発見・逮捕を免れるべき隠匿場所を提供することです。
逃走のための資金調達、身代わり犯人を立てる、逃走中の者に捜査の形勢を知らせて逃走の便宜を与えるなどの行為が「隠避」にあたります。
犯人隠避罪について、犯人または逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができるとされています。(刑法第105条)
これは、親族間の自然の人情から、親族の犯罪者を匿ったり、身内の犯罪の証拠を隠す行為は期待可能性が乏しいことから、責任が軽くなるとする点に親族による犯罪に関する特例の趣旨です。
犯人隠避罪で逮捕されたら、逮捕から48時間以内に警察は被疑者を釈放するか、検察に送致するかを決めます。
検察に送致された場合、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか、勾留請求をするかを決定します。
検察官が勾留請求した場合、被疑者の身柄は裁判所に移り、裁判官は被疑者と面談した上で、当該被疑者を勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、被疑者は検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となります。
その間は、学校や職場に行くことができませんので、最悪の場合、退学や解雇となる可能性もあります。
そのような事態を回避するため、逮捕されたら早期に弁護士に相談し、身柄解放活動を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
初回の法律相談料は無料、また、法律相談・接見面会は、土日祝日、夜間でも対応可能です。兵庫県神戸市を中心に、逮捕前・逮捕後を問わず、ご用命があれば、弁護士が素早い対応を致します。相談したいけれど遠方、障害、発熱などの事情で事務所まで行けないという方には、オンライン相談や電話相談も行っています。ぜひご相談ください。
あおり運転で刑事事件
あおり運転で刑事事件
あおり運転での刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
お盆期間中に世間を騒がせた「あおり運転」による傷害事件。
茨城県の常盤自動車道で、「あおり運転」をした上、道路上に車を停車し、後方を走る被害者の車も停車させ、「殺すぞ」などと怒鳴りながら被害者の顔を数回殴り怪我をさせたというものです。
被害者の車に搭載されていたドライブレコーダーの映像から、加害者が運転していた車が割り出されましたが、同様の事件が他にも起きているということです。
2017年6月に起こった、パーキングエリアで駐車方法を注意されたことに腹を立て、被害者家族が乗るワゴン車の前に割り込み、減速して接近させる妨害を繰り返した末、追い越し車線で停止させ被害者に対して暴行を加え、後方からやってきた車による追突事故を引き起こした事件により、「あおり運転」の危険性について再認識したことは記憶に新しいところです。
以後も、「あおり運転」による事故や事件が後を絶ちません。
「あおり運転」とは、道路を走行する車に対して、周囲の運転者が運転中に煽ることで、道路における交通の危険を生じさせる行為のことをいいます。
具体的には、前方を走行する車に対して、車間距離を異様に詰める、無理な割込み後の急ブレーキ、ハイビーム・パッシング・クラクション、幅寄せや罵声を浴びせるなどの嫌がらせ行為が挙げられます。
このような「あおり運転」を行ったことにたいしては、どのような犯罪が成立し得るのでしょうか。
「あおり運転」は重大事故を引き起こす可能性がある危険な運転です。
そのため、実際に事故にならなくとも、「あおり運転」とみなされる運転行為を行った場合にも「道路交通法違反」や刑法の「暴行罪」が成立する可能性があります。
1.道路交通法違反
道路交通法は、「あおり運転罪」なる罪を設けているわけではありません。
「あおり運転」とみなされる個々の運転行為が、道路交通法に違反するのです。
以下、よくある「あおり運転」の行為についてみていきましょう。
(A)車間距離を必要以上に詰める行為:車間距離所持義務違反
第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
車間距離所持義務違反の罰則は、高速道路を走行中のケースでは、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、その他の道路を走行中のケースでは、5万円以下の罰金です。
(B)隣の車線に車を幅寄せする行為:進路変更禁止違反
第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。
罰則は、5万円以下の罰金です。
(C)急ブレーキをかける行為:急ブレーキ禁止違反
第二十四条 車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。
罰則は、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金です。
2.暴行罪
刑法第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪の「暴行」とは、「不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる」場合を指します。
殴る蹴るといった暴力のみならず、狭い四畳半の部屋で在室中の被害者を脅かすために、日本刀の抜き身を振り回す行為も「暴行」に当たります。
「あおり運転」の場合、車間距離の接近、幅寄せや威嚇といった行為が「有形力の行使」に当たるとみなされると、暴行罪が適用される可能性があります。
このように、あおり運転とみなされる運転行為を行っただけでも、道路交通法違反や暴行罪が成立し、刑事事件として処理されることになります。
