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身柄解放活動①~逮捕から勾留まで~

2019-08-17

身柄解放活動①~逮捕から勾留まで~

逮捕から勾留までの身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県南あわじ市の玉ねぎ農家の玉ねぎ畑に何者かが侵入し、大量の玉ねぎが盗まれるという事件が起きました。
兵庫県南あわじ警察署は、被害届の提出を受けて捜査に乗り出しました。
警察の地道な捜査の結果、県内に住むAさんの犯行であることが判明し、Aさんの自宅に赴き、家宅捜索後に窃盗の容疑でAさんを逮捕しました。
Aさんは、今後どのような流れになるのか、このまま留置施設に拘束されたままになるのか、気が気でなりません。
(フィクションです)

窃盗事件で逮捕されたら~逮捕から勾留までの流れ~

上記ケースでは、Aさんが玉ねぎ畑に勝手に入り、無断で玉ねぎを盗んでいます。
これらの行為により、窃盗と軽犯罪法違反(立ち入り場所等侵入の罪)が成立することになります。
Aさんは、警察に上の罪を犯したとして逮捕されましたが、その後、Aさんはどうなるのでしょうか。

逮捕から送致まで

Aさんは、逮捕後、兵庫県あわじ警察署で取調べを受けることになります。
警察は、被疑者を逮捕すると、「弁解録取書」を作成します。
この「弁解録取書」には、逮捕事実の認否、認めの場合には動機、弁護人をどうするか否かについてが記載されます。
「弁解録取書」の他に、事件の詳細について聞き取った内容の調書と被疑者の「身上経歴書」が作成されます。
警察は、逮捕から48時間以内に、被疑者を釈放するか、それとも検察に送致するかを決めます。
「送致」とは、刑事事件の被疑者本人や、刑事事件の証拠や資料などを検察官に引き継ぐことをいいます。
警察が被疑者を釈放するか送致するかの判断は、被疑者を留置する必要があるか否かにあります。
更に詳しくいうと、被疑者が犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由があり、被疑者が逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあると疑うに足りる相当な理由がある場合に、検察への送致がなされます。

送致後

兵庫県では、午前中に検察への送致が行われます。
Aさんは、兵庫県南あわじ署を9時頃に出発し、神戸地方検察庁洲本支部に向かいます。
神戸地方検察庁洲本支部は、Aさんの身柄と先述した書類や証拠品などを一緒に検察庁に送致します。
担当検察官は、Aさんと面談します。(これを「弁解録取」といいます。)
その後、担当検察官は、その後も継続してAさんを拘束する必要があると認める場合には、裁判官に対して勾留の請求を行います。(これを「勾留請求」といいます。)
勾留」というのは、被疑者や被告人を刑事施設に拘束することです。
この「勾留」には、起訴前の勾留(「被疑者勾留」)と起訴後の勾留(「被告人勾留」)の2種類がありますが、ここでは「被疑者勾留」について説明します。
検察官が勾留の必要がないと判断すれば、Aさんは釈放となります。

勾留請求となったAさんは、検察に送致された日の午後に、検察庁から裁判所に身柄を移し、今度は裁判官と面談することになります。(これを「勾留質問」といいます。)
勾留質問を終えた裁判官は、勾留の要件を満たしている場合に、Aさんを勾留するとの決定を出します。

被疑者を勾留するには、勾留の「理由」および、勾留の「必要性」がなければなりません。

勾留の理由
・被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ、
・住所不定、罪証隠滅のおそれ、若しくは逃亡のおそれの少なくとも1つに該当する場合。

勾留の必要性
被疑者を勾留することによって得られる利益と、これによって被る被疑者の不利益を比較衡量した上で、被疑者を勾留する必要がある場合。

これらの要件を満たしている場合に、裁判官は勾留の決定を行います。

身柄解放活動

逮捕から勾留までの段階での身柄解放活動は、弁護士は勾留を阻止することを目標とし行われます。

1.検察に送致された段階

警察がAさんを検察に送致した場合、弁護士は、担当検察官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。
具体的には、Aさんは勾留要件を満たしていない旨を主張した意見書を担当検察官に提出します。
意見書には、Aさん作成の誓約書、Aさんの家族作成の上申書や身元引受書を付せ、客観的に罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを主張します。
これにより、検察官が裁判官に対して勾留請求をしないよう働きかけます。

2.勾留請求した場合

上の働きかけにもかかわらず、検察官が勾留請求をした場合には、弁護士は、裁判官に対して勾留決定をしないよう働きかけます。
勾留要件をを満たしていない旨を意見書を通じて裁判官に主張します。

検察に送致された日に勾留決定まで行われます。
勾留を阻止するためには、送致から勾留決定までの短期間に上記の活動を行う必要があります。
このような活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。
刑事事件に強い弁護士であれば、刑事事件の流れや提出すべき書面・資料をきちんと把握していますので、素早く的確に動くことが期待されます。

あなたの家族が逮捕されてしまったのであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
勾留阻止を目指して尽力いたします。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人の違いは?②