また、あおり運転の結果、相手方に怪我を負わせてしまった、或いは死亡させしまった場合には、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)に該当する可能性があります。
ご家族があおり運転で逮捕されてお困りであれば、交通事件も取り扱う刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
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嫌がらせ行為で迷惑防止条例違反
嫌がらせ行為で迷惑防止条例違反
迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
ある日、兵庫県赤穂郡上郡町に住むVさん宅の前に、ビニール袋に入った生ごみが投棄されているのをVさんが発見しました。
その後も自宅前へのごみ投棄は続いたので、Vさんは兵庫県相生警察署に相談することにしました。
Vさんは自宅に防犯カメラを設置したところ、防犯カメラの映像から以前トラブルがあったAさんの犯行であることが判明しました。
兵庫県相生警察署は、Aさん宅を訪れ、迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)の容疑でAさんを逮捕しました。
迷惑防止条例違反~嫌がらせ行為~
迷惑防止条例とは、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」の通称で、盗撮や痴漢を禁止している条例として知られるところです。
この迷惑防止条例が禁止している行為として、第10条の2に「嫌がらせ行為」が定められています。
第10条の2 何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、執ように又は反復して行う次に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第3項に規定するストーカー行為を除く。以下「嫌がらせ行為」という。)をしてはならない。
①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること(身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。次号から第4号までにおいて同じ。)。
②その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
③面会その他の義務のないことを行うことを要求すること。
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールその他の電気通信(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第1号に規定する電気通信であって、特定の者に対して通信文その他の情報をその使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に表示されるようにすることにより伝達するための方法をいう。)の送信をすること。
⑥汚物、動物の死体その他の著しく不快若しくは嫌悪の情を催させるような物又は当該情を催させるようなものを視覚若しくは聴覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第8号において同じ。)その他の記録を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
⑦その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物若しくはその性的羞恥心を害するものを視覚若しくは聴覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。
条文の文言は、ストーカー規制法違反の「ストーカー行為」の定義と似ていますね。
ストーカー規制法の「ストーカー行為」と迷惑防止条例の「嫌がらせ行為」との大きな違いは、その「目的」です。
「ストーカー行為」は、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の者やその家族等に対して①~⑧の行為を繰り返して行う行為です。
一方、「嫌がらせ行為」は、特定の者に対して①~⑧の行為を繰り返して行う行為を意味し、「ストーカー行為」に当たる行為は除きます。
恋愛感情なく、単なる「嫌がらせ」や「いじめ」として①~⑧の行為を繰り返していた場合には、ストーカー規制法の「ストーカー行為」ではなく、迷惑防止条例の「嫌がらせ行為」となります。
上記ケースにおいて、Aさんは以前Vさんと何らかの問題があったようですので、この問題が恋愛うんぬんではなく、今回の行為も単なる「仕返し」や「嫌がらせ」のつもりであったならば、迷惑防止条例の「嫌がらせ行為」に当たるでしょう。
嫌がらせ行為の法定刑は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
常習としての場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と更に重くなります。
被害者がいる事件では、被害者との示談が事件解決の重要なポイントとなります。
被害者との示談交渉は、弁護士に任せるのがよいでしょう。
迷惑防止条例違反でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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当事務所には、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士をはじめ刑事事件・少年事件の知識・経験の豊富な職員が多く在籍しております。
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覚せい剤の所持・使用で逮捕