2019-08-16

当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人の違いは?②

国選弁護人私選弁護人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区に住むAさんは、SNSで知り合った未成年者Vさんに裸の写真を撮らせ、Aさんの携帯電話にその画像を送らせたとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造罪)の疑いで、兵庫県灘警察署に逮捕されました。
Aさんは、突然の逮捕に動揺しており、取調べにもどのように対応すればよいか分からず困っています。
ドラマで逮捕された被疑者が「弁護士を呼んでください」と言っている場面を思い出したAさんは、「自分も弁護士を呼ぶことができるのか」、「呼ぶことができるのなら、いつ呼べるのか」と気が気でなりません。
(フィクションです)

突然の逮捕!被疑者となったらすぐに弁護士を呼べるの?

前回は、刑事事件を起こして逮捕された場合には、逮捕された被疑者が弁護士と接見する権利があること、そして「当番弁護士」制度というものがあることをご紹介しました。
今回は、「国選弁護人」と「私選弁護人」についてご紹介したいと思います。

刑事手続において、被疑者・被告人の権利を正当に行使し、正当な利益を擁護する「弁護人」の活動が重視されます。

憲法第34条前段は、身柄の拘束を受けている者に対し、憲法第37条3項は、被告人に対して、「弁護人依頼権」を保障しています。

第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

刑事訴訟法は、全ての被疑者・被告人に対し「弁護人選任権」を保障しています。

第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。

弁護人の資格として「弁護士」であることが必要とされますが、地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所では、裁判所の許可を受けて、弁護士でない者を弁護人に選任することもできます。

弁護人は、選任方式の違いにより、「国選弁護人」と「私選弁護人」に区別されます。

(2)国選弁護人

国選弁護人」は、裁判所、裁判長または裁判官が選任する弁護人です。
国選弁護人は、「被告人国選弁護」と「被疑者国選弁護」の2つの制度によって就任する弁護人です。 

(ア)被疑者国選弁護
被疑者に対して勾留状が発せられている場合で、被疑者が貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときには、裁判官に対し、国選弁護人の選任を請求することができます。

(イ)被告人国選弁護
被告人は、貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判所に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができます。

国選弁護人は、費用を国が負担してくれるので、経済面でメリットが大きいのですが、必ずしも刑事事件に詳しい弁護士が選任されるわけではありません。
また、被疑者段階では、勾留前から選任することは出来ませんので、逮捕後すぐに勾留阻止を目指した活動を依頼することはできないというデメリットがあります。

(3)私選弁護人

私選弁護人」というのは、被疑者・被告人、および一定の関係人が選任した弁護人のことです。
被疑者・被告人またはその家族らが、自分たちで弁護士を選び、弁護人として選任しますので、自分に合った弁護士弁護人として選任できるというメリットがあります。
医者にも内科医や外科医がいるように、弁護士もある特定の分野に特化していることが多く、刑事事件専門の弁護士であれば、適切かつ迅速に対応してくれることが期待できます。
一方、デメリットとしては、弁護士費用を自己負担しなければなりませんので、費用面で工面することが出来ない場合には、国選弁護人を検討されるのもオプションのひとつです。
私選弁護人は、逮捕されているされていないにかかわらず、選任することができます。
ですので、逮捕される可能性がある場合には、事前に私選弁護人を選任し、逮捕回避の活動や逮捕された場合に備えたアドバイス、逮捕後ただちに接見に来てくれるよう予め備えておくことができます。
また、逮捕直後に選任すれば、逮捕後の勾留を阻止すべく、検察官や裁判官などに働きかけ、勾留回避の可能性を高めることができます。

ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約を24時間受け付けております。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人の違いは?①

2019-08-15

当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人の違いは?①

当番弁護士について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区に住むAさんは、SNSで知り合った未成年者Vさんに裸の写真を撮らせ、Aさんの携帯電話にその画像を送らせたとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造罪)の疑いで、兵庫県灘警察署に逮捕されました。
Aさんは、突然の逮捕に動揺しており、取調べにもどのように対応すればよいか分からず困っています。
ドラマで逮捕された被疑者が「弁護士を呼んでください」と言っている場面を思い出したAさんは、「自分も弁護士を呼ぶことができるのか」、「呼ぶことができるのなら、いつ呼べるのか」と気が気でなりません。
(フィクションです)

突然の逮捕!被疑者となったらすぐに弁護士を呼べるの?

あなたが何らかの罪を犯してしまい、警察に逮捕されたとしましょう。
突然の逮捕に驚き、また日常では体験することがない警察による取調べを受けることになり、どのように対応すればよいか分からず不安を抱くことでしょう。
また、身柄拘束され、警察署の留置場で過ごすことになり、精神的にも大きな負担を感じることになります。
そのような状況下では、弱気になり、やっていないことまでやったかもしれないと自己に不利な供述をしてしまうこともあります。
そんな時には、弁護士に相談しましょう!