覚せい剤の所持・使用で逮捕
覚せい剤の所持・使用の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市須磨区に住むAさんは、覚せい剤取締法違反(所持・使用)の容疑で兵庫県須磨警察署に逮捕されました。
Aさんは、逮捕に引き続き勾留となり、接見禁止が付されているため家族と面会することもできません。
Aさんの家族は、「このまま裁判まで身柄拘束されたままなのか、釈放される可能性はないのか。」ととても心配しています。
(フィクションです)
覚せい剤取締法違反の罪
覚せい剤取締法は、「覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締を行う」ことを目的とした法律です。
覚せい剤取締法において規制の対象となる「覚せい剤」とは、
・フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及びその塩類
・上と同種の覚醒作用を有する者であって政令で指定するもの
・上の2つのいずれかを含有するもの
と定義されています。
ですので、覚せい剤取締法が規制の対象としているのは、必ずしも純粋な覚せい剤に限るものではなく、混合されたものであっても「覚せい剤」に当たることになります。
また、覚せい剤が他のものと混合し、覚せい剤の含有量が少量であっても、「覚せい剤」に当たります。
先述したように、覚せい剤取締法は、除外事由なく覚せい剤の輸入・輸出・所持・製造・譲渡・譲受・使用を禁止しています。
ここでは、上記ケースで容疑がかけられている「所持罪」と「使用罪」について説明します。
所持罪
覚せい剤取締法14条は、覚せい剤製造業者等の一定の資格を有する者が所持する場合等を除いて、覚せい剤の所持を禁止しています。
覚せい剤の所持罪は、①「覚せい剤を」、②「みだりに」、③「所持すること」、により成立する犯罪です。
「所持」とは、どのような行為を指すのでしょうか。
「所持」とは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場所における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」とされます。(最大判昭30・12・21)
つまり、覚せい剤の所持は、「覚せい剤を自己の支配下に置く行為」となります。
過去の判例では、次のような場合も「所持」が認められています。
・物理的に把持する必要はなく、その存在を認識して管理し得る状態にある場合
・直接所持しなくてもよく、他人の行為を介して自己の所持を実現したと認められる場合
・所有者でない場合
・比較的短時間の携帯にすぎない場合
また、所持罪が成立するためには、「覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること」(=故意)が必要となります。
覚せい剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けばそれだけで所持罪が成立し、積極的に覚せい剤を自己又は他人のために保管する意思や、自己使用又は第三者に使用させる意思などは必要ありません。
所持については未遂罪も処罰されます。
他人から覚せい剤の保管を頼まれ、これを承諾し、覚せい剤を預かり保管するために受け取ろうとした時点で逮捕された場合も、未遂罪が成立することになります。
所持罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
営利目的での所持は、1年以上の有期懲役、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金です。
使用罪
覚せい剤の使用は、以下の場合を除いて禁止されています。
・覚せい剤製造業者が製造するため使用する場合
・覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合
・覚せい剤研究者が研究のために施用する場合
・覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
・法令に基づいてする行為につき使用する場合
このような法定の除外事由がないのに覚せい剤を「使用」してはなりません。
「使用」とは、覚せい剤をその用途に従って用いる一切の行為をいいます。
自分に対して使用している場合だけでなく、人に頼まれて覚せい剤を注射した場合も「使用」したことになります。
むろん、使用罪は故意犯であるため、行為者が「法定の除外事由がないのに、覚せい剤を使用することを認識・認容していることが必要となります。
使用罪の法定刑は、10年以下の懲役で、営利目的での使用は、1年以上の有期懲役、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金です。
このように、覚せい剤取締法違反の罪は非常に重い刑罰が設けられています。
また、覚せい剤事件で逮捕されると、かなりの確率でその後勾留となります。
共犯者との接触を防ぐため、弁護士以外との面会を禁止する接見禁止が付される可能性も高いです。
ご家族が覚せい剤事件で逮捕されてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、兵庫県神戸市にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を取り扱う法律事務所です。
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職務強要事件で逮捕
職務強要事件で逮捕
職務強要罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県加西警察署は、兵庫県加西市に住むAさんを職務強要の容疑で逮捕しました。