法律は、刑事事件の被疑者・被告人となった人にも様々な権利を保障しています。
被疑者に認められている権利のなかに、「接見交通権」というものがあります。
これは、身体拘束を受けている被疑者・被告人が、弁護人弁護人となろうとする者、被疑者・被告人の家族や友人等と面会(接見)したり、書類や物の授受を行う権利です。

被疑者・被告人の家族や友人等との面会を「一般面会」といい、これには被疑者・被告人が逃亡したり罪証隠滅したりするのを防ぐために、面会時には職員が立会い、面会時間も20分と制限されています。
逃亡や罪証隠滅をするおそれがあると疑うに足りる相当な理由があるときには、検察官の請求により、又は裁判官の職権で、勾留されている被疑者・被告人と家族らの接見を禁じることもあります。(これを「接見禁止」といいます。)

一方、弁護人弁護人となろうとする者との接見には、一般面会のような制限はありません。
接見時には立会人はいませんし、時間制限もありません。
接見禁止が付されている場合でも、弁護人等であれば接見することができます。

であれば、次に気になるのが、「いつ弁護士を呼べるのか?」です。
「逮捕されたら、すぐに呼べる?」、「どうやって呼ぶの?」など疑問に思われるでしょう。
実は、逮捕された場合、いつでも弁護士を呼ぶことはできるのです。

逮捕された人が呼べる弁護士には、次のように種類分けすることができます。

(1)当番弁護士

刑事事件で逮捕された被疑者が、検察官に起訴される前の段階でも、弁護士を通じた弁護権を保障することを目的として、日本弁護士連合会によって提唱・設置された「当番弁護士制度」というものがあります。
当番弁護士制度は、1回の接見に限り無料で弁護士との接見を提供するもので、弁護士と接見することで、被疑者は法的助言を得ることができます。
逮捕後、警察に当番弁護士を呼んでほしい旨を伝えると、警察は所管の弁護士会へ連絡し、当番弁護士との接見依頼があることを伝えます。
当番弁護士を呼べるのは、逮捕されている被疑者だけでなく、その家族や友人が弁護士会へ連絡して呼ぶこともできます。
1回だけの接見となるので、引き続き弁護を依頼する場合は、別途私選弁護人として当番弁護士と契約することになります。

逮捕されたら、いつでも呼ぶことができる当番弁護士制度ですが、警察は被疑者に対して「弁護士を呼ぶ権利がある」と口頭で説明するものの、どのような制度があるかまで細かく説明してくれるとは限りません。
ですので、逮捕から勾留決定までの間、どうやって弁護士を呼ぶか分からず、そのまま勾留決定となってしまうケースも少なくありません。

このような当番弁護士の他に、国選弁護人私選弁護人がありますが、これらについては次回みていきたいと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りであれば、弊所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスを24時間受付ております。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

被害者との示談交渉は弁護士に!

2019-08-14

被害者との示談交渉は弁護士に!

被害者との示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市の居酒屋で会社の同僚と飲んでいたAさん。
店を出て帰路につく途中、すれ違いざまに見知らぬ男性Vさんと肩がぶつかってしまいました。
するとVさんから「どこ見とんねん!」と暴言を吐かれたことにカッとなり、Aさんが「お前からぶつかってきといて、なんやねん!」と言い返し、口論に発展しました。
その最中、AさんはVさんの顔面を殴ってしまいました。
通行人が警察に通報し、兵庫県尼崎南警察署の警察官が現場に駆け付けました。
その後、署で事情を聴くことなり、警察からは、弁護士にVさんとの示談をしてもらったらどうかと言われています。
(フィクションです)

警察庁の統計によると、平成29年における刑法犯の検挙人員の罪名別構成比は、以下の順となっています。

1.窃盗(全体の50.8%)
2.暴行(12.0%)
3.傷害(9.8%)
4.横領・遺失物等横領(8.3%)
5.詐欺(4.6%)

全体の半分を窃盗が占めていますが、暴行や傷害といった暴力事件も刑法犯の中で多いと言えるでしょう。
上の犯罪には、被害者がいます。
このように被害者がいる事件における重要な弁護活動の一つが、被害者との示談交渉です。

示談について

示談というのは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届や告訴状の提出を行わない、若しくは、それらを取り下げるなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することをいいます。
被害者のいる事件では、事件の早期解決を図る方法として用いられます。

示談を成立させ、被害届や告訴の提出回避や取下げとなれば、被害者の告訴が公訴を提起するためには必要となる親告罪の場合はもちろんのこと、示談成立の有無は検察官が起訴・不起訴を決める際にも考慮される要素となりますので、示談成立により刑事事件を早期に解決する可能性を高めることができるのです。

しかし、示談の締結は1回限りの行為ですので、加害者本人が直接被害者と行うことには注意が必要です。

まず、加害者が被害者に対して示談をしたいと思っても、被害者と連絡をとることは容易ではありません。
特に、被害者とは全く面識のない場合、警察や検察を通じて被害者の連絡先を教えてもらわなければなりませんが、捜査機関は被害者の連絡先を加害者に直接教えることはあまりありません。
また、被害者は、加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、加害者と直接連絡をとることを望まないケースも多々あります。
まれに、被害者側が加害者と連絡をとることを希望する場合もありますが、当人同士の話し合いは感情的になる傾向がありますし、被害者が一方的に高額な示談金を請求するといったケースもあります。

ですので、被害者との示談交渉には、弁護士を介して行うことが通常です。
弁護士は、示談交渉を数多く経験しているため、交渉のノウハウを持っています。

暴力事件では、被害者が負った怪我について、通院費や治療費などの損害実費を弁償し、精神的損害についても慰謝料を支払うことで示談が成立するケースが多いです。
その示談金の額は、被害者が負った怪我の程度によって異なります。

示談交渉に優れた弁護士に依頼し、適切な法的サポートを受け、加害者と被害者がお互いに納得できるような示談をしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
所属弁護士は、これまで数多くの刑事事件を取り扱ってきており、被害者との示談交渉にも豊富な経験があります。
あなたが、刑事事件を起こしてしまい、被害者への被害弁償・示談をお考えなら、弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

客引きで風営法違反

2019-08-12

客引きで風営法違反

客引きでの風営法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース①~
兵庫県神戸市中央区にあるパブの従業員であるAさんは、同区の路上で不特定多数の通行人に「3000円でいいから、行こうよ」などと言いながらつきまとい、腕を引っ張るなどの客引きをした疑いで、兵庫県生田警察署風営法違反で逮捕されました。

~ケース②~
兵庫県神戸市中央区にある多国籍料理店の従業員であるAさんは、同区の路上で不特定多数の通行人にしつこくつきまとい、腕を引っ張るなどの客引きをした疑いで、兵庫県生田警察署風営法違反で逮捕されました。

神戸市中央区で客引き行為を規制する法令

神戸市中央区客引き行為を行った場合、以下の法令違反となる可能性があります。

1.客引き行為等の防止に関する条例

当該条例は、公共の場所において客引き行為等及び客引き行為禁止地区における客引き行為等を禁止しています。
禁止地区において客引き行為等をした者に対して、知事は指導・勧告・命令を行うことができ、命令に違反した者は、5万円以下の過料に処される可能性があります。

2.軽犯罪法

軽犯罪法は、他人の進路に立ちふさがる、その身辺に群がって立ち退こうとしない、不安や迷惑を覚えるような仕方で他人につきまとう行為を禁止しており、違反者に対しては、拘留(1日以上30日未満)又は科料(千円以上1万円未満)の刑罰が設けられています。

3.迷惑防止条例

迷惑防止条例は、公共の場所における不当な客引き行為等を禁止しています。
性的な要素や異性による接待があるサービス以外の業種については、「人の身体又は衣類をとらえ、所持品を取り上げ、進路に立ちふさがり、身辺に付きまとう等の執拗な方法で」の客引きのみを規制しています。
違反者に対する罰則は、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっており、常習としての違反者に対しては、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

4.風営法

風営法においても、客引き行為は禁止されており、違反者に対しては罰則が設けられています。

客引き行為で風営法違反となる場合

風営法とは、「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」の略称です。
風営法は、客引き行為を禁止しています。

第二十二条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。

ここでいう「風俗営業」は、風営法において、以下のものと定義されています。

一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
二 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
四 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

風俗営業に関する客引き行為をすると、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金となる可能性があります。

風営法というと、「風俗営業」のみが対象になると思われがちですが、風俗営業に当たらない飲食店であっても深夜営業に関しての客引き行為を禁止しているのです。

第三十二条

3 第二十二条第一項(第三号を除く。)の規定は、飲食店営業を営む者について準用する。この場合において、同項第一号及び第二号中「当該営業」とあるのは「当該営業(深夜における営業に限る。)」と、同項第四号中「業務」とあるのは「業務(少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く。)」と、同項第五号中「十八歳未満」とあるのは「午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満」と、「を営業所」とあるのは「を営業所(少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く。)」と、「第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること」とあるのは「保護者が同伴する十八歳未満の者を客として立ち入らせる場合を除く」と読み替えるものとする。

ですので、上記ケース②のように、風俗営業以外であっても客引き行為で風営法違反となる可能性があるのです。

風営法違反事件を含めた刑事事件でお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

痴漢事件、会社への発覚阻止

2019-08-11

痴漢事件、会社への発覚阻止

痴漢事件で会社への発覚阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
JR神戸線の快速電車に乗っていたAさんは、隣に座っている若い女性が眠っているものと思い、女性の臀部をしばらく触っていました。
三ノ宮駅に着くと、電車乗り換えのためAさんは電車を下車しましたが、後方から声を掛けられ振り返ると、さきほど隣に座っていた女性が「痴漢しましたよね。駅員室に行きましょう。」とAさんに言ってきました。
Aさんはとっさに「なんのことですか。」と否定しましたが、女性に腕を掴まれ、そのまま駅員室に行くことになりました。
その後、通報を受けて駆け付けた警察官と共に兵庫県葺合警察署に連れて行かれ、調べを受けました。
Aさんは、容疑を素直に認めていますが、会社に事件のことが発覚するのではないかと心配しています。
(フィクションです)

痴漢をするとどんな犯罪が成立するの?