Aさんは、同市にある処理施設で、焼却炉の検査に来た県保健所の職員に対して、県の許可が必要ない小型焼却炉として認めさせようと、「これで通せ。殺してやる。」などと脅迫し、職務を強要した疑いがあるとのことです。
Aさんは容疑を否認しています。
(読売新聞オンライン2019年8月7日掲載記事を基にしたフィクションです)
職務強要罪について
職務強要罪は、刑法第95条第2項に規定されています。
第九十五条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。
本条の第1項には、ニュースでもよく聞く「公務執行妨害罪」が規定されています。
職務強要罪は、公務執行妨害罪と同じく、公務の円滑な遂行をその保護法益(法律によって保護される利益)とするものです。
職務強要罪は、公務員の将来の職務執行に向けられる点で、職務の現実の執行に向けられる公務執行妨害罪とは異なります。
職務強要罪の構成要件は、
①公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、
②暴行又は脅迫を加えたこと
となります。
①「公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために」
職務強要罪の客体である「公務員」とは、「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員」をいいます。
強要の対象となる処分は、当該公務員の職務に関係のある処分であればよく、職務権限外の処分でもよいとされています。(最判昭28・1・22)
また、職務強要罪の成立には、結果として目的(ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるという目的)が達成されたことは必要ありません。
②「暴行又は脅迫を加えた」
「暴行」とは、人に対する不法な有形力の行使をいい、「脅迫」は、恐怖心を起こさせる目的で他人に害悪の告知をすることをいいます。
職務強要罪と似た犯罪として、「強要罪」があります。
強要罪は、刑法223条に規定されています。
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
このように、強要罪は、暴行・脅迫により、人に義務のないことを行わせる等する犯罪です。
職務強要罪と異なるのは、強要罪は結果として被害者において義務のないことを行われたことが必要である点です。
強要罪は未遂犯も処罰されますが、職務強要罪は、例え結果として目的を達成できなかったとしても未遂犯ではなく既遂犯として成立します。
所定の目的で暴行・脅迫を加えた時点で既遂となりますので、上記ケースにおいて、Aさんは保健所の職員に対して、小型焼却炉として自己若しくは会社所有の焼却炉を許可するよう脅迫を用いて強要していますので、既遂となり職務強要罪が成立するものと考えられるでしょう。
兵庫県の刑事事件でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお気軽にご相談ください。
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過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪
過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪
過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神崎郡福崎町の道路で、10代の男女5人が乗った軽乗用車が道路脇の縁石にぶつかり横転し、乗っていたVくんが車外に投げ出され、頭などを強く打って死亡し、他の4名も重軽傷を負う事故が起きました。
兵庫県福崎警察署は、運転していたAさんを過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕しましたが、軽乗用車の定員は4人で現場の制限速度は時速30キロだったのですが、事故当時は時速80キロほど出していたと供述しており、警察は危険運転致死傷に切り替えて調べることになると言われています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)
人身事故で問われる罪とは
乗用車やバイクなどを運転し、人身事故を起こしてしまった場合、免許停止や免許取消などの行政処分の他に、刑事処分が科されるおそれがあります。
人身事故を起こした場合に問われ得る罪は、主に、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下「自動車運転処罰法」といいます。)に規定されています。
1.過失運転致死傷罪
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
「自動車の運転上必要な注意を怠」った結果、人に怪我を負わせたり、死なせてしまった場合に適用される罪です。
運転をする上の「過失」=「不注意」には、前方不注意やわき見運転、巻き込み確認を怠ったことや、ウィンカーを出さずに車線変更したこと、歩行者の飛び出しに気づかなかったことなどが含まれます。
上記ケースにおいて、例えば、Aさんがわき見運転をして道路脇の縁石にぶつかったのであれば、過失運転致死傷罪が適用されるものと考えられます。
2.危険運転致死傷罪
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
危険運転の類型は、
①酩酊運転致死傷・薬物運転致死傷(第2条第1号)
②準酩酊運転致死傷・準薬物運転致死傷(第3条第1号)
③病気運転致死傷(第3条第2項)
④制御困難運転致死傷(第2条第2号)
⑤未熟運転致死傷(第2条第3号)
⑥妨害運転致死傷(第2条第4号)
⑦信号無視運転致死傷(第2条第5号)
⑧通行禁止道路運転致死傷(第2条第6号)