相手の意に反して身体を触るなどの卑わいな行為を「痴漢」といいます。
電車内での痴漢が最もよく知られるところではないでしょうか。
電車内で相手の臀部を服の上から触ったという場合には、迷惑防止条例違反が成立すると考えられます。

痴漢行為は、その形態により、迷惑防止条例違反、若しくは強制わいせつ罪に問われることになります。
簡単に言うと、衣類の上から身体を触る場合には、前者に該当することになります。

迷惑防止条例違反

「兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(以下、「迷惑防止条例」といいます。)では、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人にしてて、不安を覚えさせるような卑猥な言動をしてはならない」と規定されています。

「公共の場所」とは、不特定多数の人が自由に出入りし、利用できる場所を指します。
「卑猥な言動」とは、性的道義観念に反する下品でみだらな言語や動作をいうと理解されています。
強制わいせつにおける「わいせつな行為」よりも広義に捉えられています。
迷惑防止条例違反で起訴された場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

強制わいせつ罪

強制わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、その行為者またはその他の者の性欲を刺激興奮または満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいいます。
一般的には、着衣の上から触った場合には迷惑防止条例違反、着衣に手を差し入れて触った場合には強制わいせつ罪が適用されることが多いです。
強制わいせつ罪は、暴行・脅迫を用いていることが要件となります。

痴漢事件が会社に発覚する場合とは?

あなたが痴漢事件を起こし、その事件が会社発覚するのは、
①事件について報道される。
②会社が捜査機関からの捜索や聴取を受ける。
③長期の身体拘束となる。
場合が考えられます。

①事件が報道される場合
痴漢事件をはじめ、刑事事件で被疑者として取調べを受けた場合、全ての事件について報道されるわけではありません。

報道されやすい事件の特徴としては以下のようなものになります。
・殺人事件などの重大な事件
・振り込め詐欺や児童買春といった社会問題となっている事件
・被疑者が、政治家・公務員・教師・医師・大手会社員など公的な側面を持った職業に就いている

各警察署がマスコミに発表する事件を決定し、発表すると決めた事件について各マスコミに伝えます。
報道の必要性が高く、報道によって被害者等に不利益が生じないといったことが考慮されるようです。
次に、マスコミ各社は、ニュースバリューが高いものを選び、当該事件について報道します。
警察署が発表した事件すべてが報道されることはなく、マスコミが振るいにかけているわけです。

②会社が捜索や聴取を受ける場合
事件現場が会社であったり、捜査機関が会社への聴取が必要だと判断すると、捜査機関は会社に事件のことを伝えて上で、捜索や聴取などを行います。
そうなれば、会社に事件のことが発覚することは避けられません。

③長期の身体拘束となる場合
逮捕後、勾留が決定すると、逮捕から13日間、最大で23日もの間刑事施設での身体拘束を余儀なくされます。
その間、会社に行くことはできませんので、家族から会社に欠勤の連絡を入れることになります。
数日であれば、体調が悪い等を理由に休むことも可能ですが、欠勤が長引けば事件のことを伝えざるを得なくなります。

事件について会社発覚することを回避するためには、身体拘束を免れることが重要です。
痴漢事件の場合、容疑を認めており、初犯かつ犯行形態も悪質でなければ、逮捕されたとしても釈放される可能性はあります。
早期に弁護士に相談・依頼し、身柄解放に向けて動くことをおすすめします。
刑事事件は時間との勝負です。
そのうち釈放されると思っていると、勾留され長期の身体拘束となることもあります。

ご家族が痴漢事件で逮捕されたら、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

銃刀法違反で逮捕されないために

2019-08-10

銃刀法違反で逮捕されないために

銃刀法違反逮捕されないためのポイントについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県西宮市の公園付近に車を停車し、車内でパソコンを使用していた時、巡回していた兵庫県西宮警察署の警察官に声をかけられました。
警察官から職務質問を受けた後、車内を捜索したいということで、Aさんはこれを容認しました。
すると、車内をダッシュボードからに大型カッターナイフが出てきました。
Aさんは、万が一の護身用にと思い、大型のカッターナイフを車のダッシュボードに入れっぱなしにしていたのです。
警察官からは、銃刀法違反にあたる可能性があると言われ、そのまま兵庫西宮警察署に行き、取り調べを受けました。
取調べ後、警察官から再度呼び出すと告げられ、Aは、逮捕される可能性があるのかと心配でたまりません。
(フィクションです)

銃刀法違反とは

銃砲刀剣類所持等取締法(以下、「銃刀法」といいます)は、銃砲・刀剣類の取り締まりを目的とした法律です。
ナイフを正当な理由なく携帯していた場合に適用され得る罪は、銃刀法違反または軽犯罪法違反です。

銃刀法は、銃砲刀剣類の所持を、原則として一般的に禁止しています。(銃刀法第3条)
銃刀法における「刀剣類」には、次のものが含まれます。
・刃渡り15センチメートル以上の刀
・刃渡り15センチメートル以上のやり
・刃渡り15センチメートル以上のやぎなた
・刃渡り5.5センチメートル以上の剣
・あいくち
・45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛び出しナイフ

カッターナイフは、上のいずれにも該当しません。
それでは、カッターナイフを所持していたAさんは、銃刀法違反とはならないのでしょうか。

銃刀法では、刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物の携帯が禁止されています。(銃刀法22条)
「刃体」とは、刀剣類以外の刃物の刃の長さのことをいいます。
「刃物」とは、その用法において、人を殺傷する性能を有し、鋼又はこれと同程度の物理的性能を有する材質でできている片刃又は両刃の器物で、刀剣類以外のものをいいます。
具体的には、文化包丁、出刃包丁、刺身包丁等の包丁類、登山ナイフ、サバイバルナイフ、バタフライナイフ、果物ナイフ、カッターナイフやペティナイフなどがこれにあたります。
刃物の携帯が「業務その他の正当な理由による場合」には、銃刀法違反にはあたりません。
店舗で刃物を購入し自宅へ持ち帰る場合や、料理人が自分の包丁をカバンに入れて職場へ向かう場合などが考えられます。
このような業務その他の正当な理由なく、該当する刃物を携帯している場合には、銃刀法違反となる可能性があり、法定刑は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。

一方、刃体の長さが6センチメートル未満の刃物の携帯については、軽犯罪法1条2号で規制されています。
同条は、「正当な理由がなくて、刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯」することを禁止しています。
これに違反した場合には、拘留(1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する自由刑)、又は科料(1000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰)が科される可能性があります。
ここでいう「人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」に、ツールナイフやハサミも含まれる可能性があります。

上記の事例のように、大型のカッターナイフも刃体の長さが6センチメートル以上である場合には、銃刀法で禁止されている刃物に該当する可能性があります。

逮捕されないために

被疑者に逮捕の理由と必要性がある場合、警察は逮捕状を請求したうえで、被疑者を逮捕します(これを「通常逮捕」といいます)。
逮捕の理由とは、犯罪をしたと疑うに足りる相当な理由があることをいい、逮捕の必要性は、罪を犯したと疑われる人が証拠を隠滅したり、逃亡したりするおそれがある場合に認められます。
ですので、逮捕を回避するためには、捜査機関である警察等に対して、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを説得的に主張することが必要となるでしょう。

銃刀法違反事件は、職務質問や所持品検査から発覚することが多いようです。
銃刀法違反自体で逮捕されることはそう多くありませんが、警察署への任意同行や任意出頭を拒否し続けると逮捕される可能性もあります。

刑事事件を起こして逮捕されるかご不安な方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
法律相談初回接見サービスの予約を24時間受け付けています。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881へご連絡ください。

刑罰はどうやって決められるの?

2019-08-08

刑罰はどうやって決められるの?

刑罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県洲本市の民家に侵入し、現金20万円と貴金属などを盗んだとして、兵庫県洲本警察署は無職のAさんを窃盗と住居侵入の容疑で逮捕しました。
Aさんは容疑を認めていますが、どのような刑罰が科せられるのか不安です。
Aさんは、接見にやってきた弁護士に、どのような刑罰が科せられる可能性があるのか聞こうと考えています。
(フィクションです)

刑罰の種類

刑罰には、死刑、懲役、罰金、拘留、科料の5種類があります。
刑の重さは、上の並び順となります。
逮捕に引き続き行われる「勾留」と、刑罰としての「拘留」とは異なりますので、ご留意ください。

刑法を含めた刑罰法令は、「この罪名で有罪となった場合には、この範囲内で刑罰を科すことができる」と定めており、この法律に記載のある刑罰を「法定刑」と呼んでいます。
上記の事例でみていると、

刑法第235条 窃盗 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
刑法第130条 住居侵入 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金

という形で法定刑が定められています。

法定刑は、あくまで、罪名と刑の対応となります。
そのため、具体的に事件の内容によって実際にどのような刑の範囲が適当かは異なります。
例えば、複数の事件が同時に発生した場合には、どのような範囲で刑を科せばよいかが問題となります。
法律では、具体的事件の形に合わせて、実際に処罰することが可能な刑の範囲を定めます。
この範囲を「処断刑」といいます。
処断刑の定め方は、いろいろありますが、今回は複数の事件がある場合の刑の定め方についてみていきます。

(1)原則(併合罪加重)
原則として、複数の事件が発生した場合、以下のような形で処罰します。
・最も重い法定刑が定められている罪で処罰する。
・刑の範囲は、法定刑を基準に、懲役であれば1.5倍、罰金であれば複数の罪の合計額を限度とします。ただし、懲役の場合には、元の罪の懲役の合計を超えてはなりません。
このような処罰の形を「併合罪加重」といいます。