です。
上記ケースにおいては、Aくんが法定速度30キロのところ80キロで走行していたということですので、かなりのスピードを出していたことが想像されますので、④に該当すると考えられます。
過去の判例では、「進行を制御することが困難な高速度」について、「速度が速すぎるため自動車を道路の状況に応じて進行させることが困難な速度をいい、具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の形状、路面の状況などの道路の状況、車両の構造、性能等の客観的事実に照らし、あるいは、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって、自車を進路から逸脱させて事故を発生させることになるような速度をいうと解される。」と考えられています。(東京高裁判決平成22年12月10日)
上の判例のように、様々な状況に基づき、「進行を制御することが困難な高速度」で車を運転したか否かが判断されることになります。
過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪の法定刑は大きく異なります。
危険運転致死傷罪は成立せず、過失運転致死傷罪となることを客観的な証拠に基づいて立証する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含む刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
過失運転致死傷事件・危険運転致死傷事件で加害者となり、その対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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強制わいせつ事件と示談
強制わいせつ事件と示談
強制わいせつ事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県丹波市に住むAさんは、市内のマンションエレベーター内において、未成年の女性Vさんに対して、無理やり身体を触るなどわいせつな行為をしたとして、兵庫県丹波警察署に強制わいせつの容疑で逮捕されました。
Aさんは容疑を認めており、被害者に対して謝罪と被害弁償をしたいと申し出ています。
接見に訪れた弁護士に、「被害者と示談ができれば処分はどうなりますか?」とAさんは質問しています。
(フィクションです)
強制わいせつ罪とは?
上記のケースにおいて、Aさんは「強制わいせつ罪」という罪に問われています。
強制わいせつ罪は、刑法第176条に規定されています。
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪の構成要件は、以下のとおりです。
①13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いて、わいせつな行為をする。
②13歳未満の男女に対して、わいせつな行為をする。
被害者の年齢によって、わいせつな行為を強要する手段としての暴行・脅迫が必要となるか否かは異なります。
「わいせつな行為」というのは、性的な意味を有し、本人の性的羞恥心の対象となるような行為をいいます。
胸や陰部を触るなどの行為だけでなく、キスも「わいせつな行為」に当たる可能性があります。
わいせつな行為を強要する手段としての暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧する程度のものである必要はありませんが、犯行を著しく困難にする程度のものであることが必要です。
この判断は、犯人や被害者の年齢、犯行の状況、凶器の有無等に基づいてされます。
なお、暴行自体がわいせつな行為である場合にも、強制わいせつ罪が成立します。
つまり、殴るといった暴行を加えずとも、胸を触るという行為それ自体が強制わいせつ罪の手段でる「暴行」であると同時に「わいせつな行為」でもある場合です。
また、13歳未満の者を13歳以上であると誤信して、暴行・脅迫によらずわいせつな行為をした場合には、故意がなく強制わいせつ罪が成立しないことになります。
強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役と、罰金刑がなく比較的重い罪です。
示談で不起訴となる可能性は?
強制わいせつ事件は、被害者がいる事件ですので、重要な弁護活動のひとつに被害者との示談交渉があげられます。
示談とは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方で、被害者は被害届の提出を行わない等、当事者間では今回の事件は解決したと約束することをいいます。
強制わいせつ罪は親告罪ではありませんので、被害者との示談が成立し、告訴が取り下げられたとしても、検察官は公訴を提起することができます。
しかし、被害者との示談が成立しており、被害者からの許しも得ることができている場合には、検察官が公訴を提起しない決定をする可能性が高いと言えます。
被害者との示談交渉は、通常、弁護士を介して行われます。
多くの場合、被害者は加害者と直接連絡をとることを嫌がられますが、弁護士限りであればコンタクトをとり話を聞いてもよいというケースが多くなっています。
また、当人同士で交渉すると、感情論的になり、交渉が決裂したり、不相当に過大な金額での示談解決となってしまう可能性もあります。
弁護士が間に入ることにより、冷静な交渉により両者が納得できる内容での示談締結が図りやすいでしょう。
ですので、ご家族やご友人が強制わいせつ事件で逮捕されてしまいお困りの方、被害者との示談交渉でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

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