(2)例外
併合罪加重は原則ですが、法律は様々な例外についても定めています。

a 牽連犯
2つの行為が目的と手段の関係にある場合には、併合罪加重はせず、重い方の罪の法定刑を遮断刑とするとされています。
これを「牽連犯」といいます。
例えば、上記ケースのように家に入って盗みをした場合には、住居侵入と窃盗が成立しますが、目的(窃盗)と手段(住居侵入)の関係にあるので、処断刑は、窃盗の罪の法定刑がそのまま用いられることになります。

b 包括一罪
法律に定めはありませんが、同じ目的をもって、時間的場所的に近接している状況で、同じ事件を反復継続して起こしている場合には、まとめて1罪として処罰します。
街頭募金詐欺は、被害者は募金をした一人ひとりなので、複数の詐欺罪が成立することになりますが、同じ場所で同じ時間、同じ目的で詐欺をしていますので、まとめて1つの詐欺罪として扱われた事例があります。

このように、実際にどのような刑が科せられるかは、起こした事件の内容により異なります。

刑事事件を起こし、どのような罪に問われ、どのような刑罰が科され得るのかご不安な方は、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。
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兵庫県のホテルで無銭宿泊

2019-08-07

兵庫県のホテルで無銭宿泊

ホテルでの無銭宿泊で成立し得る犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県豊岡市にあるホテルに宿泊していたAさんは、2泊の予約を入れていましたが、更に2泊の延泊を希望しました。
ホテルは、延泊の申請を受けた際に、Aさんに一旦清算することを求めましたが、Aさんは「財布がなくなった」などと言い訳をして支払う様子がありません。
Aさんの対応を不審に思ったホテルは、兵庫県豊岡北警察署に通報しました。
駆け付けた警察官が、Aさんに事情を聴いたところ、チェックイン時に記入した氏名や住所も嘘で、所持金もほとんどないことが分かりました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

無銭宿泊で詐欺罪成立?

ホテルや旅館などに宿泊したものの、会計を済まさずにそのまま帰ってしまう行為を「無銭宿泊」といいます。
無銭宿泊をした場合、詐欺罪が成立する可能性があります。

詐欺罪とは?

刑法第246条は、詐欺罪について規定しています。

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪の構成要件(犯罪類型)は、以下のとおりです。

【1項詐欺】①人を欺いて
      ②財物を
      ③交付させたこと。
【2項詐欺】①人を欺いて
      ②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと。

まず、1項詐欺(刑法第246条第1項に規定される詐欺罪)についてみていきましょう。

(1)客体
他人の占有する他人の動産および不動産です。

(2)行為
人を欺いて財物を交付させることです。
詐欺罪が成立するには、①人を欺く行為をして、②それに基づいて相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じることが必要です。
①欺く行為
一般人として、「財物や財産上の利益を処分させるような」錯誤に陥らせることを「欺く」といいます。
「人」を欺くものでなければならず、機械に対して嘘の情報を入力する行為は詐欺罪における「欺く行為」とはなりません。
②錯誤
錯誤は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであれば足ります。
③処分行為
条文の「財産を交付させ」るというのは、相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することをいいます。
処分行為には、処分の意思と処分の事実が必要とされます。
④財物の移転
「財物の移転」というのは、財物の占有が移転することです。
⑤財産的損害
一連の行為の結果、被害者に何らかの財産的損害が生じたことが本罪の成立には必要とされます。

次に、2項詐欺の構成要件についてみていきます。

(1)行為
人を欺いて財産上不法の利益を得ることで、欺く行為に基づく錯誤の結果行われた財産的処分行為によって行為者または一定の第三者が不法に財産上の利益を取得することを指します。

さて、本題の無銭宿泊が詐欺罪に当たるかどうかという点について検討していきたいと思います。

ホテルなどに宿泊したにもかかわらず、宿泊代を清算することなく宿泊先を後にする行為が「無銭宿泊」ですが、どの時点で無銭宿泊をしようと思ったか、そして、相手方を騙して無銭宿泊したか否かによって犯罪の成否は異なります。

(ア)宿泊を申し入れた時点に既に支払いの意思がない場合
代金を支払う気がないのに、あたかも代金を支払うかのように騙し、宿泊先はチェックアウト時に代金を支払ってくれるものと錯誤に陥り、宿泊予約を受け入れています。
この錯誤に基づき、宿泊先は宿泊サービスを提供し、宿泊者は当該サービスを受けています。
よって、1項詐欺罪が成立すると考えられます。
「代金を支払う意思があるか否か」という点は、人の内心の問題ですので、どうやって立証するの?と思われるかもしれませんが、ホテルなどに宿泊するのに所持金がない場合であれば、最初から払う意思がなかったと判断されるでしょう。

(イ)支払い時にお金がないことに気が付き、「ATMでお金を下ろしてくる」などと言い支払いを免れた場合
この場合、宿泊先に対して支払いを済ます意思があると誤信させ、宿泊代の支払いを免れています。
相手方を騙す行為によって、代金債務を免れた=不法に財産上の利益を取得していますので、2項詐欺が成立するでしょう。

(ウ)当初は支払う意思があったにもかかわらず、支払い時にその意思がなくなり、逃亡した場合
2項詐欺の成立には、先述のように「欺く行為に基づく錯誤の結果行われた財産的処分行為」がなければならず、相手方(ここでは宿泊先)の意思によって財産上不法の利益(支払債務を免れる)を得ることを必要となります。
ですので、宿泊先を騙さず、単に逃走して事実上支払わなかった場合は、2項詐欺は成立しないことになります。
ただし、最初から支払う意思がなく支払い時に逃亡した場合は(ア)に当たり、1項詐欺が成立します。

無銭宿泊を行い詐欺罪で有罪となると、10年以下の懲役刑が科せられる可能性があります。
ただし、初犯で常習性がなく、弁償をしており反省の態度が見られるなどの場合には、起訴猶予となる可能性もありますので、無銭宿泊事件で被疑者として捜査されているのであれば、早期に弁護士に相談し、自己に有利な情状を検察官に主張してもらうのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺罪をはじめとする刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。

刑事事件で不起訴処分

2019-08-06

刑事事件で不起訴処分

刑事事件での不起訴処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県赤穂市のコンビニで面識のない女性に平手打ちをしたとして、店員の通報を受けて駆け付けた兵庫県赤穂警察署の警察官に、会社員のAさんは暴行容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは、事件当時相当酒に酔っており、コンビニに寄って買い物をしている最中、店内にいた被害女性に声をかけたところ、反応が冷たかったので手を出したようです。
Aさんは、事件当時の記憶が曖昧ですが、店内の防犯カメラの様子からも自分が被害者に手を出したことが明らかで、酔いが冷めてからは猛省しており、被害者への謝罪と被害弁償を希望しています。
Aさんの父親が身元引受人となり、Aさんは逮捕翌日の夜に釈放となりました。
Aさんは、被害者との示談交渉や今後どのような流れになるのかについて刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

不起訴処分について

被疑者を起訴するか否かの判断は、検察官が行います。
検察官は、捜査を遂げた上で、証拠に基づき犯罪が成立するか、処罰の必要があるか否かを考慮し、事件を起訴するか不起訴にするかを決めます。
起訴しないとする処分を「不起訴処分」といいます。
この不起訴処分には、いくつか種類がありますが、主なものは次の通りです。

(1)罪とならず
犯罪が成立しない場合です。

(2)嫌疑なし
犯罪を認定する証拠がない場合や人違いのケースです。

(3)嫌疑不十分
立証するだけの十分な証拠がない場合には「嫌疑不十分」として不起訴となります。

(4)親告罪の告訴取り下げ
被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪の場合、被害者が刑事告訴をしたものの、その後告訴を取り下げがあると、検察官は被疑者を起訴することは出来ませんので、不起訴処分とします。

(5)起訴猶予
被疑者が罪を犯したことが事実であり、それを立証する十分な証拠もあるが、被疑者の年齢・境遇・正確、犯罪の内容や軽重、犯罪後の状況、社会に戻した際の更生可能性等を考慮し、検察官が裁量によって起訴を見送るものです。

不起訴処分となれば、起訴されませんので、有罪判決が言い渡されることもありません。
つまり、不起訴処分により「前科」が付くことはありません。
前科が付くと、一定の職業に就くことや資格をとることが出来なくなりますので、前科が付くことは回避したほうが良いでしょう。
ただし、刑事事件の被疑者として捜査対象となった記録(前歴)は残りますので、再犯の場合には初犯とはみなされません。

不起訴処分となるには

被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かといった点が、不起訴処分を獲得する上では非常に重要です。
親告罪では、被害者との示談を成立させ、告訴を提起しない若しくは告訴を取り下げてもらうことで、検察官は不起訴処分としますし、親告罪でない場合でも、被害者との示談の有無は検察官が起訴・不起訴を判断する上で重量な考慮要素となります。
ですので、刑事事件を起こしてしまったら、早期に被害者との示談交渉を開始する必要があるのです。
しかし、被害者との示談交渉を加害者やその家族が直接行うことはお勧めできません。
一般的に、被害者は加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、加害者に連絡先を教えることはあまり多くありませんし、仮に連絡先を教えたとしても、当事者同士の交渉は感情的になりやすく交渉が難航する傾向にあります。
被害者との示談交渉は、弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士限りであれば連絡先を教えてもよいと回答する被害者も多く、被害者の連絡先を教えてもらえる可能性があります。
また、弁護士を介することで、冷静な話し合いができ、示談を円滑に成立させることも期待できるでしょう。

示談交渉を弁護士に依頼することで、このようなメリットがあります。

刑事事件を起こし、被害者対応にお悩みであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
これまで数多くの示談交渉を行ってきた刑事事件専門弁護士が無料で法律相談を行います。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

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